青少年インターネット環境の整備等に関する検討会 第64回会合 [2025年06月18日(Wed)]
青少年インターネット環境の整備等に関する検討会 第64回会合(令和7年5月20日)
議事 議題1〜議題7まで。 https://www.cfa.go.jp/councils/internet-kaigi/6bc3ea91 ◎資料5ICTeacher’s 学校現場実践報告 令和7年5月20日 板橋区立高島第二小学校 校長 桝田 佳江 1.学校現場実践に至るまでの経緯 ↓ ・本委員として2023年に高校生ICT Conference最終発表を拝聴する。とてもよい提案だったので「小学校で実際にやってみないか」と打診する。長崎県の高等学校より「やってみたい」との連絡をいただき、何度かメールのやり取りをしたが、実現には至らなかった。 ・翌2024年の高校生ICT Conference最終発表も素晴らしかったため、前年度同様「小学校で実際にやってみないか」と打診する。学校現場に在籍する一委員として「こうあるべき」と提案したものを実際にやってみ ることでその内容が更にブラッシュアップされると考えたため提案した。本年度は「高校生ICT Conference 実行委員会」関係団体の代表の皆様が間に入ってくださったおかげで、実践が実現した。 2.学校現場の一委員として尽力したこと ↓ ・本校(小学校)を実証実験校として提供するが、どの学年での実践することがより効果的かを検証。→実際に第6学年の3クラスが「やってほしい」と手を挙げたが、高校生が授業をすることが初めてであるため、学年全体(85名)を対象とした授業内容をイメージすることが不可能との回答。よって第5学年の学年主任の学級で実践することとした。 ※ここでのポイント・・・小学生は6歳から12歳までの集団。発達段階に応じたカリキュラムが必 要で、どの年齢をターゲットとした提案をするのか、今後のカンファレンスの中に生かしてほしい。 ・中学校での実証実験校を探す。→テーマから判断すると小学生よりも中学生対象の方がより効果的なのではないかと判断し、小中一貫 教育連携校に打診し、快諾。令和7年4月に実現した。 3.実践報告↓ (1)小学校編 ・日時・場所 令和7年2月15日(土) ・授業者 板橋区立舟渡小学校 図書室 ※土曜授業プラン学校公開で実践。 ・対 象 第5学年(3クラス中1クラスを対象) ・テーマ ICTeacher’s 〜なんとなくAIを使っていませんか〜 ・内 容 @自己紹介 B生成AIの基本 A絵伝言ゲーム Cニセ情報○×クイズ Dニセ情報の見分け方 Eまとめ ・学習形態 しっかりと教えたいことは電子黒板を使って全体共有。 その後、ワークショップは高校生が分かれ、4グループ で実施。各グループともにタブレットを囲んでクイズをしたり問題を解いたりしながら 生成AIの知識習得にあたる。 ・準備教材→@企画書 → 児童の実態を踏まえ、時間配分などを綿密に打ち合わせる。 A企画書に基づいてオンライン会議 →4名が毎回各自の作業分担を決め、準備。 1週間に1度程度、進捗チェックを行う。 B授業用スライド C児童用授業プリント D授業前、授業後のアンケート ・高校生の思い→ 企画書の1ページをご紹介 ・アンケートより(一部紹介)→ ・生成AIに限らず、情報の信ぴょう性には気を遣う。・誤解を招く情報を出さないようにしたいです。 ・事実がどうなっているのかを発信元にも考えながら、ファクトチェックを行っていく 必要がある。そのためにも複数の情報を参照していく必要がある。 ・まさしく情報リテラシーが重要。たくさんの情報があふれる中で、まずはその情報を 疑うこと、そして正しく情報を選び抜く、判断する能力が今後重要になってくると思 いました。 ・興味深いです。各学校に導入してほしいです。親の教育も必要かと思います。(保護者) (2)中学校編 ・日時・場所 令和7年4月24日(土) 板橋区立志村第五中学校 体育館 ・授業者 高校生ICT Conference 経験者(大学生)1名 ・対 象 第7〜9学年(全校生徒対象のセーフティ教室の位置付け) ・テーマ 充実した生活を送るためにスマホ・ネットをどう使おう? ・まとめ ネットに使われるな ネットを使いこなせ! ・アンケートより(一部紹介)→・スマートフォンの良い使い方を講師(大学生)の実体験をもとに知れて良かったです。 ・勉強にも活用してみたいと思います。 ・危ないから使わないのではなくて上手に使うというのが大切だと気付いた。 ・自分は AI などには疎かったので今回の授業のおかげでネットについての詳しい情報 の他に生成AIを使ってみたくなりました。 ・改めてインターネット上の人と合う怖さ、依存してしまう恐ろしさについて知ること ができた。自分も長時間使うことがあり、対策をし始めないといけないと思っていた 頃なので今回のセーフティ教室をきっかけに家族と話してみようと思った。 ・今の子どもたちに合う令和のSNSセーフティ教室の授業で、とても素晴らしかった。(保護者) 4.今後に向けて(まとめ)→ ・高校生の素晴らしい提言を実際に小・中学校で授業実践できたことは大きな一歩と考える。 ・今回の実践を踏まえ、成果と課題を授業者自身(高校生や大学生)が報告する場が「高校生ICT Conference 最終報告会」に組み込まれるとよい。(例:前年度の成果報告など) ・今回実践したカリキュラムをベースとし、少しずつ横展開できる仕組みが作れるとよい。 ・生成AIなどのテクノロジーに加え、外国籍児童へのICT活用など、学校現場が直面している課題を「高校生 ICT Conference」のテーマとして取り上げてほしい。 ◎資料6「インターネットの利用を巡る青少年の保護の在り方 に関するワーキンググループ」の進捗状況 令和7年5月20日 第64回 青少年インターネット環境の整備等に関する検討会 ○ワーキンググループの実施スケジュールについて ・6月頃→ワーキンググループ(第6、7回) ・課題/論点に係る議論 ・とりまとめ(案)の検討 ・夏頃→ワーキンググループ(第8回) ・上記とりまとめ(案)の決定 ○第5回ワーキンググループまでの議論の状況について @各議論を行うに当たって、その前提として持つべき「視点」について議論 1.こども基本法等の理念から、青少年の安心・安全を確保することを第一として、青少年のインターネット環境の整備を考えるべきではないか。 この際、青少年保護と、青少年によるインターネット活用の意義(児童の権利条約で保障される各種権利、こどもが上手にインターネットとの付き合い方を学ぶこと、居場所や相談ツールになるこ となど)のバランスをどう考えるべきか。 2.青少年がネット利用を行うに際して直面しうるリスクが多様化している中で、より幅広いステー クホルダーの参画を求めることも含め、リスクに応じた多面的かつ総合的な対応を行うことが適切で はないか。その際、現行法に基づく対応に不十分な点がないかを点検した上で、法律による対応の必要性を含めた検討を行うべきではないか。 3.青少年を保護するための措置を講ずるにあたっての優先順位と、対応の方向性の検討を併せて行 うべきではないか。 4.青少年のインターネット環境整備については、諸外国の規制等の内容や、リスクの実態、青少年 の影響等について引き続き知見を収集した上で、論点に応じた所管を踏まえ、関係省庁が連携して検 討を行うことが重要ではないか。 A問題となっているリスクと、これに係る課題と論点について議論 <コンテンツリスク> ↓ ・ヘイトスピーチや偽情報については 、従来、青少年有害情報という捉え方はあまりされていない。しかし、これらは、表現の自由との関係から違法情 報と位置づけることは一部を除き困難かもしれないが 、青少年有害情報と位置づけることはあり得る。環境整備法2条4項の例示にこれらを入れることが検討項目となるが、現時点ではそれに至らないとしても、関係者の間でこれらを青少年有害情報と位置づける認識の醸成が求められるのではないか。 ・伝統的なコンテンツリスクや性被害リスク等のコンタクトリスクは、日本でも認知と対策が進んでいる一方で、一部で刑事罰はあるものの、フィルタ リングと啓発が対策の柱であり、デジタルプラットフォームが中心的役割を果たしている今日の情報流通構造に合致しなくなっている。この点につい て、競争法や消費者保護法 、誹謗中傷対策などに続き、プラットフォームの規律を行うことが本来的には必要だと思われるが、その第一歩として、環境整備法 21条又は23条の特定サーバー管理者の努力義務をより促す取組が求められるのではないか。 ・児童ポ ルノ法については、立法趣旨が子どもの権利の擁護、保護であるにもかかわらず、実際には、国際的に児童ポルノとしてこれはアウトですと言 われているものが、現行法ではまだアウトになっていない状況ではないか。 ・「年齢 に即したレイティングに基づくフィルタリング」の実効性が確保できていないこと、フィルタリングを担保する手段として用いられているペア レンタルコントロールの利用率が低いことは課題。 端末・回線契約時の個人情報登録時のマイナンバーカードの利用等により年齢認証を確実なものとするとともに、ペアレンタルコントロールの実装を端末のデフォルト状態とすることを組み合わせることで対応できるのではないか。 ・課題の中心が小学生になっている中で、お母さんがスマホをこどもに渡すときに、ボタン一つでフィルタリングがかかる等、特に低年齢層を含めた フィルタリング対策について、乳幼児対策を含めて考えていくべき。このため、EMAのような第三者機関が、今の時代にあった形で必要。 <コンダクトリスク> ↓ ・これまでは、「こどもを被害者にしない」という視点だったものが、「闇バイト」等では、こどもが加害者になっていることから、「こどもを加害者にしない」という視点も重要ではないか。 ・海外との関係の中で、特に発信により青少年が加害者になるリスクについて、今何ができていて、何ができていないのかというマッピング考えるべき。 ・現行法が示すフィルタリングの内容は「触法行為」、「わいせつ物等」、「残虐行為」と、例示とは言え非常に限定的であり、子どもに特化したプラ イバシーの保護や子どもに特化した消費者保護(marketing code)に関する内容は、現行の法制度ではカバーされておらず、コンダクトリスクやコンタクトリスクには無防備となっている。特に EMAの活動終了後、フィルタリングの内容は個別事業者にほぼ任されており、国全体として第三者機関を 入れる等を検討することや 、定期的な見直しを前提としつつ、政府が一定の指針等を示すべきではないか。 ・闇バイトをしていたこどもが、闇バイトが社会問題になっているということを、オールドメディアを見ていないので知らなかったということがあった。 周知について工夫する必要がある。 ・こどもたちの間で送信の問題、性的な問題に限らず、卒アルの拡散等、プライバシーが流出してしまう事態をどう防ぐかも問題ではないか。 ・現行の法制度では、例えば、環境整備法では送信の部分は全部普及啓発により対応するということになっているほか、 児童ポルノについても、刑法等に基づき個別に対応することとされており、送信側のリスクについてカバーできていないのではないか。これらのうち、自主的な取組すらないような部分については、可視化すべき。 ・ 児童ポルノの AI生成について、提供する側の問題としては、例えばマイナンバーやAIを活用した年齢認証ができるような仕組みが出てきていると聞いているところ、こうしたものを活用できないか。 <コンタクトリスク> ↓ ・オンラインゲームを通じ、こどもが保護者が分からない形で、見知らぬ人と出会ってしまったりする課題がある。 ・就学前を含めた、低年齢層への対策が急務。小学生対策として 、例えば、こども用の通信アプリ等を国として検討する必要がある。また、本課題については 、ゲームを含めて考える必要がある。 ・性的画像等の送信やSNS上の人物と対面で会う等、インターネット上でのやり取りがカジュアルになり、被害が繰り返されている ・なりすまし、グルーミング等、性犯罪における手口が巧妙になっている ・グルーミングについては、調査によれば、脅迫よりは、やさしく言われる、何度も言われるということに、こどもはすごく弱いことが分かっており、 こどもが会いに行って犯罪の被害に遭う手前でストップさせる構造がつくれないか。また、こどもが、複数アカウントを持ててしまうというところも大きな問題 。 ・WEBサイト上に流れてくる不適切な内容の広告に子どもたちが晒されている実態がある等、これら一連のリスクは、程度の差はあれ、いわゆるアクティブユーザーに限られたものではない。 ・コンテンツ・リスクの有害コンテンツに当たる性的な動画や広告、特に漫画がセキュリティをすり抜けて見られてしまっているという問題がある。 ・子どもに特化したマーケティングポリシーがない点が課題。 <横断的なリスク> ↓ <先端技術に係るもの>→・生成AIによる児童ポルノの問題は先端技術のリスクの一部として懸念されているものの 、政策的なレベルでの認知は不十分。イギリスではAIツールの規制が検討されていると聞く中で、日本でもAI規制の一環として何らかの内容を盛り込む必要があるように思うが、まずは状況把握が求 められるのではないか 。 ・ディープフェイクの問題がある。韓国やイギリスで指摘されていたとおり、今やセクストーションにおいて、実際に性的な画像を手に入れる必要 がなくなっている。 ・児童ポルノの AI生成について、使う側の問題としては、インターネットの安全教育やリテラシー教育に長年取り組んできた、その効果の測定が果たしてされているのか 、現在の施策について子どもたちの理解が進んでいるのか ・児童ポルノの AI生成について、法律や企業による施策の不備という点では リングについて企業がとるべき行動の指針を示すべきではないか 。 <健康に係るもの> →・健康と幸福のリスクが問題。SNSをついつい見てしまって睡眠が削られてしまっている人が周りにたくさんおり、SNSによって自分の中になかった 欲求とかがかき立てられて、不満足な状態がずっと続いている人も見受けられる。 ・メンタルヘルスの問題については 、青少年のインターネットの安全安心利用の文脈では、リスクとして十分認識されていないように思われる。まずはこうしたリスクをリスクとしてきちんと認知し 、実態調査や専門的な観点からの分析を行うことが必要ではないか。・ネット依存については、2018年頃の厚生労働省の調査以降実施した形跡がみられず、アメリカでいうセクスティングについての調査も行われていない。国として実態調査をすべきではないか。 <その他> ↓ <海外事例に係るもの>→・各国事例だけではなく、国際社会として青少年のインターネット利用という課題にどのように取り組んでいるのかも考慮すべき。 ・海外の課題について、ナンセンスだと切り捨てたり、あるいは、海外の動向すべてに盲従したりするのは、どちらも間違いであり、日本の大人として日本の こどもをどうするかというのを根本的に考えるべき。 ・インターネットを取り巻く問題はグローバルな課題であり、海外事業者と取り組んでいく必要があるのではないか。 <リテラシーに係るもの>→・日本の特に学校におけるリテラシー普及の取組について 、効果測定と、それを踏まえた改善は行われてきていないのではないか。さらに、各省庁が実施している様々な取組を体系化して一元的に展開するというやり方も考えられるのではないか 。 <用語に係るもの>→・法律又はサービスの名称としての「ペアレンタル・コントロール」は、言葉上は親がコントロールするという話であるが、これはミスリーディングである。 こども達から「大人とちゃんと話し合いたい」という声があるように、大人と子どもがしっかり対話して子どもたちのための施策をつくっていくという視点に立つべきではないか。 ・「ペアレンタルコントロール」と「児童ポルノ」という用語については、前者は、子どもと保護者の話し合いと合意の下で実装されるべきものであることを 踏まえ、「ペアレンタル・ガイド/コンセント」、後者は、国連サイバー条約などでも使われているCSAMを表す「子どもの性的虐待コンテンツ」を用いるべきではないか。 <その他>→・リテラシーの向上と、有害情報の閲覧を最小化するという二本柱を内容としている環境整備法は、青少年を取り巻くリスクが多様化していること、スマートフォンが普及し、ステークホルダーが拡大していることを踏まえると、現在の状況に合わなくなっているのではないか。海外の状況を踏まえつつ、日本の実情に即した対策を考える必要があるのではないか。 ・青少年のインターネット利用という課題については、事業者と官だけではなく、こども・若者、保護者、キャリアにも焦点を当てて考えるべき。 ・SNS、通信アプリ、動画サイト/アプリ、ゲーム(チャット機能等含む)やWEBブラウザー/アプリ、WEB記事、ブログ等、多種多様なデジタルプラットフォー ム上で、子どもたちはほぼすべてのリスクに晒されている。 ・来年見直しを予定している「ビジネスと人権に関する指導原則の国内行動計画」において、こどもとインターネット、デジタルの課題についても考慮すべき。 ・オーストラリアにおける使わせないという形での対応は、「牛刀をもって鶏を割く」という感じでやり過ぎな印象がある。 ○第5回ワーキンググループまでの議論の状況について→闇バイトなど8項目への「法律による対応」「法律以外の対応」「国等による実態把握」の一覧あり。(※)「青少年有害情報」に該当する場合には、青少年インターネット環境整備法に基づき、関係事業者は、青少年がインターネットを利用して青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするため の措置を講ずるとともに、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に資するための措置を講ずるよう努めるものとされている。 ・【参考】デジタル環境の子供 改定リスク類型(2021年) 参照のこと。 ◎資料7「こども若者★いけんぷらす」による こどもからの意見の聴取 https://ikenplus.cfa.go.jp/announcements/bu5bdxkaohjnl4p2 次回は新たに「プレコンセプションケアの提供のあり方に関する検討会 〜性と健康に関する正しい知識の普及に向けて〜(第5回)」からです。 |