6 事務処理要領第6−10−ア−(ア)−Cに係る手続等 (1)対象となる申出者
Cの対象となる申出者は、「児童虐待を受けた児童である被害者であり、かつ再び児童虐待を受けるおそれがあるもの又は監護等を受けることに支障が生じるおそれがあるもの」である。
「児童虐待を受けた児童である被害者」とは、児童虐待防止法第2条にいう児童虐待を受け、かつ申出の時点において児童である者をいうが、措置延長により施設入所等を継続している場合には、18 歳以上の未成年者も含まれる。
また、「再び児童虐待を受けるおそれがあるもの又は監護等を受けることに支障が生じるおそれがあるもの」とは、加害者に住居を知られることにより、加害者から児童虐待防止法第2条に規定する行為を再び受ける又は不当に金品等を要求されるなど生活が脅かされるおそれがあるものなどを想定している。なお、ここでいう「監護等」は、児童等に対する施設長等の監護のほか、児童相談所長による支援も含まれる。
(2)児童相談所の役割
児童相談所は、施設入所等の措置に係る児童等や自立して生活する児童に支援措置が必要と認められる場合には、当該児童等の代理として支援措置の申出を行うことができる。
また、当該児童等が支援措置の対象となる要件を満たしていることについて、当該児童等に対する相談援助の状況を踏まえて支援措置申出書に意見を記載する。
なお、施設入所等の措置に係る児童等については、施設長等が代理して申出ができるほか、自立して生活する児童については、おおむね15 歳以上であれば本人も申出ができることから、地理的事情等により児童相談所長が申出を行うことが困難な場合には、施設長等や本人に手続を適切に教示することにより対応することも可能である。
(3)支援措置の手続
ア 申出
支援措置の申出は、基本的に児童相談所長が代理人となり、児童等が転入し居住する市町村(以下「転入市町村」という。)に対し、「住民基本台帳事務における支援措置申出書」を提出して行う。
申出は転入(転居の場合を含む。以下同じ。)の届出と一連に行う必要があることから、施設長等や本人が転入の届出を行う場合は、当該施設長等や本人との調整の上で行う。転入先の住所は、転入市町村のほか、転出した市町村(以下「転出市町村」という。)、
本籍地及び前本籍地の市町村においても住民基本台帳の除票又は戸籍の附票に記録されることから、これらの市町村に対しても支援措置を求める必要があるため、申出書の記載に当たっては、「支援措置を求めるもの」の欄を複数選択することに留意する。
この場合、転入市町村から選択した事務に係る市町村に申出書の写しが転送され、転入市町村を経由して申し出がなされたものとして扱われる。
イ 事前相談
申出に当たっては、転入の届出と間隙なく支援措置が講じられるよう、あらかじめ転入市町村に、転入の予定と支援措置が必要な旨を連絡し調整を図っておく必要がある。
他方、転出の届出から転出市町村における支援措置が講じられるまでの間を可能な限り短縮する観点から、転入市町村からの申出書の転送を待たず、転出届と同時に住民基本台帳の除票に係る支援措置が講じられることが望ましい。
このため、必要に応じて当該支援措置についても転出市町村に相談されたい
。
ウ 代理人の取扱い
支援措置の申出は、児童等の代理として児童相談所長又は施設長等が行うことができるが、申出書の提出はこれらの職員において行うことができる。この場合、市町村は申出書を提出した者に対し、申出に係る児童等の監護等をしている事実に係る書類の提示及び職員証等による本人確認を求めることとされている。
なお、提示する書類として次のものを求められることが考えられる。
@ 児童相談所の職員が申出書を提出する場合
児童相談所長の意見を付した申出書
A 施設職員や里親等が申出書を提出する場合
同申出書及び入所(委託)措置決定通知書の写し
エ 意見提出
児童相談所は、申出に係る児童等に対する相談援助の状況を踏まえ、当該児童等が申出者としての要件を満たし、加害者がその住所を探索する目的で住民基本台帳法上の請求を行うおそれがあることについて、児童相談所長の意見を申出書の相談機関等の意見欄に記載する。
(4)支援措置の実施
申出書の提出に基づき、転入市町村において支援措置の必要性を確認し、必要が認められた場合に支援措置が開始される。
支援措置の開始については申出者(代理の場合は申出書を提出した担当者)に連絡される。
なお、転入市町村からの転送により申出を行った他の市町村においてもそれぞれ支援措置の必要性が確認されるが、この場合、原則として転入市町村において支援の必要性が確認されたことをもって当該市町村においても支援の必要があると取り扱われるため、支援措置が行われない場合に限りその旨が連絡される。
(5)支援措置の延長
支援措置の期間は支援開始の連絡があった日から1年間であり、支援措置の延長には再度申出書の提出が必要となる。
延長の申出は期限到来の1月前から可能であるため、延長を要する場合には適切に手続を行われたい。
次回は、続きです。
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