• もっと見る
«第28回社会保障審議会福祉部会 資料 | Main | こどもの居場所部会(第18回)»
<< 2025年11月 >>
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
第3回障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会(資料) [2025年10月08日(Wed)]
第3回障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会(資料)
議題 1.障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に関するこれまでの議論のまとめ(案)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_61807.html
◎資料1 主な論点の修正点について
○障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方について 主な論点の修正点について
1.障害者支援施設に求められる役割・機能、あるべき姿について
(1)基本的な考え方
(主な意見)
→○ 強度行動障害を有する者や医療的ケアが必要な者などへの専門的な支援は入所施設だけが果たしている役割で はないのではないか。
(修正箇所)305〜308行(資料2の該当箇所)→C強度行動障害を有する者や医療的ケアが必要な者などへの専門的な支援の更なる推進や、重度化・高齢化した入所者への対応、終末期における看取りまでの支援は 、特に障害者支援施設において重要である。また、入所者の暮らしの質の向上に資する生活環境(居室、日中活動など)にすることが必要である。
(2)各論
@ 意思決定支援について
→利用者の意思・希望の尊重についてに修正
(主な意見)→○ 自分の気持ちを伝えられないだけではなく、相手の言っている話の内容が理解できないケースもあるので、わ かりやすい情報の提供について盛り込んでほしい。 ○ 体験に基づく意思決定支援という観点も入れてほしい。 ○ 食事の時間帯などもう少し個別化してもよいのではないか。 ○ 単に選択肢を提示するだけではなく、本人が判断するための情報・経験を保障するというより手前の段階から の支援が不可欠である。 ○ 脱施設化ガイドラインにおける施設の典型的要素(※)を減らしていく取組を本人がわかるような形で記載するべきではないか。※ ・介助者を他人と共有することが義務付けられ、誰に介助をしてもらうかについての意思表示権がない、または制限されている、 ・地域での自立した生活から隔離され、分離されている、・日々の決定をコントロールできない、 ・誰と暮らすかという関心事についての本人の選択肢がない、・個人の意思や希望に関係なく、日常生活が厳格である、 ・一定の管理のもと、個人が属するグループ単位に、同じ場所でほぼ同じ活動を行う、・サービス提供が父権主義的アプローチである ・生活環境を監督する、・同じ環境に障害のある人が偏っている
(修正箇所)311〜326行 → @利用者の意思・希望の尊重について⇒・ 自ら意思を決定することに困難を抱える方に対して、本人に関わる様々な人たちが本人を中心に支援を積み重ね、可能な限り本人が意思決定できるように支援する必要がある。また、確認した意思の実現に向けた支援を行うことが重要である。 ・ 本人が意思を決定するために必要な情報の説明は、本人が理解できるように工夫して行うことや、本人が自分 の意思を表明しやすいよう場面や環境等の配慮を行うことが重要である 。また、体験や経験を通じた選択の機 会を確保することが重要である 。 ・ 意思決定支援ガイドラインを踏まえ、日常生活上の意思決定支援だけではなく、社会参加も含めた活動に重き を置いた意思決定支援も行われるよう、施設職員の意識の変化を図ることが必要である。 ・ 施設の日課や活動の内容等に利用者の希望が反映されることや、本人にとって必要な支援が必要なときに提供 されるよう、 十分に配慮することが重要である。また、支援においては利用者の人格を尊重し、可能な限り パターナリズムが排除されなければならない。
A 地域移行を支援する機能について
(主な意見)
→○ 地域移行後のイメージを持ってもらうために施設入所中に他のサービスを利用できるようにすべきではないか。 ○ 地域移行について、見学だけではなく、生活の体験をすることも重要ではないか。 ○ 地域移行について、「1人暮らし・結婚等」を中心に検討してほしい。 ○ 外部との連携を強化していくべきではないか。 ○ 移行して終わりではなく、移行後のフォローも重要である。 ○ 地域移行のための通過点等として、障害者支援施設が運営するサテライト施設の創設を検討してはどうか。
(修正箇所)329〜333行、342〜348行 →・ 令和6年度報酬改定で加算が設けられた、地域移行に向けた動機付け支援(グループホームや1人暮らしをしている障害者の生活状況の見学、他の事業所での食事体験、地域活動への参加、 買い物や公共交通機関の利用等 の地域の暮らしを想定した体験 等)を促進する必要がある。また 支援の方策について 、本人の意向確認を更に進めるための動機付け、引き続き検討する必要がある。 ・ 地域移行は施設だけで実施できるものではなく、市町村等による地域の受け皿の整備と併せて、施設が地域生 活支援拠点等の拠点コーディネーターや地域のピアサポーター等の外部の関係者 と連携する仕組みを構築する 必要がある。また、移行後、生活が安定するまでは移行先と適宜連絡を取り、必要に応じて入所時の様子の共 有や関係者を紹介するなど 、フォローすることが重要。 ・ 地域移行や定員削減を段階的に進めるために、障害者支援施設が定員を削減しつつ運営するサテライト的な施 設の必要性も検討する必要がある。

B 地域生活を支えるセーフティネット機能について
(主な意見)
→○ 緊急時だけではなく、平時から専門性の還元について対応していくことが重要である。 ○ 地域生活移行により生じた空床を、短期入所に転換するといった取り組みにより、地域生活支援拠点の緊急受 入れの強化に協力していくべきではないか。 ○ 地域の事業所等へのスーパーバイズ・コンサルテーションとあるが、民間から民間への介入は難しい。 ○ 本人の生活課題によるものだけではなく、家族の病気等で支援をできない状況になることもある。 ○ 災害時の対応について、施設にだけ押しつけるわけではなく、自治体も支援していることが明確になるよう 「自治体と協力して」と追記してほしい。

(修正箇所)356〜367行→・ 地域では受入れが困難な専門的支援を必要とする方の短期入所を積極的に実施するなど 、平時からその機能を 地域に積極的に還元する必要がある。その際には、地域移行により生じた空床を活用することも検討する必要が ある。 ・ 地域の専門的支援体制の整備において、地域の事業所等へのスーパーバイズ・コンサルテーション等の役割を担うことや、地域住民に対して障害者への理解を深めるための啓発活動などを推進する必要がある。 ・ 「地域生活支援拠点等」の機能を担い、本人や家族等の 緊急時の相談支援や受入れを行うことが必要である。 ・ 災害時には施設の建物・設備・備蓄物資、人材・ネットワークを活かして、専門的な支援を必要とする方を含 め、自治体と協力して 地域の障害者等を受け入れる福祉避難所の役割を担うことや被災者の自立・生活再建に向 けた災害ケースマネジメントの取組へ関与することが望ましい。

C 入所者への専門的支援や生活環境について
(主な意見)
→○ 盲ろうの方、聴覚障害を有する方も同等に専門性が高いため、「など」でまとめることなく示してほしい。 ○ 人生会議(ACP)について、常に気持ちは変化し得るという前提で行っていく必要がある。
(修正箇所)370〜371行、376〜380行→・ 施設においては、重度化・高齢化やろう重複 、盲重複等の特別な配慮が必要な障害等に対応した専門的な支援 を提供できる体制を整備する必要がある。 ・ 人生の最終段階において住み慣れた場所で最期を迎えたいという本人の意思を最大限に尊重するため、「人生会議」(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)の実施、職員に対するグリーフケア、医療機関等との連携な ど、看取り導入マニュアルを活用した丁寧な看取りを推進する必要がある。その際 、常に気持ちは変化し得るという前提を踏まえることが重要である。

2.今後の障害福祉計画の目標の基本的方向性
(1)待機者のニーズの捉え方について→ (主な意見)
(修正箇所)401〜408行
→○ 施設の待機者の考え方や把握方法は自治体間で相当のばらつきがあり、また、約半数の自治体が調査自体を実 施していない現状にある。障害福祉サービスは国の基本指針に基づき 、市町村において地域のニーズを把握し、 障害福祉計画を策定して計画的な整備を推進している ことを踏まえると、各自治体の実情に応じて実施する必要がある 。このような現状を踏まえると 、 待機者の定義や把握方法等を全国的に統一することは現実的ではないとの指摘もあったが 、どのような自治体支援が可能なのかを念頭に置きつつ 、 その他にとりうる対応等について、引き続き検討していく必要がある。 ○ その際、「入所を希望しているのは本人ではなく家族であることがある」、「複数施設に申込んでいる者を実数として把握していないことがある」、「待機者数の把握にあたって緊急性の基準を定めていないことがある」 などの課題について、考慮する必要がある。

(2)障害福祉計画に係る基本指針の目標設定について→(主な意見)
(修正箇所)423〜428行
→○ これまでも障害者総合支援法の基本理念等に基づき、障害者の希望に応じた地域での暮らしを選択できるよう 地域移行を進めてきた中で、現状では地域移行に取り組んでいないなど、求められる役割・機能を果たせていな い施設も一定数あることを踏まえれば、第8期(令和9〜11年度)の障害福祉計画に係る基本指針においても、 引き続き、地域移行者数や施設入所者数の削減の目標値を設定することが必要である。 ○ なお 、障害の程度や年齢に応じた目標やグループホームの体験利用等の地域移行へ向けた取組状況の目標を別 の目標として設定することの必要性が指摘されたところであるが 、現状では、障害の程度や年齢に応じた地域移 行の状況を把握できていない 。そのため、利用者一人ひとりの意向を踏まえた地域移行の実現を図ることが重要 であること も踏まえ、まずは実態把握の方策も 含め 、具体的な対応を検討していく必要がある。


◎資料2 障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に関するこれまでの議 論のまとめ(案) 概要
○検討会設置の趣旨
→・ 障害者支援施設には様々な役割があるなか、更なる地域移行を進めていくため、障害者支援施設の役割や機能等を整理することが、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定検討チーム等において求められたことを踏まえて、検討会を設置した。 ・ 上記を踏まえ、障害者支援施設の役割・機能、あるべき姿及び今後の障害福祉計画の目標の方向性について検討を行った。
○議論のまとめのポイント
1 障害者支援施設に求められる役割・機能、あるべき姿 ↓

@ 利用者の意思・希望の尊重を行った。 どこで誰と、どのように生活したいか本人の意思・希望が尊重される意思決定支援の推進が重要。本人にわかりやすい情報の提供や、あらゆる場面で体験や経験を通じた選択の機会を確保し、本人の自己実現に向けた支援を行う。 A 地域移行を支援する機能→ 施設から地域生活への移行を支援する機能として、地域と連携した動機付け支援や地域移行の意向確認等に取り組む。
B 地域生活を支えるセーフティネット機能→ 地域での生活が困難となった場合の一時的な入所や、施設の有する知識・経験・支援技術等の専門性の地域への還元、緊急時や 災害時における地域の拠点としての活用を推進する。
C 入所者への専門的支援や生活環境 強度行動障害を有する者や医療的ケアが必要な者などへの専門的な支援や、重度化・高齢化した利用者への対応、終末期における 看取りまでの支援は、地域における支援体制づくりが求められているとともに、特に施設において求められている役割。 入所者の暮らしの質の向上に資する生活環境(居室の個室化、日中活動の場と住まいの場の分離など)にすることが重要。

2 今後の障害福祉計画の目標の基本的方向性→・ 施設待機者の考え方や把握 については、本人ではなく家族による入所希望の扱いや複数施設への申込者の算定方法、緊急性の把握 の必要性等の課題について考慮する必要。実態把握している自治体の事例の共有等、とりうる対応を検討 ・ 次期障害福祉計画でも地域移行者数や施設入所者数の削減の目標値の設定は必要。 それ以外の目標(障害の程度や年齢に応じた目 標等)の設定については、まずは実態把握の方策も含め対応を検討。
○今後の対応→・ 本検討会の議論のまとめも踏まえ、第8期障害福祉計画(令和9〜 11年度)に向けた基本指針の目標等 していくとともに、具体的な報酬等の在り方については次期報酬改定等に向けて検討 の在り方 は障害者部会で議論 。

○(参考)障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会→1.趣旨 2.検討事項 3.開催状況 4.構成員   参照のこと。


◎資料3 団体提出資料
○公益社団法人全国脊髄損傷者連合会 事務局長 安藤 信哉
検討会における検討にあたって(意見)

大丸1 障害者支援施設(や精神科病院)からの地域生活移行について、「1人暮らし・結婚等」を中心 に検討していただきたい。
大丸1 すべての入所者が障害者支援施設から「1人暮らし・結婚等」で地域移行し、すべての必要な支援 が重度訪問介護で賄われた場合に、国、都道府県、市町村が負担する費用額の合計の見込み を、脱施設化の検討の材料とするために算出していただきたい。
大丸1 グループホームについて ↓
大丸1 第2回検討会で提示された論点整理にもあるように、グループホームの大規模化が懸念されて いる。 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001508810.pdf#page=6
大丸1 国連・障害者権利委員会の総括所見(2022年)の第42段落(c)は、「グループホームを 含む特定の生活施設(※)で生活する義務を負わず、障害者が自分の生活について選択 及び管理することを可能にすること」を日本に対して求めている(※引用注:第7段落(d)を 踏まえれば、「particular living arrangement」は「特定の生活様式」と訳すべき)。 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100448721.pdf#page=11
大丸1 家庭復帰について ↓
大丸1 地域生活への移行先として、従来の調査では家庭復帰を挙げている。 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokush ougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000013346.pdf#page=5 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001492697.pdf#page=33
大丸1 しかし、家族による老障介護を前提とした家庭復帰は問題の先送りに過ぎない。


○障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会に対する意見 一般財団法人全日本ろうあ連盟 理事 吉野 幸代  
当団体は、全国47都道府県に加盟団体を持つ、全国唯一のきこえない者の当事者団体

す。会員はきこえない・きこえにくい者で構成され、視覚的な情報や手話言語を用いて、日
常 のコミュニケーションをおこなっています。 きこえない・きこえにくい者の中には、知
的障害や精神障害など併せ持つ者もいます(強度 行動障害者には、きこえない者もいます)。
これらの者に対しては、視覚的にわかる簡易な情 報伝達や手話言語で対応に特化した施設
(GH)やきこえない障害の特性を熟知した専門性の 高い施設、そしてそれらを担う人材育
成・確保が不可欠です。 そのため、障害福祉計画に係る基本指針の目標設定には、手話施
策推進法を踏まえ、上述 の内容が反映されるよう設定をお願いいたします。 また、障害当
事者及び家族へヒアリングを行ったと伺っておりますが、その対象にきこえな い・きこえ
にくい者や知的障害を併せ持つ重度聴覚障害者は含まれていたかどうかご確認ください。
もし対象に入っていない場合は、他の障害とはニーズが異なるため追加で1〜2名の ヒア
リングを行っていただけますようお願いいたします。 最後に、当連盟の関係団体である「全
国ろう重複障害者施設連絡協会」からの意見書を下記に提出させていただきますので、ご
対応のほどよろしくお願い申し上げます。

意見書         全国ろう重複障害者施設連絡協議会 会長 渡邊 健二
当協議会は、聴覚に障害があり、かつ他の障害を併せ持つろう重複障害者の福祉向上を目 指し、全国60の施設が加盟する組織である。施設間の連携と専門性の向上、そして当事者 の権利擁護のための運動を展開してきた立場から、「障害者の地域生活支援も踏まえた障害 者支援施設の在り方に係る検討会」厚生労働省説明資料に対して意見を提出する。
○ これまでの経緯等
→第 7 期(令和 6〜8年度)障害福祉計画等に係る基本指針においては、施設入所者数の削 減に関する成果目標について、「令和 4 年度末時点の施設入所者数の6%以上が地域生活へ 移行することとするとともに、令和 8 年度末時点で、令和 4 年度末時点の施設入所者数を5%以上削減することを基本とする」とされている。また、同指針では、「新たに施設へ入所する者を見込むに当たっては、グループホーム等での対応が困難な者等、真に施設入所支援が 必要な場合の検討等を市町村、関係者により協議の上、その結果を踏まえて設定すべきもの であることに留意する必要がある」とされている。
・意見→ 聴覚・ろう重複障害者の専門施設は全国的に少なく、ろう重複障害者の入所施設は全国に 12施設しかない。入所施設が少なかった時代に、障害当事者団体と共に親が中心となり施設 建設運動を進めてきた。地域で孤立してしまうわが子を思い、入所施設が必要だという事で、 施設建設運動を行いやっとの思いで立ち上げた施設である。このような歴史的経緯を無視し たまま、入所から地域へ移行する国の方針に非常に不安を感じている。家族が納得する説明 を国は準備して欲しい。
○ 障害者支援施設のアンケート調査の集計結果→地域で障害者を支える体制づくりについてみると、実施している施設は53.9%である。具体的な取り組み内容については、「法人自らが地域の障害者に対する訪問サービスや通所サービスを実施」「グループホーム等に対するバックアップ(緊急時等の応援態勢等)」「関係機関 との連携・協議を通じた、見守りや相談等のネットワークづくり」が5割以上である。地域で障 害者を支える体制づくりを行う上での課題についてみると、「施設において地域の体制づくり のための人手が確保できない」が36.4%、「施設として、地域とどのように連携をとればよいのかノウハウが不十分」が17.0%である。
・意見 →人手が確保できていない状況が3割強との結果となっているが、聴覚・ろう重複障害者を支援するマンパワーの確保については、聴覚・ろう重複を支援といった特殊性(介護相談などの 支援+ろう重複者に対するコミュニケーション支援)により、その他の福祉人材の確保より困 難性が高い。当協議会としても、加盟施設間の連携を通じて研修を行うなど専門的人材の育 成に努めているが、現状においても事業所に入職してから、時間を掛けて人材の育成を行っている状況もある。また、ろう重複障害者は少数で尚且つ広域に点在しているため地域移行 を推進するのであれば、地域で孤立する事なく広域に渡る支援体制の構築が必要になる。地 域で支える専門性を持った人材の確保や育成に対する支援をどうするのか検討して頂きたい。
○ 障害者支援施設に求められる役割・機能、あるべき姿について@
(1)基本的な考え方 @
→ どこで、誰とどのように生活したいか本人の意思・希望が尊重される意思決定支援の推進 が重要であり、あらゆる場面で体験や経験を通じた選択の機会を確保し、本人の自己実現に 向けた支援を行うべきではないか。その際、脱施設化ガイドラインにおける「施設」の典型的要 素を、可能な限り減らしていくことに留意すべきではないか。
・意見→ろう重複障害者は視覚的情報で情報を得るため、他の障害者以上に情報が足りない。親と のコミュニケーションも満足でないため、地域で生活しているときから、情報や経験が少ない。 親が常に本人に付き添い通訳をしないといけないため、様々な経験をさせたいが親の負担が大きくて、経験が乏しくなっている。 そのような状態で本人の意思決定支援において、入所施設では、様々な経験や模擬実習を 通して、ろう重複障害者に経験や情報(手話等による)を提供して意思決定支援を行っており、 地域でそのような支援は現在、困難である。これは、我々協議会加盟施設が長年の運動と 日々の実践の中で培ってきた専門性そのものであり、一朝一夕に地域で代替できるものでは ない。入所してようやくそのような専門性の支援が担保される事になる。自己決定の根拠と なる経験や情報が圧倒的に不足しているろう重複障害者に対して「どこで誰と暮らしたいか」 聞けば、ほとんどの利用者は「親と暮らしたい」と意向がでる見込みである。しかし、地域において経験や情報を担保する専門的な支援ができる社会資源は圧倒的に不足しているため、結果入所施設がその役割を担っていることから、そのような矛盾がおきてしまう。どのような経緯で入所施設を利用する事となり、現在も入所施設を利用する必要となっているのか、その背景についても考慮した上で、本人に対する意向確認を行うなど、地域移行に向けたアセスメントが必要となるのか判断することも必要である。
A 施設から地域生活への移行を支援する機能として、地域と連携した動機付け支援や地域 移行の意向確認等に取り組むべきではないか。
・意見
→上記理由により、地域移行の意向を確認すれば、ろう重複障害者は、勘違いしてしまう。親と暮らせると思い、暮らせないとわかれば、落ち着いていた人が不安定になってしまう。「本 人の意思決定支援」は、単に選択肢を提示するだけでなく、いかにして本人が判断するための 情報・経験を保障するかという、より手前の段階からの支援が不可欠である。地域移行の情報 や見通しが不十分なままの意向確認は、本人の尊厳を損ないかねず、期待を持たせるような 意向確認を実施する事のデメリットの方が多い。
B 地域生活を支えるセーフティネットとして、地域での生活が困難となった場合の一時的な入所や、施設の有する知識・経験等の専門性の地域への還元、緊急時や災害時における地域 の拠点としての活用を推進するべきではないか。
・意見
→ろう重複障害者が地域での生活が困難な状況として考えられるのが、親との依存関係が考 えられる。聞こえないため、親の言葉がわからず、親子の愛情形成が難しい場合が多い。親が どんなにがんばっても意思疎通がうまくいかない事で、ろう重複障害者は親の愛情を感じに くい。社会で孤立する前に家庭で孤立してしまう。その為、愛情を確かめる。言いたいことを 伝えたい行動で、物を壊すや、親を殴ると言った行動にでてしまう。そのため、地域で親と暮らせないと言った方が多くましてやアパートで一人暮らしすら難しいといったケースが多い。 一時的な入所や専門性で解決できる問題ではなく、グループホームに移行するとしても数年単位での支援が必要になる方が多い。地域にある一般のグループホームの生活では、コミュ ニケーションの問題から孤立するため、専門的な知識を有するグループホームが必要である。
こうした専門性は、我々協議会加盟施設が数十年にわたり蓄積してきたノウハウであり、地域で新たに構築するには相応の支援と時間が必要である。

C 強度行動障害を有する者や医療的ケアが必要な者などへの専門的な支援の更なる推進 や、重度化・高齢化した入所者への対応、終末期における看取りまでの支援も必要ではないか。 また、入所者の暮らしの質の向上に資する生活環境(居室、日中活動など)にするべきではないか。
・意見
→ 強度行動障害や医療的ケアだけではなく、盲ろうの方、聴覚障害を有する方も同等に専門性 が高い為、「など」でまとめることなく文言で示して欲しい。 高齢化した入所者への対応・終末期については、あまりにも短絡的。高齢者の看取りについては非常に専門的であり、強度行動障害と看取りをする高齢者が同じ施設に居る状況を想像 して欲しい。結果的に専門性が多岐に広がってしまい、専門性をより深めることができない。 これでは施設が「何でも屋」になってしまう。医療の場合は内科や外科等専門性がはっきりと 分かれているのに対して福祉は若い利用者の自立や発達の支援から高齢者の介護看取りま でやらせるのはおかしいのではないか。当協議会は、まさに「ろう重複障害者福祉」という専門性を高め、支援の質を向上させるために設立・活動してきた経緯がある。国の施策が、こう した専門性を軽視し、結果として支援の質を低下させることにつながることを強く懸念する。 国は、専門性を大切にしているようで全く専門性を担保できていない。福祉の分野において、 専門性をしっかり担保していく事が大切ではないか。就労、生活、自律、発達、言語(手話)、身体機能、医療等の専門性をさらに深めていくようにしていただきたい。障害者支援施設は何 でも屋ではない。
○ 施設の利用者に対する支援の質・生活環境の向上や個別的支援の提供のため、個室化や ユニット化により生活単位の小規模化を更に推進し、地域における生活環境に近づけることで、地域移行後の暮らしを見据えて利用者自身が持つ力を高めていくべきではないか。
・要望→個室化、ユニット化によるプライバシー確保については、共感できる部分がある。 また、同一敷地内であっても、日中活動の場と住まいの場の分離を行うことについては生活 環境の向上につながるものと思われる。我々、全国の加盟施設としても、利用者の暮らしの質 の向上は最重要課題と認識しており、可能な限りの努力は続ける所存である。しかし、既存の施設については、国の設置基準に基づき整備されている。 今後、個室化や日中活動の場と住まいの場の分離を行うためには、敷地の拡張や土地取得も必要になり、特に都市部では限られた敷地の中で運用されている施設も多く拡張ができない場合や、土地を取得するにしても建設費用も含め高額になることが考えられる。整備については、設置基準の変更、費用面も含め国の責任において推進していただきたい。


◎参考資料 障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会
開催 要綱
1.趣旨
→ 障害者支援施設については、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第5条11項により「障害者につき、施設入所支援を 行うとともに、施設入所支援以外の施設障害福祉サービスを行う施設」と規定されている施設である。具体的には、障害者に対し、主として夜間においては「施設入所支援」を提供するとともに、昼間は「生活介護」などの日中活動支援を行う社会福祉施 設である。 障害者支援施設は地域移行を推進すること、重度障害者等への専門的な支援を行うことなど、様々な役割があるが、今後、更なる地域移行を進めて行くため、障害者支 援施設の役割や機能等を整理することが、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定検 討チーム等において求められている。 これらを踏まえ、障害者支援施設の役割・機能等、その在り方を検討するため、「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会」を開催する。 2.検討事項→(1)障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方について (2)その他
3.構成等 (1)本検討会は、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長が学識経験者、関係者 の参集を求めて開催する。 (2)構成員は、別紙のとおりとする。 (3)本検討会に、座長及び座長代理を置く。 (4)本検討会の座長は、構成員の互選により選出し、座長代理は構成員の中から 座長が指名する。 (5)座長は、必要に応じ意見を聴取するため、参考人を招聘することができる。 (6)その他、検討会の運営に関し、必要な事項は座長が定める。
4.その他 (1)本検討会の庶務は、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課が行 う。 (2)検討会の議事、資料及び議事録は原則として公開とする。

◆障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方に係る検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai_505916_00001.html

次回は新たに「こどもの居場所部会(第18回)」からです。

トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました

コメントする
コメント