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令和7年第1回経済財政諮問会議 [2025年02月17日(Mon)]
令和7年第1回経済財政諮問会議(令和7年1月17日)
議 事 (1) 令和7年前半の検討課題 (2) 中長期の経済財政に関する試算
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2025/0117/agenda.html
◎資料1令和7年前半の検討課題について(有識者議員提出資料)
2025年1月17日  十倉雅和 中空麻奈 新浪剛史 柳川範之
石破総理が「楽しい日本」を目指す方向性を示されている。その実現のためには、国民一人一人が 自分の夢や目標に挑戦し、互いを尊重しながら自己実現を図っていける活力ある経済社会を構築する とともに、働く人々をはじめ頑張る人々が報われる、全ての国民が安心して暮らしていける仕組みを作 ることが重要。
そのために必要となる@的確なマクロ経済財政運営、Aグローバル経済の環境変化に 対応した経済成長、を実現するため、以下に掲げる政策課題に取り組むことが重要。経済財政諮問会 議において、政府内の他の会議体と連携しつつ検討を深め、内閣が目指す経済財政政策の全体像を 骨太方針で示していくべきである。
1.的確なマクロ経済財政運営
(当面の経済運営)
→足下の日本経済は、コストカット型経済から、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行に向け て着実に歩みを進めており、この移行を確実にできるか否かの正念場にある。2%の物価目標を安定 的に実現しつつ、「物価上昇を上回る賃上げの定着」を最優先目標に据えて取り組むべき。 (中長期的な経済運営)→中長期的には、人口減少が本格化する2030年代以降も、経済・財政・社会保障の持続可能性を確保するため、成長力を強化し、実質1%を安定的に上回る成長を実現しつつ、歳出・歳入両面から改革に 取り組むことが求められる。 同時に、地方で人口減少の加速と人手不足経済に対応しつつ地方の持続可能性の確保に向けた 検討を深めるとともに、地方の魅力を高め活力ある社会を実現するための仕組みを生み出していくこと が重要。 (取り組むべき施策)→ @賃金と物価の好循環→・賃上げモメンタムを強化し、「物価上昇を上回る賃金上昇」の定着に向けた道筋(価格転嫁対策など賃上げ環境 の整備、最低賃金引上げ、同一労働同一賃金の徹底等) ・コストプッシュによる一時的な物価高でも、デフレに後戻りするのでもなく、「適度な物価上昇」の安定的な実現。 A人手不足経済への対応→・リスキリング・人への投資、ジョブ型雇用、労働移動の円滑化等の労働市場改革による生産性向上 バツ1 人手不足に対応する規制・制度改革(就労の壁の抜本的見直し等)、 ・デジタル化の徹底活用と、エッセンシャルワーカーの人材確保(業種の特性に応じた人材確保策の促進、公的分 野の賃上げに向けた取組、外国人労働者との共生等) B持続可能な財政・社会保障の構築→ ・経済再生と財政健全化の両立(経済・財政一体改革、EBPMの推進など)、 ・年齢ではなく負担能力に応じて適切に支え合う全世代型社会保障の構築(国民の将来の安心確保による消費の 活性化、子育ての環境整備を通じた少子化対策など)、・人口減少が進む中での、地方行財政の持続可能性の確保とウェルビーイングの向上に係る方策の検討。

2.グローバル環境の変化に対応した経済成長〜令和の列島改造に向けて〜
(グローバル環境の変化と国際連携、科学技術力の強化)
→資源の無い我が国は、海外との貿易・投資の拡大とその基盤となる科学技術力が成長力強化に不可欠。厳しい国際情勢の中にあって、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序という基本的価値観を共有する国・地域と緊密に連携し、オープンでルールに基づく貿易・投資環境を維持・強化するとともに、経済安全保障を強化することが重要。二国間・多国間の枠組みにおいて、主張すべきは主張し、 国際的なルールメイキングを主導するなど、グローバル環境の変化に対して、柔軟に、したたかに、対応していくべき。同時に、貿易・投資の基盤となる我が国の科学技術力を強化していくべき。 (グローバルな視点からの「令和の列島改造」)→石破総理が提唱されている「令和の列島改造」の実現のためには、成長するグローバル経済の活力 を取り込み地方経済の成長につなげる、という視点が重要。また、人口減少を踏まえ、自治体の枠組みを超えた圏域での議論が有効。各地域・各圏域の特色に応じて、半導体やGX、HX等の世界の先端分 野の研究開発・生産拠点の拡大、インバウンドや農林水産品輸出の強化をはじめとして、各分野でグローバル需要を取り込む形で地方と都市が連携しつつ、高付加価値創出型の経済構造を構築するため、 ・海外市場に通じた都市人材の地方とのつながり強化(関係人口、二地域居住、特区等) ・自治体の枠組を越えた広域連携による、官民一体となった、グローバル市場で勝てる産業の育成 ・海外からの対内直接投資について、地方部にも積極的に呼び込むための投資環境の整備 等を積極的に進めるべき。
(取り組むべき施策)→ @ 内外からの投資を引き出す環境整備⇒・半導体・GX、HX等の戦略的な投資、グローバルな貿易・投資戦略などによる、「投資立国」の実現⇒海外への輸出など新ビジネス展開が可能となる環境整備(新ビジネス創出が可能となる規制・制度改革、事業承継・M&Aを通じた中小企業等の企業規模拡大・生産性向上)  ・ 国際競争力のある産業の創出に向けた、地方大学と民間企業の有機的な連携  ・「資産運用立国」に向けた取組(資産運用特区による資金の呼び込み、地域のビジネス・生活環境の整備等) A 地方のポテンシャルの拡大⇒・地域の社会課題解決に向けて、成功事例を面的に展開するためのメリハリある支援(関係人口や二地域居住の拡大、兼業・副業拡大、関係者のアイディアの結集)  ・自治体の枠組みを越えた産官学・多分野の広域連携(広域の圏域レベルでの将来ビジョン策定・連携強化等)、 政府機関・企業等の地方移転等によって、地方の成長に向けた体制強化  ・ハード・ソフト両面で防災機能の抜本的な拡充をはかるとともに、防災関連技術・ノウハウを国際展開。


◎資料2令和7年前半の検討課題(参考資料)(有識者議員提出資料)
2025年1月17日        十倉雅和 中空麻奈 新浪剛史 柳川範之
○マクロ経済財政運営→
・足下の日本経済は、コストカット型経済から、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行に向けて着実に歩みを進め ており、この移行を確実にできるか否かの正念場にある。2%の物価目標を安定的に実現しつつ、「物価上昇を上回る 賃上げの定着」を最優先目標に据えて取り組むべき。  ・ 中長期的には、人口減少が本格化する2030年代以降も、経済・財政・社会保障の持続可能性を確保するため、成長力 を強化し、実質1%を安定的に上回る成長を実現しつつ、歳出・歳入両面から改革に取り組むことが求められる。
○グローバル環境の変化に対応した経済成長→・オープンでルールに基づく貿易・投資環境を維持・強化するとともに、経済安全保障を強化することが重要。二国間・多 国間の枠組みにおいて、主張すべきは主張し、国際的なルールメイキングを主導するなど、グローバル環境の変化に対 して、柔軟に、したたかに、対応していくべき。同時に、貿易・投資の基盤となる我が国の科学技術力を強化していくべき。  ・ 「令和の列島改造」においても、成長するグローバル経済の活力を取り込み地方経済の成長につなげる、という視点が重要。また、人口減少を踏まえ、自治体の枠組みを超えた圏域での議論が有効。各地域・各圏域の特色に応じて半導体 やGX等の世界の先端分野の生産拠点の拡大、インバウンドや農林水産品輸出の強化をはじめとして、各分野でグロー バル需要を取り込む形で地方と都市が連携しつつ、高付加価値創出型の経済構造を構築すべき。


◎資料3−1中長期の経済財政に関する試算(2025 年1月)のポイント(内閣府)
○経済の中長期的な展望↓

【成長移行ケース】→賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行し、実質成長率が20年代後半に1%台半ば、 30年度以降も1%を安定的に上回る成長(名目成長率は中長期的に2%台後半)。 全要素生産性(TFP)上昇率が過去40年平均の1.1%程度まで高まるシナリオ。
【過去投影ケース】→ゼロ近傍の成長を過去数値より投影し、中長期的に実質0%台半ば、名目0%台後半の成長。 TFP上昇率が直近の景気循環の平均並み(0.5%程度)で将来にわたって推移するシナリオ。

○財政の中長期的な展望↓
【国・地方のPB対GDP比】→ • 昨年11月の経済対策に係る歳出の追加等により、2025年度のPBは現時点で赤字の見込みとなる(▲4.5兆円程度、 対GDP比▲0.7%程度)。2026年度は、経済成長に伴う歳入増や同対策に係る歳出の執行縮小により、黒字化する 姿となっている(※)。 • その後、成長移行ケースでは黒字幅が拡大する一方、過去投影ケースでは次第に縮小して赤字となっていく。 (※)「防衛力整備計画」及び「こども未来戦略」は試算に反映している。国土強靱化実施中期計画は、一定の仮定の下、機械的に織り込んでいる。 その他の具体的に想定されない追加歳出は織り込んでいない。
【国・地方の公債等残高対GDP比】→ • 成長移行ケースではPBが黒字化する中で徐々に低下するが、過去投影ケースでは2020年代後半に上昇に転じる

○(参考)高成長実現ケース→成長移行ケースよりも更に高い成長となる高成長実現ケース(TFP上昇率がデフレ状況に入る前の期間の平均 1.4%程度まで高まるシナリオ)では、PB対GDP比や公債等残高対GDP比が、成長移行ケースに比べて、更に改善する姿となる。


◎資料3−2中長期の経済財政に関する試算(2025 年1月)(内閣府)
1.はじめに
→本試算は、今後10年間程度の経済財政の展望を提示するものであり、経済再生と財政健全化の進捗状況の評価や中長期的な経済財政政策の検討のための基礎情報として、その審議を行う経済財政諮問会議に提出するもの。この経済財政の展望は、試 算時点で利用可能なデータや政策方針を反映し、経済・財政・社会保障を一体的に示す「経済財政モデル」を用いて試算を行っている1 。
2.経済の中長期的な展望→本試算は、各種経済統計の実績値を反映するとともに、2025 年度までの経済動向については政府経済見通し等を織り込んで推計している。2026 年度以降については、G DPや物価動向等の経済の中長期的な展望を比較考量できるよう、TFP(全要素生産性 )上昇率が直近の景気循環の平均並みで将来にわたって推移する想定の「過去投 影ケース」と、TFP上昇率が過去 40 年平均程度まで高まる想定の「成長移行ケー ス」、TFP上昇率がデフレ状況に入る前の期間の平均程度まで高まる想定の「高成長 実現ケース」 を示している。各シナリオの主要な前提は以下のとおり。 各シナリオの主要な前提 参照。
(1)潜在成長率
→我が国の潜在成長率は1980年代に4.2%、1990年代に1.6%となった後、2000年代に 入ってからは1%以下で推移している。今後、少子高齢化の影響により、生産年齢人 口の減少が加速していく中で、経済構造の変化やこれまで以上の生産性上昇がなければ、経済成長は低下していくことが見込まれる。 直近の景気循環並みのTFP上昇率(0.5%程度)で推移する過去投影ケースでは、 内生的に計算される資本投入量の潜在成長率への寄与については、小幅ながらプラスとなるが、労働投入量については、労働参加は一定程度進むという想定を置いているものの、生産年齢人口の減少が大きく影響し、マイナスの寄与が拡大していくこととなる。総じて、潜在成長率は中長期的に0%台半ばにとどまる姿となっている。 これに対し、賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行する成長移行ケース及び高成長実現ケースでは、最低賃金引上げ、人への投資、GX、DX、科学技術・イノベ ーション等の重点課題における中長期の計画的な投資の推進等によるイノベーションの活性化や生産の効率化等を通じて、TFP上昇率が今後3年程度を経て1.1%程度(成長移行ケース:過去40年間のTFP上昇率の平均)、更には1.4%程度(高成長実現ケース:デフレ状況に入る前のTFP上昇率の平均)に到達すると想定している。 この想定の下、TFP上昇率の高まりや企業の収益環境の改善によって、設備投資が促進され、内生的に計算される資本投入量の寄与が高まる結果となっている。これは、 各種投資促進により、民間の資本形成の増加が期待されることとも整合的な結果とな っている。労働投入量については、経済成長に伴って労働需要が高まるとともに、最 低賃金も含めた賃上げの効果や多様な働き方の拡大等により、女性と高齢者を中心に 過去投影ケースよりも労働参加が進むと想定している。それでもなお、人口減少・高 齢化の影響を相殺することはできず、労働投入量の寄与は小幅のマイナスとなる。総じて、潜在成長率は、中長期的に1%台半ば〜2%程度で推移する姿となっている。⇒図1:潜在成長率の内訳 参照。

(2)経済成長率、賃金上昇率→ 実質GDP成長率は、2013年度以降、新型コロナウイルス感染症が拡大する前の 2019年度までは、振れを伴いながらも平均0.9%程度で推移した。同感染症が拡大した 2020年度は大幅なマイナス成長(▲3.9%)、2021年度にはその反動でプラス成長(3.0%)となるなど、人為的な経済活動の抑制と緩和の影響を強く受けた後、2022年度は1.4%、 2023年度は0.7%となった。名目GDP成長率については、2013年度以降、実質と同様、 振れを伴いながらも平均1%台で推移した後、2022年度以降、物価上昇の影響を受けて上昇した。2023年度は4.9%と1991年度以来の高い伸びとなった。 政府経済見通しによれば、2024年度のGDP成長率は、内需は堅調である一方、財 輸出の鈍化とサービス輸入の増加により外需がマイナス寄与となり、実質で0.4%程度、名目で2.9%程度と見込まれる。2025年度は、物価上昇が落ち着く中、個人消費等 の内需が増加し、実質で1.2%程度、名目で2.7%程度の成長が見込まれる。 その後、マクロの需給がほぼ均衡する中で、実質GDP成長率は潜在成長率並みで 推移する姿となっている(過去投影ケースでは0%台半ば、成長移行ケースでは1% 台半ば、高成長実現ケースでは2%程度)。名目GDP成長率も同様に中長期的な推移 をみると、過去投影ケースでは0%台後半、成長移行ケースでは2%台後半、高成長 実現ケースでは3%程度で推移する姿となっている。 こうした成長率の下、試算最終年度(2034年度)の名目GDPは、過去投影ケース では680兆円程度、成長移行ケースでは810兆円程度、高成長実現ケースでは830兆円程度に達する姿となっている。⇒ 図2:実質GDP成長率 図3:名目GDP成長率 参照。
 また、今後人口減少が本格化していくことを踏まえると、マクロ(一国全体)の経 済成長に加え、国民の生活水準や生産性などの観点から、1人当たり成長の姿を見て いくことも重要である。1人当たり実質GDP成長率は、人口減少の影響を受け、マ クロで見た実質GDP成長率よりも高くなり、過去投影ケースでは1%程度、成長移 行ケースでは2%程度、高成長実現ケースでは2%台半ばで推移する姿となっている。⇒図4:1人当たり実質GDP成長率 参照・
次に、成長に応じた賃金の上昇が達成されているかといった分配面を確認するため、 賃金上昇率をみる。賃金上昇率は、2013年度以降、女性や高齢者の労働参加が進む中で非正規雇用者比率が上昇したこと等から下押しされてきたが、近年、労働需給のタイト化等の押上げ要因もあり、2013〜2023年度の平均で0.7%程度で推移してきている。2024年度には、33年ぶりの高水準となった春季労使交渉の賃上げ率を受け、2.8% 程度の上昇が見込まれ、2025年度には2.8%程度と見込まれる。 その後、過去投影ケースでは、労働生産性や物価の上昇率が小幅なものにとどまり、 中長期的に1%程度で推移する姿となっている。成長移行ケース及び高成長実現ケースでは、過去投影ケースよりも資本形成が進み、労働生産性が高まるほか、相対的に 高い成長率の下、需要の増大等に伴い物価が上昇していくことから、これが賃金の上 昇に反映され、中長期的に3%〜3%台半ばで推移する姿となっている。 なお、賃金上昇率から、後述する消費者物価上昇率を差し引いた実質的な賃金上昇 率については、過去投影ケースでは中長期的に0%程度、成長移行ケース及び高成長 実現ケースでは賃金上昇率が消費者物価上昇率を上回ることから1%〜1%台半ばと なる。⇒図5:賃金上昇率 参照。

(3)消費者物価、長期金利→2013年末以降、デフレではない状況となる中、消費者物価上昇率は、2013〜2019年度の平均で0.8%程度で推移した。新型コロナウイルス感染症が拡大した2020、2021 年度は、それぞれ▲0.2%、0.1%となったが、エネルギー・食料品を中心とした価格 上昇に伴い、2022年度は3.2%となった。2023年度は3.0%となり、政府経済見通しに よれば、2024年度は2.5%程度、2025年度は2.0%程度と見込まれる。 その後、過去投影ケースでは、消費者物価上昇率は、中長期的に1%程度で推移する姿となっている。また、名目長期金利は、中長期的に1%台半ばまで上昇する姿となっている。 成長移行ケース及び高成長実現ケースでは、消費者物価上昇率は、潜在成長率が高 まり、2026年度以降も安定的な賃金上昇が見込まれる中で、中長期的に2%程度で推移する姿となっている。また、名目長期金利は、経済成長に伴って中長期的に3%〜3%台半ばまで上昇する姿となっている。⇒図6:消費者物価上昇率 図7:名目長期金利 参照。

3.財政の中長期的な展望→ 財政については、令和7(2025)年度予算等を反映した上で、経済シナリオと整合的な姿を示している。歳出については、多年度の計画により具体的な規模が想定され ている防衛力強化や実施中期計画の策定が法定されている国土強靱化等を織り込みつつ、社会保障歳出は高齢化要因や物価・賃金上昇率等を反映して増加し、それ以外の一般歳出は物価上昇率並みに増加すると想定している。歳入については、税収等はマクロ経済の姿と整合的な形で推移すると想定。本節では、財政の持続可能性 に注目する観点から、過去投影ケースと成長移行ケースに関して記述する。なお、成 長移行ケースよりも更に高い成長となる高成長実現ケースでは、PB対GDP比や公 債等残高対GDP比が、成長移行ケースに比べて、更に改善する姿となる。
(1)国・地方の基礎的財政収支及び財政収支 →国・地方の基礎的財政収支(PB)対GDP比については、2013年度以降、高齢化 の進展や補正予算等による歳出増に関わらず、当初予算における歳出改革を進めてき たことや、名目GDPの拡大、消費税率引上げ等による歳入増加により、新型コロナ ウイルス感染症の拡大前まで着実に改善してきた(2018年度▲1.9%程度)。その後、 同感染症の拡大や原油価格・物価高騰対策等に伴う歳出増(多くが経済下支えに資する 支出)により、2020年度は▲9.1%程度、2021年度は▲5.5%程度、2022年度は▲3.6% 程度、2023年度は▲2.1%程度となった。2024〜2025年度は、賃金・所得の増加に向けた施策や物価高への対応等を含む総合経済対策に基づく歳出増等があり、2024年度は▲ 2.9%程度、2025年度は▲0.7%程度となることが見込まれる。 その後、過去投影ケースでは、2026年度に0.1%程度の黒字となった後、次第に黒字 幅が縮小して赤字となっていく。これは、名目GDP成長率並みに伸びていく歳入の 増加が、高齢化や物価・賃金要因等で伸びていく歳出の増加を下回るためである。な お、国・地方の財政収支対GDP比については、金利上昇を受けて利払費が徐々に増 加し、試算期間内を通じて赤字が続く姿となっている。
成長移行ケースでは、国・地方のPB対GDP比は2026年度以降、試算期間内にお いて黒字幅が拡大する姿となっている。これは、名目GDP成長率並みに伸びていく歳入の増加が、高齢化や物価・賃金要因等で伸びていく歳出の増加を上回るためである。なお、国・地方の財政収支対GDP比は、金利上昇を受けて利払費が拡大し、試 算期間内において僅かな赤字で推移する姿となっている。⇒図8:国・地方のPB対GDP比 参照。


(2)国・地方の公債等残高→国・地方の公債等残高対GDP比は、2000年代、国・地方のPB赤字、名目GDP の伸び悩みを背景に上昇傾向にあり、リーマンショック時には大きく上昇した。2013 年度以降、国・地方のPB対GDP比の改善と、名目GDPの増加に伴い、その上昇ペースは鈍化したが、2020年度以降、新型コロナウイルス感染症の影響とそれに対応 するための補正予算等により再び大きく上昇し、2022年度は211.5%程度となった。 2023年度は、名目GDPの拡大等により、205.2%程度と低下に転じた。当面は、2024 年度は206.6%程度、2025年度は203.6%程度と低下傾向で推移することが見込まれる。 その後、過去投影ケースでは、分母となる名目GDPの伸びが小幅にとどまる中で、 国・地方のPB悪化等の影響を受けて、分子となる国・地方の公債等残高が増加する ことから、2020年代後半に上昇に転じる姿となっている。 成長移行ケースでは、分母となる名目GDPが拡大するとともに、国・地方のPB が改善していく中、分子となる国・地方の公債等残高の増加幅が抑制されることで、 試算期間内で安定的に低下する姿となっている。 なお、長期金利の上昇に伴い、低金利で発行した既発債についてより高い金利によ る借換えが進むことに留意が必要である。⇒図9:国・地方の公債等残高対GDP比 参照。

<BOX>国・地方のPBについて
・国・地方のPB対象歳入・歳出(対GDP比)の推移
・2025 年度における国・地方のPBの変化要因

4.リスク・不確実性→これまで述べてきた中長期の経済財政の姿には、種々のリスク・不確実性が伴う。 短期的には、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継 続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国経済を下押しするリスクとなっている。 また、物価上昇、アメリカの今後の政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場 の変動等の影響に十分注意する必要がある。さらに、中長期の時間軸を見据えると、 例えば、以下(@)〜(B)のようなリスク・不確実性が考えられる。 リスク・不確実性のうち、外的なインパクトが我が国の経済と財政に及ぼす経路や 定量的な影響を把握するため、成長率の低下及び長期金利の上昇が生じた場合等の影 響について、機械的な試算による感応度分析を実施した。なお、本感応度分析は、機 械的な設定値を置いて実施したものであり、具体的なシナリオや特定の政策変更を念 頭に置いたものではない。 (@)中長期的な経済成長の変化 IMF「世界経済見通し」(2024年10月)では、今後の世界経済の成長について、金 融引締めの想定を上回る影響、新興国・途上国での政府債務負担の高まり、中国の不 動産部門の想定を上回る縮小、気候変動・地域紛争・地政学的緊張の高まりによる商 品価格の急騰、保護貿易主義の強化等による下振れリスクが挙げられている。こうし た世界経済の下振れは、輸出の減少等を通じて生産と企業業績を下押しするが、この 影響が長期化した場合、投資の低迷等を通じ、我が国の中長期的な経済成長にマイナ スの影響を与える。 国内経済においては、足下で見られているように、賃上げの動きや高い投資意欲が 継続する場合など、中長期の成長パスを上振れさせる要因もみられる一方で、大きな 経済変動や、少子化、労働参加意欲の低下などによる期待成長率の低下が生じる場合 など、中長期の成長パスを下振れさせる要因も考えられる。 以下では、潜在成長率が低下した場合の影響について、機械的な試算による感応度 分析を実施した。ここではTFP上昇率について、過去投影ケース対比で継続的に 0.5%pt程度引き下がったと設定した。結果、資本投入量の減少も加わり、潜在成長率 は試算期間の最終年度(2034年度)で0.9%pt程度低下する。この成長率低下による歳入減から、試算期間の最終年度において、国・地方のPB対GDP比は0.9%pt程度悪 化し、国・地方の公債等残高対GDP比は9.4%pt程度上昇する。⇒図10:潜在成長率が低下した場合 参照。

(A)金利の上昇→以下では、長期金利が上昇した場合の影響について、機械的な試算による感応度分 析を実施した。具体的には、長期金利が各ケース対比で継続的に0.5%pt程度上振れた と設定した。新発債・借換債の金利上昇により利払費が増加するため、両ケースにお いて国・地方の公債等残高対GDP比は試算期間の最終年度で3.2%pt程度上昇する。⇒図11:名目長期金利が上昇した場合 参照。

(B)景気変動等への対応→ 様々な経済の下振れ要因となるショックが発生した場合、発生した危機に対処するための追加的な財政支出が行われることが多い。国・地方の公債等残高対GDP比は、 過去20年程度の間(2002〜2023年度)に90%pt程度上昇したが、特にリーマンショッ クと新型コロナウイルス感染症への対応を行った期間で40%pt程度上昇した。 経済ショックに対し財政による調整機能が働き、早期に経済が安定することは望ま しいが、これまでリーマンショック、新型コロナウイルス感染症ほどの大きなショックではない場合にも、時々の経済情勢等に対する機動的な対応として、補正予算が編成されてきた。 一般会計における補正予算は、財政法上、特に緊要となった場合に編成されるもの であり、本試算では、そうした現時点で具体的に想定されない支出は織り込まない姿 を示している。政府は、緊急時の財政支出を必要以上に長期化・恒常化させないように取り組むこととしているが、それとともに、経済の安定的成長に高い効果をもたらすようワイズスペンディングを実現していくことが必要である。 以下では、政府支出が本試算で想定するよりも増加した場合の影響について、機械的な試算による感応度分析を実施した。具体的には、政府支出が各ケース対比で毎年 名目GDPの0.5%程度増加するものと設定した。これにより両ケースともにPBは 下振れ、過去投影ケースでは赤字が継続する姿となっている。⇒図12:政府支出が増加した場合 参照。

上記(@)〜(B)に加え、賃金交渉が賃金動向に与える影響、価格転嫁の状況が 物価・賃金に与える影響、税収のトレンドの変化や決算等を受けた財政収支の変動など、種々の不確実性が伴うため、試算結果については、相当な幅をもって理解される必要がある。 中長期の経済財政政策の検討においては、こうしたリスク・不確実性について留意して議論がなされることが重要であり、これらの議論に貢献するため、中長期的な経 済財政の展望では、リスク・不確実性にかかる影響を示すことが有用である。


1.主要計数表
・過去投影ケース  ・成長移行ケース  ・高成長実現ケース
2.財政の詳細計数表
・過去投影ケース  ・成長移行ケース 

(付録1)詳細な前提→(1)マクロ経済に関する想定(過去投影ケース、成長移行ケース・高成長実現ケース) (2)歳入 (3)歳出(4)防衛力強化の経費及び財源に関する想定 (5)こども・子育て政策強化の経費及び財源に関する想定 
(6)多年度で収支を完結させる枠組みを設定している施策に関する取扱い(@ 東日本大震災からの復旧・復興対策。A GX対策。B AI・半導体支援)
(付録2)部門別収支と国民総所得の推移
(付録3)過去の試算結果の推移→「実質GDP」「名目GDP」
(付録4)民間予測との比較
(付録5)成長と分配の好循環


◎資料4参考資料(中長期の経済財政に関する試算を踏まえて)(内閣府)
○中長期試算で示した経済の姿
→・「中長期試算」では、最低賃金も含めた賃上げや、人への投資、GX・DXなどの政策効果が発揮されるなか、 成長型経済への移行が実現するケース(以下、成長移行ケース、名目2%台後半の成長)を示し、 更に高成長が実現するケース(以下、高成長実現ケース、名目3%台の成長)も視野に入る経済の姿を併して示した。 ・ 成長移行ケースの場合、1人当たり平均賃金は年率3%程度で増加する姿になっている
○企業部門のISバランス→成長型経済への移行には、企業部門による適切な賃金への分配と国内投資の強化が欠かせない。これらの実現により、 中長期試算・成長移行ケースでは、企業部門のISバランスが投資超過へとシフトしていくことが見込まれている。 ・ 近年の企業部門の動向をみると、投資は増加傾向にあるものの、均してみれば、コロナ禍からの営業余剰や財産所得 の回復による貯蓄の増加の範囲内にとどまっている。その結果、ISバランスは足下では横ばい圏内で推移。 ・ 企業部門が投資主体として我が国の持続的な成長のけん引役となるよう、官民連携のほか、ボトルネックの点検など、 国内投資の更なる促進策を検討していく必要
○国・地方のPBの動向→・今回の中長期試算において、2025年度の国・地方のPBは、2024年7月試算と比べると、税収の上振れや歳出効率化 により改善する一方、2024年度経済対策の執行に伴う支出、所得税の基礎控除の引上げ等の税制改正、防衛力強化財 源の影響等によって、4.5兆円程度の赤字となった。 ・2025年度のPBの水準は、PB目標を掲げた2001年度以降で最も赤字幅が縮小する見通し。2026年度は、経済成長に 伴う歳入増や経済対策に係る歳出の執行縮小により、黒字化することが見込まれる。
○PBと債務残高対GDP比の関係→・成長型経済への移行を実現する中で、市場や国際社会における中長期的な財政の持続可能性への信認を維持していくためには、財政健全化を進めていくことが求められる。 ・ 債務残高対GDP比の動向は、名目金利と名目成長率の大小関係と、PBの水準の組合せで決まる。名目金利や名目成長率は民間の経済活動に大きく左右されることを踏まえると、「金利のある世界」となる中、債務残高対GDP比 の「安定的」な引下げには、成長力強化とともに、PBの黒字化が一層重要。


◎資料5中長期の経済財政に関する試算を踏まえて(有識者議員提出資料)
2025年1月17日   十倉雅和 中空麻奈 新浪剛史 柳川 範之
経済・財政・社会保障の持続性確保に向けて、「賃上げと投資が牽
引する成長型経済」へと移行し、中長期試算の成長移行ケースのように、人口減少下でも、実質1%を上回る成長を実現する必要がある。我が国を成長型経済へと導く予算・税制、規制・制度改革による措置を一体的・効果的に実行していくべき。 またこのためにも、各年度の予算編成において、経済再生と財政健全化を両立させなければならない。 政府は、「経済あっての財政」との考え方の下、2025年度のPB黒字化を目指して取り組んできたが、今回の中長期試算では同年度のPBは黒字化しない見通しが示された。この結果の検証・反省を次につなげ ることで、我が国財政の信認を確保していくことが重要である。こうした考え方に基づき、以下提言する。
1.財政健全化の進捗の検証→今回の試算結果は、2025年度にPBは黒字化しないものの、総じてみれば財政健全化に向けた前進 が確認できる。ただし、今後の経済状況の変化やそれに伴う追加的な対応が生じる可能性には十分に留意する必要がある。
・ 2025年度のPBは、黒字化しないものの、対GDP比▲0.7%程度と、PB目標を掲げた2001年度以降で 最も赤字幅が縮小する見通し1 。これまでの政策運営により、財政状況は着実に改善。
・ 2025年度のPBの変化要因をみると、経済成長に伴う税収の増加や歳出改革は改善に寄与。他方、 経済対策による支出増や、物価上昇・就業調整への税制面での対応、防衛力強化財源の影響等が下 押し。引き続き、「経済あっての財政」の考え方の下、必要な政策は講じつつ、歳出構造の平時化等、 次の有事に備えた財政運営は重要。
・PB黒字化の時期は、2026年度の見通し。骨太方針2024で示された「経済・財政新生計画」の計画期間(2030年度まで)を通じた中期的な財政の姿は大きくは変動していない。
・ 公債等残高対GDP比は、7月試算から上振れ。ただし、成長移行ケースでは徐々に低下し、過去投 影ケースでは2020年代後半に上昇に転じる姿は変わらない。PB改善とともに、成長力強化が重要。

2.経済再生と財政健全化の両立に向けて→ 以上の進捗を踏まえれば、早期のPB黒字化に向け、「経済・財政新生計画」の枠組みの下、潜在成長 率の引上げに重点を置いた財政運営に取り組むとともに、これまでの歳出改革努力や歳出構造の平時化、恒常的な支出増に対する財源確保などを継続すべき。その際、「EBPMアクションプラン」と「改革実 行プログラム」に沿って、プロセス管理とデータに基づくワイズスペンディングを徹底することが重要。 その上で、今年の骨太方針に向けた議論の中で、特に次の点を審議すべき。
・ 最低賃金の引上げを始めとする賃上げの中長期的な経済への波及の把握
・ 投資に係る環境や効果の分析と、企業部門が投資超過へとシフトしていくために必要な方策
・ 現行計画の枠組みの下での、早期のPB黒字化実現を含む、財政健全化に向けた取組
・ 社会保障の給付と負担等に係る新たな将来見通しの提示と、全体像を踏まえた社会保障改革の推進
・ 経済・物価動向等に配慮した歳出改革努力や公的部門のエッセンシャルワーカー確保に向けた方策


◎配付資料1)「経済・財政一体改革推進委員会」の設置について
平 成 2 7 年 6 月 3 0 日 経済財政諮問会議  平成 27 年 12 月 24 日一部改正
平成 29 年1月 25 日一部改正
平成 30 年7月9日一部改正
令和7年1月 17 日一部改正
1.趣旨→「経済財政運営と改革の基本方針 2024」に定める「経済・財政新生計画」を着実に実行するため、経済財政諮問会議の下に、専門調査会として「経済・財政一体改革推進委員会」を設置する。 推進委員会においては、経済、社会、環境や技術等の変化に適切に対応した予算編成や 制度改正に資するよう、人口減少下の持続可能な国・地方の行財政、人々のやりがいやウェルビーイング、デジタル・新技術の導入等による生産性向上等に着目しつつ、経済・財政一体改革を取り巻く課題について分析・評価し、プロセス管理を行う。具体的には以下の取組を進め、諮問会議に報告を行う。
(1)経済・財政一体改革の着実な推進に向け、EBPMアクションプラン及び改革実行 プログラム等により、毎年改革の進捗管理・点検・評価を行う。 なお、これらについては毎年必要な見直しを行い改訂するとともに、おおむね3年 を目途として包括的な検証を行う。 (2)経済・財政一体改革において客観的なデータに基づくワイズスペンディングを徹底 し、EBPMをさらに発展させるため、データの更なる利活用、分析手法の向上、府 省等間の連携協力を図る。 2.推進委員会の構成 (1)推進委員会は、経済財政諮問会議有識者議員及び有識者により構成する。
(2)推進委員会の下に、EBPMアドバイザリーボード及びテーマ別にワーキング・グ ループを置くことができる。また、必要に応じ、特定のテーマに係る会議等を開くことができる。
(3)各ワーキング・グループではテーマ毎の議論を深める。EBPMアドバイザリーボ ードでは、EBPMの取組の発展に資する検討を行う。推進委員会では、経済・財 政新生計画全体を俯瞰・横断する視点から議論を整理・調整する。

次回は新たに「第 80 回 労働政策審議会雇用環境・均等分科会」からです。

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