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プレコンセプションケアの提供のあり方に関する検討会 〜性と健康に関する正しい知識の普及に向けて〜(第4回) [2025年04月23日(Wed)]
プレコンセプションケアの提供のあり方に関する検討会 〜性と健康に関する正しい知識の普及に向けて〜(第4回)(令和7年4月2日)
議事 プレコンセプションケア推進5か年計画(案)について
https://www.cfa.go.jp/councils/preconception-care/f5c4a177
◎資料1 開催要項(改訂)
プレコンセプションケアの提供のあり方に関する検討会
〜性と健康に関する正しい知識の普及に向けて〜 の開催について
1 目的
男女を問わず、性や妊娠に関する正しい知識の普及を図り、健康管理を促すプレコンセプションケアについては、「経済財政運営と改革の基本方針2024」(令和6年6月21日閣議決定)において、「相談支援等を受けられるケア体制の構築等 プレコンセプションケアについて5か年戦略を策定した上で着実に推進する」旨 が盛り込まれた。 こうした点を踏まえ、有識者の参集を得て、プレコンセプションケアに係る課題と対応について整理を行い「プレコンセプションケア5か年パッケージ(仮称)」 の策定等を行うことを目的として、「プレコンセプションケアの提供のあり方に関 する検討会〜性と健康に関する正しい知識の普及に向けて〜」を開催する。

2 構成等
(1)本検討会は、こども家庭庁成育局長が、別紙の構成員の参集を求めて開催。
(2)本検討会の座長は構成員の互選で選出。座長は座長代理を指名することができる。
(3)本検討会は、座長又はこども家庭庁成育局長が必要であると認めるときは、 構成員以外の関係者等の参加を求めることができる。
(4)本検討会の下に、ワーキンググループ(以下「WG」)を設置すること ができる。WGは、本検討会の構成員のほか、より幅広い見地からの検討が可能となるよう座長の意見を踏まえて、こども家庭庁成育局長が選任する外部の者が構成員として参画するものとする。
(5)本検討会の庶務は、成育局母子保健課が行う。
(6)この要綱に定めるもののほか、本検討会の運営に関し必要な事項は、座長が こども家庭庁成育局長と協議の上、定める。

3 主な検討事項 (1)プレコンセプションケア5か年パッケージ(仮称)の策定に関する事項 (2)その他
4 その他
本検討会の議事、資料及び議事録は、原則として公開とする。 ただし、公開することにより、個人情報の保護に支障を及ぼすおそれがあ る場合や自由闊達な意見交換に支障があると判断される場合など、非公開にする必要があると座長が認めた場合には、議事を非公開とすることができる。 この場合、資料や議事の内容についても、非公開にする必要があると座長が認めた場合は、その理由を明示するとともに、座長が認める範囲において資料や議事要旨を公開する。

○別紙・プレコンセプションケアの提供のあり方に関する検討会 〜性と健康に関する正しい知識の普及に向けて〜 構成員名簿→19名。


◎資料2 プレコンセプションケア推進5か年計画(案)↓
T.背景と経緯
→〇 医療の進歩により、先進国の周産期死亡率や母体死亡率等の母子保健指標は 20 世紀 に入り劇的に改善したが、1990年以降、その進捗は鈍化した。 〇 女性の健診機会等を通じた妊娠前スクリーニング、アセスメント、ヘルスプロモーションの重要性が提唱されたのは 1980 年代にさかのぼる。妊娠前の肥満や糖尿病等の健康問題を抱えた妊娠が、周産期死亡率や母体死亡率等の増加要因として指摘されたことも踏まえ、2006 年に米国疾病管理予防センター(CDC)が、「女性の健康の妊娠転帰に対する医学的・行動的・社会的リスクを、予防と管理を通じて特定・修正することを目的とした一連の介入」を、プレコンセプションケアとして提唱した。 〇 2012 年には世界保健機関(WHO)が、プレコンセプションケアを「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」と定義し、対象者の健康状態を改善し、 母子健康アウトカムに影響しうる行動や個人的・環境要因を減らすことを目的とした。 〇 2012 年以降、諸外国(米、英、豪等)では、プレコンセプションケアを国家戦略や国家的目標に取り入れ、サーベイランス指標を設定している。また、プレコンセプションケアに関する 保健医療関係者向けガイドラインを策定している国もある。 〇 プレコンセプションケアに関連する国内の課題としては、1970 年頃から 2000 年代にかけ て出生数における低出生体重児の割合が増加し、その後 9.5%前後で推移していることや、20 歳代から30歳代の女性のやせの者の割合が約20%に達しており、特に若年女性はエネルギー、栄養素等の摂取が十分ではないというデータが示されている。 〇 このような状況も踏まえ、2018 年以降、プレコンセプションケアが政府の方針にも組み込まれた。「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」(平成30年12月14日公布)に基づく「成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針」(令和 3年2月9日閣議決定)において、「安心・安全で健やかな妊娠・出産、産後の健康管理を支 援するため、プレコンセプションケアの実施などの支援を求める者や、支援が必要と認められる成育過程にある者等に対して適切に支援を実施するなど、需要に適確に対応した切れ目のない支援体制を構築する」こととされている。 〇 同基本方針は、令和5年3月 22 日の閣議決定で改定されたが、引き続き、「男女を問わず、性や妊娠に関する正しい知識の普及を図り、健康管理を促すプレコンセプションケアを推進する」こととされた。 〇 また、こども未来戦略(令和5年12月22日閣議決定)においては、「女性が、妊娠前から妊娠・出産後まで、健康で活躍できるよう、国立成育医療研究センターに、「女性の健康」に 関するナショナルセンター機能を持たせ、女性の健康や疾患に特化した研究や、プレコンセ プションケアや産後ケア事業を含む成育医療等の提供に関する研究等を進めるとともに、 基礎疾患のある妊産婦や妊娠を希望する女性等に対する妊娠と薬に関する相談支援を進 める」こととされた。 〇 さらに、経済財政運営と改革の基本方針2024(令和6年6月21日閣議決定)においても、 「相談支援等を受けられるケア体制の構築等、プレコンセプションケアについて5か年戦略 を策定した上で着実に推進する」こととされた。 〇 現在、こども家庭庁においては、 ・ 健康相談支援サイト「スマート保健相談室」や「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」普及啓発リーフレットの作成・配布、成育医療等の提供に関するデータ分析・ 支援等推進事業により正しい知識の普及を図るとともに、 ・ 性と健康の相談センター事業において、相談支援体制の整備を進め、 ・ 基礎疾患のある妊産婦等への妊娠と薬に関する相談支援事業や、基礎疾患を持つ方に 対するプレコンセプションケアの情報提供の充実のための研究において、専門的な相談 支援体制の整備を進めている。 〇 一方、特に若い世代が自分の将来を展望する際に、性や健康・妊娠に関する様々な疑問を持ちつつも、その正しい知識の取得方法や、相談する場所・手段については、必ずしも広く知られていない。また、中高生、大学生、キャリアとのバランスを検討している20代、具体的に妊娠を考えている方等、対象により必要とする情報が異なる現状・課題がある。 〇 こうした状況や、背景も踏まえ、プレコンセプションケアに係る課題と対応について整理を行い、今後5年間の取組の基盤となる計画の策定等を行うことを目的として、「プレコンセプ ションケアの提供のあり方に関する検討会 〜性と健康に関する正しい知識の普及に向けて〜」を設置した。 〇 また、検討会においては、若い世代のニーズを踏まえ、有識者の知見を得ながら、プレコ ンセプションケアに関係する以下の点を中心に議論を進めることとした。 ・ 性や妊娠に関する正しい知識の普及と情報提供のあり方 ・ 妊娠を考える方や若い世代の健康管理に関する相談支援のあり方 〇 あわせて、二つのワーキンググループを設置し、医療機関等における専門的な相談及び 自治体・企業・教育機関等における一般相談に対応するためのマニュアルの作成を行うこ ととした。

U.プレコンセプションケアの概念及び現状・課題とその対応にあたっての基本的な考え方
1. プレコンセプションケアに関する概念の普及
(プレコンセプションケアに関する概念の普及の重要性)
→〇 プレコンセプションケアは元来、周産期死亡率の低下や新生児予後の改善を目的とし た、健康な妊娠・出産を目指す「妊娠前のケア」という概念であったが、前述のとおり、現在はそれにとどまらず、生涯にわたり、身体的・精神的・社会的(バイオ・サイコ・ソーシャル)※に健康な状態であるための取組として、「性別を問わず適切な時期に性や健康に関する科学的に正しい知識や情報を持ち、健康管理を行う」概念である。 ※課題に対して、生物的(身体的)・心理的・社会的観点から多面的に評価や介入を行うこと。 〇 プレコンセプションケアの概念を理解し、知識を得て、実践に繋げることで、今の健康、 将来の健康、そして未来の家族の健康がより良いものになることは、仕事、妊娠・出産や 子育て等、自身の可能性を広げることにも繋がるといえる。 〇 一方、本検討会で取り上げた多くの調査等において、「プレコンセプションケア」という言葉やその概念については、9割以上が「知らなかった」と回答しており、プレコンセプションケアという言葉自体の認知度は低く、また、プレコンセプションケアに関する知識の重要 性についても、十分に普及しているとは言えない現状がある。 〇 こうした状況を踏まえると、こどもから成人期に至るまで、性別を問わず全ての人が、発達段階や状況に応じてプレコンセプションケアという概念を知り、それに関する知識につ いて、適切に身につけることは、重要であり、今後、プレコンセプションケアを広く普及させ ることが求められる。
(ライフステージに応じた概念の普及)
→〇 性に関する情報に関心を持つタイミングは個々により異なるものと思われるが、SNSの普及等により、情報が多くある中で発信元が不明確な場合もあり、真偽の見極めが困難 な実情もある。また、自発的な関心がなければ、有用な情報を得ても、知識として定着させることは困難であることも踏まえ、国として、正確な情報を発信することが求められる。 〇 若い世代に対するプレコンセプションケアにおいては、性交渉、避妊、性感染症に関す る情報提供や指導等による適切な知る機会の確保も重要となる。さらには、ジェンダーの平等、多様な性、身体の尊重等についての情報提供を適切なタイミングで行う必要があり、知識を得るだけでなく、実践に繋げられるような工夫が求められる。それぞれの心や 身体の違いについて理解を醸成する機会づくりが必要である。 〇 関連して、学校教育においては、カリキュラム・マネジメントとして、例えば、幼稚園から 高等学校段階までに「生命尊重」、「生物的側面」、「心理的側面」、「社会的側面」の4項 目について、性に関する教育を系統的かつ教科等横断的に行うなど、様々な取組がなされている。 〇 他方、「人権的アプローチを段階的に学んでいくカリキュラムを充実させること」、「包括的性教育の仕組みを参考とすること」等の様々な意見を踏まえ、プレコンセプションケアに関する取組と学校現場の教育とが、整合的に進めていくことが重要。 〇 また、各ライフステージにより、必要な知識も変化するため、ターゲット層に応じた適切な情報提供が必要であり、就業後も企業等において、プレコンセプションケアに関する知 識を普及させることが求められる。 〇 以上のとおり、プレコンセプションケアに関する概念を学ぶことができる環境整備を行い、各ライフステージにおいて、性別や世代を問わず、普及を図ることが重要である。その際、性や健康・妊娠に関しては、自身だけでなく、パートナーやこどもの健康についても 十分に理解した上で必要な行動が促されることが重要である。
2. プレコンセプションケアに関する相談支援の現状→〇 プレコンセプションケアに関する相談は、避妊や性感染症等の性行為に関する相談、予期せぬ妊娠、メンタルヘルスケア、不妊症相談等多岐に渡る。 〇 プレコンセプションケアに関する相談支援先として、自治体における「性と健康の相談センター」や、関係学会・団体や医療機関、教育機関、企業等による相談支援等がある。 〇 一方、これらについては、必ずしも相談場所として広く知られていない現状がある。また、人員不足等により、相談への対応方法や時間等、住民のニーズに合った相談支援体 制を構築できていないという実情もある。 〇 さらに、プレコンセプションケアに関する問題を抱えており、医療機関を受診する必要のある状況でも、産婦人科や泌尿器科等を受診することに心理的な抵抗があり、必要なタイミングで受診できない場合がある。 〇 そのため、プレコンセプションケアに関する悩みを持つ若い世代の方が、今後、より相 談しやすくなるような体制づくりが必要である。
3. 専門的な相談支援体制の強化→〇 若年女性に多く見られる、糖尿病、高血圧、甲状腺疾患、関節リウマチ、精神疾患等の 基礎疾患を持つ方に対するプレコンセプションケアや、前回の妊娠で産科合併症があった方に対する「女性およびその次児の健康転帰を改善するために、妊娠と妊娠の間に提供されるケア」であるインターコンセプションケアは安心・安全な妊娠・出産のために重要である。 〇 基礎疾患のある女性に対するプレコンセプションケアにおいては、基礎疾患の病状等 に応じて妊娠の時期や治療方法を決定する必要がある。一方で、かかりつけ医等により 基礎疾患に関連した妊娠・出産のリスクについて十分な情報提供を受けないまま、妊娠する方がいる実情や、かかりつけ医等と産婦人科医が円滑に連携できていない場合もある。 〇 このような現状も踏まえ、今後、基礎疾患のある女性がより安全・安心な妊娠・出産に臨めるよう、産婦人科以外の医師もプレコンセプションケアに関して十分な知識を付け、 さらに、かかりつけ医と産婦人科医が適切に連携するための情報提供に役立つ資材の作成が必要である。

V.今後5年間の集中的な取組
1. 性や健康に関する正しい知識の普及と情報提供
(1) プレコンセプションケアに関する知識の深化
→〇 プレコンセプションケアとは、「性別を問わず適切な時期に性や健康に関する科学的に正しい知識や情報を持ち、健康管理を行う」概念であり、この概念の理解が進むよう、国として情報発信を行う。 〇 プレコンセプションケアに関して、国が発信する情報を今後5年間でさらに充実させ、 正確な情報が普及するよう体制を強化する。対象となる世代の情報獲得の手段に関する行動特性を踏まえ、SNS等を活用した情報発信や学習、研修を目的とした資材の提 供等を行うことで、プレコンセプションケアに関する知識をより深化させる。 〇 「プレコンセプションケア」という言葉の認知度が低いというデータもあるが、若い世代からは、「プレコンセプションケア」という用語及び「プレコン」という略称については、記憶に残りやすい、若い世代の認知度が上がることで親世代の認知度が上がることに繋 がることが期待できる、という意見があった。一方で、プレコンセプションケアという用語 丁寧に説明していくことの重要性についても言及があった。 〇 このような意見を踏まえ、若い世代へ情報発信を行う際は、SNS等を含めて、流行も適宜取り入れ、ニーズに合った媒体の活用や、若い世代が集まる場所での発信を検討 する等、気軽に情報を入手でき、興味を持つような工夫・取組を行う。また、例えば対象 に応じて、「プレコンセプションケア」をより身近に感じられるよう適宜言い換えたり、短い補足※を付け加えたりすることにより、概念の理解促進や関心を高める効果も期待される。 ※例えば、若い世代への発信の際に「今を見つめる、いつか思う“たいせつ”のために」、「今の私たちの過ごし方が、未来の自分をつくる」等の補足を付け加えることなども考えられる。 〇 なお、性差医学の視点から、たとえ同じ健康問題であっても、罹患のしやすさ、その症 状や経過、最適な対処方法や予防措置は性別や年代によって異なることを理解し、生涯を通じて健康に過ごすための知識を身に付け、取り組むことが重要である。健康に 関する知識を深めるための情報提供においても、@生物学的性差、A社会的文化的性差(ジェンダー)、Bライフステージや年代による変化を考慮することが大切である。 〇 また、各ライフステージを通じて、知識を深める機会が定期的に設けられることが理想であるため、各世代がプレコンセプションケアについて知ることができるイベントを開催する。 〇 SNSやイベントの開催等を通じて、プレコンセプションケアの概念の若い世代への認知度を5年後に80%を目指す。
(2) プレコンセプションケアの具体的な内容とその対象について→〇 食事・運動・睡眠・飲酒・喫煙等の生活習慣と健康管理に関する知識や、妊娠と出産に向けて特に重要となる知識等、プレコンセプションケアに関して幅広い内容を発信するとともに、自治体・企業・教育機関とも連携し、プレコンセプションケアに関する知識を 得る機会を提供する。 〇 特に次に掲げる項目について、重点的に取り組む。
@ 若い世代の健康管理や性についての知識の深化→〇 若い世代においても、健康管理のために栄養バランスのよい食事や、適度な運動、十分な睡眠をとる等の理想的な生活習慣に関する知識とその必要性は認識され ているが、実際にどのような行動をとるべきかわからないという声もある。また、若い 世代のやせや肥満が課題となっている。そのため、一般論よりも、より具体的な参考 指針や事例を提供する。 〇 また、特に若い世代の女性において、月経痛等で日常生活に支障が生じていても、産婦人科を受診することに高い心理的ハードルを感じている女性もいるため、相談先も含め適切な対処法に関する情報を提供し、悩みの解消に繋げる。 〇 さらに、子宮内膜症や子宮筋腫等の比較的頻度の高い婦人科疾患について情報提供を行い、特に症状がある場合においては産婦人科への受診を促す。 〇 性に関する知識を得て、実践に繋げることは、心身の負担を伴う予期せぬ妊娠の ケースを防ぐことに繋がる。一方で、どれだけ情報提供や指導を充実させたとしても、このような予期せぬ妊娠を完全には防ぐことができないということを前提とすべき といった意見も踏まえ、起きたときにどこに相談し、対応するかという手段についても 周知する。 A 健康な妊娠と出産についての知識の深化→〇 適切な栄養・食生活を含む生活習慣と妊よう性(妊娠しやすさ)の関係、胎児の重篤な疾病(神経管閉鎖障害)の予防に必要な葉酸の摂取、妊娠中の感染症や胎児の疾病の予防のためのワクチン接種等の取組、基礎疾患と妊娠の関係、飲酒、喫煙、薬物摂取等の胎児に対する影響等の妊娠前から知っておくべき知識について、 性別問わず理解し、取り組むべきプレコンセプションケアについての情報提供を強化する。 〇 また、妊娠を望む健康な男女が一定期間妊娠に至らない場合には、医療機関への 受診が推奨されていることから、これらの男女が、不妊の定義やその原因について 理解し、適切なタイミングで医療機関を受診できるよう情報提供を行う。 〇 今般、妊娠を将来希望している若い世代、特に女性に対して、将来の妊娠に関連し た検査や卵子凍結等が実施されているが、疾病等と関連した妊よう性の温存につい てなど、更なる知見の収集も必要である。国においては、卵子凍結等に関する調査 研究を行い、実態の把握や知見の収集に努めるとともに、これらに関する正しい知 識の普及のために必要な環境整備を行う。 〇 将来妊娠やこどもを希望するかわからない場合においても、妊よう能は年齢の影 響を受けること、男女の年齢や生活習慣等が、出産だけでなく、子に影響を及ぼす 可能性があることを若い世代のうちから知ることができるよう、適時に情報提供を行 う。
〇 ライフプランを考えるうえで、ライフステージに応じて、適切な時期から妊娠や健康 等に関する知識を知ることは極めて重要であり、学校教育等を含め、若い世代から、 こうした正しい知識を得る機会を提供する。
(3)自治体・企業・教育機関等でのプレコンセプションケアについての取組のサポート→〇 プレコンセプションケアについて、対象者における「当事者意識」を醸成し、必要な 情報提供を行う観点から、地域や現場の状況やニーズも踏まえつつ、自治体・企業・ 教育機関等において、プレコンセプションケアに関する講演会を開催することも有用。 〇 プレコンセプションケアに関する講演会には医師や助産師等の外部講師の派遣や、講演会の資料作成が必要であり、人材育成や講演会の資料提供について、国立成育医療研究センターの協力も得ながら、国によるサポートを行う。 〇 プレコンセプションケアに関する知識の普及を、自治体・企業・教育機関等の地域 や社会全体で実施していく必要があることから、国においては、プレコンセプションケ アに関する講演会の企画を行う等の普及啓発を行う人材育成等を進める。 〇 さらに、自治体・企業・教育機関等における好事例の横展開を行うことも有用であ り、こども家庭庁のホームページ等において、好事例の紹介を行う。
(4)プレコンセプションケアの普及に係る人材育成→〇 ワーキンググループにおける検討を踏まえ、自治体・企業・教育機関等において、 性や健康に関する正しい知識の普及を図り、健康管理を行うよう促す「プレコンサポ ーター」の人材育成を行う。
(プレコンサポーターとは)→〇 プレコンセプションケアを推進することを目的とし、自治体・企業・教育機関等において、性別を問わず、性や健康に関する正しい知識の普及を図り、健康管理を行うよう 促す人材を「プレコンサポーター」とする。 〇 プレコンサポーターは、職種に限定されない、希望する方が誰でも参加できる制度とし、プレコンセプションケアに関する研修を修了した後、プレコンサポーターとして各 自がプレコンセプションケアに関する情報発信や企画、多職種・多機関との連携促進 等の活動を行う。
(プレコンサポーターに期待される具体的な取組と具体的な人材の例)↓
<自治体>
→・ 自治体では、住民のニーズに応じたプレコンセプションケアに関するセミナーや個別 相談会、学校(小中学校・高校・大学等)への出前講座、自治体職員向けのプレコン セプションケアに関する研修の企画及び実施等を行う。また、自治体の広報誌、公式 ウェブサイト、SNS等を活用し、プレコンセプションケアに関する最新情報の発信や 相談窓口を住民に周知することも有用である。 ・ プレコンサポーターを担う人材としては、例えば、保健師等の専門職種や、施策の 企画立案に関わる事務職員等が想定される。 <企業>→・ 企業では、プレコンセプションケアに関する社員への情報提供や講演会、新人・管理 職向け研修の企画及び実施、プレコンセプションケアを踏まえた就業規則や福利厚 生等に係る取組の実施、産業医等の社内医療関係者と連携し、一般健康診断の項目にプレコンセプションケアに係る視点の追加やアドバイスの実施等を行うことが期待される。また、プレコンサポーターの在籍を公表するなどにより、社員の健康意識 向上を促すことも有用である。さらに、これらの取組により、プレコンセプションケアに 力をいれる企業として、人材採用の際のアピールに繋がることも期待される。なお、 プレコンセプションケアの推進は社員の健康と福祉を向上させることを含めて、企業 としての社会的責任(CSR)を果たし、持続可能な労働環境を構築する上でも重要。 ・ プレコンサポーターを担う人材としては、例えば、就業規則や福利厚生等に関わる 人事担当者や、産業医や産業保健師等が想定される。
<教育機関>→・ 教育機関では、保護者の理解も得ながら、専門職による出前講座や個別相談の企 画や実施等を行う。地域の医療機関や保健センターと連携し、保護者も含めて、プレコンセプションケアに関する情報提供を行う。 ・ プレコンサポーターを担う人材としては、例えば、教育委員会の職員等が想定される。  〇 以上の通り、プレコンサポーターは様々な職種を含むものであることから、研修は、プ レコンセプションケアを促すために必要となる基礎知識を身に付けるための内容を基本とするが、プレコンサポーター自身が医療従事者である場合等、専門的な個別相談にも対応に役立つ研修も追加で受講することが可能である。 〇 それぞれの地域におけるプレコンサポーターの活動の展開を通じて、社会全体として性や健康に関する理解が深まり、必要な方が適切な支援に円滑に繋がることが期待される。 〇 以上の取組により、自治体・企業・教育機関等合わせて、5年間でプレコンサポーター 5万人以上の養成を目指す。 〇 また、プレコンサポーターの養成も含め、自治体・企業・教育機関等におけるプレコンセ プションケアについては、下記の目標を設定する。
〈自治体の目標〉→・ 今後5年間で性と健康の相談センター事業※の取組を行う自治体を100%とする。 ※実施主体:都道府県、指定都市、中核市(連携して行う場合も含む) ・ 自治体職員のプレコンサポーターの研修受講やプレコンセプションケアの普及啓 発等も含め、全ての自治体でプレコンセプションケアに関する取組を実施する。 〈企業の目標〉 ・ 今後5年間で、国内の企業の80%がプレコンセプションケアに関する何らかの取 組を実施していることを目指す。 ・ 今後5年間で、希望するすべての学校等が、プレコンサポーターによる支援を受けられることを目指す。

2. プレコンセプションケアに関する相談支援の充実【一般相談】→〇 相談支援体制の充実においては、関係機関との連携体制の強化を図るとともに、必要に応じて都道府県等による広域調整を含め、地域格差のないよう取組を行う。 〇 日中の相談支援の他に、夜間対応の実施や、対面のみならず電話、オンライン面談、メールやSNSの活用等、相談者の実情に応じて相談しやすいような環境づくりに取り組む。 〇 また、相談者が気軽に性や健康・妊娠に関する悩みを相談できるよう、自治体等における「性と健康の相談センター」に加え、身近な地域の医療機関等において、専門家による 相談支援体制の整備を図る。また、大学等においては、構内の保健管理センターにおい て同様の相談を行っていることについても周知を行う。 〇 相談は時として、心身の負担を伴う、予期せぬ妊娠、性暴力、自殺企図等、非常に機微 な内容を含む場合もある。また、相談者が事前にSNS等で情報を収集し、一定の知識を 持って相談を行うことも想定されることから、相談員の研修では、幅広い知識や最新の医 療情報を提供するとともに、こうした相談があった場合の対応についても習得できるような内容とする。また、相談者が精神的な支援等、性や健康以外の側面からの支援が必要になる場合は、速やかに自治体等の支援に繋げられるよう必要な情報提供を行う。 〇 相談者が若い世代である場合、その親も重要な役割を果たしている場合もあることから、親世代にも性や健康・妊娠に関する知識や相談窓口について周知や広報啓発を行うことで、親自身の理解や悩みの解消に繋がる。これにより、性や健康・妊娠に関して悩んでいる若い世代に対する理解が進むとともに、相談者としての役割を果たすことも期待される。相談しやすい環境整備に加え、若い世代と親世代に向けた広報活動やスマート保 健相談室等のコンテンツの充実と普及を通じた、相談窓口の認知に努める。 〇 今後5年で、性と健康の相談センター等の、プレコンセプションケアに関する一般的な相 談ができる窓口の認知度が100%になることを目指す。

3. プレコンセプションケアに関する医療機関等における相談支援の充実 【専門相談】→〇 基礎疾患を有する又は前回の妊娠で産科合併症を有していた方が、医療機関等でプレ コンセプションケアに関する相談ができるよう、全国に相談窓口を展開する。 〇 また、医療機関等において対面で相談することが難しい場合にも支援に繋げられるよう、オンラインでの相談体制の整備を進める。 〇 内科外来や薬局等での配布を想定したプレコンセプションケアに関する情報提供資材を作成し、基礎疾患のある若い世代の方が、医療機関等でプレコンセプションケアに関する相談支援に繋げられるよう周知を行う。 〇 さらに、ワーキンググループでの議論を踏まえ、引き続き、国立成育医療研究センター等において、必要に応じて基礎疾患の追加等、該当マニュアルの更なる充実を図る。 〇 今後5年で、200以上の専門的な相談ができる医療機関が整備されることを目指す。

W.おわりに→〇 今般取りまとめを行った5か年パッケージを踏まえ、国、地方公共団体、国立成育医療 研究センター等の専門機関が、それぞれの役割に応じて、着実にプレコンセプションケアを推進していくことが期待される。 〇 国は、こども家庭庁が主体となって、関係省庁や関係機関と連携し、様々な事業を進めていくともに、その進捗状況等を評価するため、プレコンセプションケアに関する政策の効果を定期的に評価し、改善点を見つけるためのPDCAサイクルを導入することが求められる。 〇 具体的には、国は速やかにプレコンセプションケアに関する適切な指標に基づき、科学的なデータやエビデンスの収集を含めたプレコンセプションケアに関する研究を推進する。 〇 また、地方自治体の提言※1を踏まえ、国は、地方自治体でのプレコンセプションケアの推進に向けた取組に対して、国立成育医療研究センター等と連携した技術的助言等の支援を行っていくことが重要である。 〇 そうした支援を活用して、希望する都道府県や市町村が、国のプレコンセプションケア 推進5か年計画も参考に、地域の実情に応じた「地方版推進計画」を策定し※2、計画的に 取組を進めることが期待される。 〇 プレコンセプションケアは、性別を問わず全ての世代にとって重要な取組であり、社会全体での認知度向上と支援体制の整備が求められる。今後も引き続き、関係機関と連携し、プレコンセプションケアの普及に努めることが重要である。 ※1「子ども・子育て政策を強力に推進するための提言(令和6年11月12日全国知事会) (抜粋)」 ・ 価値観やライフスタイルが多様化する中で、子ども・若者が主体的に将来を選択できるよう、家庭生活や家族の大切さについて考える機会をつくるとともに、妊娠・出産や性に関する正しい知識を習得し、自ら主体的に適切な判断ができるよう、発達段階に合わせたライフ デザイン教育やライフプランニング教育、キャリア教育、プレコンセプションケア(若い世代が将来のライフプランを考えて 日々の生活や健康に向き合うこと)、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ ライツ(性と生殖に関する健康と権利)に対する理解促進を全国的に進めること。 ※2 こどもに関する計画等の既存の計画にプレコンセプションケアに関する章を設けるなど、地域の実情に応じて策定することも可能。

次回は新たに「第5回労災保険制度の在り方に関する研究会 資料」からです。

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