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労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会 第8回資料 [2024年12月06日(Fri)]
労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会 第8回資料(令和6年10月18日)
議事 (1)中間とりまとめ(案)について ・女性特有の健康課題に関する項目について ・歯科に関する項目について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44374.html
◎資料1 労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会 中間とりまとめ(案)
T はじめに
→労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)に基づく一般健康診断について は、平成 28 年に、「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関 する検討会」において各診断項目等の妥当性等について検討されたところだが、近年及び今後の労働者の健康を巡る情勢としては、急速に進む高齢化の中、職業生活が長期化してきているとともに、女性の就業率の増加に伴って、女性特有の健康課題への対応の重要性が一層高まっている。また、 前回の検討以降、健康診断についての医学的知見が集積されてきている。 こうした中、政府の規制改革実施計画(令和5年6月 16 日閣議決定)では、 定期健康診断について、最新の医学的知見や社会情勢の変化等を踏まえ、 医学的知見等に基づく検討の場を設け、検査項目(検査頻度を含む。)及び検査手法について所要の検討を行い、令和6年度に結論を得ることとされ た。 また、「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2023(女性版骨太の方針 2023)」(令和5年6月 13 日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推 進本部決定)では、「事業主健診(労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断)に係る問診に、月経困難症、更年期症状等の女性の健康に関連する項 目を追加する」とされ、「経済財政運営と改革の基本方針 2023(骨太の方針 2023)」(令和5年6月 16 日閣議決定)では、「女性版骨太の方針 2023 に 基づき、(中略)事業主健診の充実(中略)等により女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会を実現する」とされたところである。 こうした状況を踏まえて、「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項 目等に関する検討会」(以下「本検討会」)では、労働安全衛生法 に基づく一般健康診断の検査項目等について検討を行っているところであ る。 今般、これまでの検討結果を中間とりまとめとして報告する。

U 労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討
1 健診項目を検討する際の要件、着眼点→健康診断には、労働安全衛生法に基づくもののほか、保険者が、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和 57 年法律第 80 号)に基づく義務として、 それぞれの加入者(40 歳から 74 歳の者に限る)を対象に行う特定健康診査、また、自治体の住民という立場では、自治体が健康増進法(平成 14 年 法律第 103 号)に基づく努力義務として住民を対象に実施する健康増進事 業による健診(検診)がある。
 こうした中、労働安全衛生法に基づく健康診断では、業務が原因で、労働者が疾病にかかったり、疾病が悪化することを防ぐため、医学的知見を確認の上、健康診断の検査項目等を設定し、常時使用する労働者等に対する 健康診断の実施を事業者に義務づけるとともに、必要があると認めるときは、労働時間の短縮等の就業上の措置を講じることも義務づけており、これらの費用の全額が事業者負担となっている。なお、当該健康診断の対象 となる労働者には、特定健康診査及び健康増進事業による健診(検診)制 度とは異なり、法令により健康診断の受診が義務づけられている。
また、労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が 講ずべき措置に関する指針(平成 30 年労働者の心身の状態に関する情報の 適正な取扱い指針公示第1号、改正令和4年同第2号)では、労働者の健 康情報について、労働安全衛生法に基づく労働者の健康確保措置の実施や 事業者が負う民事上の安全配慮義務の履行の目的の範囲内で適正に使用さ れ、事業者による健康確保措置が十全に行われるために使用することが示 されている。このため、事業者には、労働者のプライバシーを最大限に配 慮し、労働者の健康情報を把握する範囲を限定的にすることが求められる。
労働者・使用者の代表及び専門家等からなる「労働安全衛生法に基づく定 期健康診断等のあり方に関する検討会」の報告書(平成 28 年公表)では、 定期健康診断等の目的、項目の要件等について、「労働安全衛生法に基づく 定期健康診断等は、その目的が、常時使用する労働者について、その健康 状態を把握し、労働時間の短縮、作業転換などの事後措置を行い、脳・心 臓疾患の発症の防止、生活習慣病等の増悪防止を図ることなどである。ま た、定期健康診断等の診断項目は、当該診断項目単独、又は他の項目と併 せて、義務とされている就業上の措置を行うためのデータとすることが期 待できるものであり、その上で、努力義務である保健指導においても活用 するものであることが必要である。」とされている。 また、労働安全衛生法第 70 条の3においては、健康診断の項目等について 健康増進法第9条第1項に規定する健康診査等指針と調和が保たれたもの でなければならないとしている。
これらを踏まえ、本検討会では、健康診断項目(以下「健診項目」) を検討する際の要件、着眼点を次のように設定した。 ・対象とする健診項目:検討する健診項目(以下、「検査」)で 分かる健康に関連する事象(以下、「健康事象」)は何か。 ※ 対象となる健康事象について原則として無症状であること ・業務起因性又は業務増悪性:検査で分かる健康事象若しくは検出可能 な危険因子が業務に起因する又は業務によって増悪するか。 ・事後措置:検査によって有所見とされた者に対して、事業者が実施できる事後措置(就業上の措置)は何か。過度に就業制限をかけることの不利益可能性はないか。 検査の目的、対象、方法:検査の目的と対象集団、検査方法、検査頻 度が明確か。 ・検査の精度及び有効性、基準値:検査の精度及び有効性、適切な基準 値が示されているか。 ・健診の運用:検査は巡回健診でも実施可能か。対象となる労働者全員 に対して実施可能か。 検査費用:検査の1件あたりに要する費用を事業者が許容できるか。 ・健康情報の把握:結果を事業者が把握することになるが、事業者が把 握する健康情報として許容できるか。

2 女性特有の健康課題に関する項目について
(1)検討の前提→近年及び今後の労働者の健康を巡る情勢としては、急速に進む高齢化の中、 職業生活が長期化してきているとともに、女性の就業率の増加に伴って、 女性特有の健康課題への対応の重要性が一層高まっている。 女性特有の健康課題については、「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2023(女性版骨太の方針 2023)」中の「V 女性が尊厳と誇りを持って生き られる社会の実現」、「(5)生涯にわたる健康への支援」において、「A事 業主健診の充実等による女性の就業継続等の支援」が盛り込まれ、「働く女 性の月経、妊娠・出産、更年期等、女性特有のライフイベントに起因する 望まない離職を防ぎ、女性が活躍し、健やかで充実した毎日を送り、安心 して安全に働けるよう、事業主健診(労働安全衛生法に基づく一般定期健 康診断)に係る問診に、月経困難症、更年期症状等の女性の健康に関連す る項目を追加するとともに、産業保健体制の充実を図る。」と記載されてい る。 また、「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2024(女性版骨太の方針 2024)」 中の「U 女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の一層の推進」、「(3) 仕事と健康課題の両立支援」において、「@健康診断の充実等による女性の 就業継続等の支援」が盛り込まれ、「働く女性の月経、妊娠・出産、更年期 等、女性のライフステージごとの健康課題に起因する望まない離職等を防 4 ぎ、女性が活躍し、また、健やかで充実した毎日を送ることができるよう、 プライバシーに十分配慮した上で、事業主健診(労働安全衛生法に基づく 一般定期健康診断)において、月経随伴症状や更年期障害等の早期発見に 資する項目を問診等に加え、その実施を促進する。(中略)さらに、健康課 題が把握された従業員に対し、事業主が行うことが望ましい対応について、 ガイドラインや指針などを作成することを検討するとともに、女性の健康 に関する取組の好事例等を事業主に周知する。」と記載されているとともに、 「V 個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現」、「(7)生涯にわた る健康への支援」にも、「A健康診断の充実等による女性の就業継続等(再 掲)」が盛り込まれている。 月経随伴症状や更年期障害等の女性特有の健康課題と業務との関係につい ては、論文検討では、夜勤やセデンタリーワーク(sedentary work。継続的な座位による業務)との関係性を示唆するとの研究報告を確認できた程度であり、業務起因性又は業務増悪性を示す明らかなエビデンスがあると までは言えない。 また、労働者のプライバシーの配慮については、事業者に知られたくない という労働者に配慮する必要があること、全ての健康情報は個人情報として配慮すべき事項であり、それを上回って事業者が責任を果たすべき内容 であった場合に初めて事業者はその情報を取得するという正当性を持つこ とから、健康診断において女性特有の健康課題に関する個人情報を事業者 が知るという意味はあるのかという意見があった。 一方で、本人の希望があれば、産業医をはじめとする産業保健スタッフな どに情報共有されるということが、健康管理や職場環境改善の観点から有 効ではないかという意見があった。この場合、会社に情報提供を希望する かスクリーニングをした上で、会社に情報提供を行う形式であれば、労働 者のプライバシーを保護することができるとする意見や、ストレスチェッ ク制度における長時間労働者への面接指導において同様の仕組みがあるこ とから対応可能ではないかという意見があった。 こうした意見に対して、女性特有の健康課題が業務起因性又は業務増悪性 を示す明らかなエビデンスがあるとまでは言えない以上、事業者として労 働者への支援を検討するに当たっては、労働者が受診した医師の意見と併 せて事業者に申し出ることを出発点とすべきという意見があった。これに 関連して、専門医の受診を経なければ事業者が適切な配慮を行えるのか疑 問という意見や、専門医の受診が引き続き進まなければ、女性労働者の健 康課題の解消につながるか疑問という意見があった。 しかしながら、月経困難症、更年期障害等により仕事上の困難を感じている、あるいは、会社からの支援の必要性を感じている女性労働者は少なくないという研究報告があった。また、女性特有の健康課題、特に月経困難 症等で一番難しいのは、労働者本人が自らの健康上の不具合を疾患だと思 わないことであり、自覚症状がないと捉えてしまうことが非常に問題であるという意見があった。 健康診断の実施方法については、血液検査による更年期障害の判定は難しいという意見や、既存の質問紙については、質問数が多すぎることや質問 紙のスコアは重症度を必ずしも反映しないことからスクリーニングとして は適さない可能性があること、臨床場面では困っていることを重視するこ とや、職場に知られたくない労働者も存在していることに留意が必要との 研究報告があった。 また、健康診断実施後の事業者における対応について、衛生委員会の設置 義務がある事業所においては、衛生委員会におけて論議・決定することや、 設置義務のない事業場においては、労働者代表の意見を聞くなど、労使間 で十分に話し合うことが重要との意見があった。 加えて、事業者が法定外の健診や、一般健康診断問診票1に記載されている 項目以外の問診を行うに際し、衛生委員会等で議論することとされていな いことを踏まえると、画一的に労使の協議事項とすることは、行き過ぎた 対応であるとの意見があった。
(2)検討結果
@ 一般健康診断問診票への女性特有の健康課題に関する質問の追加→上記(1)を踏まえると、一般健康診断の機会を活用し、女性労働者本人への気づきを促し、必要な場合には、産婦人科医等専門医(以下「専門医」)への早期受診、また、女性特有の健康課題に対する配慮について 申し出を行いやすい職場づくりにもつながるよう、一般健康診断問診票に 女性特有の健康課題(月経困難症、月経前症候群、更年期障害等)に係る質問を追加することが適当である。 その場合、次のような質問を設けることが考えられる。
質問:女性特有の健康課題(月経困難症、月経前症候群、更年期障害な ど)で職場において困っていることがありますか。 @ はい、A いいえ ↓
健康診断を実施する機関(以下「健診機関」)で健康診断を担当する医師(産業医が健康診断を実施する場合も含む。以下、「健診担当医」)は、この質問に「@はい」と回答した労働者に対して、必要に応じて、女性特有の健康課題に関する情報提供や専門医への早期受診を促すことが適当である。 その際、健診担当医が、女性特有の健康課題に関し、必ずしも専門的な知 識を有していないことを前提とすべきであり、健診担当医が情報提供等を行うに際し、活用できるツールの作成や健診担当医に対する研修等が必要である。
A 事業者への情報提供→ 質問に対する労働者の回答は、健診機関から事業者に提供しないこととする。この点については、労働者本人が希望するのであれば、事業者に提供 してもよいのではないかという意見があった。一方、現時点では、一般に 女性特有の健康課題とその業務起因性との関係が明らかにされていないことから、労働者が受診した専門医の意見(適切な配慮の内容等)とともに 事業者に申し出ることを出発点とすべきとの意見があった。 以上を踏まえ、厚生労働省において、女性特有の健康課題を抱える個々の 労働者と事業者をつなぐ観点から、望ましい対応を、健診機関向けガイドラインに示すこととする。 具体的には、労働者が、女性特有の健康課題で職場において困っている場 合、専門医の早期受診を勧奨すること、その上で、専門医の診断書を持って事業者に相談することは可能であること(既に、専門医の診断を受けて いる場合も同様に可能であること)を健診機関向けガイドラインにおいて 明示する。 また、女性特有の健康課題で職場において困っている労働者を対象に、自らが事業者に女性特有の健康課題に関する相談を行うことは現時点であっても可能であるとともに、その場合には、専門医による診断書等を示すことが望ましいことを事業者向けガイドラインにも明示する。なお、これらの取扱いについては、あらかじめ、衛生委員会等にて労使間で十分に話し 合うことが考えられる。 一方で、望ましい職場環境の拡充等の観点から、女性特有の健康課題に配 慮した職場環境を積極的に推進する企業においては、労働者に説明した上 で、女性特有の健康課題に係る質問における労働者の回答を集計した情報(以下「集計情報」)を健診機関より入手し、取組みに活用するこ とが考えられる。なお、労働者のプライバシーに配慮するために、受診で きる健診機関が複数ある場合を含め、1つの健診機関あたりの受診者が例えば 10 人未満の場合など個人が特定されやすい場合は、集計情報を提供しないことが必要である。また、自分の回答を集計情報に使用されたくない 場合は、本人の意思を確認の上、集計情報を使用させないようにすること が必要である。
B 男性の更年期障害について→ 男性の更年期障害についても一般健康診断に含めるべきではないか、問診 項目で特に男女を区別してきく必要はないのではないかという意見もあっ たが、業務起因性等に係る知見が乏しい項目を労働安全衛生法のスキーム に追加することは極めて抑制的であるべきとの意見や、現時点では、男性の更年期障害という疾患概念自体に曖昧さがあることに加え、労働者個人の精神的な状態が前面に出やすく、鑑別の課題もあり、健康診断における 問診でのスクリーニングが困難であるとの意見があった。 男性の更年期障害については、自分の抱えている不調が更年期の症状であ るという理解促進を促すことについて、問診とは別に検討を進めて欲しい との意見があった。今後、厚生労働省は、更なる医学的知見の集積を踏ま え、必要に応じて検討していくこととする。

3 歯科に関する項目について 一般健康診断の検査項目として、歯科健診を追加する可能性について、公 益社団法人日本歯科医師会からの提案を踏まえ、検討した。
(1)検討の前提→歯周病については、初期の段階では自覚症状がほとんどないまま進行することから、定期的に、歯科健診により口腔の状況を把握することが必要ではないかという意見がある。 健康増進法に基づく健康増進事業により、20、30、40、50、60、70 歳の住民に対し、歯周疾患検診を行うことが市町村の努力義務とされているものの、その受診状況は低調である。 今般、日本歯科医師会は、労働者が高年齢となっても活躍できる社会を実現するためには、一般健康診断の検査項目に、歯周病、歯の喪失、顎関節症(以下「歯科疾患」)に係る検査(以下「歯科健診」) を追加することにより、歯周病やそれに伴う歯の喪失を予防するとともに、 健全な口腔環境の保持に基づく高齢者の転倒防止、情報機器作業従事者の 顎関節症の予防をすることが可能であるとして提案を行った。 現在、職場における歯科医師による健康診断として、事業者には、塩酸、 硝酸、硫酸等の有害物を取り扱う労働者を対象に、労働安全衛生法第 66 条第3項に基づく歯科医師による健康診断を実施することが義務づけられて おり、有害物による歯牙酸蝕等に係る検査が行われている。 また、令和6年度より、リスクアセスメント対象物へのばく露による健康 障害リスクが許容される範囲を超えると判断された労働者を対象に、医師 又は歯科医師によるリスクアセスメント対象物健康診断を行うことが義務 づけられ、リスクアセスメント対象物の有害性を踏まえ、必要な検査を行 うこととされている。 なお、一般健康診断を行う際には、特定健康診査の検査も同時に実施され ており、特定健康診査の「標準的な質問票」の歯科に関する質問項目は、 一般健康診断問診票にも含まれている。

(2)検討結果
@ 健診項目を検討する際の要件、着眼点を踏まえた検討結果
→業務起因性又は業務増悪性、就業上の措置 歯周病については、成人の8割程度が罹患しているとするデータもあり、 平時からの歯のブラッシング等のほか、症状があった場合は重症化する前 に、早期に歯科を受診することが有効であると考えられる。 顎関節症については、職場の労働者の発症率が、住民より高いことが示唆 される研究論文はあったものの、研究論文中で使用されている有所見者の 定義を確認すると、質問票の「どちらともいえない」という回答を「有所 見」と判断しており、業務起因性又は業務増悪性を判断するエビデンスと しては乏しい。 また、ストレスと顎関節症の関連が示唆されているが、ストレスと顎関節 症における定量的なエビデンスは存在しないことから、事業者が講ずべき 事後措置について明確な基準を設けることは困難であるという意見があっ た。 なお、心理社会的要因を「有所見」の判断項目としているが、労働者のストレス状態はストレスチェック制度を通じて把握すべきとの意見があった。 歯科疾患について、これまでの労災疾病臨床研究、厚生労働科学研究にお いて、業務起因性又は業務増悪性を示す明らかな知見は得られていないこ とから、労働安全衛生法に基づく一般健康診断を実施する意義は乏しいの ではないかという意見があった。 健診の運用等 仮に、歯科疾患に業務起因性又は業務増悪性があるとされると、歯科医師 による歯科健診を実施する体制を確保する必要があるが、歯科医師が口腔 の歯周組織まで検査する場合には、受診者1人当たり 20 分以上の時間を要することから、全国で歯科医師が事業場に赴いて歯科健診を行うことが現 実的かという課題がある。 また、歯科医師による歯科健診の代替手法として、検査キット等を活用することも考えられるが、目的に応じた代替手法の確立が課題となっている。 その他 歯の喪失によって転倒が生じやすくなる可能性があるとしたエビデンスについては、根拠とした調査の対象が 65 歳以上であり、このデータだけで健康診断の有用性があるとまでは言えないとの意見があった。 日本歯科医師会より、かかりつけ歯科の受診を含む「過去1年間に歯科検 診を受診した者」の割合は6割弱であり、国民の約半数しか受診していないとの説明があった。 新たな歯科に関する質問項目を追加するよりも、既にある特定健康診査の 質問項目を有効に活用することが効率的ではないかとの意見があった。
A 今後の方向性等→労働者の口腔の健康の保持・増進は重要であることから、事業者が行う健康保持増進措置において、口腔保健指導をより一層推進していくことは重要であるものの、業務起因性又は業務増悪性、就業上の措置等のエビデン スが乏しいことを踏まえると、問診を含め、労働安全衛生法に基づく一般 健康診断に歯科健診を追加することは困難である。 一方で、歯周病と全身疾患との関連が示唆されていることから、口腔内の健康を保つことの意義があると考えられる。現在、事業場における労働者の健康保持増進のための指針(昭和 63 年指針公示第1号)に「歯と口の健康づくりに向けた口腔保健指導」が盛り込まれているが、現状では十分に実施されているとは言えないことから、今後、好事例を展開する等普及啓 発を強化することにより、歯科受診に繋げる方策を検討することとしてはどうか。 また、歯と口の健康づくりに向けた口腔保健指導については、職場の健康 診断実施強化月間、全国労働衛生週間の周知等の機会をとらえて、改めて、周知を強化することが可能ではないか。

○本検討会の構成員及びこれまでの開催状況↓
【開催状況】→第1回(令和5(2023)年12月5日)〜第7回(令和6(2024)年9月20日)
【構成員】→21名。


◎参考資料1労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会開催要綱
1 目的
→労働安全衛生法に基づく一般健康診断については、平成 28 年に、「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」において各診断項目等の妥当性等について検討されたところだが、近年及び今後の労働者の健康を巡る情勢としては、急速 に進む高齢化の中、職業⽣活が⻑期化してきているとともに、女性の就業率の増加に伴って、女性の健康課題への対応の重要性が一層高まっている。また、前回の検討以降、 健康診断についての医学的知見が集積されてきている。 こうした中、政府の規制改革実施計画(令和5年6月 16 日閣議決定)では、定期健康診断について、最新の医学的知見や社会情勢の変化等を踏まえ、医学的知見等に基づく検討の場を設け、検査項目及び検査手法について所要の検討を行い、令和6年度に結論を得ることとされた。 また、「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2023(女性版骨太の方針 2023)」(令 和5年6月 13 日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定)では、「事業主健診(労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断)に係る問診に、月経困難症、更年期症状等の女性の健康に関連する項目を追加する」とされ、「経済財政運営 と改革の基本方針 2023(骨太の方針 2023)」(令和5年6月 16 日閣議決定)では、 「女性版骨太の方針 2023 に基づき、(中略)事業主健診の充実(中略)等により女性 が尊厳と誇りを持って生きられる社会を実現する」とされたところである。 こうした状況を踏まえて、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等につい て、検討することとする。
2 検討内容→(1)最新の医学的エビデンスに基づく現行の一般健康診断の検査項目等の妥当性について (2)労働者の健康課題の変化を踏まえた一般健康診断の検査項目等について (3)その他関連する事項について
3 構成→(1)本検討会は、厚⽣労働省労働基準局安全衛⽣部⻑が、別紙の構成員の参集を求めて 開催する。 (2)本検討会には座⻑を置き、議事を整理する。 (3)座⻑は、座⻑代理を指名することができる。 (4)本検討会には、必要に応じて別紙に掲げる構成員以外の関係者の出席を求めること ができる。
4 検討会の運営→(1)本検討会、会議資料及び議事録については、原則として公開するものとする。ただ し、個別事案を取り扱う場合においては、個人・法人情報の保護の観点等から、公開 することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある場合 等において、座⻑が⾮公開が妥当であると判断したときは、非公開で実施することが できるものとする。なお、非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議 事要旨を公開する。 (2)本検討会の庶務は、厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課産業保健支援室に おいて行う。 (3)この要綱に定めるもののほか、本検討会の運営に関し必要な事項は、会議において 定める。


◎参考資料2 第7回労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関る検討会 議事録
○大野中央労働衛生専門官→開会挨拶、出欠確認、リモート参加、資料確認。
○田座長→本日の議題、「労働者の健康確保に必要な健診項目について」進める。事務局から、資料 1、2 の説明を願う。
○大村産業保健支援室長(事務局)→資料 1、労働者の健康確保に必要な健診項目につ いて説明(スライド3まで)。資料 2はスライド4から27まで。
○田座長 御説明ありがとうございました。まず事務局から資料 1 に基づき、労働者の 健康確保に必要な健診項目として説明いただいた通り、学会等から寄せられた要望が資料 1 の最後に載っておりますが、本日はその中から歯科健診の追加について議論を頂くとい うことになります。そのほかの項目については、また次回以降の議論の際に御意見を頂け ればと思います。 それから、資料 2 については、労働安全衛生における歯科口腔保健対策ということで、 労働安全衛生法に基づく歯科に関する健康診断、事業場における労働者の健康保持増進について、ストレスと歯科口腔保健対策について、それから歯科口腔保健に関する調査研究 の現状について報告いただきました。 ただいまの説明に関して御質問や御意見のある構成員は御発言をお願いいたします。まず、会場の構成員から御発言御希望の方は挙手をお願いいたします。鈴木委員、お願いい たします。
○鈴木構成員資料 2 の 26 ページについて、1 点質問さ せていただきます。歯科口腔保健と作業関連疾患、労働環境に関する研究をご紹介いただ きました。4 つの研究課題を通じて、通常の業務・働き方と歯科疾患との間に何か明確な 業務起因・業務増悪が確認できたかどうか、そうした研究があったかどうか、お尋ねいた します。
○大村産業保健支援室長 事務局→1 つは、いわゆる政策について の御提案ということで、事業場における、いわゆる歯科部分での健康教育の推進を図るべ きというような御提案。もう 1 つは、いわゆる作業と歯科口腔との関係について調査 研究がなされたものと、大きく 2 つのものがあると認識しております。 後者の作業と歯科口腔の関係については、いろいろ多角的な業務等について調査研究が なされておりますが、そこの調査研究の末尾にも含まれておりましたが、基礎的な部分についてはいろいろなデータの収集等がなされておりますが、まだまだ引き続きエビデンスの収集が必要であるという旨の記載がありました。その部分については、更なるエビデン スの集積が必要ではないかと認識をしております。
○及川構成員 及川です。御説明いただきありがとうございます。労働安全衛生における 歯科口腔保健対策について、俯瞰的、総合的に御説明を頂き、今やっていることをしっか りと継続することが重要ではないかと、改めて実感したところです。意見は今申し上げた とおりなのですが、2 点ほど少し教えていただきたいことがあります。7 ページに電子申 請について可能になっていますが、こういった電子申請によるものは、どのぐらい活用さ れているのか、もしお分かりになれば教えていただきたいです。 また、8 ページのほうは、施行されてまだ半年に満たないのですが、この新しい化学物 質における健康管理の仕組みが施行されて、何か新しいことが起こっているのか、想定ど おりに進んでいるのか、これからなのかという、スタートダッシュの状況をお聞かせいた だければ幸いです。以上です。○大村産業保健支援室長 まず、スライド 7 の電子申請の部分ですが、こちらの制度が始 まったのが本年 2 月ということで、まだ結果の実績等について集計はできておりません。 この辺りについては、折を見て、必要な情報の公表等を考えてまいりたいと思います。 続いて、スライド 8 のリスクアセスメント対象物健康診断については、本年 4 月から施 行されたこともあり、更なる周知を進めているところです。リスクアセスメント対象物健 康診断の実績については、従来からの特殊健康診断と異なり、行政への報告義務がありま せん。そういったことから、健康診断実施機関等の皆さんの御協力を得て、今後、実態を 確認し、把握してまいりたいと考えております
○田座長 そのほか、何かありますか。オンライン参加の構成員の方で御発言を御希望 の方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、 資料 1、2 についての議論は、ここまでといたします。 続いて、本日は労働者の健康確保に必要な健診項目についてのヒアリングとして、日本 歯科医師会常務理事の山本様にお越しいただいております。それでは、御説明をお願いい たします。
○山本参考人 先生方、こんにちは。ただいま御紹介いただきました日本歯科医師会の山本でございます。本日は、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目に関する検討 会にお招きいただきました。私からは、一般健康診断に歯科を盛り込む必要性ということ で、少しお話をさせていただきたいと思います。それでは、2 ページを御覧いただきたいと思います。 なぜ、一般健康診断に歯科の項目を追加していただきたいかということですが、1 つは、 高齢になっても、やはり活躍することができるように、事業場における労働者の健康保持増進を目指すということ。もう 1 つは、歯周病と全身の健康との関連性、これについては 様々な研究報告が集積してきているということになります。3 つ目は、健全な口腔環境が あれば転倒防止につながるような可能性があるということになります。それから 4 つ目と して、VDT、現在では、情報作業機器の作業増加によりまして、やはり顎関節の症状が課 題となっているという部分がございます。 続きまして、3 ページを御覧ください。こちらは日本歯科医師会が 2 年に 1 度、15〜79 歳の男女 1 万人を対象として、インターネットを使った調査で、「歯科医療に関する一般 生活者意識調査」を実施しております。最新の 2022 年 8 月に実施した調査ですが、その 中で特に、職業が会社員という回答のあった 3,297 名についての特徴をまとめたものにな ります。「これまでの人生を振り返って、もっと早くから、歯の健診・治療をしたほうが よかったと思うか」という質問に対して、「そう思う・ややそう思う」と回答された方が 71.7%となっております。 4 ページを御覧ください。こちらも同じ調査です。あなたは、この 1 年間に、歯や口の 中の問題、例えば、痛くなる、はれる、詰めものがとれる、ものがはさまるといったよう な症状で、以下のような経験をしたことがありますかという質問です。そのうち、「この 1 年で仕事をしているときに歯や口の中の問題が気になった」という割合では、「よくあ る・たまにある」と回答された方が 28.9%、あるいは、「この 1 年間で歯や口の中の問 題が仕事など日常生活に支障をきたしたことがあるか」ということについては、「よくあ る・たまにある」と回答された方が、合計で 18.4%になっております。このように歯や 口の中の症状といったことが、やはりプレゼンティズムに関連するということが示唆され ているのではないかというように考えているところです。 5 ページです。歯周病についてです。歯周病は、初期の段階では自覚症状がほとんどない、そのために気付かないうちに進行しています。そのために「サイレント・ディジーズ」というように呼ばれています。成人の 8 割が歯周病になっているにもかかわらず、御 自身で自覚している方は少ないということが特徴だと思っております。 6 ページです。歯周病と全身の疾患、あるいは生活習慣との関連ということになるわけ ですが、歯周病は、単に口腔内の疾患だけにとどまらず、全身疾患に波及し、時には重篤 な疾患につながることが確認されております。全身疾患となりますと、例えば糖尿病ある いは関節リウマチ、脳梗塞、動脈硬化に伴うような狭心症や心筋梗塞、あるいは呼吸器系 の疾患、そして慢性腎臓病、あるいは妊娠・出産といったような問題、それから、内臓脂 肪型の肥満といったこととの関連が報告されております。このために、歯科健診により口 の中の状況を把握する、適切な歯科口腔保健指導を実施していただく、更には必要に応じ て歯科の医療機関につなげていただくよう受診勧奨をする。あるいは、かかりつけの先生方との医科歯科連携につなげていくことが大変重要と考えているところです。 7 ページです。歯周病と全身疾患、生活習慣等の様々な関連性についてです。こちらに ついては、先生方には、特に御説明する必要性もないかと思いますので、お読み取りいた だければと思います。 8 ページです。ここで、現在の日本における歯科健診の体制について御説明させていた だきます。1 歳半、それから 3 歳児を対象とした乳幼児の歯科健診、これは、いわゆる母子保健法に基づきまして義務化されています。また、幼稚園から高等学校卒業までは、学校歯科健診という形で、「学校保健安全法」を基に義務化されております。 ところが、高等学校を卒業しますと、歯科の健診は、基本的には自己責任という形になっています。唯一、「歯周疾患検診」という形で、健康増進法ということで行われておりますが、これは努力義務ということになりますので、各自治体によっては実施されていな い場合もあります。また、これを行われているのが、40 歳、50 歳、60 歳、70 歳といった 10 歳刻みの形で実施されていましたが、令和 6 年度からは、20 歳、30 歳が追加されて少し拡大してきたところです。 先ほど御紹介がありましたように、一部の労働者、いわゆる塩酸、硫酸、硝酸といった ものを取り扱う労働者に関しましては、労働安全衛生法に基づく歯科特殊健康診断という形で歯科医師による健康診断が実施されているということです。したがいまして、いわゆる国民皆歯科健診という議論が始まっているところではありますけれども、就労世代の歯 科健診制度というのは、今後、どのように構築したらいいかということが非常に大きな課題と捉えております。 9 ページです。こちらは令和 5 年度の生涯を通じた歯科健診、いわゆる国民皆歯科健診推進事業ということで、「歯周病等スクリーニングツール開発支援事業」というものになります。簡易な歯科検査ということで、5 社の事業者が検査として選ばれまして、様々な 事業所等での歯科健診で検証がなされたところです。 10、11 ページです。この事業所での健診の検証結果ですが、1 つは、歯科医師による歯 科健診・歯科衛生士による歯科保健指導を実施した場合、それから、いわゆる簡易な検査 ・歯科健診・歯科保健指導を一般健康診断と同時に実施した場合、11 ページになります が、簡易な検査だけを一般健診と同時に実施した場合という 3 つのパターンで比較・検討 しているところです。 12 ページです。こうした歯科健診、あるいは簡易な検査、歯科保健指導の成果と課題ということです。まず、成果としては、歯科健診あるいは簡易な歯科検査のいずれも、一 般健診の既存の事業と同時に実施すると効率的かつ高い参加率での実施が見込めました。 2 つ目として、歯科健診では、若年層あるいは過去未受診の方々の無関心層にも実施率が 高いということが分かったこと。3 つ目として、簡易な検査でも歯科健診・歯科保健指導と同様に、受診あるいはセルフケアといったことに一定の効果が認められた。また、簡易 な検査では多くの従業員あるいは被保険者に対して公平に機会提供を行うことができたというような結果が得られたところです。 一方、課題ですが、やはり実施後の受診行動として、歯科の受診への意識変化、これは「受診するつもり」というところにとどまる方が多く、なかなか直接的な歯科の受診行動に結び付けられることがなかったということから、何らかの対策が必要ではないかと考えられています。 13 ページです。更に、歯科健診・歯科保健指導と簡易な歯科検査の検査結果の構成比 を見ていただきますと、歯科健診の場合は、要精密検査者が非常に多くなりましたが、い わゆる簡易な歯科検査の場合には、低リスク者が非常に多いという結果でした。やはり歯科健診の場合は、歯科医師により、歯の状態とか、歯周組織の状況、歯石、清掃状況あるいは顎関節の状態、口腔粘膜など、多岐にわたる検査を通じて口腔内の状態を全般的に把握しますが、簡易な検査の場合には、唾液等から得られる情報から歯周病等のリスクだけを判定するということですので、一概に比較するのは少し難しいということです。 14 ページです。そこで、労働者に対する歯科健診として、どのようなことが必要かという必須事項ということですが、事業場(会議室等)を使う場合、あるいは歯科医療機関等で歯科医師による歯科健診及び質問票による問診を行うということが、まずは一義的ではないかと思います。ただ、それが非常に難しいといった場合には、簡易な歯科検査でもよいというように考えております。ただ、必ず歯や口の中の状況、あるいは生活習慣等に関 する項目を含めた質問を行って、必要に応じて歯科の医療機関への受診勧奨を行うことが 望ましいのではないかと考えております。 15 ページです。こちらは令和 8 年度から実施予定の歯周疾患で活用される標準的な質 問項目 16 問になります。歯や口の中の状況に関する質問、それから、日常の生活習慣に 関する質問、歯科の健(検)診や治療の状況等に関する質問、その他の質問という形になっ ております。簡易な歯科検査を実施する場合には、こうした質問票を同時に活用していた だくのが重要ではないかと考えております。 16 ページです。こちらは歯の数、それから義歯使用の有無と「転倒」との関係です。 自分の歯が 20 本以上ある者を 1 とした場合のオッズ比を比べたものになります。自分の 歯が 19 本以下で義歯を使って咬合を回復しているような場合には、そのオッズ比が 1.36 倍、それに対して、自分の歯が 19 本以下で義歯を使わないで咬合の回復を行わないといった場合には、2.5 倍も「転倒」しやすいという結果が出されております。 17 ページです 。 VDT(いわゆる現在の情報作業機器の作業)と TCH(Tooth Contacting Habit)の関連性についてです。やはり、こうした情報作業機器の作業時間が長くなること により集中あるいは緊張が続く、眼精疲労あるいは首や肩、腰の痛みやメンタルストレス、 肥満や2 型糖尿病といった健康影響が考えられているわけですけれども、口腔の周囲では 咀嚼筋の緊張ということから TCH が起こりまして、これが顎関節の症状といったことの健 康影響が考えられています。 次に、18〜21 ページまでですが、「企業就労者の顎関節症状に影響を及ぼす寄与因子の検討」の論文の趣旨ということになります。こちらは都内と近県に本社、工場を持つ企業の従業員への質問票に回答された 2,423 名からの結果です。顎関節の有病率が 16.4% と、一般の集団より、やや高い値であった。それから、顎関節症群の方は非顎関節症群に比べまして、心理社会的要因の総点あるいは習癖行動の総点が高くなる傾向が認められました。あるいは顎関節症の発症に影響を及ぼす因子としては、男性の場合は、不安感、疲労持続感、TCH 及び起床時の症状、女性の場合には、疲労持続感と起床時症状が抽出されています。 19 ページです。こちらが今回使った質問票の内容です。1〜4 番までが顎関節症要因、5 〜8 番までが心理社会的要因、9、10 番が習癖行動の要因となります。 20 ページです。顎関節症要因の質問は 1〜4 ですが、その評価としては、合計が 20 ポ イント、このうち 8.5 ポイント以上が顎関節症と評価されています。下のほうになります が、一般の集団では、約 5〜12%の方に顎関節症が見られるという報告の内容です。21 ペ ージは、寄与因子の合計点数、ロジスティック回帰分析の結果です。 最後に、22 ページを御覧ください。従来、産業保健の分野では、やはり転落事故とか、 腰痛、熱中症あるいはメンタルヘルスといったような様々な職業性疾患の予防管理が大変重要ということです。近年では、やはり生活習慣病対策といったような健康づくりも、その課題の 1 つではないかと考えております。日本歯科医師会では、労働保健の分野に、歯科からの健康づくりを進めるということによって、労働者の健康管理が進められるように なればと考えているところです。以上でございます。ありがとうございました。
○田座長 御説明ありがとうございました。ただいま一般健康診断に歯科を盛り込む必 要性について御説明いただきました。御説明の内容につきまして、御質問や御意見等があ る方は、会場の構成員につきましては挙手をお願いできればと思います。オンラインの構 成員につきましては、御発言がある旨、挙手をお願いできればと思います。まず会場から、 森構成員、お願いいたします。
○森構成員 山本先生、ありがとうございました。以前、先ほど説明があった THP の指針 の改正のときも、山本先生と一緒に議論させていただきました。歯科健診の予防的な取組 というのは非常に重要であるということは認識しています。 一方で、リスクの評価では、その後の受診行動になかなか結び付かないという趣旨のお 話がありました。一般健康診断の中で、歯科健診を行うことになれば、巡回でもできると いうことが前提になってくると思いますが、そのような制約の中で、歯科健診の標準的な プロセスとはどのようなもので、どのくらいの時間が掛かるものなのかというイメージが 統一できていないと議論が進まないように思います。その辺りは、どのようにお考えでし ょうか。
○山本参考人 御質問ありがとうございます。歯科健診をフルに歯科医師が行うといった 場合には、かなり時間が掛かることは十分承知しております。通常、簡単な検査であれば10 分程度のものもありますが、例えば歯周組織までしっかり診るということになると、 場合によっては 20 分以上掛かってしまうこともあるかと思いますので、なかなか事業場 において、こうした形での歯科健診をするのは非常に難しいということは、我々も認識し ているところでございます。
○森構成員 となると、もし、歯科を一般健診で取り上げようとすると、問診とか、簡易 な検査が現実的という理解でよろしいのでしょうか。
○山本参考人 事業場等で行う場合には、そういった形のほうが、よりリーズナブルな方 法ではないかと考えております。 ○田座長 ありがとうございます。森先生、大丈夫ですか。 ○森構成員 はい。 ○田座長 鈴木構成員、お願いいたします。
○鈴木構成員 山本様、御説明いただき、誠にありがとうございます。経団連の鈴木と申 します。日本歯科医師会において、日頃より歯科口腔保健の増進のために御尽力されてい ることに対し、まずもって敬意を表します。 私は、一般健康診断の項目追加を議論するに当たり、冒頭で事務局から御説明いただい た資料1の「健診項目を検討する際の要件、着眼点」の中で、とりわけ、業務起因・業務 増悪を重視すべきとの立場から、検討会に参加してきたものでございます。本日はそうし た観点から、幾つか御質問させていただければと思います。 はじめに、16 ページです。歯の喪失と「転倒」との間に関係性があるという御説明を いただきました。歯が少ない状態で転倒が起こりやすいことは理解いたしましたが、こち らの調査は、労働者に限定して行われたのか、確認させていただきたいと思います。 続きまして、18 ページです。企業の従業員を対象とした調査の結論として、顎関節症 有病率が 16.4%と一般集団よりやや高い値を示した等々の結果を御披露いただきました。 その結論を導く調査についての御質問です。20 ページで、質問票 1〜4 の評価値の合計が 8.5 以上を顎関節症と判断したとの御説明がありました。細かい点で恐縮ですが、質問票 1〜4 のいずれも「どちらとも言えない」と仮に回答した場合、合計 12 点となり顎関節症 に該当するという理解で合っているかどうかについてお伺いします。 最後に、19 ページです。心理社会的要因や習癖行動は、質問票 5〜10 で判断すること になると思いますが、設問を拝見しますと、「仕事、学校、家庭あるいは人間関係でのストレスはありますか」などとなっております。従業員を対象とした調査ではありますが、 仕事に限定した形で顎関節症の発症に影響する因子を調べたものとは、言い切れないので はないかと理解していますが、こうした理解で合っているかどうか。以上 3 点を教えてい ただければと思います。よろしくお願いします。
○田座長 山本先生、お願いいたします。
○山本参考人→ありがとうございます。一番初めの御質問で、歯の数と転倒との関係16 ページの調査ですが、これは会社員に限定したというわけではない調査だと思います。その次の御質問ですが、顎関節症の問題ですけれども、この中で顎関節症要因での「3」が全部だと 12 点になるので、8.5 以上ではないかという御質問ですが、こちらにつ いては先生のおっしゃるとおりですけれども、ただ、やはり顎関節症の場合は、ストレス との関連性が非常に強いということが言われておりますので、どちらとも言えないという 質問をどうしても作らざるを得ない部分があります。 もう 1 つは、心理社会的要因ということで、学校あるいは家庭ということが入っている ので、これは労働起因性ではないかという御質問だと思いますけれども、こちらは本研究 の実施以前の先行研究において、この調査票が多分有効であろうという調査結果がありま したので、それを利用しているということだと思っております。 ○田座長 ありがとうございます。鈴木構成員、いかがでしょうか。
○鈴木構成員 ありがとうございます。専門家の先生方の御意見も是非お伺いしたいと思 いますが、素人的には、「どちらともいえない」という回答だけで顎関節症と判断される ということや、必ずしも仕事に限定した形での調査ではないことからすると、ご紹介いた だいた調査を見る限りでは、「業務起因性・業務増悪性あり」と判断するのは、慎重に考 えるべきと感じたところです。ありがとうございました
○山本参考人 実は、歯科疾患実態調査が、以前は6年に1度、現在は4年に1度実施さ れていますが、その中で、平成 17 年に顎関節に関連するような質問がございます。これ を見てみますと、顎の痛みとか、あるいは顎関節のクリック音といった雑音に対する評価 があるのですけれども、その中で、特に痛みに関しては、どの年代も 5〜10%ぐらいの数 字で、やはり症状があるということですので、年齢にかかわらず、労働者の方でも非常に 顎関節の症状が多いということは、ある程度分かっております。
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○山本参考人 中等症以上になると、確かに骨の吸収が早くなってきますので、その辺は 適切な処置が必要だと思うのですが、やはり一番重要なのは、先ほど先生もおっしゃった ように、例えば歯垢を取るという基本的なことができているかどうかです。それがしっか りとできている場合には、歯を支えている骨が非常に少なくなっても、ある程度まではし っかりと噛むことができる状態に持っていくことができます。歯周外科も最近はかなり進 んできて、その中にエムドゲインという薬を塗って、歯槽骨を再生するという治療も開発 されております。そういったところは、やはり専門医の先生方が非常に得意な部分ですの で、中等度以上になったら、もうお手挙げだからどうでもいいとは、我々も考えておりま せん。
○山本参考人 自治体で行っている歯周疾患健診は、全国平均で受診率が 5%という低調 な形になっております。これについても、香川県が一番高くて 13.7%台だと思います。 低い所が高知県という形で、非常にばらばらではありますが、全国平均でいくと 5%ぐら いしか受診していないということになります。やはり自治体の健診の場合は、労働者の方 はお休みのときに来なければいけないという事情がありますので、受診機会として自治体 の健診を受けるのは非常に難しいという事情があるのかなと思っております。以上です。

○森構成員 今までの話をお聞きしていると、基本的に歯科予防 というのは、定期的に歯科医を受診してチェックをして、歯石を取ってというのが本来の 在り方で、日本の場合、その行動を取る人たちがすごく少なく、その行動に出るためには、 きっかけを職場でどうするかというのがとても重要だという話だと認識しました。 私たちの関係の論文で、大企業製造業 5 社の歯科予防受診の受診率のデータがあったの - - 23 で見てみたのですが、3 か月に 1 回行かれている方は、男性が 9.3%、女性が 13.9%です。 年に 1 回は行っているという方が、大企業でも男性が 23.9%、女性が 31.8%しか、まだ 行っていないという状態です。中小企業の場合、これとはかなり異なることも分かってい ます。 したがって、このような定期受診をどのように上げていくかがとても重要だということ ですね。そうすると、教育などのいろいろな方法があるから、多分、健診をやるとしても、 どうしたら受診につなげられるかというエビデンスを今後作っていかないと思います。ま ずは、スクリーニングしてみようだと、無駄になってしまうおそれがあるのかと思ってい ます。 我々の研究では、長時間労働で労働時間が長くなると、特に男性の年齢が高い人は予防 受診が抑制されるという結果が出ています。交替勤務も含めて、働いている人の中には、 仕事の影響で受診行動が抑制される集団があるから、法律というより、そういう状況にあ る事業者においては、やはりそこの部分を少し配慮するような取組をしていただく必要が あるのではないかと、お話を聞きながら、我々のデータもみながら考えていたところです。 1 つ、質問なのですが、今、大企業のデータと言いましたが、そもそも予防歯科受診は、 どのぐらいの就労年齢の人たちが受診しているのかというデータはあるのでしょうか。 
○山本参考人 この辺は国民健康・栄養調査等のアンケート調査などを見ても、ほぼ半数、 大体 50%は歯科の受診あるいは健診を受けているのだけれども、半数の方は全く歯科検 診を受けていないというのが現状でございますので、日本人 2 人に 1 人しか歯科等の受診 はないという感じだと思います
○星野構成員 関東労災病院で「働く女性専門外来」というものを担当している者なのですが、貴重ないろいろな情報をありがとうございました。先ほど、「歯科のトラブルによ り就労をあきらめる、あるいは何らかの影響がないか」という御質問に対して、「エビデ ンスはありません」というお話があったことについて、うちの外来に、たまたまだとは思 うのですが、ストレスがすごく大きいお仕事をなさっている中で顎関節症を発症なさって、 その職場を本人の判断で辞めたら顎関節症もよくなったという方がいましたので、恐らく いろいろなケースがあると思うので、蓄積していただけるといいかと思いました。 あと、先ほどいろいろな質問の中で、歯周外科というのが進んでいて、その専門医がい ますという御説明がありましたが、何人ぐらいおられるのでしょうか。
○山本参考人 すみません。歯周外来の専門医の数自体は分かりませんが、日本には臨床歯周病学会と歯周病学会の 2 つがありまして、多分、そちらでそれぞれ認定医を作っていると思いますので、そこのデータを見ていただければ多分あるのではないかと思います。
○中野構成員 御発表、ありがとうございました。歯周病も国民病だと認識し、受診の重 要性も感じているところです。私が少し気になりましたのは、有所見率が 8 割弱というこ とで、歯周病や顎関節症を考えたときに、全員が医療機関受診するというのは難しいと思 っております。先ほど、顎関節症で、お仕事を辞めると治ったという可逆性のお話もあっ たのですが、イメージとしては、重症者は手術というイメージが顎関節症に対してあるの ですが、治療の段階のようなものがあれば教えていただきたいと思います。 あと、15 ページ、19 ページの質問票ですが、特に医療を必ず受けなければいけない重 症者に対して、カットオフできる感度や特異度的の検討されたバリディティのある質問票 は、現在あるのかどうか教えていただけたらと思います。
○山本参考人 顎関節症の治療ガイドというのは、一般社団法人の顎関節症学会というの がありまして、そちらのほうに確かあったかと思います。その中では、まずは、かかりつ けの先生が診るということで、それで 3 か月ぐらいたっても症状が改善しない場合には、 やはりそれぞれの専門医の先生方に診ていただくほうがいいと思います。それから、手術 という対応は、多分ないと思います。あくまでも、まずはカウンセリングをしながら口の 開き具合を確認する。それから雑音が減るのを見るという形で、観察をしながらやってい くというのが、ごく一般的な方法かと思います。それと、もう 1 つは、マウスピースなど をして矯正的に口の開く位置関係を変えていく、そういった装置を作りながら様子を見て いくという方法を行っているかと思います。 ○田座長 ありがとうございます。中野先生、いかがでしょうか。 ○中野構成員 治療方法を教えていただきましてありがとうございます。重症の、医療を 受けなければいけないような方を抽出できる、皆さんが認識された質問票というのはあり ますでしょうか。 ○田座長 山本先生、お願いいたします。 ○山本参考人 こちらに書いてある論文のようなものはあるのですが、標準的な方法での ものは見てないです。 ○中野構成員 ありがとうございます。そういうものも学会で作っていただけたら有り難 いなと思って聞いておりました。よろしくお願いいたします。 ○田座長 ありがとうございました。そのほかにございますか。星野構成員、お願いい たします。 ○星野構成員 いろいろな御説明をありがとうございました。私の理解が及ばなかったの かなと思ったのですが、国民生活基礎調査だと、予防的歯科受診が 50%ということですか
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○山本参考人 予防的な歯科受診ではありません。あくまでも歯科の受診なり、あるいは 健診をそれぞれ合わせた形での数字になっていますので、予防的な健診がどれぐらいある かというのは、かなり少ない数字になると考えております。 ○星野構成員 御回答、ありがとうございます。治療にしろ、予防にしろ、それを合わせ たのが 50%で、ただ、住民健診で受けてらっしゃる方は 5%という。この数字のギャップ が何なのだろうと思いながら聞いていたのですが。変な話をすれば、国民の 50%は何ら かの歯科にはかかっていますよということで、いろいろな健診の受診率は低いけれども、 ある程度カバーされつつあるという理解でいいのでしょうか。 ○田座長 山本先生、お願いいたします。 ○山本参考人 逆に言うと、50%の方は全く関わりをしない、過去 1 年間に歯科健診も歯 科診療所への受診もないということになっていますし、他のどの調査を見ても同様の結果 がみられます。 ○星野構成員 ありがとうございます。そうすると、今回、このように健診に歯科の項目 をという話にはなりましたが、ただ、現状でも半数は対応できているという理解でいいわ けですか。 ○山本参考人 国民全体で見ると、そうです。労働者の方がどれくらいかというところに なると、そこは少し、また疑問があると思います。 ○星野構成員 ありがとうございます。 ○田座長 ありがとうございました。構成員の先生から、大体御意見、御質問が出尽く していると思いますが、まだ少しお時間がありますので、この健診項目を検討する際の要 件や着眼点というのは、先ほど鈴木構成員からもお話が出ておりましたが、資料 1 の 3 ペ ージに出ております。こちらに挙げてある項目に関して、構成員の先生方から、更に確認 が必要なことなどがございましたら、是非御質問いただければと思います。 健診項目について、業務起因・業務増悪についてもお話が出ておりました。事後措置に ついては、就業上の措置というよりも、受診行動につなげていくという形のお話が出てお りました。検査の目的、対象、方法について、検査の方法は簡易の検査なども出ておりま した。あと、検査の精度、有効性、基準値については、検査キットの問題のお話が出てお りました。その他、巡回健診のこと、労働者全員に対して実施可能であるのか、費用面の こと、健康情報の把握についてありますが、今のところ御質問が出ていない点について、 何か構成員の皆様から御意見等はありますか。立石構成員、お願いいたします。
○立石構成員 どこに入るのか分からないのですが、事後措置について、健診の結果だけ で事後措置することは一般的には余りなくて、精密検査をした上で、その結果、何らかの 事後措置をするということが基本になるかと思います。今日の議論でも出てきたのですが、 健診に入れるということは、必ずその精密検査を受けられる受け皿があるかどうかが大事 な項目で、特に健康診断を法律に入れるということになりますと、日本全国津々浦々の全 ての所で精密検査が受けられる環境があることが恐らく大前提になるのではないかと思い ます。場合によっては、この事後措置の所にそういう項目もあったほうがいいのではない かということを、今までの議論を聞いていて思いました。 というのは、女性の健康管理の問題などでも、健診の会場だけで判断するのはやはり容 易ではないのではないかと。その後の精密検査の受診等も必要になって、そこから事後措 置にどうつなげるかということが少し整理されたところがありますので、事後措置をする に向けて、精密検査を受けられるような医療体制がきちんと整備されているかどうかとい うところも、項目として一つ挙げたほうがいいのではないかということを思っている次第 です。以上です。
○田座長 武藤構成員、お願い いたします。 ○武藤構成員 1 つ追加で、問診に関することなのですが。もともと特定健診の項目にも あります「何でも噛むことができる」という質問があります。こちらは特定健診でもそう なのですが、問診で聞いただけで、有効活用されていないのではないかと思います。新た な問診項目をいろいろ追加するよりも、今ある問診項目をもっと有効活用するほうが、手 間などを考えると効率的なのではないかと思います。 ○田座長 ありがとうございます。山本先生、いかがでしょうか。
○山本参考人 ありがとうございます。多分、一番考えられるのは、令和 8 年度から始ま る歯周疾患健診が新しくなるので、その問診項目をこのまま、こちらでも適用するという 形になると、かなり詳細なデータが様々な所で取れるのではないかと思います。自治体の 健診については、これから医療 DX の形で自治体のデジタルデータとして入って行く可能 性がありますので、そういったことを考えると、それが医療費の削減にも、かなりつなが ってくるのではないかと期待をしているところでございます。
○田座長 ありがとうございます。武藤先生、いかがでしょうか。
○武藤構成員 大丈夫です。ありがとうございます。
○宮本構成員 宮本です。実は、自分の所では、この健診の問診の中に、例えば、「歯みがきは、いつしていますか」、「歯間ブラシはフロスを使っていますか」、「歯医者さんに最後にかかってから、どのくらいたっていますか」などと入れているのですが、それを何かに使うというよりは、この問診を入れることで啓発しているというつもりがありまして、それで医者に行けというと、それだけでは分からないので、そういうふうにしないと いけないのだろうと思ってもらうという生活改善につなげられればと思っております。問診をそういうふうに使うのもあるのかなと思った次第なので、先ほどの 8 割の人に医者に 行けというのだと、実際上少し苦しいかなと思うので、何か現実的な方法があればなと思っているところです。 もう 1 つは、今、立石構成員が言われました事後措置です。先ほどもありましたが、例えば、この状態になったら暑熱作業は駄目だとか、何か就業制限にかかる、何か、かなりの確率でやめたほうがいいというリコメンドするような、病態なり疾患というのがあるのかというところを教えていただければと思います。 ○田座長 山本先生、お願いいたします。 ○山本参考人 例えば、先ほど御紹介があったように、顎関節症は、非常にストレス等が 強い方の場合には就業制限といったものがあったほうがいいのではないかと思いますが、歯周疾患に関しては、すぐに就業制限があったほうがいいと考えるのは非常に難しいかと思います。ただ、急性症状があるといったようなときに、それでも仕事に出なければいけないというのは問題だと考えますので、そういったときには、やはり就業制限があっても いいのではないかとは感じています。 ○田座長 ありがとうございます。宮本先生、よろしいでしょうか。 ○宮本構成員 ありがとうございました。急性症状があったら、多分、健診ではないと思 うので、無症状の人を拾うというところだと思っております。ありがとうございました。 例えば、問診をそういうふうに啓発に使うということについてのお考えも教えていただ ければと思います。 ○山本参考人 先ほど先生から御紹介のあった所は非常に重要で、例えば、フロスや歯間ブラシといったものは、我々は使ったほうがいいと教育はしていますけれども、実際問題 としては、ほぼ使われていないというのが現状でございます。そういったところでは非常に大きな効果があるのではないかと思っています。 ○宮本構成員 ありがとうございます。
○鈴木構成員 宮本先生の御発言を正しく理解できていなければ御指摘いただきたいので すが、問診項目もやはり業務起因・業務増悪の視点で検討すべきと考えております。他の 方策、本日も自治体の歯周疾患検診の受診率が低いというお話がありましたが、自治体検 診の受診率の向上に取り組むことが本来の姿であり、私傷病が幅広くある中で、問診に入 れて気付きを促せばよいという考え方には、私自身は慎重な立場ですので、一言申し上げ たいと思います。○山本参考人 先ほど、鈴木先生から、自治体健診の受診率を上げればいいのではないか という御指摘がございました。確かに先生がおっしゃるとおりですが、地域職域の連携と いうことが掲げられているわけですが、事業場のほうから、そういった問合せがなかなか ないという現状がございますので、その辺については、経団連さんのほうでも少し考えて いただければと思っております。以上です。

○大野中央労働衛生専門官 ありがとうございます。次回の検討会の日程につきましては、 事務局から改めて御連絡さし上げたく思います。以上です。
○田座長 ありがとうございます。それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきま す。お忙しい中、御参集いただきましてありがとうございました。また、山本先生、お忙 しい中、ありがとうございました。

次回は新たに「第374回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 資料」からです。

労働基準関係法制研究会 第13回資料 [2024年11月06日(Wed)]
労働基準関係法制研究会 第13回資料(令和6年9月11日)
議題  労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43475.html
◎資料1 労働時間、休憩、休日及び年次有給休休暇
○最長労働時間規制について
・問題の所在
→@ 法定労働時間(1日8時間・週40時間)、時間外労働時間の原則的上限(月45時間・年360時間)、時間外・休日労働時間の上限 (年720時間・月100時間未満・複数月平均80時間)について、過労死防止・健康確保、ワークライフバランスの確保、労働者のキャリアアップなど重層的な意義があると考えられる中で、時間外・休日労働の上限規制の導入後の状況等を踏まえ、上限規制の在り方についてどのように考えるか。また、法定労働時間週44時間の特例措置について、特例対象業種の実態も踏まえどのように考えるか。 A 時間外・休日労働の上限規制以外の手法として、時間外・休日労働時間等の企業外部への情報開示など市場誘導的な手法により短縮 を図ることや、企業内部への情報開示により自主的な短縮を促すことなど、ソフトローでその短縮等を図ることについてどのように考えるか。 B 管理監督者等の規制の適用除外や、みなし労働時間制、裁量労働制、高度プロフェッショナル制度といった特別規制について、相互の関係を含め、その在り方についてどのように考えるか。各制度の健康・福祉確保措置等について見直しを行う必要があるか。特に、 管理監督者について、適用要件をより明確化することや、裁量労働制、高度プロフェッショナル制度のような健康・福祉確保措置を導 入する必要性について、どのように考えるか。 C テレワークの普及により、相当程度自宅で働いたり、日によって事業場で働いたり自宅で働いたりといった働き方も広くみられるようになってきた中で、こうした働き方によりふさわしい労働時間制度としてどのようなものが考えられるか。フレックスタイム制度や みなし労働時間制など緩やかな時間管理の下でテレワークを行えるようにすることについて、どのように考えるか。

・前回(第10回・第11回)の議論↓
<時間外・休日労働時間の上限規制>→3論点あり。
・ もう少しマイルドな手法として「多様な正社員」の議論のように、契約で対応する形は今はあり得ると思う。
<法定労働時間週44時間の特例措置>→法定労働時間週44時間の特例措置は、基本的に週40時間にしていくべきであると考えるが、支障のある業種についてどう考えるか。
<企業による労働時間の情報開示>→9論点あり。・情報開示については、積極的に義務化していくべき。現在、いくつかの法律で求めている情報開示の仕組みがあるが、見やすさ・わか りやすさの観点からは、統一した基準を作って一つの表にまとまったものがあると良いと思う。
<実労働時間規制が適用されない労働者に対する措置>→2論点あり。・例えば、管理監督者に対して特別の長期休暇を取れるようにするとか、そのような処遇が可能になるくらいの時間的裁量を持っている 人を管理監督者として認める要件にする等の方向性もある。管理監督者自身の健康確保やワーク・ライフ・バランスへの懸念だけでは なく、現在では若い人が管理職になりたがらないという社会問題もある。管理監督者の規制・中身の見直しは必要。
<テレワーク等の柔軟な働き方>→6論点あり。・テレワークのみなし労働時間制の本人同意の撤回について、実際に撤回したときに、厳格な実労働時間の把握がなされプライバシーが 侵害されるとか、在宅勤務を望んでいたのに、在宅勤務を認められず出社を求められるようになるとか、実質的には撤回を選択できな いということになりかねないということで、実効性がある仕組みをどう考えるか。

○労働からの解放の規制について
・問題の所在
→@ 法定休日制度について、現行の変形週休制においては相当長期間にわたって勤務させることが可能であることや、36協定の休日労働 について日数の上限規制が設けられていないことについて、どのように考えるか。 A 休日の特定について、現行法令上定めはないが、時間外労働の上限(月45時間・年360時間・年720時間)には休日労働時間が含ま れないこと、時間外労働と休日労働とでは割増賃金率が異なること、週休2日制が普及していること等を踏まえ、どのように考えるか。 B 勤務間インターバル制度について、現在は努力義務であり、導入企業割合も6% (※)に留まっている中で、制度の導入促進のため にどのような手法が考えられるか。諸外国のインターバル制度はどのような形になっているか。また、つながらない権利の在り方等に ついて、どのように考えるか。(※)導入割合等については第10回・第11回資料p.32〜34を参照。 C 年次有給休暇制度について、取得促進のための取組や、時季指定義務、時間単位取得の在り方、法定労働時間との関係等についてど のように考えるか。 D 休憩について、8時間を大幅に超えて長時間労働をする場合であっても労働基準法上の休憩は1時間であることや、一斉付与の原則 の在り方について、どのように考えるか。

・前回(第10回・第11回)の議論↓
<休日制度>→4議論点あり。
・13日を超える連続勤務というのは、疲労回復がかなり難しくなってくる。予防という観点では、週に1回の休日というのが理想である と思うが、せめて2週間に1回というのが、妥当なところではないか。
<休日制度(法定休日の特定)>→5議論点あり。・法定休日を特定した場合の振替えの議論は、法定休日の変更という問題でもあり、それについてどのような要件で認めるか等も法規律の在り方としては検討が必要。
<勤務間インターバル制度>→6議論点あり。・理想として11時間という考え方がある一方、現実論は別途考える必要がある。どのような設定にすれば受け入れやすい形となるか、検 討する余地がある。
<つながらない権利>→2議論点あり。・つながらない権利について、フランス等で先進的な事例があるものの、会社が違えばつながらない権利の具体的な形もそれぞれ違うと いうくらいに、非常に多様。このため、労使できちんと協議することを義務付けている。基本的には労使で、労働実態を踏まえてきち んと協議をし、ルールを定めて具体的に実現するようにすることとするしかないのではないか。
<年次有給休暇制度>→8議論点あり。・1年間にどのくらい休んでいるかという実態を見たときに、例えば日本は諸外国と比べて祝祭日が多いとか、実際に休んでいる日数で 比較することが有益ではないか。
<休憩>→7議論点あり。・常識的な範囲における使用者の休憩配慮義務のようなものは、労働契約法上、想定しても良いかもしれない。

○割増賃金規制について
・問題の所在
→@ 割増賃金規制の在り方について、労働者への補償と長時間労働の抑制の趣旨を踏まえ、どのように考えるか。 A 副業・兼業の場合の割増賃金について、企業側の負担や労働者への補償、諸外国の状況などを踏まえ、通算管理の在り方をどのよう に考えるか。

・前回(第10回・第11回)の議論↓
<割増賃金>→6議論点あり。
・割増賃金の計算の基礎となる「通常の労働時間又は労働日の賃金」の考え方がはっきりしていない部分がある。立法による対処ではな いかもしれないが解釈の整理は必要 。
<割増賃金(副業・兼業の場合の通算管理)>→8議論点あり。・兼業副業の場合の健康管理のための実労働時間の通算は重要で、各企業が働きかけるべきだということはそのとおりであるが、労働時 間の情報を集める仕組みもなく、労働者本人の自発的な範囲で減らしてくださいと言ったことをもって安全配慮義務を満たせるのかということについては疑問であり、整理が必要。

○(参考)「これまでの議論の整理」(第6回労働基準関係法制研究会資料)(抄)
1 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
→本研究会では、労働基準法における労働時間の規制を以下の3つに大別し、それぞれについて趣旨目的と、どのように管理 (規制)すべきか検討してきた。 @ 最長労働時間規制⇒労働時間規制は、法定労働時間を超える労働を制限し、法違反に対しては罰則を科す強行法規となっている。現行法では、法 定労働時間、36協定による時間外・休日労働、36協定の特別条項により認められる上限までの時間外・休日労働と段階を持っ て設けられている。 A 労働時間からの解放の規制(労働解放時間)⇒これは、休憩・休日・年次有給休暇・勤務間インターバルといった「労働から解放された時間」の考え方である。労働者の健 康確保、心身の疲労回復や気分転換、仕事と生活との両立のために必要なものとなる。 B 割増賃金規制⇒これは、時間外・休日・深夜の労働の抑制と、それらの労働をした場合の補償のため、使用者に通常の賃金に割増を設け、負 担を求めるものとなる。
1−1 最長労働時間規制
(1)時間外・休日労働時間の上限規制
【働き方改革関連法の施行後の評価に関する意見】→2意見あり。
・働き方改革で導入した時間外・休日労働時間の上限規制は、全体の労働時間の縮減に一定の効果を示しているという意見があった。
【今後の議論の方向性に関する意見】→5意見あり。・労働基準法による強行法規での規制のみならず、企業による情報公表など市場誘導的な手法も含めて議論すべきという意見があっ た。

(2)労働時間の意義等
【今後の議論の方向性に関する意見】→10意見あり。
具体的な規制を考える際は、罰則付きの強行法規である労働基準法に馴染むもの、労働契約の中で定め、民事上義務関係を構築す るもの、指針やガイドライン等を示し、企業の自主改善を促すものなど、ハードローとソフトローの役割分担や、シンプルで理解し やすいものにすることについても留意する必要があるという意見があった。

(3)裁量労働制・高度プロフェッショナル制度・管理監督者等
【今後の議論の方向性に関する意見】→6意見あり。
健康確保に関して、企業が内部の労働者に対して積極的に情報開示を行う仕組みや、労使が労働者の健康確保に向けた改善案を自 発的に議論する場作りを後押しすることを検討すべきという意見があった。

(4)テレワーク等の柔軟な働き方
【働き方改革関連法の施行後の評価に関する意見】→2意見あり。
テレワーク中の労働時間管理は、厳格にやっているところもあれば緩やかなところもあるところであり、緩やかな管理は労働者に とって利益がある場合もあり得るため、始業・終業時間の把握や、中抜け時間や始業が遅れた場合の取り扱いなどを、より実態に合 わせやすいものとしていくことが求められるという意見があった。
【今後の議論の方向性に関する意見】→4意見あり。緩やかな時間管理の中でテレワークを行い、中抜け等もある中で、客観的な労働時間がどこまで測定できるかという意見があった。 また、一定の健康確保措置を設けた上で、労使合意で労働時間を定めていくことも考え得るのではないかという意見もあった。

(5)法定労働時間週44時間の特例措置
【今後の議論の方向性に関する意見】→2意見あり。
・理美容業界など、業種に特徴的な労働時間の実態もあることから、業種による状況の違いを把握しつつ、一般原則を適用する方向で検討すべきという意見があった。

1−2 労働時間からの解放の規制↓
(1)法定休日制度
【今後の議論の方向性に関する意見】→4意見あり。
・疲労回復の程度は休養のタイミングと量に依存するため、週に1回は休日が必要という目安としてのルールは必要という意見が あった。
(2)勤務間インターバル制度
【働き方改革関連法の施行後の評価に関する意見】→2意見あり。
・インターバルの時間は科学的にみて11時間を基本に考える方向ではないかという意見があった。また、勤務間インターバルの本来の形は、休息時間が確保されるような終業時刻を維持する(時間外労働を減らす)ことであり、始業時刻を動かすことではないことに留意するべきという意見もあった。
【今後の議論の方向性に関する意見】→5意見あり。・深夜勤務は、常態的に行う場合も不規則に行う場合も健康に影響がある。不規則勤務労働者の健康を確保するため、インターバル を保つ規制をすべきではないかという意見があった。

(3)年次有給休暇制度について
【働き方改革関連法の施行後の評価に関する意見】→2意見あり。
・年次有給休暇の時間単位取得については、労使双方にニーズはあるが、制度の本来の趣旨や、労働者の心身の疲労回復効果の面か らは疑問があるという意見があった。また、時間外労働時間の計算との関係も整理が必要であり、拡大には慎重な議論が必要という 意見があった。
【今後の議論の方向性に関する意見】→5意見あり。・時間単位年休では、法定休日・法定労働時間との関係を整理した上でその取り扱いを検討してはどうかという意見があった。

(4)休憩について
【今後の議論の方向性に関する意見】→3意見あり。
・休憩時間は、6時間労働につき45分、8時間労働につき1時間という規定があるのみであるため、もっと労働時間が長い場合にこ のままで良いかという意見があった。勤務間インターバルがあれば良いが、義務化が難しい中で休憩時間をどうするかも検討すべき という意見があった。

1−3 割増賃金規制↓
(1)割増賃金の趣旨・目的
【働き方改革関連法の施行後の評価に関する意見】→1意見あり。
・割増賃金は、時間外・休日・深夜の労働の抑制と、それらの労働をした場合の補償をその趣旨とするものであるが、実情として時 間外・休日・深夜の労働は広く行われ、割増賃金による抑制効果が十分に発揮されていなかったため、上限規制が設けられるに至っ たと考え得るという意見があった。また、深夜労働の割増賃金は、労働強度が高いものに対して補償的な性質があるが、健康管理の 観点からは、危険手当のような位置づけではないかという意見もあった。
【今後の議論の方向性に関する意見】→3意見あり。・割増賃金の過重労働への補償という趣旨に着目するならば、処遇の問題でもあり、ある程度労使自治に任せても良いのではないか という意見があった。

(2)副業・兼業の場合の割増賃金
【働き方改革関連法の施行後の評価に関する意見】→2意見あり。
・労働者の保護の観点からも請負ではなく雇用での副業・兼業をやりやすくする検討をすべきという意見があった。
【今後の議論の方向性に関する意見】→4意見あり。・ヨーロッパの主要国でも、割増賃金について労働時間通算を行う例はないことからも、見直しが必要という意見があった。

次回は新たに「第71回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」からです。

労働基準関係法制研究会 第12回資料 [2024年10月28日(Mon)]
労働基準関係法制研究会 第12回資料(令和6年9月4日)
議題 労働基準法上の「労働者」、「事業」及び労使コミュニケーションに ついて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43280.html
◎資料1 労働基準法上の「労働者」について
○労働基準法第9条の労働者の定義について
・問題の所在
→今日の課題は、もっぱら個別の働く人が「労働者」に該 当するかどうかの当てはめとなっている。これは国際的にも同様で、欧米においても「労働者」の基本的な定義を維持しつつ、個別のプラットフォームワーカー等が「労働者」の定義に当てはまるかどうかの判断を明確化しようとしている。 こうしたことも踏まえ、労働基準法第9条に定める「労働者」の定義自体について、どのように考えるか。
・前回(第8回)の議論→労働者概念が多様化している中で、基本的な法律上の定義を直ちに変えている国はほとんど無いこと、また、労働基準法第9条には事 業に使用され、賃金を支払われる者という必要な内容が適切に示されていることから考えて、直ちに労働基準法第9条の労働者の定義 の改正を行わなければならないという認識ではない。

○昭和60年労働基準法研究会報告等について
・問題の所在
→プラットフォームワーカーについては、プラットフォームを介するという契約関係の特徴があり、役務の提供の実態を踏まえた検討が求められる。これらのことを踏まえ、 @昭和60年判断基準をどのように扱うべきか、 Aプラットフォームワーカーなど個別の職種に関するより具体化した判断基準を作成することが可能かどうかについて、 裁判例などを通じて、国際動向も踏まえながら、検討する必要があるのではないか。そのうえで、契約関係や役務の提供の実態を踏 まえ、労働基準法の「労働者」に当たらないプラットフォームワーカーであっても、労働基準関係法令などにおける特別の取扱いの 必要性についてどう考えるか。
・前回(第8回)の議論
→6点の議論。・受け皿となる法制度をどうするかを踏まえた労働者概念の検討が必要。世界で労働者概念が議論されている背景は、ギグワーカー・プ ラットフォームワーカーの働き方の拡大や訴訟の多発である。法改正をした国もあれば、混迷を極めている国もある。このような状況 なので、「直接契約関係のある人」とプラットフォームを介して役務を提供される人の労働者性をどう捉えるか。

○「労働基準法上の「労働者」」について
・今後の議論・検討の進め方
→労働基準法の「労働者」の判断基準(昭和60年労働基準法研究会報告)等について 今後の議論・検討をどのように進めていくべきか。
・前回(第8回)の議論→6点の議論。・プラットフォームワーカーやフリーランスなど労働者に当たらない場合にも、一定の社会的保護を及ぼすということが重要だというこ とが各国で議論されている。労働者ではない人に対して、健康確保や所得、報酬の保障等の社会的保護を及ぼす場合、そのことが労働 者概念にどう影響するか、しないのか、これについても議論されている。労働者概念の中身をどのように実態の変化に合わせて変えて いくかということと同時に、併せて法制度の在り方としてどういう仕組みにするかということを、両方考えないといけない。

○家事使用人について
・問題の所在
→労働基準法制定当初からの状況変化や、家事使用人の働き方の変化を踏まえ、労働基準法を適用する方 向で具体的施策を検討すべきではないか。 検討に当たっては、私家庭に労働基準法上の使用者としての義務や災害補償責任をどこまで負わせることができるか、また、労 働基準法の労働者の定義を引用している関係法令の適用をどうするか、検討が必要ではないか。
・前回(第8回)の議論→4点の議論。・解雇の問題については労働契約法の問題として受けるなど、問題ごとにどう受けるのがベストなのかという話かと思う。労働基準法を 適用するのか、別の法制度を用意するのかと、その両方を見ながら議論というのはあり得るかとは思う。

○(参考)「これまでの議論の整理」(第6回労働基準関係法制研究会資料)(抄)
3 労働基準法の「労働者」について→・・・・・諸外国においても、働き方の多様化、ギグワーカー、プラットフォームワーカーの拡大、AIやアルゴリズムによる労働者管理 のデジタル化などの情勢により、労働者性判断のわかりにくさが増大し予見可能性がなくなりつつある。諸外国では、こうした状 況に対応するため、 @ 個人で役務を提供している者を「労働者である」と推定した上で、それに異論がある場合には使用者に反証を求める方式 (米国カルフォルニア州のAB5)や、 A 具体的な要件を列挙し、そのうちいくつかを満たせば労働者であると推認する方式(2021年12月に欧州委員会から提案さ れた「プラットフォーム労働における労働条件の改善に関する指令案」) が検討されており、本研究会では、こうした国際的な動向を踏まえて検討してきた。
(1)労働者性の判断基準と予見可能性 ↓

【今後の議論の方向性に関する意見】→10意見あり。• 労働者に当たらない人への保護制度をどうするか、労働者の保護制度との連続性をどうするかということが課題という意見が あった。フリーランスの労災保険特別加入に当たっての保険料負担のあり方(企業負担等)、個人のヘルスリテラシーの高め方 等の検討が必要という意見や、ガイドライン等の手法についても検討すべきという意見もあった。• 労働基準法は刑罰法規であることから、強く押しつけると、非労働者化を誘発しかねない、どういう規制で変革を図るのかを同 時に考えないと意図しない結果となりかねないという意見があった。
(2)労働基準法以外の法令の対象範囲 ↓
【今後の議論の方向性に関する意見】→4意見あり。
• 労働基準法と労働安全衛生法、労働契約法、労働者災害補償保険法の労働者の範囲は同じとされているが、 労働安全衛生法は一人親方等に特別な配慮規定を置いている 労働契約法の安全配慮義務は労働者以外にも信義則に基づき拡張適用されている 労働者災害補償保険法は特別加入により一部の自営業者を対象としている など、各法律の対象範囲はそれぞれ検討できるのではないかという意見があった。


◎資料2 労働基準法上の「事業」について
○労働基準法上の「事業」について
・問題の所在→労働基準法上の「事業」の概念は、行政解釈上、「工場、鉱山、事務所、店舗等の如く一定の場所において相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体 をいうのであって、必ずしもいわゆる経営上一体をなす支店、工場等を総合した全事業を指称するものではないこと」。 「従って一の事業であるか否かは主として場所的観念によって決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として分割 することなく一個の事業とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業とすること」。 「また、場所的に分散しているものであっても、出張所、支所等で、規模が著しく小さく、組織的関連ないし事務能力等 を勘案して一の事業という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業として取り扱うこ と」。⇒として整理されている。
労働基準法における「事業」の概念は、次の8つの機能を有していると整理。 問題の所在⇒@「事業」に使用されていない(労働)者については労働基準法が適用されない。 A「事業」の所在地を管轄する労働基準監督署がその「事業」につき監督権限等を行使する。 B「事業」が日本に存在しない場合は、その「事業」には労働基準法の適用が及ばない。 C「事業」の種類・規模によって規制内容が異なる場合がある。 D「事業」により使用者の義務内容が場所的に画定される場合がある。 E「事業場」の外での労働について特別の規制が設けられている場合がある。 F労働基準法第116条第2項で「同居の親族のみを使用する事業」が適用除外とされている。 G労働安全衛生法や最低賃金法も同様な適用の仕組みを採用している。
上記を踏まえ、法の適用単位等をどのように考えるか。
・これまでの議論
→10意見あり。• 各事業場の過半数代表者を本社等に集めることにより、過半数代表者同士の横のつながりを含めた労使コミュニケーションの実質化が 期待できるのではないか。将来的には、手続等の企業単位化及び現行の労使委員会や衛生委員会等の労使の会議体との融合を検討して いく必要があるのではないか。

○(参考)「これまでの議論の整理」(第6回労働基準関係法制研究会資料)(抄)
2 労働基準法の「事業」について→@〜Gまでが事業所。
【今後の議論の方向性に関する意見】
→・事業」の概念を検討するに当たっては、 ・「事業」とは場所的概念か ・現行の行政解釈を維持するか。維持するとして、労働者の所属事業場の判定に課題がないか(テレワークなど) ・「事業場」の中で事業主の権限行使や義務履行が完結しない場合をどう考えるか といった視点に立ち、法の適用単位等を検討すべき。・事業場単位を原則とし、 指導の有効性や届け出の効率化の観点から、企業単位化が妥当か検討すべき。・例えば、「人」に関することは企業単位、「場所」や「行動」、「物」に関することは原則事業場単位で考えるとよいのでは ないかという意見。 ・ 労働基準法は刑罰法規である。刑罰対象としての「使用者」をどのように考えるか。刑罰法規としての労働基準法と、私法上 の権利義務関係の観点から考える必要があるという意見があった。

○(参考)新しい時代の働き方に関する研究会 報告書(抄)
第2 新しい時代に対応するための視点 (これまでの労働基準法制の特徴と課題)
【現行法のかたち】
→物理的な「事業場」が規制の単位となっている。就業規則の作成や、36協定などの労使協定の締結などについては、各事業場に多様な職種や雇用形態の労働者がいる場合、あるいは同一の労働条件が適用される事業場が企業内に複数ある場合であっても、基本的に事業場単位で法を適用する運用がとられている。また、複数の事業場で働く労働者の労働時間の通算については、同一の事業主の下にある事業場の場合も事業主を異にする場合も同様に通算するものと解されている。
【検討課題】→・経済社会の変化の潮流、技術革新等の働き方を取り巻く環境の変化、働く人のニーズの変容により、リモートワークや副業・兼業等、 働く時間や場所が多様化した働き方が拡大するとともに、これらの働き方と従来の働き方とが組み合わされた形での働き方をする者も見られるようになっている。 ・ これにより、労働基準法制が現在適用される「労働者」の枠に収まらない形で働く人、労働基準法制の適用単位となってきた「事業 場」の枠に収まらない形で事業活動を行う企業が増加するなど、労働基準法制が想定していなかった状況が広く現れている。その一方 で、スマートフォンなど情報通信機器の発達により、企業は、働く人の事業場の外における活動についても、相当程度把握できるよう になってきている。 ・ 同じ場所で画一的な働き方をすることを前提としない状況が拡大していることを踏まえれば、これからの企業の雇用管理・労務管理においては、「画一的」なものだけではなく、「多様性を生かす」、そして、主体的なキャリア形成が可能となるような環境を整備することが重要。労働基準法制については、その対象とすべき労働者の範囲や、事業場を単位とした規制がなじまない場合における適用手法も含め、こうした働き方と雇用管理・労務管理の変化を念頭に、その在り方を考えていくことが必要である。
<検討すべきことの具体例>→職種や個人の事情に応じて働き方が多様化していく状況の中で、就業規則の制定単位をはじめとして、労働条件の設定に関する法制適用の単位が事業場単位を原則とし続けることが妥当なのかどうか。


◎資料3 労使コミュニケーションについて
○労使コミュニケーションについて
・問題の所在
→<労使コミュニケーションの意義><労働組合による労使コミュニケーション><過半数代表者について>⇒今日的な労使コミュニケーションの課題と改善方法について、どのように考えるか。
・前回(第9回)の議論→@ 労働組合による労使コミュニケーションについて(• 労働組合による労使コミュニケーションの促進は必要だが、法制的対応は馴染まない。政策的対応が望ましいのではないか)。 A 過半数代表者等の改善・適正化について <過半数代表者の選出手続について>→3点あり。• 労使協定について期間の定めの要否を行政が明確に位置付けることを通じて、通用している労使協定の内容を労働者側に認識させた上 で過半数代表者を選出させ、締結手続に向かわせることが必要。 <過半数労働組合又は過半数代表者となった労働者への支援>→2点あり。• 過半数代表者が意見集約をすべきということをより明確にすべき。そのうえで、意見集約をするためには使用者の配慮が重要になるの で、労使コミュニケーション促進の観点から、過半数労働組合も含め、過半数代表者への配慮や企業側が可能な便宜供与の範囲等について、行政で明確に示す必要があるのではないか。 <過半数代表者の人数>→2点あり。• 労使で実質的な議論を行うことが最も重要。過半数代表者を一人に任せるのではなく、複数選出して関与させることによって、事業場 における過半数代表者の機能が持続的に維持できるのではないか。 <過半数代表者の任期>→2点あり。 • 任期制について、義務化は困難。任期制という選択肢をとることも可能としつつ、労働者の過半数の意思が定期的に表明されるような 一定の制約を設ける必要があるのではないか。 • 現状、過半数代表者として締結した趣旨どおりに労使協定等が運用されているかなどを監視する機能がないため、適正な運用がされて いるかを確認する点も含めて、過半数代表者という制度の仕組みを検討する必要がある。
B 労使協定・労使委員会等の集団化について→4点あり。• 10人未満の事業場など、現行法制上、労働者の意見聴取をする必要がない事業場における労働者の意見集約の在り方等についても、対 応を検討する必要があるのではないか。
C 労働者個人の意思確認について→3点あり。• 労使協定の締結等によるデロゲーションは、労働基準法の定める最低基準を変更するものであり、労働義務に関する手続ではないこと も踏まえつつ、デロゲーション(法律の有効性を部分的に減じること)を行う場合の個人同意の在り方について検討していく必要があるのではないか。

○(参考)「これまでの議論の整理」(第6回労働基準関係法制研究会資料)(抄)
4 労使コミュニケーションについて→・労使が団体交渉してよりよい労働条件を設定するもの(労働基準法制にある最低基準について、労使の合意で例外を認めるもの)。
・4−1 集団的労使コミュニケーションの意義と課題
(1)集団的労使コミュニケーションの意義と課題
【今後の議論の方向性に関する意見】
→8意見。・労働組合などの集団を通じて労働者が声を上げやすい環境であれば、不満を持つ労働者も、企業を辞める(EXIT)のではな く、改善を求める(VOICE)ことを選びやすくなり、企業としても安定的な経営に資するものとなりうるという意見があっ た。また、テレワークの拡大やデジタル化の進展など、労働現場を取り巻く環境が多様化、複雑化している中、国による一 律のルール設定は困難であり、新しく難しい問題ほど、企業に労使コミュニケーションの基盤が作られ、労使自治の中で対 応できることが重要になるという意見もあった。・契約ルールになると労使で話し合うことが望ましいとされていても何も担保されていないので、労働基準法や労働安全衛生法 関係だけでなく、労働契約法の世界でも労使コミュニケーションを位置づけてはどうかという意見があった。
(2)労使協議を行う単位 ↓
【今後の議論の方向性に関する意見】
→8意見。・女性の職業生活における活躍の推進に関する法律などで労働時間の短縮などが情報公開の対象となり、企業がトッ プダウンでコンプライアンスの観点から取り組む必要が生じ、労働行政の実効性が結果として高まって、企業の中 枢が問題を捉えることの意義があったという意見があった。
・4−2 過半数代表者による労使コミュニケーションの課題 ↓
(1)過半数代表者に関する課題 ↓
【今後の議論の方向性に関する意見】
→4意見。• 過半数代表者として何をすべきかが共有されておらず、選出されたとしても意見集約が難しい、ないしできないケー スが多いことから、教育・研修が必要という意見があった。
(2)過半数代表者の選出手続 ↓
【今後の議論の方向性に関する意見】
→5意見。• 職種ごと、雇用形態ごとに手続自体を分けてしまうのは、労働者の分断を生むことから不適当という意見があった。
(3)過半数代表者による意見集約の仕組み↓
【今後の議論の方向性に関する意見】
→2意見。・意見集約自体には監督署等の官署は介入できないため、労働委員会による支援なども検討できないかという意見が あった。
(4)労働者への支援の仕組み↓
【今後の議論の方向性に関する意見】
→8意見。• 労働者側で、「話し合って意見を集約する」ということについての意識が低いのが現状ではないかという意見 があった。また、労使コミュニケーションの意義や、過半数代表者が何を判断し何ができるのか、何に責任を 負うのか、そういったことを広く労働者に教育・研修することが必要という意見もあった。 • 企業主体の教育・研修ではなく、使用者に有利な選出を防ぐ観点からも、教育・研修を担う主体も検討が必要 という意見があった。また、労働者がある程度自主的に学習できるテキストなどがあると良いという意見も あった。
(5)過半数代表者以外の仕組み ↓
【今後の議論の方向性に関する意見】
→7意見。• フランスでは、労使の参加を促すために、労使協議がない場合のデフォルトルールを高く設定して、その柔軟化のために労使で話し 合うことを促すようなルールを作った。これにより、中小企業を含めて「社会経済委員会」を創設させ、労使コミュニケーションを 加速させることを政治主導で行った。 • 日本でも、労使委員会を始め様々な委員会が法制上存在するが、労使コミュニケーションの中でどういう役割を担うのかは検討すべ きという意見があった。小規模事業所を含め、どのような労使コミュニケーションの基盤を作らせ、どの程度の機能を担わせるか、 現実に可能な制度を検討すべきという意見があった。
(6)個別の労使コミュニケーション↓
【今後の議論の方向性に関する意見】
→1意見。個人がどう働きたいかサポートしていく観点から、個別の労使コミュニケーションも重要であるという意見があった。

○(参考)新しい時代の働き方に関する研究会 報告書(抄)↓
第3 新しい時代に即した労働基準法性の方向性(守り方・支え方)
3. 働く人の選択・希望の反映が可能な制度へ
(2)適正で実効性のある労使コミュニケーションの確保↓

・個々の労働者と使用者との間には情報や交渉力の格差があることを踏まえると、集団的労 使コミュニケーションの役割がこれまで以上に重要。この点で、労働者が団結して賃金や労働時間などの労働条件の 改善を図る上で、労働組合の果たす役割は引き続き大きい。
・働く人の仕事の満足度、人間関係、睡眠時間やメンタルヘルスの状況などをアプリ等で直接把握し、雇用管理・労務管理 に活かす企業、 ・経営方針や人事施策等の検討に従業員の意見を反映させ、制度導入後の状況を人事担当が全国の事業所に直接訪問して PDCAに活かす等といった労使対話を行う企業、 ・そのほか、労働組合が組織されていないため、過半数代表者を法定要件を満たすため選出しているが、労使コミュニケー ションを行うにあたっては実効的ではないため、働く人のニーズや就労の状況を企業が労働者と1対1の労使コミュニ ケーションをとることにより把握する企業等があった。
・(略)労働者の多様なキャリア形成のニーズや、拡大する新たな働き方に対応できるよう、労働者とコミュニケーションを 図り同意を得た上で労働時間制度をより使いやすく柔軟にしてほしいという希望も見受けられる。さらに、働き方の個別・ 多様化が進む、非正規雇用労働者が増加する、労働組合組織率が低下する等の状況を踏まえると、企業内等において、多様 な働く人の声を吸い上げ、その希望を労働条件の決定に反映させるためには、現行の労働基準法制における過半数代表者や 労使委員会の意義や制度の実効性を点検した上で、多様・複線的な集団的な労使コミュニケーションの在り方について検討 することが必要である。その際、労働基準法制については、労使の選択を尊重し、その希望を反映できるような制度の在り 方を検討する必要がある。

次回は新たに「「令和5年度使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表します」からです。

労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会第6回資料 [2024年10月12日(Sat)]
労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会第6回資料(令和6年8月21日)
議事 (1)女性の健康に関する事項について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42704.html
◎資料1 一般定期健康診断における女性の健康に関する健診項目について
厚生労働省 労働基準局 安全衛生部 労働衛生課
○女性特有の健康課題に関する質問案に係る第5回検討会での主なご意見@➁
・第5回検討会にて提示した案 ↓
質問32:女性に関連する健康問題(※)で職場において困っていることがありますか。
@はい、Aいいえ、Bどちらとも言えない
質問33:(質問32に「はい」と回答された方)職場において相談したいこと(配慮してほしいこと)がありますか。   @はい、Aいいえ、Bどちらとも言えない
※「女性に関連する健康問題」とは、月経困難症、更年期障害などを指します。

・ 第5回検討会での主なご意見→5意見。大丸1 質問32・33を設定する目的が労働者の気づきを促すことであるならば、事業主に結果が渡るということが分かってしまう と、本人がこの問診を素直に回答するかどうか、非常にハードルが高いのではないか。
大丸1 質問32について→5意見。• 注釈ではなく、「月経困難症、PMS等などで職場において困っていることがありますか」とストレートに聞いてはどうか。
大丸1 質問33について→5意見。• 女性労働者本人が希望する場合には、問診に質問33を設定することにより、職場において配慮してほしいことを、会社の産業医、産 業保健スタッフなどに情報を伝達することで具体的な解消につなげるほうが良い。 • 「更年期症状で職場において困っていることはありますか」と質問することで、男女区別せずに回答する形が良いのではないか。

○「一般健康診断問診票」改訂案について@〜A
1 第5回検討会までの意見等を踏まえ、「一般健康診断問診票」における女性特有の健康課題に関する 質問の目的、具体的プロセスについて、どのように考えるか
(以下に事務局案を提示)。↓
(1) 目的(案)
→ア 労働者:月経困難症、月経前症候群、更年期障害等への気づきと、必要に応じての早期受診を促す。 イ 事業者:女性特有の健康課題を抱える職場環境整備への気づきを促す。
(2) 具体的プロセス(案)↓
@健診機関(健診担当医・健診を実施する産業医を含む。)は、委託契約等に基づき健診を実施。→事業者が健診の実施・委託の決定を行う際に、事業者は、どのような女性特有の健康課題に関する質問を入れるのか、どのような結果を健診機関から提供を受けることとするのかを含めて決定する。
A健診機関は、上記@に基づき、労働者に問診票を配布する。→厚生労働省は、健診担当医による円滑な問診の実施を促すため、法定外(任意)である「一般健康診断問診票」を改訂し、第5回検討会で提示した質問32のように、女性特有の健康課題に関する質問を示すこととする。 なお、上記(1)の目的(案)を満たし、労働者に理解しやすい質問とする。
B労働者は、配布された問診票に回答し、その回答結果を健診機関に提出する。
C健診担当医は、必要に応じて、労働者個人に女性特有の健康課題に関する情報提供、婦人科等の医師の受診勧奨等 を行う。→健診担当医は、問診票に沿って、労働者個人に女性特有の健康課題に関する確認を行うほか、必要に応じて、 適宜、追加質問を行い、労働者個人への情報提供、受診勧奨の要否等を判断する。 厚生労働省は、健診機関への情報提供、健診機関が活用できるツール(リーフレット等)を作成する。
D労働者は、健診担当医からの受診勧奨等を踏まえ、婦人科等の医師を受診する。
E婦人科等の医師は、上記Dにより受診した労働者に対して、診断の結果、就業上の助言等を行う。
F健診機関は、上記@に基づき、事業者に女性特有の健康課題に関する質問の結果を提供する。⇒ 以下の論点に ついて、議論が必要ではないか。
G事業者は、必要に応じて、産業医等(産業保健総合支援センターの活用を含む)に相談
する。→事業者は、女性特有の健康課題に関する質問の結果を踏まえ、女性特有の健康課題に対応するために、職場 環境整備に向けた取組みについて検討。事業者が女性特有の健康課題のために行うことが望ましい対応について、厚生労働省はガイドラインや指針 等を作成することとする。 ※事業者は、産業保健の枠組みを活用し、医師等による健康相談等を行うほか、労働者からの申出への対応等を行う。

<論点>(上記Fに係る論点)→上記(1)の目的(案)を達成するため、健診担当医(健診を実施する産業医を含む)から事業者に情報提供さ れる内容(集計結果、労働者個人の情報・要望、情報なし等)、方法(事業者が決定、労働者が決定、両者で協議 して事業者ごとの決定等)について、どのようにあるべきなのか。加えて、この情報提供が行われる場合には、労働者個人のプライバシーの保護や健診担当医の負担増の可能性について、どのように配慮すべきであるのか。
2.その他
<論点>男性更年期障害については、医学的知見や産業保健の課題等を踏まえ、どのように考えるのか。

○女性特有の健康課題に関する問診流れ図(案)→@〜Gまでの流れ図。 参照。


◎参考資料1労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会開催要綱
1 目的
→ 労働安全衛生法に基づく一般健康診断については、平成 28 年に、「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」において各診断項目等の妥当性等について検討されたが、近年及び今後の労働者の健康を巡る情勢としては、急速に進む高齢化の中、職業生活が長期化してきているとともに、女性の就業率の増加に伴って、女性の健康課題への対応の重要性が一層高まっている。また、前回の検討以降、 健康診断についての医学的知見が集積されてきている。 こうした中、政府の規制改革実施計画(令和5年6月 16 日閣議決定)では、定期健康診断について、最新の医学的知見や社会情勢の変化等を踏まえ、医学的知見等に基づく検討の場を設け、検査項目(検査頻度を含む。)及び検査手法について所要の検討を行い、令和6年度に結論を得ることとされた。 また、「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2023(女性版骨太の方針 2023)」(令和5年6月 13 日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定)では、「事業主健診(労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断)に係る問診に、月経困難症、更年期症状等の女性の健康に関連する項目を追加する」とされ、「経済財政運営と改革の基本方針 2023(骨太の方針 2023)」(令和5年6月 16 日閣議決定)では、 「女性版骨太の方針 2023 に基づき、(中略)事業主健診の充実(中略)等により女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会を実現する」とされた。 こうした状況を踏まえて、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等につい て、検討することとする。

2 検討内容→(1)最新の医学的エビデンスに基づく現行の一般健康診断の検査項目等の妥当性について (2)労働者の健康課題の変化を踏まえた一般健康診断の検査項目等について (3)その他関連する事項について
3 構成 (1)本検討会は、厚生労働省労働基準局安全衛生部長が、別紙の構成員の参集を求めて開催。 (2)本検討会には座長を置き、議事を整理する。 (3)座長は、座長代理を指名することができる。 (4)本検討会には、必要に応じて別紙に掲げる構成員以外の関係者の出席を求めること ができる。
4 検討会の運営 (1)〜(3)この要綱に定めるもののほか、本検討会の運営に関し必要な事項は、会議において 定める。

○別紙 労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会
・構成員名簿→20名。


◎参考資料2 第5回労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会議事録 ↓
○大野中央労働衛生専門官:第 5 回「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の項目等に関する検討会」を開催。
○田座長:、本日の議題は「女性の健康に関する事項について」。お手元に資料1、2 があります が、事務局から資料 1、続けて資料 2 の説明をお願いいたします。
○大村産業保健支援室長:スライド説明。
・健診の機会を活用し、労働者本人への気付きを促し、必要な場合の早期受診のほか、女性の健康課題に対する配慮を申し出やすい職場づくりにもつながるよう、一般健康診断問診票に女性の健康に関する質問を追加してはいかがか。
・「女性版骨太の方針 2024」、働く女性の月経、妊娠・出産、更年期等、女性のライフステージごとの健康課題に起因する望まない離職等を防ぎ、女性が活躍し、また、健やかで充実した毎日を送ることができるよう、プライバシーに十分配慮。・健診の実施に関する課題。・・・・・・・以下資料1に関する構成員とのやり取り。・啓発や研修については事業場が行うこと。
・資料2の説明はこの資料1の通り。構成員との質問・意見等あり。特に以下の部分↓
○森構成員:私自身も全体像が逆に見えなくなって、今、混乱しています。恐らく 1 度、フロー図を作って、ここはつながらない、さすがにこれをやって健診機関は無理だなどわかるものを前提に、共通理解のもとに議論がと ても苦しいなという感じがしています。そのお願いだけです。
○田座長 恐らくそうしないと、話がまとまらないと思いますので、ここは事務局と検 討させていただいて、また改めて分かりやすい資料提示をさせていただきたいと思います。
(終了)


◎参考資料3 一般健康診断問診票(第1回検討会参考資料3抜粋)
○一般健康診断問診票→質問項目1〜31まで。回答項目もあり。
○健康診断等に関する法令等について
1. 労働安全衛生法(抄)
→(健康診断)(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)(健康診断実施後の措置)(健康診断の結果の通知)(保健指導等)(健康診査等指針との調和) 参照こと。
2. 労働安全衛生規則(抄) →(雇入時の健康診断)(定期健康診断)(特定業務従事者の健康診断)(海外派遣労働者の健康診断)(給食従業員の検便)(歯科医師による健康診断)(健康診断の結果の通知) 参照こと。
3. 厚生労働省告示
  労働安全衛生規則第四十四条第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準

4. 健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針
1 趣旨
→産業構造の変化、働き方の多様化を背景とした労働時間分布の長短二極化、高齢
化の進展等労働者を取り巻く環境は大きく変化してきている。その中で、脳・心臓疾患に
つながる所見を始めとして何らかの異常の所見があると認められる労働者が年々増加し、
5割を超えている。さらに、労働者が業務上の事由によって 脳・心臓疾患を発症し突然死
等の重大な事態に至る「過労死」等の事案が多発し、 社会的にも大きな問題となっている。
このような状況の中で、労働者が職業生活の全期間を通して健康で働くことができるよ
うにするためには、事業者が労働者の健康状態を的確に把握し、その結果に基づき、医
学的知見を踏まえて、労働者の健康管理を適切に講ずることが不可欠である。そのため
には、事業者は、健康診断(労働安全衛生法(昭和 47 年法 律第 57 号)第 66 条の2
の規定に基づく深夜業に従事する労働者が自ら受けた健康診断(以下「自発的健診」と
いう。)及び労働者災害補償保険法(昭和 22 年法 律第 50 号)第 26 条第2項第1号
の規定に基づく二次健康診断(以下「二次健康 診断」という。)を含む。)の結果、異常
の所見があると診断された労働者について、当該労働者の健康を保持するために必要な
措置について聴取した医師又は歯科医師の意見を十分勘案し、必要があると認めるとき
は、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深
夜業の回数の減少、昼間勤務への転換等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施
設又は設備の設置又は整備、当該医師等の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会
(以下「衛生委員会等」という。)又は労働時間等設定改善委員 会(労働時間等の設定
の改善に関する特別措置法(平成4年法律第 90 号)第7条 第1項に規定する労働時間
等設定改善委員会をいう。以下同じ。)への報告その他の適切な措置を講ずる必要があ
る(以下、事業者が講ずる必要があるこれらの措 置を「就業上の措置」という。)。 ま
た、個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号)の趣旨を踏まえ、 健康診
断の結果等の個々の労働者の健康に関する個人情報(以下「健康情報」と いう。)につ
いては、特にその適正な取扱いの確保を図る必要がある。
この指針は、健康診断の結果に基づく就業上の措置が、適切かつ有効に実施さ れるため就
業上の措置の決定・実施の手順に従って、健康診断の実施、健康診 断の結果についての医
師等からの意見の聴取、就業上の措置の決定、健康情報の 適正な取扱い等についての留意
事項を定めたもの
である。
2 就業上の措置の決定・実施の手順と留意事項  (1)健康診断の実施 (2)二次健康診断の受診勧奨等 (3)健康診断の結果についての医師等からの意見の聴取 (4)就業上の措置の決定等 (5)その他の留意事項
3 派遣労働者に対する健康診断に係る留意事項 (1)健康診断の実施 (2)医師に対する情報の提供 (3)就業上の措置の決定等 (4)不利益な取扱いの禁止 (5)特殊健康診断の結果の保存及び通知 (6)健康情報の保護

5. 労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき 措置に関する指針
改正 令和4年3月31日 労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い指針公示第2号
1 趣旨・総論
→事業者が、労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)に基づき実施する健康診断等の健康を確保するための措置(以下「健康確保措置」)や任意に行う労働者の健康管理活動を通じて得た労働者の心身の状態に関する情報(以下「心身の状態の情報」)については、そのほとんどが個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号)第2条第3項に規定する「要配慮個人情報」に 該当する機微な情報である。そのため、事業場において、労働者が雇用管理において自身にとって不利益な取扱いを受けるという不安を抱くことなく、安心して 産業医等による健康相談等を受けられるようにするとともに、事業者が必要な心身の状態の情報を収集して、労働者の健康確保措置を十全に行えるようにするためには、関係法令に則った上で、心身の状態の情報が適切に取り扱われることが 必要であることから、事業者が、当該事業場における心身の状態の情報の適正な取扱いのための規程(以下「取扱規程」)を策定することによる当該取扱いの明確化が必要である。こうした背景の下、労働安全衛生法第 104 条第3項 及びじん肺法(昭和 35 年法律第 30 号)第 35 条の3第3項に基づき公表する本指針は、心身の状態の情報の取扱いに関する原則を明らかにしつつ、事業者が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用等について定めたもの。 その上で、取扱規程については、健康確保措置に必要な心身の状態の情報の範 囲が労働者の業務内容等によって異なり、また、事業場の状況に応じて適切に運用されることが重要であることから、本指針に示す原則を踏まえて、事業場ごとに衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「衛生委員会等」)を活用して 労使関与の下で、その内容を検討して定め、その運用を図る必要がある。 なお、本指針に示す内容は、事業場における心身の状態の情報の取扱いに関する原則である。このため、事業者は、当該事業場の状況に応じて、心身の状態の情報が適切に取り扱われるようその趣旨を踏まえつつ、本指針に示す内容とは異なる取扱いを行うことも可能である。しかしながら、その場合は、労働者に、当該事業場における心身の状態の情報を取り扱う方法及び当該取扱いを採用する理由を説明した上で行う必要がある。

2 心身の状態の情報の取扱いに関する原則
(1)心身の状態の情報を取り扱う目的→民事上の安全配慮義務の履行、そのために必要な心身の状態の情報を適正に収集し、活用する必要がある。 一方、労働者の個人情報を保護する観点から、現行制度においては、事業者が心身の状態の情報を取り扱えるのは、労働安全衛生法令及びその他の法令に基づく場合や本人が同意している場合のほか、労働者の生命、身体の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき等とされているので、上記の目的に即して、適正に取り扱われる必要がある
(2)取扱規程を定める目的
(3)取扱規程に定めるべき事項
(4)取扱規程の策定の方法
(5)心身の状態の情報の適正な取扱いのための体制の整備
(6)心身の状態の情報の収集に際しての本人同意の取得
(7)取扱規程の運用
(8)労働者に対する不利益な取扱いの防止
(9)心身の状態の情報の取扱いの原則(情報の性質による分類)
(10)小規模事業場における取扱い
3 心身の状態の情報の適正管理
(1)心身の状態の情報の適正管理のための規程
(2)心身の状態の情報の開示等
(3)小規模事業場における留意事項
4 定義(用語の意味)→@〜Fまで。

6. 健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針
平成 16 年6月 14 日 厚生労働省告示第 242 号
健康増進法(平成十四年法律第百三号)第九条第一項の規定に基づき、健康増進事 業実施者
に対する健康診査の実施等に関する指針を次のように定めたので、同法第 九条第三項の規
定に基づき公表する。
健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針
第一 基本的な考え方

健康診査は、疾病を早期に発見し、早期治療につなげること、健康診査の結果 を踏まえた
栄養指導その他の保健指導(運動指導等生活習慣の改善のための指導 を含む。以下同じ。)
等を行うことにより、疾病の発症及び重症化の予防並びに生 涯にわたる健康の増進に向け
た自主的な努力を促進する観点から実施するもので ある。 なお、健康診査は、大きく「健
診」と「検診」に分けられる。健診は、必ずし も特定の疾患自体を確認するものではない
が、健康づくりの観点から経時的に値を把握することが望ましい検査群であり、健診の結
果、異常がないとしても行動 変容につなげる狙いがある。検診は、主に特定の疾患自体を
確認するための検査群であり、検診の結果、異常がなければ次の検診まで経過観察を行う
ことが多い。 現在、健康診査、その結果を踏まえた栄養指導その他の保健指導等は、健康
増 進法第六条に掲げる各法律に基づいた制度において各健康増進事業実施者により 行わ
れているが、次のような現状にある。↓
1 制度間で健康診査における検査項目、検査方法等が異なる場合がある。 2 精度管理が
適切に行われていないため、検査結果の比較が困難である。 3 健康診査の結果が、受診
者に対する栄養指導その他の保健指導、必要な者 に対する再検査、精密検査及び治療のた
めの受診並びに健康の自己管理に必ずしもつながっていない。 4 健康診査の結果を踏ま
えた集団に対する健康課題の明確化及びそれに基づ く栄養指導その他の保健指導が十分
でない。 5 健康診査の結果等(栄養指導その他の保健指導の内容を含む。以下同じ。) が
各健康増進事業実施者間で継続されず、有効に活用されていない。 6 健康診査の結果等
に関する個人情報の保護について必ずしも十分でない。 また、このような状況の中、平成
十七年四月に、メタボリックシンドロームの 我が国における定義及び診断基準が日本動脈
硬化学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本肥満学会、日本循環器学会、日本腎臓
病学会、日本血栓止血学会 及び日本内科学会から構成されるメタボリックシンドローム診
断基準検討委員会において策定された。この定義及び診断基準においては、内臓脂肪の蓄
積に着目し、健康診査の結果を踏まえた効果的な栄養指導その他の保健指導を行うことに
より、過栄養により生じる複数の病態を効率良く予防し、心血管疾患等の発症予 防につな
げることが大きな目標とされた。
平成二十年四月からは、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)
により、保険者に対して内臓脂 肪の蓄積に起因した生活習慣病に関する特定健康診査及
び特定健康診査の結果による健康の保持に努める必要がある者に対する保健指導の実施
が義務付けられた ところである。 また、健康診査の項目や保指導対象者の基準等につ
いては、科学的根拠を踏 まえて、定期的な見直しが必要である。 その他、健康診査
の結果等を含む医療情報に関しては、医療分野の研究開発に 資するための匿名加工医療
情報に関する法律(平成二十九年法律第二十八号。以下 「次世代医療基盤法」という。)
が平成三十年五月から施行されている。
以上を踏まえ、この指針においては、各健康増進事業実施者により適切な健康 増進事
業が実施されるよう、健康診査の実施、健康診査の結果の通知、その結果を踏まえた栄養指導その他の保健指導の実施等、健康手帳等による健康診査の結果等に関する情報の継続の在り方及び個人情報の取扱いについて、各制度に共通する基本的な事項を定めること
とする。 各健康増進事業実施者は、健康診査の実施等に当たり、個人情報の保護等につ いて最大限に配慮するとともに、以下に定める事項を基本的な方向として、国民 の健康増進に向けた自主的な取組を進めるよう努めるものとする。 なお、この指針は、必要に応じ、適宜見直すものとする。

第二 健康診査の実施に関する事項  一 健康診査の在り方 二 健康診査の精度管理
第三 健康診査の結果の通知及び結果を踏まえた栄養指導その他の保健指導に関す る事項
第四 健康診査の結果等に関する情報の継続の在り方に関する事項
第五 健康診査の結果等に関する個人情報の取扱いに関する事項

1 健康増進事業実施者は、健康診査の結果等に関する個人情報について適正 な取扱いの厳格な実施を確保することが必要であることを認識し、個人情報 保護法令を遵守すること。
第六 施行期日 この指針は、健康増進法第九条の施行の日から施行するものとする。
(施行の日=平成一六年八月一日) 改正文 (平成一九年一〇月二九日厚生労働省告示第三四九号) 抄 平成二十年四月一日から適用する。 改正文 (令和四年三月二五日厚生労働省告示第九二号) 抄 令和四年四月一日から適用する。


7. 雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について (通知)   別添3
第1 趣旨

この留意事項は、雇用管理分野における労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号。以下
「安衛法」という。)等に基づき実施した健康診断の結果等の健康情報の 取扱いについて、
「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則 編)」(平成 28 年個人情報
保護委員会告示第6号。以下「ガイドライン」という。) に定める措置の実施に当たって、
事業者において適切に取り扱われるよう、特に 留意すべき事項を定めるものである。 な
お、事業者は、この留意事項に記載のない事項等については、ガイドライン、 「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外国にある第三者への 提供編)」(平成 28
年個人情報保護委員会告示第7号)、「個人情報の保護に関する 法律についてのガイドライ
ン(第三者提供時の確認・記録義務編)」(平成 28 年個 人情報保護委員会告示第8号)、「個
人情報の保護に関する法律についてのガイド ライン(仮名加工情報・匿名加工情報編)」(平
成 28 年個人情報保護委員会告示第 9号)及び「個人情報の保護に関する法律についての
ガイドライン(認定個人情報保護団体編)」(令和3年個人情報保護委員会告示第7号)を
それぞれ参照され たい。


第2 健康情報の定義(1)〜(18)まで。
例えば、次のような場合には、健康情報の取得及び第三者提供に際して、 本人の同意は必要ない。
(a)事業者が、法令に基づき、労働者の健康診断の結果を取得し、又は第三者に 提供する場合(法第 20 条第2項第1号、第 27 条第1項第1号)。(b)法第 27 条第5項第1号から第3号までに掲げる第三者に該当しない場合(例 :事業者が医療保険者と共同で健康診断を実施する場合において、健康情報が共 同して利用する者に提供される場合等)
第3 健康情報の取扱いについて事業者が留意すべき事項→1〜10項目あり。
1 事業者が健康情報を取り扱うに当たっての基本的な考え方
・要配慮個人情報に準じて取り扱うこと。本人の同意必要。


8. 「定期健康診断等及び特定健康診査等の実施に係る事業者と保険者の連携・協力事項について」の一部改正について(通知)
令和5年7月31日  (別記)事業者団体及び関係団体の長 殿
厚生労働省労働基準局長  厚生労働省保険局長
(別紙) 定期健康診断等及び特定健康診査等の実施に係る事業者と保険者の連携・協力事項に ついて
1.定期健康診断等の結果の情報提供等の事業者と保険者の連携の基本的な考え方

保険者は、糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症・重症化を予防し、医療費を 適正化するため、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和 57 年法律第 80 号。以下 「高確法」という。)に基づく法定義務の保健事業として、特定健康診査及び特定 保健指導を行っている。事業者は健康保険料の一部を負担し、保険者の運営に関わ っている。保険者が特定健康診査及び特定保健指導等の保健事業を的確に実施し、 医療費適正化に取り組むとともに、制度間の健診の重複を避けるためには、事業者 と保険者が緊密に連携し、定期健康診断等の結果を事業者から保険者に迅速かつ確 実に情報提供する必要がある。 このため、高確法では、労働者が労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号。以下 「安衛法」という。)その他の法令に基づき行われる特定健康診査に相当する健康 診断を受診した場合は、特定健康診査の全部又は一部を行ったものとし、保険者か ら特定健康診査及び特定保健指導の適切かつ有効な実施のために健康診断に関する 記録の写しの提供を求められた事業者は、その記録の写しを提供しなければならな いこととされている。
令和4年1月からは、健康保険法(大正 11 年法律第 70 号。以下「健保 法」という。)等において、保険者から保健事業の実施のために健康診断に関する 記録の写しの提供を求められた事業者は、その記録の写しを提供しなければならな いこととされている。これにより、保険者は、特定健康診査の対象年齢(40〜74歳)の労働者に加え、40 歳未満の労働者の定期健康診断等の結果についても情報を 取得することができ、それに基づく保健指導等を行うことが可能となっている。 これらを着実に進めていくためには、事業者において定期健康診断等を適切に実施するとともに、事業者から保険者に定期健康診断等の結果を迅速かつ確実に情報 提供することが必須であり、事業者と保険者が一体となって取組を進めていく必要 がある。

2.定期健康診断等及び特定健康診査の実施と保険者への情報提供の方法等
(1)定期健康診断等及び特定健康診査の一体的な実施
(2)定期健康診断等の結果の保険者への情報提供の方法等
@電子的な標準記録様式による提出について
A定期健康診断等の結果の情報提供に関する必要な取決め等
(3)個人情報保護についての配慮
3.特定保健指導等の円滑な実施の確保
(1)就業時間中における特定保健指導等の実施等
(2)事業者が実施する保健指導と併せて特定保健指導を実施する場合の費用負担
4.被保険者及び被扶養者の住所情報の保険者への情報提供

(別表) 労働安全衛生法に基づく定期健康診断の項目と高齢者の医療の確保に関する法律に基づき保険者が事業者等に対して提供を求めることができる項目との関係
(別添1) 一般健康診断問診票→1〜31の質問項目。労働安全衛生法に基づく定期健康診断等と高齢者の医療の確保に関する法律に基づく特定健康診査の項目を 同時に実施する場合の、標準的な問診票。
(別添1の2) 一般健康診断問診票→特に「27・28」飲酒に関する委細増加。
(別添2) 健康診断等委託契約書
(別紙) 本件業務の内容及び料金表
(別添3) 健康診断結果提供依頼書


9.「職域におけるがん検診に関するマニュアル」の策定について(通知)
平成30年3月29日  都道府県知事・各政令市市長・特別区区長 殿
厚生労働省 健 康 局 長
がんの死亡者を減少させていくためには、
科学的根拠に基づくがん検診を、適切な精度管理の下で実施することが重要・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・↓
今般、別添のとおり、職域におけるがん検診に関するワ ーキンググループにおいて、科学的見地より検討を進め、職域におけるがん検 診をより効果的に行うことのできるよう、その技術的な側面の参考として、「職 域におけるがん検診に関するマニュアル」を策定しました。この内容について ご理解をいただいた上で、貴管下の関係団体及び関係者に対する周知等を図っ ていただきますよう、よろしくお願いいたします
(別添) 職域におけるがん検診に関するマニュアル↓
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka /0000204422.pdf


次回は新たに「第18回アレルギー疾患対策推進協議会資料」からです。

労働基準関係法制研究会 第11回資料 [2024年10月05日(Sat)]
労働基準関係法制研究会 第11回資料(令和6年8月20日)
議題  労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42461.html
◎資料1 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
○これまでの議論を踏まえた労働時間制度等に関する課題→【視点】【課題】あり。
1.最長労働時間規制について
2.労働からの解放の規制について
3.割増賃金規制について
これらの論点に関して、1 法制的・政策的な検討・対応の必要性が高い事項として何があるか。 2 そのうち、特に早期に取り組むべき事項として何があるか。 あるいは、検討課題が多岐にわたり、中長期的な議論を要するものとして何があるか。 中長期的な議論を要するとしても、現時点において、現状を一歩でもよくする観点から、 段階的に取り組むべき事項として何があるか。 具体的な制度改正のアイデアも含めて、御議論をいただきたい。

1. 最長労働時間規制↓
• @時間外・休日労働時間の上限規制等
• Aテレワーク等の柔軟な働き方

○1−@ 時間外・休日労働時間の上限規制等について
・働き方改革の主な進捗について(労働基準法関係)
・諸外国の状況(法定労働時間、時間外労働、割増賃金等)
・法定労働時間週4 4時間の特例措置について
・企業外部への情報開示について→労働時間関係の現行の開示の仕組み
・一般事業主行動計画の策定・届出・公表及び情報公表について(女性活躍推進法)
・育児休業の取得状況の公表義務拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
※令和7年4月1日施行

・裁量労働制・高度プロフェッショナル制度・管理監督者等の適用要件
・労働者の種別に応じた健康・福祉確保措置等

○1−A テレワーク等の柔軟な働き方について
・テレワークにおける労働時間制度(例)
・テレワーク日と通常勤務日が混在する場合の勤務イメージ
・労働時間を算定しがたい場合 【 労働時間制度等に関するアンケート調査/ 企業調査、裁判例より 】

2.労働からの解放の規制↓
• @法定休日制度 • A勤務間インターバル制度 • B年次有給休暇制度 • C休憩
○諸外国の状況(休憩・休息・休暇制度)
○2−@ 法定休日制度について↓

T変形週休制の見直し(労働基準法第35条関係) 
U 3 6協定を締結する場合の休日労働に係る上限規制の導入(労働基準法第36条関係)
・主な週休制の形態について
・4週4日の休日制度/連続勤務の心理的負荷について
・変形週休制における連続勤務の最長日数
・1 3日を超える連続勤務を規制した場合のイメージ
・法定休日の特定について
・休日の特定について(現行法令・解釈)
・休日の特定について(裁判例)
・休日の特定について(学説)

○2−A 勤務間インターバル制度について
・(参考)勤務間インターバルの導入状況等について
・勤務間インターバルの導入状況等について 【労働時間制度等に関するアンケート調査(労働者調査)@】
・(クロス集計) 勤務間インターバルの導入状況等について 【労働時間制度等に関するアンケート調査(労働者調査)A】
・勤務間インターバル制度に関する現行規定@
・勤務間インターバル制度に関する現行規定A→一般則、医師、自動車運転者に対する時間外労働規制の比較 参照。
・勤務間インターバル制度の導入事例 【令和5年就労条件総合調査/企業の取組事例より】→勤務間インターバル時間について、勤務間インターバル制度の設計について(対応の項参照。)
・諸外国におけるインターバル制度
・勤務間インターバル(フランス)
・勤務間インターバル(ドイツ)
・勤務間インターバル(イギリス@➁)→原 則、例 外、罰 則、適用除外 とあり。
・つながらない権利

○2−B 年次有給休暇制度について
・年次有給休暇制度の導入経緯等について→年次有給休暇制度について 出勤率について 参照。
・年次有給休暇中の賃金について→年次有給休暇中の賃金について 年次有給休暇の1日あたりの賃金イメージ  参照。

○2−C 休憩について
・8時間を大幅に超えて長時間労働する場合の追加的な休憩付与のイメージ

○3.割増賃金規制↓
・3 割増賃金規制について
・労働時間の通算に関する現行の規定・解釈
・時間外労働、休日労働、深夜労働の割増賃金について→休日労働の割増賃金率の引き上げについて  1か月60時間超の時間外労働の割増賃金率の引き上げについて  深夜労働の割増賃金について   参照のこと。
・割増賃金の種別ごとの割増率・強行法規としての法的位置づけについて
・所定労働時間・法定労働時間と時間外労働時間の整理について→モデル 所定労働時間 1日7時間 週5日勤務/月間労働日数20日間
・副業・兼業の場合の労働時間通算と割増賃金支払いについて→労働時間通算の原則的な方法、管理モデル 参照。

次回は新たに「第3回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」資料」からです。

労働基準関係法制研究会 第10回資料 [2024年09月21日(Sat)]
労働基準関係法制研究会 第10回資料(令和6年7月31日)
議題  労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41937.html
◎資料1 労働時間、休憩、休日及び年次有給休
○これまでの議論を踏まえた労働時間制度等に関する課題
【視点】
大丸1 働き方改革で導入した時間外・休日労働時間の上限規制は、全体の労働時間の縮減に一定の効果を示していると評価できる。長期的には、「時間外労働の上限規制等に関する労使合意」(平成29年3月)にあるように、時間外労働の上限を36協定の原則である月45時間、年360時間に近づける視点や取組が重要と考えられる。 大丸1 労働時間規制には、過労死防止・健康確保、ワークライフバランスの確保、労働者のキャリアアップなど重層的な意義があると考えられる。また、仕事に対する価値観や生活スタイルが個別・多様化する中で、働く人の心身の健康を確保することを大前提とした上で、働く人の求める多様な希望に応えることのできる制度を整備することが重要と考えられる。 大丸1 労働基準法における労働時間制度については、@最長労働時間規制、A労働からの解放の規制(労働解放時間)、 B割増賃金規制に大別できるところ、上記の観点を踏まえながら、それぞれ何をすべきか検討すべき。
【課題】→1.最長労働時間規制については、 労働時間の更なる短縮を図るため、ソフトローや労働からの解放の視点も含め、上限規制の在り方を検討するとともに、労働時間規制の適用除外(管理監督者等)や特別規制(みなし労働時間制等)との関係、健康・福祉 確保措置の在り方についても整理、検討することが必要ではないか。また、労働環境の変化を踏まえ、テレワーク等の柔軟な働き方について、より適切な労働時間制度を検討することが必要ではないか。 2.労働からの解放の規制については、 最長労働時間規制と相まって、労働者の健康確保、心身の疲労回復や気分転換、仕事と生活の両立を図るため、 年・月単位(年次有給休暇)・週単位(休日制度)、日単位(インターバル制度)で、労働者が適切な労働から の解放時間を確保できるよう制度を整備する必要があるのではないか。 3.割増賃金規制については、 労働者への補償と長時間労働の抑制の趣旨を踏まえ、その在り方を検討する必要があるのではないか。

1.最長労働時間規制について→@ 法定労働時間(1日8時間・週40時間)、時間外労働時間の原則的上限(月45時間・年360時間)、時間外・休日労働 時間の上限(年720時間・月100時間未満・複数月平均80時間)について、過労死防止・健康確保、ワークライフバラン スの確保、労働者のキャリアアップなど重層的な意義があると考えられる中で、時間外・休日労働の上限規制の導入後の 状況等を踏まえ、上限規制の在り方についてどのように考えるか。また、法定労働時間週44時間の特例措置について、特例対象業種の実態も踏まえどのように考えるか。 A 時間外・休日労働の上限規制以外の手法として、時間外・休日労働時間等の企業外部への情報開示など市場誘導的な手法 により短縮を図ることや、企業内部への情報開示により自主的な短縮を促すことなど、ソフトローでその短縮等を図るこ とについてどのように考えるか。 B 管理監督者等の規制の適用除外や、みなし労働時間制、裁量労働制、高度プロフェッショナル制度といった特別規制につ いて、相互の関係を含め、その在り方についてどのように考えるか。各制度の健康・福祉確保措置等について見直しを行 う必要があるか。特に、管理監督者について、適用要件をより明確化することや、裁量労働制、高度プロフェッショナル 制度のような健康・福祉確保措置を導入する必要性について、どのように考えるか。 C テレワークの普及により、相当程度自宅で働いたり、日によって事業場で働いたり自宅で働いたりといった働き方も広く みられるようになってきた中で、こうした働き方によりふさわしい労働時間制度としてどのようなものが考えられるか。 フレックスタイム制度やみなし労働時間制など緩やかな時間管理の下でテレワークを行えるようにすることについて、ど のように考えるか。

2.労働からの解放の規制について→@ 法定休日制度について、現行の変形週休制においては相当長期間にわたって勤務させることが可能であることや、36協定 の休日労働について日数の上限規制が設けられていないことについて、どのように考えるか。 A 休日の特定について、現行法令上定めはないが、時間外労働の上限(月45時間・年360時間・年720時間)には休日労働 時間が含まれないこと、時間外労働と休日労働とでは割増賃金率が異なること、週休2日制が普及していること等を踏ま え、どのように考えるか。 B 勤務間インターバル制度について、現在は努力義務であり、導入企業割合も6%(※)に留まっている中で、制度の導入 促進のためにどのような手法が考えられるか。諸外国のインターバル制度はどのような形になっているか。また、つなが らない権利の在り方等について、どのように考えるか。(※)導入割合等についてはp.32〜34を参照。 C 年次有給休暇制度について、取得促進のための取組や、時季指定義務、時間単位取得の在り方、法定労働時間との関係等 についてどのように考えるか。 D 休憩について、8時間を大幅に超えて長時間労働をする場合であっても労働基準法上の休憩は1時間であることや、一斉 付与の原則の在り方について、どのように考えるか。
3.割増賃金規制について →@ 割増賃金規制の在り方について、労働者への補償と長時間労働の抑制の趣旨を踏まえ、どのように考えるか。 A 副業・兼業の場合の割増賃金について、企業側の負担や労働者への補償、諸外国の状況などを踏まえ、通算管理の在り方 をどのように考えるか。
○⇒⇒これらの論点に関して、 1 法制的・政策的な検討・対応の必要性が高い事項として何があるか。 2 そのうち、特に早期に取り組むべき事項として何があるか。 あるいは、検討課題が多岐にわたり、中長期的な議論を要するものとして何があるか。 中長期的な議論を要するとしても、現時点において、現状を一歩でもよくする観点から、 段階的に取り組むべき事項として何があるか。 具体的な制度改正のアイデアも含めて、御議論をいただきたい。

1. 最長労働時間規制
• @時間外・休日労働時間の上限規制等  • Aテレワーク等の柔軟な働き方

○1−@ 時間外・休日労働時間の上限規制等について
大丸1 平成30年の働き方改革関連法による労働基準法改正において導入された時間外・休日労働の上限規制について、 導入後の労働時間の状況等を踏まえて、どのように考えるか。⇒委細は論点 参照。
○働き方改革の主な進捗について(労働基準法関係)→R6. 4 適用猶予業種への時間外・休日労働時間の上限規制の施行⇒・建設業 ・自動車運転の業務 ・医師 など。
○諸外国の状況(法定労働時間、時間外労働、割増賃金等)→イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ(連邦法)、 カナダ(オンタリオ州)、 アイルランド、 EU指令、韓国の比較。
○法定労働時間週4 4時間の特例措置について大丸1 労働基準法別表第1第8号(商業)、第10号(映画・演劇業(映画の製作の事業を除く。))、第13号(保健衛生業)及 び第14号(接客娯楽業)のうち、常時10人未満の労働者を使用するものについては、1週の法定労働時間が44時間とされて いる(労働基準法施行規則第25条の2)。この特例は、保健衛生業についてはその公衆の不便を避けるために必要なもので あること、商業、映画・演劇業及び接客娯楽業については労働の実態として手待ち時間が多い等の特殊性が考慮したものと考えられる。 大丸1 令和5年に実施した「労働時間制度等に関するアンケート調査」(特例措置対象事業場調査)によると、1週当たりの所 定労働時間が40時間以下の事業所の割合が87.2%、週40時間超の労働時間について割増賃金を支払っている事業所の割合が 82.9%となっており、また、法定労働時間を週40時間とすることに「支障がない」と答えた事業場の割合は83.5%であり、 週44時間の特例措置は概ねその役割を終えているものと解される。一方、理美容業など、業種によって「支障がない」と回答する割合に差が見られる点にも留意が必要である。 大丸1 法定労働時間週44時間の特例措置について、理美容業など業種による状況の違いも考慮しつつ、当該特例措置を廃止し、 一般則である法定労働時間週40時間とすることについて、どのように考えるか。
下記参照のこと。↓
・働き方改革関連法に対する附帯決議(2018年6月28日参議院厚生労働委員会)(抄)
・今後の労働時間法制の在り方について(建議)(2015年2月13日 労働政策審議会)(抄)

○企業外部への情報開示について大丸1 女性活躍推進法や次世代育成支援対策推進法など、各法律の目的に応じて様々な情報が開示されている中で、制度のシン プル化の観点も踏まえ、既存の開示に加えて更に開示を義務づけることは妥当と考えられるか。どのような目的で、誰に対して何を開示することが必要か。 大丸1 全ての規模の事業主に一律に公表を義務づけることによる事務負担をどのように考えるか。
・労働時間関係の現行の開示の仕組み 参照のこと。
○企業内部での情報開示について大丸1 企業内部での情報開示について、女性活躍推進法や次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画において時 間外労働の状況を踏まえること等とされている中(次世代法は令和7年4月から)で、残業時間の自主的な短縮を 促すため、更に情報開示を義務づけることは妥当か。どのような目的で、誰に対して何を開示することが必要か。
・例@ 各労働者への開示、 例A 管理職への開示、 例B 衛生委員会等の労使の会議体への開示  参照のこと。

○一般事業主行動計画の策定・届出・公表及び情報公表について(女性活躍推進法)→1 一般事業主行動計画の策定・届出・公表⇒・労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況。2 女性の活躍に関する情報公表⇒雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの 平均残業時間(区) (派)

○育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化↓
・改正の趣旨
→現在の少子化の進行等の状況や「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指す観点から、次世代育成支援対策推進法を延長すると ともにその実効性をより高め、男性の育児休業取得等をはじめとした仕事と育児の両立支援に関する事業主の取組を一層促す必要がある。
・改正の見直し→次世代育成支援対策推進法 令和7年3月末までの時限立法(平成17年4月から10年間の時限立法。その後10年間延長。) 令和17年3月末まで10年間延長

○裁量労働制・高度プロフェッショナル制度・管理監督者等の適用要件→実労働時間規制のほか、特別規制(みなし労働時間制)として裁量労働制や高度プロフェッショナル制度、適用除外とし て管理監督者等の規定が設けられ、それぞれ適用要件が定められているが、相互の関係を含め、その在り方についてどのよ うに考えるか。また、管理監督者の要件をより明確化することについて、どのように考えるか。
○労働者の種別に応じた健康・福祉確保措置等→現行の健康・福祉確保措置等について見直しを行う必要があるか。特に、管理監督者について、健康・福祉確保措置を導入 する必要があるか。導入する場合、どのような措置が適切か。

○1−A テレワーク等の柔軟な働き方について大丸1 テレワークに現行の労働時間管理を適用する場合、事業場における労働と比較すると、 @事業場外での労働となるため、使用者が、労働者の労働時間を現認することが容易ではないこと A自宅等での労働の場合は、労働の時間と家事・育児・介護等の労働以外の時間が近接しているため、 ・厳密に労働時間を把握することが困難であったり、プライバシー保護等の観点で不適当であったりする可能性があること ・中抜け時間が細切れに発生する可能性があること B労働の密度が薄まり生産性が低下する可能性があること といった課題が考えられるのではないか。 大丸1 こうした課題は、テレワークによる働き方によって異なることが想定されるため、検討に当たっては、働き方を具体的に想定する必 要があるのではないか。例えば、コールセンターの業務をテレワークで行う場合には、中抜け時間は発生しづらく、事業場での労働と 同様の労働時間管理が適当であることが想定され、また、裁量労働制が適用されている労働者がテレワークを行う場合には、テレワー クのみを理由とした労働時間管理の課題は想定されないのではないか。検討に当たっては、業務遂行の方法や時間配分について使用者 の指示を受けた上で働き、かつ、事業場における労働とテレワークが混在している働き方も想定することが必要ではないか。 大丸1 また、現行の事業場外みなし労働時間制度については、「労働時間を算定し難いとき」の該当性の問題や、テクノロジーの進歩も踏 まえ、制度を維持する必要があるかどうかも含め、その在り方について抜本的に見直すことが必要ではないか。 テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン (抄)

2 テレワークの形態→ テレワークの形態は、業務を行う場所に応じて、労働者の自宅で行う在宅勤務、労働者の属するメインのオフィス以外に設けられたオフィスを利用するサテライト オフィス勤務、ノートパソコンや携帯電話等を活用して臨機応変に選択した場所で行うモバイル勤務に分類される。テレワークの形態ごとの特徴として以下の点が 挙げられる。 @ 在宅勤務 通勤を要しないことから、事業場での勤務の場合に通勤に要する時間を柔軟に活用できる。また、例えば育児休業明けの労働者が短時間勤務等と組み合わせ て勤務することが可能となること、保育所の近くで働くことが可能となること等から、仕事と家庭生活との両立に資する働き方である。 A サテライトオフィス勤務 自宅の近くや通勤途中の場所等に設けられたサテライトオフィス(シェアオフィス、コワーキングスペースを含む。)での勤務は、通勤時間を短縮しつつ、在宅勤 務やモバイル勤務以上に作業環境の整った場所で就労可能な働き方である。 B モバイル勤務 労働者が自由に働く場所を選択できる、外勤における移動時間を利用できる等、働く場所を柔軟にすることで業務の効率化を図ることが可能な働き方である。 このほか、テレワーク等を活用し、普段のオフィスとは異なる場所で余暇を楽しみつつ仕事を行う、いわゆる「ワーケーション」についても、情報通信技術を利 用して仕事を行う場合には、モバイル勤務、サテライトオフィス勤務の一形態として分類することができる。

○テレワークにおける労働時間制度(例)→業務遂行の方法や時間配分について使用者の指示を受けた上で働き、かつ、事業場における労働とテレワークが混在してい る働き方について、労働者が希望に応じて柔軟な働き方を選択できるよう、例えば、フレックスタイム制の柔軟化(例@・例 A)や、テレワークに対応したみなし労働時間制度の見直し(例B・例C)について、どのように考えるか。 ※ フレックスタイム制の柔軟化と、みなし労働時間制度の見直しを組み合わせることも考えられる。 一覧表の参照のこと。
○テレワーク日と通常勤務日が混在する場合の勤務イメージ→<テレワーク日と通常勤務日が混在する場合の勤務イメージの例> 参照。
○労働時間を算定しがたい場合【労働時間制度等に関するアンケート調査/ 企業調査、裁判例より】→営業等外勤や出張労働者について、労働時間を算定しがたい場合について、「該当するときはない(PC、スマートフォン等で労働時 間を確認できる)」が35.0%と最も多く、次いで「労働の状況を自己申告させているが、その真偽を確認することができないとき」が 29.9%、「始業・終業が自由であり、外回り等で労働の状況を確認できないとき」15.1%等となっている。⇒営業等外勤や出張時の労働者について労働時間を算定しがたい場合 参照のこと。

2. 労働からの解放の規制
• @法定休日制度 • A勤務間インターバル制度 • B年次有給休暇制度 • C休憩
○諸外国の状況(休憩・休息・休暇制度)


○2−@ 法定休日制度について
○主な週休制の形態について
→イギリス フランス ドイツ アメリカ、カナダ(オンタリオ州)、 アイルランド EU指令 韓国⇒8か国の比較。
○2−@ 法定休日制度について大丸1 現行法では、使用者は、労働者に毎週少なくとも1回の休日を付与することを原則としつつ(労働基準法第35条第1項)、 4週を通じ4日以上の休日を与えれば足りることとされており(同条第2項)、休日を付与するタイミングによっては、連 続48日間にわたって勤務させることが可能な制度となっている。また、36協定による時間外・休日労働については、平成30 年の働き方改革関連法において時間外労働の上限規制が導入されたが、休日労働の日数に係る上限規制は設けられていない ことから、制度上はすべての法定休日において休日労働させることも可能となっている。 大丸1 この点、「2週間以上にわたって連続勤務を行った」ことは、精神障害の労災認定における心理的負荷の判断要素とされており、また、令和2年度に実施されたストレス評価に関する調査においては、「2週間以上にわたって連続勤務を行っ た」場合のストレス強度は、「1か月に120時間以上の時間外労働を行った」場合のストレス強度よりも高いとされている。 大丸1 こうしたことを踏まえ、労働からの解放時間を確保し、労働者の健康を確保する観点から、 T 労働基準法第35条において、変形週休制(4週4休)の規定を改正し、休日規制を厳格化することや、 U 36協定(特別条項)を締結し、休日に労働させる場合であっても、休日労働の日数等に上限規制を設けること についてどのように考えるか。
○主な週休制の形態について→主な週休制について、最も多いのは「何らかの週休2日制」を採用している企業(85.4%)であった。 一方、最も少ないのは「週休1日制又は週休1日半制」を採用している企業(6.9%)であった。
○4週4日の休日制度/連続勤務の心理的負荷について大丸1 労働基準法において、労働者に毎週少なくとも1回の休日を付与しなければならないことが原則であるが、4週間を通じ4 日以上の休日を与える場合には適用しないことが例外として定められている。 大丸1 「2週間以上にわたって連続勤務を行った」については、平成23年に精神障害の労災認定における心理的負荷の判断要素の 項目に追加された。直近(令和2年度)のストレス評価に関する調査によると、精神障害の労災認定基準において、「2週 間以上にわたって連続勤務を行った」ことによるストレス強度は、調査当時の認定基準における項目のうち18位となってい る(図1)。また、令和3年度の労災の精神障害支給決定件数のうち、「2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行っ た」ことを主たる出来事として心理的負荷が「強」と判断された事案は39件(図2)。
○変形週休制における連続勤務の最長日数→●4週4休の場合⇒制度上は48日連続勤務が可能。●2週2休の場合⇒制度上は24日連続勤務が可能。●1週1休の場合⇒制度上は12日連続勤務が可能。
○1 3日を超える連続勤務を規制した場合のイメージ→〔労働基準法第35条において、13日を超える連続勤務を規制した場合〕⇒法定休日を一定の時期に集中させる場合であっても、少なくとも2週間に1度は法定休日が確保されるため、連続勤務日数の観点で は、1週1休(最大12日間の連続勤務が可能)と同程度の規制となる。〔労働基準法第36条において、13日を超える連続勤務を規制した場合〕⇒ 36協定を締結して休日労働させる場合であっても、少なくとも2週間に1日の休日が確保される。
○法定休日の特定について大丸1 労働基準法第35条においては、法定休日の特定について定めがなく、通達において「具体的に一定の日を休日と定める方 法を規定するよう指導」する旨示しているところ。 大丸1 この点について、時間外労働の上限(月45時間・年360時間・年720時間)には時間外労働のみが含まれ休日労働の時間 が含まれていないこと、時間外労働と休日労働とでは割増賃金率が異なること、週休2日制が普及していること等を踏まえ、 法定休日の特定について、どのように考えるか。

○休日の特定について(現行法令・解釈)→7規定あり。↓
大丸1 労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄) (休日) 第三十五条。(作成及び届出の義務) 第八十九条 。
大丸1 休日の特定について(昭和23年5月5日基発682号、昭和63年3月14日基発150号(抄))大丸1 休日の振替と代休(昭和23年4月19日基収1397号、昭63年3月14日基発150号(抄))大丸1 休日の振替の手続(昭和23年7月5日基発968号、昭和63年3月14日基発150号(抄))大丸1 休日の振替と時間外労働(昭和22年11月27日基発401号、昭和63年3月14日基発
 150号(抄))
大丸1 労基法コンメンタール 494ページ(抄)
大丸1 モデル就業規則(抄)※完全週休2日制の規程例 (休日) 第20条 休日は、次のとおりとする。 @ 土曜日及び日曜日 A 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日) B 年末年始(12月 日〜1月 日) C 夏季休日( 月 日〜 月 日) D その他会社が指定する日 2 業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ前項の休日を他の日と振り替えることがある。
○休日の特定について(裁判例)→<法定休日の特定を肯定>⇒大丸1 レガシィほか1社事件・東京高判平成26年2月27日労判1086号5頁。<法定休日の特定を否定>⇒大丸1 東京地裁平成30年7月18日(雑誌未搭載)、大丸1 フェニメディック事件・東京地判平成25年7月23日労判1080号5頁、大丸1 日本マクドナルド事件・東京地判平成20年1月28日労判953号10頁 それそれの文面参照のこと。
○休日の特定について(学説)大丸1 菅野和夫・山川隆一『労働法第十三版』有斐閣(2024年)443頁(抜粋)、大丸1 東京大学労働法研究会『注釈労働時間法』有斐閣(1990年)369-370頁(抜粋)、大丸1 東京大学労働法研究会『注釈労働時間法』有斐閣(1990年)369-370頁(抜粋)→休日が特定されていた場合における本条違反は、適法な休日振替がされない限り、当該特定された休日について成立 する。また、休日労働に対する割増賃金も、やはり適法な休日振替がなされない限り、特定された休日における労働に対して支払わなければなら ない。なお、完全週休2日制の下で、就業規則等で特定されている2つの休日が全く同じ法的性格を付与されている場合(特に割増率が同じであ る場合)には、いずれか一方が法定休日として特定されているとの解釈が採用できなければ、いずれも法定休日たりうる(注釈・時間397頁)。 したがってどちらか一方につき出勤させても、他方が休みであれば本条違反とはならないし、2日とも出勤させても、3割5分以上の割増率で1日 分の割増賃金率が支払われていれば、37条違反にもならない(平6.1.4基発1号、平成11.3.11基発168号)。

○2−A 勤務間インターバル制度について大丸1労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成4年法律第90号)第2条で、「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」として努力義務が課されており、また労働時 間等設定改善指針(平成20年厚生労働省告示第108号)においても一定の記述があるが、概念的な内容にとどまり、時間数 や対象者など、導入に当たっての留意事項等は示されていない。 大丸1 令和5年1月時点の導入企業割合は6.0%(※)となっており、導入促進に取り組む必要がある。他方、既にインターバルを導入している企業の制度設計や、諸外国の勤務間インターバル制度についても様々な適用除外が設けられた上で制度が運 用されている点に留意する必要がある。また、インターバル時間確保のために始業時刻が後ろ倒しされることによる生活サイクルへの影響や、突発的業務への対応や帰宅後のメールチェック等への影響など、画一的に義務化した場合の実務上の影 響についても留意する必要がある。 (※)導入割合等についてはp.32〜34を参照  ⇒考えられる論点 参照のこと。
・(参考)勤務間インターバルの導入状況等について→労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成4年法律第90号)(抄)⇒(事業主等の責務) 第二条 事業主は、その雇用する労働者の労働時間等の設定の改善を図るため、業務の繁閑に応じた労働者の始業及び終業の時刻の設定、健康及び福祉を 確保するために必要な終業から始業までの時間の設定、年次有給休暇を取得しやすい環境の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。 2〜4 (略)
・勤務間インターバルの導入状況等について【労働時間制度等に関するアンケート調査(労働者調査)@】→大丸1 勤務間インターバル制度について、「すでに導入されている」が10.8%、「これから導入してほしい」が22.3%である一 方、「導入の希望はない」が66.9%となっている。 大丸1 勤務間インターバル制度の導入を希望しない労働者の希望しない理由については、多い順に、「休息時間は時間単位年休の 取得で確保できているため」が20.3%、「前日の終業時刻に合わせて翌日の始業時刻を変更することが難しいから」が 19.5%、「繁忙期には休息時間を確保しづらいから」が18.8%等。⇒ 勤務間インターバルの導入希望 参照。
・(クロス集計)勤務間インターバルの導入状況等について【労働時間制度等に関するアンケート調査(労働者調査)A】→勤務間インターバルの「導入希望はない」と 回答した者の残業時間は「少ない」と感じている場合が相対的に多くなっている。 大丸1 勤務間インターバル制度の導入希望別に1月の平均残業時間をクロス集計すると、勤務間インターバルの「導入希望はない」と回答した者の残業時間が「0時間」である割合が38.2%となっており、その他と比較して高い。
・勤務間インターバル制度に関する現行規定@→労働時間等設定改善指針(平成20年厚生労働省告示第108号)(抄)⇒労 働者の生活時間や睡眠時間を確保し、労働者の健康の保持や仕事と生活の調和を図るために有効であることから、その導入に努めること。なお、当 該一定時間を設定するに際しては、労働者の通勤時間、交替制勤務等の勤務形態や勤務実態等を十分に考慮し、仕事と生活の両立が可能な実効性あ る休息が確保されるよう配慮すること。
・勤務間インターバル制度に関する現行規定A→一般則、医師、自動車運転者に対する時間外労働規制の比較  表の参照。
・勤務間インターバル制度の導入事例 【令和5年就労条件総合調査/企業の取組事例より 】→勤務間インターバル時間について、勤務間インターバル制度の設計について  参照。
○諸外国におけるインターバル制度→諸外国における、勤務間インターバル制度(休息期間)の制度⇒日本、アメリカ(規制なし)。EU、イギリス フランス ドイツ 韓国(11時間)。
・勤務間インターバル(フランス)→原則・例外、適用除外、代償措置、罰則  参照。
・勤務間インターバル(ドイツ)→原則・例外、適用除外、代償措置、罰則  参照。
・勤務間インターバル(イギリス@)→原則、例外、罰則  参照。
・勤務間インターバル(イギリスA)→適用除外@〜➃まで 参照。
○つながらない権利→時間や場所にとらわれない働き方の拡大を踏まえ、労働者の心身の健康への影響を防ぐ観点から、勤務時間外や休日など における業務上の連絡等の在り方について、どのように考えるか。

○2−B 年次有給休暇制度について大丸1 年次有給休暇について、平成30年の働き方改革関連法において、使用者は年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者 に対し、5日について毎年時季を指定して与えなければならないこととされた(時季指定義務)。令和4年の年次有給休暇 の取得率は62.1%と、前年より3.8ポイント上昇し、昭和59年以降過去最高となったものの、依然として、政府目標である 70%とは乖離がある。大丸1 年次有給休暇の取得を更に促進するため、どのような手法が考えられるか。⇒考えられる論点 参照。
・年次有給休暇制度の導入経緯等について→年次有給休暇制度、出勤率について 参照。
・年次有給休暇中の賃金について→年次有給休暇中の賃金について、年次有給休暇の1日あたりの賃金イメージ  参照。

○2−C 休憩について大丸1 労働基準法第34条第1項において、使用者は、労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1 時間の休憩を労働時間の途中に与えなければならないこととされている。また、同条第2項において、過半数労働組合又は過 半数代表者との労使協定がある場合を除き、休憩は一斉に与えなければならないこととされている。 大丸1 適切な休憩時間を確保する観点から、長時間労働の場合の休憩の在り方についてどのように考えるか。また、休憩の一斉付 与の原則を維持する必要性及び適用除外とする場合の労使協定の必要性についてどのように考えるか。考えられる論点参照。
○8時間を大幅に超えて長時間労働する場合の追加的な休憩付与のイメージ→ 現行の休憩時間に加え、労働時間が12時間を超える場合に更に30分の休憩を与えなければならないとした場合のイメージ (※1日の所定労働時間を8時間と設定した場合)  参照。


3. 割増賃金規制
○3 割増賃金規制について
大丸1 時間外労働・休日労働の割増賃金の目的は、@通常の勤務時間とは異なる時間外・休日・深夜労働をした場合の労働者へ の補償と、A使用者に対して経済的負担を課すことによる、これらの労働の抑制にあると考えられる。 大丸1 こうした趣旨目的を踏まえ、割増賃金の在り方や、副業・兼業の場合の割増賃金の通算について、どのように考えるか。⇒考えられる論点 参照。
○労働時間の通算に関する現行の規定・解釈→労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄) ⇒(時間計算) 第三十八条 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
○時間外労働、休日労働、深夜労働の割増賃金について大丸1 時間外労働・休日労働の割増賃金の支払いの目的は、@通常の勤務時間とは違うこれら特別の労働に対する労働者への補償、A使用者に 対し、経済的負担を課すことによってこれらの労働を抑制することが目的となっている。 大丸1 時間外・休日労働の割増賃金率は、どちらも2割5分以上となっていたが、平成5年の労基法改正において、週休二日制普及の流れの中 で週一日の法定休日確保の重要性に鑑み、休日労働の割増賃金率が3割5分以上に引き上げられた。⇒休日労働の割増賃金率の引き上げについて  参照。
○時間外労働、休日労働、深夜労働の割増賃金について大丸1 時間外労働の割増賃金率は、平成20年の労基法改正において、割増賃金による使用者の経済的負担を加重することによって特に長い時間外労働を抑 制することを目的として、1か月60時間超の時間外労働については、5割以上に引き上げられた。 大丸1 深夜労働の割増賃金は、労基法制定時から2割5分以上となっている。深夜労働に割増賃金を設ける趣旨は、労働時間の位置が深夜という時刻にあ ることに基づき、その労働の強度等に対する労働者への補償である。⇒1か月60時間超の時間外労働の割増賃金率の引き上げ、深夜労働の割増賃金について 参照。
○割増賃金の種別ごとの割増率・強行法規としての法的位置づけについて→DAY1 DAY2 DAY3 DAY4 DAY5 DAY6(所定休) DAY7(法定休) 休憩 時間外・深夜・休日の割増賃金は、労基法第37条に規定するものであるが、その支払いが行われない場合の違法性は、労基法第 24条の賃金支払い義務や労基法第37条の割増賃金支払い義務に立脚している。
○所定労働時間・法定労働時間と時間外労働時間の整理について→モデルとして 所定労働時間 1日7時間、週5日勤務/月間労働日数20日間⇒整理の参照。
○副業・兼業の場合の労働時間通算と割増賃金支払いについて→労働時間通算の原則的 方 法、管理モデル 参照。

次回は新たに「第70回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」からです。

労働基準関係法制研究会 第9回資料 [2024年08月29日(Thu)]
労働基準関係法制研究会 第9回資料(令和6年7月19日)
議題 労働基準法における「事業」労使コミュニケーションについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41590.html
◎資料1 労働基準法における「事業」労使コミュニケーションについて
○これまでの議論を踏まえた労使コミュニケーションに関する課題
【視点】→・労働者個人と使用者の交渉力の格差は厳然としてあり、労働組合等、労働者が集団となって使用者と協議・交渉 することにより、実質的なコミュニケーションが行える環境を確保することが重要ではないか。 ・ 労働法においては、原則的なルールを法規制として定めた上で、集団的な労使合意(産別組合との労働協約等) により現場の実情に応じたルールへのカスタマイズを許容する法制度をとることが、国際的にも広く見られるところ。 ・また、職場における労働環境改善や、業務効率化などを労使で話し合うような、狭義の労働条件に留まらない労 使コミュニケーションも重要である。
【課題】→@ 労働組合は、個人では圧倒的に不利な立場にある労働者が団結し、争議権を背景に団体交渉を行うことに よって労働者の交渉力を使用者と対等の立場に引き上げるための存在であるが、一方で、我が国の労働組合 組織率は緩やかに低下している。労働組合を一方の担い手とする労使コミュニケーションの活性化が改めて望まれているのではないか。 A 過半数労働組合がない事業場における過半数代表者については、選出方法や代表の交渉力、なり手の確保など、様々な課題が指摘されており、改善が望まれるのではないか。 B 企業単位で労働条件が斉一化されている場合もあることから、多数の事業場を有する企業等においては、事 業場ごとの労使の協議・交渉のほか、複数の事業場の過半数代表者を一堂に集めて協議をすることで、使用 者側の事務負担を軽減しつつ、労働者側も他の事業場の労働者と協力して交渉することができ、より妥当な合意に至る可能性もあるのではないか。 C 同じ事業場の中にも多様な働き方をする労働者がいる場合など、集団的労使コミュニケーションを前提として、労使協定や労使協議に加えて個人の意思確認を求めることが適当な場面もあるのではないか。
1.労働組合による労使コミュニケーション→@ 労働組合の活性化・労使コミュニケーションの促進について 集団的労使コミュニケーションの基本は、使用者と労働組合による交渉。 労働条件等について、労働組合を一方の担い手とする労使コミュニケーションを活性化する観点から、法制的、政策的な 対応として、どのようなものが考えられるか。 A 過半数労働組合を生かした制度設計 現行の労働基準法制においては、ほとんどの労使協定において、過半数労働組合と過半数代表者を同等に取り扱っている が、組織的基盤の有無等の優位性を生かし、過半数労働組合がある事業場のみに認められる(過半数代表者には認められ ない)ような制度設計をすることは考えられるか。 一方で、過半数労働組合が労使協定の締結等を行う場合には、非組合員も含む事業場の全労働者の代表としての行動が期 待されるのではないか。
2.過半数代表者の仕組みについて(改善方法)→@ 過半数代表者の選出手続について 過半数代表者の民主的な選出を担保するため、現在省令で定められている選出手続の規定について、改善する点はあるか。 その場合どのような課題が生じるか。 A 過半数代表者を複数選出することについて 過半数代表者の負担軽減等のために、複数選出を義務づける(又は推奨する)ことをどう考えるか。その場合にどのような課題が生じうるか。複数選出とする事業場の要件をどう考えるか。 B 過半数代表者を任期付きとすることについて 過半数代表者を介した安定的な労使コミュニケーションを行うため、任期付きとすることをどう考えるか。その場合に法律上どのような課題が生じうるか。任期付きとする事業場の要件をどう考えるか。 C 過半数代表者への支援について 過半数代表者による労働者の意見集約等を有効なものとするため、必要性・有効性の観点からどのような支援が求められるか。企業がどこまで支援することができるか。教育研修・キャリア上の取扱・費用負担・外部専門家の支援など支援によっては、過半数組合には該当しない少数組合との関係が懸念されるが、どう考えるか。
3.労使委員会・労働時間等設定改善委員会の活用について→@ 労使委員会や労働時間等設定改善委員会の決議は、ほとんどの労使協定に代替できるところであるが、これらの委員会の 活用について、どのように考えるか。
4.事業場ごとの労使コミュニケーションを集団化することについて→@ 事業場単位の法適用との関係 労働基準法の適用単位は事業場であることから、あくまで事業場単位での労使合意が基本と考えるべきか。 その場合に、労使当事者が希望する場合には、複数の事業場が集まって、労使協定の締結や労使委員会を開催することがで きることについて、どのように考えるか。(集団化することによるメリット・デメリットについて、どのように考えるか)。 A 現行法でも、使用者側が当該事業場に所属していることは法令上求めてはいない。また、当該事業場の過半数代表の指名 があれば、当該事業場に所属していない者が労使委員会の労働者委員となることもできる。事業場単位を基本として集団化を考える場合に、労使双方の代表それぞれについて、事業場に所属していない者による労使協定の締結や労使委員会委員と しての参画、意見聴取等が望ましい場合もあるか。 B 労使協定、労使委員会、意見聴取(就業規則)のどの手続が適しているか。 これらの手続はそれぞれ手続が異なるが、集団化に適した類型のものはあるか。(5ページ イメージ図)
5.労働者個人の意思について→@ 労働者個人の意思確認 使用者と労働者個人の交渉力の違いを考えると、労働者の個人同意のみによるデロゲーション(法からの逸脱)は不適当と考えられるが、集団的合意を経た上で、重ねて本人同意を求める制度は現在もある。今後、新たな制度を検討する際は個人同意の必要性を検 討することも必要と考えられるか。
⇒⇒これらの論点に関して、 1 法制的・政策的な検討・対応の必要性が高い事項として何があるか。 2 そのうち、特に早期に取り組むべき事項として何があるか。 あるいは、検討課題が多岐にわたり、中長期的な議論を要するものとして何があるか。 中長期的な議論を要するとしても、現時点において、現状を一歩でもよくする観点から、 段階的に取り組むべき事項として何があるか。 具体的な制度改正のアイデアも含めて、御議論をいただきたい。

○労使コミュニケーションのイメージ図→「労使協定(本社の使用者⇔各事業場の過半数代表)」「労使委員会(各事業場から選出した労働者代表と 本社の使用者で構成される委員会)」「就業規則(10人以上の過半数代表者意見)」
○労基法で「事業(場)」が使用されている条文の分類(手続の有無別)→「手続有」「手続無」の整理表あり。
○労基法で「事業(場)」が使用されている条文の分類(規定の性質別)→「定義関係」「事業における、デロゲーションに関する規制」「事業の場所に着目した規制」「事業の規模に着目した規制」「事業の内容に着目した規制」の整理表あり。

○本社一括届出が可能な手続(労働基準法)→・労働基準法において使用者に行政官庁への届出を義務付けている事項のうち、現状においては、事業場側の届出事務の簡素化の観 点から、行政通達等による運用により、一部の手続について本社一括届出が認められている。 ・コロナ禍を受けた行政手続の電子化・押印廃止の流れを受け、令和3年頃から、本社一括届出を可能とする手続の範囲が 徐々に拡大された。
・労使協定→第32条の2第1項(1か月単位の変形労働時間制)の協定届、第32条の4第1項・第2項(1年単位の変形労働時間制)の協定届、第32条の5第1項(1週間単位の非定型的変形労 働時間制)の協定届、第38条の2第1項・第2項(事業場外労働に関するみなし労働時間制)の協定届、第38条の3第1項(専門業務型裁量労働制)の協定届、第36条第1項・第3項・第5項(時間外・休日労 働協定(36協定))の協定届。
・労使委員会→第38条の4第1項・第2項(企画業務型裁量労働 制)の決議届、第38条の4第1項・第2項(企画業務型裁量労働 制)の報告(第38条の4 第4項)。
・就業規則→第89条(就業規則の作成及び届出の義務)の届出。

○就業規則について→● 就業規則とは 就業規則は、使用者が作成する職場規律や労働条件を定めた文書である。就業規則は、合意の対象となり、労働契約内容に取り込まれる、いわば@ 「契約のひな形」としての機能がある。さらに、就業規則には、制定法によって特に与えられた効力として、A最低基準効(就業規則の定める労働条件 基準に達しない労働条件を定める労働契約部分を無効とし、就業規則の定める基準で労働契約を規律する効力、労契12条)、B契約内容補充効(労働 契約締結時に合理的な内容の就業規則が周知されていた場合、契約内容となる効力、労契7条)、C契約内容変更効(就業規則の変更が合理的なもので ある場合、契約内容を変更する効力、労契10条)、がある。Aは従前から労基法上定められていた効力であったが、BCは1968年の大法廷判決以来の 判例法の発展によって確立されたもので、2007年の労契法で明文化されるに至った。 (出典)荒木尚志『労働法 第5版』有斐閣(2022年)35-36頁。 大丸1 策定義務について 常時10人以上の労働者を使用、企業単位にみるべきか、個々の事業場単位にみるべきかという問題がある。例えば、1 企業が2つの工場をもっており、いずれの工場も10人未満であるが、2工場を合わせた1企業としてみたときは10人以上となる場合、本条の規定による就業規則の作成及び届出義務があるか否かが問題となる。この点については、本法は事業に使用される労働者に適用される ものであること、次条でも就業規則の作成(変更)手続としての労働者の団体的意見の聴取を事業場単位に行わせることとしていることか ら考えあわせると、事業場単位で判断すべきものと解される。右設例の場合、2工場がそれぞれ独立した事業場と考えられる場合には、当該工場は、それぞれ常時10人未満の労働者を使用しているのであるから、就業規則作成の義務はないことになる。 大丸1 意見聴取について 就業規則は、労使の団体交渉で締結される労働協約と異なり、使用者が作成、変更するものであることは先に述べたとおりである。しか も、従来、就業規則の作成・変更は、使用者が一方的に行い、労働者は何ら関知することができなかった。そのため、労働者の知らない間 に苛酷な労働条件が定められたり、又は労働者の知らない規定によって制裁を受ける例がしばしばあったわけである。工場法施行令及び鉱 夫就業扶助規則においても、就業規則の作成について労働者の参加は認められておらず、使用者の一方的作成に委ねられていた。 本法では、これらの弊害を取り除くため、ベルギー、ドイツ、イギリス等各国の立法例を参考としつつ、新たに、就業規則の作成に当たり、労働者の団体的意思を反映する途を開いた。 かくして、本条(注:第90条)が就業規則の作成・変更に当たり労働者の団体的意見を聴くべきことを定めたのは、前条の就業規則の成 文化の強制及び内容の強制、第106条の労働者への周知義務と相まって、就業規則を合理的なものにしようとするものである。 「意見を聴く」とは、諮問をするとの意であり、文字どおり労働者の団体的意見を求めるということであって、同意を得るとか協議をす るとかいうことまで要求しているものではない。解釈例規においても「『労働組合の意見を聴かねばならない』というのは労働組合との協 議決定を要求するものではなく、当該就業規則についての労働組合の意見を聴けば労働基準法の違反とはならない趣旨である。」(昭和 25・3・15 基収第525号)としている。
(出典)厚生労働省労働基準局『令和3年版労働基準法 上巻』株式会社労務行政(2022年)より労働基準局労働条件政策課において作成。

次回は新たに「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ(第1回)」からです。

第8回 労働基準関係法制研究会 [2024年07月30日(Tue)]
第8回 労働基準関係法制研究会(令和6年6月 27 日)
議題 ・ヒアリング  ・労働基準関係法制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41001.html
◎資料2 一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 御提出資料
フリーランス・ギグワーカーの労働者性に係る現状と課題 2024年6月27日
1.フリーランス・ギグワーカーとは
○広義のフリーランス
→「特定の企業や団体、組織に専従しない独立した形態で、 自身の専門知識やスキルを提供して対価を得る人」⇒独立系フリーランス(雇用関係なし)。 副業系フリーランス(雇用関係あり)※派遣・アルバイトを含む。
基幹統計で257万人(本業209万人、副業48万人)2023年就業構造基本調査より。
○多様化するフリーランス人材→フリーランスと一口に言っても、職種や働き方は千差万別⇒クリエイティブ・職人・ビジネスフリーランス  参照。
○大前提:フリーランスは事業者→働き方の裁量(自律性)と経済自立性を前提に、 事業リスクを負う責任と覚悟を持った「自律的な働き方」
○フリーランスになった理由→働き方の裁量や柔軟性、専門領域でのキャリア形成などが主な理由⇒棒グラフ順位ありあり。
○会社員からフリーランスになった人の変化→過去に一つの会社に所属していた経験⇒ある 96.6%。満足度83.7%など その他あり。参照。
○フリーランスのワークエンゲージメント→フリーランスの方が会社員と比較してワークエンゲージメントが高い。 グラフ参照。
○ギグワーカーとは→デジタルプラットフォームを利用する単発の仕事
○仕事獲得経路とギグワーカーの割合→直近1年間で仕事獲得に繋がったことのあるもの。その中で、最も収入が得られる仕事の獲得経路⇒グラフ参照。
○フリーランス=ギグワーカー=Uberなのか?→国内のフードデリバリー配達員は20〜30万人、平均稼働時間が週40時間以上の配達員は2割、フードデリバリー専業とみられる人は4〜6万人。 参照。

2.フリーランス・ギグワーカーの 労働者性に係る現状と課題 (偽装フリーランス問題)
○フリーランスに対する適用法の整理
→フリーランスとして業務委託契約を締結していても、 労働者性が認められると判断され、実態として「労働者」に該当する場合は、 労働関連法令が適用される
○現在の労働者性判断の課題→@専門用語の解釈の難解さ A複数の判断基準の総合判断の曖昧さ B各都道府県労働局が個々に判断(判断ブレの大きさ)
○グラデーション化する働き方→@専門用語の解釈の難解さ A複数の判断基準の総合判断の曖昧さ B各都道府県労働局が個々に判断(判断ブレの大きさ)
○偽装フリーランスとは→本来あるべき働き方の裁量(自律性)と経済自立性がなく、 「労基法と社保を気にしなくて良い、安価で融通の利く労働力」になってしまっている実態が一部業界において生じている(悪質的なものに限らず、無知や誤解を背景としていることも)⇒ <企業がフリーランス人材を業務委託で活用する理由≻ 参照。
○フリーランス・トラブル110番の相談内容
→「労働者性」に関する相談は、相談件数全体の5.7%で6番目に多い 「雇用から業務委託への切替」に関する相談も、1.3%存在する。
○最近の労働者認定事例→劇団員(2020年)アイドル(2023年)などのその他2つあり。
○業界毎に異なるフリーランスの実態→自律性が高い業界 偽装フリーランスが疑われる業界 参照。

○参考:業界毎の実態(美容・リラクゼーション)→<大手マッサージチェーン店で10年以上就業する女性セラピストの例>参照。
○参考:業界毎の実態(コンテンツ制作)→<ドラマ制作における多重下請構造イメージ>参照。
○参考:業界毎の実態(フードデリバリー配達)→<フードデリバリー配達員実態調査><フードデリバリー配達員の(労組上の)労働者認定に反対する声>あり。参照。
○オーバーコンプライアンスの問題も深刻
→労働者性の判断基準が曖昧であるために、 過剰に保守的なルールで発注者・フリーランス双方が働きづらくなることや、 フリーランスへの発注控えが生じてしまっている⇒労働者性の判断基準の曖昧さからくる不安 参照。
○「偽装フリーランス防止のための手引き」→(特徴) ・ビジネス系フリーランスを対象とした事例を交えて、平易な言葉で解説 ・主な判断基準と補強的要素との強弱(重みづけ)を明確化 ・厚生労働省労働基準局労働条件政策課にて 労働関係法専門官を務めていた弁護士による総合監修。  (目指すところ) ・フリーランスと取引をする発注者、仲介事業者(無知・誤解による偽装フリーランス化の防止、安心してフリーランスと取引できるように、オーバーコンプライアンスによる双方の疲弊や 不都合からの脱却)。 ・フリーランス当事者(不当な管理・指揮監督からの解放、業務実態に即した適切な保護(実態が労働者であれば労基法の保護対象に)。
○「偽装フリーランス防止のための手引き」@〜B
T. 業務委託とは   業務委託と雇用の違い 請負契約と準委任契約の違い
U. フリーランスに対する適用法の整理   フリーランス取引に適用される法律
V.労働者性の判断基準と要注意事例集  労働者性とは?
(1)ここは絶対に気を付けよう!「使用従属性」に関する判断基準  
(2)これも併せて気にしよう!労働基準法における「労働者性」の判断を補強する要素
W. フリーランスの稼働報告・把握の仕方の例
X. 偽装フリーランス防止のためのチェックリスト
○労働者性判断に関して求められる対策(まとめ)→雇われない、自律した働き方を求めるフリーランスにとって、 過剰な保護や規制は事業者としての創造性/主体性を損なう恐れがある 一方で、「偽装フリーランス」については しっかり取り締まっていく必要がある (フリーランス全般の問題というよりは、ブラック企業/ブラック業界の問題)
短期: フリーランスの労働者性に関する 適切な理解の普及啓発
中長期: 労働者性の判断基準の明確化・標準化


3.労働者性が無い場合にも必要と思われる フリーランス・ギグワーカーへの保護の在り方 (働き方に中立な社会保険制度)
○最もニーズが多いのがライフリスク対策
→Q. :フリーランスや副業をするといった新しい働き方を 日本で選択しやすくするためには、何が必要だと思いますか?⇒グラフ参照。
○ライフリスクに備えるセーフティネットの脆弱性→働き方問わず誰もが平等に抱えているはずの「生命・身体のリスク」だが、 会社員とフリーランスのセーフティネットに大きな格差あり。
○働き方に中立な社会保障制度のニーズ→働き方の違いに関わらず社会保障が 提供される 必要性を感じている フリーランス 95.7%。
○健保組合・厚生年金への加入意向(保険料試算に基づく)→社会保障の必要性を感じている人は 95.7%であるにも関わらず、 法人成りすれば実質可能となる 協会けんぽ・厚生年金への 加入意向となると半数に減少⇒加入意向 49.4%。
○雇用保険への加入意向(保険料試算に基づく)→加入意向 68.1%。
○発注者への保険料負担を求めているわけではない→非連続的に不特定多数の事業者と取引するフリーランスは、 発注者に社保負担してもらうような関係性ではない。
○働き方に中立な社会保障制度構築に向けて(まとめ)→会社員、個人事業主、法人経営者など、すべての働く人が、各自の所得に応じて公平公正に社会保険料を納め、 同じセーフティネットに参加できる、働き方に中立な仕組みはどうしたら作れるか?⇒「これまで」と「これから(思考実験としての例)」あり。会社と個人を紐づけず、 それぞれが払う?!


ご参考) フリーランス協会について
○フリーランス協会のビジョンとミッション→誰もが自律的なキャリアを築ける世の中へ
○会員規模→会員総数: 107,966人

○ベネフィットプラン一覧
○実態調査と政策提言→フリーランスの多様な課題やニーズを可視化⇒政府に届け制度設計に協力、政策を周知する。
○フリーランスの環境整備の進捗→今秋の「フリーランス新法」施行で、業務トラブル対策が進む期待
○フリーランスの環境整備の進捗(詳細)→健康、出産育児など8項目あり。参照。


◎資料3 労働基準法における「労働者」について
○論点として考えられること
→@ 労働基準法の労働者の判断基準(昭和60年労働基準法研究会報告)をどのように考えるか。 A 労働基準法、労働者災害補償保険法、労働安全衛生法等の「労働者」を同一に解釈する意義は何か。 B 家事使用人について、時代の変化を踏まえて、労働基準法を適用することについてどのように考えるか。

○「これまでの議論の整理」(第6回労働基準関係法制研究会資料)(抄)↓
3 労働基準法の「労働者」について
(1)労働者性の判断基準と予見可能性
【今後の議論の方向性に関する意見】→10項目。• 労働基準法は刑罰法規であることから、強く押しつけると、非労働者化を誘発しかねない、どういう規制で変革を図るのかを同 時に考えないと意図しない結果となりかねないという意見があった。
(2)労働基準法以外の法令の対象範囲
【今後の議論の方向性に関する意見】→4項目。• 労災保険の加入義務をフリーランス等に広げることを検討するときには、労働基準法上の責任保険である労災保険の原点を考え るべきであり、企業に補償責任を負わせる根拠や、保険料負担、補償水準、メリット制等による防災の仕組みなど、全てを検討 する必要があるという意見があった
(3)アルゴリズムによる使用者の指揮等新しい労働者概念
【今後の議論の方向性に関する意見】
→5項目。• 現行基準の中でも、例えば諾否の自由などを重視すると、プラットフォームワーカーの労働者性が否定される方向になっており、 諸外国では、経済的従属性を問う重みが増していることも考慮すべきという意見があった。
(4)家事使用人 【今後の議論の方向性に関する意見】→2項目。• 私家庭に労働基準法上の使用者義務を負わせることや、災害補償責任を負わせることができるかについても検討すべきという意 見があった。

○これまでの議論を踏まえた考え方(案)↓
1 労働基準法第9条の労働者の定義について
(職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者)
→労働基準法上の「労働者」の定義は、法制定時から変わるものではなく、今日の課題は、もっぱら個別の働く人が「労働者」に該当するかどうかの当てはめとなっている。これは国際的にも同様で、欧米においても「労働者」の基本的な定義を維持しつつ、個別のプラットフォームワーカー等が「労働者」の定義に当てはまるかどうかの判断を明確化しようとしている。 こうしたことも踏まえ、労働基準法第9条に定める「労働者」の定義自体について、どのように考えるか。
2 労働基準法の「労働者」の判断基準(昭和60年労働基準法研究会報告)等について→ 昭和60年の研究会による判断基準は、職種や雇用形態にかかわらず、労働者であると判断するために必要な要件を、抽象的に一般 化して示されたものである。 また、これまでも個別の職種等に関連して、判断基準への当てはめが難しい事情が生じた場合には、当てはめについての具体的考 え方を通達の形で示してきている。(例:建設業手間請け労働者に係る判断基準) 他方、欧米でのプラットフォームワーカーの労働者性の検討においては、「経済的従属性」を考慮しているが、昭和60年の判断基 準には含まれていない。「経済的従属性」をどのように扱うかは、労働基準法が刑罰法規であることから、罪刑法定主義の観点で適 当かどうかも踏まえ、丁寧に検討する必要がある。 また、プラットフォームワーカーについては、プラットフォームを介するという契約関係の特徴があり、役務の提供の実態を踏ま えた検討が求められる。 これらのことを踏まえ、 @昭和60年判断基準に盛りこむことが適当な要素があるか、 Aプラットフォームワーカーなど個別の職種に関するより具体化した判断基準を作成することが可能かどうかについて、 裁判例などを通じて、国際動向も踏まえながら、検討する必要があるのではないか。そのうえで、契約関係や役務の提供の実態を踏 まえ、労働基準法の「労働者」に当たらないプラットフォームワーカーであっても、労働基準関係法令などにおける特別の取扱いの 必要性についてどう考えるか。 ※ 各法律の対象について 労働安全衛生法、労働契約法、労働者災害補償保険法などについて、労働者の範囲は基本的には同じとされているが、 労働者に当てはまらない者(例:一人親方)も一部法の対象としている。今般の労働基準法の労働者について検討したと しても、各法律の対象範囲については、これまで同様、それぞれ検討されるものではないか。
3 家事使用人について→ 家事使用人については、労働基準法制定当初からの状況変化や、家事使用人の働き方の変化を踏まえ、労働基準法を適用する方 向で具体的施策を検討すべきではないか。 検討に当たっては、私家庭に労働基準法上の使用者義務や災害補償責任をどこまで負わせることができるか、また、労働基準 法の労働者の定義を引用している関係法令の適用をどうするか、検討が必要ではないか。

次回は新たに「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2024(女性版骨太の方針 2024」からです。

労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会 第4回資料 [2024年07月08日(Mon)]
労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会 第4回資料(令和6年6月20日)
議事 (1)論点案について (2)女性の健康に関する事項について (3)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40897.html
◎資料3 「職場における女性の健康保持増進のための効果的な産業保健活動の確立に向けた研究」中間報告
研究代表者 産業医科大学 産業生態科学研究所 災害産業保健センター 教授 立石清一郎

○研究目的→• 2022年のジェンダーギャップ指数では、経済参画のスコアは121位 • より多くの女性の社会参加を促すためには就労女性の活動基盤となる健康面において、女性特有の事情(ライフイベントである妊娠・出産および更年期症状・月経困難症、不妊など)と仕事との両立しやすい環境整備の必要性 • 女性が働きやすいと思える環境について労使両者の視点による要素の抽出が必要。 • 本研究においては、職場において女性の健康保持増進に効果的な対策・環境整備 の在り方を産業保健的視座で検討 • 質問紙および事例調査・収集を行い、産業保健職と事業場向けのイーラーニング と女性労働者の配慮の在り方や事業場にとって使いやすいアクションチェックリ ストとしてまとめるものとする。 注:本研究は3年研究の1年経過時点であるため内容・結論に変更がありうる
○研究方法→女性の健康管理の在り方(企業調査 労働者調査 他研究班動向 海外調査)
○企業ヒアリング調査→話題ごとの整理⇒家庭内や社会での役割について(配偶者の家事参加がないことが一因、企業として家事参加を促す。学生時の教育も含め、企業よりも社会課題なのではないか)その他あり。
○労働者調査報告 属性・職種→就業中の18歳から69歳までの女性労働者を対象とし、6,160名の回答、5,626名を解析対象
○労働者調査報告 健康影響→表5.健康状態やプレゼンティーズムに関する状況 表6.雇用・職務における変化 表7.体調や経験してる状況  参照。
○労働者調査報告 セルフケア・受療・配慮→表8〜10の参照。
○労働者調査報告 相談先・ジェンダーギャップ→表11〜12の参照。
○更年期障害と生産性→「心理的症状のある参加 者は、プレゼンティーイズムも有意 に高かった」。「調整後、身体症状および泌尿生殖器 症状とプレゼンティーイズムとの間 に有意な関連はなし」。
○更年期症状と職業関連因子の関連→「職場からの支援」「夜勤」「通勤時間」で結果。
○英国の更年期障害等に対する取り組み→• 英国の労働安全衛生法(1974)は、すべての雇用主に対して合理的に実施可能な限り、すべての従業 員の職場における健康、安全、福祉の確保が義務づけられている。 • 政府による取り組みとして、2010年平等法は当初、更年期障害等を合理的調整の対象としていなかったが、2024年2 月に平等人権委員会(Equality and Human Rights Commission)が障害にあたる可能性があり合理的調整の対象になりうることが指摘されている。• 英国規格協会は「職場における月経、月経中の健康、更年期障害ガイド」を作成、3ステップの提案(セルフケア、受療行動のサポート、職場での調整)。
○政策文書 更年期と職場:充実した仕事生活を実現する 方法:政府の対応→雇用主への推奨事項(2022年7月18日発行)⇒6と7項目参照。
○まとめ→• 企業ヒアリングでは女性の健康管理として決定的な活動をしている企業は存在せず、対応について苦慮しながら担当者らが現場のニーズを聴取し対応していた。 • 労働者調査では同僚女性への相談が気持ちに寄り添ってもらえたと感じ解決につながっていた。上司の性別を選ぶことが困難であることから、職場で具体的な配慮や調整を受けるよりも小さいコミュニティでの活動促進の重要性が示唆。 • 海外調査を通じて、3ステップ対応(セルフケア、受療行動のサポート、職場での調整)、職場での対応として、オープンな議論の促進、アドボケートの設置、 などは労働者調査を踏まえても日本でも実装可能性がありうる。 • すべての労働者を対象としたスクリーニングについて議論されている先行研究やガイドライン、政策などは現在のところ見つかっていない。


◎資料4 女性の健康に関する論点について
厚生労働省 労働基準局 安全衛生部 労働衛生課
1.骨粗鬆症に関する課題
→健康局における骨粗鬆症検診の検討状況を確認後、あらためて 本検討会にてご議論いただくのはいかがか
2.⽉経困難症、更年期症状等の⼥性の健康に関する課題@→・健診項⽬への追加について、要否両論があった。 ・業務起因性・業務増悪性については夜勤やセデンタリーワークは可能性 があるとされた。 ・⽉経困難症や更年期への職場での対応については、⼥性の就労状況の 変化に伴い、⼥性活躍の観点から社会的な要請が強くなってきている。 ・健診項目に追加する場合、どのように組み込み、事後措置をどのよう に実施するか議論が必要
2.⽉経困難症、更年期症状等の⼥性の健康に関する課題A→⼀般定期健康診断において、⽉経困難症、更年期症状等の⼥性の健康課題について検討する際には以下の論点がある のではないか。⇒一般定期健康診断において、対象とすべき健康事象の範囲は何か。 1.対象となる健康事象の健診を⾏う意義について 業務起因・業務増悪があるのか。 健診を⾏う場合、 2.健診方法について 健診⽅法として問診が適切か。 3.事業者が⾏うべきことについて 事業者が健診後に⾏うべきことは何か。 4.健診費用について 費⽤増⼤が⾒込まれるか。 5.健康情報の把握について 労働者の知られたくない権利をどう考えるか。

○一般定期健康診断における問診について@→問診は、@省令項⽬である「既往歴及び業務歴の調査」及び「⾃他覚症状の有無の検査」と、 A『「定期健康診断等及び特定健康診査等の実施に係る事業者と保険者の連携・協⼒事項について」の⼀部改正について(令 和5年7⽉31日基発0731第1号、保発0731第4号)』にて示している「一般健康診断問診票」がある。⇒労働安全衛生規則 第44条、労働安全衛⽣規則の施⾏について(昭和 4 7 年 9⽉ 1 8 日 基 発 第 6 0 1 号 の1 )、定期健康診断等における診断項目の取扱等について(平成29年8⽉4⽇基 発0 804 第4 号)→6 自覚症状及び他覚症状の有無の検査 参照。
○一般定期健康診断における問診についてA→「定期健康診断等及び特定健康診査等の実施に係 る事業者と保険者の連携・協⼒事項について」の⼀部改正について(令和5年7⽉31日基発073 1第1号 、保発0731第4号)⇒定期健康診断等及び特定健康診査等の実施に係る事業者と保険者の連携・協⼒事項について⇒ 1.(略) 2. 定期健康診断等及び特定健康診査の実施と保険者への情報提供の方法等 (1)定期健康診断等及び特定健康診査の一体的な実施 特定健康診査では、既往歴の聴取において服薬歴(※)及び喫煙習慣を聴取することとしている。労働安全衛生規則(昭 和 47 年労働省令第 32 号。以下「安衛則」という。)に規定する定期健康診断等では、既往歴の調査項目に服薬歴及び喫 煙歴が位置づけられていないが、事業者と保険者が緊密に連携して労働者の健康増進に取り組む必要があり、服薬歴及び喫 煙歴の有無は特定保健指導の対象者の抽出に不可⽋な調査項⽬であること、定期健康診断等では従来からこれらを聴取して いる場合が多いことから、今後は、原則として、定期健康診断等と特定健康診査の検査項目が同時に実施されるようにする こととし、特定健康診査の必須項⽬である服薬歴及び喫煙歴を含む問診については別添1(令和 6 年4⽉1⽇からは別添1 の2。以下同じ。)を⽤いて⾏い、その結果を保険者に提供すること。 なお、定期健康診断等において実施される既往歴及び業務歴の調査、自覚症状の有無の検査について、別添1の問診票の 項目以外の項目は医師の判断により適宜追加すること。
○(参考)一般定期健康診断における問診についてB→「定期健康診断等及び特定健康診査等の実施に係 る事業者と保険者の連携・協⼒事項について」の⼀部改正について(令和5年7⽉31日基発073 1第1号、保発0731第4号)⇒別添1の2(一般検診問診票)
○(参考)一般定期健康診断における問診についてC→「定期健康診断等及び特定健康診査 等の実施に係る事業者と保険者の連携・協⼒事項について」の⼀部改正について(令和5年7⽉31日基発0731 第1号、保発0731第4号)⇒ 別添1の2 一般健康診断問診票(No.、質問項目、回答を抜粋) ※No.9〜30は特定健診「標準的な質問票」
○(参考)一般定期健康診断における問診について➄→「定期健康診断等及び特定健康診査 等の実施に係る事業者と保険者の連携・協⼒事項について」の⼀部改正について(令和5年7⽉31日基発0731 第1号、保発0731第4号)⇒別添1の2 一般健康診断問診票(No.、質問項目、回答を抜粋) ※No.9〜30は特定健診「標準的な質問票」
○(参考)一般定期健康診断における問診について➅→「定期健康診断等及び特定健康診査 等の実施に係る事業者と保険者の連携・協⼒事項について」の⼀部改正について(令和5年7⽉31日基発0731 第1号、保発0731第4号)⇒別添1の2 一般健康診断問診票(No.、質問項目、回答を抜粋) ※No.9〜30は特定健診「標準的な質問票」


◎参考資料1労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会開催要綱
1 目的
→ 労働安全衛生法に基づく一般健康診断については、平成 28 年に、「労働安全衛生法 に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」において各診断項目等の妥当性等に ついて検討されたところだが、近年及び今後の労働者の健康を巡る情勢としては、急速 に進む高齢化の中、職業生活が⻑期化してきているとともに、女性の就業率の増加に伴って、女性の健康課題への対応の重要性が一層高まっている。また、前回の検討以降、 健康診断についての医学的知見が集積されてきている。 こうした中、政府の規制改革実施計画(令和5年6月 16 日閣議決定)では、定期健康診断について、最新の医学的知見や社会情勢の変化等を踏まえ、医学的知見等に基づく検討の場を設け、検査項目(検査頻度を含む。)及び検査手法について所要の検討を行い、令和6年度に結論を得ることとされた。 また、「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2023(女性版骨太の方針 2023)」(令 和5年6月 13 日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定)では、「事業主健診(労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断)に係る問診に、月経困難症、更年期症状等の女性の健康に関連する項目を追加する」とされ、「経済財政運営と改革の基本方針 2023(骨太の方針 2023)」(令和5年6月 16 日閣議決定)では、 「女性版骨太の方針 2023 に基づき、(中略)事業主健診の充実(中略)等により女性 が尊厳と誇りを持って生きられる社会を実現する」とされたところである。 こうした状況を踏まえて、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等について、検討することとする。

2 検討内容→(1)最新の医学的エビデンスに基づく現行の一般健康診断の検査項目等の妥当性について (2)労働者の健康課題の変化を踏まえた一般健康診断の検査項目等について (3)その他関連する事項について

○(別紙) 労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会 構成員名簿
→20名。


◎参考資料2 第3回労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会 議事録→委員資料の発表に対する構成委員からの質問や意見など。
○第3回労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会資料↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40165.html

次回は新たに「障害者白書(令和6年6月21日)」からです。

労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会 第4回資料 [2024年07月06日(Sat)]
労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会 第4回資料(令和6年6月20日)
議事 (1)論点案について (2)女性の健康に関する事項について (3)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40897.html
◎資料1 論点案について  厚⽣労働省 労働基準局 安全衛生部 労働衛生課
○第1回〜第3回検討会の主なご意⾒@➁B→・労働安全衛生法に基づく健診の目的等↓
<労働安全衛生法に基づく健診の目的>→検討にあたっては、労働者の安全と衛生の確保という労働安全衛生法の目的を軸に考えることが大前提。
・ 業務が原因で労働者が疾病にかかったり、疾病が悪化することを防ぐために必要な項目は何かを医学的なエビデンスに基づき検証する視点、これが最も重要ではないか。 ・ ⼀般健康診断の意義・⽬的は、労働者の個々⼈の健康状態を把握し、適切な健康管理を⾏うこと、それらを集約・ 分析することで、労働者の健康状態から職場に内在するリスクを発⾒し、職場改善を図ること。労働者個人の健康確保だけではなく、プレゼンティズム、アブセンティズムによる職場全体への影響を防ぐことにも資するものと承知。⼀般健診は「業務遂⾏との直接の関連で⾏われる特殊健診とは性質が異なる」点を強調しておく。
<労働安全衛生法に基づく健診の役割>→・労働安全衛⽣法は、健診の実施のみならず、本⼈の結果通知、医師の意⾒聴取とそれに基づく適切な措置を講じることで、脳・心臓疾患の発症などの防止までも求めるものであり、一連のサイクルの端緒となる一般健康診断の果たす役割は大きい。 ・ 早期発⾒・介⼊により疾病の重症化を防ぎ、職業⽣活を通じた健康の保持増進につなげる機会とすることが重要。
<労働安全衛衛生法に基づく健診項目の対象>→・事後措置に繋がらない項⽬や、事後措置の運⽤が実務上困難な項⽬は不適当。 ・健康増進の取組を進めていく上で、⼀般健診に関しては、制度の本来の主旨にのっとって、業務起因性を前提として、必要最低限の項目にとどめていただき、一般健診とそれ以外の健康経営に関する取組が相まって、従業員の健康維持・管理ができていく仕組みをしっかりくみ上げていくことが、現実であり重要ではないか。 ・現在の健診項⽬は「必要最低限」のものと認識しており、健診項⽬は現⾏のものを維持すべきであり、有効活⽤することを前提に、労働安全衛生法の目的に照らして、項目の拡充について検討が必要。健康経営の取り組み進められているが、本来労働者であれば同じ産業保健サービスを提供されるべきであり法定健診項目の充実があるべき姿である。 ・労働者の健康を守るには、基本的な健康情報があってこその安全配慮義務だと考えている。基本の健康診断の結果、 これまで積み重ねてきたものをちゃんと維持することは求めており、費用面あるいは手間ということに着目して、これまでの健診項目を削減の方向にということには反対。
<労働安全衛生法に基づく健診の要件>→・健康診断の項⽬は単に⽬的に対して有効というエビデンスがあるだけではなく、事後措置ができること、精度管理が適切にできること、コストが許容できること、巡回健診で実施可能である、といったたくさんの条件を充たすことが必要。そのため、ただ有効であるエビデンスがあるというだけでは、なかなか議論ができない。 ・幾ら優れた健診で病気を⾒つけることができたとしても、無尽蔵にお⾦を使うわけにはいかない。費⽤対効果で、 しっかりと1⼈の⽅を⾒つけるために、どれぐらいまでのコストが許容できるかという視点は必要かと思う。
<労働安全衛生法に基づく健診の情報取扱>→労働安全衛⽣法に基づく健康診断は、疾病スクリーニングではなく、健康管理措置のために実施するものであって、 結果は事業者が把握しなければならないことになっている。⼥性の活躍や疾病対応は重要課題ではあるが、健診項⽬については、現⾏の法令でも網羅可能となっており、健診項⽬に⼥性の健康関連のものを組み込むことについては、事業者に⼀律その結果が知られるということになる。その点、⼥性労働者がどう思うか、⼥性の活躍という⽬標に直結するかどうかを踏まえて、適切な健診項⽬と運⽤⽅法を検討していくべき。
<検討の際に重要視すべきエビデンスについて>→・仕事とどう関係をするかと言ったときに、仕事自体がすごく多様なために、特定の仕事に対してのエビデンスがあっても、幅広いエビデンスを出すことが非常に難しい。したがって、エビデンスは必要ではあるが、一方で、エビデンスとしてはどのようなものが価値があるのかということは議論しながら扱っていかなければいけないと考える。 ・この健診の必要性を考えるに当たり、死亡率という話が出てきていますが、やはり就労状況に対しての、仕事場にいるがちゃんと働けないという、そういうことについての評価が必要なのだろうと感じている。
<労働安全衛⽣法に基づく健診の医師の省略規定の考え⽅について>→平成28年の検討会にて、産業医が全体の健診結果を⾒て、次回健診の項⽬の省略を指⽰することは是だとなっていた。現在では、ここら辺が強く出ていない気がする。

○第3回検討会の主なご意⾒→労働安全衛生法に基づく健診の結果を踏まえた保健指導について⇒・⾼齢者はこれまでの健康診断でその結果を⼗分に⽣かし切れてこなかったところに、現在の⾼齢者の健康状態がある。ここについては、若年のときからの健康状態の積み重ねについて、もっと関⼼を持つべきである。節⽬年齢の健診項目についての結果を生かした保健指導に結び付けるような方策ができないものか。 ・労働安全衛生法では、事後措置は義務となっているが、保健指導は「努めなければならない」というところで、 ⼀義的には、事後措置がピン⽌めされている法律というところを前提に考えていただくことが必要ではないか。 ・広い意味で事後措置の中には保健指導も含まれるべき。就業上の措置が必要な場合もあるが、生活習慣病の保健 指導と組み合わせることで、働きやすさの向上などに資する場合もあると考える。 ・ 労働安全衛⽣法上事後措置に保健指導は含まれないが、労働衛⽣のしおりを⾒ると、健康診断の⽬的というのは、 就業上の管理あるいは適正配置を調べるということが1つあるが、もう1つは、健康状況の経時的変化を含めて総合的に把握した上で、労働者が常に健康に働けるよう、保健指導、作業管理あるいは作業環境管理にフィード バックしていかなければならないということが書かれてる。そういう意味ではまずは経時的に調べること、総合的に把握することとして、保健指導や作業管理、作業環境管理にフィードバックすることというのが書かれているので、それは確実に意識をしておくべきことではないか。

○論点案→・⼥性の健康に関する事項⇒更年期、月経困難症に係る問診について。他、⼥性の就業率向上に着⽬した検査項⽬について。 ・現⾏の健診項⽬等について。 ・その他労働者の健康確保に必要な健診項目について。
※他の法令に基づく健診・検診の項目については検討対象外。

○健診項目を検討する際の要件、着眼点案→労働安全衛生法に基づく定期健康診断等は、その目的が、常時使用する労働者について、その健康状態を把握し、 労働時間の短縮、作業転換などの事後措置を⾏い、脳・⼼臓疾患の発症の防⽌、⽣活習慣病等の増悪防⽌を図ることなどである。 また、定期健康診断等の診断項目は、当該診断項目単独、又は他の項目と併せて、義務とされている就業上の措置を⾏うためのデータとすることが期待できるものであり、その上で、努⼒義務である保健指導においても活⽤するものであることが必要。↓
・ 対象とする健診項目︓検討する健診項⽬(「検査」)で分かる健康に関連する事象(「健 康事象」)は何か。※対象となる健康事象について原則として無症状であること
・ 業務起因・業務増悪︓検査で分かる健康事象⼜は検出可能な危険因⼦が業務に起因するもしくは業務によって増悪するか。
・ 事後措置︓検査によって有所⾒とされた者に対して、事業者が実施できる事後措置(就業上の措置)は何か。 過度に就業制限をかけることの不利益可能性はないか。
・ 検査の目的、対象、方法︓検査の⽬的と対象集団、検査⽅法、検査頻度が明確か。
・ 検査の精度及び有効性、基準値︓検査の精度及び有効性、適切な基準値が⽰されているか。
・ 健診の運用︓検査は巡回健診でも実施可能か。対象となる労働者全員に対して実施可能か。
・検査費用︓検査の1件あたりに要する費⽤を事業者が許容できるか。
・ 健康情報の把握︓結果を事業者が把握することになるが、事業者が把握する健康情報として許容できるか。 労働安全衛生法に基づく定期健康診断等は、その目的が、常時使用する労働者について、その健康状態を把握し、 労働時間の短縮、作業転換などの事後措置を⾏い、脳・⼼臓疾患の発症の防⽌、⽣活習慣病等の増悪防⽌を図ることなどである。 また、定期健康診断等の診断項目は、当該診断項目単独、又は他の項目と併せて、義務とされている就業上の措 置を⾏うためのデータとすることが期待できるものであり、その上で、努⼒義務である保健指導においても活⽤するものであることが必要である。
出典︓「労働安全衛⽣法に基づく定期健康診断等のあり⽅に関する検討会」報告書(平成28年)
※ 労働安全衛生法第70条の3においては、健康診断の項目等について健康増進法第9条第1項に規定する健康診査等指針と調和が保 たれたものでなければならないとしている

○<第1回参考資料から再掲>健康診査の満たすべき要件(健康診査等指針)について→「健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針」(平成16年厚⽣労働省告⽰第242号)において、以下の要件が示されている。↓
・健康事象→(1) 対象とする健康に関連する事象(以下「健康事象」)が公衆衛生上重要な課題であること。 (2) 対象とする健康事象の機序及び経過が理解されており、当該健康事象が発生する危険性が高い期間が存在し、検出可能な危険因子及びその指標が存在すること。 (3) 対象とする健康事象又は検出可能な危険因子に対して適切な検査及び診断法が存在し、かつ、科学的知⾒に基づいた 効果的な治療及び介⼊を早期に実施することにより、より 良好な予後をもたらすことを⽰す科学的根拠があること。 (4) 対象となる健康事象について原則として無症状であること。
・検査→(5) 検査の目的と対象集団が明確であり、社会的に妥当な検査 であること。 (6) 検査が簡便かつ安全であり、精度及び有効性が明らかで、 適切な基準値が設定されていること。 (7) 検査を実施可能な体制が整備されていること。
・事後措置(治療・介入)→(8) 事後措置(健康診査の結果等を踏まえた精密検査、保健指導等をいう。以下同じ。)の対象者の選定及び当該措置の実施方法の設定が科学的根拠に基づきなされていること。(9) 事後措置を実施可能な保健医療体制が整備されていること。
・健診・検診プログラム(教育、検査、診断、事後措置、プログラム管理を含む)→(10) 健診及び検診に関するプログラム(以下「健診・検診プログラム」)は、教育、検査診断及び事後措置を包括し、臨床的、社会的及び倫理的に許容されるものであること。 (11) 健診・検診プログラムは、危険性を最小限にするための質 の保証がなされており、起こり得る⾝体的及び精神的不利 益を上回る利益があること。 (12) 健診・検診プログラムの適切な運⽤(モニタリング、精度 管理等を含む。)を実施する体制が整備されていること。 (13) 健診・検診プログラムの公平性及びアクセスが対象集団全員に対して保証されていること。 (14) 健診・検診プログラムを継続して実施可能な人材及び組織 体制が確保されていること。 (15) 健診・検診プログラムの対象者に対し、検査結果及び事後 措置に関する科学的根拠に基づく情報が提供され、当該情 報を得た上での⾃⼰選択及び⾃律性への配慮がなされてい ること。 (16) 健診・検診プログラムを実施することによる死亡率⼜は有 病率の減少効果に関して質の⾼い科学的根拠があること。 (17) 健診・検診プログラムに要す費用が社会的に妥当である こと。 (18) 健診・検診プログラムに関し、実施頻度、検査感度等に影 響を与える検査⼿法の変更をする場合には、科学的根拠に 基づく決定を⾏うこと。


◎資料2 女性の健康に関する事項について
厚生労働省 労働基準局 安全衛生部 労働衛生課
○これまでの議論の整理@〜B
≪⽉経困難症、更年期症状等の⼥性の健康に関連する問診につ ≫↓
<研究班からの報告>
→・論⽂検討では作業関連疾患として、夜勤やセデンタリーワークは可能性があるとされたが、過度に就業制限をかけることの不利益可能性について十分な検討が必要。 ・事後の措置としては、適切な配慮が得られる仕組みが必要であることから、両⽴⽀援に類する内容である可能性。 ・労働安全衛⽣法による⼀般定期健康診断で実施する場合の労働者の権利(受検しない権利も含む)の保障や事業者による不利益取り扱いに注意する。 ・⼥性の健康管理を促進するために、啓発や管理職教育などの周辺整備も必要。また、保健指導担当者となる産業保健職の教育も必要である。
<構成員からの主なご意⾒>(⽉経困難症、更年期症状等の⼥性の健康に関連する健診について)→ ・「⼥性の健康関連項⽬の問診追加」について、医学的なエビデンスの有無、最低基準として受診義務を課すことで、事業者に健康情報を把握されることに対する⼥性労働者の⼼情、問診の結果に対する事後措置という概念がほぼ存在しない中で、問診を通じて症状を把握した後の措置のあり⽅、これらを含めた議論が重要。 ・⼥性の活躍促進という⽬的を達成するための⼿段として、⼥性の健康関連項⽬を⼀般健康診断の問診に追加することが果たして最適な対応といえるのか。 ・⼥性の問診項⽬について、スクリーニングの有効性・妥当性という観点からは、⾃覚症状が先⾏する疾病や症状の検査をわざわざ導⼊するのは、意義が乏しいと思われる。 ・健康増進の取組を進めていく上で、⼀般健診に関しては、制度の本来の主旨にのっとって、業務起因性を前提として、必要最低限の項⽬にとどめ、⼀般健診とそれ以外の健康経営に関する取組が相まって、従業員の健康維持・管理ができていく仕組みをしっかりくみ上げていくことが、現実であり重要ではないか。 ・例えば⽉経困難症などは、⼦宮筋腫などのほかの病気につながるものもあるので、疾患の早期発⾒をすることで重症化の防⽌などにもつながり、労働者の健康の保持・増進という点からも健康診断は重要な役割を果たしていると思うので、問診等も含めてしっかり検討もしていくべ き。 ・更年期障害や⽉経障害は、労働者個々⼈だけでなく、離職による社会全体の経済損失なども認知されつつある。更年期は⼥性に限らず、男性 でも発症することに留意が必要。検討の⽅向性としては、プライバシーへの配慮や、不利益な取扱いが起こらないようにすることを⼤前提に、 男⼥の更年期障害や⽉経障害の検査項⽬の追加を検討することが重要。⾃⾝の症状を⾔い出しやすい職場環境整備を進めて⾏く必要がある。 ・⼥性にとっては、これまで就労の現場で⼥性の健康について余り取り組んでいなかったところに、積極的に関⼼を持っていくという基盤を世の中に知っていただくことが大変重要。
<構成員からの主なご意⾒> (健診項目の考え方について)→・月経困難症の診断としては、手術が必要な病気がないかどうかの確認をする。月経前症候群の診断としては、過去3回以上、連続した 月経周期で症状が現れるということで判断してる。 ・更年期障害の診断としては、⽉経状態の確認をして、⽉経周期はどうなのか、⽉経量は減っているか確認する、検査項⽬については、 この更年期に関しては変動が激しくて判断が難しい。更年期障害の診断として、ほかの病気がないことを確認するということがあり、 貧⾎や甲状腺の病気、膠原病、うつ病といったものがないかどうか確認し、それらがなければ、⽉経の状態からすると更年期障害です というような判断をしている。 ・問診のところに少し踏み込んで個人ごとに判定コメントを返すよう設定していくことを勧奨するかどうか。問診でかなり分かるところ があるので、問診をうまくすれば受診者に対して何らかの判断を返すことはできそう。 ・様々な⾃覚症状が⼥性特有ということに限らず、健診の問診の段階で、いろいろな体調不良についてよく語られて、そのプライバシーもある程度保護されることが担保された上で聞き取る必要があり、問診に当たる⽅の資質が⼤変重要。まずは、問診と問診に当たる⽅の資質向上で対応するのが本筋ではないのか。 ・昭和47年9月18日基発601号の1に⽰されている内容はかなり網羅的で、医師の判断で必要と思える項⽬を加えることができる。個別 列挙型にすることによって、問診票を配って、ただ単に書かれた項⽬だけチェックして終わりではなくて、せっかく医師が労働者⼀⼈ 一人を確認するので、そこの趣旨は崩さないようにしていくべきではないか。 ・(ストレスチェックと同様の扱いで、)問診項目を少ない項目でというのが妥当ではないか。
<構成員からの主なご意⾒> (健診後の事後措置について)→ ・問診等を加えるとして、その後の事後措置をどうするかということが問題になる。 ・事後措置についてどうするかという点が出てくる。健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針では、「通常勤務」と 「就業制限」と「要休業」の3つしかない。治療していれば通常勤務可というのを⼊れていただくだけで随分と話が変わってくると思う。・「⼥性版⾻太の⽅針」等で⽰されたように、社会的な要請で健診項⽬を追加するというのが出てきている。その前提で議論するのであれば、追加が求められている項目は、健康増進的な位置付けのものも多いかと思うので、事業者による健診事後措置を必ずしも必須としないといった位置付けにするのも一手ではないか。 ・例えばストレスチェックのように事業者に対して実施は求めるけれども、労働者に受検義務は課さないというのを準⽤して、申告したくない場合は未回答でもOKとするといった具合に、会社に機微な情報を知られたくない⼥性労働者への配慮なども、検討しておくとよい。また、気になる回答があった⼥性労働者についても、必ず就業措置を講じることを求めるのではなく、両⽴⽀援に準じた枠組みでの対応を促すといった具合に、事後措置を⼀律に実施してしまわなくてもよいようにしておくのが、円滑な運⽤普及につながるのではないか。

○これまでの議論の整理C
≪骨粗鬆症検査について≫
<研究班からの報告>
→ ・作業関連疾患として捉えるにはさらなるエビデンスの集積が必要。 ・事後措置として、⾻粗鬆症は独⽴した転倒リスクであることをもって有所⾒者に対し増悪予防のための夜勤の禁⽌や⾻折予防のため⾁体労働の禁⽌は労働者の権利を阻害する⾏き過ぎた⾏為となる可能性。
<構成員からの主なご意⾒>→ ・転倒災害防⽌という観点で重要課題になっているが、それを余りに前⾯に押し出し過ぎると、⾻密度が低いあるいは改善が認められない労働者、特に⾼年齢の⼥性労働者の就業機会を損ねてしまうことにつながりかねないという負の側⾯も認識して議論すべき。 ・⾻粗鬆症の検診は⼥性のみということに、反対するわけではないが、基本的には、男性の⾻粗鬆症で⾻折した⼈は、⼥性よりもずっと 予後が悪いというエビデンスがあることは頭に入れておくべきではないか。 ・50歳以上の⼥性で低BMIについては非常に重要な項目で、大事。検査項目について「QUSまたはFRAX」と書いてあるが、QUS、超音 波の簡便性は認めるところだが、QUSについては、⾻粗鬆症の治療のガイドラインなどでも、QUSは診断には用いないということが書かれており、やはり精度に多少の疑念があると⾔われているため、そこは少し考えるべきではないか。 ・厚労省健康課が中⼼になり、⾻粗鬆症の検診を新たに考えるということで、研究班が⽴ち上がっている。できればその意⾒がまとまったのを⾒て、このような健診の項⽬も考えたほうがいいのではないか。 ・更年期以降、⾻粗しょう症の発症リスクが増加することを踏まえ、⾻密度検査を要望する意⾒を聞いている。

次回も続き「資料3 「職場における女性の健康保持増進のための効果的な産業保健活動の確立に向けた研究」中間報告」からです。

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