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第7回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2023年03月24日(Fri)]
第7回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和5年3月13日)
≪議事≫・強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会報告書(案)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31703.html
3. 強度行動障害を有する者の地域における支援体制の在り方 ↓
(3)日常的な支援体制の整備と支援や受入の拡充方策
【在宅での暮らしを支える支援】
→強度行動障害を有する者の在宅生活を支えるためには、通所系サービス、短期入所、訪問系サービスが地域で安定的に提供されるよう体制の整備を進めていくことが重要。強度行動障害を有する者の通所先として主な受け皿となる生活介護⇒強度行動障害を有する者以外にも幅広い支援が必要な障害者が利用しており、その中で強度行動障害を有する者の受入れを進めるための取組を進めていくことが必要。短期入所⇒強度行動障害を有する者を受け入れる体制が十分でなく利用 したくても利用できないという実情もある。短期入所での受入れを進めるための方策を講じていくことが必要。 行動援護⇒本人の特性を理解して、適切な関わりをしながら、本人の楽しみと なる外出を支援する、暮らしを支える上で欠かせないサービスであるが、ヘルパー 不足が非常に深刻なことや、利用ニーズが平日の通所サービス終了後の数時間と土日祝日に集中すること等もあり、支援の提供が限られている地域も多い。市町村 において支援ニーズを適切に把握し、そのサービス確保に努め、必要な人が行動 援護を利用できるための取組を進めていくことが必要である。 行動援護や重度訪問介護は、他のサービスと組み合わせて支援を組み立てることが有効であるが、一部の自治体において、行動援護や重度訪問介護を使うと他 のサービスが使えないという判断を示されている実態がある。市町村の支給決定 において、在宅の強度行動障害を有する者とその家族を支えることを十分に配慮し、適切なサービス提供が図られるように周知していくことが必要。 重度障害者等包括支援⇒強度行動障害で状態が安定しない場合に本人の状 態に応じて柔軟に個別支援が可能なサービスであり、有効な活用事例も見られる が、全国的に利用が少ない現状があることを踏まえ、事業に取り組みやすくするた めの方策を講じていくことが必要。強度行動障害の状態によって、通所系サービスに通えない状況となった場合には、必要な期間において、行動援護や重度訪問介護、重度障害者包括支援による 個別支援の活用が有効と考えられる。また、これらの支援を活用しながら、通所サービス等の利用につなげていくなど、具体的なサービス利用や支援方法について 周知していくことが必要である。
【グループホーム(共同生活援助)】→少人数の生活であることから、生活環境や支援内容を個別化しやすく、一人一人の特性に合わせやすいという利点、通所系サービスや行動援護を利用して個別の外出ができるなど、一人一人に合った生活を組み 立てやすいという利点もある。強度行動障害を有する者の居住の場として、受入れ の体制整備を進めて行く必要がある。 一方で、共同生活援助は少ないスタッフで支援するため行動障害の状態が悪化した場合に応援体制が取りにくいこと、心理面も含めたスタッフの負担が大きい課題がある。強度行動障害を有する者を支援する上では、専門的知識を持った中核的人材を含めたチームで支援にあたることが重要であることも踏まえ、共同生活援助で安定的に強度行動障害を有する者を支えるための取組を進めていくことが必要である。
【障害者支援施設】→強度行動障害を有する者への支援⇒環境調整が非常に重要であるが、障害者支援施設は、それぞれの障害特性に見合った環境を提供することが難 しい場合がある。現状、障害者支援施設で多くの強度行動障害を有する者が生活する中で、これらの者の地域移行に向けた取組を進めつつ、障害者支援施設における強度行動障害を有する者への障害特性のアセスメントと環境の調整等の標準 的な支援を進め、支援スキルを一層向上すること。 障害者支援施設⇒地域の支援体制の中で、行動障害の状態が悪化した者を 集中的に支援する必要がある場合の受入れ(3(4)参照)や、緊急の短期入所など、重要な役割・機能を果たすことが期待される。 受入れた者の生活の支援を行うとともに、移行先の確保を含めた移行 支援を行うことも重要である。
【地域生活支援拠点等による緊急対応】→地域で暮らす障害者の緊急時の支援や、障害者支援施設や病院からの地域生活への移行支援を行うことが求められており、強度行動 障害を有する者とその家族が地域で安心して生活する上で重要な役割・機能を担 っている。各市町村において地域生活支援拠点等の整備を進めるとともに、その 機能の充実に取り組んでいくことが必要。 地域生活支援拠点等において強度行動障害を有する者の緊急時の対応を行う 上では、予め支援の対象となる者とその特性や支援ニーズを把握しておくことが重 要。強度行動障害を有する者の中には、様々な理由によりサービス提供に つながっていない者もいることから、自治体や関係機関と連携してその把握を進めることが重要。 強度行動障害を有する者は、地域生活支援拠点等の緊急短期入所の登録をしている場合であっても、実際には支援が難しいということで緊急時に受け入れられ ないという場合もある。強度行動障害を有する者が利用できる短期入所の整備を 含め、実効性のある支援体制の整備を進めていく必要がある。 在宅で家族と同居しており、サービスは生活介護だけというケースも考えられるが、日中の支援を行う生活介護事業所には、慣れた支援者がおり、本人への支援 環境も整えられているという状況もあり、地域生活支援拠点等の整備や緊急時等 の支援にあたっては、入所施設や居住系の事業所だけではなく、そういった事業所 や職員の活用も進めていくことが重要である。
【強度行動障害が特に強い状態にある者の評価の在り方と支援や受入の拡充方策】→サービスの支給内容(行動援護や 重度訪問介護)や報酬上の評価(加算)を決定する仕組みとして、客観的な指標、 基準を用いて点数化し、それを基に決定する現行の仕組みは、手続きの透明性・ 公平性を図る観点から重要である。 行動関連項目の評価は、行動上の障害が生じないように行っている支援や配慮、投薬等の頻度を含め判断することとされており、「行動上の障害が現れた場合」と「行動上の障害が現れないように支援している場合」は同等の評価となるが、 この取扱いについて、市町村の認定調査員の理解が不足しているケースも見受けられるため、改めて周知徹底を図ることが必要。 認定調査員のスキルとして、行動関連項目から現状の支援につなげられる調査員はいない。調査対象に強度行動障害を有する者がいることを想定し、行動障害 について一定の専門性を持った調査員を育成していくことも重要。 強度行動障害の状態が現れる状況は、多面的に評価する必要がある。例えば、 あるところで抑制的な対応をしていると、そこでは行動障害が出ないが、それ以外 のところで非常に強く出てしまうということがあることを踏まえ、家庭と日中活動場面等の複数の場面での状況について聞き取りを行う等の対応を進めることが重要。 現在の行動関連項目は、制度化の経緯として行動援護の判定基準として設定さ れたという背景があるが、現在は制度が変遷して、暮らしの場面での評価にも利用 されている。また、支援の頻度が重視されているが、頻度が少なくても、重大な自傷他害行為等の影響は大きいため、行為の内容や強度の評価も重要と考えられ る。評価方法の変更は現在の支援対象者への支援に影響することにも十分留意しつつ、このような点も継続的に検討していく必要がある。 ○ 現状は行動関連項目の合計点が 10 点以上で重度障害者加算の対象、10 点の者と点数の非常に高い者(最大で 24 点)では、必要な支援の度合い が大きく変わってくる。このような支援が困難な状態像の者がサービスの受入れに つながっていない状況も踏まえ、受入拡大や支援の充実の観点から、10 点という 区切りだけではなく、より高い段階を設定して、報酬面に反映していくことが必要。 点数の非常に高い者を支援するには、十分な人員体制とともに、専門性のある 職員の配置や職員育成のための研修費、外部からのコンサルテーションの費用や 施設設備の改修費等、様々なコストが必要になることを踏まえ、報酬の在り方を検 討すること。 報酬は、単に点数の非常に高い者を受け入れていることや研修を受け ている人材を配置していることを評価するのではなく、状態の改善に有効な支援の 要素を設定し、それを実施しているかどうかを要件とするような仕組みを検討する こと。 また、強度行動障害を有する者は虐待の被害や身体拘束等を受けることが多い ことを踏まえ、支援体制が十分でない中で安易に受け入れることによる権利侵害を 防止するための方策についても検討する必要がある。 強度行動障害が特に強い状態にある者への支援は、小集団での支援も難しく、訪問系サービスを活用した個別対応のさらなる活用の検討が必要である。

(4)状態が悪化した者に対する「集中的支援」の在り方
【基本的な考え方】→状態が悪化することでサービスにつながらない、在宅で家族と一緒に暮らさざるを得ない事例がある。グループホームなど障害福祉サービスを利用していても非常に行動が激しくなり、生活が難しくなった者、支援現場でも強度行動障害を有する者の状態が悪化し課題となる行動 が頻発するような状態になった場合に、目の前の対応に追われて支援を振り返る 余裕がなくなり、職員が疲弊し支援力が落ちていくという状況もある。
状態が悪化する前から中核的な人 材を中心とするチームによる支援が適切に行われることが重要であるが、状態が 悪化した場合には、担当する支援者に任せるのではなく、地域全体で本人や家族、 事業所を支え、状態の安定につなげていくことが重要。 強度行動障害を有する者が状態の悪化により在宅やグループホームにおいて生活が難しくなった場合⇒障害特性や行動の要因分析等の適切なアセスメントを 行い有効な支援方法を整理した上で環境調整を集中的に実施し、状態の安定を図 ることが有効、障害者の権利擁護の観点からも、こうした集中的支援の取組を進める必要がある。 集中的支援⇒強度行動障害支援者養成研修で示された標準的な支援 の手法に基づくアセスメントや環境調整を実施することが重要であり、アセスメント によって整理した関わり方を基に今後の支援や障害福祉サービスの利用調整を行うことが重要である。
【広域的支援人材(仮称)のコンサルテーションによる集中的支援】→集中的支援の具体的な方策⇒まず、広域的支援人材が事業所等を集中的 に訪問等してコンサルテーションを実施し、適切なアセスメントと有効な支援方法の 整理を共に行い環境調整を進めていく方策が考えられる。 広域的支援人材のコンサルテーションによる集中的支援⇒広域的支援人材の派遣に対してインセンティブ等を設定し人材を派遣することに積極的に協 力してもらうための工夫が必要になる。
【居住支援等を活用した集中的支援】→在宅の場合や、グループホーム等に入居したまま対応することが困難な場合、グループホーム、施設入所や短期入所を活用して、一時的に環境を変えた上で、適切なアセスメントを行い、有効な支援方法を整理した上で元の住まいや新たな住ま いに移行する方策も考えられる。 集中的支援を行う居住支援や短期入所⇒中核的人材が中心となりチームで支援を行うとともに、アセスメントと支援方法の整理を進めることが求められる。地域の広域的支援人材が、集中的支援を行う事業所を支援するととも に、送り出した事業所に対して人材育成や環境調整を行うなど、集中的支援後の 受入体制を整備することが求められる。その際、集中的支援における標準的な支 援に基づく支援方法を受入先でも着実に引継ぎ、一貫した支援を継続すること。 また、相談支援事業所等が、集中的支援のニーズ把握や、集中的支援後に利用する障害福祉サービスの調整や関係機関との連携の調整を行うなど、集中的支援の前後をフォローできる体制を構築すること。 居住支援等を活用した集中的支援⇒集中的支援後の移行先の確保 が課題であり、地域の中で受入先を確保する仕組みを構築しておくことが必要。例えば、送り出した事業所が地域の広域的支援人材による集中的支援後の受 入体制整備のためのコンサルテーションを受けることを、集中的支援を受けるため の条件として設定する工夫も考えられる。 【集中的支援の推進に向けて】→集中的支援の実施のためには、適切なアセスメントを行い有効な支援方法を整 理した上で、環境調整を集中的に実施できる広域的支援人材や、現場の中核的人 材を確保する必要があり、国はその育成を進めることが重要である。集中的支援⇒支援ニーズや専門性のある人材の実情を踏まえれば、 各都道府県・指定都市や圏域単位といった広域で実施体制を整備していくことを基 本とすることが考えられる。この場合であっても、各市町村における地域の強度行 動障害を有する者への支援体制と連動させて、全ての地域を漏れなく支援できるよう、体制を構築することが必要。 一旦状態が改善しても、本人の状況や家族など周囲の環境の変化の中で再度 状態が悪化することもあるため、地域の中で市町村が中心となって継続的に フォローする体制を整備することが必要。 集中的支援の実施⇒(自立支援)協議会等において実践報告を行うなど、取組の共有や PDCA サイクルを回しながら改善を図っていくことが重要。 地域に強度行動障害に対応できる事業所数が十分ではなく、かつ、対応できる 事業所においても、人員など支援体制に余裕がない中で、職員、事業所共に疲弊 してしまうという現状がある。状態が悪化した場合の集中的支援と合わせて、平時から、強度行動障害者を有する者への支援に係る知識や技術を地域の事業所に 広げ、そのスキルを向上するための取組を進めることが必要である。

(5)こども期からの予防的支援・教育との連携→幼児期からの個々のこどもの特性と家族の状況に応じた適切な関わりが、将来の強度行動障害の状態の予防につながると考えられる。幼児期からこどもの強度 行動障害のリスクを把握し、家族を含めてライフステージを通して地域生活を支え ていく体制づくりが必要。 3歳までに強度行動障害の状態となる高リスクのこどもを把握し対応していくこと 。強度行動障害を有する児者の保護者へのインタビュー調査の結果⇒3歳児健診までに睡眠の問題、多動性、こだわりが非常に強かった児が一 定数おり、小学校時代(10 歳以降)に強度行動障害の諸症状が悪化し、思春期で かなり顕著になっていくというパターンがみられた。 強度行動障害の状態を予防するためには、3歳児健診等で、重度の知的障害を 伴う自閉症のあるこどもの中で特に睡眠の問題があり、こだわりが強く衝動性があ るこどもを把握して、早期にこどもと家族への支援を開始することが重要。 幼児期・学童期・思春期の支援⇒知的障害と自閉スペクトラム症を はじめとする発達障害の特性に応じた一貫した支援を福祉と教育が連携して行 い、障害特性のアセスメントや環境の調整に取り組むなどの、行動上の課題を誘 発させない支援を提供していくことが必要である。 強度行動障害が重篤化する前にアプローチすることが重要であり、特別支援学校 と児童発達支援センターや放課後等デイサービス等が連携して支援にあたる体制 づくりを進めることが必要。 強度行動障害の状態を予防する観点から、児童発達支援や放課後デイサービス の支援の専門性を上げることが重要。地域の児童発達支援の中核となる児 童発達支援センターの機能強化を進め、強度行動障害の状態を予防する観点も 含めて、児童発達支援事業所や放課後等デイサービス等に対してスーパーバイ ズ・コンサルテーションを行う取組を進めることが必要。 中学生・高校生年代の強度行動障害を有する児の実態把握を進めるとともに、 学校を卒業した後の成人期における地域での生活も見据えて、強度行動障害の状 態を予防するという観点から支援を進めること。 在宅の強度行動障害を有する児を支援するため、専門性を有する人材が、家庭 や事業所、医療機関等を訪問して調整を行ったり、複数の事業者の定期的な連携会議に参加して情報共有する等、ライフステージや関係機関の支援を隙間のないような形でつないでいく取組を進めることも重要。 強度行動障害の状態となるリスクの高いこどもへの対応を行う上では、母子保健施策や子育て支援施策と連携しながら、家族を孤立させずに支えるための方策を 講じていくことも必要。例えば、家族がこどもの障害特性を理解して障害特性に応じて子育てができるようにする支援や、育児の困り感に対する心理的な支 援、他の家族とのつながりをつくる支援、必要に応じて障害児通所を含む障害福祉サービスの利用等を個々の家族の状況に応じて組みたてることなどが考えられる。 市町村⇒基幹相談支援センターや障害児相談支援事業所、児童発達 支援センター等と連携し、また、地域の(自立支援)協議会(こども部会)や、要保護 児童対策地域協議会等も活用しながら、地域の強度行動障害を有する児を把握し、その支援ニーズを踏まえた地域の支援体制づくりを進めていくことが必要。 関係機関が連携して支援にあたることが重要であり、行政、福祉、教育、医療等の関係機関によるネットワークづくりを進めていくことも重要。 こども期にどういう支援が行われ、どのような環境において本人が落ち着けるの かといった情報も含め、こどもと家族の情報を整理・蓄積し、18 歳前後の移行期において、大人の支援体制に引き継いでいくことが重要である

(6)医療との連携体制の構築
【地域の支援ネットワークの中での精神科医療】
→ 医療で強度行動障害を有する者を完全に治すことは難しく(医学モデルでの治療は難しく)、対応の仕方や環境によって状態が良くなったり悪化したりすることを前提に、環境との相互作用であることを認識して、医療の充実と併せて、福祉や教育 と連携した支援を進めていくことが必要。 強度行動障害を有する者への精神科医療⇒薬物による鎮静だけでは なく、医療・福祉で相互に乗り入れて支援を行っていくことが重要。入院⇒移行先を見据えた介入を行い、退院後に自宅やグループホーム等 で生活できるように、入院中から福祉との連携を行うことが重要。さらに、入院の長期化を防止する観点からも、標準的支援の実践を進めていくこと。 精神科医療が障害福祉サービスと連携して、地域の中で必要な支援の一部を担っていくこと。 強度行動障害を有する者の状態が悪化している等により、グループホーム等の 障害福祉サービスで支えきれない場合に、必要な精神科医療を受けられるよう連携を推進していくことも重要。 強度行動障害を有する者に対する精神科医療の技術・知識を高めるとともに、福祉等との連携を推進することが重要であり、精神科の救急病棟、一般病棟、国立 病院機構の専門病棟、公立病院の専門病棟等、それぞれの状況を踏まえた福祉 等との連携のあり方を整理していく必要がある。 患者数や専門性の高さ等により、多くの一般精神科では知的障害・発達障害の入院患者に対して、標準的支援を導入することが困難な状況がある。 強度行動障害を有する者を地域で支える中で、各精神科医療機関がその機能を果たしていく ためには、一般精神科での知的障害・発達障害者への支援の専門性を担保していくことが重要であり、一般精神科の医療従事者が強度行動障害を有する者の障害 特性や支援手法の理解を深める取組を進めていくことが重要である。 強度行動障害を有する者への医療面での支援⇒日常生活の場で必 要な支援が提供され、家族支援にもつながることから、主治医と相談し、訪問看護 を活用していくことも考えられるが、より重度な対象者に個別的な質の高い支援を 提供するためには、訪問看護事業所の看護師等へ強度行動障害を有する者の障 害特性や支援手法の理解を深める取組を進めていくことが重要である。
【身体疾患の治療】→身体疾患の治療は、「急性期治療」「治療後の管理」「検診」「予防接種」等多岐に わたっているが、強度行動障害を有する者に対応できる体制を有する地域は限られている。強度行動障害を有する者が身体疾患の治療を受けられる体制づくりを 進めていくことが必要であり、治療に係る負担も踏まえた報酬上の評価について検討を進めることが必要。 また、福祉側から日頃の標準的支援の情報を医療側に提供したり、医療側からも福祉側の情報を求めていくなど相互の連携を強化していくことが重要。内科的、外科的な入院治療を受ける必要があるときに、重度訪問介護を利用することで、入院時の意思疎通の支援やその他の必要な支援を受けることができる。 必要な場合にサービスを利用できるよう、重度訪問介護の事業所の拡大等を進め ていくこと。 強度行動障害を有する者は、過去の嫌悪体験、未経験のことへの抵抗、新規場 面への負荷等から、身体疾患への治療等の際に病院を受診・通院することが難しい 場合がある。こうした場合に診療が可能となるよう、強度行動障害を有する者 に対応できる訪問診療の体制を強化していくことが必要。医療的なケアが必要な強度行動障害を有する児者⇒医療型短期入所を利用することが可能であるが、その受入れを一層進める観点からも、同サービスの従事者等が標準的支援を行うための知識や技術を習得するための取組を進めることが重要である。

(7)まとめ〜強度行動障害を有する者の地域における支援体制の構築に向けて〜
【基本的な方向性】
→強度行動障害を有する者に対しては、障害特性を踏まえて機能的なアセスメントを行い、強度行動障害を引き起こしている環境要因を調整することを標準に、行動上の課題を引き起こさないための予防的な観点も含めて標準的な支援を行うこと。また、家庭の状況等を含めてアセスメントを行い、家族も含めて支 援を進めていくこと。 強度行動障害を有する者の支援⇒特定の事業所、特定の支援者だけで支えるには限界があり、地域の中で複数の事業所、関係機関が連携して支援を行う体制を構築していくこと。 現場の事業所⇒チーム支援の要となり、適切な支援の実施をマネジメ ントする中核的人材を中心に、強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)の修了者を含めたチームによる支援を進めていくことが必要。 また、各地域において、高い専門性を有する広域的支援人材等が事業所へのコンサルテーション等による指導・助言等を行い、事業所の支援力の向上や集中的支援による困難事案への対応が行われる体制を整備していくことが必要。 地域の中では、相談支援事業所や基幹相談支援センターのコーディネート・マネジメントの下、強度行動障害を有する者の暮らしに応じて、各障害福祉サービス事業所がそれぞれの役割を果たしながら連携して支援にあたる体制を整備していくこと。地域生活支援拠点等による緊急時の対応体制についても 整備を進めていくことが必要であり、障害福祉分野のみならず、教育、母子保健・子育て支援、医療等の分野 の関係機関が連携した支援体制を整備していくことが必要。 強度行動障害の状態は一時的なものでなく、こども期から高齢期に至るまで、不適切な関わりによって、どの時期にでも引き起こされる。関係機関が連携し本人 や家族の情報を適切に引き継ぎながら、ライフステージごとに切れ目なく支援が提供される体制を整備していくことが必要。 全国どの地域でも、強度行動障害を有する者とその家族が適切な支援を受けて 安心して暮らすことができるよう、市町村・都道府県・国は、それぞれの役割を果たしながら、地域の支援体制づくりや人材育成を進めていくことが必要。
【市町村・都道府県・国の役割】市町村⇒地域の実情に応じて近隣市町村と連携・協働して(この場合は圏域で)、地域の強度行動障害を有する者とその支援ニーズを把握し、それを踏まえて 地域における支援体制の整備を計画的に進めていくことが求められる。 基幹相談支援センターや地域生活支援拠点等の整備、相談支援事業所や障害福祉サービス事業所の確保を進め、それぞれが連携して支援にあたる体制の整備を進めていくこと。教育や母子保健・子育て支援分野の関係 機関との連携体制を構築していくことが必要である。 (自立支援)協議会や要保護児童対策地域協議会等を活用しつつ、また、障害福祉計画や事業者指定(指定更新)に関する意見・条件の仕組みを活用した地域の事業者の参画に向けた取組等により、地域の支援体制の整備を進めるとともに、その改善や充実を図っていくことも重要。 都道府県⇒専門的・広域的な見地からの支援体制の整備や市町村支援を計 画的に進めることが求められる。 特に、都道府県が設置する発達障害者支援センター等も活用しながら、高い専門 性を有する広域的支援人材等を配置し、事業所の支援力の向上や集中的支援による困難事案への対応が行われる体制の整備を進めていくこと。また、医療分野の関係機関との連携体制を構築していくことが必要。 強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)を実施し、人材育成を進めるととも に、管内市町村の支援体制整備を財政面・ノウハウ面から支援していくことも求められる。 (自立支援)協議会や発達障害者支援地域協議会を活用して、支援体制の整備 を進めるとともに、その改善や充実を図っていくことも重要。 国⇒中核的人材・広域的支援人材の育成を進める、市町村や都道府 県による地域の支援体制整備を財政面・ノウハウ面から支援していくことが求めら れる。
【支援体制の構築を進めるために】→人材や地域資源の不足等により、市町村において支援のために必要な機能の全部又は一部が確保できない場合には、近隣の市町村、もしくは都道府県と連携・協働し、その機能を確保して必要な支援が提供されるようにすることが重要であり、 広域で階層的な調整機能が働くように、地域の支援体制の整備を進めていくこと。 自治体において、強度行動障害を有する者の地域の支援体制の整備が着実に 進められるよう、支援ニーズを適切に把握し、障害福祉計画や障害児福祉計画で 道筋を定めて取組を進めていくようにすることが重要。 強度行動障害の状態を起こさなくても良い支援を日常的に行うことが重要であり、支援者や家族、教育等の生活に関わる関係者が、標準的な支援の知識を共有し、そうした共通した支援の考え方を地域の中に拡げていくこと。 強度行動障害を有する者とその家族の支援にあたる関係者が、地域単位、さらには全国単位のネットワークを構築し、連携・協働して支援にあたるとともに、知見や好事例の共有等により支援力の向上や支援体制の充実を図っていくことが重要。 強度行動障害を有する者への支援に関して、支援者がどの程度アセスメントを行 い、それに基づいて標準的な支援を行っているか、また支援の専門性向上のため の研修を受講している等の観点を含め、支援実施に関する評価を行い、取組を改善していく仕組み⇒検討することも考えられる。

4.おわりに →本報告書⇒強度行動障害を有する者と支援の現状を整理するとともに、支援人材、支援ニーズの把握と相談・調整機能、日常的な支援体制、状態が悪化した 場合の集中的支援、こども期からの予防的支援、医療との連携体制といった各論 についての整理を前提に、地域における支援体制の在り方の全体像を示し、その 構築に向けた今後の道筋を示した。 強度行動障害を有する者とその家族への支援の体制づくり⇒支援人材の育成や報酬上の評価などは講じられてきたものの、各地域、各支援者の個別の取組に委ねられていた部分が大きかったともいえる。本報告書を踏まえて、全国 の自治体において、地域の実情に応じて、行政、様々な事業者、関係機関、支援 者が同じ方向感をもって個別の支援や地域の支援体制の構築を進め、困難を抱える当事者やその家族に適切な支援が確実に届くようになることを期待する。 強度行動障害を有する者の地域支援⇒各地域における支援体制の構 築の状況や現場における支援の状況等を注視し、支援体制や支援の取組の更な る充実に向けて、今後も引き続き検討を行っていくことが重要である。 なお、今回の検討会では、これまで行政や現場で用いられてきた「強度 行動障害」という用語を使用して議論を行い、本報告書においても使用しているが、複数の委員から、障害ではなく状態を表すものであり不正確な理解につながること、悪 い印象を与えるおそれがあることなどから、用語の変更を検討すべきとの意見があった、教育や医療など関係分野において共通の概念となるように留意しつ つ、検討していくことが求められる。 令和6年4月からは新たな障害福祉計画・障害児福祉計画期間がスタート。 それに向けて、各自治体において計画の策定が進められるとともに、国において は、障害福祉サービス等報酬改定の検討が進められることとなる。国及び自治体⇒本報告書を踏まえて、これらの対応を進めることを期待する。 強度行動障害を有する者への支援は高い支援スキルが求められるが、状態の 改善が順調に進むとは限らないという意味でも難しい支援である。 一方、全国には、支援者、法人、地域の関係者の適切な支援により、不安定な 状態から改善し、穏やかな表情を取り戻して暮らしている当事者もいる。 全国各地域で支援体制の構築が進み、強度行動障害を有する者とその家族が、安心して暮らすことができる社会が実現することを強く望む。


◎参考資料1 強度行動障害を有する者の地域支援体制イメージ(案)
・強度行動障害を有する者(家族)中心に、国、国立のぞみの園、都道府県/政令市、市町村が「状態像」の変化を目指して、地域支援体制イメージを描けるような俯瞰図になっています。

◆体制整備が、令和6年度からになっていますが、一刻も早く政府主導で着手してもらいたいと願っています。アタッチメントをどのように実践するのかが課題になりますね。

次回は新たに「第53回社会保障審議会児童部会 資料」からです。

第7回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2023年03月23日(Thu)]
第7回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和5年3月13日)
≪議事≫・強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会報告書(案)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31703.html
◎資料1 強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会報告書(案)
1. はじめに(検討の背景)↓
○ 自閉症や知的障害の方で強度行動障害を有する者は、その特性に適した環境調整や支援が行われない場合には、本人の困り事が著しく大きくなって行動上の 課題が引き起こされるため、個々の特性に応じた関わり方や環境の整備など適切 な支援の継続的な提供が必要
。 しかし、現状では、障害福祉サービス事業所で受入体制が整わず、サービスが 十分に提供されないことで、同居する家族にとって重い負担となることや、受入れた事業所においても適切な支援を提供することができず、意欲のある支援者が苦悩・疲弊する中で本人の状態がさらに悪化するなどの実情もある。
○ 今後の制度見直しについて議論された社会保障審議会障害者部会の報告書(令和4年6月)では、強度行動障害を有する者への支援について以下の指摘がなされた。↓
・ 強度行動障害や高次脳機能障害を有する者、医療的ケアを必要とする者等の 重度障害者の支援体制の整備が課題。 その支援に際しては、強度行動障害は、生来的な障害ではなく、周囲の環境や関わりによって現れる「状態」であり、児童期からの適 切な支援や、本人の特性に合った環境調整等によって、状態が大きく改善され 得るものである点に十分留意して検討が進められる。 継続的に適切な支援を行うためには、グループホームや障害者支援施設など複数の事業所で支えていく仕組みが必要。グループホームや在宅で状態が悪化した強度行動障害を有する者に対し、環境 を一時的に変えて、適切なアセスメントや環境調整を行った上で、本人の特性に 合うよう環境調整した元の住まいや新たな住まいに移行するための集中的支援をグループホーム、障害者支援施設等で当該支援を行うための具体的方策を検討すべき。
・地域での受入が困難な強度行動障害を有する者への支援は、研修の修了者に加え、適切な指導・助言ができる中核的人 材の養成や外部機関による専門的助言の活用等、より専門性の高い人員体制を確保するための方策が検討。 強度行動障害の点数が特に高い者や高次脳機能障害を有する者など特に支援 が必要な者を評価するための基準を検討した上で、報酬上の評価や支援体制 の在り方について検討すべきである。
○ こうした状況を踏まえ、強度行動障害を有する者やその家族が地域で安心して暮 らしていけるようにするための支援体制を検討するため、「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会」を開催。本検討会では、強度行動 障害を有する者の地域における支援体制の在り方や、適切な支援を提供できる支 援人材の育成・配置、行動障害が強い者の評価の在り方などを中心に議論を行った。また、全国で先駆的な実践に取り組む自治体や事業者、医療機関からの実践 報告や、強度行動障害を有する者と生活している家族からの報告なども踏まえな がら議論を進めた。
本報告書は、こうした全8回にわたる検討会の議論をとりまと めたもの。

2.強度行動障害を有する者と支援の現状
(1)強度行動障害の状態像と支援 ↓
○ 強度行動障害→自傷、他傷、こだわり、もの壊し、睡眠の乱れ、異食、多動など本人や周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、 特別に配慮された支援が必要
になっている「状態」。強い自傷や他害、破壊 などの激しい行動を示すのは重度・最重度の知的障害を伴う自閉スペクトラム症 の方が多く、自閉スペクトラム症と強度行動障害は関連性が高いと言われている。 自閉スペクトラム症は発達早期に存在する脳機能の違いであり、社会性の特 性、コミュニケーションの特性、想像力の特性、感覚の特性等の特徴が見られる。 こうした脳機能の違いに由来する特性に合わせた関わりや環境がないことで、 日々の生活に強いストレスを感じることや、見通しが持てずに強い不安を感じる状 態が続くことが要因となり、強度行動障害の状態になりやすい。
○ WHO によって平成 13 年に採択された ICF(国際機能分類)では「障害」の背景因子について、個人因子と環境因子という観点から説明。ICF における環境因子とは「物的環境や社会的環境、人々の社会的な態度による環境の特徴が 持つ促進的あるいは阻害的な影響力」とされ、強度行動障害を有する者への支援 にあたっても、知的障害や自閉スペクトラム症の特性など個人因子と、どのような 環境のもとで強度行動障害が引き起こされているのか環境因子もあわせて分析していくことが重要となる。こうした個々の障害特性をアセスメントし、強度行動障害 を引き起こしている環境要因を調整していくことが強度行動障害を有する者への支 援において標準的な支援である。一方、それぞれの支援者が独自の方法で関わることにより、支援の方法に統一性がなくなり、強度行動障害を有する者の混乱を招くことがある。そのため、事業 所内で標準的な支援を一貫して提供するために「支援手順書」を活用し、関わり方 や支援を統一して提供すること。同一の利用者に対する関 わり方や支援は事業所間でも統一するよう連携する必要がある。
○ 障害福祉サービスによる支援、強度行動障害⇒サービスを受ける際に行う障害支援区分の調査で把握する「行動関連項目」を用いて判定し、24 点中 10 点以上となる者に対して、支援の対象としたり、一定の体制や対応を求め た上で報酬上で特別の加算が設定されるなど、手厚い支援の提供が進められている。 なお、障害児への支援(児童発達支援及び障害児入所施設)にあたっては、「強 度行動障害判定基準表」を用いて判定し、55 点中 20 点以上となる児に対して、同 様の加算が設定されている。
(2)強度行動障害を有する者の状況 ↓
○ 障害福祉サービス・障害児支援
→強度行動障害関連の支援や加算の対象の人数令和3年 10 月時点でのべ 68,906 人。 令和3年度実施の調査研究⇒各自治体が公表している強度行動障害を 有する者の人数に関する調査を参考に障害支援区分認定調査結果データを活用して強度行動障害を有する者の人数の推計を行ったところ、1年間に障害支援区 分認定調査を受けた 267,569 件分のデータのうち、行動関連項目の合計点が 10 点以上は約 15%であり、20 点以上の人は約 1.2%であった。 また、全国の市区町村への調査を基に推計すると、障害福祉サービス等に繋が っていない強度行動障害を有する者は1自治体当たり 0.50 人、障害福祉サービ ス等に繋がっているがニーズを満たされていない強度行動障害を有する者は1自治体当たり 2.98 人と算出された。 さらに、家族が感じている困難さや負担が大きい状況についての家族ヒアリング 調査⇒障害福祉サービス等の利用を中断した事例が複数あり、事業所側 の対応に不信感がある等により家族側から中断した事例や、本人の行動を理由として事業所側から中断された事例があった。また、家族としては、事業所の行動障害への知識・理解や、本人や家族のニーズを理解してくれるかどうか、通いやすい かどうかといった点を重視するという意見が挙げられた。行政に対しては、必要な 障害福祉サービス等の提供が不十分であるという意見のほか、地域全体で考えて いくことや多機関連携の必要性についても指摘があった。そのほか、家族の心情と して、家族の気持ちを知ってもらうことの大切さや、多くの支援者に支えられている 実感、また親が行動障害について学ぶことの必要性についても意見が挙げられた。
○ 支援者が感じている支援の困難さや負担が大きい状況についての事業所ヒアリ ング調査⇒@人員体制が不十分、A精神的負担、B事業所の専門性が不 十分、C環境設定の難しさ、D事務作業の負担、E連携の難しさ、F経費の負担、といった課題が示された。

(3)強度行動障害を有する者への支援施策 ↓
○ 障害福祉サービスによる支援、強度行動障害→サービスを受 ける際に行う障害支援区分の調査で把握する「行動関連項目」を用いて判定し、24 点中 10 点以上となる者に対して、支援の対象としたり、一定の体制や対応を求め た上で報酬上で特別の加算が設定されるなど、手厚い支援の提供が進められている。(再掲) 具体的には、行動援護、重度訪問介護、重度包括支援の対象とされるとともに、 施設入所支援、共同生活援助、生活介護、短期入所において重度障害者支援加 算が設定。また、福祉型障害児入所施設、児童発達支援、放課後等デ イサービスにおいて、強度行動障害児(特別)支援加算が設定。
○ 強度行動障害を有する者へ標準的な支援を適切に提供できる支援者の育成を 目的とした体系的な研修→「強度行動障害支援者養成研修」が実施。 平成25年より、障害特性の理解、支援手順書に基づく支援、日々の記録等につ いて新任者等が基本的な事項を学ぶ「基礎研修」、平成26年より、基礎研修の内 容を踏まえて、行動観察・情報収集、行動の分析理解を行い、本人に合わせた支 援手順をまとめた支援手順書の作成について学ぶ「実践研修」が実施。 それぞれの研修は講義と実践合わせて12時間のプログラムで構成されており、障害特性のアセスメントから環境調整まで、支援手順書を活用した統一的な支援の 実施につなげている。 このような研修は、各都道府県において実施されており、また、独立行政法人国 立重度知的障害者総合施設のぞみの園においては「指導者養成研修」が実施され ている。 これまでの受講者数は基礎研修 87,423 人、実践研修 46,087 人(令和2年まで の実績)となっている。
○ 各市町村で整備が進められている、基幹相談支援センター→支援が難しい 事案への対応や地域の相談支援事業者への後方支援が、また、地域生活支援拠 点等には、緊急時の対応や施設や医療機関から地域への生活の移行を支援する ことが求められている。さらに、都道府県・指定都市に設置の発達障害者支援センターにも、支援が難しい事案をはじめ、地域の事業所への後方支援が求められている。強度行動障害を有する者への支援にあたっても、これらの機関がその機能を発揮し役割を果たしていくことが期待されている。
○ 上記の施策も活用しながら、各地域において、有期限入所の取り組みや重度障 害者に対する体制整備
など、地域の実情に応じた様々な支援の取組が行われており、こうした実践も踏まえ取組の展開や、その課題を踏まえた制度の充実を 図っていくことが必要である。

3. 強度行動障害を有する者の地域における支援体制の在り方 ↓
(1)支援人材のさらなる専門性の向上
【基本的考え方】→障害特性を正しく理解し、機能的 なアセスメントを行う等の根拠のある標準的な支援を行うことを基本として、行動上の課題を引き起こさないための予防的な観点も含めて人材育成を進めていくこと
。 適切な支援を継続的に行っていく上では、特定の職 員のみに依存するのではなく、事業所の職員全体の支援スキルを上げていく、チームで支援にあたることが重要。また、外部の専門人材による助言・ 指導等を受けて、支援が難しい事案への対応や事業所の人材育成を進めていくこと。現在行われている強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)⇒それまで自閉症支援に携わったことのない支援者も受講しやすいような内容構成となっており、障害特性や支援の手順等の基本的な知識は獲得できるが、それだけでは 実際の現場での支援を支援者が自信をもってしっかり実践することが難しい。 支援現場からは、「学んだことを支援現場で取り組むことが難しい」などの意見も あり、研修修了者に対する更なる専門性の向上のための研修や、支援現場での実践を通じた人材育成を進めることが必要。 研修で学んだ標準的な支援の内容を実際の支援に活かしていくための一つの課 題として、アセスメントが挙げられる。個々に違った特性や環境要因を的確にアセスメントすることは一定の経験や技量が求められるため、研修のみによるのではな く、外部の専門人材によるコンサルテーション等も活用し、支援現場での実践を通 じてアセスメントのスキルの向上を図るなど、適切なアセスメントを実施できる人材 を各事業所・法人全体で育成していくことが重要。統一した支援を一貫して 行うことが重要であるが、それを支えるのはアセスメントであり、客観的なアセスメ ントを行い、それに基づいて支援計画を立て、支援を実行し、そして支援を評価し て次につなげること。支援は行動の意味(機能)を理解せ ずに介入することで、抑圧的な対応となってしまうおそれがあり、問題となっている 行動がどのような意味(機能)をもって起きているのかを調べる機能的アセスメント を進めることが重要である。
○ 強度行動障害を有する者の家族→家庭での対応等で心身ともに疲弊していることが多い。家族支援を進めることも必要、家庭環境のアセスメントも行い、家族も含めて、困り感やニーズの把握を行い、支援にあたること。家族への支援に関する専門性の要素を人材の養成に盛り込むことが重要。 障害者の地域移行が求められる中、強度行動障害を有する者の地域移行が進みにくい背景⇒地域に移行先となる法人や事業所がない状況。地域で 強度行動障害を有する者を受け止めて標準的な支援を実施できる法人や事業所を広げていくためにも専門性のある人材の育成を量的・質的にも進めていくことが必要。
【現場の支援において中心となる中核的人材(仮称)の育成】→強度行動障害を有する者の支援人材の専門性の向上と現場での実践が求められる中、強度動障害支援者養成研修(基礎・実践)により育成される人材に加えて、同研修で学ぶ標準的な支援を踏まえて現場において適切な支援を実施し、組 織の中で適切な指導・助言ができる人材が必要、その人材を「中核的人材」 として位置づけて養成していくことが必要。 中核的人材⇒各事業所において強度行動障害を有する者に対してチームで 支援を行う上で、適切な支援の実施をマネジメントする中心的な役割を果たすとともに、外部の専門人材によるコンサルテーションを受ける場合に、その助言内容や 方針について事業所のチームと外部の専門人材とのつなぎ役としての役割も求められる。中核的人材は、チーム支援の要となる人材であるため、各事業所に配置さ れる想定で育成を進めていく必要がある。 強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)で学ぶ標準的な 支援を軸として、自閉症の特性・学習スタイルを説明できる、構造化の意味を説明 できる、機能的アセスメントが実施できる、アセスメントから特性を見極められる、特 性を生かした支援を提案できる、等のスキルが求められる。 〇 中核的人材は、強度行動障害支援者養成研修(実践)の修了者を対象に、その 養成研修を行うことが考えられ、座学のみではなく、外部の専門人材に よる指導・助言等も踏まえた実践も交えた研修とすることが重要。また、チーム支援の要となる人材であり、チーム職員のメンタルヘルスへのケアも行えるよう、研修に盛り込むこと。 中核的人材⇒国は早急に研修体系を整備しその実施を進めるとともに、 現場である各事業所において中核的人材を中心としたチーム支援が進むよう、報 酬上の評価について検討を進めることが必要。 中核的人材を中心としたチーム支援⇒強度行動障害を有する者への支援 を組織において継続的に行っていく上で、法人や事業所全体がその人材の役割や 必要性について理解を得て、支援者が孤立し、疲弊することのないようスキル向上 や休暇取得等の労働環境の整備を進めること、国や自治体は意識 醸成や支援の取組を進めることが重要である。
【高度な専門性により地域を支援する広域的支援人材(仮称)の育成】→著しい行動障害が生じているなどの対応が難しい事案⇒現場で支援に あたる中核的人材等に対してコンサルテーション等による指導助言が可能な高い 専門性を有する人材が必要、その人材を「広域的支援人材」と位置づけて養成する。 広域的支援人材⇒強度行動障害を有する者への支援を行っている事業所に 対して、個別事案を含めた支援に関する指導助言等を行うなど、地域の事業所を 支え、その対応力を強化するとともに、地域の支援体制づくりを牽引する、地域の 強度行動障害を有する者への支援における中心的な役割を果たすことが求められる。地域の強度行動障害を有する者の人数等の地域実態を踏まえて、都道府県等 の広域で必要数を想定し、育成を進めていく必要がある。 広域的支援人材⇒中核的人材としてのスキルに加えて、支援プログラムの 組み立てや記録、支援の実行・評価等の支援マネジメントのスキル、現場の支援 チームの人的環境や事業所の物理的環境を含めた組織アセスメント・組織マネジ メントのスキル、中核的人材を含めた支援チーム職員への心理的支援のスキル等 のスキルが求められる。 広域的支援人材⇒中核的人材の養成研修の修了者を対象に、さらなるスキル 向上に向けた研修を行うことが考えられるが、中核的人材の養成が開始されてい ない中では、まずは強度行動障害を有する者への支援に関して、既に事業所等へ の指導・助言を行い、地域の支援において中心的な役割を担っている者を対象 に、研修等を実施することが考えられる。 広域的支援人材⇒国は早急に研修体系を整備しその実施を進めるとと もに、現場で広域的支援人材による事業所への指導・助言等の取組や、地域の支 援体制づくりが進むよう、財政面・ノウハウ面での支援について検討を進めること。 広域的支援人材の養成⇒地域におけるより効率的・機能的な配置や活動につながるよう、研修後のフォローアップ体制も含め、地域の大学等の研究機 関と連携して進めることも考えられる。
○ 発達障害者支援センター等に配置されている発達障害者地域支援マネジャー⇒対応が難しい事案等について事業所等に指導・助言を行う役割が求められて おり、地域で広域的支援人材としての役割を果たすことも期待される。発達障害地 域支援マネジャーの養成について、広域的支援人材の育成の観点を盛り込んで進 めて行くことも検討。広域的支援人材⇒求められる専門性の高さから、地域での確保・配置が 難しい場合も想定される。ICT を活用して地域外から指導・助言等を行うなど、広域 で対応する体制についても検討することが必要。 広域的支援人材が地域の事業所等に対して指導・助言等を進めていく上で、広 域的支援人材の所属法人がその役割や必要性を理解し外部へ支援が展 開できる環境を整えることが重要、国や自治体は意識醸成や支援の取組を 進めることが重要である。
【地域における人材のネットワークの構築】→地域において強度行動障害を有する者への支援に携わる支援者が、互いに支え合い連携して支援を行うことや、支援者同士での率直な意見交換や情報共有等の 取組を進めるため、ICT 等も活用しつつ、人材のネットワークの構築を進めること。 中核的人材・広域的支援人材は、それぞれの専門性をもって支援を実践すること。また、ネットワークを活用して、相互に学び合って個別ケースも含め た支援力の向上につなげていくこと。 地域で人材のネットワークを機能化させ、ネットワークからその次の広域的支援 人材の候補を選出し育成する等、地域の人材育成と支援体制の持続可能性を高 める取組を進めることが重要。 地域における人材のネットワークを構築する上では、地域で支援につながってい ない強度行動障害を有する者とその家族の情報を得るためにも、親の会等の当事 者団体にも参画してもらうことも重要である。

2)支援ニーズの把握と相談支援やサービス等に係る調整機能の在り方
【自治体による支援ニーズの把握】
→地域の強度行動障害を有する者を確認し、本人とその家族の支援ニーズを適切 に把握して支援につないでいくこと、また、そうした支援ニーズを踏まえて地域の支 援体制の整備を進めていくことが重要であり、各市町村は、広域的支援人材や中 核的人材からの助言を得つつ、地域の実態把握の取組を進めることが必要。 併せて、地域において支援につながれていない、又は支援から切り離されてしま った強度行動障害を有する者とその家族を把握・フォローしていくことが重要であ り、各市町村は、障害・高齢者・生活困窮等の福祉、教育、子ども子育て支援、医 療等の各分野の担当部署が連携し、複合的な課題を抱えた家庭等におけるその 発見の端緒となる情報を逃さず、対象者を把握して支援につなげていく取組を進め ること。 地域の支援ニーズの把握とそれを踏まえた支援体制の整備⇒自治体、基幹相談支援センター、地域の支援機関、当事者団体等が参画する(自立支 援)協議会の場を活用することが重要。
【相談支援と調整機能】→相談支援事業所、基幹相談支 援センター、発達障害者支援センター等の相談支援機関が、それぞれの役割や強みを活かしながら、相談支援やサービス等に係る調整を行っていくこと。 相談支援事業所が支援のコーディネート・マネジメントを行い、基幹相談支援セン ターは地域の相談支援事業所への後方支援を行うことを基本としつつ、対応が難 しい事案⇒基幹相談支援センターが直接対応することが考えられる。ま た、発達障害者支援センターは、基幹相談支援センターや相談支援事業所に対し て個別事案への対応も含めて助言等により支援していくことが考えられる。 地域において強度行動障害を有する者とその家族への支援を展開するために も、各市町村において基幹相談支援センターの設置を進めるとともに、その機能の 充実に取り組んでいくことが必要。基幹相談支援センターや相談支援事業所の専門性を向上していくことが重要であり、人材育成や体制の充実に取り組んでいくことが必要である。

長いので後半は、3.強度行動障害を有する者の地域における支援体制の在り方「(3)日常的な支援体制の整備と支援や受入の拡充方策」からです。

第11回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2023年03月17日(Fri)]
第11回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和5年3月13日)
≪議事≫ (1)報告書(案)について (2)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31852.html
◎資料1 報告書(案)溶け込み版 →再現ですので省略します。
◎資料2 報告書(案)見え消し版 →省略です。

◎資料3 報告書(案)概要
○障害児通所支援の基本的な考え方
→「こどもの権利を社会全体で守る」「 こどもと家族のウェルビーイングの向上」「インクルージョンの推進」⇒障害児支援を進めるにあたって、行政、事業所、関係機関等の全ての関係者は、以下の基本的な考え方をもって進めていくべきである。↓
・こどもの意見表明の確保、発達、人権及び基本的自由の保障がなされることで、こどもの最善の利益を社会全体で守っていく環境 づくりを進める。
・こどもや保護者が内在的に持つ力を発揮できるよう、エンパワメントの視点を持ち、こどもと家族のウェルビーイングの向上につ ながるよう取り組んでいくことが必要。
・障害の有無にかかわらず、こどもが様々な遊びなどの機会を通じて共に過ごし、学び合い、成長していくことが重要。こどもの育ちと個別のニーズを共に保障した上で、インクルージョン推進の観点を常に念頭に、こどもや家族の支援にあたっていくこと。

1.児童発達支援センターを中心とした地域の障害児通所支援の体制整備
・児童発達支援センターの中核機能→4つの中核機能全てを十分に備えるセンターを、中核拠点型としての整備を推進していく方向で検討。↓
@ 幅広い高度な専門性に基づく 発達支援・家族支援機能
A 地域の障害児通所支援事業所に対する スーパーバイス・コンサルテーション機能
B 地域のインクルージョン推進の中核機能
C 地域の発達支援に関する入口 としての相談機能
・福祉型・医療型の一元化後の方向性→一元化後は、保育士・児童指導員を手厚く配置する等の方向で検討。また、福祉型の3類型(障害児、主に難聴児、主に重症心身障 害児)についても、一元化した上で、障害特性に応じた支援を行った場合に、必要な評価を行う方向で検討。

2.児童発達支援・放課後等デイサービス↓
・各ガイドラインに定めるそれぞれの役割に加え、5領域(「健康・生活」、「運動・感覚」、「認知・行動」、「言語・コミュニケーション」、「人間関係・社会性」)等、全ての視点を含めた総合的な支援が提供されることを基本とすべき。
・総合的な支援を行い、その上でこどもの状態に合わせた特定の領域への専門的な支援(理学療法等)を重点的に行う支援が考えられる。 その際には、アセスメントを踏まえ、必要性を丁寧に判断し、障害児支援利用計画等に位置づける等、計画的に実施されることが必要。
・ピアノや絵画のみを提供する支援は、公費により負担する支援として相応しくないと考えられ、これらの支援の提供にあたっては、ガ イドラインに示される支援の視点等とのつながりを明確化した支援内容とした上で提供することが必要。
・利用の仕方等により、支援時間に差異があることから、支援に対する人員の配置の状況や支援内容等にも留意しつつ、支援時間の長短 を考慮したよりきめ細かい評価を行うことが必要。
・保護者の就労等による預かりニーズ→家族全体を支援する観点から、こどもと家族のアセスメントを踏まえて児童発達支援や放課後等デイサービスにおいても対応することが重要。
・放課後等デイサービス→学校や家庭とは異なる場であり、安心・安全でその子らしく過ごせる場としての機能も重視すべき。 また、学校に通学できない(不登校の)障害児について、関係機関と連携して支援していくことが必要。

3.インクルージョンの推進↓
・障害児支援による保育所等の一般施策への後方支援の取組を強化し、保育所等訪問支援等を活用しながら、保育所等の障害児への支援力向上を図っていく等、子育て支援と障害児支援が双方向から緊密に連携が行われる地域の体制づくりを進めていくことが重要。
・保育所等訪問支援がより効果的に活用されるよう、人員配置や報酬上の評価、運用について必要な見直しを行う方向で検討すべき。 (チームでアセスメントや一定の支援を行う場合や、時間の長短も含め、支援内容を踏まえた評価の検討)

4.障害児通所支援の給付決定等↓
・給付決定→適切に発達支援の必要性や支給量を判断する、その後の支援に活用していく上でも、こどもの発達状況等 も把握できる調査指標に見直すことが必要。
・セルフプラン率が高い現状も踏まえ、障害児相談支援による支援が行われるよう取組を進めることが必要。また、障害児相談支援の整 備が途上にある地域等においても、適切にコーディネートが行われる方策を検討していくことが必要。

5.障害児通所支援の質の向上↓
・市町村は(自立支援)協議会子ども部会を設置し、児童発達支援センターも参画して、地域の課題を把握・分析しながら、地域の支援 の質の向上に取り組むことが重要。
・自己評価・保護者評価について、集約・分析し、その結果を公表する等、効果的な活用方策等について検討を進めることが必要。
・人材育成について、専門性を身につけるため、基礎、中堅、専門といった段階的な研修体系の構築等を進めることが必要。

◆脳が可塑性に富んでいるころの幼児教育ってとても大事ですね。「三つ子の魂100までも」と結び付けてほしいものです。

次回は新たに「第126回労働政策審議会障害者雇用分科会」からです。

第9回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2023年02月19日(Sun)]
第9回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和5年2月6日)
≪議事≫(1)報告書(素案)について (2)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30871.html
◎資料1 報告書(素案)令和5年●月●日
5.インクルージョンの推進について
(1) 基本的な考え方 ↓
○ 共生社会の実現に向けては、社会の様々な場面で、障害児の状態や特性に応じた合理的 配慮の提供を進めるとともに、子育て支援施策全体の中で障害児への支援を進め、インク ルージョン(地域社会への参加・包摂)を推進していくことが重要。 インクルージョンを推進していく上では、こどもや保護者の希望を踏まえながら
、保育所や放課 後児童クラブ等との併行通園や移行を推進していくこと。 障害児支援を、専門的な知識・経験に基づき、子育て支援施策側をバックアップする後方支援 として位置づけ、巡回支援専門員整備事業や保育所等訪問支援等を積極的に活用しながら、こ どもや保護者、保育所等の個々のニーズに応じた丁寧な支援を行うことで、保育所等における障 害児の育ちの支援に協力等するとともに、保育所等の障害児への支援力の向上を図り、子育て支援と障害児支援が緊密に連携した支援の取組が行われる体制づくりを進めていくことが重要。

(2) 地域のインクルージョン推進の体制と取組について
〇 児童発達支援センター→地域のインクルージョン推進の中核としての機能を果たすことが期待。専門的な知識・経験に基づき、保育所等訪問支援やスーパーバイズ・コンサルテーションにより、保育所や放課後児童クラブ等における障害児の育ち の支援に協力等するとともに、保育所等の障害児への支援力の向上を図り、併行通園や保育 所等への移行を推進していくこと。
地域のインクルージョン推進の中核としての機能を果たす観点からも、児童発達支援センターは、保育所等訪問支援事業の指定を併せて有することを基本とするべきである。 各市町村→巡回支援専門員整備事業、都道府県等が実施する障害児等療育支 援事業等を活用し、児童発達支援センターが、保育所や放課後児童クラブ等へスーパーバイズ・コンサルテーションを行うための体制整備を進めることが必要。国や都道府県 は、各地域の体制整備が進むよう、財政面・ノウハウ面での支援を行うことが必要である。
○ 児童発達支援センターにおいて、 地域全体の子ども・子育て支援施策等を適時に効果的に 後方支援できるよう、十分かつ柔軟な人員の配置について検討すべき。 地域のインクルージョンの推進に向けては、児童発達支援センター等による支援のもとで、 保育所や放課後児童クラブ等における障害児保育等の取組を充実していく必要がある。また、 保育所等の職員研修等においてインクルージョンの推進や障害児支援に関する事項の充実 や、環境面でのユニバーサルデザインを進めることも重要。
○ 学校や社会的養護における障害児支援に関する後方支援を進めることも重要。こうし た場に対する保育所等訪問支援、スーパーバイズ・コンサルテーション、研修等の取組を進め ることが必要である。 インクルージョンの推進にあたっては、幅広い地域の関係機関それぞれが理解を深め、連携・協働し、障害児支援の対応力を強化して取り組んでいく。市町村→障害児支援担当部門と子育て支援担当部門が連携し、地域に設置されている児童発達支援センターの機能や地域資源の状況等を踏まえながら、必要な連携体制を構築し、取組を進め ていくこと。 地域におけるインクルージョン推進の基本的な考え方や重要性を、地域の住民や関係機関 等に共有していくことが重要であり、市町村は、児童発達支援センター等と連携・協働し、広報 や会議、研修等の機会を活用しながら、インクルージョン推進の重要性や取組について発信・ 周知啓発を進めていく。 改正障害者差別解消法により、事業者による社会的障壁の除去の実施に係る必要かつ合理 的な配慮の提供が義務化されており、地域の習い事等の様々なサービスにおいても合理的配 慮の提供の下で障害児を受け入れていく環境を整備していくことが重要である。こうした事業者 も含めて、障害児支援の後方支援を進め、インクルージョンを推進していくことが重要である。

(3) 保育所等訪問支援について
○ 保育所等訪問支援⇒インクルージョンを推進していく上
で重要なサービスであるこ とも踏まえ、より効果的に活用されるよう、人員配置や報酬上の評価、運用について必要な見 直しを行う方向で検討すべき。 訪問支援員⇒保育所や放課後児童クラブ等が大事にしている理念や手法を尊重しながら、こどもや保育士等の困り感に寄り添いアセスメントを行い必要な手立てを考える力や、様々 なこどもに対応できる力等の専門性が求められる。一定程度の障害児支援の経験年数(例えば5年)を訪問支援員の専門性を評価する目安とすることも含めて、人員配置や報酬上の評価 について検討を進める。
○ 保育所や放課後児童クラブ等に訪問して集団生活の中での配慮された支援を行う上では、 障害特性を踏まえることはもとより、訪問先での子どもの状態や保育所等の環境等も踏まえて アセスメントを行い、必要な手立て等の専門的助言をする技術が必要、通所で発達支援 を行うこととは異なる専門性が求められる。障害特性や子どもの状態等に応じた適切な支援を 行う観点や、人材育成の観点からも、チーム(複数名)でアセスメントや一定の支援を行うこと も考慮して、報酬上の評価を検討。 訪問による支援とあわせて、保育所や放課後児童クラブ等の支援者のサポートにあたっての 情報共有・伝達の手段の一つとして ICT を活用するなど、効果的な支援としつつ現場の負担 軽減につなげる方策についても、検討を進める。
○ 保育所等訪問支援は、保育所や放課後児童クラブ等に訪問して直接支援(行動観察や環境 把握・環境調整を含む)や間接支援(カンファレンスを含む)を行う等、様々な支援が含まれて おり、時間の長短も含め、支援内容を踏まえた評価を行うことを検討する必要がある。その際には、調整業務や報告書の作成、保護者への報告等、訪問先での支援時間以外の業務の実 態も踏まえながら、検討を進める。
○ 支援が必要な期間⇒子どもの状態等によって様々であり、一律に標準的な期間 を設けることは困難であるが、一定期間支援を行った以降は、アセスメントやモニタリングを行 い、改めて支援の必要性を判断することが重要。その際、支援対象となるこどもの関係 者等が、支援の必要性等について地域の中で話し合う場を設定することが必要である。 児童発達支援センター等が保育所等訪問支援等を活用して地域を支えていくため、保育 所等訪問支援と児童発達支援センター等における職員配置について、支援の質の確保に必 要な体制は担保しつつ、柔軟に対応できるよう配置の仕方(兼務等)について検討を進める必要がある。
(4) 児童発達支援や放課後等デイサービスにおけるインクルージョンの推進について
○ インクルージョンを推進する上では、障害特性やこどもや家族の状態を踏まえつつ、通所する個々のこどもや保護者等の意向を尊重しながら取り組んでいくこと。
児童発達支援事業所や放課後等デイサービスにおける、併行通園や保育所等への移行の 取組を進めるため、児童発達支援センターがスーパーバイズ・コンサルテーションの機会も活 用しながら、インクルージョン推進の重要性やノウハウについて伝えていく取組を進めることが 重要。 ○ 国は、併行通園を基本とする場合(保育所等が生活の主軸となる場合、あるいは障害児通所 支援が生活の主軸となる場合)、子ども子育て一般施策への完全な移行を目指す場合等の、 具体的な支援のプロセスや考え方を整理したガイドラインを作成し、取組の推進を図ることが 必要。その際、アセスメントや障害児支援利用計画、個別支援計画の作成、事業所での 支援において、インクルージョンの推進が考慮されるとともに、PDCA の仕組みを盛り込むこと。 現在、障害児通所支援事業所を退所して、保育所等へ完全に移行した際には、保育・教育 等移行支援加算の算定を可能としているが、一定期間にわたり継続的に行われる移行支援の プロセスについては評価の対象としていない。インクルージョン推進における移行支援のプロ セスについても報酬上適切に評価していく方向で検討を進めることが必要である。

6.障害児通所支援の給付決定等について
(1)基本的な考え方
→ 障害児通所支援の給付決定は、5領域 11 項目による調査を含め、9つの勘案事項及 び障害児支援利用計画案を勘案して行うこととされており、市町村がこどもや保護者の 状態等を踏まえながら、発達支援の必要性や支給量等を適切に判断していくこと。また、給付決定後は、こども本人やその家族のニーズ等に応じた適切な支援が提供さ れていくことが重要、給付決定の際に把握した情報を関係機関に共有し、その後 の支援に活用していくことが効果的と考えられる。こうした観点からも、市町村が給付決定において、こども本人や家族の状況等をより丁寧に把握することを推進していくことが必要である。
(2)調査指標の見直しについて
○ 令和3年度障害者総合福祉推進事業「児童発達支援・放課後等デイサービスの指標の 在り方に関する研究」において整理された、6領域 20 項目(思春期は7領域 23 項目) の調査項目については、こどもの発達状況や困り感も含めて把握できる内容となってお り、これを参考にしながら、現行の5領域 11 項目に代わる、新たな調査指標について 検討を進めていくべき
。その際には、こどもの発達状況に加え、例えば思春期以 降についてメンタルヘルスの課題等、それぞれの年代特有の課題に係る視点等を加えて いくことも検討。 ○ 新たな調査指標の調査内容や調査項目数等によっては、市町村の職員の負担が大きく なることが想定される。例えば各種加算の判定との連動など、調査で得た情報の活用や ICT の活用などにより、業務負担の軽減を図ることも検討するべきである。 同研究において、こどもの全体像を把握する内容として整理された 10 領域 90 項目に ついても、その後の支援に活用する方策を検討していくことが考えられる。
(3)給付決定プロセスについて
○ こどもの状態は、保護者の状態や養育環境を含めた環境による影響も大きく、支援の 必要性について判断をする上で、保護者の心身の状態、子育てで抱えている精神的な負 担、それらに対する支援の状況、家庭と地域のコミュニティや社会資源とのつながり 等、家庭の状況も丁寧に把握すること。
現行の給付決定においても、保護 者の状況等を勘案事項として把握することとされているが、より丁寧に把握することを推進していくことが必要。 ○ 気付きの段階からサポートに入ることが重要であり、母子保健施策や子育て支援施策 との連携は重要である。また、令和6年4月に創設され、支援を必要とするこども等に サポートプランを作成する、こども家庭センターとの連携も重要。発達支援につ ながる入口ともなる、これら関係機関が有するこどもや家族の情報を、給付決定におい ても活用していくことについて検討を進めていく必要がある。
○ 成長・発達が著しく、ニーズの変化が大きいこどもの時期においては、こども等の状 況を適時にきめ細かく把握し、それに応じた適切な支援が提供されるよう調整していく ことが重要。そのためには、市町村の給付決定において、相談支援事業所による モニタリング期間を一律の標準期間に沿って設定するのではなく、個々の状況等に応じて丁寧に設定する等の運用の徹底を進める。国においては、モニタリング頻 度を高める必要があると考えられる状態像等をより丁寧に示していくことが必要である。 ○ インクルージョンを推進していく上で、発達支援の入口ともなる給付決定において、 子育て支援担当部門とも連携の上、地域における保育所や放課後児童クラブ等の一般施 策の受け入れ体制等についても、保護者に対して適切に情報提供を行ない、一般施策で の対応も考慮して給付決定していくことを推進すべきである。
○ 給付決定を更新する際には、それまでの支援内容とその成果や、こどもと家族の状況 を把握し、その時点における支援の必要性や支援ニーズを踏まえて決定することが必要。
○ 給付決定⇒新たな調査指標の運用、見直すべき勘案事項や留意事項等も踏 まえながら、市町村によって判断のバラツキが生じにくくなるよう、給付決定事務等に 関する事務要領を見直す。国においては、個々の自治体の給付決定の状況 や、地域の障害児相談支援の実施状況や体制、各地域の資源の状況や取組等について把 握し、好事例を示していくことや必要に応じた助言等を行なうことで、地域の実情に応 じつつ、適切な給付決定に基づく質の高い支援の提供を進めること、自治体の負担軽減や判断のバラツキが生じにくくなるよう、共通ツールの開発や ICT の活用の検討を進めていく必要がある。

(4)支援全体のコーディネートについて→ 給付決定後は、こども本人やその家族のニーズ等に応じた支援を適切に提供するた め、支援全体のコーディネートが行われていくことが重要、支援にあたって相談 支援事業所による障害児支援利用計画の策定及びモニタリングが行われるよう取組を進める。特に、一月あたりの利用必要日数が多い場合や複数の事業所を併用する場合等には、こどもの状況等に応じたコーディネートが行われる必要があり、相談支 援事業所による対応を進めること。 その上では、障害児相談支援について、支援の質と量を確保する観点から、計画的な 整備と人材育成を進めていくことが必要で、これらの資源が不足している地 域においても、適切にコーディネートが行われる方策を検討し、対応を進めていく必要 がある。

7.障害児通所支援の質の向上について
○ 地域の障害児通所支援事業所全体の質の底上げが図られていくよう
、都道府県、市町村 や児童発達支援センター、事業者、障害児関係団体等が地域で連携して研修や支援困難 事例の共有・検討を進めていくことが必要である。 地域の障害児支援の質の向上を図るための研修等の取組は、市町村が企画し児童発達支 援センターや基幹相談支援センター等の地域の中核機関と連携して進めていくこと。郡部や町村部においては広域での連携が必要、都道府県が広域調整 や全域での企画を行うなどその役割を果たすことが重要である。
○ 市町村⇒(自立支援)協議会の下に子ども部会を設置し、個別事案の検討等を 通じて地域の課題を把握・分析しながら、支援体制の充実と地域の障害児支援の質の向 上に取り組んでいくこと。児童発達支援センターは、子ども部会等に参画 して支援困難事例や地域課題の共有等を行うとともに、そうした場での関係機関による 議論や検討を踏まえながら、地域の障害児支援の質の向上を図るための取組を進める。 児童発達支援センターは、地域の障害児支援の中核的役割を担う機関として、地域の事 業所へのスーパーバイズ・コンサルテーションを積極的に進めていくことが必要、事業所側を動かすことも重要であり、児童発達支援及び放課後等デイサービスの各 ガイドラインで定めた自己評価票の項目に、コンサルテーション実績等を確認する項目を設ける 等、児童発達支援センターとの連携状況を公表する仕組みを設けることを検討すべきである。(再掲)
○ 障害児支援の質の底上げに向けて、児童発達支援センターが中心となり、地域の事業所 の自己評価・保護者評価の結果を集約し、各事業所とともに、それぞれの事業所の強み・ 弱みを分析し、地域の事業所がお互いの効果的な取り組みを学び合う取組を推進することが必要。国においては、効果的な実施方法等を含めた自己評価・保護者評価の活用 に関する手引きを作成し、全国各地域での取組を進めることが必要である。
○ 児童発達支援及び放課後等デイサービスの各ガイドラインで定めた自己評価票・保護者 評価票⇒第三者による外部評価に関する研究の報告等も参考にしつつ、各ガイドラインの見直しとあわせて改善を図るとともに、運営基準等において実施方法を明確 化し、運用の標準化と徹底を図ることが必要である。
○ 障害児通所支援の質の確保・向上につなげる観点から、自己評価票・保護者評価票につ いて、集約・分析し、その結果を公表するなど、効果的な活用方策や公表の仕方について 検討を進める必要がある。 第三者による外部評価については、評価とあわせて改善のためのコンサルテーションが行わ れることが、質の確保・向上につなげていく上で有効とも考えられる。各自治体における社会福 祉法に基づく福祉サービス第三者評価等の取組を進めるとともに、児童発達支援センター等に よるスーパーバイズ・コンサルテーションの取組を推進していくことが重要。 児童福祉法に基づく障害福祉サービス等情報公表制度等も活用しながら、事業所の支援の方 針やサービスの内容・特色、支援体制等の情報の把握と公表を進め、各事業所の支援の見える 化を進めることが重要である。 ○ 障害児支援にあたる人材の育成を充実させることが急務である。障害児支援と子育て支援の 双方のスキルを身につけるための基礎から専門までの研修体系の構築や、人材確保の観点か らも、キャリアアップの仕組みの構築を進めることが必要である。研修の具体化にあたっては、 ICT や動画コンテンツの活用を進めることも重要である。
○ 上記研修との関連も含め、児童発達支援管理責任者、相談支援専門員の研修体系についても障害児支援を行うために必要な専門性をより向上させるよう、研修内容の充実に向けて検討 を進めること。 障害児通所支援の質の確保・向上に向けては、アセスメントの手法や個別支援計画等の標準 化を進めていくこと、手引きやガイドラインの充実やフォーマットの統一化について 対応を進めていくことが必要。 障害児通所支援の質の確保・向上に向けては、現場の業務負担を軽減していくことも重要であり、ICT の活用や文書量削減、会議の合理化等の取組を進めることも検討していく必要がある。

8.おわりに

次回は新たに「第8回目安制度の在り方に関する全員協議会 資料」からです。

第9回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2023年02月18日(Sat)]
第9回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和5年2月6日)
≪議事≫(1)報告書(素案)について (2)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30871.html
◎資料1 報告書(素案)令和5年●月●日
1 はじめに

2 基本的な考え方
○ 障害児支援
→平成 26 年の「障害児支援の在り方に関する検討会」や令和3年の「障害児通所支援の在り方に関する検討会」の報告書等に示されている、障害 児本人の最善の利益の保障、家族支援の重視、インクルージョンの推進等の観点を引き続き 重視すべき。
○ 行政と障害福祉サービス等事業所、母子保健や子育て支援を含む関係機関が連携・協働⇒地域の支援体制を整備、家族が地域で安心して暮らすことができ、こどもの最善の利益を社会全体で守っていく環境づくりを進める必要。 障害児通所支援⇒こども施策全体の連続性の中で、こどもと家族のウェルビーイングの向上につながるよう、 取り組んでいくこと。 支援にあたっては、こどもが保護者や社会の支えを受けながら自立した個人として自己を確立 していく「主体」として尊重されることが求められ、こども自身や保護者自身が内在的に持つ力を発揮できるよう、エンパワメントの視点を 持ち支援をすることが重要。
○ 全ての国民が障害の有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重しあい、理解しあいながら 共に生きていく共生社会の実現に向けて、年少期より、障害の有無に関わらず、こども達が 様々な遊びなどの機会を通じて共に過ごし、学び合い、成長していくことが重要で、子育て支援施策全体の連続性の中で、インクルージョン(地域社会への参加・包摂)を推進することが必 要である。

3.児童発達支援センターを中心とした地域の障害児通所支援の体制整備について
(1) 基本的な考え方
→地域の中核機能を担う上では、こどもの権利を 保障していくこと、家族の不安をきちんと支えていくこと、どこの地域に生まれてもその子らしく育 つことを保障していくという視点を基本におくべきである。
(2) 児童発達支援センターの中核機能について ↓
@ 幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能

○ 児童発達支援センター→幅広くどのような障害児についても受け入れることは前提、高度な専門性に基づく発達支援・家族支援が必要な障害児(例えば重度の障害や重複する障害、強度行動障害を有する児等)にも対応できるようにすること。ガイドラインに定める4つの役割(本人支援・移行 支援・家族支援・地域支援(地域連携))と、本人への5領域(「健康・生活」、「運動・ 感覚」、「認知・行動」、「言語・コミュニケーション」、「人間関係・社会性」)を全て含めた総合的な支援を提供し、あわせて、こどもの状態に合わせた特定の領域 に対する重点的な支援も提供することを基本とすべき。(4(1)参照)
○ 幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能を発揮するためには、アセスメントにより障害の特性や発達段階を捉えアプローチするという発達支援における基本的な支援を確実に行うとともに、こどもの今の育ちを充実させていくこととあわせて、成人期を見据えた上で乳幼児 期から段階的に必要なアプローチを行う視点、障害の有無に関わらずこどもの育ちに大切な「遊び」を通じて支援する視点、子育て支援という観点を持って対応することも必要。障害の特性を踏まえて、発達障害者支援センター、医療的ケア児支援センター、医療機関等の専門性を有する関係機関と連携して支援を進めることも重要。
○ 乳幼児期は親が障害のある子を育てる初期の不安な時期、孤独になりやすい時期でもあるため、こどもと家族を早期に漏れなくトータルに支援していくことが重要。このため、家族の環境も含めた、総合的なアセスメントの実施を推進する必要があ る。親をエンパワメントする観点から心理面への支援についても進める必要がある。

A 地域の障害児通所支援事業所に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能(児童発達 支援センターが障害児通所支援事業所への支援内容等への助言・援助等を行う機能)
○ 障害児とその家族が全国どこでも一定水準以上の支援が受けられるよう、各地域において、児童発達支援センターがスーパーバイズ・コンサルテーションにより、個別ケースへの支援も含め た障害児通所支援事業所全体への支援を行う取組を進めることが必要。
○ 各市町村⇒巡回支援専門員整備事業、都道府県等が実施する障害児等療育支援 事業等を活用し、児童発達支援センターがスーパーバイズ・コンサルテーションを行うための体 制整備を進めること。国や都道府県は、各地域の体制整備が進むよう、財政 面・ノウハウ面での支援を行うこと。 スーパーバイズ・コンサルテーションの取組は、地域全体の児童発達支援の質の向上につな げるために、地域の状況を把握し、地域でどのような支援が望まれているのか、実践知として集積し、それを地域の事業所の支援等に還元していくという視点を基本において進めていくこと。 スーパーバイズ・コンサルテーションを行う上では、障害特性を踏まえることはもとより、子育て 支援の観点を持ちスーパーバイズ・コンサルテーションが有効に機能する、提供する児童発達支援センターとこれを受ける事業所の相互理解や関係構築が重要であり、相互が理念や支援の手法を明確にして取り組んでいくこと。 スーパーバイズ・コンサルテーションを行う人材⇒専門性やアセスメントの技術はもとより、相手方に訪問して助言・援助等を行うというスーパーバイズ・コンサルテーションそのもの の技術を持つこと、これらを含めた研修や実施体制を整備する必要がある。スーパーバイズ・コンサルテーションを行う人材⇒一定の児童発達支援の業務等の経験 年数(例えば5年)を設定することも考えられる。
○ 児童発達支援センター⇒スーパーバイズ・コンサルテーションを全てのサービス種別の障害 児支援事業を対象として行うことを基本としつつ、その運営状況に応じて児童発達支援センター だけでは十分な支援ができない場合には、市町村は、スーパーバイズ等できる人材をコーディネートする等、児童発達支援センターが外部と連携しながら取り組む体制を整備することが重要。 スーパーバイズ・コンサルテーションの手法⇒事業所を訪問して行うほか、事業所に対 する研修の実施や事例検討会の開催なども考えられる。児童発達支援センターが、まずは地域 の事業所との関係を構築し、地域の障害児支援のプラットフォームとして機能することが重要であり、児童発達支援センターの現状に応じて研修等から始めるなど段階的に取組を進めていくこ と。 例えば、放課後等デイサービスを運営していない児童発達支援センターでは、乳幼児期における支援の専門性と二次障害的なも のが入る学童期・思春期における支援の専門性は異なるため、放課後等デイサービスへの助言・援助等が十分に行えないことが考 えられる。 事業所側を動かすことも重要であり、児童発達支援及び放課後等デイサービスの各ガイドライ ンの自己評価票の項目に、コンサルテーションの実績等を確認する項目を設ける等、児童発達 支援センターとの連携状況を公表する仕組みを設けることを検討すべきである。

B 地域のインクルージョン推進の中核機能 (※インクルージョンの推進全体について記載した「5.インクルージョンの推進について」の内容を 踏まえて記載予定)

C 地域の発達支援に関する入口としての相談機能
○ 児童発達支援センタ
ー→保護者がこどもの発達に不安を感じたり、育児不安を抱えているような「気付き」の段階にあるこどもや家族に対し、丁寧に発達支援の入口としての相談に 対応すること。その際に、家族支援の観点から、親同士のつながりをつくる取 組を進めることも重要である。 発達支援の入口としての相談対応から、適切な支援につなげていく観点からも、児童発達支援 センターは、障害児相談支援事業の指定を併せて有することを基本とするべき。障 害特性や発達の段階に応じて適時に丁寧にモニタリングを行うこと。 発達支援⇒親子教室や、1歳6ヶ月、3歳児健診など母子保健施策や子育て支援施 策からつながることが多い中で、母子保健施策や子育て支援施策との、アセスメントや支援等に 関する相互の情報連携や支援の連携を進める仕組みを構築することが必要。 特に令和6年4月に創設されるこども家庭センターとの連携は重要であり、こども家庭センター で策定されるサポートプランと障害児支援利用計画との連携も含め、具体的な方策について検 討を進める必要がある。
○ 各市町村は、児童発達支援センターの相談支援について、地域における、基幹相談支援センター、委託相談支援事業、障害児相談支援事業、発達障害者支援センターや医療的ケア児支援センター等の障害児の相談支援に係る関係機関、母子保健施策や子育て支援施策の相談支援 に係る関係機関の整備状況や機能を踏まえつつ、その機能と役割を整理するとともに、障害児と その家族に対して、関係機関が連携・協働しながら相談支援が提供される体制を整備することが 重要である。

(3) 児童発達支援センターを中核とした地域の体制整備について
○ 現状、児童発達支援センターの体制や地域における機能・役割は各センターで様々であるが、 地域の障害児支援体制の充実に向けて、4つの中核機能全てを十分に備える(4つの機能それ ぞれを満たしていること、
障害児相談支援事業及び保育所等訪問支援事業の指定を有すること、幅広い発達段階に対応可能であること等)児童発達支援センターを基幹型の児童発達支援 センターとし、その整備を推進していく方向で検討していく。 国は、基幹型の児童発達支援センターがその機能を十分に発揮できるよう、人員基準や報酬 について検討するとともに、児童発達支援センター向けのスタートアップマニュアルを策定し、そ の整備と取組を後押しすべきである。
○ 人員に関して、中核機能を果たす上では、専門職の役割が重要であり、保育士、児童指導員 のほかに、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、心理士、ソーシャルワーカー、看護師、栄養 士等を配置することを基本とする方向で検討していくべき。 一方で、質の担保を前提としつつ、持続可能な事業所運営も考慮しながら、柔軟な対応が可 能となるよう、配置の仕方(基準・加算、常勤・非常勤、外部との連携、兼務等)について検討。
○ 改正児童福祉法が施行される令和6年4月から、直ちに4つの中核機能を十分に備えることが できない児童発達支援センターにおいては、その機能を十分に備えることができるよう、段階的 に取組を進めて行く。地域の児童発達支援センターが基幹型でない場合や、児童発 達支援センターが未整備の場合は、関係機関が連携して機能を満たす体制を整備することが必要。
○ 地域の支援体制の整備は行政が主導して行うべきものであり、市町村は、地域の課題や支援 ニーズ、資源を把握・分析し、体制の整備・充実に取り組むことが必要。そのためには、 (自立支援)協議会の下に、子育て支援、母子保健、学校、当事者を含めた関係機関等が参画 するこどもの専門部会を設置すること。体制の整備状況を見える化する仕組 みを検討していくべき。 また、地域資源全体のコーディネートや、支援困難事例の確実な受け入れといった観点などに も留意して、地域の支援体制の整備を進めること。 国と都道府県は、市町村の体制整備をしっかりと支援していくことが必要であり、国は地域分 析や広域設置も含めた体制整備に資する具体的な手引きを作成するとともに、各地域の体制整 備の状況を把握・分析し、好事例も踏まえた助言等を行い、都道府県は広域調整の観点 から管内市町村の連携調整や地域の実情を踏まえた体制整備の助言等を行うなど、全国すべ ての地域での支援体制の確保・充実に向けて取組を進めることが必要。
○ 障害児とその家族を支援していく上では、障害福祉の関係機関はもちろんのこと、母子保健、 子ども・子育て支援、教育、医療等の関係機関、また、虐待予防の視点からも社会的養護等の 関係機関と緊密に連携・協働していくこと、(自立支援)協議会(こども部会) や要保護児童対策地域協議会等も活用しながら、地域の状況に応じたネットワークを構築し、早期の段階から切れ目なく、こどもとその家族を中心にニーズに対して漏れなく支援する体制整備を進めていく。アセスメントや支援に関する情報を関係機関で共有し、こどもが成長する中でつ ないでいく取組を進めることも重要。 医療的ケア児→医療的ケア児支援センターや地域のコーディネーターを中心とした支 援体制の整備が進められており、また、聴覚障害や視覚障害があるこどもについては、特別支 援学校が地域の支援の中核的な役割を担っている場合もあるなど、障害特性等を踏まえた特別 な支援体制にも留意して、効果的な支援体制の整備を進める必要がある。

(4) 福祉型、医療型の一元化後の方向性について→一元化後も、併設される診療所において 医師の指示の下、肢体不自由児に対してリハビリが提供できる仕組みを残しつつ、更に「遊び」 を通した様々な領域の発達支援を行いやすい環境整備を進めるという観点から、人員基準や設備基準は、現在の福祉型を踏まえ保育士・児童指導員を手厚く配置する等の方向で検討すべき。一元化の施行⇒医療と福祉の関係を改めて整理し、併設される診療所においてリ ハビリが提供できる仕組み等について、具体的なQ&A等で改めて示し周知を図ることが重要。福祉型の3類型(障害児、主に難聴児、主に重症心身障害児)⇒基本となる人員基 準や設備基準、報酬等は一元化し、そのうえで、難聴児や重症心身障害児の障害特性に応じた 支援を行った場合に、必要な評価を行う方向で検討。市町村が難聴児や重症心身障害児、肢体不自由児等を含めて地域の児童発達支援センター が得意とする分野を把握して、地域の体制整備に活かす仕組みを検討。 一元化の施行にあたっては、新たな基準等に関して、一定期間の経過措置を設けることが必 要である。

.児童発達支援・放課後等デイサービスについて
(1) 児童発達支援について【総合的な支援と特定の領域に対する重点的な支援(特定プログラム)等】
→ガイドラインに定める4つの役割(本人支援・移行支援・家族支援・地域支援(地域連携))と、本人への5領域(「健康・生活」、「運動・感覚」、 「認知・行動」、「言語・コミュニケーション」、「人間関係・社会性」)を全て含めた、総合的な支援を行うことにより、網羅的かつ丁寧に発達段階を見ていくことが重要。 児童発達支援の主な対象が、乳幼児期という生涯にわたる人間形成にとって極めて重要 な時期であることからも、全ての児童に総合的な支援が提供されること、 全ての児童発達支援においてこれを提供することを基本とすべき。事業所のアセ スメントや支援が総合的な支援を基本とした内容となるよう、5領域とのつながりを明 確化できる個別支援計画のフォーマットをガイドラインにおいて示すことなどを検討する。乳幼児期⇒網羅的にこどもの発達をみていく観点が重要でこどもの状態に合わせて柔軟に必要な支援を提供すること、総合的な支 援の提供を行いつつ、その上でこどもの状態に合わせた特定の領域に対する支援(理学 療法、作業療法、言語療法等)を重点的に行う支援の在り方が考えられる。 保育士、児童指導員と特定の領域に関わる作業療法士等が、多職種でチーム アプローチできる体制をとることが重要。多職種でのチームアプローチ⇒作業療法士等から保育士、児童指導員が助言等を受けながら支援を行うことも想定、そうした形も含めてチームアプローチを推奨していくこと。
○ 特定の領域に対する重点的な支援⇒こどものアセスメントを踏まえて、相談支援事 業所による障害児支援利用計画や児童発達支援事業所の個別支援計画に位置付けて実施す るなど、その必要性を丁寧に判断し計画的に実施されるようにすることが必要。医 療機関あるいは主治医と連携して取り組むことも重要。 児童発達支援は、将来の行動障害を予防する観点からも、現在の行動上の課題 をできるだけ解消するための適切なスキルを身に着けるという支援も重要、この ことについてガイドラインに記載して支援の充実を図る必要。 ○ インクルージョンを推進する中で、こどもが併行通園で児童発達支援と保育所等の双方 を利用していても、総合的な支援の提供が可能となるよう、児童発達支援ガイドライン に基づく支援と保育指針等に基づく保育が、どのように関連するかをガイドラインにお いて示していくことが必要。 児童発達支援事業所においても、こどもと保護者の困りごとをトータルに把握し、児童発達支 援センターや相談支援事業者と連携しながら、家族支援を進めることが必要。 ガイドラインで示す児童発達支援の役割・支援内容等が適切に果たされるために、重要 な事項については運営基準等に位置付けることが必要である。
【見守り、ピアノや絵画のみの指導】↓
○ 見守り
⇒児童の安心・安全を保障するという観点から、質の高い発達支援を 提供する土台ともなり、ピアノや絵画の支援は、将来の生活を豊かにすることに もつながり、こどものウェルビーイングを高めるという点において意味があるとも考えられるが、これらのみを提供する支援は、公費により負担する児童発達支援として相応 しくないと考えられる。 ○ 児童発達支援→総合的な支援を提供することを前提としていることから、ピアノや絵画等の支援の提供⇒事業所の活動プログラムや個人に対するアセス メント、個別支援計画において、5領域とのつながりを明確化した支援内容とした上で提 供することが必要。
○ 適切な児童発達支援が提供されるためには、相談支援事業所が保護者と対話して協働で 課題等を整理し、こどもと家族の環境をトータルに評価した上でサービス利用内容が判断 されることが重要、障害児相談支援の充実を図っていくことが必要。 習い事⇒インクルージョンの推進や共生社会の実現等の観点からは、受け入 れ先で合理的配慮がなされ地域の子と一緒に通うことが望ましい。事業者の合理的配慮 の提供やインクルージョンの取組を推進することが重要である。
【支援時間の長短等の考慮、保護者の就労等への対応】 ↓
○ 児童発達支援には、児童発達支援が生活の主軸である場合と、保育所や幼稚園等が生活 の主軸である場合(併行通園で児童発達支援をスポット的に利用等)があるなど、支援時 間に差異があることから、支援に対する人員の配置の状況や支援の内容等にも留意しつつ、支援時間の長短を考慮したよりきめ細かい評価を行うこと
。 乳幼児期における保護者の就労等による預かりニーズ⇒一義的には保育所等 が対応すべきとも考えられるが、家族全体を支援する観点から、児童発達支援においても対応すること。 児童発達支援がこどもに対する発達支援を前提としていることを踏まえれば、発達支援(総合的な支援)を行うことを前提に、それとあわせて預かり的な支援を行うことが考えられる。こどもと家族のアセスメントを踏まえて、相談支援事業所による障害児支援利用計 画や児童発達支援事業所の個別支援計画に位置付けて実施するなど、その必要性を丁寧に判 断し実施されるようにすること。 預かり的な支援⇒発達支援の時間帯とは別に、見守りの要素が強い時間帯となることにも留意して、評価について検討する必要がある。 また、重症心身障害児、医療的ケア児等の受け入れ⇒身体的ケアの必要性が あることから、そうした観点も踏まえて評価について検討。 乳幼児期における保護者の就労等による預かりニーズに対応するためには、保育所等に おける障害児の受け入れを充実していくことが重要であり、インクルージョン推進の取 組をより一層推進する必要がある。

(2) 放課後等デイサービスについて
【総合的な支援と特定の領域に対する重点的な支援(特定プログラム)等】
○ 放課後等デイサービス→ガイドラインにおいて基本的役割(@子どもの最善 の利益の保障、A共生社会の実現に向けた後方支援、B保護者支援)を定めた上で、4 つの基本活動(@自立支援と日常生活の充実のための活動、A創作活動、B地域交流の 機会の提供、C余暇の提供)を組み合わせて支援を行うことを基本、児童 発達支援の5領域と同様の視点による総合的な支援を行うことが重要であり、これを示 したガイドラインに改訂する必要
がある。 また、学童期・思春期の幅広い年齢層や発達の状態、障害の多様性や関心の多様性につ いても対応できるよう発達段階に合わせたよりきめ細かな内容のガイドラインに改訂する。 さらに、事業所のアセスメントや支援が総合的な支援を基本とした内容となるよう、ガイドラインに示される支援の視点等とのつながりを明確化できる個別支援計画のフォー マットをガイドラインにおいて示すことなどを検討。 総合的な支援の提供を行いつつ、その上でこどもの状態に合わせた特定の領域に対する 支援(理学療法、作業療法、言語療法等)を重点的に行う場合については、こどものアセス メントを踏まえて、相談支援事業所による障害児支援利用計画や放課後等デイサービス事業所 による個別支援計画に位置付けて実施するなど、その必要性を丁寧に判断し計画的に実施されるようにする。また、医療機関あるいは主治医と連携して取り組むことも重要。 学校や家庭とは異なる場である放課後等デイサービスについては、安心・安全でその子 らしく過ごせる場としての機能も重視すべき。 学校では学年や障害種別等ごとで学んでいるこども達が、放課後に集まり共に活動する ことで、お互いが緩やかにお互いの存在を認め合いながら様々な配慮ができるようにな ることや、仲間形成につながるという観点も踏まえることが重要である。 ○ 放課後等デイサービスは、学校での生活を前提とした支援であることから、個別支援計 画と個別の教育支援計画等を連携させる等、学校側の生活を把握しながら個々に合わせ た一貫した支援を提供していくことが必要。 学童期・思春期のこどもは、自分で何をするかアイデアを出しながら、自分の 生活をマネジメントできるようにしていくことが重要であり、家庭において自分 で組み立てて出来る活動を増やしていく視点が重要である。支援にあたっては、障害の ことを理解しながら、こどもの意思を受け止めつつ、一人一人の個別性に寄り添って進 めていくこと。 思春期は、メンタル面の課題や不登校など様々な課題が増えてきやすい年代であり、ま た、高校年代になると就労への移行や進学に向けた準備もある。それぞれの年代に必要 な支援内容をガイドライン等で提示し、その年代に応じた支援を推進することが必要。 放課後等デイサービスにおいても、こどもと保護者の困りごとをトータルに把握し、児童発達支 援センターや相談支援事業者と連携しながら、家族支援を進めることが必要。 思春期になると、こども本人が意見を表明し、親子の葛藤が顕著になることも多い。年 代に応じた親子の関係性を踏まえた家族支援が重要でガイドラインで示す放課後等デイサービスの役割・支援内容等が適切に果たされるため に、重要な事項については運営基準等に位置付けることが必要である。
【見守り、学習支援、ピアノや絵画のみの指導】↓
○ 見守り
→児童発達支援と同じ(再掲)。学習支援、ピアノや絵画等の支援の提供にあたっては、事業所の活動プログラ 11 ムや個人に対するアセスメント、個別支援計画において、ガイドラインに示される支援 の視点等とのつながりを明確化した支援内容とした上で提供すること。 適切な放課後等デイサービスが提供されるためには、相談支援事業所が保護者と対話して協働で課題等を整理し、こどもと家族の環境をトータルに評価した上でサービス利用内 容が判断されることが重要、障害児相談支援の充実を図っていくことが必要。 ○ 学習塾や習い事→インクルージョンの推進や共生社会の実現等の観点から は、受け入れ先で合理的配慮がなされ地域の子と一緒に通うことが望ましい。事業者の 合理的配慮の提供やインクルージョンの取組を推進することが重要である。
【支援時間の長短等の考慮、保護者の就労等への対応】↓
○ 放課後等デイサービス→支援の内容や年代、利用の仕方により、支援時間に差異が あることから、支援に対する人員の配置の状況や支援の内容などにも留意しつつ、支援 時間の長短を考慮したよりきめ細かい評価を行うことが必要。
学童期・思春期における保護者の就労等による預かりニーズ→家族全体を支 援する観点から、放課後等デイサービスにおいても対応することが重要。 放課後等デイサービスがこどもに対する支援を前提としていることを踏まえれば、総合 的な支援を行うことを前提に、それとあわせて預かり的な支援を行うことが考えられ る。こどもと家族のアセスメントを踏まえて、相談支援事業所による障害児支援利用計画や放 課後等デイサービス事業所の個別支援計画に位置付けて実施するなど、その必要性を丁寧に 判断し実施されるようにすること。 預かり的な支援→発達支援の時間帯とは別に、見守りの要素が強い時間帯と なることにも留意して評価について検討する必要がある。また、重症心身障害児、医 療的ケア児等の受け入れに関しては、身体的ケアの必要性があることから、そうした観 点も踏まえて評価について検討。 インクルージョン推進の取組をより一層推進し、放課後児童クラブ、その他、民間の学 習塾や習い事等における障害児の受け入れの充実を図るとともに、障害児の日中一時支 援の推進等により、各自治体において、学童期・思春期における保護者の就労等による 預かりニーズに対応できる体制の整備を進める必要がある。
【学童期・思春期において日中の通いの場がない障害児への対応等】↓
○ 学校には在籍しているものの、精神的な理由等で継続的に学校に通学できない「困り 感」の強い障害児の登校→学校を中心に対応されるべきものと考えられるが、 放課後等デイサービスについても休息ができ安心・安全でその子らしく過ごせる場としての役割は大きい。不安解消、社会的コミュニケーションを図れる場所として、将来のひ きこもり等を予防するという観点からも、放課後等デイサービスにおいても教育や医療等 関係機関と連携しながら支援していくことが必要。 ○ そうしたこどもへの支援の提供や、学校との連携を効果的に進めていく上では、ICT の 活用も重要であり、取組を進めていく必要がある。 居宅訪問型児童発達支援→現在の主な対象が重症心身障害児等に限定されてい るが、不登校等で通所が難しい児童の場合に活用することが考えられ、支援の対象の範囲につ いて検討を進めること。 学校等に進学せず(できず)、日中の通いの場がなくなっている発達支援を必要とする 障害児→児童発達支援や「者みなし」の活用ができることについて周知し、 対応を進める必要がある。 学童期・思春期のこどもへの支援↓家庭と教育と福祉の連携が不可欠。その上では、文部科学省と厚生労働省・こども家庭庁、自治体の教育行政と福祉行政 が緊密に連携する体制を構築し、取組を推進していくことが重要である。

次回も続き「5.インクルージョンの推進について」からです。

第5回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2023年02月09日(Thu)]
第5回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和5年1月27日)
≪議事≫(1)千葉県における強度行動障害のある方の地域支援体制づくり (2)状態が悪化した者に対する「集中的支援」の在り方(3) 強度行動障害を有する者及び家族に対する相談支援やサービス等に係る調整機能の在り方地
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30492.html
◎資料1 地域における支援体制の在り方についての主な検討事項(案)
○論点
→地域における支援体制の在り方についてどのように考えるか↓
(1) 地域の中での日常的な支援体制としてのグループホームや障害者支援施設、その他サービスの役割、課題と対応  (2) 在宅における支援の課題と対応  (3) 状態が悪化した者に対する「集中的支援」の在り方(地域の中で複数事業所で継続的に支えていく仕組みの構築)  (4) 強度行動障害を有する者及び家族に対する相談支援やサービス等に係る調整機能の在り方

○「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて」令和4年6月13日 (1.障害者の居住支援について より抜粋)↓
・強度行動障害や高次脳機能障害を有する者、医療的ケアを必要とする者等の重度障害者の支援体制の整備が課題。特に、地域における住まいの場であるグループホームにおける重度障害者の支援体制の整備が課題。 グループホーム→強度行動障害の支援はグループホームにおける個別的な支援がなじむ面がある。 障害者支援施設は、第一種社会福祉事業として自治体又は社会福祉法人という公益性の高い主体が運営。実際に入所している障害者へのサービス提供 に当たっては、施設入所者の生活の質の向上を図る観点から、障害者の重度化・高齢化を踏まえた手厚い人員体制の整備を図りながら、強度行動障害者、医療的 ケアの必要な障害者などのための専門的な支援も行っている。
・上記を踏まえ、グループホームと障害者支援施設の役割を検討する必要。日中サービス支援型グループホーム⇒重度障害者への対応ができるよう、日中・夜間も含めた常時の人員体制を確保する類型として、平成30年度創設。日中の時間帯をグループホーム内で過ごす場合に必要となる支援は対象者の状況に応じて様々であり、強度行動障害に対応できる人員体制 や報酬が十分ではないとの指摘がある一方、日中の人員を配置することで支援の程度に関わらず一定の報酬が支払われる仕組みであることから、支援の必要性 が乏しい者の日中の利用や適切な支援の実施について懸念される状況がある。上記を踏まえ、日中サービス支援型グループホームの制度の在り方について検討 すべきである。また、支援の質の確保について、障害福祉サービス全体とあわせて検討する必要がある。
・強度行動障害を有する者への支援に際しては、強度行動障害は、生来的な障害ではなく、周囲の環境や関わりによって現れる「状態」であり、児童期からの適切な 支援や、本人の特性に合った環境調整等によって、状態が大きく改善され得るものである点に十分留意して検討が進められる必要があり、継続的に適切な支援を行うためには、グループホームや障害者支援施設など複数の事業所で支えていく仕組みが必要になる。
・グループホームや在宅で状態が悪化した強度行動障害を有する者に対し、環境を一時的に変えて、適切なアセスメントや環境調整を行った上で、本人の特性に 合うよう環境調整した元の住まいや新たな住まいに移行するための集中的支援をグループホーム、障害者支援施設等で当該支援を行うための具体的方策に ついて検討すべきである。
・重度障害者向けのグループホームなど地域のニーズを踏まえたグループホームの整備を推進する観点から、障害福祉サービス全体として地域のニーズを踏まえた 事業者指定の在り方を検討するとともに、次期(令和6年度〜)障害福祉計画において、重度障害者等の支援が行き届きにくいニーズについて、全体の必要量とは 別に、そのニーズを見込み、整備を促していくこと等について検討すべき。 ・障害特性に応じた住居に関する研究事業の成果を踏まえ、医療的ケア、強度行動障害、高次脳機能障害、高齢化等に対応した施設・設備に対応するための方策を検討し、強度行動障害を有する者をはじめとする重度障害者の地域生活を支えるサービス→訪問系サービスを含め、その支援の状況や地域ごとの課題の実態 を把握しつつ、各種サービス等の在り方について検討する必要がある

○強度行動障害を有する者の地域における支援体制の在り方についてどのように考えるか
(3)状態が悪化した者に対する「集中的支援」の在り方
(地域の中で複数事業所で継続的に支えていく仕組みの構築)(検討の視点の例)↓

・強度行動障害を有する者が状態の悪化により在宅やグループホームにおいて生活が難しくなった場合には、障害特性や行動の要因分析 等の適切なアセスメントを行い有効な支援方法を整理した上で環境調整を集中的に実施し、状態の安定を図ることが有効だと考えるが、そのための具体的な方策や体制についてどのように考えるか。 例えば、居住支援や短期入所を活用して環境を一時的に変えた上で、適切なアセスメント行い、有効な支援方法を整理した上で元の住 まいや新たな住まいに移行する方策が考えられるが、こうした方策を現場で実践するための効果的な方法や体制として、どのようなも のが考えられるか。
・また、指導的人材が事業所等を訪問し、適切なアセスメントと有効な支援方法の整理を共に行う方策も考えられるが、こうした方策を現場で実践するための効果的な方法や体制、さらに、上記以外の方策としてどのようなものが考えられるか。 集中的支援の実施後も適切なアセスメントに基づく有効な支援方法を継続的に提供していくための効果的な方法や体制として、どの ようなものが考えられるか。

(4) 強度行動障害を有する者及び家族に対する相談支援やサービス等に係る調整機能の在り方 (検討の視点の例) ↓
・地域で強度行動障害を有する者の人数を把握し、個々の支援ニーズを適切に把握していくことが重要であるが、そのための効果的な 方策としてどのようなものが考えるか。また、支援につながっていない強度行動障害を有する者をどのように把握するか。
・計画相談、基幹相談支援センター、発達障害者支援センター等の相談支援機関がそれぞれの役割や強みを活かしながら、相談支援 やサービス等に係る調整を行っていくことが重要だと考えられるが、そのための効果的な体制としてどのようなものが考えられるか。
(主な役割)として「指定特定相談支援事業者」「基幹相談支援センター」「発達障害者支援センター」の役割と連携は。
・市町村で強度行動障害を有する者の支援体制を構築していく上で、関係機関が連携した支援体制として、どのような形が考えられるか (相談支援機関、地域生活支援拠点等、施設・居宅等の障害福祉サービス等のそれぞれの役割や連携体制等)。
また、協議会の活用を 含め、構築を進めるための体制や方策としてどのようなものが考えられるか。 ・地域の支援体制の構築を進めるために、国・都道府県はどのような役割を果たしていくべきか、求められる取組は何か。 ・強度行動障害を有する者を地域で支える上で身体的な疾患への対応も含め医療との連携をどのように考えるか。


◎資料2 千葉県における強度行動障害のある方の地域支援体制づくり
行動障害者支援サポーター   田熊 立

○支援のつながり→千葉県重度の強度行動障害のある方への支援システム
・支援システム→受け入れ先の拡大(人材養成研修)⇒地域支援 行動障害者支援サポーター
○千葉県での人材養成と支援体制整備→強度行動障害支援者養成研修(標準的支援)の実装⇒事業、目的、対象者担い手についての位置づけ。
○強度行動障害のある方の支援者に対する研修
→1年間の実践報告会に向けて研修。
○行動障害者支援サポーター (地域への普及)→修了者123名のうちサポーター登録者数83名。
○サポーター概要:所属→成人入所52%。生活介護34%、その他あり。
○サポーター概要:活動状況→事業所での指導が60%以上。その他あり。
○サポーター概要:派遣回数→ころな前(R1年度)が多い。
○サポーター概要:令和4年度⇒入所支援、生活介護、GH、その他のグラフ。


◎参考資料1 現行制度の概要
○地域生活支援拠点等の整備について
→居住支援のための機能(相談、緊急時の受け 入れ・対応、体験の機会・場、専門的人材の確保・養成、地域の体制づくり)⇒令和3年4月1日時点 921市区町村(53%)で整備済み(全国1741市区町村)
○重度の障害者への支援を可能とするグループホームの新たな類型の創設(日中サービス支援型)→1つの建物への入居を20名まで新たな類型のグループホーム。 地域における重度障害者の緊急一時的な宿泊の場を提供するため、短期 入所の併設を必置とする。
○地域生活支援拠点等の機能強化
○グループホームにおける重度化・高齢化への対応
→@〜D参照。
○地域生活支援拠点等の整備の促進・機能の充実→地域生活支援拠点等の整備の促進や機能の充実を図るため、市町村が地 域生活支援拠点等として位置付けた短期入所事業所や緊急対応を行う訪問 系サービス等について、地域生活支援拠点等としての役割を評価する加算 を創設。
○重度障害者支援加算の見直し(生活介護・施設入所支援)→共通事項、生活介護(強度行動障害関係)、生活介護(重症心身障害者関係
○現行の相談支援体制の概略→「相談支援事業名等」「配置される人員」「業務内容」「実施状況等(相談支援事業実態調査)」の整理表。
○基幹相談支援センターの役割のイメージ(現行)→(参考)障害者総合支援法改正により、基幹相談支援センターの業務に従来の総合的な相談支援の業務に加え、地域の相談支援体制の強化の取 組と協議会の運営への参画等を通じた地域づくりに係る内容を追記し、その役割を明確化したほか、基幹相談支援センターの設置・運営について 都道府県に市町村支援の役割があることが明確化された。【令和6年4月施行予定】
○発達障害者支援センター運営事業
○(参考)発達障害者支援センターの地域支援機能の強化
→地域を支援するマネジメントチーム⇒市町村・事業所等(困難事例の対応能力の向上)・医療機関との連携。
○(自立支援)協議会の概要→都道府県及び市町村は、障害福祉計画を定め、又は変更しようとする場合、あらかじめ、(自立支援)協議会の意見を聴くよう努めなければならない。
(参考)障害者総合支援法改正により、協議会において個別の課題を検討する中から地域の支援体制に関する課題を抽出することを明確 化したほか、協議会が関係機関に情報提供や意見表明等の協力を求めることができ、協力の求めを受けた機関はそれに応じる努力義務を 規定するとともに、協議会関係者に守秘義務を課すこととなった。【令和6年4月施行予定】

次回は新たに「成年後見制度利用促進専門家会議第3回地域連携ネットワークワーキング・グループ」からです。

第8回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2023年02月05日(Sun)]
第8回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和5年1月24日)
≪議事≫(1)構成員ヒアリング (2)障害児通所支援の調査指標についてA
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30434.html
◎資料2 障害児通所支援の調査指標について(案)
○主な検討事項(案)_C
W 障害児通所支援の調査指標について

1.障害児通所支援の支給決定は、障害児の心身の状態を把握する上で、現行5領域11項目の調査を行っているが、食事や入浴等の身体介助の必要度(全介助・一部介助)及び行動上の課題のみが把握され、発達支援の必要性の観点は 含まれない。 こうしたことを踏まえ、個々の障害児に特に必要とされる発達支援の内容等を把握することができる新たな調査指 標の在り方について、その運用や活用の仕方も含め、どう考えるか。↓
・障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて中間整理(令和3年12月16日)(P11)より抜粋→個々の障害児に特に必要 とされる発達支援の内容等について十分に把握することができる指標を新たに設ける方向で検討。 その際、子どもの育ちにくさ、学びにくさ、生活のしづらさ等の視点で、より適切に個々の障害児に必要とされる発達支援の領域・必要量等を把握 しうる指標に見直すことを検討。 その新たな指標を基に、子どもの生活全体を捉えた上で、適切な給付決定が行われるよう、給付決定のプロセスの見直しを検討する必要。
・相談支援事業所の果たす役割の重要性を踏まえ、相談支援を必要とする家庭を必要な相談につなぐとともに、市町村の給付決定において個々の障害 児の状況に応じたモニタリング頻度の設定が行われるよう、運用状況の把握を随時行いつつ、運用の徹底を進めることを検討。 また、給付決定に関する自治体間の格差が大きい現状を踏まえ、新たな指標を運用していく際には、判断のバラツキが生じにくくなるよう、市町村 職員向けのガイドライン等の整備を検討する必要がある。

○W.障害児通所支援の調査指標について
【対応の方向性に向けたポイントの整理(案)】↓
【基本的な考え方(案)】
→障害児通所支援の給付決定は、5領域11項目による調査を含め、9つの勘案事項及び障害児支援 利用計画案を勘案して行うこととされており、市町村がこどもや保護者の状態等を踏まえながら、 発達支援の必要性や支給量等を適切に判断していくことが重要。 給付決定後は、こども本人やその家族のニーズ等に応じた適切な支援が提供されていくことが重要であり、給付決定の際に把握した情報を関係機関に共有し、その後の支援に活用していくことが効果的ではないか。こうした観点からも、市町村が給付決定でこども本人や家族の状況等をより丁寧に把握することを推進してはどうか。
(調査指標の見直しについて)→障害児通所支援の給付決定⇒現行5領域11項目の調査を行っているが、介助の有無や 行動障害等の課題のみを把握する内容。給付決定において、適切に発達支援の必要性 や支給量を判断するとともに、その後の支援に活用していく上でも、こどもの発達状況等も把握で きる調査指標に見直すことが必要ではないか。 令和3年度障害者総合福祉推進事業「児童発達支援・放課後等デイサービスの指標の在り方に関 する研究」において整理された、6領域20項目(思春期は7領域23項目)の調査項目⇒こどもの発達状況や困り感も含めて把握できる内容となっており、これを参考にしながら、現行の 5領域11項目に代わる、新たな調査指標について検討を進めてはどうか。また、同研究において、 こどもの全体像を把握する内容として整理された10領域90項目についても、その後の支援に活用す る方策を検討してはどうか。

(給付決定プロセスについて)→子どもの状態は、保護者の状態や養育環境を含めた環境による影響も大きく、支援の必要性について判断をする上で、保護者の心身の状態、子育てで抱えている精神的な負担、それに対する支援の状況等、保護者の状態等も丁寧に把握することが重要ではないか。現行の給付決定においても、 保護者の状況等を勘案事項として把握することとされているが、より丁寧に把握することを推進してはどうか。 気付きの段階からサポートに入ることが重要であり、母子保健施策や子育て支援施策との連携は 重要。また、令和6年4月に創設され、支援を必要とするこども等にサポートプランを作成 する、こども家庭センターとの連携も重要である。発達支援につながる入口ともなる、これら関係 機関が有するこどもや家族の情報を、給付決定においても活用していくことを検討してはどうか。 成長・発達が著しく、ニーズの変化が大きい乳幼児期・児童期においては、こども等の状況を適 時にきめ細かく把握し、それに応じた適切な支援が提供されるよう調整していくことが重要。 そのためには、市町村の給付決定において、モニタリング期間を一律の標準期間に沿って設定するのではなく、個々の状況等に応じて丁寧に設定する等の運用の徹底を進める必要がある。そのため 国においても、モニタリング頻度を高める必要があると考えられる状態像等を、より丁寧に示して いくことが必要ではないか。
・インクルージョンを推進していく上で、発達支援の入口ともなる給付決定において、地域におけ る保育所や放課後児童クラブ等の一般施策の受け入れ体制等についても、保護者に対して適切に情 報提供を行ない、一般施策での対応も考慮して支給決定していくことを推進してはどうか。 給付決定⇒新たな調査指標の運用、見直すべき勘案事項や留意事項等も踏まえながら、 市町村によって判断のバラツキが生じにくくなるよう、給付決定事務等に関する事務要領を見直し てはどうか。国においては、個々の自治体の給付決定の状況や、地域の障害児相談支援の実施状況 や体制等について把握し、好事例を示していくことや必要に応じた助言等を行なうことで、地域の 実情に応じつつ、適切な給付決定に基づく質の高い支援の提供を進めてはどうか。また、自治体の 負担軽減や判断のバラツキが生じにくくなるよう、共通ツールの開発やICTの活用の検討を進めて はどうか。
(支援全体のコーディネートについて)→給付決定後は、こども本人やその家族のニーズ等に応じた支援を適切に提供するため、支援全体 のコーディネートが行われていくことが重要。特に、一月あたりの利用必要日数が多い場合 や複数の事業所を併用する場合等には、こどもの状況等に応じたコーディネートが行われる必要があり、障害児相談支援事業所による対応を進めてはどうか。 その上では、障害児相談支援の質と量を確保する観点から、計画的な整備と人材育成を進めて いくことが必要ではないか。また、これらの資源が不足している地域においても、適切にコーディネートが行われる方策を検討してはどうか。


◎参考資料1 第4回障害児通所支援に関する検討会における主なご意見について
【障害児通所支援の調査指標について】→28項目あり。↓
○ 大事なのは、気づきの段階でサポートがちゃんと入れることだと思う
。気づきの段階で、個別的な対応だとか小集団とかを 保障されたこどもたちは予後もいいので、成人になって働いている方、自閉症の地域生活を普通に元気に送っている方も実感 として多い、気づきの段階からサポートというのが大事だと思う。
○ 基本的に物すごく古い医学モデルに基づいていて、どういう環境だったらこういう問題が行動に出てくるけれども、こういう環 境だったら出ない、という視点を入れていかないと、こどもの粗探しをしているような感じになってくるので考え方を変えたほうが いいと思う。極端な言い方をすれば、サポートが下手な事業所ほど点数が上がる。どんな環境でどういう行動が出てくるか、そこ をもっと評価した方がいい。
○ 90項目は、役所の窓口でというのは難しいのはよく分かる。なので、ダイジェスト版で20項目に絞ったものを用意している。こ れは行政の方をイメージしていて、思春期の方だと23項目、児童発達だと20項目、これぐらいだと窓口でも聞けるのではないか。
○ 5領域11項目の調査で、困り感がより強い親が例えばセルフでチェックするものと、相談支援なりほかの者がチェックするの で大分違うだろうと思う。私の住んでいる地域は、セルフプランがすごく多くてほとんどフルに支給されているが、親の困り感でも チェックする。このチェックを保護者もチェックしてもらい、相談側もチェックしてみるとどのくらいずれがあるか、その辺をバランス をとって見るというのは必要かもしれない。家族支援という養育者の困り感というのはそこで少し見えてくる、希望する保護者、 養育者と、それから行政になるか分からないが、相談側と両方でチェックするというのはひとつアイデアとしてあると思う。


◎参考資料2 障害児通所支援の調査指標関係資料
○給付決定において勘案すべき事項(障害児通所給付費等の通所給付決定等について (平成24年3月30日障発0330第14号)(抜粋)) < 第三 通所給付決定の際勘案すべき事項その他の基本事項 >↓
@ 障害児の障害の種類及び程度その他の心身の状態
→当該障害児の身体障害者手帳、療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳に記載されている障害の状況又は疾病名のみに着目するのではなく、日常生活を営むのに支障をきたしている状況等を含めて勘案。 乳幼児期の医療的ケア児に対し、障害児通所給付費等の支給要否決定を行うに当たっては、5領域11 項目の調査のみでは、医療的ケア児の障害の程度が通常の発達 においても必要である介助等を要する状態であるのか、内部障害等に起因する医療的ケアにより通常の発達を超える介助等を要する状態であるか否かの判断が困難。 そのため、医療的ケアの判定スコアの調査項目欄に規定するいずれかの医療行為を必要とする状態である場合は、通常の発達を超える介助等を要するものとして通所給付 決定を行うこととして差し支えない。 なお、「その他の心身の状態」を勘案する場合⇒通所による支援よりも入所による支援や医療機関への入院が適当である場合等を想定。このような場合に当たるのではないかと考えられるときは、市町村は、申請者の同意を得て当該障害児の主治医等の医療機関に問い合わせるほか、申請書に健康診断書の添付を求めることによ り確認を行うこととなる。
A 障害児の介護を行う者の状況→ 保護者の有無、年齢、心身の状況及び就労状況等を勘案して、入所による支援が適当か、通所による支援が適当か等を判断することを想定。 なお、当該事項は、保護者がいる場合に障害児通所給付費等の支給を行わないという趣旨ではない。 乳幼児期の医療的ケア児の属する家庭⇒一般的に在宅移行時における介護者の負担の増加や、医療的ケアのために24 時間の対応を行っている場合等が 想定されることに配慮すること。
B 障害児の保護者に関する障害児通所給付費の受給の状況
C 障害児の保護者に関する障害児入所給付費の受給の状況
D 障害児に関する介護給付費等の受給の状況
E 障害児に関する保健医療サービス又は福祉サービス等の利用の状況
→市町村は、申請されたサービス以外のサービスの利用状況を踏まえ、通所給付決定により当該障害児が全体としてどのようなサービスを受けながら生活することになるの かを把握した上で、通所給付決定を行う。 また、支給の要否や支給量⇒地域社会への参加・包容(インクルージョン)の観点から地域における保育所等の一般施策での受入体制等も踏まえた上で、通所給付決定を行う。
F 障害児又は障害児の保護者の障害児通所支援の利用に関する意向の具体的内容→障害児の保護者が受けようとするサービスの内容、利用目的等、具体的にどのような利用の意向があるのかを勘案して、通所による支援が適当か判断することを想定して いる。
G 障害児の置かれている環境→障害児通所支援を利用するにあたって、当該障害児が住んでいる住宅の立地や交通手段の状況を勘案すること等が想定されている。
H 障害児通所支援の提供体制の整備の状況→障害児通所給付費等の通所給付決定を行うにあたっては、実際に当該障害児が当該障害児通所支援を利用できる見込みがあることが必要であることから、本事項を勘 案することとする。利用の見込みは、障害児の保護者からの利用予定事業者を聴き取るほか、障害児の保護者からの求めに応じ、あっせん・調整、要請を行うなどにより判断 することとなる。

○給付決定において勘案すべき事項(障害児通所給付費等の通所給付決定等について (平成24年3月30日障発0330第14号)(抜粋)) < 別表 5領域11項目の調査の調査項目 >
→項目ごと、@〜Dの参照。Dの判断基準⇒(1)〜(7)まであり。

○「児童発達支援・放課後等デイサービスの指標の在り方に関する研究」概要
1.本研究の背景・目的
→その判定をする際の解釈⇒障害支援区分の判定に用 いる認定調査員マニュアルを参考。認定調査員マニュアルは基本成人の方の状態像を想定していることから、乳幼児期・学童期への解釈、判定を行う には、乳幼児期・学童期の障害児の状態像をイメージしづらい点もあり、自治体において判定にバラツキがあることが指摘。そのため、乳幼児期・学童期に適し、また、自治体で判定する際において理解しやすく、バラツキの少ない新たな指標案を作成することを目的とする。
2.概要↓
(1)検討委員会等の設置・運営→現代の子どもを取り巻く状況を知り得る有識者により検討委員会を構成し、調査内容の検討や取りまとめを行なった。また、新たな指標案の作成については、以 下3つのチームを設置。⇒@領域策定 A項目検討 B調査分析チーム。
(2)現行の指標についての実態調査・分析
(3)新たな指標案として抽出・整理した項目を用いて、事業所でのトライアルと行政へのヒアリングを実施
3.調査研究の結果及び効果↓
・現行指標の使用実態につき実態調査。事業所調査では20% 3257 件、自治体調査では53.7% 939 件の回答を得て、実態の把握と分析、現行指標の課題点について整理を行った。
・現行指標の反省及び、種々の理念、有識者の意見等を踏まえ、さらに現場の意見を反映させた、多角的かつ発達的にとらえつつ、生活における支援の要点 が把握できる形での項目の選定を行った。6領域90項目の具体的項目に整理され、さらにダイジェスト版として23項目の抽出を行った。思春期にはさらに3項 目を加える形に整理された。
・抽出・整理された項目については、事業所及び自治体にトライアルと、ヒヤリングを行い、課題と意見を集めることができた。
  
○令和3年度 障害者総合福祉推進事業 児童発達支援・放課後等デイサービスの 指標の在り方に関する研究→児童発達支援・放課後等テイサービスの指標の在り方に関する研究 報告書 P114 。 ii) 領域ごとに抽出された項目6領域20項目+児童期・思春期のコミュニケーションの1領域の3項目を抽出し、行政担当者による 個別サポート加算Tの調査項目案より↓
・言語・コミュニケーション 2項目 (1〜2)
・人間関係・社会性 8項目 (3〜10)
・医療的配慮 2項目 (11〜12)
・感覚・姿勢・運動 5項目 (13〜17)
・健康・生活 3項目 (18〜20)
・児童期・思春期のコミュニケーション 3項目 (21〜23)→中学生以上のチェック【児童期・思春期必要ポイント3項目】一覧表 あり。

次回は新たに「第1回今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会」からです。

第8回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2023年02月04日(Sat)]
第8回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和5年1月24日)2/4
≪議事≫(1)構成員ヒアリング (2)障害児通所支援の調査指標についてA
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30434.html
○「総合支援型(仮称)」と「特定プログラム特化型(仮称)」の 具体的な方向性として
一般社団法人 全国児童発達支援協議会(CDS-Japan)
全般的な考え ↓
(児童発達支援、放課後等デイサービス共通)
→総合支援は通所支援の基本である事から、「総合支援型(仮称)」と「特定プログラム特 化型(仮称)」の2類型で考えるのではなく、「特定プログラム特化型(仮称)、(前回検討 会の稲田構成員の表現を借りれば、「特定領域特化型」)」のみを特別なものとして考えては いかがか? また、「特化」の支援提供スタイルにおいても、5領域を意識した状況把握など総合的な 成長発達を見守る事を視野に入れたものである必要があり、最低限でも5領域に関するアセスメントや個別支援計画の作成は必要であると考える。ただし、子どもの発達状況、障害状況等において成長発達のスピードは様々であり、ご家庭をはじめとした保育所などの 環境も大きく影響する。一概に期間を設定する事によって、子どもの問題点に強く着眼し てしまう事にもなりかねない。
 年間を通した(子どもによっては、就学に至 るまでの長期の)個別支援計画やモニタリングの際に意識され、その支援過程において網 羅されているべきものとしてはどうか。
基本となる総合支援に関する考え↓
(児童発達支援)→子どもの基礎集団にもなり得るため、ガイドラインに定める 4 つの役 割や5領域を総合的に行なう事が必要。 総合支援は、基本的な生活スタイルの中で提供されるものであり、その提供内容には「遊 び」、「おやつ」や「休息」、「排泄や更衣等の日常生活活動」が取り入れられ、子どもの全体的な発達を促す取り組みが必要であると考える。 (放課後等デイサービス)→対象は、学校等の基礎集団をもっている事が前提。また、 一定年齢以上は地域の学童保育を利用することもできない状況となり、安全、安心を担保できる資源の選択肢すらなくなる。何よりも学校において集団(人集団、集団での活動、 集団生活)に過ごした後の利用が大半である。 放課後等デイサービスは、家庭と学校に続く、第3の居場所の役割を持つ。 放課後等デイサービスガイドラインでは、自己肯定感を育む(維持向上)こと、「余暇充実」、「創造的活動」が示されている。年齢に加えて、障害の状況、支援内容や必要性が 個々により大きく異なることから、4 つの役割(地域支援は「地域連携」と考える方が適切なように思うが…)に加え、児童発達支援ガイドラインに定める5領域を基本としながら、学齢期、思春期に考慮したガイドラインの見直しも必要と考える。また、総合支援は、 基本的な生活スタイルの中で提供されるものであり、その提供内容には「遊び」、「おやつ」 や「休息」「身のまわりの世話」等、子どもの全体的な発達を促す取り組みが必要であると 考える。 ただし、放課後等デイサービスは年齢、障害、家庭環境等非常に多くの事への配慮を個 別性を持って提供されるものであることから、ガイドラインは、基本的内容のみ となる可能性があり、各論的にはガイドラインとなるのか、マニュアルとなるのか、が定 められる必要性があると考えられる。また、職員に対する研修や説明会等の対応が必要と なることは想定される。
特定プログラム特化(仮称)への意見 ↓
(児童発達支援、放課後等デイサービス共通)
【職員について】
→ 特定プログラムに関わる者として、作業療法士や言語聴覚士等のリハ専門職、他に特定プログラムに関する専門的知識と技能を認定された者(ただし、特定プログラムの研修やOJT を受けた者で一定期間の経験を有する保育士、児童指導員も認める)としてはいかがか。 ここで想定される「特定プログラム」は、保護者のニーズも高い。保護者が我が子に何らかの個別的な支援を受けてみたい(うけさせたい)と望むのは自然な事であると推察。しかし、地域によっては、医療機関で提供されるハビリテーション施設や枠すら空いていない状況の地域も少なくない。その様な状況を補完するものでもある。各職能団体ならびに関連団体の協力の上、児童福祉法に定める障害通所支援の一端をになう人材育成を行なっていただけるよう協力を仰いではいかがか。 令和4年度 厚生労働省 総合福祉推進事業 指定課題19の実態調査(進行中につき 未公開)において、センター、事業所において個別支援を実施している職種は、理学療法 士等等のリハ専門職などだけではなく、一定数の保育士や児童指導員も実施している事が わかっている。また、児童発達支援や放課後等デイサービスに所属する作業療法士、言語 聴覚士、心理担当職員、理学療法士等は、事業所の活動全般(「設定場面」や「遊び」、「身辺動作」)にも関わっている場合が多いことも確認されている。
【頻度(支給量)について】→幼児期から思春期までの幅広いライフステージを一つの基準で判断する事はできないが、「特化」に関する頻度は、週に 1 回に限定しても良いと思われる。 ただし、重症心障害児や肢体不自由児等の運動障害によっては、変形・拘縮の予防や摂食、呼吸管理などの身体的な管理の要素もあるため、週 3 回を限度とするなど障害による 配慮が必要と考える。この場合、主治医の意見書等その管理の必要性を認める書類を判断 材料としていかがか。 また、学齢期から思春期を向かえる発達障害児等においては、ある時期に特化的なアプ ローチを強調する必要性もある。その判断は、本人(保護者)、相談支援による障害児支援利用援助計画(セルフプランは不可かつ事業所と同一法人による相談支援は不可)、事業所 による個別支援計画、中核となるセンター(放課後等デイサービスへの支援指導を担える)、行政で協議し、客観的に決められるべきと考える。
【支援提供時間について】→前回の検討会報告書において、類型に関する記載がなされた経緯より、支援の提供時間⇒報酬単価の区分けが必要と考える。 ただし、時間枠に関しては、基礎集団になり得る児童発達支援と学校終了後に利用す る放課後等デイサービスでは、同じように考える事はできない。放課後等デイサービスにおいて、平日に長時間支援の枠組みを設けることによって、子どもを長時間拘束して しまう事業所が現れかねない事を危惧する。それと同時に放課後等デイサービスは、2時間未満の支援時間の報酬が事業所の運営を継続できないような単価とならな いことを考慮すべき。 障害児通所支援としての基本的なアセスメント、4つの役割を担えないのであれば、 行政の指導対象とするべきではないか。その上で、改善が認められなければ、指定の取消 を行なうしかない。総合的な支援を行える事業所の活動として、ピアノや絵画、サッカー 等に取り組む方向に改善するべきであろう。 指定申請上の手続き、監査、実地指導のポイント、レベルの引き上げが必要。 障害児通所支援の内容、受けられる支援の内容を示したチラシ等用いて、保護者の理 解を促進すること。受給者証発行や更新時点で手渡し送付する。 時間枠に関しては、以下の様に考えてはいかがだろうか。↓
児童発達支援
→@1時間以下の支援は通所支援そのものとして認めない。(現在は30分) A 1時間〜2時間未満  B2時間〜3時間未満  C3時間〜4時間未満 D4時間以上。

放課後等デイサービス(平日:学校が開いている時)→@ 1時間以下の支援は通所支援そのものとして認めない。(現在は30分) A 1時間〜2時間未満 B 3時間以上。
放課後等デイサービス(休日:学校休業。長期休暇や日祝日、臨時休校 等)→ @ 1時間以下の支援は通所支援そのものとして認めない。(現在は30分) A 1時間〜2時間未満 B 2時間〜3時間未満 C 3時間〜4時間未満 D 4時間以上

※以上の児童発達支援・放課後等デイサービスに関する「総合支援型(仮称)」と「特定 プログラム特化型(仮称)」に関する意見は、センターも事業所も保育所併設の児童発達支援も同様にかかわる事であり、児童発達支援事業に限られるものではない。また、短時間支援を行なっている児童発達支援センターもある事が令和4年度 厚生労働省総合福祉推進事業 指定課題19の実態調査(進行中につき未公開)によって明らかになっている。子どもが受ける支援の時間長短による報酬の区分けなどは同様に適応されるべ きと考える。


○第8回 障害児通所支援に関する検討会への意見
(公財)日本知的障害者福祉協会 児童発達支援部会 北川 聡子
1.児童発達支援センターの中核機能に関するアンケート結果 主な概要について
現在、児童発達支援センター
⇒保育所等訪問支援事業が 77.6%、障害児相談支援事業が 55.1%実施。障害児等療育等支援事業は、32.7%が実施している。
(1)幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能→児童発達支援センターが、令和6度以降、全ての障害児を受け入れる一元化により地域の中 核機能を担うことについては、「可能」・「人員配置など条件が整えばできる」という事業所が 66.3%であった。 ・ 幅広い高度な専門性を発揮するために必要な職種⇒保育士91.8%、言語聴覚士 (ST)84.7%、作業療法士(OT)83.7%、公認心理師・臨床心理士 82.7%、看護師(准看護師)・保健師 81.6%の順で多い回答だった。
(2)地域の障害児通所支援に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能→ソーシャルワーカー(仮称:療育コーディネーター)が配置された場合、地域の児童発達支援事業所等を支援すること⇒「可能」は 9.2%、「他機関との連携があれば可能」36.7%、「コーディネーターに加えてさらに職員が加算されれば可能」が 57.1%、可能であるという回答が多かった。
(3)地域のインクルージョンの推進としての中核としての機能→現在、71.4%の児童発達支援センターが保育所等訪問を実施している。実施先は、保育所 94.3%、幼稚園 85.7%、認定こども園 67.1%、学校 38.6%、児童養護施設 1.4%。 保育所等訪問支援の担当職種は、保育士 40.3%、児童指導員20.8%、児童発達支援管理責任者9.4%、作業療法士9.4%、公認心理士・臨床心理士9.4%の順。  保育所等訪問支援の担当者の経験年数は、5年未満 26.2%、10 年以上 20 年未満 24.8%、 5年以上 10 年未満 20.8%、20 年以上 19.5%が担っている。 地域療育等支援事業⇒36.7%が実施している。
(4)地域における障害児の発達支援の入り口としての相談機能→保健センターの健診や相談に参加しているかは、30.6%が実施。「気づき段階」の親子教室は 43.9%が実施。親子教室を実施している場合の利用している制度は、地域療育等支援事業 41.9%、法人独自30.2%、県や市町村独自の補助金 18.6%、相談支援事業の一般相談 14%、発達相談支援事業の巡回相談7.0%となっている。

2.児童発達支援センターに関する今後の対応についての意見
(1)幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能
→児童発達支援センターが幅広くどのような障害児も支援していくためには、現在の人員基準 4:1では難しいため、人員基準の更なる引き上げが必要。 また、保育士・児童指導員のほかにも子どもの障害特性に対応するための OT・PT・ST・心理 など多職種の配置が必要。配置の柔軟な対応という観点から、地域の外部の専門職と連 携して支援した際にも、現在の医療連携体制加算のような評価の仕組みが必要と考えます。また児童発達支援センターが新たな中核としての機能を果たすためには、経過措置が必要です。
(2)地域の障害児通所支援に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能→スーパーバイズ・コンサルテーション機能を発揮するためには、地域療育等支援事業のような 地域に出やすい形態の事業を設けて、チームで地域を支える更なる体制整備が必要。地域の事業所の困り感にしっかり応えていくためには、地域を支えるソーシャルワーカー(コ ーディネーター)の配置が必要です。
(3)地域のインクルージョンの推進としての中核としての機能→インクルージョンを推進していくためにも、保育所等訪問支援事業に、質の高い療育支援を提供するための報酬体系の整備が必要。例えば、訪問支援員の職員配置体制に応じて、報酬区分を設けてはどうでしょうか。
(4)地域支援の充実のための機能→児童発達支援センターが地域の障害児通所支援事業所や保育所、幼稚園、認定こども園、学校、児童養護施設等を支えていくため、多職種のチームで地域支援をする体制が必要です。
(5)地域における障害児の発達支援の入り口としての相談機能→児童発達支援センターにおける障害児相談支援事業所の設置に関しては、昨今の人材の確保の視点から、必ずしも児童発達支援センター内に障害児相談支援事業が指定されていなくとも、同一法人で指定されていれば児童発達支援センターとして認められる形が必要。或いは、児童発達支援センター内に障害児相談支援を必置とするのであれば、児童固有の基本相 談等に対する特段の配慮が必要。  母子保健施策との連携は重要、そのためこども家庭センターで要支援家庭に対して作成 されるサポートプラン作成時、障害児は子育て支援ニーズが高いため、社会がしっかりとサポートする観点から児童発達支援センターの相談支援専門員が子ども家庭センターに出向き官民協働で行うことの検討が必要。 気づきの段階の「親子教室」は、母子保健施策の場合には積極的にセンターが関与できる仕組み、児童発達支援センターで行う場合には加配等の仕組みと評価が必要と考えます。
(6)地域との連携→保育所等訪問支援事業に関しては、事業所の職員配置の要件を緩和し、訪問しやすい条件を整える必要があり、NICU を経た児が発達支援を必要とする場合が多いため、医療との連携は不可欠です。


○木村構成員意見  一般社団法人全国重症心身障害日中活動支援協議会(事務局長)
・当協議会の懸念→児童発達支援センターの受け入れの不安は非常に大きい。
・困難性を示す歴史的・具体的事例→札幌市で廃園になった。
・経験なしに気づけない困難性1→母親がわが子を他人にゆだねることは大変な勇気必要。
・経験なしに気づけない困難性2→人権を守ることは人手が要するということ。
・医療的ケアと看護配置の誤解1→医療的ケアの経験は極めてまれ。誤解は世話をするという重圧の孤独にある。家族の不利益につながっている。
・医療的ケアと看護配置の誤解2→医療的判定スコア40に関連して看護職員は大きな違和感。子ども一人に職員2名は必要。制度見直しが必要。
・すべての障害児を同一空間で支援 ?→危険回避の安全上同一空間では考えられない。動き回る多動児を考慮してもらいたい。
・重症児通所支援の現状と課題1→定員5名の事業所は赤字運営。1対1が原則で、同法内などのバックアップ体制が必要。本人の状況・職員の熟練度等で大きく変わる。
・重症児通所支援の現状と課題2→重症児への発達支援は生命の保障の上に成り立つ。近隣医療機関等の連携などによる安心が必要。
・重症児通所支援の現状と課題3→送迎や入浴はニーズが高く必須であるものの、提供あるなしにかかわらず、ニーズにこたえればそれだけ赤字幅が増える。
・当協議会の懸念≪再び≫→行政とともに諸問題を乗り越えていくためには、センターが担い手となっていくことは大歓迎である。


○市町村行政からの意見     埼玉県白岡市健康福祉部保育課 小船伊純
検討1 児童発達センターの中核機能について→予算確保の必要性。専門職等との連携、協力体制の確保とガイドラインが必要。基幹相談支援センターとの連携は必須。

検討3 子ども・子育て一般施策への移行等について→目標や支援計画など相談支援専門員との連携、しかも養成と確保が急がれる。児童発達支援と放課後ディでは療育と預かりでの実施内容が違いますが、保育所以降との関係で2重払いに留意必要。

その他→【好事例の紹介について】【相談支援員の要請について】 参考のこと。


○中川構成員
1.児童発達支援センター→@〜➃の参照。
2.児童発達支援事業・放課後デイサービス→@〜Dの参照。
3.一般施策等への移行・保育所等訪問支援→@〜Bの参照。
4.障害児通所支援の調査指標・質の向上→@〜Eの参照。
5.その他→@〜Aの参照。


○障害児通所支援のあり方に関する意見
第8回障害児通所支援の在り方に関する検討会・参考資料   又村 あおい

本資料は、令和3年9月15日の第6回障害児通所支援の在り方に関する検討 会へ「参考資料」として提出した「障害児通所の方向性に関する整理メモ」を基礎としつつ、議論の進捗を踏まえて加除修正したもの。 (前提) 整理メモと変わりません。長い議論を経て取りまとめられた「障害児支援の在り方に関する検討会」報告書の考え方を、障害通所支援のあり方を検討する際の前 提にすべきと考えます。
(児童発達支援・放課後等デイサービス共通事項)
(1)類型の整理
→児童発達支援(以下「児発」)、放課後等デイサービス(以下「放デイ」)とも、「総合支援型(以下「総合型」)」を「特定プログラム特化型(以下「特プロ型」)」という支援上の区分を導入するとともに、子 ども本人の発達支援を重点的に展開する事業所(発達支援型・仮称)と保護者の 就労支援を重点的に展開する事業所(就労支援型・仮称)でも区分が必要。 この区分については、報酬設定の際に事業所単位とするか、利用児童単位とする かについて検討することとなります。一例として、事業所単位で整理する場合は 「発達支援型(仮称)」と「家族支援型(仮称)」のように区分し、利用児童単位で整理する場合は支給決定において「放課後等デイサービス(発達支援)10日」 「放課後等デイサービス(家族支援)13日」のように区分する方法が考えられ ます。
(2)支援時間の長短(特プロ型のあり方)→支援時間に応じた報酬評価を導入し、1時間単位とする(逆に、短時間支援でも 請求可能とする)ことが適当。その際、特プロ型については最低単価 になる可能性が高いことから、原則は総合型への併設(総合型の支援時間中に抜 き出しで支援するイメージ)として、実施時には「特プロ加算」で対応すること が考えられます。一方、特プロ型の単独事業所については専門職配置加算を手厚 く設定することでバランスを取ることも考えられます。
(3)家族支援の大幅な拡充→現行の家庭連携加算に加え、一定の時間をかけて保護者の思いや悩みに寄り添 う「家庭伴走支援(仮称)」を新設すべきと考えます。利用対象者を明確にする 観点からは、たとえば利用開始からの算定上限を設ける方法も考えられます。
(4)インクルージョンの推進→実施が見込まれる専従要件の緩和に加え、たとえば幼稚園や保育所、放課後児童 クラブとの並行利用や事業所周辺地域の子どもとの交流事業(一例として子ど も食堂)、地域における一般的な子育て支援サービスや塾、習いごとなどの民間 事業所に対する合理的配慮のノウハウ提供といった、インクルージョンの推進 に資すると思われるメニューを実施した場合に「インクルージョン推進加算(仮称)」を設定することも有効。その場合、放課後児童クラブの利用対 象を学区ではなく居住地とする運用も重要となります。 なお、昨年12月通知で実施の可能性が広がった保育所における児発の併設で すが、実施時には必ず自立支援協議会への報告を求める、当該保育所所属児以外 も受け入れることを条件付けるなど、単なる保育所の機能拡充とならないよう な対応が不可欠と考えます。
(5)いわゆる「塾タイプ」への対応→いわゆる「塾タイプ」「習いごとタイプ」の事業所については、まず都道府県に おいて特プロ型との差異を踏まえて支援実態を把握し、「塾タイプ」「習いごとタ イプ」の事業所を特定することが必要と考えます。その上で、令和6年度からの 障害者差別解消法改正で民間事業所における合理的配慮の提供が義務化される ことを踏まえ、上記の「インクルージョン推進加算(仮称)」が実現することを 条件として、「塾タイプ」「習いごとタイプ」の事業所については事業所の指定更 新を次回のみとするといった経過措置対応も検討が必要と考えます。
(6)質の向上→ 児童指導員の任用資格について、質の向上という観点から見直しが必要。たとえば「実務経験180日」の1日当たり勤務時間や勤務内容が考慮されていないといった改善点があります。また、肢体不自由児や重症心身障害児へ の支援を考えると、介護福祉士の専門性を評価することも必要と考えます。
(7)よりメリハリの効いた報酬体系→ たとえば基本報酬を抑制した上で、個別サポート加算(T)を大幅に引き上げるといった、いわゆる重度障害児の受入が促進される報酬体系とすることが重要 と考えます。
(児童発達支援)
→(1)児童発達支援センターの類型化 児発センターに求められる機能(保育所等訪問支援や障害児相談の実施、地域の児発・放デイに対するスーパーバイズ・コンサルテ ーション、インクルージョンの推進)をすべて実施している児発センターを「中 核型(仮称)」、一部のみ実施している児発センターを「一般型(仮称)」として 分別し、報酬評価にも差異を設けるべきと考えます。事業展開の確認は自立支援 協議会が担うことも考えられます。 (2)事業所指定の厳格化 児発に関しては、乳幼児期という極めて重要な時期を支援することを踏まえ、事業所の指定要件を厳格化する必要があると考えます。たとえば、事業所指定時に 乳幼児健診やこども家庭センターとの連携体制を確認する(定期的なカンファ レンス開催見込みなど)、子どもの受入から利用終結までの標準的なスキームを 確認する(子どもや親の意向を踏まえつつ、地域の子育て支援資源へつなぐ意識 があるかどうか)といった対応が考えられます。
(放課後等デイサービス)→(1)「中核型(仮称)」と「一般型(仮称)」の類型化⇒上記の児発センターに求められる機能をすべて満たす放デイを「中核型(仮称)」、 一部のみ実施している放デイを「一般型(仮称)」として分別し、報酬評価にも 差異を設けるべき。事業展開の確認は自立支援協議会が担うことも 考えられます。 なお、児発センターがない地域で放デイの「中核型(仮称)」が存在する場合には、逆に当該「中核型(仮称)」放デイが地域の児発事業をコンサルテーション することも考えられます。 (2)就職に向けた支援⇒特に中高生年齢の利用児童に対し、学校におけるキャリア教育や職場実習など と連携して、本人の就業意欲に応える個別支援を提供した際の「就職準備支援加 算(仮称)」を設定することも有効と考えます。 (3)学校休業中の柔軟な職員配置⇒ 放デイの特徴として、夏休みや冬休みといった学校休業中における職員配置の 難しさがあるため、たとえば1年単位の変形労働時間制といった具体的なモデルケースを提示することも有効と考えます。 (4)送迎の効率化⇒特に特別支援学校への迎えは現状で極めて不効率かつリソースの浪費となっています。理想的には学校の送迎バスが事業所を巡回することが望まれますが、車 両サイズの問題で物理的に難しい面もあることから、たとえば近隣事業所によ る乗り合い送迎を認めるといった効率化が必要と考えます。
(保育所等訪問支援)→(1)支援時間に応じた報酬設定⇒現行の保育所訪問の報酬では支援時間の概念がないため、特に支援当初の丁寧 な関わりを評価できる支援時間に応じた報酬設定の導入が必要。 (2)人材育成⇒保育所訪問では、通所してくる子どもへの支援スキルではなく、出向いた際での 幼稚園教諭や保育士に対する支援スキルが求められます。こうしたスキルは一 般的な障害児通所支援従業者の研修内容に含まれていないため、保育所訪問に 従事する職員を対象とした追加研修が必要と考えます。
(障害児相談)→(1)人材育成 現行の相談支援専門員養成(現任)研修カリキュラムでは、障害児の発達支援を 学ぶ内容が薄いため、専門コース別研修などで追加研修できる体制を整える必 要がある。 (2)経過的なコーディネーターの配置→ 上記の追加研修体制が整うまでの間は、児発センターもしくは上記の「中核型(仮称)」放デイへ経過的に「障害児支援コーディネーター(仮称)」を 配置することとし、たとえば体制加算の形で報酬上も評価する必要があると考 えます。            以 上

次回も続き「資料2 障害児通所支援の調査指標について(案)」からです。

第8回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2023年02月03日(Fri)]
第8回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和5年1月24日)
≪議事≫(1)構成員ヒアリング (2)障害児通所支援の調査指標についてA
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30434.html
◎資料1 構成員意見
○障害児通所支援の質の向上のために  帝京大学 稲田尚子
1. 自己評価表の変更(外部評価研究で使用したものを参考に)
→さらなる質の向上のために『障害児支援のサービスの質の向上のための外部評価の実施とその検証 のための研究』で開発した自己評価表を参考に改訂することが望まれます。
2. 子どもに特化した研修システムの整備:児童発達支援管理責任者研修及び入職者基礎 研修→現場の困り感に沿った研修を実施し、子どもの包括的アセスメントと支援に関する研修の時間が増えることにより、子どもの発達や 障害特性に関する理解が促進され、ひいては支援の質の向上につながると考えられます。入職者向け基礎研修⇒ボトムラインの質を確保するために、オンデマンド版等を国や自治体が提 供することが望まれます。
3. 個別支援計画は 5 領域すべてについて記載+行動問題、家族支援の領域も追加 →個別支 援計画作成の際に領域を網羅することで、子どもの全体像が把握でき、また、保護者のニーズだけ でなく、子どものニーズを総合した支援計画につながると考えられます。また、行動問題の低減に関 する領域を追加することにより、行動問題に替わる適応的な行動の獲得の支援や環境調整につな がります。また、保護者とこどもの Well-being のために、家族支援という領域も不可欠です。
4. 半年ごとに支援のアウトカムの評価→半年間でどのような成果が得られたのかについ
て記述し、受給者証の支給の際に考慮される 必要があると考えます。半年後に目指す姿についての妥当な目標設定がなされ、支援方法の見直し、ひいては支援の質の向上につながると考えられます。
5. 保護者の仕事・子育て両立支援としての手厚い保育のための保育所等訪問支援事業の 強化→ 幼児期の児童発達支援は、早期療育としての機能もあるため、保護者の仕事・子育て両立支援 としての手厚い保育と専門的な支援とは区別される必要がある。手厚い保育およびイン クルージョンの推進のためには、保育所・幼稚園等への保育所等訪問支援事業がより柔軟さをもっ て強化されることが望まれます。間接的に保育士、幼稚園教諭、加配スタッフ等の専門性の向上が 期待されます。


○障害児通所支援に関する検討会 資料 鳥取大学 井上雅彦
1. 強度行動障害、外国籍の ASD のある子どもなど行動上の配慮が必要な利用者に対す る対応を地域内チームで支援していく仕組みをつくる
→要対協に関わるケースなどもある、地域内で支援機関が決まらず放置されるというケースが生 じないように行政が主たる委託先を決め、周囲が連携して継続的に支援できる体制を作る必 要があるが、その際に児童発達支援センターがリーダーシップをとれるような制度設計と職員研修、連携システムを作っていただきたい。
2. 家族支援としてのペアレントトレーニングの推進→ ペアレントトレーニングはWHOにおいても推奨され、子どもの発達と親の心理的ストレス の改善に効果的であることが示されており、親のウエルビーイングには欠かせない支援
3. 相談支援専門員の専門性向上のための研修と支援システムの導入、待遇の向上→必要な支援について主観的 な判断のみに依存するのではなく、利用者やそれ以外の関係者に対して客観的な根拠説明が 可能なように、アセスメントに対するいっそうの研修が必要。同時にひとり一人のスキル に過度に依存しないよう支援計画立案をアシストするシステムを開発するための研究も必要。
4. 児童発達支援、放課後保育、放課後デイサービスなどの機能の見直し→今後具体的なモデルを出して、できるだけ柔軟なシステムにしていけるよう踏み込んだ議論をしていく必要。 幼児期は学齢期のように特別なニーズに特化した特別支援教育が受け られるわけではなく、インクルージョンや親子のウエルビーイングと同時に、早期療育は児童 発達支援にしかできない点で大きなニーズがある。エビデンスのある早期療育を受けられるよう望む声は多く、綿密なアセスメントと1対 1でのプログラムによる支援の場合、実施する事業所においては単に時間で単価を決めら れるようになると、専門性の高い人材が雇用できなくなる。こうした具体的モデルを検討していくよう議論を発展させてほしい。


○児童発達支援センターの方向性について  
日本発達障害ネットワーク 副理事長 内山登紀夫

T.「幅広い高度の専門性に基づく発達支援・家族支援機能」 「幅広い高度の専門性に基づく発達支援・家族支援」の内容を具体化して保護者・利用者・国民 に周知してください。 客観的な外部の評価者による評価の公開をお願いします。
U児童発達支援事業・放課後等デイサービスの「総合支援型」と「特定 プログラム特化型」の方向性等について→ 障害のある子どもの支援は総合支援を基本としてください。
V子ども・子育て一般施策への移行等について→ 保育所等訪問支援についてー特に標準的な期間等と適切な評価のあり方につい て「標準的な期間」について
IV: 障害児通所支援の調査指標について→ 5 領域 11 項目については大幅な見直しをお願いします
V: 障害児通所支援の質の向上について→ 令和 1(2019)年度障害児支援のサービスの質の向上のための外部評価の実施とその検証 のための研究で作成した外部評価の実施をお願いします
障害児支援のサービスの質の向上のための外部評価の実施とその検証のための研究, https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/27932

・児童発達支援管理者と指導員の研修を充実してください。 児童発達支援管理 責任者の研修に障害特性と、そのアセスメントの内容を加えてください。    参考。
・現行のガイドラインの改訂時に下記の点を考慮ねがいます。
・子どもの現在が Well-Being であることを重視した支援をガイドラインで明記してください
・アタッチメント(愛着行動)の形成 (児発 P15)について
・児童福祉法の改正により「訓練」の用語を修正してください。
・遊びの支援内容について自閉スペクトラム症の障害特性を考慮した記載にして下さい。
・保護者の負担を軽減し子育ての喜びを感じられる支援を記載してく ださい。
・障害児のインクルージョンをより明確に位置付けてください。
・報酬については、親子をセットにして、支援の質も考慮してください


○障害児通所支援に関する意見等  特定非営利活動法人 日本相談支援専門員協会
・特定非営利活動法人 日本相談支援専門員協会の概要
・障害児通所支援に関する意見等→「T障害児通所支援の支給決定について」「U児童発達支援センターに相談機能(指定相談事業)を必置とする」「V子ども・子育て一般施策への移行等について」⇒T〜Vまでの欄に「意見」「意見の補足事項」があり。参照のこと。


○障害児通所支援に関する検討会に対する意見
一般社団法人 全国児童発達支援協議会(CDS-Japan) 会長 加藤正仁
<はじめに>

 今回検討会での主題は「育ちにくさ」、「育てにくさ」のある「子ども」とその「家族」の支援、本人支援・家族支援・地域生活支援の総合的支援体制を「子どもの最善の利益」を基本に,一定のエリア毎に構築せんとするものであることを確認したい。
<児童発達支援センター>について

地域に混在する、有期限の人的・物的、また財政的子ども資源を より一層の有効・効率・整理・利用等の視点や地政、地理的な視点から構造化し、今日的にはそうした機能を相対的により具備していると思われる「児童発達支援センター」にマネージメント力のアッ プを図ることを目指す。そのことによって全国各地の発達支援力向上を面として期待する 体制づくりを官民一体となって整備充実することを大きな狙いとしている。しかし、現状では全ての児童発達支援センターがその期待答えられる訳ではない。「児 童発達支援センター」が担うべき役割、機能を明確化し、具体的に役割を担う事ができる場合、マネージメント機能を付加する必要がある。その上で、現状ではその役割を担 えないセンターに関しては、継続的に行政が指導し、3年を目処に整備する必要がある。就 いては区市町村レベルの担当所管を設置し、体制整備に向けての人的、財政的、またシステ ム的な整備権限や役割と責任を与えていくことが必要であろう。それは例えば、センター のないところ、未設置により一つのセンター複数の市町村を広域的にカバーせざるを得な いところ、機能不全なところには官民一体となって段階的に整備拡充を促したり、図って いくなど。結果として今まで諦めや嘆きの中で囁かれ続けている支援サービスの施設間格 差、地域間格差などを一刻も早く平準化することが期待される。
<放課後等デイサービス>について
地域で子どもと家族が安心・安全のうちに育ち、学び、暮らすための生活レベルでの様々 な選択肢が可能な限り身近なところで、当たり前の事として保証されるべく一層の整備充 実が求められる。その一つとして学齢児の放課後の過ごし場所としての放課後等デイサー ビスが拡充することの意味は大きい。しかし、その前提としては「子どもの最善の利益」が前提条件とされなければならない。一方ではその担保条件を公正・公平に確認評価するシステムが不可欠。最適な配置場所や箇所数とか適切な人員配置数とか、支援内容の 妥当性や個別的な配慮や人権などの視点から、公平で公正なチェックの必要があり、その意味でも、市町村行政の関与が不可欠だろう。 また CDS JAPAN では、調査研究により現状のガイドラインの有効性を確認した上で、現 行のものでは十分ではない育成支援を基本として発達支援が提供されるよう明記した改訂 案を提案も。※1
<子ども・子育て一般施策への移行等>について
インクルーシブな子ども環境の構築の中で、一人ひとりの個性豊かな在り様や過ごしを いつでも、どこでも安心のうちに保証・確保するには地域の多くの育ち関係者の合力やネ ットワーキングさらにはノットワーキングが不可欠。そのことを一層促進するため の受けやすい・出しやすい・繋がりやすい・共有しやすいなどの関係者間や関係機関間の関 係性のリテラシー構築が必要。 そのための人材・財源・専門性・相互補完・情報共有などの management などが制度的に インフォーマル、インフォーマルにも整備・充実される必要があるだろう。 また、既存の制度で不全感の大きい「保育所等訪問支援事業」「障害児相談支援事業」などは、抜本的な修正・補充・整備・拡充などの強化補填策が求められる。
<アセスメント>について
適切な支援を提供する上で、標準化されているもの、事業所独自のもの等、いずれにせ よ各種アセスメントは前提である。CDS JAPAN では、できないことに注目するものではな く、本人の育ちや強みに着目できることに留意した、育ちの全体像を把握できるように 90 項目(思春期は 94 項目)の調査項目を提案している※2。多岐にわたる年齢層や障害状況 等に対応するアセスメントして標準化できるよう検討を進めるべきである。
<総合支援型と特定プログラム特化型>について
まだ明確な定義づけ、整理もされていない「総合支援型(仮称)」「特定プログラム特化 型(仮称)」の議論があるが、何をもって「総合」というのか、「総合支援」「特化」「プ ログラム」とは何か、一つ一つの用語・概念について、明確な整理を行なった上での議論の蓄積と制度の設計であることを期待する。障害児通所支援の内容の明確化のものと、 「児童発達支援」「放課後等デイサービス」「保育所等訪問支援」等の事業や仕組みの整 理が必要。 現在 CDS JAPAN では、「児童発達支援」「放課後等デイサービス」について調査研究 中。※3、※4
<支援時間の長短に関わらない同額の報酬の仕組み>について
個々の児童に対する支援提供時間→時間による報酬区分を設け、障害児通所 支援として最低1時間の支援提供を必要とし、1 から2時間未満、2から3時間未満、 3時間以上等の区分による報酬を設けてはいかがか。 なお、乳幼児(児童発達支援)と就学以降の児童(放課後等デーサービス)の区分に関 しては、放課後の利用である事も踏まえて、それぞれに慎重に検討する必要がある。 さらに、保育所併設の児童発達支援⇒保育所利用時間と児童発達支援利用時 間とを明確に区別し請求するなどの仕組みも必要である。
<経験豊富な障害児支援提供者ならびに有資格者の評価>について
障害児支援の質の向上の観点より、支援者の障害児関与した経験年数、国家資格による 加算の内容、単価の区別と報酬の充実等をはかり、人材の流出を阻止すると共に OJT による人材育成(支援技術の継承)をはかる必要がある。
<その他>として
・ 児童発達支援管理責任者の養成研修
⇒サービス管理責任者の養成研修、関係各位の研究と検討の上で、現在の制度設計がなされている。児童発達支援管理責任者の基礎研修段階から、発達支援の専門性を求めることは極めて重要な観点。障害児支援に関わる者の質の向上は、職員の質を向上させることによって充実。障害児支援に携わる者の研修、児童発達支援管理責任者ならびに障害児 の相談支援専門員の基礎研修、実践研修内容の見直しが必要である
・「医療型」と「福祉型」児童発達支援センターの一元化を進めると同時に、「福祉型」においても主たる障害を難聴とする場合、重症心身障害とする場合、というタイプ が残っている。今後は児童発達支援センターとして一元化し、子どもの障害に応じた加算とすべき。
・児童発達支援や放課後等デイサービスの提供に際しては、女性の活躍を視野に入れつつ、子ども本人の最善の利益が保障される形で検討されるべきであるが、保護者の就労が利用の要件となっている保育所や放課後児童クラブなど一般施策での受入れや連携を円滑にする、その対象年齢とならない要支援児童の「預かり機能の 充実」を別途検討するべき。
・他にも「事務量増大と職員の疲弊」「報酬支弁問題/日払い制度とインセンティブ」 「既存のこども施策との整合性」「支援サービスの外部評価」「人材の確保、就労継続支 援、養成」などの問題がある。

参考資料 ※1:2018年度障害児総合福祉推進事業「放課後等デイサービスガイドラインを用いたサービス提供の実態把握の為の調査」
参考資料 ※2:2021年度障害者総合福祉推進事業「児童発達支援・放課後等デイサー ビスの指標の在り方に関する研究」
参考資料 ※3:2022年度障害児総合福祉推進事業指定課題19「障害児通所支援の 支援内容に関する調査研究」
参考資料 ※4:2022年度障害児総合福祉推進事業指定課題22「障害児通所支援に おける支援の質の評価に係る調査研究」

次回も続き後から「「総合支援型(仮称)」と「特定プログラム特化型(仮称)」の 具体的な方向性として」
からです。

第6回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2022年12月17日(Sat)]
第6回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和4年12月13日)
≪議事≫(1)児童発達支援・放課後等デイサービスの主な検討事項について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29757.html
◎参考資料3 放課後等デイサービスガイドライン
○「放課後等デイサービスガイドライン」の概要
・総 則
→ガイドラインの趣旨。 放課後等デイサービスの基本的役割(子どもの最善の利益の保障/共生社会の実現に向けた後方支援/保護者支援)。 放課後等デイサービスの提供に当たっての基本的姿勢と基本活動(基本活動: 自立支援と日常生活の充実のための活動/創作活動/地域交流/余暇の提供 等)。 事業所が適切な放課後等デイサービスを提供するために必要な組織運営管理
・「設置者・管理者向け」「児童発達支援管理責任者 向け」「従業者向け」各ガイドライン
→子どものニーズに応じた適切な支援の提供と支援の質の向上(環境・体制整備/PDCAサイクルによる適切な事業所の管理。従業者等の知識・技術の向上/関係機関・団体や保護者との連携 等)。  子どもと保護者に対する説明責任等(運営規程の周知/子どもと保護者に対する支援利用申込時の説明/保護者に対する相談支援等。苦情解決対応/適切な情報伝達手段の確保/地域に開かれた事業運営 等)。  緊急時の対応と法令遵守等(緊急時対応/非常災害・防犯対策/虐待防止/身体拘束への対応 衛生・健康管理/安全確保/秘密保持等 等)。

・放課後等デイサービスガイドラインに基づく自己評価等→(想定される自己評価の流れ) @ 保護者へのアンケート調査 A 事業所職員による自己評価 B 事業所全体としての自己評価 C 自己評価結果の公表 D 保護者のアンケート調査結果のフィードバック

○放課後等デイサービスガイドライン↓
1 総則
(1)ガイドラインの趣旨
→「放課後等デイ サービスはこうあるべき」ということについて、特定の枠にはめるような形で 具体性をもって示すことは技術的にも困難、支援の多様性自体は否定さ れるべきものではないが、提供される支援の形態は多様であっても、障害のある学齢期の子どもの健全な育成を図るという支援の根幹は共通。事業所⇒その支援の質の向上のために留意しなければならない基本的事項もまた共通するはず。 本ガイドラインは、以上のような考えに基づき、放課後等デイサービスを実 施するに当たって必要となる基本的事項を示すもの。
(2)放課後等デイサービスの基本的役割→子どもの最善の利益の保障、共生社会の実現に向けた後方支援、保護者支援(@〜Bあり)。
(3)放課後等デイサービスの提供に当たっての基本的姿勢と基本活動
@ 基本的姿勢→子どもの最善の利益を考慮し、人 権に配慮した支援を行うために、子どもの支援に相応しい職業倫理を基盤とし て職務に当たらなければならない。
A 基本活動→ア 自立支援と日常生活の充実のための活動 イ 創作活動 ウ 地域交流の機会の提供 エ 余暇の提供
(4)事業所が適切な放課後等デイサービスを提供するために必要な組織運営 管理→@ 適切な支援の提供と支援の質の向上 A 説明責任の履行と、透明性の高い事業運営 B 様々なリスクへの備えと法令遵守 

2 設置者・管理者向けガイドライン→放課後等デイサービスの運営状況の全体を把握し、事業を 円滑に進める役割、児童発達支援管理責任者及び従業者の意識形成や効率的な 配置を行う役割並びに学校や地域の関係機関・団体との連携を図る役割が求められる。 設置者・管理者は、その事業所が提供する放課後等デイサービスの質の評価 を行うことはもとより、第三者による外部評価の導入等を通じて、常にその改 善を図らなければならない。
(1)子どものニーズに応じた適切な支援の提供と支援の質の向上
@ 環境・体制整備→ ア 適正な規模の利用定員 イ 適切な職員配置 ウ 適切な設備等の整備(子ども一人当たり2.47uの床面積) 
A PDCAサイクルによる適切な事業所の管理→ア 事業運営の理念・方針の設定・見直しと職員への徹底(【運営規程の重要事項】参照)  イ 複数のサイクル(年・月等)での目標設定と振り返り ウ コミュニケーションの活性化等 エ 子どもや保護者の意向等の把握 オ 支援の継続性
B 従業者等の知識・技術の向上→ ア 従業者等の知識・技術の向上意欲の喚起 イ 研修受講機会等の提供 
C 関係機関・団体や保護者との連携→ ア 相談支援事業者との連携 イ 学校との連携((ア)〜(ウ)参照) ウ 医療機関や専門機関との連携 エ 保育所・児童発達支援事業所等との連携 オ 他の放課後等デイサービス事業所等との連携 カ 放課後児童クラブや自治会等との連携 キ (地域自立支援)協議会等への参加 ク 保護者との連携 
(2)子どもと保護者に対する説明責任等→@ 運営規程の周知 A 子どもと保護者に対する、支援利用申込時の説明 B 保護者に対する相談支援等 C 苦情解決対応 D 適切な情報伝達手段の確保 E 地域に開かれた事業運営
(3)緊急時の対応と法令遵守等→@ 緊急時対応 A 非常災害・防犯対策 B 虐待防止の取組等(実習生やボランティアを含む。)C 身体拘束への対応 D 衛生・健康管理
E 安全確保 F 秘密保持等

3 児童発達支援管理責任者向けガイドライン→利用する子どもと保護 者のニーズを適切に把握し、放課後等デイサービス計画を作成し、すべての従 業者が放課後等デイサービス計画に基づいた支援を行っていけるように調整 する。また、提供される支援のプロセスを管理し、客観的な評価等を行う役割。
(1)子どものニーズに応じた適切な支援の提供と支援の質の向上
@ 放課後等デイサービス計画に基づくPDCAサイクル等による適切な支援の提供→ア 子どもと保護者及びその置かれている環境に対するアセスメント イ 放課後等デイサービス計画の作成 ウ タイムテーブル、活動プログラムの立案 エ 日々の適切な支援の提供 オ 放課後等デイサービス計画の実施状況把握(モニタリング) カ モニタリングに基づく放課後等デイサービス計画の変更 キ 事業所全体の業務改善サイクルへの積極的関与
A 従業者及び自らの知識・技術の向上
B 関係機関・団体や保護者との連携→ ア 障害児相談支援事業者との連携 イ 学校
との連携((ア)〜(ウ)参照) ウ 医療機関や専門機関との連携 エ 保育所・児童発達支援事業所等との連携 オ 他の放課後等デイサービス事業所等との連携 カ 放課後児童クラブや自治会等との連携  キ(地域自立支援)協議会等への参加 ク 保護者との連携 
(2)子どもと保護者に対する説明責任等→@ 子どもと保護者に対する運営規定や放課後
等デイサービス計画の内容についての丁寧な説明 A 保護者に対する相談支援等 B 苦情解決対応 C 適切な情報伝達手段の確保
(3)緊急時の対応と法令遵守等→@ 緊急時対応 A 非常災害・防犯対応 B 虐待防止の取組 C 身体拘束への対応 D 衛生・健康管理 E 安全確保 F 秘密保持等

4 従業者向けガイドライン→ 従業者は、放課後等デイサービス計画に基づき、子どもの心身の状況に応 じて、適切な技術を持って、支援を行う役割がある。
(1)子どものニーズに応じた適切な支援の提供と支援の質の向上
@ 放課後等デイサービス計画に基づくPDCAサイクル等による適切な支援 の提供 ア 障害児支援利用計画及び放課後等デイサービス計画の理解 イ 従業者間での意思の疎通、支援内容の共有 エ 支援提供記録 オ 事業所全体の業務改善サイクルへの積極的関与 
A 研修受講等による知識・技術の向上
B 関係機関・団体や保護者との連携→ ア 障害児相談支援事業者等との連携 イ 学校
との連携 ウ 保育所・児童発達支援事業所との連携 エ 他の放課後等デイサービス事業所等との連携 オ 放課後児童クラブ等との連携 カ 保護者との連携 
(2)子どもと保護者に対する説明責任等→ @ 保護者に対する相談支援等  A苦情解決対応
(3)緊急時の対応と法令遵守等→ @ 緊急時対応 A 非常災害・防犯対応 B 虐待防止の取組 C 身体拘束への対応 D 衛生管理・健康管理 E 安全確保 F 秘密保持等 

○(別添)「事業者向け放課後等デイサービス自己評価表」及び 「保護者等向け放課後等デイサービス評価表」について
・ステップ1 保護者等による評価 →事業者から保護者等に対して、「保護者等向け評価表」を配布してアンケ ート調査を行う。保護者等からの回答は集計し、特記事項欄の記述を含め てとりまとめる。
・ステップ2 職員による 自己評価 →事業所の職員が「事業者向け放課後等デイサービス自己評価表」を用いて 自己評価を行う。その際、「はい」「いいえ」などにチェックするだけでなく、各項目について「課題は何か」「工夫している点は何か」について記 入する
・ステップ3 事業所全体による自己評価 →職員から回収した評価表を集計の上、職員全員で討議、項目ごとに課題 や工夫している点について、認識をすり合わせる。 職員間で認識が共有された課題は、改善目標を立てる。討議の結果は書面に記録し、職員間で共有。 討議に際しては、保護者等に対するアンケート調査結果も十分に踏まえ、 支援の提供者の認識と保護者等の認識のずれを客観的に分析。
・ステップ4 自己評価結果 の公表 →自己評価結果の公表の仕方は、基本的には「改善目標」や「工夫 している点」の主なものについて、できるだけ詳細に発信する(「はい」 「いいえ」の数の公表を想定しているものではない)。 保護者等のアンケート調査結果は、保護者等にフィードバックする (対外的に公表することまでは前提としない)。
・ステップ5 支援の改善→立てられた改善目標に沿って、支援を改善していく。

事業者向け 放課後等デイサービス自己評価表→@〜㊸までの43項目あり。
保護者等向け 放課後等デイサービス評価表→@〜Qまでの18項目あり。



◎参考資料4第1回障害児通所支援に関する検討会における主なご意見について(抜粋)
○児童発達支援事業・放課後等デイサービスの 「総合支援型(仮称)」と「特定プログラム特化型(仮称)」の方向性等について@AB→10意見あり。

・特定プログラム特化型と総合支援型の2つでよいのか、に関しては総合支援型をやりながら、ある特定時間は特定 プログラム特化型に近いサービスを提供するというやり方、様々な多様性のあるやり方も考えていくべきかと感じて いる。
・親御さんへの就労も含めた支援の在り方については、本腰を入れた議論が必要と考えている。類型としては、就労 支援型というのは検討に値すると考える。
・学齢期になってからの放デイ等を含め、文科省との連携というか学童保育の指導員さんから学校の先生との連携が うまくとれないという話を聞く。学校は学校、放課後は放課後、家は家みたいな形に振り回される子どもたち、とい う状態の構図がよく見受けられる。放課後等デイサービスの中でアセスメントしていくときに、どういうチームをつ くるのか、どういう体制でそこを充実させていくのか、という、単に総合型、特化型だけではない、少しチームみた いなことを意識した議論も具体的に方向性としては必要なのではないか。


◎参考資料5 障害児通所支援に関する検討会における団体ヒアリングの主な意見等(抜粋)
U 児童発達支援事業・放課後等デイサービスの「総合支援型(仮称)」と「特定プログラム特化型(仮称)」の方向性等について↓
○第2回 障害児通所支援に関する検討会における団体ヒアリングの主な意見等→障害のある子どもの放課後保障全国連絡会議⇒7意見あり。全国重症児者デイサービス・ネットワーク⇒2意見あり。全国発達支援通園事業連絡協議会、難病の子ども支援全国ネットワーク⇒各1意見あり。日本自閉症協会⇒2意見あり。

・学齢期の子どもにとって、学校という存在は大きい。置かれた環境によって子どもの頑張り度合いはそれぞれだが、ほとん どの場合、子どもたちは学校で頑張っている。それに対して放課後とは、学業から放たれた時間・空間でそこには、子ども集 団があり、遊びと生活を中心とした自由で主体的な活動が展開されている。
・子どもが日々の生活の中で遊びを通して主体性を持って活動する。これこそが総合支援型。これを行うためには、職 員の基準を、子ども10人に対して6人から7人ぐらいまで上げる必要がある。
・重症心児・医療的ケア児の実態を考えると、家族の負担がとても重く、児童の生活支援、家族の負担軽減の側面は常に必 要とされており、発達に重きを置き、様々なプログラムを実施する自閉症・発達障害の子どもさんと、寝たきりで意思疎通が 難しい医療的ケアの子どもたちを同列に議論するのは難しいのではないか。重心型に関しては、どちらかに区分する枠組みは そぐわない。
・生活と遊びと集団を通して子どもたちを丸ごと捉えるし、家族もそこで一緒に関わりながら、毎日通うというのが基本。そ こに同じ友達、同じ先生がいて、遊んで、食べて、寝てというようなこと。
・週に1回1時間という子どももいる。そこで5領域をカバーするという考えは現実的ではない。
○第3回 障害児通所支援に関する検討会における団体ヒアリングの主な意見等→全国肢体不自由児者父母の会連合会⇒4意見あり。日本ダウン症協会⇒1意見あり。
・検討項目にも挙げられた5つの領域を丁寧に評価し、総合支援型(仮称)を基本として、特別なプログラムが必要な子ども には地域にそれを提供できる強力なスタッフを配置していかなければならない。人員配置や財政的な支援を担保していかないと、絵に描いた餅に終わってしまうのではないか。
・発達障害の子どもたちにピアノや絵画の指導をすることで、既に子どもたちの特性を理解していなければ、そういった 支援はかなわない。子どもたちの個別指導計画が発達支援にかなっているものであれば、ピアノであろうが絵画であろ うが有効な手段として認めていくべきものであろう。
・特定プログラム特化型(仮称)の具体的な方向について、言語療法を就学以降も必要なお子さんに対して継続できることを 望む。

次回は新たに「社会保障審議会年金事業管理部会資料(第64回)」からです。

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