令和6年第16回経済財政諮問会議 [2025年02月08日(Sat)]
令和6年第16回経済財政諮問会議(令和6年 12 月 26 日)
議 事 (1) 令和7年度の経済見通し (2) 経済・財政新生計画に基づく EBPM の強化及び改革工程の具体化 https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/1226/agenda.html ◎資料1−1令和7年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(ポイント)(内閣府) 1.経済成長の見通し→・2024年度は、内需は堅調である一方、財輸出の鈍化とサービス輸入の増加により外需がマイナス寄与とな り、実質成長率は0.4%程度、名目成長率は2.9%程度となる見込み。 ・2025年度は、物価上昇が落ち着く中、個人消費等の内需が増加し、実質成長率は1.2%程度、名目成長率は 2.7%程度となる見込み。 2.賃金と個人消費の見通し→2024年度を通じてみると、賃金上昇率は物価上昇率を上回り、2025年度には、それが定着する見込み。 それに伴い、実質個人消費も徐々に増加する見通し。 3.設備投資・輸出入の見通し→設備投資は、企業の収益増加や投資意欲の高さを背景に、名目・実質ともに、引き続き増加する見込み。 実質輸出は、2024年度は、自動車認証不正問題の影響や中国経済の鈍化により低い伸びとなる一方で、 2025年度は、海外経済が緩やかに成長する中で、伸びが高まる見込み。 実質輸入は、内需の緩やかな伸びが継続する中で、2024年度・2025年度ともに、増加する見込み。 4.マクロの需要と供給のバランス→労働力人口の伸びが頭打ちとなる中、労働需給はひっ迫。 マクロ経済で見ても、需要不足の局面から、供給制約の局面に入る見込み。 ◎資料1−2令和7年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度 (令和6年 12 月 25 日閣議了解) 1.令和6年度の経済動向及び令和7年度の経済見通し (1) 令和6年度及び令和7年度の主要経済指標→国内総生産、国民総所得、物価など。 (2)令和6年度の経済動向→コストカット型経済から脱却し、デフレ に後戻りせず、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」に移行できるかどうかの 分岐点。 (3)令和7年度の経済見通し→総合経済対策の効果が下支えとなって、賃金上昇が物価上昇を上回り、個人消費が増加するとともに、企業の設備投資も堅調な動きが継 続するなど、引き続き、民間需要主導の経済成長となることが期待される。 @ 実質国内総生産(実質GDP)A 実質国民総所得(実質GNI)B 労働・雇用 C 鉱工業生産 D 物価 E 国際収支 2.令和7年度の経済財政運営の基本的態度→最低賃金の引上げ価格転嫁等の取引適正化、人手不足に対応する省力化・デジタル化投資の促進、人への投資を含む三位一体の労働市場改革に取り組む。また、DX・GX、AI・半導体等の成長分野における官民連携投資など、「投資立国」の取組とともに、国民の資産形成を後押しする「資産運用立国」の取組を進め、我が国経済を高付加価値創出型の成長経済へと転換していく。 ◎資料2植田議員提出資料 ○金融政策の多角的レビュー(1)→経済がデフレに陥った1990年代後半以降の金融政策運営について理解を深め、将来の政策運営にとって有益な知見を得るため、多角的にレビューを実施⇒内部での調査分析、外部との意見交換(地域の企業・金融機関等との懇談会、学界有識者とのコン ファレンス等)、企業・家計・金融機関へのアンケート調査等 1990年代後半以降のわが国の経済・物価・金融情勢 参照。 ○金融政策の多角的レビュー(2)↓ ・大規模な金融緩和の効果と副作用の評価→• 金融市場や金融機関収益などの面で一定の副作用はあったものの、現時点においては、全体と してみれば、わが国経済に対してプラスの影響。・ただし、今後、なお低下した状態にある国債市場の機能度の回復が進まない、あるいは副作用 が遅れて顕在化するなど、マイナスの影響が大きくなる可能性には留意 ・先行きの金融政策運営への含意→ • 非伝統的な金融政策手段を用いる必要が生じた場合:ベネフィットとコストの比較衡量が重要⇒現時点においては、将来の政策運営を考えるうえで特定の手段を除外するべきではないが、今後、各手段の採用を検討する際には、留意点等を勘案し、可能な限り副作用を抑制しながら効果を発揮できるよう、制度設計していく必要。 • 引き続き、2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、 金融政策を運営していくことが適切 ![]() ◎資料3 マクロ経済財政運営(参考資料)(内閣府)↓ ○日・米・ユーロ圏のマクロ経済及び財政・金融政策の推移→・GDPギャップ: 各国・地域とも、コロナ禍からの経済社会活動正常化の動きを背景に、縮小の動き。 ・ 物価: アメリカ・ユーロ圏では、需要の増加や資源価格上昇の影響により、2022年に物価上昇率が大きくなったが、その後は 緩やかになりつつある。日本は他国ほどは高まらず。 ・ 財政政策:基礎的財政収支(PB)は、各国・地域とも、コロナ禍の大幅な赤字は縮小しつつあるが、未だマイナス圏内で推移。 ・ 金融政策:アメリカ・ユーロ圏では、物価が大きく上昇する局面で、政策金利の引上げが進んだ。 ○就業調整に関する取組状況等→税や社会保険料の負担等を避けるために年収を一定額以下に抑える「就業調整」の解消に向けた取組が進展。⇒<図1>〜<図4> 参照。 ○我が国の経済財政運営の変遷→引き続き、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を実 現しつつ、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靭な経済・財政を作っていくことが重要。 ○公債等残高対GDP比の変化要因→・公債等残高対GDP比の動向は、 2016〜18年度: 実質成長による低下要因と利払費増加による上昇要因が概ね拮抗する中、PB赤字の累積分、比率は上昇。 2019〜21年度: コロナ対応に伴いPB赤字による上昇要因が拡大。実質成長要因も上昇側に転じ、比率は大幅に上昇。 2022〜24年度: PB赤字の上昇要因は大きいものの、実質成長の回復と大幅な物価上昇による低下要因により、比率は低下。 ・ 今後、金利上昇に伴い利払費要因(上昇要因)の拡大が見込まれることや、コロナ禍のような債務残高対GDP比が大きく上昇 する危機対応に備えるため、PB黒字化と高い名目成長率の実現による債務残高対GDP比の安定的な引下げが一層重要。 ◎資料4 マクロ経済財政運営(有識者議員提出資料) 2024年12月26日 十倉雅和 中空麻奈 新浪剛史 柳川範之 来年は、米国における新政権の誕生に加え、先進各国で政治状況が変動し、各国の通商政策や 財政政策などの経済政策も変化する可能性がある。日本経済は、そうした変化に適切に対処しつつ、 「金利のある世界」に対応しながら、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を進めていく必要 がある。以下提言する。 1.成長型経済への移行に向けて→・政府経済見通しで示されている、物価上昇を上回る賃金上昇を通じた消費の拡大、民間投資拡大などによる、民需主導の経済成長の姿を現実のものとすることが重要。政府において、賃上げ環境の整備や、潜在成長率を高めるための戦略的な投資支援など、今般の経済対策・補正予算、 来年度予算・税制、規制・制度改革による大胆な措置を、スピード感を持って実行していくべき。 ・ 今回、103万円の壁の引上げ等が協議されたが、就労調整(働き控え)をなくすことは、人手不足への対応として重要。今回の議論を契機に、多くの国民に「就労調整するより、もっと働いた方が 良い」と思ってもらえるように、トータルパッケージで就労調整の解消に対応していくべき。 ・ 様々な「壁」があって分かりにくく、政府の対策を含め、国民に十分に伝わっておらず、今般 の制度改革など制度の全体像を分かりやすく周知徹底すべき。 ・ 企業の配偶者手当も就労調整の要因の1つであり、働き方に中立的なものとなるよう見直しを促進。 ・ 第3号被保険者制度について、次期改正を待たずに、見直しの議論を。 2.政策遂行に不可欠な財政の信認確保→・「金利のある世界」へと変化する中、積極果敢な政策運営により、厳しい状況にある我が国の財政 に負荷がかかることに留意する必要がある。適切なマクロ経済運営を図るには、政府による安定 的な資金調達を維持し政策効果を十全に発揮させることが重要であり、そのためにも財政に対する市場の信認は欠かせない。 ・ PB黒字化という財政健全化の旗を下ろすことなく、これまでの歳出改革努力1 の継続や歳出構造 の平時化など、歳出・歳入両面から改革に取り組み、計画的に財政状況の改善を進めるべき。その際、今般取りまとめる「経済・財政新生計画 改革実行プログラム」や「EBPMアクションプラン」 に沿った進捗管理の下で改革を進めることが重要。 ・ 防衛力強化やこども・子育て政策に係る恒常的な支出増に向けては、既定の財政フレーム(防衛 力強化は2027年度まで、こども・子育て政策は2028年度まで)に沿って、歳出改革、税外収入、税制措 置等の財源を計画的に確保していくべき。 ・ 先に成立した2024年度補正予算に加え、2025年度予算案・税制改正案等の影響を精査し、1月 に新たな中長期試算を提示の上で、財政健全化の進捗を検証すべき。 ◎資料5−1 「EBPM アクションプラン 2024」・「改革実行プログラム 2024」〜「経済・財政新生計画」に基づく EBPM の強化及び改革工程の具体化〜(経済・財政一体改革推進委員会・2024年12月26日) ○EBPMアクションプラン及び改革実行プログラム 「経済・財政新生計画」に基づくEBPMの強化及び改革工程の具体化→・EBPMアクションプラン2024:多年度にわたる重要政策及び計画(効率的な医療・介 護サービス、質の高い公教育、広域のまちづくり、半導体・GX投資等、10分野)を対象 に、エビデンスに基づく政策立案を行うため、政策目標、達成・進捗の検証方法、データ の整備方針、政策への反映等の手法を明確化。このプランに基づいて、EBPMの実践・ 実装を本格化させる。・改革実行プログラム2024:社会保障、文教・科学技術、地方行財政、社会資本整備等の各 分野の200を超える改革項目について、「何を」「いつまでに」「どのように」進めるか を明確化。この具体的な改革工程に従って改革を実行していく。 EBPMアクションプラン及び改革実行プログラム 「経済・財政新生計画」に基づくEBPMの強化及び改革工程の具体化。 これらを用いながら、毎年改革の進捗管理、点検、評価を実施し、経済財政諮問会議にお いて必要な政策対応等に結び付ける。 ○EBPMアクションプラン2024→「予算の全体像」(令和6年7月29日諮問会議決定)に示された10の重要政策・計画を対象に、@政策体系 (ロジックモデル)、A検証事項、B分析・検証方法等、C体制、D分析・検証やデータ整備におけるロードマップ、 E政策見直しへの活用方法について、有識者の指導の下に十分な検討を行って取りまとめたもの。 ⇒EBPMアクションプランの活用、関係府省庁等との連携など 参照。 ・EBPMアクションプラン 重要政策・計画10分野 参照。 ○EBPMアクションプラン2024における「半導体関連の国内投資促進」(抜粋)(ロジックモデル)↓ 1.政策体系の概要→政策目標:我が国産業の発展と社会のデジタル化による高度化に必要不可欠なAI・半導体分野の産業競争力を強化させるとともに、安定的な生産能 力を確保することで、経済安全保障を確保するとともにエネルギー効率化に繋げること。⇒最終アウトカム指標、中間アウトカム指標、関連施策 あり。 参照。 2.検証事項→公的支援により実現した研究開発や設備投資が、 @各種半導体の売上高増加及び日本のシェア拡大(ロジック、メモリ、パワー半導体等)、地域・関連産業への裨益、 A国内需要に対する十分な供給能力の確保 B半導体を使用する製品に係る二酸化炭素排出削減 に繋がっているか。 3.分析・検証方法、用いるデータ等→確認するエビデンス等(ABCあり)、ABCの分析・検証方法と、それに 用いるデータ等の解説表一覧。参照。 ○改革実行プログラム2024→経済・財政新生計画に掲げられた主要分野の200超の改革項目について、今後3年間(2025〜2027年度) を中心に、「何を」「いつまでに」「どのように」改革を進めるのかを明確化。⇒分野、テーマ 、項目 の参照。 ○(参考1)経済・財政一体改革について↓ <骨太方針2024(令和6年6月21日)(抄)>→経済・財政・社会保障の持続可能性の確保を図るには、人口減 少が本格化する2030年代以降も、実質1%を安定的に上回る成長 を確保する必要がある。人口減少が本格化する2030年度までが、こうした経済構造への 変革を起こすラストチャンスである。このため、本基本方針第3章を 「経済・財政新生計画」として定め、、今後3年程度で必要な制度改革を含め集中的な取組を 講じていく。 ・ー 経済・財政一体改革に関する記述 ー→(新たな枠組みと基本的考え方)⇒本計画の対象期間は、人口減少が本格化する2030年度まで の6年間とし、引き続き経済・財政一体改革を推進する。経済・財政・社会保障を一体として相互に連携させながら改革を 進め、経済社会の持続可能性を確保していく。(経済・財政一体改革の点検・評価)⇒本年末までにEBPMの強化策及び経済・財政一体改革の工程を具体化するとともに、毎年改革の進捗管理・点検・評価を行う。 ○(参考2)経済・財政一体改革推進委員会の検討体制・委員↓ ・検討体制→「社会保障」「国と地方のシステム」「経済社会の活力」のワーキングシステムあり。 ・委員→12名。 ◎資料5−2経済・財政一体改革の強力な推進に向けて(柳川議員提出資料) 経済・財政一体改革の強力な推進に向けて 2024年12月26日 経済・財政一体改革推進委員会会長 柳川 範之 1.EBPMアクションプラン2024及び改革実行プログラム2024の策定 −経済・財政新生計画− →今回の取組は、経済・財政新生計画のなかの重要政策等のEBPMの強化及び改革工程を具 体化。財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強い強靭な経済・財政を作るための具体 的な指針となるもの。今後はこれに沿って、スピード感を持って改革を進めるとともに、各府省の 連携やプロセス管理を強化し、限られたリソースから高い政策効果を生み出していく。また、こうし た取組は予算の説明力を引き上げるものであり、十分な周知に取り組む。 (1)EBPMアクションプラン2024 →・対象10分野は、成長型経済への移行と国民の安全・安心の確保に関わる、政府の重要政策 課題。今般新たに策定された本プランに基づき、財政支出の政策効果を高め、ワイズスペン ディングを徹底すべき。 ・ 特に多年度で取り組む半導体投資、GX投資、防衛生産・技術基盤の維持・強化は強力に推 進すべき分野であり、今回の経済対策において「AI・半導体産業基盤強化フレーム」が構築されたことは重要。予見可能性を高め、民間投資を呼び込み、イノベーションの創出、グロー バル競争の視点、地域経済の活性化も含め、PDCAをしっかりと回していくべき。・今後は、EBPMの実践・実装を進めて、「データに基づく政策立案」をさらに進化させ、ミクロの施策の評価とマクロの政策の効果分析を連結させる試みを発展させるべき。また、10分野以外の重要政策課題の改革に当たっても、明確な政策目標とロジックモデルの議論など今回得られた知見を活かし、より効果的なPDCAを進めていくべき。 (2)改革実行プログラム2024→・今回、詳細に具体化した200超の改革工程に沿って、地方自治体等現場の実施主体とも連 携し、スピード感を持って改革を実行することが重要である。毎年の点検・評価をタイムリー に行っていくべき。 ・社会保障改革について、年金制度改革、医療・介護体制等についての課題に結論が得られ たことは大きな前進である。子育て世代への支援強化の財源となるものであり、改革実行プ ログラムに沿って、成果を定量的に把握しつつ改革を進めるべき。 2.今後の経済・財政一体改革の取組→経済・財政一体改革を一層効果的に推進するには、人口減少下の持続可能な国・地方の行財政、人々のやりがいやウェルビーイング、デジタル・新技術の導入等による生産性向上、などに着目しながら、経済、社会、環境や技術等の変化に適切に対応した予算編成や制度改正に結び つけていく必要がある。こうした経済・財政一体改革をとりまく課題について、引き続き分析・評価 し、プロセス管理を行いながら、定期的に経済財政諮問会議に報告を行うべき。 次回も続き「資料5−3 EBPM アクションプラン 2024」からです。 |