第4回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会資料 [2025年05月09日(Fri)]
第4回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会資料(令和7年4月11日)
1.ヒアリング等を踏まえた意見交換 2.その他 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56959.html ≪イギリスの制度概要≫ ○イギリスの制度概要│雇用施策対象の障害者定義、雇用率制度 1.雇用施策対象の障害者定義→・ 2010年平等法(Equality Act 2010)第6条第1項 「身体的又は精神的な障害、または長期的な健康不調状態のために、通常の日常生活を送る能力に実質的かつ長期的 (12ヶ月以上)に悪影響を及ぼしている者」。 ・ 特に具体的な障害種類の例や基準はなく、障害の定義による自己申告による。 自己申告された障害は、重度の知的障害(学習障害)、自閉症、精神疾患またはその他の神経障害、進行性疾患、てんか ん、目が見えにくい、心臓の血圧や血液循環に問題がある、うつ病、神経症または不安、背中や首に関する問題や障害、足または脚に関する問題または障害、腕または手に関する問題または障害、胸または呼吸の問題喘息気管支炎、糖尿病、聴覚障 害、胃、肝臓、腎臓、消化不良、重度の醜状皮膚疾患アレルギー等が挙げられる。 2.雇用率制度→・ 雇用率制度は1995年に廃止(納付金等の経済的インセンティブや罰則がなく、実効性がなかったことが理由)。 ・ ただし、政府は、2017年から2027年までに障害者の就業数を100万人増やすと公約。 2022年に既に達成されたため、2030年までにさらに100万人の障害者雇用を増やす目標を設定。 ・ また政府が主導する企業の取組み促進のための「障害者コンフィデント制度(Disability Confident employer scheme)」に おいて、認定レベル3の企業では、障害者雇用状況の自主的な報告が求められている。義務化はされていない。 ○イギリスの制度概要│助成金等支給金・税制優遇、支援機関、 一般就労における職場適応援助者等の仕組み 3.助成金等支給金・税制優遇→施設・機器に対する 助成金など一覧あり。 4.支援機関→・ジョブセンタープラス(Jobcentre Plus) ⇒納付金申請管理、職業紹介、ワークコーチや障害者雇用アドバイザーによる就労支援。 ・専門プログラム提供事業者 ⇒労働年金省等から委託を受け、ジョブコーチや訓練等のサービスを提供 5.一般就労における職場適応援助者(ジョブコーチ)等の仕組み→・自治体単位でジョブコーチの派遣を実施。 ・障害者のうち最も就労可能性の低い自閉症者や重度学習障害者へのジョブコーチ支援の可能性を自治体レベルでテストをして おり、2025年3月まで資金提供を行っている。 ○イギリスの制度概要│福祉的就労等の選択肢、重点的な雇用支援を必要とする者への対応 6.福祉的就労等の選択肢→・労働契約のない福祉目的での就労や、社会的企業は現在存在しない。 1989年以降、施策の重点は戦後の「保護雇用」から一般就労への援助付き就業プログラムに段階的に移行している。また半 国営レンプロイ保護工場は2013年に閉鎖。 ・ 政府は一般労働市場への参入支援を目的としたさまざまな援助付き雇用及び訓練プログラムを提供。プログラム継続期間中は さまざまな仕事(例:農場実習(ケア・ファーム))準備に従事し、プログラムにより一定の収入を伴う場合もある。 7.重点的な雇用支援を必要とする者への対応→・ 労働保険省(DWP)のプログラム ⇒・ (例)集中的個別雇用支援プログラム(IPES)→ • 特に就労困難性が高い障害者に、1対1のサポートや就業後の支援を実施。 • 平等法上の障害者であり、就労を阻む複雑な障壁がある者(具体的な対象者はプログラム毎に規定)が対象。 • 参加者は15か月間の集中個別支援を受け、雇用が決まればさらに6か月間のOJTサポートが受けられる。 ・ 個人配置及びサポート(IPS)プログラム⇒ ・保健社会福祉省(DHSC) 、NHSイングランドおよび改善局(NHSE/I)、労働年金省(DWP)、健康改善および 格差局(OHID)が資金を提供する共同プログラム。 ・多くは重度の精神疾患のある人、他に薬物・アルコールアディクション等の健康問題を抱える人が対象。 ・ IPS8原則に基づいた、リハビリテーションと精神保健チームが統合した個別支援を提供 ○イギリスの制度概要│雇用の場における差別禁止 8.雇用の場における差別禁止 ・差別禁止の定義(2010年平等法)→・保護特性(年齢、障害、性転換、婚姻及び市民的パートナーシップ、人種、宗教・信条、性別、性的指向)を理由とする差別を禁止する包括的な差別禁止法(平等法)の中で定義⇒・ 採用時:(a)採用者を決定するために使用者が作成した措置、(b)採用における雇用条件、(c)採用拒否についての差別を禁止(平等法39 条1 項)。 ・ 雇用契約締結後:(a)雇用条件、(b)昇進や配転、教育訓練、その他の利益、施設、サービスを受けるための機会へのアクセスを認める、また認めないこと、(c)解雇、(d)その他の不利益を与えること(同条2 項)についての差別を禁止。 ・ 対象事業主: 国家安全保障の要件に準拠する必要がある場合を除く、すべての事業主。 ・ 対象障害者: 2010年平等法上の障害者。 ・確認方法・違反時の対応→ ・ 諮問・調停・仲裁サービス(Acas) ⇒あっせんや仲裁、労使関係改善のための助言、オンラインでの情報提供。 ・ 平等人権委員会(EHRC) ⇒平等法等の遵守状況について事業主等に調査、質問、勧告の実施、平等法の内容を具体化する行為準則の制定、 政府委託のホットライン「平等助言支援サービス(EASS)。 ・ 雇用審判所/裁判所 ⇒申立、救済。 ○イギリスの制度概要│雇用の場における合理的配慮 9.雇用の場における合理的配慮 ・合理的配慮の定義(2010年平等法)→・ 使用者は、以下の3つの場面において、合理的な調整措置(reasonable adjustment)を講じる義務(調整義務)を負い(平等法39条5項)、この義務を履行しなかったときに、調整義務の不履行を理由とする差別が成立する(同法21条2項)。 @ 規定、基準又は慣行が、障害者を、障害者でない者と比較して当該事項に関して実質的に不利な立場に置く場合、その不利な立場を回避するために講じる必要があると合理的に考えられる措置を講じること(同法20条3 条) A 物理的特徴が、障害者を、障害者でない者と比較して当該事項に関して実質的に不利な立場に置く場合、その不利な立場を回避するために講じる必要があると合理的に考えられる措置を講じること(同条4項) B 障害者が、補助的支援の提供がなければ、障害者でない者と比較して当該事項に関して実質的に不利な立場に置かれる場合、補助的支援を提供するために必要と合理的に考えられる措置を講じること(同法5項) ・ 対象事業主・障害者:「8.雇用の場における差別禁止」と同一 ・ 確認方法・違反時の対応:「8.雇用の場における差別禁止」と同一 ○イギリスの制度概要│雇用の質向上の施策 10.雇用の質向上の施策→ 「障害コンフィデント」制度 ↓ ・概要 ⇒様々な産業分野の事業主と障害者の代表者で形成される会員制度。2016年から開始。 事業主会員は3段階のレベルがあり、3年で更新。障害者の雇用状況や改善活動を評価するとともに、会員に継続的なサポートとガイダンスを提供する。 ・ 会員のメリット ⇒事業主会員は障害者雇用におけるリーダーとして評判を高め、包摂的な事業主として認知される。 登録した事業主は、ロゴマークをウェブサイトや求人広告に使用可能。 ・実績 ⇒ 2025年2月現在、約2万事業主が登録(レベル1が74%、レベル2が22%、レベル3が3%) ○(参考)障害コンフィデント制度のレベル別基準→レベル1(Committed)、レベル2 (Employer)、レベル3(Leader)の各レベルの概要、基準の例・一覧表あり。 ○イギリスの制度概要│障害福祉分野における対象障害者 11.(参考)障害福祉分野における対象障害者※ ・ 法律上の定義は、「1.雇用施策対象の障害者定義」と同様。 ・ 対象者の認定は、個々の給付に紐づいて行われ、その方法は給付によって異なるが、概ね以下。→ • 医学的診断(医師の診断による数値化) ⇒保健省への視覚障害の登録、労働年金省による障害年金の給付の認定等、 • 就労に関連する能力の評価 ⇒労働年金省による障害年金給付にあたっての労働能力評価(Work Capability Assessment:WCA)、個人自立 給付(Personal Independence Payment:PIP)の認定 等、 • 支援の必要性の評価 ⇒地方自治体による各種現金・現物給付の認定、教育における特別な支援のニーズや障害(Special Educational Needs and Disabilities:SEND)がある青少年の認定、労働年金省の就労支援機関であるジョブセンター・プラスによる就職支援(Access to Work)の給付の認定 等。 ≪日本の制度概要≫ ○日本の制度概要│雇用施策対象の障害者定義、雇用率制度 1.雇用施策対象の障害者定義→・障害者の雇用の促進等に関する法律(促進法)第2条第1号 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に 相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者。 2.雇用率制度→ ・法定雇用率 2.5%(2024年度)、 2.3%(2023年度)。 ・ 実雇用率 2.41%(2024年6月1日時点)、2.33%(2023年6月1日時点)。 ・ 達成企業割合 46.0%(2024年6月1日時点)、50.1%(2023年6月1日時点) ・対象事業主 ⇒常用雇用労働者数40人以上の事業主(2024年度) ・ 対象障害者 ⇒身体障害者※1、知的障害者※2、精神障害者※3(精神者保健福祉手帳を所持するの交付を受けているものに限る。) ※1 促進法第2条第2号の身体障害者(促進法別表に掲げる障害の範囲に該当する者。原則として身体障害者手帳所持者に同じ。) ※2 同条第4号の知的障害者(児童相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医又は障害者地域職業センターにより知的障害があると判定された者。 原則として療育手帳所持者に同じ。) ※3 同条第6号の精神障害者。 ・達成方法 ⇒直接雇用のみが対象。週所定労働時間、重度障害者区分に応じたカウント制度や、特例子会社、関係子会社、事業協同 組合等の特定事業主に雇用される労働者の算定特例の制度もあり。 ・ 達成状況の確認方法 ⇒毎年6月1日時点の雇用状況をハローワークに報告。 ○日本の制度概要│納付金等の徴収金、助成金等支給金・税制優遇、 支援機関 3.納付金等の徴収金→ ・障害者雇用納付金制度:雇用義務不足1人当たり月5万円 4.助成金等支給金・税制優遇→施設・機器に対する助成金等6種別あり。 5.支援機関 →・ハローワーク ⇒職業相談・紹介、求人の開拓、求人条件の指導、職業指導、障害者職業センターとの連携、適応訓練のあっせん、事業主 に対する助言・指導。 ・地域障害者職業センター ⇒職業評価、職業指導、職業準備訓練、職場適応援助、事業主への助言、関係機関への助言。 ・障害者就業・生活支援センター ⇒雇用、保健福祉、教育等の関係機関の連携拠点、就業・生活面の一体的な相談・支援。 ○日本の制度概要│一般就労における職場適応援助者等の仕組み、 福祉的な就労等の選択肢 6.一般就労における職場適応援助者(ジョブコーチ)等の仕組み→・平成14年(2002年)の法改正にて、職場適応援助者事業を創設。現在は、配置型ジョブコーチ、訪問型ジョブコーチ、企業 在籍型ジョブコーチの3種類。 7.福祉的就労等の選択肢→・ 福祉的就労⇒・ 就労継続支援A型 通常の事業所での雇用が困難であって、適切な支援により雇用契約に基づく就労が可能な障害者企業等の雇用に結び つかなかった者が対象。利用期間制限はなし。利用者は法定雇用率上算定される。 ・ 就労継続支援B型 就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識・能力の向上・維持が期待される障害者が対象。 利用期間の制限なし。雇用契約はなく、利用者は法定雇用率上算定されない。 ・ 企業の特例制度⇒・特例子会社: 事業主が障害者の雇用に特別の配慮をすることとして設立する子会社。特例としてその子会社に雇用されている労働者を、 親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率算定可。 ○日本の制度概要│重点的な雇用支援を必要とする者への対応、 雇用の場における差別禁止、合理的配慮 8.重点的な雇用支援を必要とする者への対応→・雇用率の複数カウント ⇒身体障害者及び知的障害者のみ「重度」の定義があり、雇用率上のダブルカウントが可能。 ・ 重度障害者等を対象とした助成金 ⇒重度障害者等の雇用を対象とした助成金制度(施設設置、通勤対策)あり。 9.雇用の場における差別禁止 ・ 定義→・労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならず、また、賃金の決 定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者で ない者と不当な差別的取扱いをしてはならない。 ・ 対象事業主:すべての事業主。 ・ 対象障害者:促進法上の障害者(手帳所持者に限定されない)。 ・確認方法・違反時の対応 ⇒ハローワークにて助言・指導・勧告を実施。紛争に発展した場合、都道府県労働局が助言・指導・勧告を実施。 ○日本の制度概要│雇用の場における差別禁止、雇用の質向上の施策 10.雇用の場における合理的配慮→・定義⇒ ・労働者の募集及び採用について、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するた め、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならず、また、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働 者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、 事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときはこの限りではない。 ・対象事業主・障害者:「9.雇用の場における差別禁止」と同一 ・確認方法・違反時の対応:「9.雇用の場における差別禁止」と同一 11.雇用の質向上の施策 ・障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定) ⇒障害者雇用の促進及び雇用の安定に関する取組の実施状況などが優良な中小事業主に対する認定制度。 ・責務規定の見直し ⇒事業主の責務に「職業能力の開発及び向上に関する措置」が含まれることを明確化。 ○(参考)障害者手帳種別の雇用されている者の割合推移→•平成23年・平成28年・令和4年の生活のしづらさなどに関する調査(厚生労働省)における手帳保有者別の雇用されている者の割合※1を見ると、各年度で一部設問が異なるため厳密な比較はできないが、10年間で身体障害者は+14.7pt、知的障害者は+6.1pt、精神障害 者は+12.9pt上昇。 ≪我が国と諸外国の統計情報の比較≫ ○我が国と諸外国の統計情報の比較│ 日本における国際的な「障害者」を捉える設問の導入 →• 我が国の障害者統計について、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(第V期。平成30年3月6日閣議決定)等を受けて内閣府が 行った「令和元年度障害者統計の充実に係る調査研究」を踏まえ、国際的動向との整合性や障害種別・程度に応じた把握・分析が一定程 度可能な設問(「ワシントングループ」・「欧州統計局」の設問)を、国民生活基礎調査・社会生活基本調査に導入している。 ○(参考)ワシントングループ・欧州統計局の設問 ・ワシントングループ→日常生活における6つの機能(視覚、聴覚、歩行、認知、セルフケア、コミュニケーション))それぞれについて、 苦労の程度を4段階(「苦労はありません」、「多少苦労します」、「とても苦労します」、「全くできません」)で尋ねる形式。1つでも「とても苦労します」「全く出来ません」のいずれかの選 択肢を選んだ者』を障害者と定義することが推奨されている。 ・欧州統計局の設問→MEHMは健康を次の3つの異なる概念から特徴付ける設問のセット。⇒ •自身が認識している健康状態 •慢性的な健康問題、慢性疾患 •活動における制限 •これらの設問からなるMEHMは欧州統一生活時間調査や欧州健康面接調査、欧州連合・所得と生活状況に関する調査等の複数の個別の統計調査の欧州 統計局におけるガイドラインにおいて使用。 ○我が国と諸外国の統計情報の比較│ ワシントングループ障害設問における障害者率、就業率→•ワシントングループ障害設問を設置している国民生活基礎調査及びアメリカ地域社会調査において、調査手法が異なるため単純な比較は困 難であるが、生産年齢人口において、いずれか1つ以上の障害があると回答した者は日本で416万人で、同じ年齢の人口の6.8%、アメリカ は2,201万人で、同じ年齢の人口の11.0%にあたる。 •就業率を比較すると日本は67.3%(障害がない者の就業率-10.5%pt)に対し、アメリカは44.5%(同-34.4%pt)。 ○(参考)国民生活基礎調査及びアメリカ地域社会調査において該当する設問→障害を捉える設問、仕事をしている者を捉える設問あり。 参照。 ○我が国と諸外国の統計情報の比較│ 欧州統計局の障害設問における日常生活に支障がある者の割合・就業率→•欧州統計局の設問のあるEU-SILC調査は、所得、貧困、社会的排除、生活条件に関するデータ収集を目的とした調査であり、2018年の 調査結果において、ドイツ・フランス・イギリスの、16~64歳で日常生活に支障がある者の割合は18~24%。 •同対象者の3か国の就業率は、50~58%で、日常生活に支障がない者の就業率と比較すると、ドイツが-31.4%pt、フランスが-18.2%pt、 イギリスが-26.9%pt低い。 ≪諸外国の制度特徴・日本との比較≫ ○諸外国の制度特徴│ドイツ・フランス→ • ドイツ・フランスは、雇用率制度があり日本よりも高い雇用率を設定。雇用率制度の対象外でも個別認定により対象者となることも可能。また 納付金額は、達成率が低い企業や複数年未達成の企業に特に厳しい仕組みであり、金額もドイツでは不足一人当たり月最大約11.5万円 や、フランスでは3年以上雇用義務違反時に不足数×最低賃金時給×1,500倍(年額)など日本よりも高い。包摂事業所や適合企業な ど社会的雇用の位置づけられる雇用の場もあり、一定労働市場に介入しながら雇用を推進していると言える。 ○諸外国の制度特徴│アメリカ・イギリス→ • 一方、アメリカ・イギリスは、雇用率制度はなく(アメリカでは一部雇用目標のみあり)、差別禁止と合理的配慮を適用のもと、助成金や支援 機関によって一定の就労支援を行った上で、原則雇用は市場に任せていると言える。 • 福祉的就労等の選択肢も限定的で、福祉的就労等から援助付き就業モデルによる一般企業の包摂性の向上に一本化していく方向性である。 ○日本と諸外国との比較→•日本は、前述の2パターンの間のような形をとっていると言え、労働市場の状況を踏まえた雇用率制度の中で事業主に一定の雇用義務を課し つつ、障害者が「労働者」として職業的に自立する存在とすることを目指している。また、一定の超過コストに対しては調整金等や助成金によっ て調整している。企業の意識も高まりを見せ、雇用率に近い実雇用率や、雇用率制度以外も含めた高い就業率、早期のジョブコーチ制度導 入などによる障害者雇用の推進などの成果を上げている。 ○(参考)諸外国の制度の特徴一覧表→今までの各国制度の特徴をまとめたもの。 ◎参考資料1:今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会参集者→14名。 次回は新たに「第10回 子ども・子育て支援等分科会」からです。 |