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「公的年金財政状況報告−令和5(2023)年度−」について [2025年04月18日(Fri)]
「公的年金財政状況報告−令和5(2023)年度−」について(令和7年3月27日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53059.html
 本日(令和7年3月27日)、社会保障審議会年金数理部会(注)は、「公的年金財政状況報告−令和5(2023)年度−」をとりまとめました。報告のポイント及び概要は別添のとおりです。
 年金数理部会においては、毎年度、公的年金各制度の財政状況について制度所管省から報告を受けており、本報告は、その内容をもとに、令和5(2023)年度における公的年金の財政状況を専門的な観点から横断的に分析・評価を行った結果をとりまとめたものです。
 本報告では、令和5(2023)年度の実績の動向等を明らかにし、令和元(2019)年財政検証との比較及び財政状況の評価を行っているほか、共済組合等を含めた厚生年金全体での財政状況もとりまとめています。

◎別添1公的年金財政状況報告 −令和5(2023)年度− (ポイント)→「公的年金財政状況報告」は、社会保障審議会年金数理部会が、 公的年金の毎年度の財政状況について、公的年金の各制度・各実施 機関からの報告に基づき、専門的な観点から横断的に分析・評価を 行った結果をとりまとめたもの。
1 公的年金の収支状況 (報告書170〜175頁参照)→ 公的年金制度全体でみると、令和5(2023)年度は、運用損益分 を除いた収入総額54.4兆円、支出総額54.5兆円であったことから、運用損益分を除いた単年度収支残は0.1兆円のマイナス。 また、時価ベースの運用損益は53.6兆円のプラス。 その結果、時価ベースの年度末積立金は前年度に比べ53.5兆 円増加し、304.0兆円。⇒ 単年度収支状況 ―令和5(2023)年度― 参考。


2. 公的年金に係る財政状況の評価→令和5年度までの実績と令和元年度財政検証の前提や将来見通しを比較するだけではなく、長期的な財政均衡の観点から評価。
○国民年金第1号被保険者数は財政検証の見通しを下回り、厚生年金被保険者数は上回る状況が続いていること、令和5(2023)年度は高い運用収益となった結果、積立金の実績が将来見通しを上回っていること、令和5(2023)年 における65 歳の平均余命は、平成29(2017)年推計57における死亡高位の仮定値を下 回っていることが確認された。また、令和5(2023)年度は、マクロ経済スライドによる給付水準調整が行われたことにより、年金財政にプラスの 効果をもたらしたことに加えて、実質賃金の伸びがプラスになったことにより、平成 12(2000)年改正で既裁定年金の物価スライドが導入されて以降初めて、賃金の伸びが 既裁定年金の伸びを上回ったことが確認された。
○一方で、令和元(2019)年以降の合計特殊出生率は、平成 29(2017)年推計における出生中位の仮定値を下回る水準で推移し、令和5(2023)年は、 出生低位の仮定値を下回っていること、また、実質賃金上昇率(対 物価)は令和元(2019)年財政検証におけるいずれのケースの前提も下回っていること が確認された。
○これらの将来見通しからの乖離が、一時的なものではなく中長期的に続いた場合 には、年金財政に与える影響59は大きなものとなる。たとえば、合計特殊出生率が将来推計人口の出生中位の仮定値を下回って推移する傾向が今後も長期にわたって続けば、将来の年金制度の運営は大きな影響を受ける。
○年金財政の観点からは、人口要素、経済要素等いずれも短期的な 動向にとらわれることなく、長期的な観点から財政状況の動向を注視すべきである。
(注) 令和5(2023)年4月に新たな将来推計人口(令和5年推計)が公表されているが、ここでは実績を令和元(2019)年財政検証の基礎となった平成29(2017)年推計における仮定値と比較している。


◎別添2公的年金財政状況報告−令和5(2023)年度−の概要
令和7(2025)年3月27日 社会保障審議会年金数理部会

○0.公的年金財政状況報告−令和5(2023)年度−について→・「公的年金財政状況報告」は、公的年金の毎年度の財政状況について、公的年金の各制度・各実施機関からの報告に基づき、専門的な観点から横断的に分析・評価を行った結果をとりまとめたもの。 ・この報告では、実績の動向等を明らかにし、財政検証との比較及び財政状況の評価を行っているほか、共済組合等を含めた厚生年金全体での財政状況もとりまとめている。⇒「公的年金財政状況報告−令和5(2023)年度−」の構成  参照。
○a.社会保障審議会年金数理部会について→・ 公的年金制度の一元化の推進に係る閣議決定(平成13(2001)年)の要請を踏まえ、「各被用者年金制度の安定性及び公平性の確保に関し、財政再計算時における検証及び毎年度の報告を求めること」などを審議内容とする部会として社会保障審議会に設置。 ・ 平成27(2015)年10月に被用者年金制度が一元化された後も、制度の安定性の確保の観点から財政検証結果及び各年度の決算の報告を求め審議。⇒ 閣議決定「公的年金制度の一元化の推進について」(平成13(2001)年) 参照。
○b.社会保障審議会年金数理部会の役割→少なくとも5年ごとに年金財政の健全性を検証⇒・将来見通しの作成 ・給付水準の自動調整(マクロ経済スライド)の開始・終了年度の見通しの作成
○c.年金制度の体系(数値は令和6(2024)年3月末時点の被保険者数・加入者数)→・個人型確定拠出年金(iDeCo)328万人。厚生年金保険第1号厚生年金被保険者(民間被用者) 4,211万人。国民年金(基礎年金)6,745万人。
○d.公的年金の資金の流れ→被保険者は被保険者の区分に応じて、国民年金勘定、厚生年金勘定または共済組合等の厚生年金保険経理に保険料を支払い、 基礎年金は基礎年金勘定から、それ以外の給付は保険料を支払った勘定(経理)から支払われる。
※ より詳しい資金の流れは、報告書 第1章 図表1-2-2(53ページ)参照

≪被保険者の現状及び推移 (第2章第1節より抜粋)≫↓
1.公的年金の被保険者数の推移
→令和5(2023)年度の公的年金制度全体の被保険者数は横ばい。国民年金第1号被保 険者と第3号被保険者の被保険者数が減少したものの、厚生年金の被保険者数が増加。 ・ 厚生年金の被保険者数の対前年度増減率は1.2%であり、このうち短時間労働者を除いた被保険者数の対前年度増減率は1.0%、短時間労働者の被保険者数の対前年度 増減率は11.7%(男性8.9%、女性12.7%)。
2.被保険者の年齢分布 →・令和5(2023)年度末の被保険者の年齢分布をみると、厚生年金計では50〜54歳の割合が最も大きく、国民年金第1号被保険者では20〜24 歳の年齢階級、国民年金第3号被保 険者では50〜54 歳の年齢階級の割合が最も大きい。 ・ 厚生年金被保険者のうち短時間労働者(厚生年金に占める割合は2.0%)では、男性は 60歳以上の被保険者が多く、女性は45〜64歳の被保険者が多い。
3.被保険者の年齢分布の変化(厚生年金計) →・厚生年金計の男性では、最も被保険者数が多い年齢階級が10年前は40〜44歳、5年前は45 〜49歳、令和5(2023)年度末では50〜54歳にシフト(団塊ジュニア世代)。厚生年金計の女性では、5年前と比べて15〜24歳及び40〜44歳を除き被保険者数が増加。 ・被保険者数を人口比でみると、5年前と比べ、若年層(男性の15〜19歳及び25〜34歳、女性 の15〜19歳)を除き上昇。65〜69歳ではこの5年で、男性が26.5%から37.9%に、女性が10.3% から17.5%になっており 、65歳以上の雇用が進展。
4.被保険者の年齢分布の変化(短時間労働者)→・厚生年金計のうち短時間労働者(厚生年金に占める割合は2.0%)については、令和 4(2022)年10月施行の適用拡大により短時間労働者の被保険者数が大幅に増加したこ とから、 5年前と比べ、男女とも全ての年齢階級で被保険者数が増加。 ・ 被保険者数を総人口比でみると、5年前に比べ、男女とも全ての年齢階級で上昇。
5.被保険者の年齢分布の変化(国民年金第1号)→・国民年金第1号被保険者では、団塊ジュニア世代のシフトを除くと、男女ともに全体的に被保険 者数が減少。 ・ 被保険者数を人口比でみると、5年前と比べ、男性の20〜24歳及び55〜64歳、女性の20〜24歳 及び60〜64歳を除き低下。
6.被保険者の年齢分布の変化(国民年金第3号)→・国民年金第3号被保険者の女性では、49歳以下の被保険者数の減少が著しい。 ・ 被保険者数を人口比でみると、男性は5年前から大きな変化はなく、女性は5年前と 比べ、全ての年齢階級で低下。
7.厚生年金の標準報酬月額別被保険者の分布→・厚生年金計の男性は、65万円の被保険者が最も多くなっており、他には、26〜30万円と41万円にピークがある分布。厚生年金計の女性は、22万円にピークがある分布。5年前の分布と比較すると、男性では、9.8〜26万円を除き被保険者数が増加。女性では、 9.8〜18万円を除き増加。 ・厚生年金計のうち短時間労働者は、男性、女性ともに11.8万円にピークがある分布。 5年前の分布と比較すると、令和4(2022)年10月施行の適用拡大により短時間労働者の被保険者数が大幅に増加したことから、男女とも全ての等級で増加。

≪受給権者の現状及び推移 (第2章第2節より抜粋)≫
8.受給権者の年金総額の推移
→令和5(2023)年度末の年金総額は、公的年金制度全体で58.1兆円(対前年度1.9%増)。年 金額改定率がプラスだったこともあり※、前年度末に比べ、全ての制度で増加。 ※ 令和5(2023)年度は、新規裁定年金(67歳以下)が2.2%、既裁定年金(68歳以上)が1.9%。
9.老齢・退年相当の受給権者の年齢分布 →・国共済の女性を除き、70〜74歳の年齢階級の受給権者数が最も多くなっている。 ・ 国共済では、女性の受給権者が少ないことと、女性において75〜79歳の年齢階級の 受給権者数が最も多くなっているものの、65歳以上の各年齢階級における受給権者数 にあまり差がないのが特徴。
10. 共済組合等の職域加算部分を除いた老齢・退年相当の平均年齢月額(推計)→共済組合等の共済年金には職域加算部分が含まれていることから、これを除いた厚生年金相当部 分の年金額を推計している。 厚生年金計での平均年金月額は15.1万円、男女別では男性16.9万円、女性11.6万円となっている。
11.老齢相当の受給権者の年齢階級別平均年金月額 →旧厚生年金の平均年金月額は、受給権者全体の平均加入期間が伸長するなかで、減少傾向にあるが、その要因として、 @報酬比例部分の給付乗率の引下げ A定額部分の定額単価の引下げ B定額部分の支給開始年齢の引上げ C加給年金の対象者の減少 D年金額改定率※ E特例水準の解消(年金額のマイナス改定) が考えられる。 ※ 平成25(2013)年度以降ではE以外に平成29(2017)年度、令和3(2021)年度、令和4(2022)年度がマイナス改定
12.老齢相当の年金月額階級別受給権者数→基礎年金を含む額で、男性は17〜19万円に、女性は9〜11万円にピークがある。

≪財政収支の現状 (第2章第3節より抜粋)≫
13.令和5(2023)年度の単年度収支状況
→・「運用損益分を除いた単年度収支残」と「運用損益」に分けて分析している。 ・公的年金制度全体でみると、収入面では、保険料収入が41.8兆円、国庫・公経済負担が12.1兆円 等であり、運用損益分を除いた単年度の収入総額は54.4兆円。支出面では、年金給付費が54.1兆円 であり、支出総額は54.5兆円。この結果、運用損益分を除いた単年度収支残は0.1兆円のマイナス。 ・ 運用損益は、時価ベースで53.6兆円のプラス。 ・ これらの結果、公的年金制度全体の時価ベースの年度末積立金は前年度末に比べ53.5兆円増加 し304.0兆円。
14.厚生年金の保険料収入の増減要因の分析→厚生年金の保険料収入の推移、対前年度増減率(%)  参照。
15.国民年金勘定の現年度保険料収入の 増減要因の分析→現年度納付率⇒納付率の上昇が保険料収入を増加させる方向に寄与。

≪財政収支等及び財政指標の実績と将来見通しとの比較(第3章第2、3節より抜粋)≫
16.合計特殊出生率と65歳平均余命 の実績と前提との比較
→・合計特殊出生率について、令和5(2023)年の実績は、前年より0.06ポイント低下し、将 来推計人口(平成29(2017)年推計)※における出生低位の仮定値を下回っている。 ・ 65歳平均余命について、令和5(2023)年の実績は、前年より男女とも0.08年上昇した ものの、男女ともに将来推計人口(平成29(2017)年推計)※における死亡高位の仮定値 を下回っている。
※令和5(2023)年4月に新たな将来推計人口(令和5年推計)が公表されているが、ここでは実績を令和元(2019)年財政検証の基礎と なった平成29(2017)年人口推計における仮定値と比較している。
17.物価上昇率 の実績と前提との比較→令和5(2023)年の実績は前年比3.2%になっており、成長実現ケース、ベースラインケース のいずれの前提も上回っている。
18.実質賃金上昇率 の実績と前提との比較 →令和5(2023)年度の実質賃金上昇率(対物価上昇率でみた賃金上昇率)の実績は、物価 上昇の影響により、財政検証におけるいずれのケースの前提も下回っている。
19.実質的な運用利回り の実績と前提との比較 →令和5(2023)年度の実質的な運用利回り(対名目賃金上昇率でみた運用利回り)の実績は、国 内外の株価の上昇や円安等により、財政検証におけるいずれのケースの前提も上回っている。
20.労働力率 の実績と前提との比較→令和5(2023)年の実績と労働参加が進むケースの令和7(2025)年の推計値を比較すると※、 男性では15〜24歳及び60歳以上、女性では15〜34歳及び60歳以上において、実績が推 計値を上回っている。 ※比較している推計値が実績より2年先のものであることに留意が必要。
21.被保険者数 の実績と将来見通しとの比較→令和5(2023)年度は、いずれのケースにおいても厚生年金計では実績(下図の★印)が将来見通し(棒グラフ)を上回っており、国民年金第1号被保険者では実績が将来見通しを下回っている。
22.受給者数 の実績と将来見通しとの比較→令和5(2023)年度は、いずれのケースにおいても厚生年金計では実績(下図の★印)が将 来見通し(棒グラフ)を下回っており、基礎年金では実績が将来見通しとほぼ同水準である。
23.保険料収入 の実績と将来見通しとの比較→令和5(2023)年度は、厚生年金計ではいずれのケースにおいても実績(下図の★印)が将 来見通し(棒グラフ)を上回っている。国民年金(国民年金勘定)では実績はケースTと ケースVの将来見通しを上回っており、ケースXの将来見通しを下回っている。
24.給付費 の実績と将来見通しとの比較→令和5(2023)年度は、厚生年金計、国民年金(国民年金勘定)【国民年金第1号被保険者及び任 意加入被保険者に係る付加年金等の国民年金独自の給付に係るもの】のいずれも実績(下図の★印)が 将来見通し(棒グラフ)を下回っている。
25.基礎年金拠出金 の実績と将来見通しとの比較→令和5(2023)年度は、厚生年金計では実績(下図の★印)が将来見通し(棒グラフ)を下 回っており、国民年金(国民年金勘定)では実績が将来見通しとほぼ同水準である。
26.積立金 の実績と将来見通しとの比較→・令和5(2023)年度末は、厚生年金計、国民年金(国民年金勘定)のいずれも実績(下図 の★印)が将来見通し(棒グラフ)を上回っている。 ・ 時価評価による変動を平滑化した後※の積立金額(下図の○印、令和2(2020)年度から 算出)についても、令和5(2023)年はいずれも将来見通しを上回っている。 ※ 時価ベースの運用収益と過去の平均収益の差額について過去5年度分を平滑化して積立金評価に反映
27.財政指標 の実績と将来見通しとの比較→・令和5(2023)年度の年金扶養比率は、厚生年金計、基礎年金ともに実績が将来見通しを上回っている。 ・ 令和5(2023)年度の積立比率は、厚生年金計、国民年金(国民年金勘定)ともに実績が将来見通しを上回っている。

≪積立金の乖離の分析と財政状況の評価(第3章第4、5、6節より抜粋)≫
28.積立金の実績と将来見通しの乖離分析の流れ
→平成30・令和元(2019)・令和2(2020)・令和5(2023)年度に係る発生要因の寄与あり。
29.積立金の実績と将来見通しの発生年度ごとの乖離状況 →厚生年金計及び国民年金(国民年金勘定)の令和5(2023)年度末積立金は、実績が将来 見通しを上回っているが、これは、主に令和2(2020)年度、令和3(2021)年度及び令和5 (2023)年度に係る発生要因の寄与計の合計が令和元(2019)年度に係る発生要因のマイナ スの寄与計を上回ってプラスになっていることによる。
30.積立金の乖離分析の結果@(令和5(2023)年度発生分)→令和5(2023)年度に生じた厚生年金計の積立金の乖離(42.37〜43.69兆円)は、名目運用 利回りの乖離(40.65〜40.93兆円)の寄与が、国民年金の積立金の乖離(1.79〜1.82兆円) は、名目運用利回りの乖離(1.81兆円)の寄与が大宗を占めている。
31.積立金の乖離分析の結果A(令和元(2019)年度〜令和5(2023)年度発生分)→令和元(2019)年度〜令和5(2023)年度の通期でみると、厚生年金計及び国民年金の 積立金の乖離(厚年計:92.16〜95.00兆円、国年:3.45〜3.49兆円)は、名目運用利回りの 乖離(厚年計:83.29〜83.56兆円、国年:3.64 〜3.66兆円)の寄与が大宗を占めている。 ・ 厚生年金計の積立金では、被保険者数の乖離(6.76〜8.37兆円)の寄与も大きい。
32.厚生年金の財政状況の評価@→・厚生年金の財政状況の評価は、積立金の実績と「評価の基準となる積立金額(推計値)」 との差を考察することにより行っている。 ここで、「評価の基準となる積立金額」とは、積立金の将来見通しを賃金上昇率及び物価 上昇率の実績と財政検証における前提との乖離に対応する分だけ補正したものである※。 ※報告書286、287ページ参照。 ・ この考察では、 ・公的年金財政の均衡が将来の保険料収入、国庫負担と現在保有する積立金をあわせ た財源の全体と、将来の年金給付の全体で図られていること ・保険料水準が固定された上で、将来の給付費が将来の保険料収入及び積立金等の財 源と均衡するように、給付水準を自動調整する仕組みとなっていること などを踏まえ、財源(積立金及び将来の保険料収入)との対比をすることにより財政状況 の評価をしている。
33.厚生年金の財政状況の評価A→令和5(2023)年度末における厚生年金の財政状況について、財政検証のケースT、ケー スV及びケースX並びに法改正後のケースV及びケースX※で分析を行った結果、積立 金の実績と「評価の基準となる積立金額(推計値)」の差額は財源(積立金及び将来の保 険料収入)との対比でプラス5.0〜5.3%となっている(時価評価による変動を平滑化した場 合にはプラス3.6〜3.9%)。 ※ケースV及びケースXについて令和2(2020)年法改正を反映。
34.公的年金の財政状況の評価→上記別添1の2. 公的年金に係る財政状況の評価、○と同じ。 参照。

次回は新たに「第46回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」資料」からです。

第24回社会保障審議会年金部会 [2025年01月28日(Tue)]
第24回社会保障審議会年金部会(令和6年12月24日)
議事 社会保障審議会年金部会における議論の整理(案)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241224.html
◎参考資料2 年金制度改革に向けた提言(令和6年 12 月 18 日 自由民主党政務調査会 社会保障制度調査会 年金委員会・医療委員会)
世界有数の長寿国であるわが国において、高齢期の生活の基本を支えている公的年金制度が、社会経済の変化に対応した時代に合った制度にしていくこと、また、長期的に安定してその役割を果たし続けられるようにすることは、重要な課題である。 当委員会は、本年7月に厚生労働省から発表された令和6年財政検証結果も踏まえ、被用者保険の適用拡大の関係 15団体からの意見も聴取しながら、公的年金制度の今後の方向性を中心に精力的に議論を進めてきた。今般、政府は以下の諸 点を踏まえて公的年金制度等の改革を進めるよう提言する。
     記
T.働き方やライフスタイルに中立的な社会保障制度の構築
1.被用者保険の適用拡大
→被用者保険の適用拡大は、厚生年金の適用対象となった者にとって、定額の基 礎年金に加えて、報酬比例給付による保障を受けられるようになり、年金給付が 充実するため、老後の所得保障の強化に繋がる政策として重要である。 したがって、いわゆる「106 万円の壁」と言われる賃金要件の撤廃、企業規模 要件(従業員50 人超)の撤廃、常時5人以上の従業員を使用する個人事業所にお ける非適用業種の解消を実現すべきである。 一方で、適用拡大は事業者の負担増加につながることから、当委員会では本年 11 月に関係 15 団体から意見を聴取した。関係団体からは、人材不足に対応する 観点から概ね理解を示す声も多かった一方で十分な準備期間を設けるなど丁寧な 対応を求める声もあった。これを踏まえ、適用拡大に当たっては、十分な準備期 間を確保するとともに、事業主の負担を軽減するために必要な支援策について検 討すべきである。 なお、更なる適用拡大に際しては国民健康保険制度の在り方などに留意しなが ら検討すべきである。
2.いわゆる「年収の壁」への対応→いわゆる「年収の壁」への制度的な対応については、従業員と事業主の合意に 基づいて、任意かつ時限的に事業主が負担割合を増加させて、被保険者の保険料 負担を軽減する特例を設ける提案がある。この特例は、就労調整を考える方の手取り収入の減少を緩和することで、壁を乗り越えて希望に応じて働く環境を整え ることに繋がるメリットがある一方で、労働者の負担の軽減分を事業主が負担す ることになるため、経営体力が弱い中小企業には使いづらく、人材確保の面で不 利になるという指摘がある。したがって、この特例を導入する場合には、事業主 の負担を簡素で公平な仕組みによって軽減することを検討すべきである。
3.在職老齢年金制度→在職老齢年金制度については、高齢者の就業が拡大しており、働き方に中立的 な仕組みとする観点から見直すべきである。一方で、見直しにともなって年金財 政からの支出が増加し、将来世代の給付水準に影響が及ぶ可能性があることから、 将来的な制度の廃止を視野に入れつつ、まずは支給停止の基準額を引き上げるべ きである。
4.子のない 20 代から 50 代までの遺族厚生年金制度の見直し→遺族厚生年金については、男女差を解消する観点から、子のない 20 代から 50 代までの遺族厚生年金について5年の有期給付とする方向性は適当だが、有期給 付化によって影響がある方に十分に配慮するよう求めてきた。これを受けて、現 在の案では、有期給付化に伴う配慮措置として、5年経過後も就労が困難で引き 続き配慮が必要な方には給付を継続する方向性が新たに示されたところであり、 当委員会としてもこの方針で検討すべきである。 引き続き、複雑で分かりづらいと言われる遺族厚生年金の見直しの趣旨につい て国民に丁寧に説明していくとともに、現在の受給者や高齢者、子のある場合に おける遺族厚生年金制度に変更が無いことについても周知していくべきである。
5.標準報酬月額の上限の見直し→標準報酬月額の上限は、負担能力に応じた負担を求める観点から引き上げるべ きである。その際、被保険者にとって保険料負担が増加することのみに注目され ることがないよう、将来の給付が増加することについてもしっかり周知していくべきである。

U.基礎年金の給付水準の向上
6.基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了
→基礎年金については、給付水準を将来にわたって極力維持することが重要であ る。 今夏の財政検証において、成長型経済移行・継続ケースによれば、現行制度に 加え、1の適用拡大を行う場合は将来の所得代替率が 59.3%を確保できることが 確認されている。政府・与党は「成長型経済」への移行を目指し取り組みを進め ているところであり、その移行、継続の実現こそ重要である。 その上で、厚生労働省が提案している基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間の早期終了は、今後の経済が好調に推移しないリスクシナリオが実現する場合 に発動されうる備えとして位置付けられるべきである。この場合の実施に伴う国 庫負担の増加については、安定財源を確保すべきである。また、こうした厚生労 働省案の位置付けの見直しについて、関係各方面から理解が得られるよう丁寧に 説明をつくすべきである。 なお、更なる基礎年金の給付水準の向上を図る観点からは、令和2年年金改正 法の審議における附帯決議で求められた基礎年金加入期間の 45 年への延長も、今 後の政策の選択肢として引き続き検討を続けるべきである。

V その他事項について→○ 公的年金制度や私的年金制度に対する国民の信頼感の向上を図るため、将来 受給できる年金額の見える化をさらに進めるなど国民の目線に立った分かりや すい年金制度の広報を実施していくべきである。 ○ 子に係る加算について、多子世帯の年金受給者の保障を強化する観点から、 第3子以降の子の加算額を、第1子及び第2子に対する額と同額まで引き上げ る等支援を拡充していくべきである。 ○ 私的年金制度については、公的年金制度と相まって老後の所得保障の充実を 図るものであることから、多様な働き方やライフコースに対応した制度設計を 行いながら、より多くの方に利用していただける環境を整備する必要がある。 また、成長と分配の好循環を実現する「資産運用立国」においても私的年金に 期待される役割は大きい。このため、iDeCo の加入可能年齢の上限の引き上げ や、拠出限度額の引き上げ、企業年金の運用の見える化、中小企業の私的年金 活用のための環境整備などの取り組みを行うべきである。

W.今後の課題について 今後の少子高齢化社会に対応し、持続可能な社会保障制度とするためにも日本社会にとって、経済成長は必要不可欠である。年金制度は経済財政の状況と密接 な関係があることから、日本経済を「成長型の新たな経済ステージ」へと移行させていく中で、今後も持続的な賃上げ等により経済成長に繋がる取り組みを続けていくとともに、年金制度においても、その時々の社会経済の状況等を踏まえ不 断の改革を行っていくことが必要である。             (以上)


◎参考資料3 次期年金制度改正に向けた提言(令和6年 12 月6日 公明党年金制度委員 会・厚生労働部会)
公明党はこれまでも、
持続可能で安心できる年金制度の確立に向け、力を 尽くしてきた。 次期年金制度改正に向けて、令和 6年財政検証の結果及び平均寿命・健康寿 命の延伸、家族構成やライフスタイルの多様化、女性・高齢者の就業の拡大、 今後見込まれる最低賃金の上昇・持続的な賃上げといった社会経済の変化を 踏まえ、働き方に中立的な制度を目指すともに、ライフスタイル等の多様化 を年金制度に反映しつつ、高齢期の経済基盤の安定や所得保障・再分配機能 の強化を図るべきである。 そのうえで、物価高が続く中で、多くの国民が「手取りの増加」を強く望 んでいることを十分考慮し、下記の要望をはじめ、誰もが安心できる年金制 度の確立に取り組まれるよう強く要請する。   記 ↓
○被用者保険の適用拡大、いわゆる「年収の壁への対応」について→・労働者が働き方にかかわらず、ふさわしい社会保障を享受できる環境を整 えるため、被用者保険の更なる適用拡大を実現すること。その際には、事業所における事務負担や経営への影響、保険者の財政や運営への影響等に留意し、必要な配慮措置や支援策の在り方について検討を行うこと。 ・特に、配偶者の扶養の範囲内(年収 130 万円未満)で働いている方や、事業主に新たに保険料負担が発生することを踏まえ、被用者保険加入のメリットを周知するとともに、十分な施行期間を確保するなど、中小企業や個 人事業所でも円滑に導入が進むよう、丁寧な対応を行うこと。 ・また、働き控えの要因と指摘されている「130 万円」などの「年収の壁」に ついて、被用者として週 20 時間以上働いている方が被用者保険に加入しな がら、誰もが壁を意識せずに働くことが可能となるような制度設計を行う こと。
○在職老齢年金制度の見直しについて→・働き方に中立的な仕組みを目指し、また、一部の業界で高齢化や人手不足 の状況が見られる中、働く意欲のある高齢者の就業を促進するため、在職 老齢年金の見直しを進めること。
○所得保障・再分配機能の強化について→・標準報酬月額上限を引き上げ、負担能力に応じた負担を求めることで、対 象者の厚生年金の給付水準を引き上げるとともに、所得再分配効果により 低年金者を含む全体の給付水準を底上げすること。 ・また、基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整を早期終了(調整期間の一致)し、所得代替率の低下を防ぐとともに、基礎年金の給付水準の 底上げに取り組むこと。あわせて、将来の安定的な財源確保についても検 討すること。
○私的年金制度の見直しについて→・iDeCo の加入可能年齢について、長期的な老後資産の形成を促進するとともに、働き方に中立的かつ加入者にとってシンプルで分かりやすい制度とするため、60 歳以上 70 歳未満の iDeCo を活用した老後の資産形成を継続 しようとする者に iDeCo の加入・継続拠出を認めること。 ・企業年金の実施主体や加入者等が企業年金の運営を改善し、企業年金の加 入者の利益となるよう、厚生労働省が情報を集約し、企業年金の運用等の 情報開示(見える化)を行うこと。 ・中小事業主の私的年金の活用を促進するため、制度の整備を行うこと。
○その他改革すべき事項等について→・女性の就業の進展、共働き世帯の増加等の社会経済状況の変化を踏まえて、 高齢期より前の遺族厚生年金について、支給要件や加算制度といった制度上の男女差を解消すること。その際、給付期間が短縮される方などが発生する場合は、時間をかけて段階的に移行するとともに、就労が困難な事情にある方にも十分に配慮した制度とすること。 ・また、離婚や再婚といった子どもを取り巻くライフスタイルの多様化、子ども・子育てを経済的に支援する観点から、親と同居する子に対して新たに遺族基礎年金を支給することや、子を有する年金受給者の子の加算の充 実、子の加算の充実に伴う配偶者の加給年金の見直しを行うこと。             以上


◎参考資料4 年金広報活動の ISSA Good Practice Award 特別優秀賞の受賞について(報告)
○年金広報活動のISSA Good Practice Award 特別優秀賞の受賞について
→厚生労働省の年金広報の取組が、国際社会保障協会(ISSA)のアジア・太平洋地域社会保障フォーラムにおいて、 ISSA Good Practice Award Asia and the Pacific 2024の特別優秀賞と優秀賞を受賞した。アワードには、アジア太平 洋地域21か国・地域の34の政府機関から187件の応募があり、その中から、厚生労働省年金局の「公的年金シミュ レーター」が特別優秀賞、「社会保険適用拡大特設サイト」が優秀賞を受賞。厚生労働省の年金広報活動は、2021年 に若者向け年金広報に関して初めてISSA Good Practice Award特別優秀賞を受賞し、今回は二度目の受賞。

○受賞の対象となった広報活動について→今回のアワードでは、「公的年金シミュレーター」や、社会保険適用拡大の周知のための特設サイト、人気インフル エンサー「QuizKnock」と共同で制作した年金クイズ動画や教材などのコンテンツ及びこれらを活用した周知広報の 取組が高く評価された。


◎年金部会資料       慶應義塾大学 駒村康平
1.出生年別の比較と特徴
(1)1974 年生まれ(団塊ジュニア世代、氷河期世代、ロストジェネレーション)の特徴

1)人口が多い、未婚率が高い(子どもの支援を受ける可能性が低い)、現役期間に極めて不利な経済状況、を経験した。 参考表 1,表 2,表 3、表 4
2)年金給付額は、現役時代におけるキャリア・収入によって決まる(積分)。瑕疵効果(新卒時点の不利さ=微分)が現在、かなり解消され たからといって、その間に形成された年金額((期額額)が改善されるわけではない。(このほか金融資産形成((iDeCo、NISA)、持ち家状況等も勘案する必要がある。) 参考:清家篤「厚生年金に加入していたとしても、現役時代の平均給料は高くはありません。貧しい高齢者となる可能性も高いのです。」「2040 年問題に備える」↓
https://www.jamp.gr.jp/wp-content/uploads/2019/12/128_07.pdf
3)1974 年以降生まれの世代の年金額が 1954 年生まれの年金額と遜色ないように見えるのは、年金の加入期間が 10%近く伸び、厚生年金の 給付額が積み上がるためである。(基礎年金は「45 年化」が見送られたためそうした効果がない)
4)年金額の世代別分布シミュレーションは、将来の労働力率の上昇トレンドと整合性があるように行われたが、実際に 1974 年生まれ世代 (団塊ジュニア世代)以降の多くが 60 歳、65 歳以降も就業を継続できるかは、親世代(団塊世代(現在 75 歳以上、2040 年には 90 代になる。2020 年の最頻死亡年齢は男性 89 歳、女性 93 歳、今後の寿命の伸長も考慮)の介護負担(介護離職)によるところがある。介護・労働 政策の強化が前提になる。
表 1 過去 30 年ケース  
出典:「令和 6 年年金財政検証」、日本の将来人口推計(令和 5 年)より作成
参考表 1
表 1-2 初職が正規雇用だった割合
表 1-3 最初の勤め先が従業員数 300 人以上の大企業だった割合 
出所:社研パネル調査より筆者作成
出典:近藤絢子(2024)『就職氷河期世代―データで読み解く所得・家族形成・格差』中公新書
表 1-4 初職を 3 年以内に離職した割合 出所:社研パネル調査より筆者作成
出典:近藤絢子(2024)『就職氷河期世代―データで読み解く所得・家族形成・格差』中公新書


2.既裁定の基礎年金額の見通し。(月額 万円 物価で割引済み)「過去 30 年ケース」
出典:「令和 6 年年金財政検証」よる作成

3.90 年代前半そしてそれ以降の世代が経験した社会経済状況の責任と帰結
1)バブル崩壊にともなう急激な景気後退のなかでの就職活動、就業構造の変化(非正規労働者の増加)を経験した団塊ジュニア世代(1971 年から 1974 年生まれ)、氷河期世代((=1993 年に大学を卒業から 2005 年に高校を卒業)、失われた((ロストジェネレーション)世代((1972- 1982 年生まれ)に対して適切・十分な政策を行ってきたか?
2)「失われた世代等(不利な期間を長く経験した世代)」の老後」に対する対応をしなくていいのか? 「不利な世代」に対する社会の責任は? バブル崩壊以降の雇用システムの急激な変更とその帰結に関する政・労・使の責任は?

@ 政府の責任(戸苅利和(元厚労事務次官)) 「90 年代半ばの当時は非常に厳しい雇用情勢になってきて、何らかの手を打たないと労働市場に大量に失業者が発生してしまうのではな いかと思った。不幸な場合にはずっと就職できずに失業状態が延々と続いてしまうことになるということを懸念しました」 その背景にあったのが1990年代後半からの混沌とした社会情勢。国際競争が激しくなる一方で、国内ではバブル崩壊や証券会社の経営 破綻などの金融危機、さらにはアジア通貨危機も発生し、失業率はそれまでの2%程度から5%近くへ上昇した。時代はいわゆる就職氷河期 に突入し、団塊ジュニア世代がこれまでのような就職活動ができなくなったことが危機感を募らせたきっかけだったと振り返る。 経済が停滞するなかで、政府は規制緩和・市場主義路線への転換で、企業の競争力を高め、個人の自立を求めるようになり、労働分野でも 職業紹介や派遣労働の自由化を求める声が出始めていたという。 (「労働者保護を重視する労働省内では反対の声は根強かったが、市場では違法派遣≠ェ横行する実態もあり、現実と制度の乖離が出始め ていた」、と語る。 高梨昌(信州大学名誉教授) 「規制緩和の流れの中で行われたことだと思うのですね。その結論の見通しが甘かったことは間違いない」
A 労働組合の責任(久川博彦(元)連合労働対策局長)) 「当時の連合として重要視したのは雇用をいかに守るか、完全失業率を抑えていくかでしたが、基本的に我々は、正規の安定的な雇用を企業 に求めていて、その軸については変わらなかった。使い勝手のいい労働者がどんどん生まれていくことに歯止めをかけたいという思いが強か った」、「能力開発を含めて非正規の問題は大事と思って議論はあったが、運動の優先順位は高くなかった。労使ともに見過ごしていた……」
B 経済界の責任(成瀬健生(元日経連常務理事)) (「非正規社 が、日経連の報告書を出してから、急速に何か増えた感じがしまして、フォローアップの調査をやったんですけども、毎年毎 年、何かすごく増えていく。本当に予想外。最初は、家庭の主婦とか学生アルバイトとかいろんな形の非正規を入れても、15%かそこいらだ ったのが、20%になり 30%になり、それも約 40%までいきましたからね。これはもう我々もちょっと身震いがしました。こんなんでいいのかなと……」
出典:NHK スペシャル取材班(2023)『中流危機』講談社現代新書(pp83-100)

4.社会政策(=不条理をなるべく小さくして、荒んだ社会を防ぎ、社会の安定を確保する)の視点から、(「所得保障」としての年金制度を評 価すべきである。
1)基礎年金(老齢、障害、遺族年金)の実質給付水準・額は低下する。
2)基礎年金は所得保障制度の中核的な役割を果たしている。
3)年金制度は改革してから効果が出るの時間を要する。
4)基礎年金へのマクロ経済スライドの長期化は、デフレの長期化に対応できなかった年金制度に課題がある。

5)団塊ジュニア・氷河期世代・失われた世代(ロストジェネレーション)は人口が多いため、社会インパクトも大きい。
6)急激な社会経済構造の変化のなかで、支援が不十分で長期にわたって不利な状況を経験した世代の存在とその老後問題に、社会全体が関 心と責任を持つ必要がある。(世代効果、時代効果、加齢効果を分類して、社会全体として対応すべき問題を抽出する必要がある。)
7)社会経済構造変化(+年金制度の課題)によって著しく不利な期間を経験した世代だけに、コストを負担させるのではなく、そのコスト を多くの世代で分担する必要性がある。 ⇒国庫負担と積立金を考慮した基礎年金拠出金、2040 年以前の受給世代(バブル崩壊(いずれの世代も影響を受けているが)の影響が相対的に小さい世代)の給付水準の調整(12 月 10 日資料 2,p11 の世代間の調整部分)で、2040 年以降受給世代の基礎年金の給付水準の低下 を抑えることは、社会政策上、正当化できる。
8)未婚率の上昇により単身で老後を迎える人が増えてくる世代の不安への想像力の重要性。この問題は、3 号被保険者制度の評価・見直しと 高齢者向け最低保障手当(=年金生活者支援給付金)の意義に関わる。特に今後増大が予想される高齢単身女性の貧困問題とその対応準備に ついては、厚労省全体の課題として十分な調査と関連制度における対応が必要。
参考  わくわくシニアシング 第二回中高年シングル女性の生活状況実態調査↓
https://drive.google.com/file/d/1UI7bDj4tEPv4fArYRtiFBDcpxK7J_vqE/view?usp=drive_link

次回は新たに「第 79 回 労働政策審議会雇用環境・均等分科会」からです。

第24回社会保障審議会年金部会 [2025年01月27日(Mon)]
第24回社会保障審議会年金部会(令和6年12月24日)
議事 社会保障審議会年金部会における議論の整理(案)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241224.html
◎参考資料1 年金制度改正の検討事項
≪令和6年財政検証について≫
○令和6(2024)年財政検証の諸前提→<社会・経済状況に関する諸前提> 財政検証においては、将来の社会・経済状況について一定の前提を置く必要があるが、将来は不確実であるため、幅広い複数のケース を設定している。財政検証の結果についても、複数のケースを参照し幅広く解釈する必要がある。 ※ なお、現行制度に基づく財政検証は、令和6年10月に施行される適用拡大(企業規模要件100人超→50人超)等の影響を織り込んでいる。
⇒<人口の前提><労働力の前提><経済の前提> 参照。

○給付水準の調整終了年度と最終的な所得代替率の見通し(令和6(2024)年財政検証) − 幅広い複数ケースの経済前提における見通し −→足下の所得代替率※(2024年度)61.2%(比例・基礎)。所得代替率(61.2%) =(夫婦2人の基礎年金(13.4) + 夫の厚生年金(9.4))/ 現役男子の平均手取り収入額(37万円) 参照。将来の所得代替率もあり。参照。
○所得代替率及びモデル年金の将来見通し (令和6(2024)年財政検証)
→成長型経済移行・継続ケース(実質賃金上昇率(対物価)1.5%)⇒所得代替率 参照。
○オプション試算の内容↓
1.被用者保険の更なる適用拡大→ @:被用者保険の適用対象となる企業規模要件の廃止と5人以上個人事業所に係る非適用業種の解消を行う場合 (約90万人) A:@に加え、短時間労働者の賃金要件の撤廃又は最低賃金の引上げにより同等の効果が得られる場合 (約200万人) B:Aに加え、 5人未満の個人事業所も適用事業所とする場合 (約270万人) C:所定労働時間が週10時間以上の全ての被用者を適用する場合 (約860万人)
2.基礎年金の拠出期間延長・給付増額→ 基礎年金の保険料拠出期間を現行の40年(20〜59歳)から45年(20〜64歳)に延長し、拠出期間が伸びた分に合わせて 基礎年金が増額する仕組みとした場合
3.マクロ経済スライドの調整期間の一致→ 基礎年金(1階)と報酬比例部分(2階)に係るマクロ経済スライドの調整期間を一致させた場合
4.在職老齢年金制度→ 就労し、一定以上の賃金を得ている65歳以上の老齢厚生年金受給者を対象に、当該老齢厚生年金の一部または全部の 支給を停止する仕組み(在職老齢年金制度)の見直しを行った場合
5.標準報酬月額の上限→ 厚生年金の標準報酬月額の上限(現行65万円)の見直しを行った場合

○(参考) 被用者保険の更なる適用拡大を行った場合の適用拡大対象者数→雇用者全体 (2023年度時点) 5,740万人 ※70歳以上を除く
1.被用者保険の更なる適用拡大を行った場合
2.基礎年金の拠出期間延長・給付増額を行った場合
(参考) 基礎年金の拠出期間延長・給付増額のイメージと試算の前提
3.マクロ経済スライドの調整期間の一致を行った場合
4.65歳以上の在職老齢年金の仕組みを撤廃した場合
5.標準報酬月額の上限の見直しを行った場合
○年金額の将来見通し(令和6(2024)年財政検証 年金額分布推計)→雇用者全体 (2023年度時点) 5,740万人 ※70歳以上を除く⇒年金額(物価上昇率で2024年度に割り戻した実質額)は、実質賃金上昇と、労働参加の進展による厚生年金の加入期間の延伸が上昇要因とな る一方、マクロ経済スライド調整が低下要因となる。成長型経済移行・継続ケースでは、実質賃金上昇率が高いことからマクロ経済スライド調整 期間においてもモデル年金、平均年金額は物価の伸びを上回って上昇し、低年金も減少していく見通し。
年金額の将来見通し(令和6(2024)年財政検証 年金額分布推計)→過去30年投影ケース(実質賃金上昇率(対物価)0.5%)⇒年金額(物価上昇率で2024年度に割り戻した実質額)は、実質賃金上昇と、労働参加の進展による厚生年金の加入期間の延伸が上昇要因とな る一方、マクロ経済スライド調整が低下要因となる。過去30年投影ケースでは、マクロ経済スライド調整期間におけるモデル年金(特に基礎年 金)は物価の伸びを下回るものの、女性の平均年金額は、労働参加の進展に伴う厚生年金の加入期間の延長により物価の伸びを上回って上 昇し、概ね賃金と同等の伸びとなる見通し。低年金も減少していく見通し。

≪令和6(2 024)年財政検証結果を踏まえた今後の 年金制度改正の議論について≫
○令和6(2024)年財政検証結果を踏まえた今後の年金制度改正の議論について
→社会経済の変化、令和6(2024)年財政検証結果⇒見直しの基本的な考え方、対応の方向性を議論。

≪被用者保険の適用拡大≫
○短時間労働者及び非適用業種に対する被用者保険の適用要件の考え方
→@〜➃、常時5人以上の従業員を使用する法定17業種の個人事業所は適用事業所  参照。
○短時間労働者及び個人事業所の被用者保険の適用範囲の見直しの方向性案→労働時間要件、賃金要件、学生除外要件、企業規模要件、個人事業所については?   参照。
○都道府県別週2 0〜3 0時間就業する非正規職員と最低賃金→ 参照。
○短時間労働者の企業規模要件を撤廃した場合のイメージ→【現行制度】⇒労使合意に基づく 任意の適用。【企業規模要件を撤廃した場合】⇒企業規模要件を撤廃した場合に 対象となる者。
○個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の見直しイメージ→参照のこと。
○適用拡大に係る配慮措置・支援策について→・「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」議論の取りまとめを踏まえると、被用者保険の適用拡大 の対象となる事業所について、事務負担の増加や経営への影響等に配慮しつつ、必要な支援策を講じる等、円滑な適用を進められる 環境整備を行うことが必要。 ・具体的には、@準備期間を十分に確保するとともに、A積極的な周知・広報、B事務手続に関する支援や、C経営に関する支援に 総合的に取り組むことを検討する。
○第2 0回年金部会における賃金要件に対するご意見と見直しの方向性案→見直しの方向性案⇒就業調整の基準として意識されていること、最低賃金の引上げに伴い労働時間要件を満たせば本要件を満たす地域や事業所が増加 していることを踏まえ、本要件を撤廃することとしてはどうか。、最低賃金の動向を踏まえつつ、本要件撤廃の時期に配慮してはど うか。また、最低賃金の減額の特例の対象となる賃金が月額8.8万円未満の短時間労働者については、希望する場合に、事業主に 申し出ることで任意に被用者保険に加入できる仕組みとしてはどうか。
○短時間労働者に係る被用者保険の適用要件の見直し案のイメージ→<見直し後>⇒就業調整の基準となる 金額がなくなることで • 年収を意識する必要がなくなる • 賃上げに伴う就業調 整が生じなくなる
○被用者保険の適用拡大の進め方のイメージ→「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」及び年金部会の議論を踏まえ、以下のような進 め方としてはどうか。 <見直しの方向性> <進め方の考え方>⇒非適用業種の解消  参照。

≪いわゆる「年収の壁」と第3号被保険者制度≫
○いわゆる「年収の壁」への対応策の考え方について
→・いわゆる「年収の壁」については、第3号被保険者が働いて収入が増加すると社会保険料が発生することによって、手取りが減少することを避けるため、就業調整が行われ、希望どおり働くことが阻害されているとの指摘。 ・ いわゆる「年収の壁」を意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げに引き 続き取り組む。 ・ 被用者保険の適用拡大の推進に向けた広範かつ継続的な広報・啓発活動を展開する。
○保険料負担割合を変更できる特例についての論点↓
1.労使折半の原則についての論点
→ 健康保険法における負担割合変更とは異なり、組合自治の観点が無いことや、給付の性格として年金では保険料負担が給付に一定の比率で反映さ れるものであること、使用者の保険料拠出による受益の程度の差異等に鑑み、仮に年金制度において保険料負担割合を変更できる制度を導入するとしても、以下のように、時限措置とすることや対象者を被用者保険の適用に伴う「壁」を意識する可能性のある者に限定することにより、引き続き 労使折半を原則としてはどうか。 ・ 当該特例が例外的位置付けであることに加え、社会経済の変化によっては「壁」そのものの認識が変わりうることから、被用者保険の適用拡大の施行状況も勘案した時限措置とする。 ・ 特例の対象を外れるまで長く働く場合も含めて保険料負担による手取りの減少をなだらかにする観点から、保険料負担割合を変更できる特例の 対象標準報酬月額は12.6万円以下とする。
2. 中小企業への配慮についての論点→企業規模によらず、利用しやすくなるようにする観点からも、まずは、特例の対象を被用者保険の適用に伴う「壁」を意識する可能性のある者に 限定してはどうか(対象範囲は1のとおり)。また、導入に向けた検討を進める場合は、企業側の保険料負担軽減についても今後検討してはどうか。
3.賞与を特例の対象とすることについての論点→ 被用者保険の適用に伴い、賞与で手取り減が発生してしまうとそれ自体も社会保険加入を躊躇する要因にはなりうることや、現在の キャリアアップ助成金等の助成措置も対象に賞与を含めていること、健康保険における現行制度も賞与を対象に含めており事務負担の観 点から、特例対象者の賞与についても対象とできることとしてはどうか。 ※ 特例対象者は、標準報酬月額12.6万円以下の者を想定。
4.同一等級に属する者の負担割合をどうするかについての論点→同一の等級に属する者同士の保険料負担の公平性を確保し、企業において導入しやすくする観点から、本特例を利用する事業所内で、同一の等級に属する者同士の本人負担割合を揃えることとしつつ、等級ごとの具体的な割合は、事業所単位で労使合意に基づき任意に設定可能としてはどうか。

○就業調整に対応した保険料負担割合を任意で変更できる特例(案)→負担割合の特例については様々な意見があり整理する必要があるが、仮に導入する場合は以下のようなものが考えられるのではないか。【見直しの方向性】⇒・ 現行制度では、被用者保険の保険料は原則として労使折半であるが、厚生年金保険法においては健康保険法のような保険料の負担割合の特例に関する規定はない。被用者保険の適用に伴う保険料負担の発生・手取り収入の減少を回避するために就業調整を行う層に対し、健康保険組合の特例を参考に、被用者保険(厚生年金・健康保険)において、任意で従業員と事業主との合意に基づき、 事業主が被保険者の保険料負担を軽減し、事業主負担の割合を増加させることを認める特例を設けてはどうか。 ・ 労使折半の原則との関係で例外的な位置づけであること等を踏まえて、時限措置とすることとしてはどうか。 ※ 検討に当たっては、より広く活用されるような環境整備が必要。 @ 給付について ・ 本特例を利用しても保険料負担の総額は変わらないため、本特例の適用を受ける者の給付(基礎年金・報酬比例部分)は現行通り。 A 保険料負担について ・ 本特例を利用した場合、労使の判断で、被保険者本人の保険料負担を軽減し、被用者保険の適用に伴う手取り収入の減少を軽減できる。 ただし、健康保険と同様、事業主が保険料全額を負担し、被保険者負担をなくすことは認めない。 ※ 健康保険法(健康保険組合の保険料の負担割合の特例)において、事業主と被保険者とが合意の上、健康保険料の負担割合を被保 険者の利益になるように変更することが認められている。 ※ 健康保険は被保険者間の相互扶助に基づく制度であるため、健康保険組合の特例においても、受益者である被保険者本人の負担をなくすこと(労働者0%・事業主100%)は認められていない。

○第3号被保険者制度に係る現状と検討にあたっての論点→第3号被保険者制度の検討にあたっての論点⇒これまで被用者保険の適用拡大を進めてきており、今回の更なる被用者保険の適用拡大や「年収の壁」への対応により、第3号 被保険者制度が更に縮小の方向に向かっていくこととなるが、それでもなお残る第3号被保険者についての制度の在り方や今後 のステップをどのように考えるか。
○(参考)第 2 0 回年金部会における主なご意見(第3号被保険者)↓
【第3号被保険者制度の在り方】
→4意見あり。・ 第3号被保険者制度について、将来的な廃止を打ち出すべき。一方で、本人の疾病や育児、介護などで働けない人も一 定数いることを踏まえ、仕事と治療の両立支援や、子ども・子育て支援の充実、在宅介護サービスの充実といった第3号 被保険者にとどまらない支援策も必要であり、適用拡大の意義などとともに、丁寧な周知・広報が必要。
【今後の検討の進め方】→9意見あり。・ 1941年の被用者年金創設のときからずっと賃金比例の保険料を払ってきた男性は、1階も2階も全部、自分のものだと 思っていた年金給付がいつの間にか半分になっただけの話であることを理解いただくため、配偶者が第3号であるときの 共同負担規定は離婚時だけでなく、平時でも徹底して年金定期便にも反映させ、男性が抱いている第3号はお得だという 意識の壁を崩していくべき。
○いわゆる「106万円の壁」を意識している第3号被保険者の推計→・週所定労働時間が15時間以上であって、いわゆる「106万円の壁」を意識している可能性がある第3号被保険者は、企業規模100人超で約50万人と見込まれ、さらに今年10月の50人超への拡大で新たに約15万人が加わって、 合計で約65万人と推計される。 ・ この約65万人のうちには、就業調整を行わず厚生年金の適用を希望する方や、たまたま年収がこの水準にとど まっている方がおり、手取り収入の減少を回避して就業調整する方は、さらに少ないことが見込まれる。

≪在職老齢年金制度の見直し≫
○在職老齢年金制度の概要
→・在職老齢年金制度とは、厚生年金の適用事業所で就労し、一定以上の賃金を得ている60歳以上の厚生年金受給者 を対象に、原則として被保険者として保険料負担を求めるとともに、年金支給を停止する仕組み。 ・ 65歳以上の在職している年金受給権者の16%が支給停止の対象となっている。
○高齢者の就業に関する業界の声(在職老齢年金制度関係)→多くの産業に人手不足が生じ、就業者も高齢化していく中、在職老齢年金制度に関心を有する一部の業界へ同制度の影響を聞いたところ『人材確 保や技能継承等の観点から、高齢者活躍の重要性がより一層高まっているが、在職老齢年金制度を意識した就業調整が存在しており、今後、高齢者 の賃金も上昇していく傾向にある。高齢者就業が十分に進まないと、サービスや製品の供給に支障が出かねない』といった旨の声も寄せられた。⇒【スーパーマーケット】【タクシー】【製造業(鋳造)】【製造業(家具)】【製造業(自動車部品)】 参照。
○在職老齢年金制度の見直しの方向性→・在職老齢年金制度が高齢者の就業意欲を削ぎ、さらなる労働参加を妨げている例も存在していることを踏まえ、高齢者の活躍を後押しし、できるだ け就業を抑制しない、働き方に中立的な仕組みとする観点から、在職老齢年金制度の見直しを検討することとしてはどうか。・ 在職老齢年金制度を撤廃した場合は将来世代の給付水準が低下するため、現行制度を維持すべきといった意見もある。このため、在職老齢年金制度 を撤廃する案に加え、基準額を引上げる案を検討することとしてはどうか。

≪標準報酬月額の上限の見直し≫
○厚生年金保険・健康保険の標準報酬月額の等級表
→・厚生年金保険法において、標準報酬月額は全部で32等級あり、下限は8.8万円、上限は65万円となっている(第32級は、令和2年9月1日に追加)。 ・ 健康保険法・船員保険法において、標準報酬月額は全部で50等級あり、下限は5.8万円、上限は139万円となっている。(第48〜50級は、平成28年4月1日に追加)
○標準報酬月額の上限見直し(案)→標準報酬の上限見直しについては、以下の案を検討してはどうか。 参照のこと。

≪基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了≫
○基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了
→継続的な賃金や物価の上昇が想定される中、現行の年金制度はマクロ経済スライドによる調整(少子高齢化が進む 中でも、持続可能性を確保する仕組み)により、賃金や物価の伸びより年金額の伸びが抑えられている。 年金制度の持続可能性を確保しつつ、マクロ経済スライドを公的年金全体で早期終了した場合、年金額は賃金・ 物価に連動して上昇するようになる。
○基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了(調整期間の一致)を行った場合→ 【過去30年投影ケース】 参照。
○基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了による将来の給付水準の上昇効果→・基礎(1階)の水準上昇に伴う国庫負担の増加で給付が純増するとともに、 ・ 比例(2階)の給付調整が進むことで足下の受給世代の比例(2階)の財源(@)が将来の受給世代の 基礎(1階)の給付(A)に充てられ、世代間の財源移転も行われる。これらの効果により、将来の給付水準が上昇。
○GPIFの実質運用利回り(対物価)のバックテスト→GPIFの実質運用利回り(対物価)の10年移動平均の分布の上位80%タイル(※1)は、バックテストの方が実績 よりも+0.2%高い。 ※1 令和6年財政検証の過去30年投影ケースにおける実質運用利回り(対物価)の仮定。 (参考)仮に運用利回りが+0.2%改善すると、マクロ経済スライドの給付調整は更に3年程度早く終了すると見込まれる(※2) 。 ※2 過去30年投影ケースで基礎年金の給付調整の早期終了を前提とした場合。
○基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了(調整期間の一致)について(案)→参照。
○厚生年金の積立金の充て方 (基礎年金(1階)と報酬比例(2階)の配分)→・厚生年金の保険料(18.3%)には基礎年金(1階)分も含まれるため、厚生年金の保険料や積立金は、報酬比例(2階)だけでなく、 基礎年金(1階)の給付にも充てられるもの。 ・基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整を早期終了させると、厚生年金の積立金を基礎年金(1階)により多く活用することとな り、基礎年金(1階)の給付水準上昇に伴う国庫負担の増も相まって、将来的には99.9%の方の給付水準が上昇する。
○基礎年金の財政構造の変化(現行制度・基礎年金の給付調整の早期終了)→・基礎年金の給付調整の早期終了(調整期間の一致)により、厚年積立金を1階に重点活用(+65兆円)。 このうち、拠出金按分率の変化分は7兆円。 ・加えて、国庫負担の増により財源の総額が増加し、ほぼ全ての厚生年金受給者で2階も含めた給付水準が上昇。
○基礎年金の財政構造の変化(適用拡大A・基礎年金の給付調整の早期終了)適用拡大A:企業規模要件の撤廃+5人以上個人事業所の非適用業種の解消+賃金要件の撤廃又は最低賃金の引き上げ(対象者200万人)→基礎年金の給付調整の早期終了(調整期間の一致)により1階に重点活用される厚年積立金(53兆円)のうち、拠出金按分率の変化分は5兆円。 ・この5兆円は、全て1号被保険者の中の被用者分に充当される。
○【参考】第1号被保険者の就業状況→第1号被保険者のうち自営業の割合は低下傾向。2000年代以降、被用者や無職より少ない。
○報酬比例部分(2階)の給付調整の継続について(過去30年投影ケースの場合)→参照。
○報酬比例部分(2階)の給付調整の継続について(成長型経済移行・継続ケースの場合)→・成長型経済移行・継続ケースでは、基礎年金の給付調整の早期終了により、基礎(1階)、比例(2階)ともに足元から調整が終了するため、 全ての世代の全受給者において、現行制度と比べ給付水準が上昇する。 ・特に、1972年度生まれが受給開始する2037年度以降の給付水準の上昇幅は大きく、就職氷河期世代以後の世代(特に低年金者)に効果 が大きい。
○社会経済状況等の改善に伴う更なる早期終了→労働参加の進展や運用利回りの改善など、社会経済状況が良くなれば、マクロ経済スライドによる給付調整は現在の見通し よりも早期に終了できる可能性がある。
○報酬比例部分(2階)の給付調整の継続による年金額改定への影響→基礎年金の給付調整の早期終了に伴い報酬比例部分(2階)の給付調整が継続することによる年金額改定への影響を、 令和6年度の改定に当てはめてみてみると、モデル年金(2人分)で月額370円程度、比例(2階)の給付が高い方(1人 分)で月額360円程度、比例(2階)の給付が低い方(1人分)で月額40円程度、年金額の伸びが抑えられることになる。
○基礎年金の給付調整の早期終了に伴う年金額改定への影響(モデル年金の場合) 参照。
○基礎年金の給付調整の早期終了に伴う年金額改定への影響(比例(2階)の給付が高い方の場合) 参照。
○基礎年金の給付調整の早期終了に伴う年金額改定への影響(比例(2階)の給付が低い方の場合) 参照。
○基礎年金の給付調整の早期終了による年金受給総額への影響 (機械的な計算)→基礎年金の給付調整の早期終了による個々の受給者の年金額への影響は、世代や受給期間、年金額(報酬比例部分(2階)と基礎年金(1階) の割合)により異なることに加え、今後の社会経済状況により大きく変わり得るものであり、幅をもってみる必要。 ※ 令和6年財政検証の賃金上昇率、マクロ経済スライド調整率を前提として毎年の年金改定額への影響をシミュレーションし、それを機械的に一定期間分累積したもの。 実際には、社会経済状況等によって変わり得る。
○基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了による将来の給付水準の上昇効果 参照。
○基礎年金の給付調整の早期終了による国庫負担の見通しの変化(現行制度との比較)
○基礎年金の給付調整の早期終了による国庫負担の見通しの変化(適用拡大Aとの比較)

≪高齢期より前の遺族厚生年金の見直し等≫
○遺族厚生年金制度の見直しのポイント→見直しの方向性
⇒・ 男女差の解消:40歳※未満の子のない配偶者には原則5年の有期給付。 ・配慮が必要な方には65歳まで給付を継続。 配慮措置の導入⇒・ 現行の遺族厚生年金額よりも有期給付加算で年金額を増額。・婚姻期間中の厚生年金加入記録を分割することにより遺族の老齢年金を充実。・収入にかかわらず受給可能に。・現在の受給者や高齢の方、18歳未満の子のある配偶者には現在の給付を継続
○遺族厚生年金制度の見直しのポイント@ 男女差の解消 参照。
○遺族厚生年金制度の見直しのポイントA 改正のイメージ  参照。
○遺族厚生年金制度の見直し 現行制度の給付内容が維持される者→参照。
○継続給付の支給額の調整について→参照。
○親と同居する子に対する遺族基礎年金の支給停止規定の見直し→参照。

年金制度における子に係る加算等≫
○年金制度における子や配偶者に係る加算の現状
→・公的年金制度においては、子や配偶者のいる世帯に対して、生活保障を目的としてその扶養の実態に着目し、子 や配偶者に係る加算を行っている。子に係る加算としては、障害年金・遺族年金ではそれぞれ障害基礎年金・遺族 基礎年金の子に係る加算、老齢年金では老齢厚生年金(加給年金)として支給額を加算している。 ・ 子に係る加算の支給額は、第1子・第2子が234,800円、第3子以降は78,300円とされており、第3子以降への 加算額が第1子・第2子に比べて少ない。(※金額は令和6年度価格)
○年金制度における子に係る加算の見直し→視点@ 多子世帯への支援の強化(第3子以降の加算額を第1子・第2子と同額化)。視点A 子に係る加算のさらなる拡充→・子に係る加算額(234,800円(令和6年度価格))の引上げ(※) ・老齢基礎年金、障害厚生年金及び遺族厚生年金について、新たに子に係る加算の対象に追加。
○年金制度における子に係る加算について(全体像)→子に係る加算を、厚生年金・基礎年金のいずれにおいても年金の種別に拠らない共通の制度※とし、子の出生順 位にかかわらず、一律の金額を加算してはどうか。 (※なお、厚生年金を優先する併給調整を行う。)
○配偶者加給年金(老齢厚生年金)の主な制度改正とその考え方について→・ 老齢厚生年金・障害厚生年金の受給権発生時等に生計を維持する配偶者・子がいる場合に、その扶養の実態に着目し、当該 年金給付の額に加給年金額を加算する。
・ 女性の就業率の向上に伴う共働き世帯の増加など社会状況の変化等を踏まえ、扶養する年下の配偶者がいる場合にのみ支給される配偶者に係る加算の役割は縮小していくと考えられることから、現在受給している者への支給額は維持した上で、将来 新たに受給権を得る者に限って支給額について見直すことを検討してはどうか。
(※)65歳前に配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間240月以上)を受給している場合には、受給権者の配偶者加給年金は支給停止されるが、令和12 (2030)年度に女性の老齢厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げが完了する。
○配偶者加給年金(老齢厚生年金)の考え方について
・現行の配偶者加給年金は、本人の年齢に関わらず配偶者の年齢等により受給の可否が決まるため、現行の制度に改正された昭和60 (1985)年からの社会状況の変化を踏まえると、受給権者間の公平性の観点からの課題もある。⇒加算されるケース、加算されない理由の例 比較参照。
・昭和60(1985)年改正時と現在(令和4(2022)年時点)を比較すると、女性の就業率が高まり共働き世帯が増加している。 また、女性の平均年金額や厚生年金の受給権者数も増加している。⇒@〜B参照。

≪その他制度改正事項・今後検討すべき残された課題≫
○納付猶予制度に関する検討の方向性
→納付猶予期間は、老齢基礎年金等の受給資格期間に算入され、当該期間中に障害状態に陥った場合に障害年金の受 給につながる等の保障はあるが、10年以内に追納を行わない限り老齢基礎年金の受給額には反映されない。 納付猶予を受けた者が10年以内に追納を行う割合は7.0%(2024年時点)に留まっており、納付猶予を受けたとし ても追納が可能な10年以内で追納する者は少なく、最終的に本人の老齢基礎年金の受給額につながらない者が多い状 況にある。また、学生納付特例を受けた者が10年以内に追納を行う割合の8.9% (2024年時点)と比較しても追納す る者の割合は少ない。 一方で、平成28(2016)年7月より30歳以上50歳未満の者まで納付猶予対象者の年齢を拡大したことから、新た に対象となった30歳以上の者については、納付猶予を利用してから追納可能である10年間を経過しておらず、最終的 な追納状況を把握することが困難であり、引き続き全体的な追納率を捕捉していく必要がある。⇒方向性→こうした現状を踏まえ、今後の取扱いを検討するに当たっては丁寧に実態を把握する観点から、30歳以上50歳未満 の者が最初に追納期限である10年を迎える令和8年以降に改めて納付猶予制度の最終的な追納動向等を把握することとし、今回の年金制度改正においては以下の通り進めてはどうか。 • 被保険者の対象年齢の要件は現行通り。(被保険者が50歳未満であること。) • 令和12年6月までの時限措置を、令和17年6月まで5年間延長。
○納付猶予制度の現状と課題↓
・納付猶予制度の現状→【納付猶予制度の導入と変遷】【納付猶予制度の導入時からの変化】【適用者の状況等】→・納付猶予制度の適用者数は、令和4年度時点で約58万人。概ね納付猶予期間2年以下である者がどの世代でも半数程度いる。一方で、 納付猶予制度を利用できる期間が長い30歳以上の世代では、納付猶予期間が5年超の者も一定程度存在する。 ・全額免除と納付猶予では所得基準が同じであり、単身世帯等で全額免除が適用できる状態にあるにも関わらず、納付猶予に留まっている場合がある。 ・納付猶予制度は個人の所得に着目する制度であるが、納付猶予適用者の中には、世帯主に一定以上の所得がある場合がある。
・納付猶予制度の課題→・納付猶予制度は、将来の無年金・低年金を防止するために設けられ、現在も一定数の者が利用しているが、令和12年6月までの時限措 置とされている。 ・納付猶予適用者の中には、世帯主に一定の所得があり保険料負担能力がありながらも納付猶予が適用されている場合がある。
○納付猶予制度に関する検討の方向性→令和12年6月までの時限措置とされている納付猶予制度について、将来の無年金・低年金を防止する役割を維持しつつ、将 来の年金給付につなげるため、以下のように考えてはどうか。 (1)納付猶予制度については、被保険者の対象年齢の要件は現行通り(被保険者が50歳未満であること。)とした上で、時限措置を延長することを検討してはどうか。 (2)納付猶予制度の延長に際しては、制度の基本的な考え方は維持しつつ、所得要件については、本人及び配偶者の前年の所得が一定額以下であっても、保険料納付の原則に立ち返って世帯主(親など)に一定以上の所得がある場合は納付猶予の対象外とし、保険料納付を求めることを検討してはどうか。
○国民年金における任意加入制度の概要→60歳以上65歳未満の任意加入【年金法附則第5条(昭和60年改正による措置)】65歳以上70歳未満の任意加入の特例(高齢任意加入)【平成6年改正法附則第11条・平成16年改正法附則第23条】 項目参照。
○任意加入の特例(高齢任意加入)の対象者の見直し→・年金制度は、保険事故が発生するまでの間に保険料を拠出することとされており、老齢基礎年金の支給要件である65歳到達後に保険料 を拠出できる任意加入の特例として位置づけられている。 ・任意加入の特例は、昭和40(1965)年4月1日(昭和39年度)までに生まれた者を対象とした時限措置であり、令和11(2029)年 度には昭和40年4月1日生まれの者が65歳に到達する。 ・ こうした中で、任意加入の特例は、老齢基礎年金受給に必要な資格期間を満たさない者を年金受給権の取得につなげる重要な役割を果 たしており、令和4年度時点でも任意加入の特例を利用している者の数は約1,500人存在する。 ※老齢基礎年金の受給に必要となる資格期間の要件が25年から10年に短縮された(平成29(2017)年8月施行)ことを契機に利用者の 人数は減少している。 ・ これまでの改正経緯等も踏まえ、引き続き保険料納付意欲がある者の年金受給の途を開くため、年金受給権確保の観点から、昭和50 (1975)年4月1日(昭和49年度)までに生まれた者まで対象とする方向で検討する。
○離婚時の年金分割の請求期限の延長→現行の2年以内から5年以内に伸長する。
○離婚時の年金分割制度→・離婚時の年金分割は、婚姻期間に係る厚生年金の計算の元となる保険料納付記録(標準報酬)を分割する制度。 年金分割が行われた場合、分割後の標準報酬で算定した厚生年金を受給開始年齢から受け取ることとなる。 ・ 離婚時の年金分割の請求には、原則離婚から2年の請求期限が設けられている。 ・ 分割は厚生年金(報酬比例部分)の額のみに影響し、基礎年金の額には影響しない。
○脱退一時金制度に関する見直しの方向性@A→【現行制度】【脱退一時金に係る状況の変化等】参照。
【検討の方向性】→在留資格にかかわらず、再入国許可付きで出国した者は、日本に再度入国する意図を持って出国しており、再度日本の公的年金に加入し老齢年金の受給資格期間(10年)を満たし得る可能性があることから、原則として単純出国した場合のみ脱退一時金を支給することとし、再入国許可付きで出国した者には当 該許可の有効期間内は脱退一時金は支給しない(再入国しないまま許可期限を経過した場合には受給が可能と なる。)こととすることについてどう考えるか。 なお、その場合は、施行後に十分に年金加入期間を確保できず、年金と脱退一時金のいずれの支給にもつな がらない場合等も考慮し、必要な経過措置を設けることとしてはどうか。 ・ また、在留資格の見直しや、在留外国人の滞在期間も踏まえて、現行の支給上限を5年から8年に引き上げ ることについてどう考えるか。 ・ あわせて、こうした見直しを行うこととした場合は、施行に際し、在留外国人に年金や脱退一時金の仕組み や趣旨といった必要な情報がしっかりと伝わるよう、運用上の工夫を図ることとしてはどうか。
○障害年金制度に関する検討の方向性について→部会では、まずは次期制度改正を見据えて、「現時点で議論が求められる課題」を優先して議論したところ、制度上あるいは実務上の観点から、制度の見直しの検討に当たっては、以下の点について引き続き整理が必要との指摘があった。 1.拠出制年金における社会保険の原理との関係の整理 2.様々な障害がある中で、障害の認定判断に客観性を担保しその認定判断を画一的で公平なものとする必要性 3.障害年金の目的や障害の認定基準のあり方と他の障害者施策との関連の整理。 ・ また、障害年金の見直しに当たっては、今回議論した5つの「現時点で議論が求められる課題」の他に、中長期的な課題も提起が行われており、障害年金の検討については、ヒアリングで指摘があった制度上、実務上の課題の整理に加えて、社会経済状況や医療技術の進歩等を踏まえながら、引き続き様々な課題について検討することとしてはどうか。 ・検討課題のうち、令和8年3月31日が期限となっている直近1年要件については、この特例によって障害 年金の受給につながるケースが存在していること、複数回の延長を経て長い期間運用されている要件であり、 本制度を前提として考えている被保険者も少なからず想定されること、今後の取扱いを検討するに当たっては 丁寧に実態を把握する必要があること等を踏まえ、引き続き10年間延長してはどうか。また、その他の検討 課題についても、次期改正までに整理が付くものについては対応してはどうか。

≪年金広報・年金教育≫
○現行の公的年金シミュレーターの概要
→・公的年金シミュレーターは、令和2年改正年金法を分かりやすく周知すること、働き方や暮らし方の変化に伴う年金額の変化を「見え る化」することを目的として、令和4年4月から運用を開始した。 ・ ねんきん定期便の二次元コードを読み取るなどして将来の年金受給見込額を簡単に試算でき、働き方や暮らし方の変化に応じた年 金額の変化も試算できる。令和5年4月に年金受給開始時点での税や保険料の大まかなイメージを表示する機能を追加し、同年7月 には民間サービスとの連携に向けたプログラムを公開、令和6年1月には在職定時改定の試算機能を追加した。・公的年金シミュレーターを利用して、実際に試算を行った回数は令和6年11月30日時点で580万回超。
○公的年金シミ ュ レー ターによる将来の年金見込み受給額試算について→「公的年金シミュレーター」は、将来受け取る年金見込み受給額を固定して表示するだけではなく、個々人の働き方暮らし方の変化に よる多様なライフコースに応じた様々なパターンの年金見込み受給額を簡単な入力で試算・表示することが可能。
○次期公的年金シミュレーターの開発方針と新たな機能→令和4年4月から運用している現行の公的年金シミュレーターの保守、運用が令和7年度末で終了することから、年金 部会などでのご意見を踏まえ、以下の案により、令和8年4月から新たに運用を開始する予定の「次期公的年金シミュ レーター」の開発を進めることとしてはどうか。
○次期公的年金シミュレーターの新たな機能を設ける目的→障害年金の試算機能を設ける目的(案)、iDeCoの試算機能を設ける目的(案) 項目の参照。
○年金額分布推計を踏まえた多様な年金水準(2024年度に65歳になり年金を受け取る者の例)→「令和6(2024)年財政検証 年金額分布推計」に基づき2024年度に65歳になり年金を受け取る者(1959年度生まれの者)の年金額を 経歴別に提示すると以下のとおり。⇒一人あたりの老齢年金額(月額)@〜➄、その他の参照。
○現役時代の経歴類型の変化(女性)→○ 労働参加の進展により、若年世代ほど厚生年金の被保険者期間の長い者(厚年期間中心の者)が増加し、1号期間や3号期間中心の者が減少 する見通し。特に女性は、厚生年金に加入しながら働く者の増加による将来の平均年金額の伸びや低年金の減少が大きい。
○現役時代の経歴類型の変化(男性)→労働参加の進展により、若年世代ほど厚生年金の被保険者期間の長い者(厚年期間中心の者)が増加し、1号期間中心の者が減少する見通し。
○年金対話集会の概要→・ 学生と厚生労働省(年金局)職員が年金をテーマに語り合うことを通じて、学生が年金について考えるきっかけにするとともに、学生から の意見や指摘を今後の年金行政に活かす。 ・ 学校のご協力の下、授業の時間をお借りし、学生の理解度やニーズに合わせて学校ごとにテーマを調整し実施。
・令和6年度開催実績:令和6年度は36回(大学・大学院18回、 高校18回)開催した。

次回も続き「参考資料2 年金制度改革に向けた提言(令和6年 12 月 18 日 自由民主党政務調査会 社会保障制度調査会 年金委員会・医療委員会)」からです。

第24回社会保障審議会年金部会 [2025年01月25日(Sat)]
第24回社会保障審議会年金部会(令和6年12月24日)
議事 社会保障審議会年金部会における議論の整理(案)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241224.html
U 次期年金制度改革等
6 高齢期より前の遺族厚生年金の見直し等
(検討に当たっての問題意識)→〇 遺族年金制度は、家計を支える者が死亡した場合に
、残された遺族の所得保障を行うものであり、受給者の状況を見ると、高齢期における夫婦のどちらかが死亡して遺族となった受給者と、高齢期より前の死別によって遺族となった受給者に大別され、前者の受給者数は多く、後者は少ない。 後者の場合は、養育する子がいるケースと、養育する子がいないケースがあり、養育する子がいる場合には男性も女性もともに子の養育という責任を負うため、どちらが死亡しても保障の必要性は高いが、養育する子がいない 場合には、保障の必要性の観点から子がいる場合とは異なる取り扱いとなっている。 〇 現行制度のうち遺族基礎年金については、消費税率引上げによる増収分を 活用して 2014(平成 26)年 4 月から支給対象を従前の母子家庭から父子家 庭へと拡大する見直しが行われた。しかし、遺族厚生年金では、制度の成り 立ちから、依然として、男性が主たる家計の担い手であるという考え方を内 包した制度設計が存在している。 具体的には、20 代から 50 代に死別した子のない配偶者に対する遺族厚生年金は、死別時に 30 歳未満の妻には有期給付、30 歳以上の妻には期限の定めのない終身の給付を行っている。一方で、死別時に 55 歳未満の夫には遺族 厚生年金の受給権が発生しない。加えて、受給権取得当時の年齢が 40 歳以上 65 歳未満である中高齢の寡婦のみを対象とする加算(中高齢寡婦加算)があ るなど、制度上の男女差が存在している。 〇 遺族年金については、「社会保障審議会年金部会における議論の整理」(平 成 27 年1月 21 日)において「男女がともに就労することが一般化していく(中略)中で、遺族年金についても、社会の変化に合わせて制度を見直して いくことが必要」とされており、本部会では、高齢期の前にあたる 20 代か ら 50 代までの遺族を念頭に、制度上の男女差の解消に向けた制度の在り方 等について検討を行った。
@ 20 代から 50 代の子のない配偶者の遺族厚生年金
(共働きが一般化することを前提とした社会経済状況への対応)
→ ○ 年齢階級別の女性の就業率の推移を見ると、40 歳から 59 歳までの中高齢期における就業率は、2040(令和 22)年においていずれの世代も 80%台後半と見込まれており、2023(令和5)年における男性の就業率と遜色ない状況といえる。また、若い世代ほど高齢期まで各年齢層において高い就業率を維持しており、この傾向が今後も続くことが見込まれる。 ○ 令和5年の男女の賃金水準を見ると、40 歳未満であれば男女差が概ね 80%の範囲に収まっている。また、平成 14 年と令和5年を比べると 30 歳か ら 64 歳までの年代の改善度が比較的高く、今後も中高齢期の賃金格差の縮小が見込まれる。 ○ 世帯構成の推移を見ると、近年は共働き世帯が増加し、男性雇用者と無業 の妻からなるいわゆる専業主婦世帯は減少し続けている。 ○ これらの状況を見ると、年金制度の創設期から長期間が経過し、20 代から 50 代の女性の就業率が増加していることから、男性が主たる生計維持者であ ることを前提とした社会経済状況から変化していると考えられる。
(見直しの方向性)
→ ○ 遺族厚生年金において、男性が主たる生計維持者であることを前提とした 考え方を改め、女性の就業の進展、共働き世帯の増加等の社会経済状況の変 化や制度上の男女差を解消していく観点から、20 代から 50 代に死別した子 のない配偶者に対する遺族厚生年金の給付について時間をかけながら段階的 に見直すこととし、事務局から提案があった「A 20 代から 50 代の子のある配偶者の遺族厚生年金」の内容も含めた見直し案について概ね意見が一致した。 なお、施行日前に既に受給権が発生している場合や見直しの対象外である 60 歳以上で死別した場合の遺族厚生年金は、現行制度の仕組みを維持するべきである。 ○ その際、見直し内容について丁寧な説明を心掛ける必要があるという意見 や男女間賃金格差是正や遺族の就労支援等の取組を併せて進めていく必要が あるといった意見、まずは男性の年齢要件を撤廃し、有期給付化は遺族の就 業状況等を踏まえて慎重に検討すべきという意見、法的に当然公的年金に波 及するものではないものの、同性パートナーに係る犯罪被害者等給付金の支 給に関する最高裁判決の状況を注視する必要があるといった意見、制度の詳 細については引き続き丁寧に検討する必要があるといった意見などがあっ た。
(具体的な見直し内容)→○ 20 代から 50 代に死別した子のない配偶者に対する遺族厚生年金を、配偶者の死亡といった生活状況の激変に際し、生活を再建することを目的とする 給付と位置づけ、男女とも原則5年間の有期給付として年齢要件に係る男女差を解消する。 ただし、様々な事情により十分な生活再建に至らず、引き続き遺族厚生年 金による生活保障の必要性が高い状況にある者への支援の必要性の観点から、所得状況や障害の状態によっては、原則5年間の有期給付が終了した以 降も最長 65 歳到達まで継続して給付(継続給付)を受給できることとする。 継続給付については、その趣旨を勘案し、後述する有期給付加算を含めた 額を基本とし、所得の状況に応じて支給額を調整するが、調整に当たっては、収入と支給額の合計額が緩やかに上昇する仕組みとする。 ○ 男女差の解消に伴い、死別時に 60 歳未満の男性は施行時点から新たに有 期給付の受給が可能となる。女性は、30 歳未満という現行の有期給付の対象 年齢を段階的に引き上げることとし、施行時点では既に男女間の賃金水準の 差が一定程度縮小している 40 歳未満を対象年齢とする。その後は、現に存 在する男女の就労環境の違いを考慮するとともに、現行制度を前提に生活設 計している者に配慮する観点から、20 年程度の時間をかけて 60 歳未満まで 引き上げる。
(有期給付化に伴う配慮措置)→○ 有期給付の生活再建という観点から、保障を手厚くするため、配偶者の死 亡に伴う年金記録分割の導入(死亡分割)、生計維持要件のうち収入要件の 撤廃、有期給付加算の創設を行う。 ○ 死亡分割は、離婚時の年金記録分割の仕組み(離婚時分割)と同様に、死亡者の婚姻期間における厚生年金への加入期間の標準報酬月額等を分割する ことで、残された遺族の将来の老齢厚生年金を増加させる仕組みであり、有 期給付の遺族厚生年金を受給後に失権した者を対象とする。 ○ これは、現行の遺族厚生年金が、30 歳以上で受給権の発生した妻に対して は期限の定めなく支給されており、死亡者の厚生年金の加入記録に基づき遺 族の高齢期も含めた生涯にわたる保障を行っていることに着目し、有期給付 の拡大に伴い、死別後に婚姻期間中の死亡者の厚生年金加入に対する遺族の寄与・貢献を評価し、高齢期の年金受給額の改善を図ることを目的として導 入するものである。 ○ 離婚時分割は、年金記録は個人に属するものであって、民法上の財産分与で分割ができないことに替わる措置として、婚姻期間中における元配偶者の 厚生年金加入に対する被分割者の寄与・貢献を評価し、年金記録の分割の根 拠となる規定を年金法上に個別に定めている。 婚姻期間中における元配偶者の厚生年金加入への寄与・貢献への評価は、 離別か死別かの違いで変わるものではないことから、離婚時分割の考え方を 死別にも拡張して、配偶者の死亡に伴う年金記録分割を新たに定めることと する。 死亡分割においても、第3号被保険者である期間における分割割合は、離 婚時分割に倣って2分の1とする。一方で、双方が厚生年金に加入していた 婚姻期間における分割割合は、離婚時分割と異なり、元配偶者の死亡により 当事者間で決めることができないという特有の事情を考慮し、2分の1で合 意したものと擬制する。 なお、有期給付の遺族厚生年金は死別後の一時的給付として生活の再建が 目的、死亡分割は老齢厚生年金の増額のための手段で高齢期の所得保障が目的であり、両者は目的と役割がそれぞれ異なることから、支給期間が重複しない限りは、年金記録の「二重利用」には当たらないと考えられる。 ○ 有期給付の遺族厚生年金に係る収入要件の撤廃については、配偶者との死 別による生活状況の激変や、有期給付の目的である被保険者の死亡による収 入減少を受けた場合の生活再建の必要性は収入の多寡にかかわらず存在する ことに着目して行う。 ○ 有期給付加算については、現行制度の遺族厚生年金よりも金額を充実さ せ、死亡者の老齢厚生年金の4分の1相当額を遺族厚生年金に加算する。
A 20 代から 50 代の子のある配偶者の遺族厚生年金→○ 18 歳未満の子を養育している配偶者については、子が 18 歳に到達する年 度末までの給付内容は現行通りであるが、それ以降も引き続き養育費用が必 要な場合や、本格的な就労に向けた準備期間となる場合が想定される。 そのため、現行制度においても、妻が 30 歳未満に遺族基礎年金を失権した 場合にはその後5年間の有期給付の遺族厚生年金を受給できることを踏襲する形で、例えば子が 18 歳に到達して遺族基礎年金が失権した後も原則5年間 の有期給付を受給できることとし、所得状況や障害の状態に応じてはさらに その後の継続給付の受給も可能とする。 ○ 女性の就業の進展、共働き世帯の増加等の社会経済状況の変化や制度上の 男女差を解消していく観点から、女性のみが対象となっている中高齢寡婦加 算については、将来に向かって十分な時間をかけて加算措置を終了する。 なお、見直しに当たっては激変緩和の観点から経過措置を設けることが適 当であり、具体的には、施行日前に加算を受給している者は対象とせず、新 規に加算が発生する場合のみを対象にし、十分な時間をかけて段階的に逓減 させるとともに、受け取り始めた年金額は受け取り終了まで変化させないこ ととする。
B 遺族基礎年金(国民年金)
(現行制度と見直しの方向性)
→ ○ 遺族基礎年金は子を抱える配偶者や自ら生計を維持することができない子 に対し、生活の安定を図ることを目的とする給付であるが、現行制度におい て子に対する遺族基礎年金は、父又は母と生計を同じくするときは、その父 又は母が遺族基礎年金の受給権を有していない場合でも、支給停止されてい る。 たとえば、離婚後に親の一方が亡くなり、その後元配偶者である親に引き 取られた場合には子に対する遺族基礎年金は支給停止される。 ○ 離婚の増加などで子を取り巻く家庭環境は変化しており、子自身の選択に よらない事情で遺族基礎年金が支給停止されることは、子の生活の安定を図 るという遺族基礎年金の目的からみて適切ではない。 現行の遺族厚生年金ではこのような支給停止の規定はなく、遺族基礎年金 について子が置かれている状況によって支給が停止される不均衡を解消する ため、生計を同じくする父又は母があることによる支給停止規定を見直すこ とで概ね意見は一致した。 ○ その他、国民年金には、国民年金保険料の掛け捨て防止及び老齢基礎年金 支給開始前の寡婦に対する生活保障の観点から、所定の要件を満たす夫の死 亡に際して、残された妻が国民年金の被保険者期間が終了する 60 歳から、老齢基礎年金の受給開始年齢である 65 歳到達までの5年間を保障するつな ぎの給付として創設された寡婦年金が存在する。 寡婦年金については、男女差を解消する観点から見直しが必要であるとの 意見がある一方で、寡婦年金の支給期間である 60 代前半の生活実態は様々であると考えられ、60 代前半の生活実態を踏まえて遺族に対する保障の在り方について更なる検討が必要であることから、寡婦年金の取扱いについては、将来的な廃止を含めて引き続き検討事項とする。併せて、寡婦年金と選 択関係にある国民年金の死亡一時金の取扱いについても検討事項とする。

7 年金制度における子に係る加算等
(現行制度と見直しの方向性)
→ ○ 公的年金制度においては、子や配偶者のいる世帯に対して、生活保障を目 的としてその扶養の実態に着目し、子や配偶者に係る加算を行っている。 子に係る加算としては、障害基礎年金・遺族基礎年金の子に係る加算や老 齢厚生年金の加給年金があるが、その金額は子の人数に応じて異なり、第3 子以降の子への加算額は第1子・第2子への加算額に比べて少ない。 ○ 近年、子ども・子育て支援に関する施策を充実する観点から、児童手当や 児童扶養手当等子どもへの給付の拡充が図られている。賦課方式で運営され ている年金制度にとって、次世代の育成は制度の根幹を維持するために必要 であり、次代の社会を担う子どもの育ちを支援し、子を持つ年金受給者の保 障を支援する観点から取組を強化する方向性については概ね意見が一致し た。なお、基礎年金の給付水準の維持が重要な中で、追加の給付拡充を行う こと、また、特定の条件に当てはまる子のみを対象とする対応であることに 違和感を示す意見もあった。
(具体的な取組)→ ○ 児童扶養手当等の近接する制度の状況を考慮し、多子世帯への支援を強化 する観点から、公的年金制度における子に係る加算について、第1子・第2 子と同額となるまで第3子以降の支給額を増額し、子の人数に関わらず一律 の給付とすることについては意見が一致した。なお、年金給付への加算とい う方法では、新たな仕組みが、加給年金と同様に、繰下げ受給の阻害になる という意見もあった。 ○ 加算額について、第1子・第2子を含め全体として子に係る加算額を引き 上げること、これまで加算対象ではなかった障害厚生年金や遺族厚生年金、 老齢基礎年金についても対象を拡大することについては、賛成の意見があっ た一方で、年金制度ではなく子ども・子育て支援施策において対応すべきで はないかといった両制度の役割分担の観点からの慎重な意見や財政影響も踏 まえて検討すべきという意見もあった。 その他、子に係る加算の対象となる子について国内居住要件を設けること については概ね意見が一致したが、子の留学や親の海外赴任についても留意 するべきという意見があった。
(配偶者に係る加給年金)→○ 老齢厚生年金における配偶者に係る加給年金について、社会状況の変化等 によりその役割が縮小していることを踏まえ、将来的な廃止も含めて見直す方向性については概ね意見が一致した。今回の改正では、新たに対象となる 者の支給額を見直すこととするが、加給年金を前提に生活している者への配 慮から、現在の受給者は見直しの対象としないことが適当である。

8 その他の制度改正事項→○ 上記の事項以外にも、以下の改正を行うことで概ね意見は一致した。 @ 障害年金の支給要件のうち、直近1年間に保険料の未納がなければよいと する特例について、障害年金の受給につながるケースが存在していることや 今後の取扱いを検討するに当たって丁寧に実態を把握する必要があること を踏まえ、引き続き適用できるよう、時限措置の 10 年延長を行う。 A 国民年金の納付猶予制度について、多くの者が利用していることから同じ 年齢を対象として時限措置の5年延長を行う。今後、利用状況や追納率等の 実態を丁寧に把握した上で、引き続き、制度の在り方について検討する必要 がある。 B 任意加入の特例(高齢任意加入)について、引き続き保険料納付意欲があ る者の年金受給の途を開くため、年金受給権確保の観点から、新たに 65 歳 に到達する世代も利用できるよう措置することで本措置の延長を行う。 C 離婚時分割の請求期限について、民法上の離婚時の財産分与に係る除斥期 間が、離婚後2年間から5年間に伸長されることに伴い、離婚後2年間から 5年間に伸長する。 D 遺族厚生年金の受給権者の老齢年金について、高齢者の就労が進展し、今後繰下げ制度の利用者が増える可能性があることを踏まえて、年金を増額させたいという受給者の選択を阻害しない観点から、一定の条件を満たす場合 において繰下げ申出を認める。 E 脱退一時金制度について、将来の年金受給に結び付けやすくするため、再 入国の許可を受けて出国した外国人は、当該許可の有効期間内は脱退一時金を請求できないこととする。また、外国人の滞在期間の長期化や入管法等の 改正法により育成就労制度が創設されることを踏まえ、支給上限年数を現行の5年から8年に見直す。

9 今後検討すべき残された課題
@ 基礎年金の拠出期間の延長(45 年化)
→○ 基礎年金の拠出期間については、その前身である国民年金制度が 1961(昭 和 36)年に創設された時に 20 歳から 60 歳までと定められ、その後 60 年以上 変更されていない。この間、平均寿命の延伸や 60 代前半の就業率の上昇など、 社会経済状況は大きく変化している。 基礎年金の拠出期間の延長については、今回の財政検証及びオプション試算の結果では全体的に所得代替率が改善したことや、基礎年金のマクロ経済スラ イドの早期終了や被用者保険の適用拡大など基礎年金の給付水準の向上に資 する他の事項も検討していることから、次期年金制度改革においては、国民に 保険料負担を追加で求める基礎年金の保険料拠出期間(現行 40 年)の5年延長は行わないこととし、本部会において詳細な制度設計については議論しなか った。 これに対して、実現の優先順位について理解を示す意見や将来的な実現を求 める意見があった。 健康寿命の延伸や高齢者の就労進展等を踏まえると、基礎年金の拠出期間延 長は、基礎年金の給付水準の向上を確保するために自然かつ有効で意義のある方策であると考えられる。引き続き、社会経済の状況などに応じて、議論を行うべきである。 なお、学生納付特例制度を利用した学生の追納率が低いことなどから基礎年金の拠出期間の始期についても見直しを検討するべきという意見もあった。
A 障害年金→○ 障害年金については、現時点で議論が求められる事項から中長期的な課題 に至るまで様々な論点がある。本部会では前者に着目して、事後重症の場合に障害認定日に遡って年金を支給するべきかどうかや、障害厚生年金における 初診日要件について検討したが、制度の見直しの検討には、制度上あるいは実 務上の観点から、以下の点を整理していく必要があると考える。 (1)拠出制年金における社会保険の原理との関係の整理 (2)様々な障害がある中で、障害の認定判断に客観性を担保しその認定判 断を画一的で公平なものとする必要性 (3)障害年金の目的や障害の認定基準のあり方と他の障害者施策との関連 の整理 障害年金については、こうした点を整理しつつ、社会経済状況や医療技術の 進歩等を踏まえながら、様々な課題について引き続き検討するべきである。

V 年金広報・年金教育
(年金広報のあり方)
→○ 公的年金制度は老後生活の柱であり、国民生活の安心につながる重要な機 能を有している。しかし、特に若い世代には公的年金制度に対する漠然とした 不安があり、これが公的年金制度への信頼を揺るがすことにつながっている。 年金広報を行うに当たっては、将来どういう働き方をしたら年金がいくらも らえるかなど、具体的な数字で示すことで、現役世代の安心感の醸成につなげ ていくことが重要である。なお、様々な属性の方がいることを念頭に置きなが ら、動画や SNS の活用など、受け手に応じた情報発信の工夫が必要である。 ○ 公的年金制度に対する国民の不安を解消し、安心感の醸成につなげていく ためには、将来見通しを示すことが特に重要であり、令和6(2024)年財政検 証における年金額分布推計や公的年金シミュレーターは、国民一人一人が自 分の将来に対する予見可能性を高めるものとして重要な機能を持っている。
(公的年金シミュレーター)→ ○ 公的年金シミュレーターは、年金の仕組みや制度改正の内容を国民に分か りやすく周知すること、働き方などの変化に伴う年金額の変化を「見える化」 し、国民一人一人の生活設計を支援することを目的に 2022(令和4)年4月 から運用されており、徐々に国民に浸透しつつあるが、さらに多くの国民に活 用してもらうよう、積極的に周知していくべきである。○ この公的年金シミュレーターについて、現行の機能や特徴を維持しつつ、予見可能性をさらに高めるための改善や機能追加を検討すべきであり、障害年 金に加え、私的年金のうち、すべての国民年金被保険者が加入できる共通の制 度で統一的な表示が可能な iDeCo の試算機能を設ける方向性は賛成の意見が 多かった。また、iDeCo の拠出可能額をわかるようにすべきという意見もあっ た。 ○ 一方で、iDeCo の試算機能を設けるに当たっては、運用利回りをどう設定するか、賃金・物価で変動する公的年金と iDeCo の給付額をどう表示するかなど 課題も多いことから、誤解が生じないような画面構成にするなど慎重な検討 が必要である。 ○ また、民間企業のアイデアを活用することで、公的年金シミュレーターの利 用が広まり、国民の金融リテラシーも向上していくものと考えられることか ら、民間サービスとの連携もさらに進めていくべきである。
(多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方)→○ 所得代替率の計算上、いわゆる「モデル年金」(夫の厚生年金と夫婦2人分 の基礎年金(満額)の合計額)をみることの必要性は確認された一方で、広報 上の対応として、世帯類型や賃金水準などに着目し、様々なパターンの年金額 をわかりやすく示す必要がある。 ○ 性別や年金制度の加入状況に応じた将来の年金の給付水準の示し方につい て、年金額分布推計を基にしていることも踏まえて、発信内容を精査しつつ、 実際の広報につなげていく。
(年金教育)→ ○ 平均寿命や健康寿命の延伸により、今の若い世代は人生が長くなるため、自 分のライフプランを考える上でも年金に関する知識を十分に提供する必要が あり、そのためには、子どもの頃から生涯を通じた年金教育の取組を進める必 要がある。 ○ 公的年金制度は、地域住民の日常生活を支える社会保障制度の一つであり、 国民一人ひとりが社会保障の担い手であるという当事者意識を持って制度に参加することが、公的年金制度の持続可能性を高め、さらには人々が助け合う地域共生社会の実現に向けても重要である。 このため、公的年金制度は、保険の考え方を基本として、老齢、障害、死亡 という生涯を通じた生活上のリスクに国民が連帯して備える支え合いの仕組 みであり、積立貯蓄ではないことや損得で論ずべきものではないことが広く理 解される必要がある。 このような観点から、社会保障制度の一環としての公的年金制度について、 支え合いの意義や役割と持続可能な制度の在り方、保険の考え方に基づく仕組 みや手続きの重要性の理解を促す年金教育を推進すべきである。 ○ そのためにまずは、子ども・若者が自分ごととして公的年金制度について考え探究することを契機として、地域共生社会を持続的に支える社会保障に広く関心を持ってもらうことが重要である。これまで年金局が学校などの教育 機関の協力を得て取り組んでいる「学生との年金対話集会」は若者の意見を聞 く貴重な機会であることから、この取組を継続・強化しつつ、地方厚生局や日 本年金機構と連携を強化することによって、全国各地でより多くの子ども・若 者が公的年金制度などについて考え、意見を述べることができる場を増やし ていくべきである。
(公的年金と私的年金の一体的な広報)→○ 本部会と企業年金・個人年金部会の合同開催における議論も踏まえて、公 的年金と私的年金の広報を一体的に行う教育動画や教育教材の開発、公表と いった取組が進められており、今後も、公的年金シミュレーターに iDeCo の 試算機能を付加することや、国民の高齢期の所得の確保に関する教育を進め る上でも金融経済教育推進機構や民間団体との連携を推進するなど、様々な 取組を進めていくべきである。
(年金制度改正に関する広報)→○ 年金制度改正に関する広報については、被用者保険の適用拡大など、今般 の見直しの内容に加え、年金制度の基本的な部分も併せて広報していくこと が重要である。制度改正の趣旨、対象者や施行時期などを国民にわかりやす く伝えていくとともに、事業主に対しても正確な情報発信に努めていくべき である。

W おわりに→○ 基礎年金制度導入以降の 40 年間の変化を見れば、平均寿命や健康寿命の延 伸、単身世帯や共働き世帯の増加といった家族構成やライフスタイルの多様化、女性・高齢者の就業の拡大、近年著しい物価や賃金の上昇、人手不足の深 刻化など、年金制度を取り巻く、社会や経済の状況は大きく変化してきた。 ○ そうした中で、今回の年金部会では、公的年金制度全般を議題として取り上 げ、被用者保険の適用拡大や在職老齢年金制度の見直しといった従来から継 続している検討事項のみならず、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了 といった年金財政の根幹に係わる事項や、遺族年金など従来は十分に議論で きていなかった事項についても取り扱った。 基礎年金の導入から 40 年という節目のタイミングで、こうした幅広い議論を通じて、多くの事項について、現状や課題、見直しの方向性を整理したこと には大きな意義がある。 ○ 一方で、年金制度は社会や経済の変化の影響を常に受け続ける。 これまでも、こうした変化に的確に対応するとともに、近年も5年に1度の タイミングで制度の持続可能性を確認するために実施する、年金財政の健康診 断ともいえる「財政検証」を実施した上で、必要な制度改正を重ねてきた。 今後も、社会・経済の状況を注視しながら不断の見直しを行う、このプロセ スを継続することで、老齢・障害・死別という所得の減少や喪失のリスクに対 応した経済基盤の安定を図り、国民に信頼・安心される年金制度の在り方を模 索し続ける必要がある。

次回も続き「参考資料1 年金制度改正の検討事項」からです。

第24回社会保障審議会年金部会 [2025年01月24日(Fri)]
第24回社会保障審議会年金部会(令和6年12月24日)
議事 社会保障審議会年金部会における議論の整理(案)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241224.html
U 次期年金制度改革等
1 被用者保険の適用拡大
(基本的な考え方)→○ 国民の価値観やライフスタイルが多様化
し、短時間労働をはじめとした様々な雇用形態が広がる中で、特定の事業所において一定程度働く者については、事業主と被用者との関係性を基盤として働く人々が相互に支え合う仕組みである被用者保険に包摂し、老後の保障や万が一の場合に備えたセーフティネットを拡充する観点からも、被用者保険の適用拡大を進めることが重要である。 ○ また、労働者の勤め先や働き方、企業の雇い方の選択において、被用者保険 制度における取扱いの違いにより、その選択が歪められたり、不公平が生じたりすることのないよう、中立的な制度を構築していく観点も重要である。 ○ こうした考え方に基づき、これまでの被用者保険の適用拡大の議論を進め てきた。加えて、賃上げが進む中で、短時間労働者がいわゆる「年収の壁」を意識した就業調整をすることなく、働くことのできる環境づくりが重要である。その際、被用者保険が民間保険ではなく、要件を満たせば加入しなければならない公的保険であることの意義や、被用者保険への加入は、保険料が生じ るものの、将来の年金給付の上乗せや傷病手当金・出産手当金の受給、被扶養 配偶者向け特定健診など、労働者にとってメリットがあることを分かりやすく発信していくことが必要である。
(短時間労働者への適用拡大)→○ 短時間労働者への適用拡大は、2016(平成 28)年 10 月から行われているが、 中小の事業所への負担を考慮して、激変緩和の観点から段階的な拡大を進める目的で、2012(平成 24)年の改正により対象事業所の企業規模要件が設けられた。開始当初は従業員数 500 人超規模の企業が対象とされ、令和2年年 金改正法では、最終的に 50 人超規模の企業を対象とすることとされた。 ○ こうした経緯も踏まえて、「当分の間」の経過措置として設けられた企業規模要件については、労働者の勤め先や働き方、企業の雇い方に中立的な制度を 構築する観点から、撤廃する方向で概ね意見が一致した。○ また、月額賃金 8.8 万円以上とする賃金要件については、就業調整の基準 (いわゆる「106 万円の壁」)として意識されていることや最低賃金の引上げに伴い週所定労働時間 20 時間以上とする労働時間要件を満たせば賃金要件を満たす地域や事業所が増加していることを踏まえ、撤廃する方向で概ね意見 が一致した。 ただし、最低賃金の動向次第では週 20 時間の所定労働時間であっても賃金要件を満たさない場合があり得ることから、賃金要件の撤廃によって保険料負担が相対的に過大とならないよう、最低賃金の動向を踏まえつつ、撤廃の時期に配慮すべきである。この点に関しては、仮に廃止するのであれば、最低賃 金の動向により、全国 47 都道府県で、8.8 万円の賃金要件が実質的な意味を 持たなくなる時期を踏まえて廃止すべきという意見があった。なお、最低賃金 を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれ等から、たとえば障害により従事しようとする業務の遂行に直接著しい支障があるなど、最低賃金の減額の特例の対象となる者で、賃金が月額 8.8 万円未満の短時間労働者については、希望する場合に、事業主に申し出ることで任意に被用者保険に加入できる仕組みとする。 ○ 週所定労働時間 20 時間以上とする労働時間要件については、働き方に中立的な制度とする観点から雇用保険の適用拡大に伴い引き下げるべきとの意見や労働時間で就業調整する者の存在を懸念し要件の撤廃も含めた議論の継続 を求める意見があった。一方で、保険料や事務負担の増加という課題は対象者 が広がることでより大きな影響を与え、また、雇用保険とは異なり、国民健康 保険・国民年金というセーフティネットが存在する国民皆保険・皆年金の下で は、事業主と被用者との関係性を基盤として働く人々が相互に支え合う仕組 みである被用者保険の「被用者」の範囲をどのように線引きするべきか議論を 深めることが肝要であるという考え方もあることに留意しつつ、雇用保険の 適用拡大の施行状況等も慎重に見極めながら検討を行う必要がある等の意見 があった。こうしたことから、今回は見直さないこととする。 ○ 学生除外要件については、就業年数の限られる学生を被用者保険の適用対 象とする意義は大きくない、適用対象とする場合には実務が煩雑になる等の 意見があったことから、今回は見直さないこととする。
適用事業所の拡大)→○ 適用事業所の範囲は、1984(昭和 59)年の健康保険法改正及び 1985(昭和60)年年金改正法により、法人については従業員規模にかかわらず、全ての事 業所が強制適用となった。一方で、個人事業所では、1953(昭和 28)年の健 康保険法及び厚生年金保険法改正以来、適用業種に変化がなかったが、令和2 年年金改正法により、弁護士や公認会計士など法律や会計に係る業務を取り 扱う士業を適用業種に追加した。 ○ 常時5人以上の従業員を使用する個人事業所における非適用業種については、労働者の勤め先等に中立的な制度を構築する観点等から、解消する方向で概ね意見が一致した。 他方で、常時5人未満の従業員を使用する個人事業所については、本来的に は適用すべきとの意見があった一方で、適用拡大により発生する事務負担・コスト増が経営に与える影響が大きいこと、対象事業所が非常に多く、その把握が難しいと想定されること、国民健康保険制度への影響が特に大きいこと等から、慎重な検討が必要との意見もあったため、今回は見直さないこととする。 なお、将来的には常時5人未満の従業員を使用する個人事業所についても適 用を拡大すべきとの意見があった。 (複数事業所の勤務者やフリーランス等)→ ○ 被用者保険においては、事業所単位で適用要件を満たすか判断するため、複 数の事業所で勤務する者については、労働時間等を合算することなく、それぞ れの事業所における勤務状況に応じて適用の有無を判断している。 複数の事業所で勤務する者の労働時間等を合算し、被用者保険を適用する ことについては、社会保障におけるDXの進展を視野に入れながら、実務にお ける実行可能性等を見極めつつ、慎重に検討する必要があるとの意見があり、 引き続き検討していく。 ○ 複数の事業所で勤務する者の現行の適用事務について、事業所における事 務負担の軽減の観点から見直しの方向性について検討したが、医療保険者に おける財政調整の仕組みや保険料の算定方法の見直しに伴う保険者等におけ るシステム改修が必要となるなどの課題があり、関係者と丁寧に調整してい くべきとの意見があったことを踏まえ、医療保険者や日本年金機構、事業者団 体等と議論しつつ、複数の事業所で勤務する者の現行の適用事務の見直しを 引き続き検討していく。 ○ 現行制度では、適用事業所に労務を提供し、その対価として給与や賃金を受 ける使用関係がある者を「被用者」として被保険者としており、その使用関係は、形式的な契約内容によらず、実態に即して判断されることとなる。 例えば、業務委託契約でありながら、実態としては被用者と同様の働き方をしている者については、被用者保険の適用を確実なものとしていくため、労働基準監督署において労働者であると判断した事案について、日本年金機構が情報提供を受け、その情報を基に適用要件に該当するか調査を行っており、労働者性が認められる被用者については、確実に被用者保険を適用すべきである。 他方で、労働基準法上の労働者に該当しない働き方をしているフリーランス等への適用の在り方については、まずは労働法制における議論を注視する必要があること、被用者保険が事業主と被用者との関係性を基盤として働く 人々が相互に支え合う仕組みであること等の意見を踏まえ、諸外国の動向等 を注視しつつ、中長期的な課題として引き続き検討していく。
(事業所への配慮等)→○ 今後、適用拡大を進める場合、対象となる事業所においては、適用手続や 日々の労務管理等、事務負担が増加するとともに、新たな保険料発生に伴い経 営への影響があると懸念される。特に、適用拡大の対象となる労働者を多く雇 う事業所や初めて被用者保険の適用事業所となる個人事業所等では影響が大 きいと想定される。 ○ こうした経営に与える影響を踏まえた経過措置や支援策による配慮、労務費等の事業主負担の価格への転嫁を求める意見も踏まえ、円滑な適用を進められる環境整備のため、準備期間の十分な確保、事業主や労働者への積極的な周知・広報、事務手続きや経営に関する支援に総合的に取り組むことが必要である。 特に、施行時期については、個人事業所への適用拡大の影響が大きいと考えられることから、企業規模要件の撤廃を優先して施行すべきである。その際、 現在 50 人超の企業規模要件を直ちに撤廃するのではなく、段階的に拡大すべきとの意見もあった。 ○ なお、保険者が分立する医療保険制度においては、適用拡大に伴い、国民健 康保険の被保険者から健康保険の被保険者となる者、健康保険の被扶養者か ら別の健康保険の被保険者となる者等、保険者間での移動が生じることとなり、保険者の財政や運営に影響を与えることとなる。 さらなる適用拡大の検討に当たっては、被保険者等の構成の変化や財政等への影響を示した上で、保健事業の円滑な実施など保険者機能を確保する視点も含め、医療保険制度の在り方についても着実に議論を進める必要がある。

2 いわゆる「年収の壁」と第3号被保険者制度
(基本的な考え方)
→○ いわゆる「年収の壁」として、第3号被保険者が働く中で、収入や労働時間 が増加することで、本人負担の保険料が発生することによる手取りの減少を 避けるため、就業調整が行われ、希望どおり働くことが阻害されているとの指摘がある。 ○ 「年収の壁」を意識せず働くことが可能であることは、労働参加のさらなる 進展につながり、昨今の人手不足への対応や女性をはじめとした就労促進に つながるだけではなく、被用者保険に加入する場合、労働者個人にとっては将 来の年金の上乗せや傷病手当金・出産手当金の受給などのメリットが、被保険 者全体にとっても制度の支え手が増加するメリットがある。 ○ こうした背景も踏まえ、「こども未来戦略方針」(令和5年6月 13 日閣議決 定)等に記載されているとおり、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げとともに、制度の見直しにも取り組む必要がある。 ○ 社会保険において年収の壁として意識されているものは、第3号被保険者 が第2号被保険者として適用されるいわゆる「106 万円の壁」と、第1号保険 者として適用されるいわゆる「130 万円の壁」の2つがある。 いわゆる「106 万円の壁」では、保険料負担が増えるが厚生年金給付も増える。これは全ての厚生年金被保険者に共通であり、適用拡大に伴う短時間労働者のみ異なる取扱いとなるわけではない。 他方で、給付のことは考えず、「壁」を境にした保険料負担による手取り収入の減少のみに着目すれば「壁」を感じる者が存在することから、これへの対 応は「保険料負担による手取り収入の減少をどうするか」を出発点として考えることが基本となる。 ○ また、「106 万円」は、あくまで雇用契約上の月額賃金が 8.8 万円以上であ ることを求める賃金要件を年額換算した数値であり、時間外労働に係る賃金 は含まれない。被用者保険の適用拡大の推進に向けて、こうしたことや被用者 保険加入のメリット等について、労働者等に対する広範かつ継続的な広報・啓発活動を展開・強化する必要がある。
○ いわゆる「130 万円の壁」では、保険料負担が増えても基礎年金給付は同じ であり、これは第1号被保険者と第3号被保険者とで負担と給付の構造が異 なることによるものである。 したがって、これへの対応は、第3号被保険者のあり方そのものに着目した 何らかの見直しを行うか、「壁」を感じながら働く第3号被保険者が少なくな るよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大を一層加速化することが基本となる。
@ いわゆる「106 万円の壁」への制度的対応
(単に手取り収入が減少しない仕組みの課題)
→○ いわゆる「106 万円の壁」への対応を検討するに当たって、「保険料負担に よる手取り収入の減少をどうするか」を出発点とし、わかりやすい対応策の例 として、被用者保険に加入することに伴い、新たに保険料負担が発生しないよ う、一定の収入以下の労働者の保険料負担を免除し、給付については、負担免 除による給付減が将来の不利益とならないよう、現行通り、基礎年金満額に加 えて標準報酬月額に応じた報酬比例部分を支給する仕組みについて、議論を 行った。 ○ この仕組みについては、労使折半原則を踏まえた観点から慎重な意見が多 かった。加えて、本人負担はなく、事業主負担も変わらない中で、基礎年金満 額と報酬比例部分を受給できるような有利な制度とすることによる他の被保 険者や事業主への影響を懸念する意見や、免除した保険料に応じて給付を削 減した場合の将来の低年金につながる可能性を懸念する意見、就労により負 担能力があるならば、労使ともに保険料を負担するべきであり、いわゆる「年 収の壁」を理由とした本人負担の免除に理がないという意見もあった。
(就業調整に対応した保険料負担割合を変更できる特例)→○ 被用者保険では、保険料の負担は原則として労使折半であるが、健康保険法 において、健康保険組合の特例として、組合規約をもって、健康保険料の負担 割合を被保険者の利益になるように変更することが認められている。 ○ 現在、政府が保険者である厚生年金保険法においては、類似の仕組みは存在 しないが、今般、被用者保険の適用に伴う保険料負担の発生・手取り収入の減 少を回避するために就業調整を行う層に対して、健康保険組合の特例を参考に、被用者保険において、事業主と従業員との合意に基づき、事業主が被保険 者の保険料負担を軽減し、事業主負担の割合を増加させることを認める特例 を時限的に設けることについて、議論を行った。 事務局からは、仮に導入する場合として以下のような仕組みについて提案があった。 ・ 本特例の導入は、人手不足が深刻な課題として指摘される中で、「年収の壁」という足下の課題に対応するための例外的位置付けであり、被用者保険 の適用拡大の施行状況も勘案した時限措置とすること。 ・ 対象者を被用者保険の適用に伴う「壁」を意識する可能性のある者に限定し、具体的には、保険料負担による手取りの減少をなだらかにする観点から、 保険料負担割合を変更できる特例の対象標準報酬月額は 12.6 万円以下とす ること。 ・ 同一の等級に属する者同士の保険料負担の公平性を確保し、企業において 導入しやすくする観点から、本特例を利用する事業所内で、同一の等級に属 する者同士の本人負担割合を揃えることとしつつ、等級ごとの具体的な割合 は、事業所単位で労使合意に基づき任意に設定可能とすること。また、特例 対象者の賞与についても対象にできることとすること。 ・ 本特例は、例外的な措置として、労使の合意に基づいて任意に利用可能な ものであり、社会保険制度における保険料の労使折半の原則からの逸脱を示 唆するものではなく、今後導入に向けた検討を進める場合は、企業側の保険 料負担軽減についても検討を行うこと。 ○ これに対して、この特例は、いわゆる「年収の壁」を意識した就業調整によ る人手不足への対応として、就業調整の生じる可能性の高い収入層に限った 特例措置として考えられるといった意見、最も古い社会保険である健康保険 組合における特例を他の社会保険制度で行うことを許容する意見、あくまで 任意による仕組みであり労使折半原則を変更するものではないとする意見、 年金制度内で取り得る対応として「年収の壁・支援強化パッケージ」と比較し て評価する意見等があった。 ○ 一方で、慎重・反対意見としては、国が全国の統一の制度として実施してい る公的年金制度について、労使折半ルールの原則を変更し、個別企業に保険料 の設定を委ねることに強い違和感があるとの意見、保険者自治が機能しうる 健康保険と公的年金は同列でなく、制度を導入すべきでないとの意見、厚生年 金に加入して将来の年金の増額につなげることが労働者本人にとっての安心 につながるということへの理解を妨げるという意見や特例の維持や対象の拡大につながり、新たな壁を生み出しかねないという意見があった。また、被保 険者の本人負担の軽減と事業主の増加が表裏関係にあることを踏まえ、企業 規模による利用の有無を懸念する意見、中小企業の利用が少ないことで人材 流出の深刻化や企業間の待遇格差を助長するリスクといった点、従業員間で 保険料負担割合が異なり不公平感が生じる点などからの慎重な意見や反対の 意見もあった。 加えて、特例措置の期間や、併せて提案のあった特例がより広く活用される 環境整備の具体的な内容や財源などが不明確であることを懸念する意見もあ った。また、導入する際には、中小企業における保険料負担の軽減策を求める 意見やそうした軽減策は本部会の枠外で検討すべきという意見があった。 ○ 本特例の導入については賛成意見が多かったものの、制度の細部までは意 見が一致せず、一方で前述のような慎重意見や反対意見が多くあり、部会とし て意見はまとまらなかった。政府において、本部会での意見を踏まえて、本特 例の妥当性や、仮に導入するとした場合の中小企業への負担軽減策を含めた 具体的な制度案について、検討を深める必要がある。
A 第3号被保険者制度
→○ 第3号被保険者制度は、昭和 60 年年金改正法により、夫名義の年金で夫婦 2人が生活できるようになっていた給付設計を見直して、サラリーマン世帯 の専業主婦を国民年金の強制適用対象とし、自分名義の年金権を確立したも のである。これにより公的年金は、一人当たりの賃金水準が同じであれば、どの世帯類型でも負担、給付とも同じになる構造となっている。この認識に基づ き、平成 16 年年金改正法では、第2号被保険者の負担した保険料は夫婦で共 同負担したものとする規定が設けられた。
(検討の背景)→○ 第3号被保険者制度については、これまでの年金制度改正においても議論 が行われてきたが、近年では、「社会保障審議会年金部会における議論の整理」 (平成 27 年1月 21 日)において「まずは、被用者保険の適用拡大を進め、被 用者性が高い人については被用者保険を適用していくことを進めつつ、第3 号被保険者制度の縮小・見直しに向けたステップを踏んでいくことが必要で ある」との方向性が示されており、その後の「社会保障審議会年金部会におけ る議論の整理」(令和元年 12 月 27 日)においてもその方向性が踏襲されている。
○ こうした方向性も踏まえ、被用者保険の適用拡大が進められてきたところ だが、第3号被保険者の大半を女性が占めている中で、より多くの女性が就労 することによって新たに被用者保険の適用となるか、被扶養の範囲内にとど まるかを選択する必要が生じ、制度が働き方に影響を与えると意識されている機会が増えてきた。 このことは、いわゆる専業主婦世帯を念頭に創設された第3号被保険者制度 が、女性の就業率が上昇していること、専業主婦世帯が減少する一方で、共働 き世帯は増加していることなど、働き方が多様化する今の状況にそぐわないも のとなっている可能性があることから、働き方に中立的な制度となるよう、本 部会では改めて第3号被保険者制度を検討事項として取り上げて議論を行った。
(第3号被保険者の現状)→〇 2024(令和6)年7月末現在の第3号被保険者の総数は約 670 万人で、ピー ク時(1995(平成7)年)の約 1,220 万人より減少しているが、35 歳以上の 女性の約3割を第3号被保険者が占めている。2022(令和4)年現在では、第 3号被保険者の約4割が就労しており、週の平均的な労働時間は、20 時間以 上 30 時間未満が約3割、20 時間未満が約6割である。 また、2018(平成 30)年の平成 30 年度厚生労働行政推進調査事業費補助金 政策科学総合研究事業「高齢期を中心とした生活・就労の実態調査(H30-政策 -指定-008)」によれば、第3号被保険者の約6割は 18 歳未満の子と同居して おり、そのうち 30 代については約9割にも上っている一方で、年齢が上がる につれて同居する親の手助けが必要となる割合や健康上の問題で何らか日常 生活への影響がある割合が高まる傾向にある。 このように、第3号被保険者の中には、短時間労働者として働く者がいる一 方で、過半を占める非就業の中には、出産・育児や介護・看護のため、あるい は、健康上の理由のためすぐには仕事に就けない者など、様々な属性の者が混 在している状況にある。
(制度に対する評価)→○ 第3号被保険者制度に対する評価は様々であり、例えば、第3号被保険者制 度は、共働きの一般化や家族形態の多様化によって時代にそぐわない制度と なっており、もはやその役割は終えつつあると考えられること、第3号被保険 者制度自体に男女差はないものの実態として第3号被保険者の多くを女性が占めており、女性のキャリア形成を阻害し、男女間の賃金格差等を生む原因となっていること、社会保険制度内の不公平感の解消や社会の担い手の拡大を 図る必要があること等から見直しが必要との意見もあった一方で、様々な人 が混在する第3号被保険者に対する所得保障としての機能を有している、社 会保険のあるべき姿である応能負担の原則に基づく制度である等、第3号被 保険者制度の意義に着目した意見もあった。 また、労働時間や収入を問わず労働者が被用者保険に加入できるようにな った場合、第3号被保険者制度を維持したとしても、特定の収入や労働時間を 境に手取り収入が減少することはなくなり、「壁」は解消されることから、働 き控えの問題と第3号被保険者制度の是非は切り離して議論すべきとの意見 もあった。
(今後の取組の方向性)→○ 就労している第3号被保険者が第2号被保険者として厚生年金に加入する 途を開くことが重要であるとの認識は本部会で共有されており、第3号被保 険者制度に係る当面の取組の方向性としては、引き続き適用拡大を進めるこ とにより、第3号被保険者制度の縮小を進めていくことが基本的な方向性と なる。 ○ その上で、その先に残る第3号被保険者の中には様々な属性の者が混在し ている状況にあり、第3号被保険者制度の将来的な見直しや在り方に言及す る意見は多くあった一方で、次期改正における制度の在り方の見直しや将来 的な見直しの方向性については、意見がまとまらなかった。 具体的には、将来的な見直しの方向性について現時点で明示すべきとの意見、 第3号被保険者について将来的には廃止すべきなどの意見があった一方で、第 3号被保険者制度はセーフティネットに過ぎず、第3号被保険者であることが 被用者保険との関係で有利になったり、生涯収入において得をする制度設計に はなっていない、第3号被保険者制度を廃止して第1号被保険者にすることは、 「公的年金は、一人当たりの賃金水準が同じであれば、どの世帯類型でも負担、 給付とも同じになる構造」という設計思想や、「第2号被保険者の負担した保 険料は夫婦で共同負担したものとする規定」を見直すことであり、社会保障と して好ましくない応益負担の範囲を広げることになるといった意見があった。 ○ また、将来的な見直しに向けたより具体的な議論を行うためには、第3号被 保険者の実態に着目して、適用拡大を進めてもなお残る第3号被保険者を分 析していく必要があるとの意見や、検討会を設けて詳細な議論を行う必要が あるとの意見もあった。
○ 本部会としては、第3号被保険者制度をめぐる論点についての国民的な議 論の場が必要であるとの認識を共有した。 政府に対して、適用拡大を進めることにより、第3号被保険者制度の縮小・見 直しに向けたステップを着実に進めるとともに、第3号被保険者の実態も精緻 に分析しながら、引き続き検討することを求める。 ○ なお、今後の議論を行うにあたっては、以下のような論点があると考えられ、 これまで検討を積み重ねてきた成果として今後の議論に資することを期待す る。 ・ 所得保障の機能をどのように維持するか 第3号被保険者制度は第2号被保険者の配偶者という属性に着目した、包 括的な所得保障機能を有するが、制度を見直すとした場合に、所得保障の機 能をどのように損なわないようにすべきか。 ・ 給付と負担をどのように設定するか 現行制度では、夫(妻)のみ就労の世帯、夫婦共働き世帯など世帯構成に 関わらず、一人当たりの賃金水準が同じであれば、どの世帯類型でも一人当 たりの負担、給付とも同じになる構造となっている制度設計を踏まえ、第3 号被保険者制度を検討する場合には、年金給付と保険料負担をどのように設定するのか。 ・ 特定の者への配慮をどのように考えるか 第3号被保険者の中には様々な属性の者が混在しており、制度の在り方を 考える際には、一定の理由で就業できない、あるいは、希望する働き方を実 現できない者などに配慮することが必要となるが、働き方に中立的な制度を 構築するために、どのような措置が考えられるか。また、実務的に運用が可 能な仕組みや基準が考えられるか。 本部会では、第3号被保険者制度の見直しにあたって、病気や育児、介護などの理由で働けない人がいることを踏まえた支援が必要という意見があ り、具体的には、例えば、育児支援の観点から、第3号被保険者を第1号被保険者とした上で末子の年齢を基準にして保険料を免除するなどの配慮が 考えられるという意見があった。 ・ 第1号被保険者とのバランスをどのようにとるのか 配慮措置を導入する場合など、同様の配慮を求める第1号被保険者とのバ ランスをどのようにとるのか。 ・ 年金財政の構造をどのように考えるか 第3号被保険者から保険料を徴収する場合、第1号被保険者として整理し直して、国民年金勘定で保険料を徴収するのか、あるいは、第2号被保険者 に付随するものとして厚生年金勘定で徴収するのか。 ・ 第3号被保険者制度に付随する制度への影響 被扶養配偶者を有する被保険者が負担した保険料は夫婦で共同負担した との基本的認識を改める必要があるが、それに伴い、年金分割等の在り方も 検討する必要が生じる。 本部会では、第3号被保険者制度を廃止するということは、従来の公的年 金の設計思想が根本的に変わることになるため、一貫した整合性が確保でき るよう、具体的な制度全体の設計を示す必要があるという意見があった。
(広報の必要性)→○ 被用者保険に加入するメリットと合わせて、第3号被保険者制度に係る周 知・広報を行うことの重要性も指摘されており、第3号被保険者となることを 進んで選択することは年金給付の面で差がつくことや、生涯賃金やキャリア 形成等の面においても影響があることについて正確な情報を発信し、第3号 被保険者は得だという意識を変えていくことが必要である。そのためには、 2024(令和6)年財政検証で導入された年金額の分布推計で明らかになった、 厚生年金の加入期間の延長による将来の女性の給付額の増加について周知・ 広報に取り組むとともに、個々人のベースで老後の生活設計をより具体的に イメージできるようにするための仕組みとして整備されている公的年金シミ ュレーターといったツールも活用しながら、年金制度を正しく理解してもら うための普及・啓発を進めることも、女性の年金確保にとって重要である。

3 在職老齢年金制度の見直し
(基本的な考え方)
→ ○ 公的年金においては、保険料を拠出した者に対し、それに見合う給付を行う ことが原則であるが、2000(平成 12)年の年金制度改正(平成 12 年年金改正 法)において、少子高齢化の進行などにより現役世代の負担が重くなる中で、 60 代後半で報酬のある者は年金制度を支える側にまわってもらうという考え 方から、賃金と年金の合計額が現役世代の賃金収入を上回る者は、在職老齢年 金制度による支給停止の対象とすることとなった。 ○ その後、少子高齢化の一層の進行などを踏まえ、平成 12 年年金改正法後の 平成 16 年年金改正法においては、将来の現役世代の負担が重くなることを避 けるための更なる対応として、保険料水準の上限を定め、積立金も活用しつつ、その財源の範囲内で給付水準を調整するマクロ経済スライドを導入したこと で、長期的な給付と負担のバランスを確保している。 ○ 平成 16 年年金改正法による財政フレームでは被保険者の増加は将来の給付 水準の向上につながる。2024(令和6)年財政検証において、労働参加の進展 による支え手の増加が年金の財政状況、すなわち将来の給付水準にプラスの 影響をもたらしており、働く意欲のある高齢者の活躍を促進することは年金 制度にとっても重要となっている。 ○ 在職老齢年金制度については、高齢者の就労促進の観点から見直しを求め る声がある。しかし、2024(令和6)年財政検証のオプション試算でも確認さ れたとおり、見直しによる就労の変化を見込まない場合、働く年金受給者の給 付が増加する一方、将来の受給世代の給付水準が低下することを踏まえ、在職 老齢年金制度の見直しに慎重な意見も存在する。 こうした中で、高齢期の就労と年金をめぐる調整については、年金制度だけ で考えるのではなく、税制での対応や各種社会保障制度における保険料負担 等での対応を併せて、今後とも検討していくべき課題であるとされた一方で、 就労に与える影響が一定程度確認されている 60 台前半の就労、特に 2030(令和 12)年度まで支給開始年齢の引上げが続く女性の就労を支援するという観点等から、令和2年年金改正法では、60 歳から 64 歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度(低在老)について見直しが行われた。 ○ 現在のところ 65 歳以上の在職老齢年金制度による就業抑制効果について実 証研究に基づく定量的な確認はされていないが、2024(令和6)年の内閣府「生活設計と年金に関する世論調査」に基づくと、60 代後半の3割強が「厚生年金を受け取る年齢になったときの働き方」の問に対し、「年金額が減らないよ うに、就業時間を調整しながら会社などで働く」と回答しており、一定程度の 高齢者は在職老齢年金制度の存在を意識しながら働いている様子が伺える。 〇 また、多くの産業に人手不足が生じ、就業者も高齢化していく中、在職老齢 年金制度に関心を有する一部の業界へ同制度の影響を聞いたところ『人材確 保や技能継承等の観点から、高齢者活躍の重要性がより一層高まっているが、 在職老齢年金制度を意識した就業調整が存在しており、今後、高齢者の賃金も 上昇していく傾向にある。高齢者就業が十分に進まないと、サービスや製品の 供給に支障が出かねない』といった旨の声も寄せられた。既に中小企業の深刻な人手不足についての指摘もある中、少子高齢化が進行し、こうした状況が今 後様々な業界へと波及することもあり得る。
(見直しの方向性)→○ 本部会の議論では、
・ 保険料を拠出した者に対し、それに見合う給付を行うという公的年金の原 則との整合性 ・ 高齢者の活躍を後押しし、できるだけ就業を抑制しない、働き方に中立的な仕組みとする観点 から、現行の在職老齢年金制度を見直すことで概ね意見は一致した。 ○ 具体的な見直し案について、部会では、賃金と老齢厚生年金の合計額による 支給停止の基準額(現行は 50 万円)を引き上げる案と、廃止案について議論したが、特定の案に意見はまとまらなかった。具体的には、高齢者の就労促進や保険料を拠出した方にそれに見合う給付を行う年金制度の原則を踏まえて、 支給停止の基準額の引上げから始めて、将来的な廃止まで段階的に見直すべ きという意見、将来世代の給付水準の低下に配慮を求める意見、制度を撤廃することで年金制度の原理原則との整合性を高めつつより納得性の高い年金制度にすることが重要という意見、撤廃に伴って税制上の対応等を求める意見があった。 〇 本部会での意見を踏まえて、政府において具体的な制度の見直し案について検討を行う必要があるが、検討結果によっては、基準額の引上げにとどまり、 引き続き在職老齢年金制度が存続する可能性がある。 仮に制度が残る場合には、高齢者の就労インセンティブを阻害する影響や、 あるいは就労が増加することによる経済全体へのプラスの影響等について引 き続き実態の把握や分析が重要である。 また、賃金以外の収入がある者との公平性の観点から総収入をベースに年金 額を調整する制度とすることなど、調整方法そのものの見直しに関する意見、 在職老齢年金制度が正確に理解されていない中で、感覚的に就業調整を行っている事例に対して周知・広報を求める意見があったところであり、こういった 意見も踏まえて引き続き検討を進めるべきである。
4 標準報酬月額上限の見直し
(基本的な考え方)
→○ 厚生年金保険法においては、標準報酬月額の上限の考え方を法律に規定し、 政令で上限を追加することが可能となっている。これは、平成 16 年年金改正 法で、保険料率の引上げスケジュールがすべて法定化されたことに伴い、導入されたものである。 ○ 具体的には、各年度末時点において、全被保険者の平均標準報酬月額の2倍 に相当する額が標準報酬月額の上限を上回り、その状態が継続すると認められる場合には、政令で、新たな上限を追加することが可能である。 当該改定ルールに基づき、2020(令和2)年には、現在の上限である 65 万 円が追加された。 ○ 厚生年金では 2024(令和6)年時点で、標準報酬月額の上限等級(65 万円) に該当する者の割合は 6.5%となっており、健康保険の1%未満という割合と 比較すると、多くの者が上限等級に該当している。また、上限等級に該当する 者の割合が女性よりも高い男性では、上限等級が最頻値である。 加えて、上限の額について、健康保険の 139 万円と比べると、平成 16 年年 金改正法以降では差が大きく開いている。 ○ 現行の上限改定ルールの法定化以降、2020(令和2)年9月の1等級の上限 引上げを経ても、厚生年金保険において、上限等級に多くの者が該当している 状態が継続している。 ○ 上限等級を追加した場合には、新たな上限等級に該当する者の報酬比例部分 が増加するとともに、保険料収入が増加し、これが給付に反映されるまでの間 の積立金の運用益が増加することにより、厚生年金受給者全体の将来の給付 水準も上昇し、高齢期の経済基盤の安定、所得保障・再分配機能の強化につながる。 ○ なお、現行の上限改定ルールは、給付額の差があまり大きくならないようにする観点から設定されており、こうした考え方も意識しながら、ルールの見直しを行う必要があるが、年齢別の標準報酬月額分布の現状をみると、長期間に わたり上限に該当し続ける者はほぼおらず、今回のルールの見直しが直ちに 極端な給付額の差を生むとは考えがたい。
(見直しの方向性)→ ○ 上限該当者は、負担能力に対して相対的に軽い保険料負担となっている中、今後、賃上げが継続すると見込まれる状況において、負担能力に応じた負担を 求める観点や将来の給付水準全体にプラスの効果をもたらす所得再分配機能 の強化の観点から、現行の標準報酬上限額の改定のルールを見直して新たな 等級を追加することについては概ね意見は一致した。なお、上限を引き上げる ことの負担感は、被保険者本人にも事業主にとっても相当大きいものである ことに留意が必要との意見があった。 ○ この新しい改定ルールについては、健康保険法の改定ルールを参考に、上限 等級に該当する者が占める割合に着目して上限等級を追加することができる ルールが考えられる。その際には、男女ともに上限等級に該当する者が最頻値 とならないような観点を踏まえつつ、事業主負担への配慮から、引き上げられ る上限は小幅に留めるとともに、必要があれば影響等を検証しつつ段階的に 引き上げるべきとの意見もあり、本部会での意見を踏まえて、政府において具 体的な制度の見直し案について検討が必要である。 ○ なお、2024(令和6)年財政検証のオプション試算で確認されたとおり、標準報酬月額の上限の見直しにより、所得代替率へのプラス影響が存在する。そのため、在職老齢年金制度の見直しによる所得代替率へのマイナス影響と相 殺する形での見直しを求める意見があった一方で、単なる財源対策とするべ きではないとの意見もあった。 その他、中間程度の等級該当者に比べ、上限該当者の賞与の支給がないこと も踏まえて、給与と賞与のバランスに関わらず、公平に負担を求められるよう な仕組みが必要といった意見や標準報酬月額制度そのもののあり方の見直しも検討すべきとの意見もあった。

5 基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了
(議論の背景)→○ 現行の年金制度では、少子高齢化が進む中にあっても、将来にわたり現役世代の保険料負担の上昇を抑えるとともに、将来の年金額を確保するため、マクロ経済スライドによる給付調整により、賃金や物価の伸びより年金額の伸び が抑えられている。 ○ マクロ経済スライドは持続可能性の確保のために必要な措置であるが、名目下限措置の下デフレ経済が続いたことで、マクロ経済スライドによる給付 調整の期間は長期化している。2024(令和6)年財政検証では、特に、基礎年金(1階)の給付調整は、政府が目指す成長型経済移行・継続ケースでは 2037 (令和 19)年度に終了すると見込まれる
一方、過去 30 年の状況を投影した経 済前提では、報酬比例部分(2階)の給付調整が 2026(令和8)年度の終了 見込みである中で、30 年以上にわたり続き、その水準は長期にわたって低下 する見込みである。この場合、将来においては、厚生年金の受給者を含めた年 金額が低下するとともに、所得再分配機能も低下し、低所得層ほど年金額の低 下が大きくなる。 ○ 本部会では、デフレ経済が継続した過去 30 年の状況を投影した経済前提を中心に、年金制度の持続可能性を確保しつつ、将来の公的年金全体の給付水準の向上を図る観点から、公的年金全体としてマクロ経済スライドによる給付調整をできる限り早期に終了させていくことが議題としてあげられた。
(見直しの考え方)→
○ 上記の背景も踏まえ、基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整を早期に終了させる場合の具体的な方法として、国民年金と厚生年金それぞれの財政均衡を維持した上で、報酬比例部分(2階)のマクロ経済スライドを継続し、基礎年金(1階)と報酬比例部分(2階)の調整期間を一致させ、公的年金全体として給付調整を早期に終了させるため、現行の被保険者数の人数割 に加え積立金も勘案して計算する基礎年金拠出金の算定方法の変更と併せて 事務局から提案された。 ○ これらの見直しは、以下を踏まえて提案されたものである。 ○ 現行制度上も厚生年金の保険料(18.3%)には基礎年金(1階)分も含まれるため、厚生年金の保険料や積立金は、報酬比例部分(2階)だけでなく、基礎年金(1階)の給付にも充てられている。 ○ その上で、賦課方式である年金制度における積立金は、毎年度の保険料を給付に充て、余った残余が積み立てられてきたものであり、積立方式のように個人の持ち分という考え方はなく、被保険者が制度間を移動しても積立金は移 動しない。 そうした中で、令和3年度における老齢基礎年金の算定基礎となる期間を 見ると、第1号被保険者期間のみである者は 65 歳受給権者の3%、全受給権 者の 8.1%であり、ほとんどの者は第2号被保険者や第3号被保険者の期間を持っている。加えて、年金給付が大きくなった現在、保険料の残余はほぼなく、現在の積 立金は、過去の被保険者の保険料の残余が積み立てられ、運用により増大してきたものである。
(見直しに当たっての論点)→○ 過去 30 年の状況を投影した経済前提では、給付調整の早期終了を講じた場合、調整終了後の年金水準は、99.9%を超えるほぼ全ての厚生年金受給者で上 昇する見込みとなるものの、報酬比例部分(2階)の調整期間が継続することで、現行制度の見通しと比べ、この期間中に厚生年金を受給する者は、一時的に年金水準が低下することとなる(ただし、平成 16 年年金改正法当時の見通しと比べれば高い水準となる。)。 この一時的な年金水準の減少の影響を令和6年度の年金額改定に当てはめて単年度で見ると、いわゆるモデル年金(2人分)で月額 370 円程度、厚生年 金期間中心の者(1人分)で月額 360 円程度、第1号被保険者期間中心の者(1人分)で月額 40 円程度、年金額の伸びが抑えられることとなる。 ○ この報酬比例部分(2階)の給付調整の継続と財産権との関係という論点について、いわゆる特例水準の解消について合憲とした判決の中で、マクロ経済 スライドは「我が国における少子高齢化の進展が見込まれる中で、世代間の公平に配慮しながら前記の財政の均衡を図りつつ年金制度を存続させていくた めの制度として合理性を有するものとして構築された」とされていることも 踏まえ、マクロ経済スライドの終了がそもそも社会経済情勢によるため不確定なものであること、将来の給付水準の確保のため、現在の給付水準からの低 下を抑える措置であることなどから合理性があると考えられるのではないか、 その際には、同時に、報酬比例部分(2階)の調整期間の継続に当たって、際 限なく続くことのないよう、調整の期間上限を定める必要があるのではないか、との意見があった。 ○ また、早期終了措置を講じる場合には、将来の基礎年金水準が上昇する結果、 現行制度と比べて国庫負担が増加することとなる。こうした国庫負担の増加は、基礎年金のマクロ経済スライドの調整終了以降(2024(令和6)年財政検証で過去 30 年の状況を投影した場合では 2037(令和 19)年度以降)に生じることとなるため、それまでに安定した財源の確保が必要となる。 〇 他方、年金額への影響は前提とする社会経済状況によって大きく異なり、労 働参加の進展や運用利回りの改善など、社会経済状況が良くなれば、マクロ経済スライドによる給付調整は現在の見通しよりもそもそも早期に終了できる 可能性がある。前述のとおり、成長型経済移行・継続ケースでは 2037(令和 19)年度に基礎年金(1階)の給付調整が終了し、その時点の所得代替率は 57.6%になると見込まれる。現行制度に加え、1の被用者保険の適用拡大を行 う場合は将来の所得代替率が 59.3%を確保できる。
(本部会における議論)→○ 本部会における議論では、過去 30 年の状況を投影した経済前提を中心に、 全国民共通の基礎年金が将来にわたって一定の給付水準を確保することの重 要性については、委員の意見が概ね一致した。この観点から、今後の経済が好調に推移しない場合に発動されうる備えとしてはマクロ経済スライドの早期終了の措置を講じることについて賛成の意見の方が多かった。 一方で、慎重な意見もかなりあり、見直し後の給付と負担の構造が分かりづ らいことや報酬比例部分(2階)の調整期間の延長により足下の年金の給付水 準が下がる場合があること、基礎年金水準上昇に伴う国庫負担の増加に対応 した財源確保の見通しが曖昧であることなどから国民の理解が得られるのか というものや、厚生年金の積立金を基礎年金(1階)の給付水準の向上に活用 することは、実際に厚生年金保険料を負担している被保険者や事業主の理解 が得られるのかというものもあり、部会として意見はまとまらなかった。 その他にも、被用者保険の適用拡大を行った場合にも基礎年金の給付水準 が向上することを踏まえ、厚生年金の積立金が第1号被保険者の基礎年金(1 階)に充当される額を減少させる観点から、オプション試算で示した所定労働 時間が週 10 時間以上の全ての被用者を適用することも含めて、被用者保険の適用拡大を進めることを求める意見や将来世代への負担の先送りとならないように早期終了の措置を講じる上では財源確保を前提とすべきという意見、 将来の基礎年金の給付水準の向上の手段として最も自然な対応として基礎年金の拠出期間延長をより優先して取り組むべき、国民年金財政自体の改善努力も示すべきという意見などがあった。 政府においては、保険料や積立金の使途を明確にして、基礎年金をめぐる仕 組みの透明性向上を図り国民にわかりやすく丁寧に説明し、課題についての 関係者の理解に努めるとともに、将来の水準確保に向け、マクロ経済スライド の早期終了の措置に関して、上記の経済が好調に推移しない場合に発動され うる備えとしての位置づけの下、さらに検討を深めるべきである。

次回も続き「U 次期年金制度改革等 6 高齢期より前の遺族厚生年金の見直し等
からです。

第24回社会保障審議会年金部会 [2025年01月23日(Thu)]
第24回社会保障審議会年金部会(令和6年12月24日)
議事 社会保障審議会年金部会における議論の整理(案)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241224.html
◎資料1 社会保障審議会年金部会における議論の整理(案)
T はじめに
1 これまでの年金制度改革の経緯↓

○ 我が国の公的年金制度の基本的な構造は、1985(昭和 60)年の年金制度改 正(昭和 60 年年金改正法)によって、それまで国民年金と厚生年金で別建て になっていた体系から、給付について新たに全国民を共通とした1階の基礎 年金(国民年金)と2階の報酬比例部分(厚生年金)に再構成されたことを基礎とする。 その際、それまで夫名義の年金で夫婦2人が生活できるようになっていた給付設計を見直して、サラリーマン世帯の専業主婦を国民年金の強制適用対象と し、第3号被保険者として自分名義の年金権を確立した。これにより公的年金 は、一人当たりの賃金水準が同じであれば、片働き、共働きなど世帯類型に関 わりなく負担、給付とも同じになる構造となった。この認識に基づき、2004(平 成 16)年の年金制度改正(平成 16 年年金改正法)では、第2号被保険者の負 担した保険料は夫婦で共同負担したものとする規定が設けられた。 なお、給付に必要な保険料財源については、第1号被保険者、第2号被保険 者、第3号被保険者に大別された国民年金被保険者の種別に応じて、第1号被保険者は定額の保険料、第2号被保険者は労使折半による報酬に対する定率の保険料、第3号被保険者は厚生年金制度全体の負担により賄う仕組みにするとともに、基礎年金給付のための基礎年金拠出金の仕組みが整備された。また、 配偶者や子どもに着目した加算や加給年金についても再設計が行われた。 こうした昭和 60 年年金改正法で導入された仕組みを基に、現在(2022(令和4)年度)の公的年金制度では、約 6744 万人の被保険者が年間約 41 兆円の 保険料を負担し、国庫負担約 13 兆円と合わせて、約 3975 万人に対して年間約 53 兆円の給付が行われることで、老後の所得保障の柱として重要な役割を担っている。
○ 2025(令和7)年は昭和 60 年年金改正法から 40 年に当たる年であり、2026(令和8)年には新制度発足下で当時 20 歳だった被保険者が 60 歳となり、 40 年という基礎年金拠出期間を終えることになる。 この間、年金制度を取り巻く社会経済の状況は大きく変化し、年金制度にも 様々な影響を与えてきた。少子高齢化の進行は、公的年金の給付と負担に影響 を与えるとともに、平成に入ってから我が国が経験したデフレ経済は、年金制 度の財政状況にも影響を及ぼした。 人口構造の変化や日本経済の低迷は、将来の公的年金制度の在り方の議論に つながり、昭和 60 年以降も約5年に1度のタイミングで行われてきた年金制 度改正では、将来的な制度の持続可能性の確保が大きな課題となった。
○ この点で大きな転機となったのは、平成 16 年年金改正法により導入された 財政フレームである。平成 16 年年金改正法前は、5年ごとの財政再計算の際 に、給付と負担を見直していたが、少子高齢化の影響によって、財政再計算毎 に保険料負担が増加する見通しが示され、現役世代にとっては、将来が見通し にくく、年金制度に対する不安につながっているという意見が強まった。 平成 16 年年金改正法では、それまでの給付と負担の見直し方法を改め、将 来の財源を固定し、その範囲内で給付水準を自動的に調整する方式を導入した。 具体的には、@保険料水準の引上げスケジュールを明記した上で将来の保険 料水準の上限を固定し、A基礎年金の国庫負担を2分の1へ引き上げることと した。さらに、B財政の均衡を図る期間を概ね 100 年とした上で、積立金を活 用することとした。この@からBにより、財源の枠組みを固定した上で、C少 子高齢化の中でも財政均衡期間で年金財政が均衡する水準まで、年金の給付水 準を自動的に調整する仕組み(マクロ経済スライド)を導入した。これにより、 長期的な年金財政の枠組みが構築され、年金制度の将来への不安の解消を図っ た。ただし、マクロ経済スライドについて、年金の名目額を維持するところま でしか給付調整を行わない措置(名目下限措置)がとられたために、その後の 発動に当たってデフレ経済の影響を受けていくこととなった。
○ 2004(平成 16)年に導入された財政フレームは、現在も年金制度の基本的 なスキームであり、将来の年金制度の持続可能性を考える上での根幹となっている。 平成 16 年年金改正法で上限が固定された保険料水準は、予定通り 2017(平成 29)年に上限に到達し、それ以降は実質的な引上げは行われておらず、現役世代の負担への配慮が継続されている。 また給付面では、社会保障と税の一体改革の中で、消費税率引上げによる増 収分を活用して国庫負担割合の2分の1への引上げが完成した他、制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準を確保するため、2016(平成 28)年の年金 制度改正(平成 28 年年金改正法)では、マクロ経済スライドについて名目下限措置を維持しつつ、賃金・物価上昇の範囲内で前年度までの未調整分を調整するルール(キャリーオーバー制)と、賃金・物価スライドについて賃金変動が物価変動を下回る場合には賃金変動に合わせた改定をする考え方(賃金スラ イド徹底)を導入した。 マクロ経済スライドは、名目下限措置により長引くデフレ経済下で調整が 発動しない年が続き、2015(平成 27)年度に初めて発動したが、給付水準の調整は遅れ、将来的な年金給付水準が低下した。平成 28 年年金改正法で導入 されたキャリーオーバー制によって、発動できなかった分は本来発動すべき年から数年内に解消し、将来の給付水準の確保に一定の貢献をしている。
○ 社会経済状況に目を転じれば、働き方の多様化によって、パートタイムやア ルバイトといった非正社員の働き方が広まり、従来、フルタイム相当以外の適 用を除外していた厚生年金が適用されないような働き方をする者が増加した。 これらの者は、従来の自営業者を想定した国民年金の第1号被保険者とは異なるものの、フルタイムの正社員を想定した第2号被保険者(厚生年金被保険 者)には当てはまらないような働き方であり、被用者保険(厚生年金保険・健 康保険)における適用範囲について再度の検討が求められた。これを受けて、 2012(平成 24)年の健康保険法・厚生年金保険法の改正では要件を満たす短 時間労働者への適用が実現し(2016(平成 28)年 10 月施行)、2020(令和2) 年の改正まで段階的に拡大してきた。 働き方の多様化は、第3号被保険者制度にも影響し、女性の就業率の高まり や共働き世帯の増加によって、いわゆる専業主婦を想定していた第3号被保 険者のうち約4割が就労するようになり、それに伴う被扶養認定基準や被用 者保険の適用要件を意識した働き方から、いわゆる「年収の壁」の問題が意識 されることとなった。
○ また、平均寿命や健康寿命の延伸や高い就労意欲から、高齢者の就業が進み、 高齢者は社会経済の支え手としての重要性を増していった。より多くの人が 以前よりも長く多様な形で働く社会となることを展望した上で、高齢期の経 済基盤の充実のために、2020(令和2)年の年金制度改正(令和2年年金改正法)では、60 代前半の在職老齢年金制度の見直しや繰下げ受給制度の 75 歳ま での拡充など、高齢者の働き方に関わる制度の見直しに取り組んだ。 その後も、多くの産業に人手不足が生じ、就業者も高齢化していく中、高齢 者就業がサービスや製品の供給の前提となる業界も存在するほど、高齢者は重要な役割を果たしている。

2 令和2年年金改正法成立後の検討→○ 令和2年年金改正法の前提となった 2019(令和元)年の財政検証では、2014 (平成 26)年財政検証を踏襲して、引き続きオプション試算(被用者保険の更なる適用拡大、保険料拠出期間の延長と受給開始時期の選択肢の拡大等)を実施し、本部会では、その結果を参照しながら制度改革の議論を行った。 その結果、2020(令和2)年5月には、被用者保険の適用拡大の促進(@短時間労働者の適用に関する企業規模要件の 500 人超から 50 人超までの段階的引下げ、A常時5人以上の従業員を使用する個人事業所に係る適用業種への士業の追加等)、60 歳から 64 歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度の支給停止基準額の引上げ等を行う令和2年年金改正法が成立した。なお、令和2年年金改正法は、与野党共同提出の修正案は全会 一致で賛成、修正部分除く政府案も概ね賛成の上、成立している。 ○ 令和2年年金改正法の成立後、2022(令和4)年 10 月から再開した本部会では、上記のようなこれまでの改革の経緯に加え、年金制度を取り巻く社会経 済状況の変化や令和元年の本部会の議論の整理、令和2年年金改正法の検討 規定や附帯決議、委員から寄せられた課題等を踏まえ、幅広い事項を取り上げて議論を開始した。 ○ 各テーマのうち、被用者保険の適用範囲については、令和2年年金改正法の規定により、法成立以後に初めて作成される財政検証等を踏まえ、検討を加え、 その結果に基づき必要な措置を講ずることとされている。また、全世代型社会 保障構築会議においても、国民の価値観やライフスタイル、働き方の多様化が進む中で、格差の固定化や貧困の防止を図り、社会の分断を防ぐ観点からも、 働き方、雇い方に中立的な社会保障制度の構築が求められてきた。 以上を踏まえ、2024(令和6)年2月より、「働き方の多様化を踏まえた被 用者保険の適用の在り方に関する懇談会」(保険局長及び年金局長が開催)において、適用拡大に伴う関連データや動向の検証、関係者からのヒアリング等による実態把握、更なる適用拡大に伴う諸課題の分析・整理が行われ、2024(令和6)年7月3日に議論の取りまとめが行われ、本部会にも報告された。 ○ また、被用者保険の加入には、報酬比例部分の年金が基礎年金に上乗せされるなど給付面のメリットがある一方で、国民年金第3号被保険者が被用者保険に加入する際に、新たに保険料が発生することによる手取りの減少を避けるため、就業調整が行われ、希望どおりに働くことが阻害されているとの指摘があり、いわゆる「106 万円の壁」として対応が求められた。また、第3号被 保険者が、被用者保険に加入せず年収が 130 万円を超えて、第1号被保険者 になる場合には、新たに保険料が発生しながら給付は変わらないことを踏ま えた就業調整については、いわゆる「130 万円の壁」として対応が求められた。 ○ こうした背景の下、2023(令和5)年 10 月からは「年収の壁・支援強化パ ッケージ」が開始された。 いわゆる「106 万円の壁」については、キャリアアップ助成金により、短時 間労働者が被用者保険の適用による手取り収入の減少を意識せず働くことが できるよう、賃上げや所定労働時間の延長のほか、被用者保険適用に伴う保険 料負担軽減のための手当(社会保険適用促進手当)により労働者の収入を増加 させる取組を行った事業主に対する支援を行うとともに、事業主が支給した 社会保険適用促進手当については、適用に当たっての労使双方の保険料負担 を軽減するため、新たに発生した本人負担分の保険料相当額を上限として被 保険者の標準報酬月額等の算定において考慮しないこととした。 また、いわゆる「130 万円の壁」については、事業主の証明による被扶養者 認定の円滑化として、被扶養者の生計維持等の認定基準である年収 130 万円 未満であることを医療保険者等が判断する際に、労働時間延長等に伴う一時 的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで迅速な判断を可能と した。 これらの措置は、当面の対応策で時限を定めた上で講じられたものが多く、 終了後も見据え、制度的な対応の検討が併せて求められた。 ○ こうした背景も踏まえて、「経済財政運営と改革の基本方針 2024」(令和6 年6月 21 日閣議決定)等の各種閣議決定・政府決定でも、働き方に中立的な 年金制度の構築等を目指すこととされ、短時間労働者への被用者保険の適用 拡大、いわゆる「年収の壁」を意識せず働くことができるような制度の見直し が、課題として盛り込まれている。 ○ 加えて、令和2年年金改正法の法案審議過程では、附帯決議の中で基礎年金水準の低下への対応の検討が求められた。1つは、基礎年金の拠出期間の 45 年への延長の検討である。加えて、財政検証において、基礎年金が厚生年金に 比べ、マクロ経済スライドによる調整期間が長期化する見通しで、所得代替率 のうち基礎年金相当部分の水準低下が大きくなることが予想されていることを踏まえた対応の検討も求められた。 ○ 本部会では、こうした政府等における課題の設定や社会経済状況の変化を 踏まえつつ、被用者保険の適用拡大、高齢期と年金制度の関わり等、年金制度において改革を進めるべき事項について、2022(令和4)年 10 月から 2024(令 和6)年 12 月までの○回にわたり、精力的に議論を行った。この中で、公的年金と私的年金の連携については、本部会と企業年金・個人年金部会の合同開 催を初めて行った。また、部会の内容への国民のアクセス向上、制度や見直し 案の理解促進の観点から、議事録の早期の公開や公開までのアーカイブ配信 の試行を行うこととした。

3 2024(令和6)年財政検証→○ 2024(令和6)年は、5年に1度の財政検証を行う年であり、同年7月3日 に財政検証結果が公表され、本部会に報告された。2019(令和元)年の本部会 の議論のとりまとめにおいて、内容の充実も含めて、次のように、オプション 試算を重視した改革論議を進めていくべきとされた。 「社会経済状況に応じて5年に1度財政検証を行う公的年金制度には、制度改革、その効果検証、社会保障の動向把握、年金財政の現状把握と将来像の投影というPDCAサイクルが組み込まれている。このサイクルにおいて、オプション試算は社会経済の変化に対応した改革志向の議論を進めていく上で必要不可欠なものである。今後とも、課題に対応した内容の充実も含めて、オプション試算を重視した改革論議を進めていくべきである。」 こうした経緯も踏まえ、2024(令和6)年財政検証は、新しい将来推計人口と幅広い経済前提の設定に基づき試算を行うだけでなく、被用者保険の更なる 適用拡大、基礎年金の拠出期間の延長・給付増額、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了(調整期間の一致)、在職老齢年金制度、標準報酬月額上限等、 制度改革を実施した場合を仮定したオプション試算を実施した。 また、従来から示しているいわゆる「モデル年金」の年金額や所得代替率の将来見通しに加え、世代ごとの 65 歳時点における老齢年金の平均額や分布の 将来見通し(年金額の分布推計)を初めて実施した。 ○ この財政検証の結果からは、以下の点が明らかになった。 @ 1人当たり成長率をゼロと見込んだケースを除き、現行の年金制度の下でも、引き続き、所得代替率 50%の給付水準を今後概ね 100 年間にわたり 確保できることが確認できた。また、近年の女性や高齢者の労働参加の進展や積立金の好調な運用等により、2019(令和元)年財政検証に比べ、将来の 給付水準の向上が確認できた。 A 一方で、平成 28 年年金改正法による年金額の改定ルールの見直し以前の名目下限措置ゆえのマクロ経済スライドの未発動の影響を報酬比例部分に 比べ強く受けた基礎年金の調整期間が長期化し、過去 30 年の経済状況を投 影した保守的なケースでは、30 年以上の調整が必要となる結果、将来の基 礎年金の給付水準が低下する見通しとなった。 B 被用者保険の更なる適用拡大では、適用拡大を 90 万人、200 万人、270 万 人、860 万人の4つのケースで試算を行い、対象者の規模が大きいほど所得代替率や基礎年金の水準確保に効果が大きいことが確認できた。 C 基礎年金の拠出期間の延長・給付増額、基礎年金のマクロ経済スライドの 早期終了(調整期間の一致)は、基礎年金を含めた年金の水準確保に効果が 大きいことが確認できた。 D 65 歳以上の在職老齢年金制度や標準報酬月額上限の見直しについても試 算を行い、在職老齢年金制度については現在の働く年金受給者の厚生年金 給付の水準確保に、標準報酬月額上限の見直しについては上限該当者も含めて将来の厚生年金給付の水準確保に効果があることが確認できた。 E 年金額の分布推計により、若年世代ほど労働参加の進展により厚生年金の被保険者期間が延伸し、将来的な年金額の増加に寄与することが確認された。
4 次期年金制度改革の方向性→ ○ 本部会では、これまで見てきたような令和2年年金改正法以降の議論や、 2024(令和6)年財政検証結果を踏まえ、 ・ 平均寿命・健康寿命の延伸や家族構成・ライフスタイルの多様化、女性・高齢者の就業拡大、今後見込まれる最低賃金の上昇・持続的な賃上げという 社会経済の変化に対応する観点から取り組むべき課題 ・ 年金制度が有する所得保障機能の強化の観点から取り組むべき課題 への対応を大きな2つの柱として、次期年金制度改革に向けた具体的な見直しの方向性について、2024(令和6)年夏から精力的に議論を重ねてきた。 ○ 本部会の議論では、個別の検討課題については、それぞれの委員間で意見の 相違が見られたものの、検討項目全体を貫いて今後の制度改革の基本に置く べき考え方として、概ね以下のような方向性を共有した。@ ライフスタイル等の多様化の反映・働き方に中立的な制度の構築 基礎年金が創設されてからの 40 年間で、国民のライフスタイルは大きく変化している。単身世帯が増加するとともに、夫婦世帯においても、 かつては夫が生計を維持し妻が被扶養者となるいわゆる専業主婦世帯が 多かったが、平成以降は女性の就業参加が拡大する中で、共働き世帯が 専業主婦世帯を上回っており、近年はその差が拡大する傾向にある。 公的年金は、一人当たりの賃金水準が同じであれば世帯類型に関わりなく負担、給付とも同じになる構造となっていることは、先に述べた通 りである。 一方で、年金制度には、遺族年金制度のように従来の性別による固定的な役割分担を念頭に制度上の男女差がある制度や、加給年金など賃金 水準との関係ではなく扶養関係を前提にした制度が存在しており、ライフスタイルの多様化を反映した制度の在り方について議論を深める必要がある。 また、総人口の減少に伴う労働力人口の減少や、産業界から人手不足が指摘される中で、年齢や性別に関わりなく、誰もが意欲と能力に応じて就労できる機会の拡大が求められており、近年、女性や高齢者の就業 拡大している。 現行の被用者保険制度では、労働者の勤め先や働き方、企業の雇い方 の選択により適用が異なるほか、被用者保険が適用される際の保険料負 担の発生による手取りの減少を避けるため、就業調整が行われていると の指摘がある。また、高齢期に就労する際も賃金等の多寡によって老齢 厚生年金の一部又は全部が停止される制度(在職老齢年金制度)も課題として指摘されている。 次期制度改正に向けては、ライフスタイルの多様化を反映し、どのような働き方、雇い方を選択しても中立的な制度であって、就労インセンティブを阻害せず、より長く働いたことが年金給付に的確に反映される制度が求められる。 A 高齢期の経済基盤の安定や所得保障・再分配機能の強化 高齢期の所得保障の柱となるのは公的年金であり、そのうちの基礎年金 は、所得の多寡にかかわらず、全国民に共通して給付され、定額給付であることを通じて、2階の報酬比例部分の存在の下、所得再分配機能も有している。しかしながら、2024(令和6)年財政検証の結果では、5年前の検証と比べて将来の全体的な給付水準は上昇するものの、特に経済が成長型経済移行・継続ケースより低位で推移する過去 30 年投影ケースでは基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間が長期化し、将来的な基礎年金の給 付水準がより低下する見通しであることが示されている。↓
ケース         基礎年金調整終了年     基礎年金所得代替率
2019 年検証ケースW・X   2053〜2058 年度       21.9〜23.4%
2024 年検証過去30 年投影 2057 年度 23.5%
2019 年検証ケースT〜V 2046〜2047 年度 26.2〜26.7%
2024 年検証成長移行・継続 2037 年度 32.6%

これに対して、同時に行われたオプション試算では、 ・ 被用者保険の更なる適用拡大 ・ 基礎年金の拠出期間延長・給付増額 ・ 基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了(調整期間の一致) を行った場合には、いずれも基礎年金の給付水準を確保する上でプラスの効果があることが確認された。また、標準報酬月額の上限の見直しについては将来の厚生年金の水準にプラスの効果が確認された。 基礎年金と厚生年金を合わせた公的年金は、平均で、高齢者世帯の家計の収入の約6割を担っており、今回の改正においても、高齢期の経済基盤の安 定や所得保障・再分配機能の強化の観点から制度の在り方について検討する必要がある。
○ 以下、これまでの本部会における議論に沿って、次期年金制度改革の具体的 内容等について整理する。

次回も続き「U 次期年金制度改革等」からです。

第22回社会保障審議会年金部会 [2025年01月16日(Thu)]
第22回社会保障審議会年金部会(令和6年12月3日)
議事 (1)年金制度における子に係る加算等について (2)その他の制度改正事項について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241203.html
◎資料1 年金制度における子に係る加算等について
1 子に係る加算等について
○年金制度における子や配偶者に係る加算の現状→・公的年金制度においては、子や配偶者のいる世帯に対して、生活保障を目的としてその扶養の実態に着目し、子 や配偶者に係る加算を行っている。子に係る加算としては、障害年金・遺族年金ではそれぞれ障害基礎年金・遺族基礎年金の子に係る加算、老齢年金では老齢厚生年金(加給年金)として支給額を加算している。 ・ 子に係る加算の支給額は、第1子・第2子が234,800円、第3子以降は78,300円とされており、第3子以降への 加算額が第1子・第2子に比べて少ない。(※金額は令和6年度価格)
○年金制度における子に係る加算等について本日お願いする議論
→本日は、こうした制度の現状を踏まえ、子に係る加算等について、以下の項目について委員のご議論をお願いしたい。→・ 第3子以降の子に係る加算額の考え方  ・ 第1子、第2子を含めた全体としての子に係る加算額の考え方  ・ 厚生年金における加給年金の対象の範囲(障害厚生年金や遺族厚生年金のあり方、老齢厚生年金の加算要件 等)  ・基礎年金における子に係る加算の対象の範囲(老齢基礎年金のあり方や加算額の考え方等)に係る加算の国内居住要件  ・配偶者に係る加算の考え方
○年金制度における子に係る加算の見直し→こうした足もとの変化を受けて、年金制度においても、さらに、次代の社会を担う子どもの育ちを支援し、子を 持つ年金受給者の保障を強化する観点から、次のような視点で見直しを検討してはどうか。⇒ 視点@ 多子世帯への支援の強化(第3子以降の加算額を第1子・第2子と同額化) 子どもの育ちを支援するという目的を有する児童扶養手当において多子世帯への支援を強化する等、近接する 制度の状況を考慮し、公的年金制度における子に係る加算についても、第1子・第2子と同額となるまで、第3 子以降の支給額を増額してはどうか。 具体的には次の施策を検討してはどうか。 ・老齢厚生年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金について、第3子以降の加算額を第1子・第2子と同額化。 視点A 子に係る加算のさらなる拡充 子の出生時における親の年齢が上昇傾向にある中で、子育て期間中に定年退職等を迎え、主たる収入が年金となる親が増えていくことが想定されることから、年金制度における子に係る加算を拡充してはどうか。 具体的には次の施策を検討してはどうか。⇒ ・子に係る加算額(234,800円(令和6年度価格))の引上げ(※) ・老齢基礎年金、障害厚生年金及び遺族厚生年金について、新たに子に係る加算の対象に追加 その他、子の「国内居住要件」の設定、老齢厚生年金の子に係る加給年金の要件緩和(厚生年金加入期間要件 を10年に短縮)、厚生年金を優先する併給調整を行うこととしてはどうか。
(※)なお、引上げ額については、民間企業や公務員の子に対する扶養手当などを参考に検討してはどうか。

○年金制度における子に係る加算について(全体像)→子に係る加算を、厚生年金・基礎年金のいずれにおいても年金の種別に拠らない共通の制度※とし、子の出生順 位にかかわらず、一律の金額を加算してはどうか。 (※なお、厚生年金を優先する併給調整を行う。)

○老齢基礎年金における子に係る加算の検討↓
【支給要件の考え方】
→老齢基礎年金の受給権が発生した時点で、遺族基礎年金や障害基礎年金と同様の以下の要件を満たし、かつ、その 状態が維持されている者に子に係る加算を支給することとしてはどうか。 ・ 子の生計を維持 ・ 子が18歳未満(18歳になる年度末まで。子が障害等級1級または2級の状態にある場合は20歳未満。)
【加算額の考え方】→・子に係る加算は、子の数に比例して一律に定額を加算する仕組みである。遺族基礎年金や障害基礎年金については、 本体給付額も受給資格を満たす者に定額を給付する制度であるが、老齢基礎年金においては保険料の免除や納付猶予 等がある中で受給権者の保険料納付状況は様々であり、本体給付の受給額も様々である。 そのため、老齢基礎年金の受給権者間で不公平感が生じないようにする仕組みを検討してはどうか。 ・ 遺族基礎年金において、受給権の取得には長期要件として死亡した者に25年間の受給資格期間を求めている。一 方で、老齢基礎年金は受給資格期間10年間で受給権が発生するため、定額の給付である子に係る加算について、遺 族基礎年金の受給権者とのバランスを失することの無いような仕組みを検討してはどうか。 具体的には、加算額の満額支給の要件として、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計月数で25年間(300月) を求めることとし、300月に満たない受給権者はその月数に応じて調整することとしてはどうか。

○子に係る加算についての国内居住要件の検討→・次世代育成支援という類似の目的を有する制度として児童手当や児童扶養手当等が挙げられ、児童 手当や児童扶養手当では親・子の双方に原則、国内居住要件を設けている。例えば児童手当においては、次代の社会を担う子どもの育ちを支援するという観点から国内に居住する子どもに支給すること が制度目的に沿うと整理されてきた。 ・ 年金制度における子に係る加算の給付範囲について、こうした類似の目的を有する制度と整合的となることが望ましいが、子に係る加算の対象となる子についても国内居住要件を設けること(※)として はどうか。 (※)加算の対象である「子」に国内居住要件を設け、受給権者である「親」には現行どおり国内居住要件を課さないことを想定。  ・ 社会保険である年金制度において、加算の対象となる子の範囲に国内居住要件を設けることについ ては、今回の拡充後の子に係る加算の性格を踏まえ、以下のような視点から整理してはどうか。⇒・ 本体部分の年金給付は保険料の拠出と保険給付が対価的な関係にある。一方で、子に係る加算に ついては子の数に比例する定額給付であり、子の数に関わらず負担する保険料が不変であることを 踏まえると、原則として、加算部分の給付は保険料拠出と対価的な関係にはないといえる。 このような性格を持つ今回の子に係る加算の拡充は、次世代育成支援という政策的な目的で行う ものであり、その趣旨を踏まえれば、支給対象に一定の制約を設けることは政策的な配慮の範囲内 と整理できるのではないか。 ・ なお、これまで年金制度において、福祉年金等の保険料負担と結びついていない給付については 国内居住要件を設けて運用されている。

○配偶者加給年金(老齢厚生年金)の主な制度改正とその考え方について↓
・配偶者加給年金の制度趣旨
→老齢厚生年金・障害厚生年金の受給権発生時等に生計を維持する配偶者・子がいる場合に、その扶養の実態に着目し、当該 年金給付の額に加給年金額を加算する。
・昭和60年改正時の配偶者加給年金の考え方→・昭和60年改正において、第三号被保険者制度の導入により、被扶養配偶者である妻も強制加入となり、65歳から自らの老 齢基礎年金を受給できることとされた。昭和60年改正以前の旧法の老齢年金から新法の老齢厚生年金に移行するにあたって、 旧法の計算方法の考え方(夫名義の年金で夫婦2人が生活できるような給付設計)から妻の基礎年金部分と配偶者加給年金部 分等を切り出し、その部分を妻の老齢基礎年金とした上で、配偶者加給年金は配偶者が老齢基礎年金を受給できる65歳までの 間の有期給付とされた。 ・ また、妻が65歳に達するまでの世帯の年金水準と、第3号被保険者等であった妻が満額の老齢基礎年金を受給できる65歳 以後の水準との著しい格差が生じることのないように経過措置として、配偶者加給年金本体部分に特別加算を行うこととされ、 特別加算を合算した配偶者加給年金額が老齢基礎年金の満額の2分の1の額となるように設定された。
・現状と方向性→・ 上記のとおり、夫婦がともに65歳に到達し、基礎年金を受給するまでの間(一方が65歳以上、その配偶者が65歳未満である 間)は、受給権者の老齢基礎年金と配偶者加給年金額を加算した老齢厚生年金により世帯の給付水準を維持するという考え方 で配偶者加給年金が支給されている。 ・ 高齢期における就業が進展する中で、65歳前の配偶者が就労して報酬を得ているとしても、受給権者の老齢厚生年金に加算 されている加給年金が支給停止されることはなく、加給年金は単に生計維持関係(配偶者との同居と、配偶者の収入が850万 円未満であることが条件)にある65歳未満の年下の配偶者がいれば加算されることになる。(※) ・ 女性の就業率の向上に伴う共働き世帯の増加など社会状況の変化等を踏まえ、扶養する年下の配偶者がいる場合にのみ支給 される配偶者に係る加算の役割は縮小していくと考えられることから、現在受給している者への支給額は維持した上で、将来 新たに受給権を得る者に限って支給額について見直すことを検討してはどうか。
(※)65歳前に配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間240月以上)を受給している場合には、受給権者の配偶者加給年金は支給停止されるが、令和12 (2030)年度に女性の老齢厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げが完了する。


○配偶者加給年金(老齢厚生年金)の考え方について→・現行の配偶者加給年金は、本人の年齢に関わらず配偶者の年齢等により受給の可否が決まるため、現行の制度に改正された昭和60 (1985)年からの社会状況の変化を踏まえると、受給権者間の公平性の観点からの課題もある。
・ 昭和60(1985)年改正時と現在(令和4(2022)年時点)を比較すると、女性の就業率が高まり共働き世帯が増加している。 また、女性の平均年金額や厚生年金の受給権者数も増加している。

○現役時代の経歴類型の変化(女性)→労働参加の進展により、若年世代ほど厚生年金の被保険者期間の長い者(厚年期間中心の者)が増加し、1号期間や3号期間中心の者が減少する見通し。特に女性は、厚生年金に加入しながら働く者の増加による将来の平均年金額の伸びや低年金の減少が大きい。

2 参考資料
○これまでの年金部会における主なご意見(加給年金)↓
【加給年金の基本的な在り方】
→5意見あり。・ 障害厚生年金の配偶者加給年金は、老齢厚生年金と同様に、妻が専業主婦という旧来のモデルにおいて、配偶者を扶養しなければな らない分、保障を厚くするという考え方に基づいている。しかし、共働き世帯が増えており、配偶者に所得がある障害者は、配偶者が いない障害者と比べて世帯所得が増えるといった優位な立場にあることを踏まえると、配偶者加給年金の位置づけを改めて考える必要 性がある。
【繰下げ受給への影響】→2意見あり。・ 繰下げ受給に悪影響を与えている加給年金は、女性の特老厚の年齢の引上げに伴い、制度の矛盾がこれから加速していく。加給年金の改革は時間との戦いであり、問題はどのように改革していくかに絞られている。
【経過措置の必要性等】→2意見あり。・ 今後、振替加算の対象者が徐々にいなくなっていくタイミングとしては、配偶者加給年金もその役割を果たしたと言える。なお、加 給年金は老齢によるものに限られず、対象者も配偶者だけではないため、それぞれについて議論が必要。
【老齢厚生年金の加給年金(子)、障害厚生年金の配偶者加給年金について】→2意見。・ 老齢厚生年金における配偶者加給年金は公平性の観点からもその役目というのは既に終えたと考えられるが、障害厚生年金における 配偶者加給年金、老齢厚生年金の子に対する加給年金は、それとは分けて考えたほうがよいのではないか。

○公的年金制度の年金給付における加算一覧→「老齢」「障害」「遺族」欄  参照。
○厚生年金における各種加算の支給要件について→加給年金の子 参照。
○基礎年金における各種加算の支給要件について→老齢基礎年金の受給権が発生した時点(65 歳以上)で、以下の要件を満たし、かつ、 その状態が維持されていること⇒・子の生計を維持。・子が18歳未満(18歳になる年度末まで) ※障害等級1級・2級の子は20歳未満。
○主な他制度の状況→児童扶養手当、児童手当の欄参照。
○児童扶養手当と公的年金の併給調整→@ 障害基礎年金等以外の公的年金等(※1)を受給している者(障害基礎年金等は受給していない者)は、公的年金 等の額が児童扶養手当額を上回る場合、児童扶養手当は全額支給停止。A 障害基礎年金等(※2)を受給している者は、児童扶養手当の額が障害年金の子の加算部分の額を上回る場合、そ の差額を児童扶養手当として支給(※3)。
○配偶者加給年金の特別加算について→配偶者加給特別加算…年上の夫が老齢年金を受け始めてから、年下の妻に老齢基礎年金が支給されるまでの間の年金水準の確保 を図るための加算であり、老齢厚生年金にのみ存在している。


◎資料2 国民年金保険料の納付猶予制度について
○納付猶予制度に関する検討の方向性
・納付猶予制度の利用状況
→納付猶予期間は、老齢基礎年金等の受給資格期間に算入され、当該期間中に障害状態に陥った場合に障害年金の受 給につながる等の保障はあるが、10年以内に追納を行わない限り老齢基礎年金の受給額には反映されない。 納付猶予を受けた者が10年以内に追納を行う割合は7.0%(2024年時点)に留まっており、納付猶予を受けたとし ても追納が可能な10年以内で追納する者は少なく、最終的に本人の老齢基礎年金の受給額につながらない者が多い状 況にある。また、学生納付特例を受けた者が10年以内に追納を行う割合の8.9% (2024年時点)と比較しても追納す る者の割合は少ない。 一方で、平成28(2016)年7月より30歳以上50歳未満の者まで納付猶予対象者の年齢を拡大したことから、新た に対象となった30歳以上の者については、納付猶予を利用してから追納可能である10年間を経過しておらず、最終的 な追納状況を把握することが困難であり、引き続き全体的な追納率を捕捉していく必要がある。
・方向性→こうした現状を踏まえ、今後の取扱いを検討するに当たっては丁寧に実態を把握する観点から、30歳以上50歳未満 の者が最初に追納期限である10年を迎える令和8年以降に改めて納付猶予制度の最終的な追納動向等を把握すること とし、今回の年金制度改正においては以下の通り進めてはどうか。⇒• 被保険者の対象年齢の要件は現行通り。(被保険者が50歳未満であること。) • 令和12年6月までの時限措置を、令和17年6月まで5年間延長。

○納付猶予制度の現状と課題
・納付猶予制度の現状
→【納付猶予制度の導入と変遷】【納付猶予制度の導入時からの変化】【適用者の状況等】参照。
・納付猶予制度の課題→・納付猶予制度は、将来の無年金・低年金を防止するために設けられ、現在も一定数の者が利用しているが、令和12年6月までの時限措 置とされている。 ・納付猶予適用者の中には、世帯主に一定の所得があり保険料負担能力がありながらも納付猶予が適用されている場合がある。
・方向性→令和12年6月までの時限措置とされている納付猶予制度について、将来の無年金・低年金を防止する役割を維持しつつ、将 来の年金給付につなげるため、以下のように考えてはどうか。 (1)納付猶予制度については、被保険者の対象年齢の要件は現行通り(被保険者が50歳未満であること。)とした上で、時 限措置を延長することを検討してはどうか。 (2)納付猶予制度の延長に際しては、制度の基本的な考え方は維持しつつ、所得要件については、本人及び配偶者の前年の 所得が一定額以下であっても、保険料納付の原則に立ち返って世帯主(親など)に一定以上の所得がある場合は納付猶 予の対象外とし、保険料納付を求めることを検討してはどうか。
(世帯構成が変化した場合における保険料免除への円滑な移行(運用上の整理))→全額免除と納付猶予制度では所得基準が同じであることから、世帯構成の変化により、新たに免除基準を満たす場合が生じる。納付猶予と異なり、保険料免除適用者は国庫負担分について将来の年金給付額につながることから、円滑に保険料免除へと移行される よう運用上の整理を行うことを検討してはどうか。⇒納付猶予制度の見直し案と現行制度との比較 参照。

○これまでの年金部会における主なご意見(納付猶予)
【時限措置の延長】
→4意見あり。・ 猶予制度の利用者も増えており、これにより無年金者等が減るのであれば継続という考えがある一方で、猶予制度自 体が将来の無年金につながっていないかを検討することも重要。
【所得要件の見直し】→6意見あり。・ 世帯主に一定の所得がある場合、保険料納付を求めることは無年金にならないために大事な観点だが、世帯主に子に 対する保険料納付を求めることが時代に逆行しないかという懸念はある。


◎委員提出資料
○第 22 回社会保障審議会年金部会の審議事項についての意見
2024 年 12 月 3 日 立教大学法学部 島村暁代
1 子にかかる加算
→ 次世代育成支援は年金制度の主たる目的ではないものの、制度における将来の支え手の 増加につながるもので、それを目的とすることには一定の合理性があるように思われる。そ のため、多子世帯への支援の強化や子に係る加算の更なる充実には基本的に賛成である。 その上で、老齢基礎年金について加算額を満額受給するには 25 年以上の保険料納付済期 間・保険料免除期間を必要とし、それに満たない場合には減額する案については、「次代の 社会を担う子どもの育ちを支援し、子を持つ年金受給権者の保障を強化する」という加算の 趣旨に鑑みると、疑問を挟む余地がある。そもそも加算は本体給付に比較すると保険料との 牽連性は弱いものであり、老齢基礎年金における子の加算にだけ、保険料との牽連性を考慮 することは適切なのだろうか。加算の趣旨である次世代の育成支援は、親の保険料納付状況 に左右されることなく行われるべきように思え、年金受給者の子育てコストに対して年金 制度の側で支援することには一定の合理性が認められるように思われる。 運用上の不正受給については厳正な対応が必要であるし、遺族基礎年金の場合とのバラ ンスの点では難しさを孕んでいるとは考えられるが、受給権の発生を認めるかという問題 と、認めた上で生じる加算の問題とでは問題状況が異なるようにも思え、次世代育成のため の必要性を根拠に加算として割り切ることもありうるのではないかと考えている。
2 配偶者に対する加給年金→上記の通り、子にかかる加算は積極的に推進する立場であるが、他方で配偶者に対する加 給年金については廃止を含めた見直しが必要と考えている。というのも、制度の発足当初は 必要性が認められたものの、1985 年改正前の制度との接続という制度趣旨は既に役目を終 えたと考えられるし、また女性の就業率の向上や共働き世帯の増加等の社会情勢の変化も 起きているからである。これらの点を踏まえると、現状では年金受給者が年下の配偶者を扶 養する制度の必要性には疑問を挟む余地が大いにある。 高齢期の就労も盛んになり WPP 構想も含めて多様な選択肢がありうる中で、公的年金の 強みである終身性を活かすには繰下げ制度は重要な選択肢である。しかし、加給年金は繰下 げの足かせとして機能しており、看過できない。現在の受給者等に対する配慮は必要である が、将来的には配偶者への加給年金は廃止する方向で検討する必要性が高いと思われる。
3 国民年金保険料の納付猶予制度 追納率が非常に低い結果を踏まえると、このような制度が本当に必要かは再考する必要 性が高いと考えられる。制度の存続の是非については 5 年後に再検討するとして、再検討に 際しては、追納された方がどのタイミングで追納されたのか、追納の時点についてもお示し いただけると有難い。というのも、制度の必要性についての分析がしやすくなるからである。 例えば 2 年以内の追納が多ければより一層制度の必要性は低いと考えられるからである。

○令和 6 年 12 月 3 日 第 22 回年金部会の議事に関する意見
東北大学大学院法学研究科 嵩さやか
1 配偶者加給年金に関する「方向性」について

配偶者加給年金は、子への加算と同様、扶養する配偶者・子の存在に着目して年金額を 加算するものであり、保険料拠出との牽連性は弱い給付である。そのため、その制度設計 や見直しは、現在の受給者の既得の権利への影響に配慮しながらも、その時々の社会状況 や年金財政等を勘案した政策的判断に広く委ねられるべきものであると言える。 配偶者加給年金の制度創設時の意義は十分理解できるものの、昨今の女性の就業率の上 昇により、年下の被扶養配偶者がいる場合にのみ加算されるという仕組みが、被保険者間 の不合理な不均衡をもたらすと捉えられるおそれが増していると思われる。また、資料で も指摘されているように、企業でも配偶者手当を廃止し、子どもへの手当に収れんしてい く傾向がみられる中、公的年金制度においても、限られた財源を、より社会的要請の高い 仕組みに効果的に配分していくことが必要と考える。 こうしたことから、現在の受給者に配慮しながらも、将来的には、配偶者加給年金の縮 小・廃止に向けた検討が必要と思われる。その際には、遺族年金の生計維持要件と同じ、 高い収入要件で良いのか、といった点についても検討を要すると思われる。

2 子の加算について
・次世代育成支援という目的は、公的年金制度の本来的・中心的な目的ではなく、その目的 に特化した他制度の守備範囲とも考えられる。もっとも、賦課方式を基本とする公的年金 制度にとって、次世代の育成は制度の根幹を維持するために不可欠の前提であるため、公 的年金制度としても、児童手当制度等の進展と歩調を合わせる形で次世代育成支援の仕 組みを強化していくことは望ましい方向性と思われる。
・子の加算は、配偶者加給年金と同様に保険料との牽連性は弱くその時々の社会状況や年金 財政等を勘案した政策的判断に広く委ねられていると考えられることに加え、日本社会 の将来を担う次世代育成という視点から、国内居住要件の追加はありうる選択肢と考え られる。もっとも、海外居住の受給者について、受給者と同居し生計維持関係にある子に 支給されないことは、受給者に扶養されている子の存在に着目した生活保障を目的とす る加算の趣旨にそぐわないため、国内居住要件の例外を一定程度認めることが必要と考える。
                        以上

次回は新たに「令和6年第15回経済財政諮問会議」からです。

第19回社会保障審議会年金部会 [2025年01月03日(Fri)]
第19回社会保障審議会年金部会(令和6年11月5日)
議事 (1)多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方について (2)その他の制度改正事項について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241105.html
◎資料1 社会保障審議会年金部会におけるアーカイブ配信について
○社会保障審議会年金部会におけるアーカイブ配信について
【年金部会における御意見】
→令和6年7月30日開催の第17回社会保障審議会年金部会において、部会における説明や議論の内容を、幅広く国民が確認でき、制度や見直し案についての理解を促進する観点から、会議のアーカイブ配信を行うべきとの意見があったところ。
【今後の対応の方向性】→・会議の議事録は、可能な限り速やか(会議後1週間を目途)に公表することとしてはどうか。・ 部会の正式な記録は議事録とする方針を維持しつつ、下記の方法により、会議の音声記録のアーカイブ配信を試行的に実施してはどうか。⇒会議後から議事録公開までの間、会議の音声記録を配信してはどうか。 委員からの申し出があれば、当該委員の音声記録の全部又は一部を公開しないことができる ものとしてはどうか。 ・試行中に必要があれば、上記の方法を適宜見直すこととしてはどうか。


◎資料2 多様なライフコースに応じた年金の給付水準の示し方について
○年金の給付水準の示し方に関連する論点について
→・ 第15回年金部会において、いわゆるモデル年金以外の多様な年金額を広報する観 点から、単身世帯の賃金水準に応じた年金額とその組み合わせに応じた多様な世帯構成の年金額をお示しした。その際に「若い世代がイメージしやすくなるために、 例えば20代、30代、40代と、特に家族形態やライフスタイルが大きく変化している年代別に、将来もらえる年金額や水準のモデルを示してはどうか。」といったご意見をいただいた。 ・令和6年財政検証において、各世代の老齢年金の平均額や分布の将来見通し(年金額分布推計)を作成したことから、これを活用し、将来の年金額をイメージでき る年金額の示し方として、事務局で作成した検討例についてご議論いただきたい。

○第1 5回年金部会における主なご意見↓
【年金水準の示し方の検討例について】

(年代に着目する視点)→2視点あり。・ 毎年の年金額の改定、今年は何%の改定でしたのでこうなりますといって示す際にはこういったものがいいかと思う。 ただ、財政検証の参考資料などとして、遠い将来の年金水準が幾らになりそうだということを示す際には、20代、30代、 今の40代が将来年金を受給する際には、その世代の平均的な世帯構成を踏まえた年金額というものを示してはどうか。
(男女差・働き方に着目する視点))→3視点あり。・ 男女の収入の平均だけではなく、例えば非正規の人の収入の中央値などについてもあるといい。収入の0.75倍とい うのも高いと感じる。
(世帯類型に着目する視点)→1視点あり。・ 男女の収入の平均だけではなく、例えば非正規の人の収入の中央値などについてもあるといい。収入の0.75倍というのも高いと感じる。

○年金額分布推計を踏まえた多様な年金水準(2024年度65歳になり年金を受け取る者の例)→「令和6(2024)年財政検証 年金額分布推計」に基づき2024年度に65歳になり年金を受け取る者(1959年度生まれの者)の年金額を 経歴別に提示すると「一人あたりの老齢年金額(月額)@〜➄」のとおり。
○現役時代の経歴類型の変化(女性)→労働参加の進展により、若年世代ほど厚生年金の被保険者期間の長い者(厚年期間中心の者)が増加し、1号期間や3号期間中心の者が減少 する見通し。特に女性は、厚生年金に加入しながら働く者の増加による将来の平均年金額の伸びや低年金の減少が大きい。
○現役時代の経歴類型の変化(男性)→労働参加の進展により、年世代ほど厚生年金の被保険者期間の長い者(厚年期間中心の者)が増加し、1号期間中心の者が減少する見通し。
○老齢年金の年金月額分布(2024年度に65歳(1959年度生)と30歳(1994年度生)の比較) ー女性、経歴類型別ー→参照のこと。
○厚生年金の被保険者期間分布(2024年度に65歳(1959年度生)と30歳(1994年度生)の比較) ー女性、経歴類型別ー→  参照のこと。
○老齢年金の年金月額分布(2024年度に65歳(1959年度生)と30歳(1994年度生)の比較) ー男性、経歴類型別ー→参照のこと。
○厚生年金の被保険者期間分布(2024年度に65歳(1959年度生)と30歳(1994年度生)の比較) ー男性、経歴類型別ー→参照のこと。
○(参考 )公的年金シミ ュ レー ターによる将来の年金見込み受給額試算について→「公的年金シミュレーター」は、将来受け取る年金見込み受給額を固定して表示するだけではなく、個々人の働き方暮らし方の変化に よる多様なライフコースに応じた様々なパターンの年金見込み受給額を簡単な入力で試算・表示することが可能。

≪参考資料≫
○年金額の将来見通し (令和6(2024)年財政検証 年金額分布推計)
→成長型経済移行・継続ケース(実質賃金上昇率(対物価)1.5%)⇒年金額(物価上昇率で2024年度に割り戻した実質額)は、実質賃金上昇と、労働参加の進展による厚生年金の加入期間の延伸が上昇要因とな る一方、マクロ経済スライド調整が低下要因となる。成長型経済移行・継続ケースでは、実質賃金上昇率が高いことからマクロ経済スライド調整 期間においてもモデル年金、平均年金額は物価の伸びを上回って上昇し、低年金も減少していく見通し。
○年金額の将来見通し (令和6(2024)年財政検証 年金額分布推計)→過去30年投影ケース(実質賃金上昇率(対物価)0.5%)⇒年金額(物価上昇率で2024年度に割り戻した実質額)は、実質賃金上昇と、労働参加の進展による厚生年金の加入期間の延伸が上昇要因とな る一方、マクロ経済スライド調整が低下要因となる。過去30年投影ケースでは、マクロ経済スライド調整期間におけるモデル年金(特に基礎年 金)は物価の伸びを下回るものの、女性の平均年金額は、労働参加の進展に伴う厚生年金の加入期間の延長により物価の伸びを上回って上 昇し、概ね賃金と同等の伸びとなる見通し。低年金も減少していく見通し。
○現役時代の経歴類型の変化(生年度別) ー現行制度、男女計ー→労働参加の進展により、若年世代ほど、厚生年金期間中心の者が増加し、1号期間中心や3号期間中心の者が減少する見 通し。
○現役時代の経歴類型の変化(性、生年度別) ー現行制度ー→労働参加の進展により、若年世代ほど、厚生年金期間中心の者が増加し、1号期間中心や3号期間中心の者が減少する見 通し。
○多様な世帯構成を踏まえた年金水準の示し方(検討例@)→【単身世帯のイメージ】参照。
○多様な世帯構成を踏まえた年金水準の示し方(検討例A)→【単身世帯のイメージ】参照。


◎資料3 その他の制度改正事項について
1.離婚時の年金分割の請求期限の延長
○離婚時の年金分割の請求期限の延長
→現行の2年以内から5年以内に伸長する。
○離婚時の年金分割制度→「合意による分割(離婚分割)5割が上限。」「被扶養配偶者からの請求による分割(3号分割)分割の割合は2分の1(法定)。又は単独で請求を行うことができる」

2.被用者年金一元化に伴う 厚生年金拠出金の按分率に係る特例措置の終了
○被用者年金一元化に伴う厚生年金拠出金の按分率に係る特例措置の終了
→【見直しの方向性】⇒私学共済の保険料率が法律で定めるとおり令和9年度(2027年度)から18.3%に引き上がり、全実施機関の保険料率が統一される ことに伴い標準報酬按分率の経過措置が令和8年度をもって終了すること、2024年の財政検証において、支出費按分率を用いる激 変緩和措置を終了したとしても、一元化検討当時に懸念されていた一部の実施機関の財政が悪化する事態が発生しないことが確認 されたことから、当該激変緩和措置についても令和8年度(2026年度)で終了する方向で検討する。
○(参考)保険料率の統一→公務員は平成30年(2018年)、私学教職員は令和9年(2027年)から保険料率は18.3%となる。
○(参考)激変緩和措置の終了による影響→・平成19年(2007年)の被用者年金一元化法(※)の検討において、私学共済の財政状況が他の実施機関に比べて相対的に悪化する ことが見込まれていたため、私学共済の保険料率が引き上がる令和8年度までの間、支出費按分を導入することとした。 ※被用者年金一元化法案は平成19年に一度国会に提出したが審議未了により廃案。その後、平成24年に再提出し同年8月成立。 ・ 2024年財政検証では、令和8年度(2026年度)で支出費按分を終了する場合、私学共済の長期的な積立金は、支出費按分終了後で も他の実施機関と比べて高い水準で推移する見込みであるが、仮に支出費按分の終了を5年遅らせた場合、私学共済の積立金は、 他の実施機関と比べて更に高い水準で推移し、乖離することになる。

次回は新たに「若者が主体となって活動する団体に関する調査研究 有識者会議(第2回)」からです。

第18回社会保障審議会年金部会 [2024年11月21日(Thu)]
第18回社会保障審議会年金部会(令和6年9月20日)
議事(1)「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に 関する懇談会における議論の取りまとめ」(2)その他の制度改正事項 (3)公的年金シミュレーターについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20240920.html
◎資料4 公的年金シミュレーターについて
1 公的年金シミュレーターの開発経緯と概要
○年金広報に関する年金部会における 「議論の整理 」(令和元年 1 2月 )↓
・年金広報のあり方
→• 働き方の多様化、高齢期の長期化が進む中、老後の所得保障や退職後の生活設計の情報に対するニーズは高まっている。年金制度については、広報媒体の多様化や世代の特性も踏まえつつ、様々な媒体を適切に用いた周知を行いながら、正しい情報を正確に伝え、関係者の理解を得ていくことが重要。 • 年金に関して様々なウェブサイトがあることで、かえって知りたい情報にアクセスすることが難しいとの指摘もあったことから、2019(平成 31)年4月、厚生労働省ホームページ上に、ライフイベントごとに必要な年金情報が整理されたサイトである「年金ポータル」が開設された、引き続き広報の充実・強化に取り組むとともに、戦略的な広報展開を検討すべきである。
・生涯を通じた年金教育→個別の制度の仕組みや個々人の状況の情報提供にとどまらず、誰もが人生を歩んでいく上で避けることのできないリスク(年金制度の場合は 稼得能力の喪失)に対して、社会全体で連帯して備える社会保障制度という大きな枠組みの中で、貯蓄ではなく保険の考え方を基本に構築されている年金制度の意義や位置付けを理解してもらうことも重要、子どもの頃から生涯を通じた年金教育の取組を進める必要がある。
・被用者保険の適用拡大→• 短時間労働者に対する適用拡大を進めるに当たっては、被用者保険加入によるメリットへの理解を十分に広めながら取り組むことが望まれる。 • 企業が従業員への説明に使えるよう、または労働者本人が自ら被用者保険加入のメリットを実感することができるとともに、自らの適用状況 が適切であるかを確認できるよう、非専門家でも理解しやすい説明ツールを整備することも必要である。
・年金の見える化→高齢期の生活は多様であり、それぞれの方が望ましいと考える生活水準や、働き方の希望、収入・資産の状況なども様々である。公的年金制度に関する関心内容として「自分が受け取れる年金はどのくらいか」が最も高くなっており、制度自体の広報・周知に加えて、個々人の老後の 公的年金の支給額等がいくらとなるか若い頃から見通せるようにすることが、老後生活や年金に対する不安を軽減するためにも重要である。 次期制度改正で、高齢者が自身の就業状況等に合わせて年金の受給開始時期の選択肢を60〜75歳までに拡大することも踏まえれば、その必要性は一層高まる。こうした観点から、これまでも「ねんきんネット」による年金見込額試算の充実などが取り組まれているが、さらに、公的年金、私的年金を通じて、個々人の現在の状況と将来の見通しを全体として「見える化」し、老後の生活設計をより具体的にイメージできるよ うにするための仕組みを検討すべきである。

○現行の公的年金シミュレーターの概要→・公的年金シミュレーターは、令和2年改正年金法を分かりやすく周知すること、働き方や暮らし方の変化に伴う年金額の変化を「見え る化」することを目的として、令和4年4月から運用を開始した。 ・ ねんきん定期便の二次元コードを読み取るなどして将来の年金受給見込額を簡単に試算でき、働き方や暮らし方の変化に応じた年 金額の変化も試算できる。令和5年4月に年金受給開始時点での税や保険料の大まかなイメージを表示する機能を追加し、同年7月 には民間サービスとの連携に向けたプログラムを公開、令和6年1月には在職定時改定の試算機能を追加した。・ 公的年金シミュレーターを利用して、実際に試算を行った回数は令和6年9月10日時点で500万回超。
○公的年金シミ ュ レー ターによる将来の年金見込み受給額試算について→「公的年金シミュレーター」は、将来受け取る年金受給見込額を固定して表示するだけではなく、個々人の働き方暮らし方の 変化による多様なライフコースに応じた様々なパターンの年金受給見込額を簡単な入力で試算・表示することが可能。
○公的年金シミュレーターの活用促進の取組→・令和6年4月に更改した社会保険適用拡大特設サイトや適用拡大に関する広報物に、公的年金シミュレーターの二次元バーコードや利用案内を掲載し、適用拡大の対象者などが社会保険に加入したときの年金額の変化を試算できるように している。 ・ 令和6年5月に公表した中高生向けの年金教材で公的年金シミュレーターを取り上げ、学生が働き方などの変化に伴う 年金額の変化を試算しながら、年金の仕組みを理解できるようにしている。
○公的年金シミュレーターの活用促進の取組(金融経済教育との連携)→令和6年4月に発足した金融経済教育推進機構(J-FLEC)が8月に公表した標準講義資料で、公的年金制度などの説明 に合わせて公的年金シミュレーターとねんきんネットを紹介している。

2 公的年金シミュレーターのこれまでの議論の状況
○これまでの年金部会における主なご意見(公的年金シミュレーター)
→【年金制度改正】【民間連携】【年金教育での利用促進】【ライフプランに合わせた利用促進】【公的/私的を合わせた制度周知・個人の年金の状況の見える化】 参照。
○公的年金制度への意識・ニーズについて(令和5年 世論調査)→・「老齢年金の仕組みや役割についての認識」の問に対して、「学生を含めた20歳以上の国民は、国民年金に加入する義務がある」ことを知っている人は82.0%、「60〜75歳までの間で受け取り始める時期を選択できる」ことを知っている人は73.0%であった。・ 障害年金の仕組みがあることを知っている方は59.6%、遺族年金の仕組みがあることを知っている方は77.3%だった。
○障害年金制度への意識・ニーズについて@(令和5年 世論調査)→・障害年金の仕組みがあることを知っているか聞いたところ、「18〜29歳」は43.7%、「30〜39歳」は56.0%、「40 〜49歳」が55.8%、「50〜59歳」が57.4%、「60〜69歳」が66.1%、「70歳以上」が65.4%だった。特に、20代の方 の障害年金の仕組みの認知率が他の世代に比較して低かった。
○障害年金制度への意識・ニーズについてA (令和5年 世論調査)→「障害年金について詳しく知りたいこと」の問いに対し、回答全体で見ると「障害の程度・保険料納付実績等受給のための要件」の割 合がが67.1%と最も高かった。また、20代から50代の方は「障害年金を請求する方法」、「障害年金の額や計算方法、シミュレーション の仕方」について知りたいとの回答が高かった。
○私的年金制度への意識・ニーズについて(令和5年 世論調査)→「私的年金制度について、詳しく知りたいこと」の問に対し、回答全体で見ると「加入のメリット」の割合が48.9%と最も高かった。 また、特に30代から50代の方は「将来の受給可能見込額」について知りたいとの回答の割合が高かった。

3 次期公的年金シミュレーターの開発方針と新たな機能
○次期公的年金シミュレーターの開発方針と新たな機能
→令和4年4月から運用している現行の公的年金シミュレーターの保守、運用が令和7年度末で終了することから、年金 部会などでのご意見を踏まえ、以下の案により、令和8年4月から新たに運用を開始する予定の「次期公的年金シミュ レーター」の開発を進めることとしてはどうか。⇒次期公的年金シミュレーターの開発方針(案)、次期公的年金シミュレーターの機能(案) 参照。
○次期公的年金シミュレーターの新たな機能を設ける目的→障害年金の試算機能を設ける目的(案)、iDeCoの試算機能を設ける目的(案)  参照。
○(参考)諸外国の例(就労不能給付の表示)→次期公的年金シミュレーターにおいては、障害年金の基本的な仕組みや特徴を分かりやすく国民に周知することが考 えられる。具体的には、一定の支給要件を満たした場合、障害基礎年金(2級)については、保険料納付期間にかか わらず老齢基礎年金満額(40年加入)と同額が支給されることや、障害厚生年金については、被保険者期間が300月 (25年)未満でも300月とみなして年金額が計算されること、障害が重い場合(1級)には年金額が1.25倍になるこ となど、最低保障機能が強化されていることを理解しやすいように、ユーザー視点から簡素で見やすい設計にするも のとし、専門家の助言・監修を踏まえ、画面設計を行う。


◎参考資料1 働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会 議論の取りまとめ   2024(令和6)年7月3日
働き方の多様化を踏まえた被用者保険の 適用の在り方に関する懇談会
○目 次

T.はじめに
U.これまでの被用者保険の適用拡大の状況
(1)制度改正の変遷 (2)適用拡大の状況等
V.被用者保険の適用に関する基本的な視点
(1)被用者にふさわしい保障の実現 (2)働き方に中立的な制度の構築
(3)事業所への配慮等
W.短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方
(1)労働時間要件 (2)賃金要件 (3)学生除外要件 (4)企業規模要件
X.個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方
Y.多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方
(1)多様な働き方の実態 (2)複数の事業所で勤務する者 (3)フリーランス等
Z.おわりに

(別紙1)働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会構成員名簿
(別紙2)働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会議論の経緯


◎参考資料2 被用者保険の適用拡大 参考資料集
1.被用者保険の適用拡大に関する基本情報↓

○被用者保険の適用拡大のこれまでの経緯
○被用者保険の更なる適用拡大についての検討規定・附帯決議
○全世代型社会保障構築会議 報告書(令和4年1 2月1 6日)(抜粋)
○全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)について(令和5年12月22日閣議決定)(抜粋)
○適用拡大の効果
○被用者保険に加入することによるメリット
○厚生年金保険に加入することによるメリット

○社会保険(健康保険)への加入のメリット@(傷病手当金)
○傷病手当金の特徴
○傷病手当金の支給状況
○社会保険(健康保険)への加入のメリットA(出産手当金)

2.短時間労働者に対する適用範短囲の在り方について↓
○短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大の概要
○短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大に向けた検討について
○短時間労働者に対する被用者保険の適用要件の考え方

○労働時間要件(これまでの議論の経緯@)
○労働時間要件(これまでの議論の経緯A)
○賃金要件(これまでの議論の経緯@)
○賃金要件(これまでの議論の経緯A)
○学生除外要件(これまでの議論の経緯@)
○学生除外要件(これまでの議論の経緯A)
○企業規模要件(これまでの議論の経緯@)
○企業規模要件(これまでの議論の経緯A)
○業種別のパート労働者の雇用状況
○従業者規模別の雇用者に占める「非正規の職員・従業員」の割合
○常用雇用者規模別の企業数の分布
○従業者規模別の「非正規の職員・従業員」数の分布
○短時間労働者を取り巻く雇用環境
○令和5年度の最低賃金について
○令和5年度 地域別最低賃金額一覧
○短時間労働者として働く理由や被用者保険の魅力度について
○第1号被保険者である会社員・公務員の基本給及び労働時間について
○第3号被保険者である会社員・公務員の基本給及び労働時間について
○学生の被保険者区分及び就業状況
○短時間被保険者数及び対象事業所の推移
○短時間被保険者の性別・年齢階級別分布
○短時間労働者の標準報酬月額別分布
○短時間被保険者の業種別分布
○被保険者全体の標準報酬月額別分布
○健康保険における標準報酬月額5.8〜7.8万円の被保険者について
○(参考)雇用保険法等の一部を改正する法律の概要
○(参考)雇用保険の適用拡大
○平成2 8年1 0月の適用拡大の対象企業における動向の変化について
○令和4年1 0月の適用拡大に伴う企業の調整方針及び雇用管理の見直し状況
○令和4年1 0月の適用拡大に伴う企業の平均所定労働時間の変化
○令和6年1 0月に向けた適用拡大に伴う企業の調整方針
○短時間労働者の任意適用 企業の活用理由
○短時間労働者の任意適用 適用後の変化
○適用拡大の短時間労働者への影響について
○配偶者がいる女性のパートタイム労働者の就業調整の有無・理由
○短時間労働者が意識する可能性のある「年収の壁」
○いわゆる「年収の壁」の概要とポイント
○いわゆる「年収の壁」に関する適用関係(イメージ)
○年末の就業調整と 被扶養認定基準(130万円)と被用者保険適用基準(106万円)について
○所得税に関する年収基準(配偶者)
○「年収の壁」への当面の対応策(「年収の壁・支援強化パッケージ」)概要

3.個人事業所に係る適用範囲の在り方について↓
○被用者保険が適用される個人事業所の非適用業種
○適用業種・非適用業種の分類
○被用者保険の強制適用事業所の変遷
○個人事業所に係る国会における議論@➁
○令和2年改正時の議論

○業種別の法人・個人事業所別の事業所数
○業種別の法人・個人事業所別の事業所比率
○業種別の法人・個人事業所別の常用雇用者数
○業種別の法人・個人事業所別の常用雇用者比率
○厚生年金保険の被保険者数(個人設立のみ)の推移
○産業別・規模別の任意包括適用事業所数
○労災保険・雇用保険の適用状況

4.多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方について↓
・複数の事業所で勤務する者関係↓

○複数事業所で被用者保険の適用要件を満たす者の適用関係について
○複数事業所で被用者保険の適用要件を満たす者の適用事務について
○複数事業所で被用者保険の適用要件を満たす者の適用事務(医療保険)
○複数事業所で被用者保険の適用要件を満たす者の適用事務(年金)
○令和2年改正における議論の経緯(複数事業所就業者関係)
○副業・兼業の現状(働き手側@)
○副業・兼業の現状(働き手側A)
○副業・兼業の現状(働き手側A:正規の職員・従業員)
○副業・兼業の現状(働き手側A:非正規の職員・従業員)
○複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用

4.多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方について↓
・フリーランス、ギグワーカー関係↓

○健康保険法・厚生年金保険法における「使用される者」の考え方@➁
○令和2年改正における議論の経緯(フリーランス・ギグワーク関係)
○被用者保険の更なる適用促進に向けた社会保険行政及び労働行政の連携について
○フリーランスの働き方@
○フリーランスの働き方A
○フリーランスとして働く方の人数及び年齢構成
○フリーランスとして働く方の産業大分類別の人数
○本業としてフリーランスを選んだ主な理由
○フリーランスとして働く方の年収

○フリーランスとして働く方の週間就業時間の状況
○主要国の年金制度の適用範囲(特に自営業者の扱い)
○諸外国における自営業者への年金制度の適用
○主要国の医療保障制度
○労働基準法の「労働者」に関する議論の状況
○労働基準法の 「労働者」の判断基準(昭和6 0年労働基準法研究会報告)
○労働基準関係法制研究会
○労働基準関係法制研究会 これまでの議論の整理@〜➃
○多様な就業者に対する5つのアプローチ(主な学説)
○カリフォルニア州における「AB5」(通称)
○アメリカ公正労働基準法における労働者と個人事業主の区別(被用者性判断基準)
○プラットフォーム労働における労働条件改善に関する指令案( E U )
○労災保険特別加入制度について
○フリーランス法の制定に伴う労災保険の特別加入制度の拡大について

5.広報等の取組↓
○従来の社会保険適用拡大コンテンツ
○好事例を踏まえた新たな広報コンテンツについて
○好事例を踏まえた新たな広報コンテンツ(労働者向けチラシ@)
○好事例を踏まえた新たな広報コンテンツ(労働者向けチラシA)
○好事例を踏まえた新たな広報コンテンツ(労働者向けショート動画)
○好事例を踏まえた新たな広報コンテンツ(人事労務管理者向け手引き)
○専門家活用支援事業について
○「GビズID」を活用した社会保険手続の電子申請について
○電子申請の利用促進に向けた周知・広報等
○中小企業におけるI T・ソフトウェアの分野別導入状況
○よろず支援拠点とは
○よろず支援拠点におけるワンストップ支援のイメージ
○価格交渉・転嫁を支援する全国的なサポート体制について

6.年金制度・医療保険制度の概要↓
○年金制度の仕組み
○保険料負担と年金給付 (国民年金・厚生年金)
○我が国の医療制度の概要
○医療保険制度の体系
○被用者保険者の概要
○適用拡大に伴う医療保険における加入者移動(イメージ)

次回は新たに「第8回労働政策審議会職業安定分科会 地方連携部会資料」からです。

第18回社会保障審議会年金部会 [2024年11月20日(Wed)]
第18回社会保障審議会年金部会(令和6年9月20日)
議事(1)「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に 関する懇談会における議論の取りまとめ」(2)その他の制度改正事項 (3)公的年金シミュレーターについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20240920.html
◎資料1 働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方について
○被用者保険の適用の在り方について本日お願いする議論→本日は、「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」において取り扱われた項目について委員のご議論をお願いしたい。 ↓

◆ 短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方→• 労働時間要件 • 賃金要件 • 学生除外要件 • 企業規模要件
◆ 個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方
◆ 多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方→• 複数の事業所で勤務する者 • フリーランス等

○被用者保険の適用拡大のこれまでの経緯→就労形態の多様化等を背景として、短時間労働者への被用者保険の適用に関する検討が2000年(平成12年)頃より行われて きたが、負担増となる事業主側の経営への影響に対する懸念等もあり、段階的に適用拡大の取組みを進めてきた。⇒平成16年改正〜令和2年改正の流れあり。 参照。
○短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大の概要→@➁Bあり。B令和2年の改正では、従業員50人超の企業等まで適用範囲を拡大。(100人超(2022年10月)→50人超(2024年10月))。                                                                                                                                                                                                                    
○短時間労働者に対する被用者保険の適用要件の考え方→@週の所定労働時間が20時間以上あること A賃金が月額8.8万円(年収106万円相当)以上であること B学生を適用対象外とすること C一定規模以上の企業を強制適用対象とすること  参照。
○短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大に向けた検討→企業規模要件、時間要件、賃金要件などの検討が考えられる。⇒更なる短時間労働者の適用拡大のイメージ 参照。
○被用者保険が適用される個人事業所の非適用業種→【被用者保険の適用事業所】 ⇒・ 常時1名以上使用される者がいる、法人事業所 (A) ・・・ 強制適用。 ・ 常時5名以上使用される者がいる、法定17業種に該当する個人の事業所 (B) ・・・ 強制適用。 ・ 上記以外 (C)・・・ 強制適用外(労使合意により任意に適用事業所となることは可能=任意包括適用)。
○適用業種・非適用業種の分類
→日本標準産業分類(大分類)、適用業種・非適用業種(個人事業主である場合)の区分  参照。
○これまでの年金部会における主なご意見(被用者保険の適用拡大)↓
・【適用拡大の意義】→3意見あり。 ・ 第1号被保険者の中に被用者が多いという状況は、被用者には被用者にふさわしい制度を適用するという原則から乖 離しており、どのような働き方をしてもセーフティネットが確保され、誰もが安心して働けるためには、適用拡大の徹 底が喫緊の課題。
・【企業規模要件・非適用業種】→4意見あり。・ 雇用形態、勤務先の企業規模や業種によって被用者保険の適用の有無が変わることは不合理であり、企業規模要件の 速やかな撤廃・個人事業所に係る非適用業種の見直しの議論を進めるべき。
・【週20時間要件・賃金要件】→7意見あり。 ・ 雇用保険の加入対象を週20時間未満の労働者に拡大する場合は、厚生年金についても労働時間要件の引下げについて 検討すべき。拡大で新たに対象となる労働者数などのデータを元に議論を進めてほしい。
・【フリーランス・ギグワーカー、副業・兼業】→4意見あり。 ・ 1つの企業に長く勤める方がいいと考える若者の割合は過去20年で最も低く、フリーランスやギグワーカーなどの新しい働き方が出てきていることを踏まえ多様化するキャリアを前提とした議論が必要。

○「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」について→本懇談会では、(1)短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方、(2)個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在 り方、(3)複数の事業所で勤務する者、フリーランス、ギグワーカーなど、多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方を主な議題として、被用者にふさわしい保障の実現、働き方や雇用の選択を歪めない制度の構築等の観点から検討を行い2024年7月3日に議論を取りまとめた。⇒構成員、経過、ヒアリング先 参照。

○被用者保険の適用に関する基本的な視点↓
・被用者にふさわしい保障の実現→国民の価値観やライフスタイルが多様化し、短時間労働をはじめとした様々な雇用形態が広がる中で、特 定の事業所において一定程度働く者については、事業主と被用者との関係性を基盤として働く人々が相互 に支え合う仕組みである被用者保険に包摂し、老後の保障や万が一の場合に備えたセーフティネットを拡 充する観点からも、被用者保険の適用拡大を進めることが重要。
・働き方に中立的な制度の構築→• 労働者の勤め先や働き方、企業の雇い方の選択において、社会保険制度における取扱いの違いにより、その選択が歪められたり、不公平が生じたりすることのないよう、中立的な制度を構築していく観点は重要。 • 賃上げが進む中で、短時間労働者がいわゆる「年収の壁」を意識した就業調整をすることなく、働くこと のできる環境づくりが重要、その際、被用者保険の意義や被用者保険への加入は、保険料が生じるものの、労働者にとってメリットがあることを分かりやすく発信していくことが必要。
・事業所への配慮等→• 適用拡大の対象となる事業所においては、事務負担が増加するとともに、新たな保険料発生に伴い経営へ の影響があると懸念されることから、そうした点に配慮しつつ、必要な支援策を講じる等、円滑な適用を 進められる環境整備が必要。 • 保険者が分立する医療保険制度においては、適用拡大に伴い、保険者間での被保険者の移動が生じること となり、保険者の財政や運営に影響を与えることとなる。適用拡大の検討に当たっては、被保険者等の構成の変化や財政等への影響を示した上で、保健事業の円滑な実施など保険者機能を確保する視点も含め、 医療保険制度の在り方についても着実に議論を進めることが必要。

○短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲の在り方→企業規模要件、労働時間要件、賃金要件、学生除外要件⇒検討すること。
○個人事業所に係る被用者保険の適用範囲の在り方 多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方→個人事業所に係る適用範囲、複数の事業所で勤務する者、フリーランス等⇒今後具体的検討すること。
○(参考) 被用者保険の更なる適用拡大を行った場合の適用拡大対象者数→雇用者全体 (2023年度時点) 5,740万人 ※70歳以上を除く
1.被用者保険の更なる適用拡大を行った場合→@:被用者保険の適用対象となる企業規模要件の廃止と5人以上個人事業所の非適用業種の解消を行う場合(約90万人拡大) A:@に加え、短時間労働者の賃金要件の撤廃又は最低賃金の引上げにより同等の効果が得られる場合(約200万人拡大) B:Aに加え、5人未満の個人事業所も適用事業所とする場合(約270万人拡大) C:所定労働時間が週10時間以上の全ての被用者を適用する場合(約860万人拡大) ・試算の便宜上、2027年10月に更なる適用拡大を実施した場合として試算。


◎資料2 国民年金保険料の納付猶予制度について
1 . 国民年金保険料の納付猶予制度の概要
○国民年金保険料の納付猶予制度の概要
・国民年金保険料の納付猶予制度(以下単に「納付猶予制度」という。)の創設(平成17年4月施行) 【平成16年改正法附則第19条】
→平成16年改正の当時、20歳代で非正規雇用の労働者が増大していた状況を踏まえ、将来の無年金・低年金を防止するため、 30歳未満の者については、平成17年4月から平成27年6月までの期間(10年間)、同居している世帯主の所得にかかわらず、本人及 び配偶者の所得要件により保険料納付を猶予する納付猶予制度が創設され、将来実際に保険料を負担できることとなった時点で保険料 を追納できる仕組みとされた。
・納付猶予制度の期限の延長、対象者の拡大(平成28年7月施行) 【平成26年改正法附則第14条】→平成27年6月までの期限を令和7年6月までに延長し、30歳以上50歳未満の者についても納付猶予制度の対象に拡大した。 その後、令和2年改正で期限を再延長したことにより、現在は令和12年6月までの時限措置となっている。
・現行の納付猶予制度の要件等→• 被保険者が50歳未満であること。 • 本人及び配偶者の前年の所得が一定額以下である こと(世帯主(親など)の所得は勘案しない)。 • 納付猶予期間は、老齢基礎年金等の受給資格期間 に算入される。10年間は保険料を追納できる。 追納が行われない場合、免除制度の場合には老齢 基礎年金の年金額の計算に国庫負担分のみは反映 されるが、納付猶予制度は反映されない。 • 令和12年6月までの時限措置。
○納付猶予制度の創設経緯
・平成16年の改正(20歳〜30歳未満までの納付猶予制度の創 設)→「国民年金法等の一部を改正する法律(平成16年法律第104号)」により、保険料を一部免除す る多段階免除に加えて、30歳未満の者に対する納付猶予制度が創設された(当初は平成27年6月までの時限措 置)。
・平成26年の改正(納付猶予制度の対象者を50歳未満まで拡大)
・令和2年の改正→「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律(令和2年法律第40号)」により、納付猶 予の期限を令和12年6月まで5年間延長。

2 . 納付猶予制度の適用状況
○納付猶予制度の適用者数・適用率
→第1号被保険者全体の数が減少する中で、納付猶予制度の対象者が拡大された平成28年度以降、納付猶予制度の適用者数は増加傾向にあり、第1号被保険者全体に占める適用率は上昇している。
○納付猶予制度の適用者数(年齢階層別)→・20歳以上30歳未満の者については、依然として一定数の適用者がいる。 ・平成28年より対象が拡大された30歳以上50歳未満の者については適用者数が増加。
○納付猶予適用者における納付猶予の適用期間→現在納付猶予が適用されている者について、その納付猶予の適用期間は、特に30歳代では5年超の者が半数以上存在して いる。
○納付猶予適用者の就労状況→・現在納付猶予が適用されている者は約56万人おり、そのうち約半数が無職である。 ・「無職」、「不詳」を除いた就労している者のうち約75%は、「パート・アルバイト・臨時」の就労形態となっている。
○納付猶予適用者の世帯構成員の所得の分布→5割超は控除後の所得額(※1)で 100万円以下の水準にあるが、1割弱は450万円(収入ベース(※2)で概ね850万円)以上の水準にある。
○納付猶予制度の適用状況(納付猶予適用者の世帯人員別の割合)→全額免除と納付猶予では所得基準が同じであり、単身世帯等で全額免除が適用できる状態にあるにも関わらず、納付猶予に 留まっている場合がある。

3 . 納付猶予制度の課題・検討の方向性
○納付猶予制度の現状と課題
→納付猶予制度の現状↓
・【納付猶予制度の導入と変遷】→対象者の拡大、期間の延長をしてきたことで、雇用情勢の悪化等の影響を最も受けた一定の世代に限られた制度ではなく、幅広い世代 に利用されている制度となっている。
・【納付猶予制度の導入時からの変化】→受給資格期間が25年必要であったが、現在は必要となる受給資格期間は10年に短縮されている。
・【適用者の状況等】→概ね納付猶予期間2年以下である者がどの世代でも半数程度いる。一方で、 納付猶予制度を利用できる期間が長い30歳以上の世代では、納付猶予期間が5年超の者も一定程度存在する。
・課題として納付猶予適用者の中には、世帯主に一定の所得があり保険料負担能力がありながらも納付猶予が適用されている場合がある。
○納付猶予制度に関する検討の方向性→令和12年6月までの時限措置とされている納付猶予制度について、将来の無年金・低年金を防止する役割を維持しつつ、将 来の年金給付につなげるため、(1)納付猶予制度については、被保険者の対象年齢の要件は現行通り(被保険者が50歳未満であること。)とした上で、時 限措置を延長することを検討してはどうか。 (2)納付猶予制度の延長に際しては、制度の基本的な考え方は維持しつつ、所得要件は、本人及び配偶者の前年の 所得が一定額以下であっても、保険料納付の原則に立ち返って世帯主(親など)に一定以上の所得がある場合は納付猶 予の対象外とし、保険料納付を求めることを検討してはどうか。⇒納付猶予制度の見直し案と現行制度との比較 参照。

4 . 参考資料
○就業率・完全失業率の推移(年齢階層別)
→・就業率は、すべての年齢において上昇傾向。 ・20〜24歳の完全失業率については、納付猶予制度創設時の半分以下の水準になっている。・ 35〜49歳の完全失業率についても、2009年以降基本的に減少傾向にある。
○有効求人倍率・大学等卒業予定者の就職率の推移→大学等卒業予定者の就職率についても近年は再び上昇傾向が見られる。
○納付猶予の記録を有する者における納付猶予の適用期間→・納付猶予の記録を有する者(現在適用されている者も含む)について、その納付猶予の適用期間は、全ての世代で半数以上 が2年以下に留まっている。 一方で、納付猶予の適用期間が5年超の者も一定程度存在している。
○単身世帯で納付猶予が適用者されている者の全額免除適用への切り替えの実務→・継続申請の場合、次年度(※)以降は機構において本人、配偶者及び世帯主の所得や世帯の状況等を確認し、納付猶予とされた者 が全額免除の審査基準に該当すれば、全額免除に切り替える運用となっている。 ・また、納付猶予が承認された後に単身世帯となるなど全額免除の要件に該当することとなった場合、再申請することにより再申請した 日の属する月の前月から全額免除期間とすることも可能である。 (※)国民年金保険料の免除や納付猶予の「年度」は、7月から翌年6月までを「一年度」とされている。
○国民年金保険料免除・納付猶予申請様式→参照。


◎資料3 国民年金における任意加入の特例(高齢任意加入)について
○国民年金における任意加入制度の概要↓

・60歳以上65歳未満の任意加入【年金法附則第5条(昭和60年改正による措置)】
・65歳以上70歳未満の任意加入の特例(高齢任意加入)【平成6年改正法附則第11条・平成16年改正法附則第23条】→平成6年の改正において、年金受給権確保の観点から任意加入の対象を拡大し、老齢基礎年金の支給開始年齢の65歳に達した時点でも老齢基礎年金受給に必要な資格期間の25年間※の要件が満たすことができず、老齢基礎年金を受給できない者に対する措置が講じられた。 具体的には、老齢基礎年金の受給権を有しない者を対象に、65歳以上70歳未満の期間も老齢基礎年金受給に必要な資格期間に達するまで、任意加入の特例として国民年金へ加入することを認め、保険料を納付することにより年金の受給権に結びつけることとされた。 なお、時限措置として、対象者は昭和30年4月1日以前に生まれた者のみが対象とされた。 ※ 平成29年8月から老齢基礎年金受給に必要な資格期間は10年間に短縮されている。 ・さらに、平成16年の改正において、昭和30年4月2日から昭和40年4月1日までの間に生まれた者まで対象とされた。利用状況 参照。

○任意加入の特例(高齢任意加入)の対象者の見直し→・ 年金制度は、保険事故が発生するまでの間に保険料を拠出することとされており、老齢基礎年金の支給要件である65歳到達後に保険料を拠出できる任意加入の特例として位置づけられている。 ・任意加入の特例は、昭和40(1965)年4月1日(昭和39年度)までに生まれた者を対象とした時限措置であり、令和11(2029)年 度には昭和40年4月1日生まれの者が65歳に到達する。 ・ こうした中で、任意加入の特例は、老齢基礎年金受給に必要な資格期間を満たさない者を年金受給権の取得につなげる重要な役割を果たしており、令和4年度時点でも任意加入の特例を利用している者の数は約1,500人存在する。 ※老齢基礎年金の受給に必要となる資格期間の要件が25年から10年に短縮された(平成29(2017)年8月施行)ことを契機に利用者の 人数は減少している。  ・これまでの改正経緯等も踏まえ、引き続き保険料納付意欲がある者の年金受給の途を開くため、年金受給権確保の観点から、昭和50 (1975)年4月1日(昭和49年度)までに生まれた者まで対象とする方向で検討する。

次回も続き「資料4 公的年金シミュレーター」からです。

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