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第179回市町村セミナー 資料 [2025年03月14日(Fri)]
第179回市町村セミナー 資料(令和7年2月28日)
共生社会の実現を推進するための認知症基本法における認知症施策推進計画等に関するセミナー
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_52854.html
◎【行政説明】共生社会の実現へ向けた認知症施策の推進について
○認知症は誰もがなり得る
→• 2022年に認知症の地域悉皆調査を実施した4地域(福岡県久山町、石川県中島町、愛媛 県中山町、島根県海士町)において推計(認知症:12.3%)。 • MCI/認知症の有病率は約3割。85−89歳の約6割、90歳以上の約7割はMCI/認知症になると見込まれる(MCI:15.5%)。• 2022年の認知症およびMCIの性年齢階級別有病率が今後も一定と仮定した場合、 2060年の認知症者高齢者数は645万人、MCI高齢者数は632万人と推計される(有病率 参照)。

○共生社会の実現を推進するための認知症基本法 概要↓
1.目的→認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総合的かつ計画的に推進 ⇒認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力 ある社会(=共生社会)の実現を推進
2.基本理念→@〜Fまで。@全ての認知症の人が、基本的人権を享有する個人として、自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むことができる。
3.国・地方公共団体等の責務等→国民は、共生社会の実現を推進するために必要な認知症に関する正しい知識及び認知症の人に関する正しい理解を深め、共生社会の実 現に寄与するよう努める。政府は、認知症施策を実施するため必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講ずる。
4.認知症施策推進基本計画等→政府は、認知症施策推進基本計画を策定(認知症の人及び家族等により構成される関係者会議の意見を聴く。) 都道府県・市町村は、それぞれ都道府県計画・市町村計画を策定(認知症の人及び家族等の意見を聴く。)(努力義務)
5.基本的施策→@国民の理解、Aバリアフリー、B社会参加、C意思決定・権利擁護、D保健医療・福祉、E相談体制、F研究、G予防、H調査、 I多様な主体の連携、J地方公共団体への支援、K国際協力
6.認知症施策推進本部→内閣に内閣総理大臣を本部長とする認知症施策推進本部を設置。基本計画の案の作成・実施の推進等をつかさどる。 ※基本計画の策定に当たっては、本部に、認知症の人及び家族等により構成される関係者会議を設置し、意見を聴く。
○国の認知症施策の会議に認知症本人が参画→【認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議】【認知症施策推進関係者会議】 参照。

○認知症施策推進基本計画の概要
【位置付け】共生社会の実現を推進するための認知症基本法に基づく国の認知症施策の基本計画。これに基づき、地方自治体は推進計画を策定(努力義務)。

・前文/T 認知症施策推進基本計画について/U 基本的な方向性→• 基本法に明記された共生社会の実現を目指す。 @ • 認知症の人本人の声を尊重し、「新しい認知症観」※に基づき施策を推進する。※ 誰もが認知症になり得ることを前提に、国民一人一人が自分ごととして理解する。A個人としてできること・やりたいことがあり 、住み慣れた地域で仲間と共に、希望を持って自分らしく暮らすことができる⇒ @「新しい認知症観」に立つ、A自分ごととして考える、B認知症の人等の参画・対話、C多様な主体の連携・協働。
・V 基本的施策→• 施策は、認知症の人の声を起点とし、認知症の人の視点に立って、認知症の人や家族等と共に推進する。 ⇒ 以下の12項目を設定:@国民の理解、Aバリアフリー、B社会参加、C意思決定支援・権利擁護、D保健医療・福 祉、E相談体制、F研究、G予防、H調査、I多様な主体の連携、J地方公共団体への支援、K国際協力
・W 第1期基本計画中に達成すべき重点目標等 • 次の4つの重点目標に即した評価指標を設定:@「新しい認知症観」の理解、A認知症の人の意思の尊重、 B認知症の人・家族等の地域での安心な暮らし、C新たな知見や技術の活用 • 評価指標は、重点目標に即して、プロセス指標、アウトプット指標、アウトカム指標を設定
・X 推進体制等→• 地方自治体において、地域の実情や特性に即した取組を創意工夫しながら実施 • 地方自治体の計画策定に際しての柔軟な運用(既存の介護保険事業計画等との一体的な策定など) • @行政職員が、認知症カフェ等様々な接点を通じて、認知症の人や家族等と出会い・対話する、Aピアサポート活動や本人ミーティング等の当事者活動を支援する、B認知症の人や家族等の意見を起点として、施策を立案、 実施、評価する。

○重点目標・評価指標→4つの重点、その目標プロセス指標、 アウトプット指標、アウトカム指標あり。
○認知症施策推進基本計画における【当事者参画】→認知症の人とその家族その他認知症の人と日常生活において密接な関係を有する者(以下「家族等」)の参画を得て、意見を聴き、対話しながら、共に認知症施策の立案等を行っていくことが求められる。@〜B参照。
○認知症カフェ→【実施状況】令和5(2023)年度実績調査 ・47都道府県1,593市町村(91.4%)にて、8,558 カフェが運営 ・設置主体は、介護サービス施設・事業者、地域包括支援センターが多く見られた。
○ピアサポーターによる本人支援の推進→• 認知症の方やその家族は、診断直後等は認知症の受容や今後の見通しなど大きな不安を抱えている。このため、 前向きな一歩を踏み出せるよう、心理面、生活面の早期からの支援として、認知症の方の悩みや家族の身近な生 活支援ニーズ等を把握し、認知症の方による相談支援(ピアサポート活動支援事業)を実施。 • 認知症の人の心理的な負担の軽減を図るとともに、認知症の人が地域を支える一員として活躍し、社会参加する ことを後押ししていく。
【都道府県の実施状況】【市町村の実施状況】令和5(2023)年度実績調査 参照。
○本人ミーティング→•認知症の本人が集い、本人同士が主になって、自らの体験や希望、必要としていることを語り合い、 自分たちのこれからのよりよい暮らし、暮らしやすい地域のあり方を一緒に話し合う場。 •本人だからこその気づきや意見を本人同士で語り合い、それらを本人同士、そして地域に伝えてい くための集まり。
○認知症の人と家族への一体的支援事業→• 認知症の人とその家族が、より良い関係性を保ちつつ、希望する在宅生活を継続できるよう 、公共スペースや既存施設等を活用して本 人と家族が共に活動する時間と場所を設け、本人支援、家族支援及び一体的支援からなる一連のプログラムを実施することにより、 人の意欲向上及び家族の介護負担感の軽減と、家族関係の再構築等を図る 。令和4年度は293自治体が実施。(令和4年度創設)⇒【実 績】令和5年度は370自治体が実施。
○認知症の人本人からの発信の支援 (認知症本人大使の任命)→• 国において、7名の「希望大使」(令和2年〜丹野智文さん、藤田和子さん、柿下秋男 さん、春原治子さん、渡邊康平さん、令和6年〜鈴木貴美江さん、戸上守さん)を任命 • 都道府県において、令和2年度以降、25都道府県、89名の地域版の希望大使を任命 (令和7年2月7日時点)
○認知症の人の社会参加活動の体制整備→•認知症を有する高齢者や若年性認知症の中には、これまでの経験等を生かして活躍したいとの声が少なくない。 •地域において「生きがい」をもった生活や認知症予防等の介護予防に資するよう、認知症地域支援推進員の取組として、 令和元年度より社会参加活動のための体制整備を地域支援事業に位置づけ、その取組を支援。
○認知症バリアフリー社会実現のための手引き→• 認知症バリアフリーを推進し、認知症の人の社会参加やチャレンジを後押しする機運 を社会全体で高めるため、日本認知症官民協議会(行政のみならず経済団体、医療・ 福祉その他業界団体、自治体、学会等から約100団体が参画)にて、認知症の本人・ 家族の意見を踏まえつつ策定。⇒【令和7年度〜】 認知症の本人・家族の希望を踏まえ、関係省庁と連携して策定する「工程表」に基づき、幅広く、かつ、 個別の業界・業種ごとの手引きを作成予定。
○容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供→認知症ケアパス:認知症予防から人生の最終段階まで、認知症の容態に応じ、相談先や、いつ、 どこで、どのような医療・介護サービスを受ければいいのか、流れをあらかじめ標準的に示した もの。
○認知症の早期発見・早期介入・診断後支援の取組→• 認知症本人及び家族の視点を重視した、認知症の早期発見から診断後支援を含む早期介入までの一貫した支援モデルを構築し、 自治体における実証的な研究を推進する。 • 本事業に参加する自治体において、希望者が認知症診断のためのスクリーニング検査等を受け、診断後はかかりつけ医や認知症 疾患医療センター、地域包括支援センター等と協力し、本人・家族支援につなげる体制を構築するとともに、これを全国に普及 啓発するための手引きを作成する。また、認知症診断後のウェアラブル端末等の活用に係る実証的な研究を実施する。 • 認知症の兆候の早期発見後、地域における認知症の医療・介護システムの連携によるシームレスな支援が提供されるよう、早期 発見から早期介入までの一貫した支援モデルが確立されることにより、認知症になっても地域で安心して自分らしく暮らすことができる社会の実現に資することができる。
○認知症伴走型支援事業→・高齢者支援に関するニーズが多様化・複雑化する中で、本人に専門的な助言を行うとともに、家族の負担軽減により介護離職防止 にも資するような支援を行うことが重要。 ・このため、地域包括支援センターによる従来からの対応に加えて、認知症対応型グループホームなど地域の既存資源を活用して、 @本人の生きがいにつながるような支援や専門職ならではの日常生活上の工夫等の助言、 A家族の精神的・身体的負担軽減につながるような効果的な介護方法や介護に対する不安解消に係る助言 などを継続的に行う 『伴走型の支援拠点』を市町村が整備する事業を実施(令和3年度創設) ○ 令和5年度は、10箇所で実施⇒施策の概要、参照。
○認知症サポーターの養成→【認知症サポーター】 認知症に関する正しい知識と理解を持ち、地域や職域で認知症の人や家族に対して、できる範囲での手助けをする人 (2024年6月末実績 1,549万人)
○認知症総合支援事業:認知症地域支援推進員による支援など→・認知症初期集中支援推進事業⇒・「認知症初期集中支援チーム」を地域包括支援センター、認知症疾患医療センター等に配置し、認知症専門医の指導の下、保健師、介護福祉士等 の専門職が、認知症が疑われる人、認知症の人やその家族に対して、初期の支援を包括的・集中的に行い、自立生活のサポートを実施する。 ・認知症地域支援・ケア向上事業⇒認知症の人ができる限り住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、医療機関・介護サービス事業所や地域の支援機関の連携支援や、認知 症の人やその家族を支援する相談業務、地域において「生きがい」をもった生活を送れるよう社会活動参加のための体制整備等を行う「認知症地 域支援推進員」を配置する。(推進員の業務内容)(補助対象)参照。 ・認知症サポーター活動促進⇒・地域づくり推進事業 • 市町村がチームオレンジコーディネーターを配置し、地域の認知症の人や家族の支援ニーズと認知症サポーターを中心とした支援を繋ぐ仕組みと して「チームオレンジ」を整備し、その運営を支援する。
○認知症総合戦略推進事業:若年性認知症支援コーディネーターによる支援など大丸1 先駆的な取組の共有や、広域での連携体制の構築 (都道府県)大丸1 若年性認知症の人の状態やライフステージに応じた適切な支援 (都道府県、 指定都市)大丸1 認知症の人や家族が気軽に相談できる体制の構築、認知症の 理解の促進構築 (都道府県、指定都市) 大丸1 認知症本人のピア活動の促進 (都道府県、指定都市)大丸1 認知症伴走型支援拠点の整備の推進 (市町村)。
【実 績】若年性認知症支援コーディネーターは、全国で170人(令和6年11月時点)

○都道府県・市町村の認知症施策推進計画の策定支援事業→国民一人一人が自分ごととして認知症を理解し、認知症の人が希望を持って自分らしく暮らすことが出来るという考え方(「新しい 認知症観」)に基づき施策を推進するために、多くの自治体で、地域住民に対して「新しい認知症観」に関する普及啓発等を実施し、 認知症施策推進計画が策定されることを目的⇒施策の概要、施策のスキーム図、実施要件(対象、補助率等)等 参照。
○共生社会の実現を推進するための認知症基本法に基づく認知症施策のあり方に関する調査研究事業 〜令和6年度老人保健健康増進等事業〜→1. 都道府県・自治体向け 計画策定の手引きの作成 2. 基本計画の KPIの整理方法の検討。検討委員会委員名簿13名。参照。
○take-home message→認知症施策推進計画の策定に向けた取組のポイント⇒【計画策定】【本人参画】【住民の理解】【バリアフリー】【社会参加】【医療との連携】 参照。


◎【基調講演】自治体の認知症施策推進計画策定への期待
社会福祉法人浴風会 認知症介護研究・研修東京センター センター長  粟田 主一
1. 認知症基本法について

○認知症基本法の制定とそれに基づく政策づくりに向けた今日の動き→• 2023.6:「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」衆参両議院で可決・成立 • 2024.1: 同法施行
• 2024.12: 認知症施策推進基本計画が閣議決定  • 2024.11-2025.3:都道府県・市町村向け計画策定の手引きに関する検討(老健事業)

○共生社会の実現を推進するための認知症基本法 (2023年成立,2024年施行)
・ビジョン(1条)→認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会(=共生社会)
・目的(1条)→認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう、認知症施策を総 合的かつ計画的に推進する
・定義(2条)アルツハイマー病等の疾患により日常生活に支障が生じる程度にまで認知機能が低下した状況
・基本理念 (3条) 「全ての認知症の人が、基本的人権を享有する個人として、自らの意思によって日常生 活及び社会生活を営むことができるようにすること」等、7項目
・責務 (4条〜8条) 国、地方公共団体、保健医療サービス・福祉サービス提供者、日常生活及び社会生活 を営む基盤となるサービス提供者(公共交通事業者,金融機関,小売業者など)、
・国民 認知症の日・月(9条)認知症の日=9月21日、認知症月間=9月
・法制上措置等(10条)法制上・財政上の措置・その他の措置を講じること
・基本計画 (11条〜13条) 認知症施策推進基本計画(義務)、都道府県認知症施策推進計画(努力義務)、市町村 認知症施策推進計画(努力義務)
・基本的政策 (14条〜25条)12項目の基本的政策→@〜K
・認知症施策推進本部等(26条〜37条)→設置(26条)、所掌事務(27条)、組織(28条)、認知症施策推進本部長(29条)、 認知症施策推進副本部長(30条)、認知症施策推進本部員(31条)、資料の 提出その他の協力(32条)、認知症施策推進関係者会議(33-34条)、事務 (35条)、主任の大臣(36条)、政令への委任(37条)、附則

○認知症施策推進大綱と認知症基本法はビジョンが異なります!→• 認知症施策推進大綱のビジョン⇒「認知症の発症を遅らせ,認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会(=個人)」 • 認知症基本法のビジョン: 「認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分 に発揮し,相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生 する活力ある社会(=共生社会)
○これまでに「共生社会」という言葉はさまざまに定義されてきた!→・障害者基本法 (2011改正)・ニッポン一億総活躍プラン(2016閣議決定)・認知症基本法(2023成立)
○障害者基本法や認知症基本法に掲げられている 「共生社会」というビジョンの背景には,ノーマライ ゼーションという考え方がある.→• 北欧発祥の概念。障害がある人を排除することなく、障害がある人 もない人も同等に生活できる社会が正常な社会。 • 障害者には、あたりまえの、普通の生活をおくる権利があり、国家 にはそのような社会をつくる責務がある。 • バリアフリーはそのような社会をつくるための方法。
○2006年 国連の障害者権利条約→障害者の権利を実現するために各国が行うべきことを定めた条約⇒私たち抜きで、私たちのことを決めないで!
○権利ベースのアプローチ Rights-Based Approach, RBA→国際的な法体系の「基準」や「原則」を開発援助の「計画」や「過程」の中に取り入 れようとする考え方.その特徴は・・・@ ニーズが充足されていないことに注目するばかりではなく,ニーズが充足さ れていないことを権利が実現されない状況と捉え A その構造を徹底的に分析し B 権利保有者と責務履行者の関係にフォーカスをあて C 権利保有者が権利を行使できるように,責務履行者が責務を履行する能力 を発揮できるように,包括的な戦略を練り,開発援助の計画を進める 点にある.認知症の場合,権利保有者は認知症の当事者であり,責務履行者は 国家,地方公共団体,その他の関係するステークホルダーということになる.
○スコットランド認知症ワーキンググループ(2002)→Nothing about us without us!
○診断後支援の5本柱モデル→将来の意思決定に関する計画・病気の理解と症状のマネジメント・将来のケアの計画・地域とのつながり・ピアサポートの5つ。
○日本認知症ワーキンググループが発足 (2014年10月11日)
→「認知症になってからも希望と尊厳をもって暮らし続けることがで き,よりよく生きていける社会を創り出していくこと」
○認知症サミット日本後継イベント (2014年11月5日〜7日)→「空白の期間」に絶望してしまう人 が数多くいます。これは私のようにまだ年齢が若い人だけではなく、高齢になった人も同じです。「空白の期間」の解消は、これから認知症になる可能性のある、すべて の人にとって現実のものであり深刻かつ切実な問題です。
○本人ミーティング→認知症の本人が集い,本人同士が 主体となって,自らの体験や希望, 必要としていることを語り合い,自 分たちのこれからのよりよい暮らし, 暮らしやすい地域のあり方を一緒 に話し合う場
○2019年 認知症施策推進大綱 共生と予防を車の両輪として施策を推進すること!→全国版の希望大使、 地域版の希望大使の写真あり。
○認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議 (2023年9月〜12月)
○認知症施策推進関係者会議 (2024年3月〜10月)
→関係者会議のメンバーである 3人の認知症当事者あり。

2. 認知症施策推進基本計画のポイント
○基本計画の構成
→前文、 I. 認知症施策推進基本計画について II. 基本的な方向性 III. 基本的施策 IV. 第1期基本計画中に達成すべき重点目標等 V. 推進体制等
○基本計画策定にあたって留意されたこと→• 基本的施策に関する各項目では,冒頭に,「施策の目標」を平易な言葉で“わかり やすく”記述し,その目標に向けて各自治体が柔軟かつ創造的に施策を展開できる ようにすること. • 「施策の目標」は,基本理念を踏まえ,「共生社会の実現」という大目標に収斂する ように記述すること. • 用語の使い方にも注意を払い,特に,従来使用されてきた用語であったとしても, 認知症の本人が違和感を覚える用語や表現については,細心の注意を払い,必要 に応じて修正を検討すること.
1. 認知症の人に関する国民の理解の増進等(14条)→【施策の目標】 共生社会の実現を推進するための基盤である基本的人権及びその尊重について の理解を推進する.そのうえで,「新しい認知症観」の普及が促進されるよう,認知症の人が発信することにより,国民一人一人が認知症に関する知識及び認 知症の人に関する理解を深めることを目標として,以下の施策を実施.⇒ (1)学校教育における認知症に関する知識及び認知症の人に関する理解を深める教育の推進. (2)社会教育における認知症に関する知識及び認知症の人に関する理解を深める教育の推進. (3)認知症の人に関する正しい理解を深めるための,本人発信を含めた運動の展開.
○「新しい認知症観」について→• 「新しい認知症観」の実感的理解が,共生社会の実現を推進するための基盤である. • 基本計画の前文に,「新しい認知症観」とは何か,ということをわかりやすい言葉で明確に記述しておく必要がある.
○「新しい認知症観」とは何か?→認知症になったら何もできなくなるの ではなく,認知症になってからも,一人一人が個人としてできる こと・やりたいことがあり,住み慣れた地域で仲間等とつながり ながら,希望をもって自分らしく暮らし続けることができるという 考え方である.⇒・認知症になったからと言って,私が私でなくなるわけではない. 私たちは,客体ではなく,主体として生きる人間である. (すべての人がそうであるように) 「人と人とのつながり」が, 希望と尊厳をもって生きるための源泉である. 認知症があっても,それがどんなに進行したとしても, そのことは決して失われない. ・認知症は人権の問題である.なぜなら,認知症と診断された人は,不平等,不正,社会的無視,排除を経験するリスク が高まるからである. ・すべての人間は,生まれながらにして自由であり,かつ, 尊厳および権利において平等である. 人間は,理性および良心を授けられており,たがいに同胞愛の精神をもって行動しなければならない.(世界人権宣言(1948年) 第1条)
○基本法第3条第1項→1. 全ての認知症の人が,基本的人権を享有する個 人として,自らの意思によって日常生活及び社会生 活を営むことができるようにすること.
2. 認知症の人の生活におけるバリアフリー化の増進(15条)→【施策の目標】 認知症の人の声を聞きながら,その日常生活や社会生活等を営む上で障壁とな るもの(ハード・ソフト両面にわたる社会的障壁)を除去することによって, 認知症の人が尊厳を保持しつつ希望をもって暮らせる社会環境を確保していく ことを目標として⇒(1)認知症の人が自立して,かつ,安心して暮らすための,地域における生活 支援体制の整備等 (2)移動のための交通手段の確保 (3)交通の安全の確保 (4)利用しやすい製品・サービスの開発・普及の促進 (5)事業者が認知症の人に適切に対応するために必要な指針の策定 (6)民間における自主的な取組の促進
○「バリアフリー」について 参照。
○地域の中の居場所づくり→参照。
○マンション管理員向けの手引き→参照。
○認知症フレンドリー社会の実現に向けたパートナーシップ形成→認知症バリアフリーの取り組みや認知症分野での イノベーション創出を官民一体となって進めることを 目的に,経済界,産業界,医療・介護業界,学会や 関係省庁など101団体が参加して創設。
○認知症フレンドリー社会の実現に向けた パートナーシップ形成への動き↓
• 高齢者の特性を踏まえたサービスのあり方検討会(東京都)↓

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kiban/shisaku/koureikentou/index.html • 認知症にやさしい異業種連携協議会(京都府)↓
http://www.pref.kyoto.jp/kourei-engo/181210.html
• 認知症フレンドリーシティプロジェクト(福岡市)↓
https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/dementia/health/00/04/ninchisyoufriendlycity/ninchisyoufriendlycity.html
○高齢者の認知機能の特性 に配慮したサービス提供 認知症になっても安心して暮らせる社会をつくるために ↓
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kiban/shisaku/ko ureikentou/index.htm
○板橋区認知症フレンドリー協議会 (2023年11月2日〜)→参照。
3. 認知症の人の社会参加の機会の確保等(16条)→【施策の目標】 認知症の人が孤立することなく,必要な社会的支援につながるとともに,多様な社会 参加の機会を確保することによって,生きがいや希望をもって暮らすことができるよう にすることを目標として,以下の施策を実施する。 (1)認知症の人自らの経験等の共有機会の確保 (2)認知症の人の社会参加の機会の確保 (3)多様な主体の連携・協働の推進による若年性認知症の人等の就労に関する 事業主に対する啓発・普及等
○「社会参加」とは何か?→• 社会参加と対極を為す用語は,排除または孤立.認知機能障害のある人は平時より,必要な情報や社会的支援につながりにくく,さまざまな活動への参加や,自分自身に提供されるサービスの決定,自分自身に関わる施策づくりなどへの関与を阻まれやすい.このことは,本人の生きがいや希望の喪失につながるだけではなく,生存の危機を高める重大なリスクになることもある(例:災害時). •社会参加とは,社会から排除されることなく,社会の中で孤立させられることなく,社会を構成する大切な一員として,意味のある人と人とのつながり(社会的ネットワーク)が確保され,多様な活動に参加し,自らの生活に関わること(利用するサービスの決定,地域づくり,施策づくりなど)に関与していることを意味している. • それは,すべての国民が享有する市民としての権利,そのような権利を確保できる社会をつくることが国及び地方公共団体の責務.
○認知症とともに生きる本人の社会参加を促進する→本人ミーティングの定例会で。働く場をつくる、仲間らと活動する。写真あり。
4. 認知症の人の意思決定の支援及び権利利益の保護(17条)→【施策の目標】 認知症の人が,基本的人権を享有する個人として,自らの意思によって日常生活及 び社会生活を営むことができるように,認知症の人への意思決定の適切な支援と権 利利益の保護を図ることを目標として,以下の施策を実施する. (1)認知症の人の意思決定支援に関する指針の策定 (2)認知症の人に対するわかりやすい形での意思決定支援等に関する情報提供 の促進 (3)消費生活における被害を防止するための啓発 (4)その他(虐待防止の推進,成年後見制度の見直し等)
○「意思決定支援及び権利利益の保護」について→•「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」が策定されているが,保健医療福祉の現場ではそれが実践されるような教育は十分になされていない.支援される当事者にもそのことがわかりやすい形で伝わっていない. • 近年,繰り返し報道されているように,認知症高齢者を標的とする特殊詐欺や強引な訪問販売等の不適切な取引の被害がクローズアップされている.実態調査を踏まえて具体的な対策を講じる必要がある. • 軽度の認知機能障害では,日常的金銭管理に支障が見られやすく,独居の場合はそれが地域生活の継続を阻む要因になりやすい.今日の公的な権利擁護支援制度(日常生活自立支援事業,成年後見制度)は,軽度の認知機能障害がある人の日常的金銭管理支援のサービスとしては使い勝手が悪い.軽度の認知機能障害をもつ一人暮らしの高齢者にとって使い勝手のよい新たな権利擁護支援サービ スをつくりだすことは喫緊の課題.
○性・年齢階級別に見た認知機能低下のある単身世帯高齢者数の将来推計(認知機能低下=MCIまたは認知症)→男性も女性も85歳以上が圧倒的に多い。
○令和5年度「高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に 関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果(厚生労働省)→令和5年養介護施設従事者等による 高齢者虐待判断事例における被虐待者の92%が認知症高齢者(認知症jの日常生活自立度U以上)、令和5年養介護者による高齢者虐待 判断事例における被虐待者の73% が認知症高齢者(認知症jの日 常生活自立度U以上)
○過去1年間の独居認知症高齢者に対する強引な訪問販売やリフォーム詐欺の経験 (東京都内の居宅介護支援専門員が勤務する事業所:N=3,711; 回答数=1,294,回答率=35%)→実際に被害があった事例の経験の有無、被害を回避できた事例の経験の有無 参照。
○過去1年間の独居認知症高齢者に対する特殊詐欺の経験 (東京都内の居宅介護支援専門員が勤務する事業所:N=3,711; 回答数=1,294, 回答率=35%)→実際に被害があった事例の経験の有無、被害を回避できた事例の経験の有無 参照。
5. 保健医療サービス及び福祉サービスの提供体制の整備等(18条)→【施策の目標】 認知症の人が、居住する地域に関わらず、自らの意向が十分に尊重され、望む場で 質の高い保健医療及び福祉サービスを適時にかつ切れ目なく利用できるように、地 域の実情に応じたサービス提供体制と連携体制を整備し、人材育成を進めることを 目標として、以下の施策を実施する。 (1)専門的又は良質かつ適切な医療提供体制の整備 (2)保健医療福祉の有機的な連携の確保 (3)人材の確保、養成、資質向上
○「保健医療サービス及び福祉サービスの提供体制の整備」について→•2次医療圏や市町村を単位にして,認知症疾患医療センター,認知症サポート医,かかりつけ医,地域包括支援センター,居宅介護支援及び介護保険サービス事業所等との連携による認知症の医療・介護連携体制が整備されているが,実際には,地域の人口規模や 現存する社会資源の状況等によって,それぞれの地域の実情に応じたサービス提供体制を創り出していかなければならない状況. •認知症であるということを理由に併存する身体疾患や精神疾患に対する適切な医療が受けられない場合があることや,本人不在でサービスの利用が決定されたり,医療・介護の現場での虐待が行われることがあるなど,権利侵害の問題に着目し,国及び地方公共団 体の責務としてその構造を変化させる必要がある. •認知症の本人や家族の声を起点にして,「相談支援」と「地域づくり」の要の役割を果たす認知症地域支援推進員や若年性認知症支援コーディネーター等の機能を強化していく必要がある.
○地域における認知症医療介護の連携体制→参照。
○認知症疾患医療センターで診断される認知症関連疾患の診断名別割合→参照。
○認知症関連疾患の診断名別割合→参照。
○抗Aβ抗体薬の最適使用推進ガイドライン→参照

○診断後支援とは何か?→診断後支援とは、認知症と診断された後の認知症の本人と家族の身体 的・社会的・心理的なウエルビーイングの促進を目的とする、さまざまな 公的及び非公的なサービスや情報を網羅する包括的な用語である。
○地域に暮らす認知症高齢者で認知症疾患が診断されているのは約3割であり, 独居である場合にはさらに認知症疾患の診断率が低下する. (認知症の状態にある高齢者:N=76, 世帯類型欠損値:N=2)→認知症疾患が診断されているか、訪問調査員(看護師)のメモ参照。
○コーディネーションとネットワーキング→個人レベルの社会的ネットワークと地域レベルの社会的ネットワーク。
○社会的孤立→• 社会的孤立とは,社会的支援の利用を可能とする 個人レベルの社会 的ネットワークが欠如しているということ. • その背景には,しばしば地域レベルの社会的ネットワーク に構造的な 欠陥がある(例:排除の構造をつくりだしていることすらある)
6. 相談体制の整備等(19条)→【施策の目標】 認知症の人や家族等が必要な社会的支援につながれるように、相談体制を整備し、 地域づくりを推進していくことを目標として、以下の施策を実施する。 (1)個々の認知症の人の状況又は家族等の状況にそれぞれ配慮しつつ総合的に 応ずることができるようにするための体制の整備 (2)認知症の人又は家族等が互いに支え合うための相談・交流の活動に対する 支援、関係機関の紹介、その他の必要な情報の提供及び助言
○「相談体制の整備」について→• 認知症初期集中支援チームはそのような「相談支援」を起点にして, ネットワーク をつくりだす多職種協働チームである.• 一方,企業も労働安全衛生の一環で「相談支援」の機能をになっている.さらに,本 人ミーティング,ピアサポート,家族会,認知症カフェ,サロン,通いの場などもイン フォーマルな「相談支援」機能をもち,それと連動しながら“交流の場”という社会資 源をつくりだしている. • このようなさまざまな「相談支援」の機能を強化するとともに,そのような「相談支 援」へのアクセシビリティを高め,かつ,継続的にパーソナルな社会的ネットワーク の構築を可能にする「地域づくり」を進めていく必要がある. • 認知症地域支援推進員とは,認知症の本人や家族の声を起点にして市町村の認 知症施策を推進する役割を担う人であり,このような「相談支援」と「地域づくり」の 要としての役割を果たすことが期待されている.
○住宅地の空き店舗を利用してつくられた地域の居場所とインフォーマルな相談の場→参照のこと。
7. 研究等の推進等(20条)→【施策の目標】 共生社会の実現に資する認知症の研究を推進し、認知症の人をはじめとする国民が その成果を享受できるようにすることを目標として、以下の施策を実施する。 (1)予防・診断・治療、リハビリテーション・介護方法等の研究の推進・成果 の普及 (2)社会参加のあり方、共生のための社会環境整備その他の調査研究、検証、 成果の活用 (3)官民連携、全国規模調査の推進、治験実施の環境整備、認知症の人及び家 族等の参加促進、成果実用化環境整備、情報の蓄積・管理・活用の基盤整 備
○「研究の推進」についてフロッピー2 共生社会の実現に資する認知症研究の領域は広範である. フロッピー2 基本法第20条には,「認知症の本態解明,認知症及び軽度の認知機能障害に係 る予防,診断及び治療並びにリハビリテーション及び介護方法,認知症の人が尊 厳を保持しつつ希望を持って暮らすための社会参加の在り方,認知症の人が他の 人々と支え合いながら共生することができる社会環境の整備等に関する研究と, そのための基盤構築を進めること」と記されている. フロッピー2 これに加えて,地方公共団体では,その地域の実情に応じて,地域が直面してい る課題の把握とその解決に向けた調査研究を行うことが推奨されよう.
8. 認知症の予防等(21条)→【施策の目標】 認知症の人を含むすべての国民が、その人の希望に応じて、「新しい認知症観」に 立った科学的知見に基づく予防に取り組むことができるようにすること、また、認知症 及び軽度の認知機能障害がある人が、どこに暮らしていても早期に必要な対応につ ながることができるようにすることを目標として、以下の施策を実施する。 (1)予防に関する啓発・知識の普及・地域活動の推進・情報収集 (2)地域包括支援センター、医療機関、民間団体等の連携協力体制の整備、認 知症及び軽度の認知機能の障害に関する情報提供
○「認知症の予防」について→・「予防」という用語については大綱においても慎重な説明がなされてきたが,それ は,過去の歴史において「古い認知症観」に基づく「認知症予防」キャンペーンが認 知症の人に対する偏見・差別を助長し,分断を深め,権利侵害を促進してきたとい う経緯があるからである. ・WHOのガイドラインにおいても「認知症予防」という用語は使用されず,「認知症の リスク低減」という用語が使用されている.また,WHOの「認知症の公衆衛生対策 に関する世界的アクションプラン」では,認知症の修正可能なリスクファクターの多 くは高齢者の非感染性疾患のそれと共通であることから,リスク低減の活動はプラ イマリ・ヘルス・ケアの文脈で行うべきであるとされている. ・「新しい認知症観」に立った「認知症予防」は,認知症の有無に関わらずすべての 人が参加できる健康づくり(リスク低減)として実践されるべきであろう.そこでは 「認知症予防」という用語よりも,尊厳ある自立生活を促進するための「健康づくり」 や「備え」という用語の方が適切かもしれない.
○プライマリ・ヘルス・ケア(PHC)→• 1978年にWHOとユニセフが共催で開催した国際会議(143か国/67機関が参加)で採択さ れた「アルマ・アタ宣言」において,「21世紀までにすべての人に健康を」(Health for All)という世界共通の目標を掲げられ,健康が基本的人権であることを明言.この目標を達成するための理念・戦略・方法として提唱されたもの. • PHCは,国家保健システムと個人・家族・地域社会とが最初に接するレベルにあり,人々が生活する場所や労働する場所に近接して,以下の5原則を踏まえて保健サービスを提供すること:@住民ニーズに基づくこと,A地域資源の有効活用,B住民参加,C多分野協働,D適正技術の使用。  • SDGsの目標3「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ:普遍的医療保障」=”人権としての保健・医療”という意味でのPHCの理念の達成を示す.認知症や障害とともに生きる人,途上国住民,在日外国人,ホームレス等,社会的差別に遭遇しやすい人々の生命と健康を保障するという観点からもPHCの重要性が指摘されている.

3. 重点目標とKPIの考え方
○「重点目標と関連指標(KPI)」を設定するにあたって→• 「重点目標」は「共生社会の実現の推進」という大目標に収斂するものとして妥当 なものであり,かつ理解しやすいものでなければならない. • 「関連指標(KPI)」が設定されると,その外形的な達成が地方公共団体の認知症 施策の目的とされてしまい,地方自治を抑制してしまったり,「共生社会の実現の 推進」という大目標が忘れ去られたりする危険がある.このことを十分に考慮し, 設定にあたっては慎重を期し,その数は限定すべきである. • KPIは,@「重点目標」とリンクしていること,A基本的施策に紐づけることができる こと,B誰もが大切なことだと納得できること,Cわかりやすいこと,D測定可能で あること,が重要である.
○4つの重点目標について→1. 国民一人一人が「新しい認知症観」を理解していること 2. 認知症の人の生活においてその意思等が尊重されていること 3. 認知症の人・家族等が他の人々と支え合いながら地域で安心して暮らすことができること 4. 国民が認知症に関する新たな知見や技術を活用できること
○重点目標と基本的施策との関係   参照のこと。
○関連指標(KPI)の基本的な考え方→@プロセス指標:認知症施策の立案・実施・評価におけるプロセスを把握する指標 Aアウトプット指標:重点目標に資する認知症施策の実施状況を把握する指標 Bアウトカム指標 :認知症の人や家族等,国民の認識を確認することによって,共生 社会の実現状況を把握する指標
○重点目標1:国民一人一人が「新しい認知症観」を理解していること→:「認知症の人と出会い」,「当事者活動の支援」,「普及啓発活動への当事者参画」というプロセ スを通して,「本人発信支援」,「認知症サポーター養成」,「チームオレンジの設置」の実施というアウトプッ トが出されることによって,「認知症や認知症の人に関する国民の理解」と「『新しい認知症観』の理解とそ れに基づく振る舞い」の普及というアウトカムが達成される.
○重点目標2:認知症の人の生活においてその意思等が尊重されていること→:「ピアサポート活動の支援」,「行政職員の本人ミーティングへの参加」,「意思決定支援の研修」 というプロセスを通して「認知症施策に認知症の本人と家族の意見を反映させる」の実践というアウトプットが出されることによって,「認知症の人の意思が尊重され,本人が望む生活が継続できていると考える認 知症の人及び国民が増える」というアウトカムが達成される.
○重点目標3:認知症の人・家族等が他の人々支え合いながら地域で安心して暮らすことができること→:「部署横断的認知症施策の検討」,「本人・家族等が参加した計画策定」,「KPIの設定」,「専門職研修」というプロセスを通して,「相談支援を 実施している認知症地域支援推進員・若年性認知症支援コーディネーターの設置」,「認知症バリアフリー宣言を行っている事業者」,「製品・サービス開 発への当事者参画」,「認知症ケアパスの作成・更新・周知」,「認知症疾患医療センターでの診断確保」の実施というアウトプットが出されることによって, 「自分の思いを伝えられると認知症の人が感じること」,「役割を果たしていると認知症の人が感じること」,「認知症の人が自分らしく暮らせると認知症の 本人及び国民が感じること」,「希望に沿ったサービスを受けていると認知症の本にんが考えること」というというアウトカムが達成される.
○重点目標4: 国民が認知症に関する新たな知見や技術を活用できること→「認知症の本人・家族の意見を研究計画に反映させる」というプロセスを通して,「当事者の意見を反 映させた研究」の実施というアウトプットが出されることによって,「認知症に関する研究事業の成果の社会実装 化」というアウトカムが達成される.

4. 自治体の認知症施策推進計画策定への期待
○自治体の認知症施策推進計画の策定に期待されること
→1. 「共生社会」という共通ビジョンの下で,自治体の多様な事業がよ り統合的・分野横断的に稼働できるようになること. 2. 「新しい認知症観」の普及を通して,「認知症とともに生きる人々の 人権の確保が『共生社会』の基盤である」という認識が広まること. 3. 「人権が実現していない状況を把握し,その構造を分析して変え ていくこと」が政策の目標であることが認識され,認知症施策推進 計画に反映されること.
○地域支援事業の変遷→<2005改正><2011改正><2014改正>まで。
○認知症総合支援事業→• 認知症初期集中支援推進事業 認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続 けられるよう、認知症の人やその家族に早期に関わる認知症初期集中支援チームを配置し、 早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築する。 • 認知症地域支援ケア向上事業 地域の支援機関の間の連携を図るための支援、認知症の人やその家族を支援する相談業 務、地域において「生きがい」をもった生活を送れるよう社会参加活動のための体制整備等を 行う認知症地域支援推進員を配置し、医療・介護等の連携強化等による地域における支援体 制の構築と認知症ケアの向上を図る。 • 認知症サポーター活動促進事業 認知症の人やその家族の支援ニーズと認知症サポーターを中心とした支援を繋ぐ仕組みを 地域ごとに整備することを目的にチームオレンジコーディネーターを配置し、チームオレンジの 支援・運営の助言を行う。
○市町村において共生社会の実現に必要とされていることは何か→相談支援 個別支援、地域づくり、政策の デザイン⇒⇒認知症や障害とともに生きる人を含むすべての人が, 基本的人権を享有する個人として認識され, 相互に人格と個性が尊重され,支え合うことができる, 活力ある共生社会という共通ビジョンの実現をめざして, 当事者とともに, 分野横断的に, それぞれの地域の特性に応じて, さまざまな関係機関・組織・住民が協働して, 既存の事業が統合的・一体的に稼働できるように 事業全体を再構築していくことが求められる.

次回も続き「【事例共有:北海道庁】北海道の認知症施策 について」からです。

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