こども未来戦略会議(第6回)(令和5年6月13日)
こども・子育て政策の強化について
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai6/gijisidai.html◎資料1 「こども未来戦略方針」案 ↓
V.「加速化プラン」〜今後3年間の集中的な取組〜
(これから6〜7年がラストチャンス) ○ 我が国の出生数を 1990 年以降で見ると、2000 年代に入って急速に減少しており、1990 年から 2000 年までの 10 年間の出生数は約3%の減少であるのに対し、2000 年から 2010 年は約 10%の減少、2010 年から 2020 年は約 20%の減少となっている。さらに、コロナ 禍の3年間(2020〜2022 年)で婚姻件数は約9万組減少、未婚者の結婚希望や希望こども数も大幅に低下・減少している。このままでは、2030 年代に入ると、我が国の若年人口は現在の倍速で急減することになり、少子化はもはや歯止めの利かない状況になる。2030 年代に入るまでのこれからの 6〜7年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであり、少子化対策は 待ったなしの瀬戸際にある。このため、以下の各項目に掲げる具体的政策について、「加速化プラン」として、今後3年間の集中取組期間において、できる限り前倒しして実施する。
V−1.「加速化プラン」において実施する具体的な施策
1.ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組 ↓
(1)児童手当の拡充 〜全てのこどもの育ちを支える制度へ〜 ↓
○ 児童手当→次代を担う全てのこどもの育ちを支える基礎的な経済支援としての位置付けを明確化する。このため、所得制限を撤廃し、全員を本則給付とするとともに、支給期間について高校生年代まで延長。 児童手当の多子加算→こども3人以上の世帯数の割合が特に減少していることや、こども3人以上の世帯はより経済的支援の必要性が高いと考えられること 等を踏まえ、
第3子以降3万円とする。 これらについて、実施主体である地方自治体の事務負担も踏まえつつ、2024 年度中に実施できるよう検討する。
(2)出産等の経済的負担の軽減↓
〜妊娠期からの切れ目ない支援、出産費用の見える化と保険適用〜 ○ これまで実施してきた幼児教育・保育の無償化に加え、支援が手薄になっている妊 娠・出産期から2歳までの支援を強化。令和4年度第二次補正予算で創設された「出産・子育て応援交付金」(10 万円)について、制度化に向けて検討することを含め、妊娠期からの伴走型相談支援とともに着実に実施。 本年4月からの出産育児一時金の大幅な引上げ(42 万円→50 万円)及び低所得の妊婦に対する初回の産科受診料の費用助成を着実に実施するとともに、出産費用の見える化について来年度からの実施に向けた具体化を進める。その上でこれらの効果等の検証を行い、2026 年度を目途に、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め、 出産に関する支援等の更なる強化について検討を進める。あわせて、無痛分娩について、麻酔を実施する医師の確保を進めるなど、妊婦が安全・安心に出産できる環境整 備に向けた支援の在り方を検討する。
(3)医療費等の負担軽減 〜地方自治体の取組への支援〜 ↓○ おおむね全ての地方自治体において実施されているこども医療費助成について、国民健康保険の国庫負担の減額調整措置を廃止。あわせて、適正な抗菌薬使用などを含め、こどもにとってより良い医療の在り方について、今後、医学界など専門家の意見も踏まえつつ、国と地方の協議の場などにおいて検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる。
(4)高等教育費の負担軽減 ↓〜奨学金制度の充実と「授業料後払い制度(いわゆる日本版 HECS)」の創設〜
○ 教育費の負担が理想のこども数を持てない大きな理由の一つとなっているとの声があることから、特にその負担軽減が喫緊の課題とされる高等教育→教育 の機会均等を図る観点からも、着実に取組を進めていく。 まず、貸与型奨学金→奨学金の返済が負担となって、結婚・出産・子育て をためらわないよう、減額返還制度を利用可能な年収上限について、325 万円から 400 万円に引き上げるとともに、子育て時期の経済的負担に配慮する観点から、こども2人世帯については 500 万円以下まで、こども3人以上世帯について 600 万円以下まで 更に引き上げる。また、所得連動方式を利用している者について、返還額の算定のための所得計算においてこども1人につき 33 万円の所得控除を上乗せする。授業料等減免及び給付型奨学金→低所得世帯の高校生の大学進学率の向上を図るとともに、2024 年度から多子世帯や理工農系の学生等の中間層(世帯年収約 600 万円)に拡大することに加え、執行状況や財源等を踏まえつつ、多子世帯の学生 等に対する授業料等減免について更なる支援拡充(対象年収の拡大、年収区分ごとの 支援割合の引上げ等)を検討し、必要な措置を講ずる。 授業料後払い制度→まずは、2024 年度から修士段階の学生を対象として導入した上で、本格導入に向けた更なる検討を進める。その財源基盤を強化するため、V−2.で後述する HECS 債(仮称)による資金調達手法を導入。 地方自治体による高等教育費の負担軽減に向けた支援を促す方策として地方創生 を推進するデジタル田園都市国家構想交付金において実施している移住支援について、大学卒業後に地方に移住する学生を対象とすることなどにより支援を強化する。
(5)個人の主体的なリ・スキリングへの直接支援 ↓
○ 企業経由が中心となっている国の在職者への学び直し支援策→働く個人が 主体的に選択可能となるよう、5年以内を目途に、効果を検証しつつ、過半が個人経 由での給付が可能となるようにしていく。 その際、教育訓練給付について、訓練効果をより高める観点から、補助率等を含め た拡充を検討するとともに、個々の労働者が教育訓練中に生ずる生活費等への不安なく、主体的にリ・スキリングに取り組むことができるよう、訓練期間中の生活を支え るための新たな給付や融資制度の創設などについて検討する。
(6)いわゆる「年収の壁(106 万円/130 万円)」への対応 ○ いわゆる 106 万円・130 万円の壁を意識せずに働くことが可能となるよう、短時間 労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げに引き続き取り組む。
○ こうした取組と併せて、人手不足への対応が急務となる中で、壁を意識せずに働く 時間を延ばすことのできる環境づくりを後押しするため、当面の対応として、被用者 が新たに 106 万円の壁を超えても手取り収入が逆転しないよう、労働時間の延長や賃 上げに取り組む企業に対し、複数年(最大3年)で計画的に取り組むケースを含め、 必要な費用を補助するなどの支援強化パッケージを本年中に決定した上で実行し、さらに、制度の見直しに取り組む。
(7)子育て世帯に対する住宅支援の強化 〜子育てにやさしい住まいの拡充〜 ○ こどもや子育て世帯の目線に立った「こどもまんなかまちづくり」を加速化させる。 その中で、理想のこども数を持てない理由の一つとして若い世代を中心に「家が狭いから」が挙げられており、また、子育て支援の現場からも子育て世代の居住環境の改善を求める声があることから、子育てにやさしい住まいの拡充を目指し、住宅支援を強化。 具体的には、まず、立地や間取りなどの面で子育て環境に優れた公営住宅等の公的賃貸住宅を対象に、全ての事業主体で子育て世帯等が優先的に入居できる仕組みの導入を働きかける。これにより、今後 10 年間で子育て世帯等の居住に供する住宅約 20 万戸を確保する。 さらに、ひとり親世帯など支援が必要な世帯を含め、子育て世帯が住宅に入居しやすい環境を整備する観点から、空き家の活用を促す区域を設定し、空き家の所有者へ活用を働きかけ、空き家の改修・サブリースを促進するとともに、戸建てを含めた空 き家の子育て世帯向けのセーフティネット住宅への登録を促進することなどにより、 既存の民間住宅ストックの活用を進める。これらにより、
今後 10 年間で子育て世帯 等の居住に供する住宅約 10 万戸を確保する。 あわせて、子育て世帯等が良質な住宅を取得する際の金利負担を軽減するため、住宅金融支援機構が提供する長期固定金利の住宅ローン(フラット 35)の金利優遇について、ポイント制を活用し、住宅の広さを必要とする多子世帯に特に配慮しつつ、 2024 年度までのできるだけ早い時期に支援を大幅に充実させる。これらの取組に加えて、こどもの声や音などの面で近隣住民に気兼ねせず入居できる住まいの環境づくりとして、集合住宅の入居者等への子育て世帯に対する理解醸成 を図る。また、子育て世帯向け住宅の周知の強化や、子育て世帯に対して入居や生活 に関する相談等の対応を行う居住支援法人に重点的な支援を講じることにより住まいに関する支援を必要としながらも支援が行き届いていない子育て世帯への取組を強化する。
2.全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充 ↓
(1)妊娠期からの切れ目ない支援の拡充 〜伴走型支援と産前・産後ケアの拡充〜 ○ 妊娠から産後2週間未満までの妊産婦の多くが不安や負担感を抱いていることや、 こどもの虐待による死亡事例の6割が0歳児(うち5割は0か月児)であることなどを踏まえると、妊娠期からの切れ目ない支援と産前・産後ケアの拡充は急務となっている。このため、妊娠期から出産・子育てまで、身近な場所で相談に応じ、多様なニーズに応じた支援につなぐ「伴走型相談支援」について、地方自治体の取組と課題を踏まえつつ、継続的な実施に向け制度化の検討を進める。その際、手続等のデジタル化も 念頭に置きつつ制度設計を行う。 退院直後の母子に対して心身のケアや育児のサポートなどを行い、産後も安心して 子育てができる支援体制の確保を図る産後ケア事業→利用者負担の軽減措 置を本年度から全ての世帯に対象を拡大して実施するとともに、支援を必要とする全 ての方が利用できるようにするための提供体制の確保に向けた取組を進めるなど、子育て家庭の産前・産後の心身の負担軽減を図る観点から実施体制の強化等を行う。乳幼児健診等を推進する。 ○ 女性が、妊娠前から妊娠・出産後まで、健康で活躍できるよう、国立成育医療研究 センターに、「女性の健康」に関するナショナルセンター機能を持たせ、女性の健康や 疾患に特化した研究やプレコンセプションケアを含む成育医療等の提供に関する研究、相談支援等を進める。また、2022 年度から保険適用された不妊治療→推 進に向けた課題を整理、検討する。
(2)幼児教育・保育の質の向上 〜75 年ぶりの配置基準改善と更なる処遇改善〜 ○ 待機児童対策の推進により量の拡大は進んだものの、一方で、昨今、幼児教育・保育の現場でのこどもをめぐる事故や不適切な対応事案などにより子育て世帯が不安を抱えており、安心してこどもを預けられる体制整備を急ぐ必要がある。このため、保育所・幼稚園・認定こども園の運営費の基準となる公的価格の改善→公的価格評価検討委員会中間整理(2021 年 12 月)を踏まえた費用の使途の見える化を進め、保育人材確保、待機児童解消その他関連する施策との関係を整理しつつ取組を進める。具体的には、
「社会保障と税の一体改革」以降積み残された1歳児及び4・5歳児の職員配置基準→1歳児は6対1から5対1へ、4・5歳児は 30 対1から 25 対 1へと改善するとともに、民間給与動向等を踏まえた保育士等の更なる処遇改善を検討。 (3)全ての子育て家庭を対象とした保育の拡充
〜「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設〜 ○ 0〜2歳児の約6割を占める未就園児を含め、子育て家庭の多くが「孤立した育児」 の中で不安や悩みを抱えており、支援の強化を求める意見がある。全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、現行の幼児教育・保育給付に加え、月一定時間までの利用可能枠の中で、
就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付(「こども誰でも通園制度(仮称)」)を創設。具体的な制度設計に当たっては、基盤整備を進めつつ、地域における提供体制の状況も見極めながら、速やかに全国的な制度とすべく、本年度中に未就園児のモデル事業を更に拡充させ、2024 年度からは制度の本格実施を見据えた形で実施する。あわせて、病児保育の安定的な運営に資するよう、事業の充実を図る。(4)新・放課後子ども総合プランの着実な実施↓
〜「小1の壁」打破に向けた量・質の拡充〜 ○ 保育の待機児童が減少する一方で、放課後児童クラブの待機児童は依然として 1.5 万人程度存在し、安全対策についての強化が求められるなど、学齢期の児童が安全・ 安心に過ごせる場所の拡充は急務である。このため、全てのこどもが放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、新・放課後子ども総合プラン(2019 年度〜2023 年度)による受け皿の拡大(約 122 万人から約 152 万人への拡大)を着実に進めるとともに、放課後児 童クラブの安定的な運営を図る観点から常勤職員配置の改善などを図る。
(5)多様な支援ニーズへの対応 〜社会的養護、障害児、医療的ケア児等の支援基盤の充実とひとり親家庭の自立支援〜 ○ 経済的に困難な家庭のこども、障害のあるこどもや医療的ケア児、異なる文化的背 景を持つこどもなど、多様な支援ニーズを有するこどもの健やかな育ちを支え、「誰一人取り残さない」社会を実現する観点から、それぞれの地域において包括的な支援を提供する体制の整備が求められる。 2022 年に成立した児童福祉法(昭和 22 年法律第 164 号)等の一部改正→児童虐待の相談対応件数が増加を続けるなど、子育てに困難を抱える世帯が顕在化してきている状況を踏まえ、子育て世帯に対する包括的な支援体制の中核を担うこども家庭センターの設置や地域における障害児支援の中核的役割を担う児童発達支援センター の位置付けの明確化などが行われた。 また、こどもの貧困対策は、我が国に生まれた全てのこどもの可能性が十全に発揮 される環境を整備し、全てのこどもの健やかな育ちを保障するという視点のみならず、 公平・公正な社会経済を実現する観点からも極めて重要である。こどものいる世帯の約1割はひとり親世帯であり、その約5割が相対的貧困の状況にあることを踏まえれば、特に、ひとり親家庭の自立と子育て支援は、こどもの貧困対策としても喫緊の課題であると認識する必要がある。 こうした多様なニーズを有する子育て世帯への支援については、支援基盤や自立支 援の拡充に重点を置き、以下の対応を中心に進める。今後、本年中に「こども大綱」 が策定される過程において、更にきめ細かい対応について議論していく。
(社会的養護・ヤングケアラー等支援)→子育てに困難を抱える世帯やヤングケアラー等への支援を強化する。児童福祉法等の一部改正により2024 年度から実施される「こども家庭センター」の人員体制の強 化等を図る。また、新たに法律に位置付けられる子育て世帯訪問支援事業について、 支援の必要性の高い家庭に対する支援を拡充する。さらに、社会的養護の下で育った こどもの自立支援に向け、学習環境整備等の支援強化を図る。
(障害児支援、医療的ケア児支援等)→障害の有無にかかわらず、安心して暮らすことができる地域づくりを進めるため、 地域における障害児の支援体制の強化や保育所等におけるインクルージョンを推進。具体的には、地域における障害児支援の中核的役割を担う児童発達支援センターについて、専門的な支援の提供と併せて、地域の障害児支援事業所や保育所等への 支援を行うなどの機能強化を行うとともに、保育所等への巡回支援の充実を図る。また、医療的ケア児、聴覚障害児など、専門的支援が必要なこどもたちへの対応のため 地域における連携体制を強化する。こうした体制の強化が全国各地域で進むよう、国 や都道府県等による状況把握や助言等の広域的支援を進め、地域の支援体制の整備を 促進する。
(ひとり親家庭の自立促進)→ひとり親家庭の自立を促進する環境整備を進めるため、ひとり親を雇い入れ、人材育成・賃上げに向けた取組を行う企業に対する支援を強化する。あわせて、看護師・ 介護福祉士等の資格取得を目指すひとり親家庭の父母に対する給付金制度(高等職業 訓練促進給付金制度)→短期間で取得可能な民間資格を含む対象資格に拡大するなど、より幅広いニーズに対応できる制度とする。また、養育費の履行確保のため、養育費に関する相談支援や取決めの促進についても強化を図る。
3.共働き・共育ての推進
(1)男性育休の取得促進 〜「男性育休は当たり前」になる社会へ〜 ○ 国際的に見ても低水準にある夫の家事・育児関連時間を増やし共働き・共育てを定着させていくための第一歩が男性育休の取得促進。「男性育休は当たり前」になる社会の実現に向けて官民一体となって取り組む。このため、制度面と給付面の両面からの対応を抜本的に強化する。こうした対応を図るに当たっては、各種施策によって、かえって女性側に家事・育児負担が偏ってしまうということのないよう十分に留意しなければならない。
【制度面の対応】↓○ まず、制度面では、男性の育児休業取得率→現行の政府目標(2025 年までに30%)を大幅に引き上げる。具体的には、国・地方の公務員(一般職・一般行政部 門常勤)について育児休業の内容にも留意しつつ、先行的に目標の前倒しを進め、公務員、民間の双方について、以下のように男性の育児休業取得率の目標を引き上げる。
(男性の育児休業取得率の目標)→2025 年 公務員 85%(1週間以上の取得率)、民間 50% 2030 年 公務員 85%(2週間以上の取得率)、民間 85% (参考)民間の直近の取得率:女性 85.1%、男性 13.97%。 また、2025 年3月末で失効する次世代育成支援対策推進法(平成 15 年法律第 120 号)を改正し、その期限を延長した上で、一般事業主行動計画→数値目標の設定や、PDCA サイクルの確立を法律上の仕組みとして位置付けるとともに、今後の次世代育成支援において重要なのは「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」である という観点を明確化した上で、男性の育児休業取得を含めた育児参加や育児休業からの円滑な職場復帰支援、育児のための時間帯や勤務地への配慮等に関する行動が盛り込まれるようにする。あわせて、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第 76 号。「育児・介護休業法」)における育児休業取得率の開示制度の拡充を検討し、これを踏まえて有価証券報告書 における開示を進める。
【給付面の対応】 ↓○ さらに給付面の対応として、いわゆる「産後パパ育休」(最大 28 日間)を念頭に、出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するため、給付率を現行 の 67%(手取りで8割相当)から、
8割程度(手取りで 10 割相当)へと引き上げる。具体的には、両親ともに育児休業を取得することを促進するため、男性が一定期間 以上の「産後パパ育休」を取得した場合には、その期間の給付率を引き上げるとともに、女性の産休後の育休取得→28 日間(産後パパ育休期間と同じ期間)を限度 に給付率を引き上げることとし、2025 年度からの実施を目指して、検討を進める。 男女ともに、職場への気兼ねなく育児休業を取得できるようにするため、現行の育 児休業期間中の社会保険料の免除措置及び育児休業給付の非課税措置に加えて、育児 休業を支える体制整備を行う中小企業に対する助成措置を大幅に強化する。その際、 業務を代替する周囲の社員への応援手当の支給に関する助成の拡充や代替期間の長さに応じた支給額の増額を検討する。あわせて、「くるみん認定」の取得など、各企業の育児休業の取得状況等に応じた加算等を検討し、実施インセンティブの強化を図る。 あわせて、男性育休の大幅な取得増等に対応できるよう、育児休業給付を支える財 政基盤を強化する。
(2)育児期を通じた柔軟な働き方の推進 〜利用しやすい柔軟な制度へ〜 ↓○ 育児期を通じて多様な働き方を組み合わせることで、男女で育児・家事を分担しつつ、育児期の男女が共に希望に応じてキャリア形成との両立を可能とする仕組みを構 築するとともに、好事例の紹介等の取組を進める。 こどもが3歳になるまでの場合は、現行の育児・介護休業法上、短時間勤 務を措置することが事業主に義務付けられており、フレックスタイム制を含む出社・ 退社時刻の調整等が努力義務となっている。これらに加え、新たに、子育て期の有効 な働き方の一つとして、テレワークも事業主の努力義務の対象に追加することを検討する。また、こどもが3歳以降小学校就学前までの場合は、育児・介護休業法で、 短時間勤務、テレワーク、フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の調整、休暇など柔軟な働き方について、事業主が職場の労働者のニーズを把握しつつ複数の制度を 選択して措置し、その中から労働者が選択できる制度(「親と子のための選べる働き方 制度(仮称)」)の創設を検討する。さらに、現在はこどもが3歳になるまで請求する ことができる残業免除(所定外労働の制限)について、対象となるこどもの年齢の引上げを検討。
○あわせて、柔軟な働き方として、男女ともに、一定時間以上の短時間勤務をした場合に、
手取りが変わることなく育児・家事を分担できるよう、こどもが2歳未満の期 間に、時短勤務を選択したことに伴う賃金の低下を補い、時短勤務の活用を促すため の給付(「育児時短就業給付(仮称)」)を創設する。給付水準は、男女ともに、 時短勤務を活用した育児 とキャリア形成の両立を支援するとの考え方に立って、引き 続き、具体的な検討を進め、2025 年度からの実施を目指す。その際には、女性のみが 時短勤務を選択することで男女間のキャリア形成に差が生じることにならないよう、 留意する。
○ 上記の柔軟な働き方についても、男性育休促進と同様に、周囲の社員への応援手当支給等の体制整備を行う中小企業に対する助成措置の大幅な強化と併せて推進。 また、こどもが病気の際 などに休みにくい等の問題を踏まえ、病児保育の拡充と併せて、こうした場合に休みやすい環境整備を検討。具体的には、こどもが就学前 の場合に年5日間取得が認められる「子の看護休暇」について、こどもの世話を適 切に行えるようにする観点から、対象となるこどもの年齢の引上げのほか、こどもの 行事(入園式等)参加や、感染症に伴う学級閉鎖等にも活用できるように休暇取得事 由の範囲を見直すとともに、取得促進に向けた支援についても検討する。 ○ また、仕事と育児の両立に取り組む労働者の心身の健康を守るため、企業における 勤務間インターバル制度の導入やストレスチェック制度の活用など、労働者の健康確 保のために事業主の配慮を促す仕組みを検討するとともに、選択的週休3日制度の普 及にも取り組む。 こうした個々の制度の前提として、長時間労働の是正を始め、企業全体の働き方改 革をより一層推進し、育児期の男女が共に職場からの帰宅後に育児や家事を行うこと ができるようにすることが重要である。このため、まずは、2024 年度からの時間外労 働の上限規制の全面施行に向け、法制度の周知を徹底し、必要な支援を実施するとと もに、更なる長時間労働の是正に向けて、実効性を高めるための一層の取組を推進し ていく。このことは、家族介護や不妊治療など、様々な事情を抱える方々が、仕事との両立を可能とし、各自の能力を発揮することにもつながるものである。
(3)多様な働き方と子育ての両立支援 〜多様な選択肢の確保〜 ○ 子育て期における仕事と育児の両立支援を進め、多様な働き方を効果的に支える雇 用のセーフティネットを構築する観点から、
現在、雇用保険が適用されていない週所定労働時間 20 時間未満の労働者についても失業給付や育児休業給付等を受給できるよう、雇用保険の適用拡大に向けた検討を進める。失業した場合に生計に支障を与え るような生計の一端を担う者を新たに適用対象とし、その範囲を制度に関わる者の手 続や保険料負担も踏まえて設定する。また、その施行時期については適用対象者数 10 や事業主の準備期間等を勘案して 2028 年度までを目途に施行。 自営業・フリーランス等の育児期間中の経済的な給付に相当する支援措置→国民年金の第1号被保険者について育児期間に係る保険料免除措置を創設すること とする。その際、現行の産前・産後期間の保険料免除制度や被用者保険の育児休業期 間の保険料免除措置を参考としつつ、免除期間や給付水準等の具体的な制度設計の検 討を早急に進め、2026 年度までの実施を目指す。
4.こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革 ↓○ こども・子育て政策を実効あるものとするためには、行政が責任をもって取り組むことはもとより、こどもや子育て中の方々が気兼ねなく様々な制度や支援メニューを利用 できるよう、地域社会、企業など様々な場で、年齢、性別を問わず、全ての人がこども や子育て中の方々を応援するといった社会全体の意識改革を進める必要がある。
○ こどもや子育て世帯を社会全体で支える気運を醸成するため、優先案内や専門レーンを設置するなどの取組が国立博物館など国の施設において今春にスタートしており、利用者のニーズを踏まえつつ、こうした取組を他の公共施設や民間施設にも広げていくと ともに、公共インフラのこども向け現場見学機会の増加など、有意義な体験の場を提供。また、鉄道やバスなどにおけるベビーカー使用者のためのフリースペース等の設置や 分かりやすい案内の促進とともに、公共交通機関等において、妊産婦や乳幼児連れの方 を含め、配慮が必要な方に対する利用者の理解・協力を啓発する取組を推進。さらに、
本年5月には「こどもまんなか宣言」の趣旨に賛同する企業・個人・地方自治体などに「こどもまんなか応援サポーター」となっていただき、「今日からできること」を実践し、取り組んだ内容を自ら SNS などで発表する「こどもまんなか応援プロジ ェクト」の取組が始まっている。こうした取組に加え、子育て世帯を対象としたニーズ 調査も行いつつ、こども・子育てを応援する地域や企業の好事例を共有・横展開するなど、こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革に向けた国民運動を夏頃を目途にスタートさせる。
○ もとよりこうした意識改革は、少子化の危機的な状況、そして今のこどもを取り巻く 状況や、子育て世帯の負担がいかに大きなものかということをより多くの方に理解して いただくことによって、自然と周囲の協力が行われることが望ましい。社会の意識を変えていくことは簡単ではないが、大きな挑戦と捉え、様々な手法で国民的な議論を起こし、より多くの方の理解と行動を促していく。
V−2.「加速化プラン」を支える安定的な財源の確保
○ V−1.の1.〜4.で掲げた給付面の改革や意識改革と並行して、次のような財政面の改革に取り組む。 ↓
(見える化)→こども家庭庁の下に、こども・子育て支援のための新たな特別会計(いわゆる「こども金庫」)を創設し、既存の(特別会計)事業を統合しつつ、こども・子育て政策 の全体像と費用負担の見える化を進める。
(財源の基本骨格)→ @ 財源→国民的な理解が重要。このため、
2028 年度までに徹底した 歳出改革等を行い、それらによって得られる公費の節減等の効果及び社会保険負担軽 減の効果を活用しながら、実質的に追加負担を生じさせないことを目指す。 歳出改革等は、これまでと同様、全世代型社会保障を構築するとの観点から、歳出改革の取組を徹底するほか、既定予算の最大限の活用などを行う。なお、消費税などこども・子育て関連予算充実のための財源確保を目的とした増税は行わない。 A 経済活性化、経済成長への取組を先行させる。経済基盤及び財源基盤を確固たるものとするよう、ポストコロナの活力ある経済社会に向け、新しい資本主義の下で取り組んでいる、構造的賃上げと官民連携による投資活性化に向けた取組を先行させる。 B @の歳出改革等による財源確保、Aの経済社会の基盤強化を行う中で、企業を含め 社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組み(「支援金制度(仮称)」)を構築することとし、その詳細について年末に結論を出す。 C 2030 年代に入るまでの少子化対策のラストチャンスを逃さないよう、徹底した歳出改革等や構造的賃上げ・投資促進の取組を複数年にわたって先行させつつ、
「加速化プラン」の大宗を3年間(2026 年度まで)で実施し、「加速化プラン」の実施が完了する 2028 年度までに安定財源を確保する。 D その間に財源不足が生じないよう、必要に応じ、つなぎとして、こども特例公債(こども金庫が発行する特会債)を発行する。 E 上記の安定財源とは別に、授業料後払い制度の導入に関して、学生等の納付金によ り償還が見込まれること等を踏まえ HECS 債(仮称)による資金調達手法を導入。 ○ 上記の基本骨格等に基づき、V−1.の内容の具体化と併せて、予算編成過程における歳出改革等を進めるとともに、
新たな特別会計の創設など、必要な制度改正のための 所要の法案を 2024 年通常国会に提出する。
V−3.こども・子育て予算倍増に向けた大枠 ↓
○ 「加速化プラン」の予算規模→現時点ではおおむね3兆円程度となるが、さらに、 本戦略方針に盛り込まれている施策のうち、高等教育費の更なる支援拡充策、今後「こども大綱」の中で具体化する貧困、虐待防止、障害児・医療的ケア児に関する支援策→今後の予算編成過程において施策の拡充を検討し、全体として3兆円半ばの充 実を図る。「加速化プラン」を実施→我が国のこども・子育て関係予算は、こども一人当たりの家族関係支出で見て、OECD トップ水準のスウェーデンに達する水準となり、画期的に前進する。 現時点の「加速化プラン」を実施することにより、
国のこども家庭庁予算(2022 年度 4.7 兆円)は約5割増加すると見込まれる。また、育児休業→新たな男性 育休の取得目標の下での職場の意識改革や制度拡充の効果により関連予算が倍増していくと見込まれる。
○ こども・子育て予算倍増に向けては、「加速化プラン」の効果の検証を行いながら、政 策の内容・予算をさらに検討し、こども家庭庁予算で見て、2030 年代初頭までに、国の 予算又はこども一人当たりで見た国の予算の倍増を目指す。その財源については、今後 更に政策の内容を検討し、内容に応じて、社会全体でどう支えるかさらに検討する。W.こども・子育て政策が目指す将来像と PDCA の推進 ↓○ 全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援することにより、以下に掲げる「こども と向き合う喜びを最大限に感じるための4原則」を実現するため、今後3年間の集中取 組期間における「加速化プラン」の実施状況や各種施策の効果等を検証しつつ、こども・ 子育て政策の適切な見直しを行い、PDCA を推進していく。その際には、現行のこども・子育て政策が、これまでの経緯などから、医療保険や雇 用保険、子ども・子育て支援制度など様々な制度が関わっており、その結果、制度間の 縦割りや不整合といった問題や、申請手続・窓口が異なるために制度を利用しづらいといった問題が指摘されてきているほか、費用負担など財政構造も制度ごとに異なっている状況にあることを見直し、
「総合的な制度体系」を構築する観点から、現行の関連制度 を一つの制度に統合していくことも視野に置き、給付と負担の関係を含めて、その全体 像が国民にとって分かりやすい制度としていく。
〜 こどもと向き合う喜びを最大限に感じるための4原則 〜 ↓1.こどもを生み、育てることを経済的理由であきらめない →第一に、こどもを生み、育てることを経済的理由であきらめない社会の実現である。 このため、「加速化プラン」の「ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化 や若い世代の所得向上に向けた取組」に基づき実施する施策を着実に進め、その実施状 況や効果等を検証しつつ、高等教育費の負担や奨学金の返済などが少子化の大きな要因 の一つとなっているとの指摘があることに鑑み、奨学金制度の更なる充実や授業料負担 の軽減など、高等教育費の負担軽減を中心に、ライフステージを通じた経済的支援の更 なる強化や若い世代の所得向上に向けた取組について、適切な見直しを行う。
2.身近な場所でサポートを受けながらこどもを育てられる →第二に、身近な場所でサポートを受けながらこどもを育てることができる社会の実現 である。このためには「加速化プラン」の「全てのこども・子育て世帯を対象とする支 援の拡充」に基づき実施する施策を着実に進め、その実施状況や効果等を検証しつつ、 適切な見直しを行う。
3.どのような状況でもこどもが健やかに育つという安心感を持てる→第三に、どのような状況でもこどもが健やかに育つという安心がある社会の実現である。このためには「加速化プラン」の「全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の 拡充」に基づき実施する施策を着実に進め、その実施状況や効果等を検証しつつ、適切 な見直しを行う。
4.こどもを育てながら人生の幅を狭めず、夢を追いかけられる→第四に、こどもを育てながら、キャリアや趣味など人生の幅を狭めることなく、夢を 追いかけられる社会の実現である。このためには「加速化プラン」の「共働き・共育て の推進」に基づき実施する施策を着実に進め、その実施状況や効果等を検証しつつ、適 切な見直しを行う。
おわりに→本戦略方針は、こども基本法(令和4年法律第 77 号)に基づきこども施策の基本的な方針や重要事項等について定める「こども大綱」とあいまって、少子化・人口減少のト レンドを反転させるため、これまでとは次元の異なる少子化対策の実現に向けて取り組 むべき政策強化の基本的方向を取りまとめたものであり、今後3年間の集中取組期間に おいて実施すべき「加速化プラン」の内容を明らかにするとともに、将来的なこども・ 子育て予算の倍増に向けた大枠を示している。 今後、本戦略方針の具体化を進め、年末までに「戦略」を策定する。 その上で、こども・子育て政策の抜本的な強化に向け、少子化の克服に向けた基本的 な政策の企画立案・総合調整をつかさどるこども家庭庁が中心となり、文部科学省や厚生労働省等の関係省庁と連携し、若い世代や子育て当事者の視点に立って、政府を挙げて、取り組んでいく。(参考)これまでのこども・子育て政策の変遷 〜1.57 ショックからの 30 年〜 ○ 我が国で「少子化」が政策課題として認識されるようになったのは、1990 年のいわゆる「1.57 ショック」以降である。1989 年の合計特殊出生率が 1.57 となり、戦後最低の合計特殊出生率となったことを契機に、政府は対策をスタートさせ、1994 年 12 月には4大 臣(文部・厚生・労働・建設)合意に基づく
「エンゼルプラン」が策定された。 これに基づき「緊急保育対策等5か年事業」として、保育の量的拡大、多様な保育(低年齢児保育、延長保育等)の充実などについて、数値目標を定めて取組が進められたが、 同時期に
「ゴールドプラン」に基づき基盤整備を進めた高齢社会対策と比べるとその歩み は遅く、また、施策の内容も保育対策が中心であった。 2000 年代に入ると対策の分野は保育だけでなく、雇用、母子保健、教育等にも広がり、 2003 年には少子化社会対策基本法(平成 15 年法律第 133 号)が制定された。翌年には 「少子化社会対策大綱」が閣議決定され、少子化対策は政府全体の取組として位置付けら れるようになった。 また、次世代育成支援対策推進法により、2005 年4月から、国や地方公共団体に加え、事業主も行動計画を策定することとなり、職域における「両立支援」の取組が進められるようになった。
○ このように法的な基盤は整えられていったものの、こども・子育て分野への資源投入は 限定的であり、例えば家族関係社会支出の対 GDP 比は、1989 年度の 0.36%に対し、1999 年度には 0.53%とわずかな伸びにとどまった。 2010 年代に入り、「社会保障と税の一体改革」の流れの中で大きな転機が訪れた。消費税率の引上げに伴う社会保障の充実メニューとして、こども・子育て分野に 0.7 兆円規模の財源が充てられることとなり、さらに、2017 年には「新しい経済政策パッケージ」 (平成 29 年 12 月8日閣議決定)により、「人づくり革命」の一環として追加財源2兆円 が確保された。
○ こうした安定財源の確保を背景に、待機児童対策、幼児教育・保育の無償化、高等教育 の無償化などの取組が進められ、待機児童は一部の地域を除きほぼ解消に向かうなど、一 定の成果を挙げた。これらにより、家族関係社会支出の対 GDP 比は、2013 年度の 1.13% から 2020 年度には 2.01%まで上昇した。 これまで累次にわたり策定されてきた「少子化社会対策大綱」は、本年4月に施行されたこども基本法に基づき、こども施策に関する基本的な方針や重要事項等を一元的に定める「こども大綱」に引き継がれることとなった 。次回も続き
「資料2 新浪 構成員提出資料」からです。