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令和6年第14回経済財政諮問会議 [2025年01月11日(Sat)]
令和6年第14回経済財政諮問会議(令和6年11月26日)
議事(1)令和7年度予算編成の基本方針(原案)(2)賃金向上に関する特別セッション@
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/1126/agenda.html
◎資料1 財政制度等審議会の建議の方向(加藤議員提出資料)
T:総論↓
1.経済の新たなステージへの移行に向けて ↓
我が国の経済は
、→ • 個人消費は力強い回復には至っていないものの、春闘の賃上げ率は過去30年で最大、企業収益は過去最高を更新、物価上昇 はコストプッシュ型から基調的なものへと変化。 • 名目・実質GDPは過去最高水準、GDPギャップは改善するなど、もはやコロナ禍とは異なり、新たなステージに向けた芽吹きが見 られる。他方、人口減少が進む中、デフレ脱却を確実にするためにも、潜在成長率の引上げが急務であり、労働生産性の向上や 資本投入の増加を通じて、民需主導の持続的な経済成長を実現していくことが不可欠。
2.新たなステージにおける課題→ 経済の新たなステージへの移行が進む中、 • 他の先進国と同様、歳出構造の平時化に取り組む必要。 • 物価上昇局面では、予算面においても経済・物価動向等に一定の配慮が必要。他方で、これに伴う社会保険料等の国民負担増 や金融政策の調整度合いとの整合性に留意が必要。 • 金利上昇局面では、利払費の増加が懸念されることに加え、企業・政府の資金調達コストが上昇することもあり、企業の投資効率向上や政府の投資効果も見据えた政策運営が必要。また、銀行の国債消化余力の度合いや海外投資家の国債保有割合の上昇等を踏まえ、国債を安定的に消化できる環境維持のための政策努力が不可欠。 • これまで金融危機や自然災害等の有事が一定の頻度で発生。今後想定外の有事が発生した場合にも、十分な財政措置を講じ ることができるよう、財政余力の確保が重要。
3.今後の財政運営 • 骨太方針→2024等を踏まえ、2025年度のプライマリーバランス黒字化目標の達成に向けて取り組むのみならず、それを一里塚として、これまでの取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指し、経済再生と財政健 全化を両立させる歩みを前進させる必要。 • EBPMによる予算の中身の重点化や施策の優先順位付けを徹底することで、予算の質を高めていくことが重要。 • 今後財政健全化に取り組んでいくに当たっては、財政の現状や課題に対する国民の理解を醸成し、議論を喚起していくことが重要。

U:各論↓
1.社会保障
→・ 全世代型社会保障に向けた医療・介護の改革をより一層推進する。現役世代の負担を抑制する観点から、毎年薬価改定を着実に 実施するとともに、年齢ではなく能力に応じた負担に向けた改革に取り組むべき。さらに実効性のある医師偏在対策を実現すべき。 ・ 年金制度改革について、働き方に中立的な制度の構築を目指すとともに、高齢期の経済基盤の安定や所得保障・再分配機能の強化を図るため、被用者保険の適用拡大、基礎年金の給付水準の低下への対応等の改革に取り組むべき。
2.地方財政→ ・ 一般財源総額実質同水準ルールの下、臨時財政対策債の発行額の縮減を図るなど、地方財政の健全化を更に推進していく必要。 また、交付税特会の借入金について、償還計画を前倒しするなど、残高の縮減に向けた努力を強化・継続していくべき。
3.防衛→・ 防衛力整備の一層の効率化・合理化を図りながら、防衛力の抜本強化を図りつつ、計画で定められた経費の総額を堅持する必要。
4.文教・科学技術→・ 義務教育について、児童生徒あたり教員数は増加しているが、教員の時間外在校等時間は減少しておらず、負担感の大きい業務の抜 本的縮減が必要。そのため、教職調整額を、「働き方改革」の進捗と財源確保を前提に、段階的に引き上げつつ、時間外在校等時間 が月20時間(調整額10%相当)に達する際に教員ごとの所定外の勤務時間に見合う手当への移行等を検討することが考えられる。
5.社会資本整備→・ 国土強靭化の推進に向けて、これまでの取組を検証するとともに、事業の更なる重点化やハード・ソフト両面の取組等により、緊急に 実施すべき事業を確実に実施する必要。整備新幹線の着工判断や貸付料設定の見直し等についても、検討を深める必要。
6.農林水産→・ 法人経営や大規模化等により、農業を自立した産業へと「構造転換」し、その中で、足腰の強い水田農業への転換を進めるべき。また 食料安全保障は、輸入や備蓄の確保等により強固な食料安全保障を実現すべき。米の備蓄水準を見直し、財政負担を削減すべき。
7.国内投資・中小企業等→・ 半導体関連投資等について、支援の基本原則を定め、第三者の外部有識者等による評価の下で検証・改善を加えることが重要。 中小企業対策は、経営改善のための支援体制整備や、価格転嫁対策など、中小企業の公正な競争環境の整備に軸足を置くべき。
※ 上記のほか、「外交」「デジタル」についても、各分野において取り組むべき事項を記載予定。


◎資料2 令和7年度予算編成の基本方針(案)
1. 基本的考え方
(1)経済の現状及び課題

@ 我が国経済は、600 兆円超の名目GDP、33 年ぶりの高い水準となった賃上げを実現した。成長と分配の好循環は、動き始めている。現在は、長きにわ 11 たったコストカット型経済から脱却し、デフレに後戻りせず、「賃上げと投資 12 が牽引する成長型経済」に移行できるかどうかの分岐点にある。
A こうした前向きな動きを、国民一人一人が実際の賃金・所得の増加という形で、手取りが増え、豊かさが実感できるよう、更に政策を前進させなければならない。賃金・所得が力強く増加していく状況が定着するまでの間、家計を 温め、生活者が豊かさを実感できるよう、幅広い方策を検討することも必要である。
B 最重要課題は、全ての世代の現在・将来の賃金・所得の増加であり、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現し、新たなステージとなる「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を確実にすることである。
C 我が国経済が緩やかな回復を続けると見込まれる中、経済全体の需給バランスは、今後、需要不足から供給制約の局面に入ると見られる。官民が連携する形で成長分野における投資を促進するとともに、地方の中堅・中小企業の人手不足対策を含めた生産性向上の取組を支援するなど、日本経済及び地方経済の中長期的な成長力を強化することが必要となる。それらの取組と人への投資及び労働市場改革を合わせ、賃上げの流れを構造的・持続的なものとする。 同時に、現下の物価高の下、誰一人取り残されない形で成長型経済に移行するためには、特に物価高の影響を受ける低所得者世帯への支援や地域の実情に応じたきめ細かい物価高対策など、当面の措置を講ずる必要がある。 東日本大震災や令和6年能登半島地震を始めとする自然災害からの復旧・復興、外交・安全保障環境の変化への適切な対応、防犯・治安対策の強化、公教育の再生、女性や高齢者の活躍・参画の推進を含め、「誰一人取り残されない社会」の実現に向けた取組を推進し、成長型経済への移行の礎となる国民の安心・安全の確保に万全を期すことも必要である。

(2)経済財政運営の基本的考え方
@ 政府は、こうした重要課題に迅速に対応するため、日本経済・地方経済の成長、物価高の克服及び国民の安心・安全の確保を3つの柱とする「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」(令和6年 11 月 22 日閣議決定)を策定した。経済対策の裏付けとなる令和6年度補正予算の早期成立を図り、その成立後には、できる限り速やかに関連する施策を実行する。その上で、令和7年度の予算編成に取り組み、切れ目のない経済財政運営を行う。
A 経済財政運営に当たっては、デフレを脱却し、新たな経済のステージに移行することを目指して、「経済あっての財政」との考え方に立ち、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を実現しつつ、財政状況の改善を進め、力強く発展する、危機に強靱な経済・財政を作っていく。

(3)施策の方向性
@ 物価上昇を上回る賃金上昇の普及・定着に向け、地域の中堅・中小企業及び小規模事業者を含め、最低賃金の引上げを始めとする賃上げの環境を整備する。国民一人一人の生産性と所得を向上させる全世代のリ・スキリング支援など、三位一体の労働市場改革を推進する。建設・物流、医療・介護等の現場におけるロボット・ICT機器の活用を通じた生産性向上・職場環境改善等による更なる賃上げ等を支援する。公正取引委員会の下請代金支払遅延等防止法(昭和 31 年法律第 120 号)の執行強化、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(令和5年 11 月 29 日公表)に基づく取組の徹底、国等及び地方公共団体の官公需における入札制度の適切な運用を含め、中小企業等の価格転嫁の円滑化を進めるとともに、資金繰り、経営改善・再生・成長に向けた取組等を支援する。
A 地方こそ成長の主役である。ICT技術も活用しながら、新たな地方創生施策(「地方創生2.0」)を展開する。「新しい地方経済・生活環境創生本部」(令和6年 10 月 11 日設置)において、今後 10 年間集中的に取り組む基本構想を策定する。地域の産官学金労言が連携し、それぞれの知恵と情熱を活かして地域の可能性を引き出そうとする取組を後押しする中で、買物、医療、交通など日常生活に不可欠なサービスの維持向上やデジタルトランスフォーメーション(DX)・グリーントランスフォーメーション(GX)の面的展開等の取組を進め、新たな需要創出や生産性向上につなげる。地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増することを目指して取り組む。
B 賃上げの原資となる企業の稼ぐ力や地方経済の潜在力を引き出すための国内投資を促進する。科学技術の振興及びイノベーションの促進、GX・DX及びAI・半導体の分野における官民連携での投資の促進、宇宙・海洋のフロンティアの開拓、スタートアップへの支援等に取り組むことによって、成長力を強化するとともに、新たな需要を創出する。半導体を始めとする重要な物資のサプライチェーンの強靱化や先端的な重要技術の育成など、経済安全保障の確保に向けた取組を推進する。併せて、食料安全保障及びエネルギー安全保障に係る政策対応を強化する。
C 農林水産業の持続可能な成長、文化芸術・スポーツ及びコンテンツ産業の振興、交通・物流インフラの整備、観光立国に向けた取組を推進する。2050 年カーボンニュートラルを目指したグリーン社会、地域・くらしの脱炭素化やサーキュラーエコノミーの実現、2025 年大阪・関西万博に向けた着実な準備等に取り組む。
D 令和6年能登半島地震等の自然災害からの復旧・復興に取り組む。今後も想定される災害への備えに万全を期すため、令和8年度中の防災庁の設置に向けた検討と並行して、まず、内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面で抜本的に強化するとともに、避難所環境の整備など、防災・減災及び国土強靱化の取組を着実に推進する。「5か年加速化対策」後も、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安定的に切れ目なくこれまで以上に必要な事業が着実に進められるよう、「国土強靱化実施中期計画」の策定に係る検討を最大限加速し、早急に策定する。東日本大震災からの復興・創生に取り組む。ALPS処理水に関し、一部の国・地域による日本産水産物の輸入停止に対し、即時撤廃を強く求めるとともに、安全性の確保と風評対策・なりわい継続支援に万全を期す。
E 日米同盟を基軸に、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、法の支配に基づく国際秩序を堅持するため、各国・地域との協力連携を深めるとともに、ルールに基づく自由貿易体制を推進する。戦後最も厳しく複雑な状況となっている安全保障環境を踏まえ、国家及び国民を守り抜くため、令和5年度から令和9年度までの5年間で 43 兆円程度の防衛力整備の水準を確保し、防衛力の抜本的強化を速やかに実現する。「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議」における検討を踏まえた人的基盤の強化に係る施策に取り組む。
F 全てのこども・子育て世帯に対し切れ目のない支援を行う観点から、「こど 5 も未来戦略」(令和5年 12 月 22 日閣議決定)で示された「こども・子育て支 6 援加速化プラン」を着実に実施する。
G 誰一人取り残されない安心・安全な社会の実現を目指し、都市部を含む社会全体での防犯・治安対策の強化、厳格かつ円滑な出入国在留管理、全世代型社会保障の構築、健康寿命の延伸による生涯活躍社会の実現、公教育の再生、女性や高齢者の活躍・参画の推進、障害者の社会参加や地域移行の推進、孤 12 独・孤立対策・就職氷河期世代のリ・スキリングの支援等に取り組む。

2.予算編成についての考え方
@ 令和7年度予算は、令和6年度補正予算と一体として、1.の基本的考え方及び「経済財政運営と改革の基本方針 2024」(令和6年6月 21 日閣議決定。以下「骨太方針 2024」という。)に沿って編成する。足元の物価高に対応しつつ、デフレを脱却し、新たなステージとなる「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を実現することを目指して、物価上昇を上回る賃金上昇の普及・定着、地方創生2.0の起動、官民連携による投資の拡大、防災・減災及び国土強靱化、防衛力の抜本的強化を始めとする我が国を取り巻く外交・安全保障環境の変化への対応、充実した少子化・こども政策の着実な実施など、重要政策課題に必要な予算措置を講ずることによって、メリハリの効いた予算編成を行う。
A その際、骨太方針 2024 に基づき、経済・物価動向等に配慮しながら、「中期的な経済財政の枠組みに沿った予算編成を行う。ただし、重要な政策の選択 29 肢をせばめることがあってはならない」との方針を踏まえる。
B 骨太方針 2024を踏まえ、経済・財政一体改革の工程を具体化するとともに、EBPM1 やPDCA2 の取組を推進し、効果的・効率的な支出(ワイズスペン 33 ディング)を徹底する。


◎資料3 賃金向上特別セッションの主な論点(柳川議員提出資料)
○賃上げとマクロ経済に関する主な論点
1.賃上げを起点とした成長と分配の好循環

@ 原油高・円安を起点としたコストプッシュ圧力が、賃金やサービス価格上昇として波及し、「賃 金と物価の好循環」が回りつつある。この流れを「物価上昇を上回る賃金上昇の定着」に結 び付けていくためには、どのような経済運営が求められるか。
A賃上げを起点として、A)就労促進による人手不足緩和、 B)消費拡大による収益改善、 C)省 力化投資による生産性向上などがもたらされる「賃上げを起点とした成長と分配の好循環」 の実現に向けては、どのような環境整備が必要か。

2.高付加価値創出型経済による賃上げの定着
@ 構造的・持続的な賃上げを実現するためには、経済構造をコストカット型から高付加価値創 出型に転換する必要。そのカギとなる戦略は何か。(ex 企業経営を「守り」(雇用維持)から「攻め」 (投資)重視へ、下請けの価格転嫁を含めた適切なマークアップの確保、地域資源のデジタル化・収益化)
A人手不足の下で、経済全体の生産性を高め、需要を創出し、それを賃上げにつなげるため には、どのような対応が求められるか。 (ex 労働移動の円滑化、M&Aや事業承継の円滑化など のダイナミズムの向上)

3.賃上げの普及・拡大・人手不足対応
@賃上げの流れを更に拡大し、非正規、中小企業、地方などを含めて普及するためには、ど のような取組を進めるべきか。(ex 最低賃金の在り方)
➁人手不足の中で、エッセンシャルワーカーや公的分野の賃上げに向け、官民でどのような対 応が求められるか。(ex 予算・制度面での対応、AI等の現場への導入)
B人手不足の緩和に向け、労働供給を拡大するため、どのような取組を進めるべきか。(ex 働 き方に中立的な制度の構築、その周知広報)


◎資料4 賃金向上特別セッション 基礎資料集(内閣府)
○賃上げを起点とした「成長と分配の好循環」(イメージ)
→@賃上げ・最低賃金の引上げ(人への投資や設備投資による生産性向上の支援) A 家計部門では、賃金上昇による女性・高齢者を中心とした就労促進、それに伴う所得・消費の増加 B 企業部門では、労働供給の増加による人手不足の緩和、 所得・消費の増加による売上・収益の増加 C 家計部門の所得増や企業部門の売上・収益増により、更なるリスキリング・設備投資が可能となる。生産性の向上や価格転 嫁の進展によって、付加価値が増加し、更なる賃上げ・最低賃金の引上げにつながる。

○労働生産性と実質賃金の関係→労働生産性と実質賃金の関係について、「製造業」と「非製造業」に分けてみると、⇒ @ 製造業は、労働生産性は伸びている一方で、交易条件の悪化が賃金を下押ししている。コストを転嫁できるよう、ものづくりの 高付加価値化を進めることが重要。 A 非製造業は、労働生産性の伸びが限定的となる中、労働分配率の低下が賃金を下押ししている。生産性向上に向けた取組 と合わせ、雇用者の処遇改善を進めることが重要。

○交易条件・非正規雇用比率・収入分布→・交易条件は、長期的に悪化してきている。 ・ 非正規雇用比率は、非製造業中心に上昇。相対的に低い賃金の非正規へのシフトが、労働生産性と実質賃金の乖離の要因 となっている可能性。

○企業規模別にみた労働分配率→・労働分配率は、大企業・中堅企業を中心に低下傾向。中小・小規模企業の労働分配率は、相対的に高い水準で推移。 ・大企業の労働分配率の構成要素の変化をみると、営業利益が増加する一方で、人件費の伸びは限定的となっている。

○賃上げの環境整備→・コスト(原材料・労務費)増加分の4割以上を価格転嫁ができた企業は52.2%。業種別にみるとサービス業、規模別 にみると小規模な事業者において、転嫁が十分に進んでいない。 ・ 労務費の増加分の4割以上を価格転嫁できた企業は36.8%。原材料費と比較すると、労務費の転嫁は十分に進んでい ない。その傾向は、業種別にみると小売業とサービス業、規模別にみると小規模な事業者で顕著。

○最低賃金@→・本年の最低賃金の全国加重平均は過去最大の引上げとなったが、諸外国と比較すると、低水準かつ伸びが緩やか。 ・ 他の都道府県からの雇用充足率でみると、最低賃金水準が高い地域へ雇用の流入が進む傾向がみられる。 ・ 最低賃金の地域差は、高卒初任給の地域差と比べて大きい。低水準の最低賃金は、それに近い賃金体系で働く者にとって、 大都市圏で就業することのインセンティブとして作用する可能性。 ・ 引き続き、最低賃金の引上げを進めるとともに、地方創生の観点から、地域差を縮小していくことが期待される。

○最低賃金A→・物価高が継続する中、2020年度から2023年度にかけて最低賃金が引き上げられ、最低賃金の月収換算(※週40時間程度働いた と仮定した場合)は増加。 ・ 最低賃金の月収換算が、年収100万円〜200万円の単身勤労世帯の平均的な支出(試算値)を下回っている可能性がある地 域もある。⇒<図1:最低賃金で働いた場合の月収換算想定額(2023年度)> 参照。

○人手不足と賃金→・サービス・販売・保安分野(いずれも、エッセンシャル・ワーカーと呼ばれる分野)は、人手不足で賃金が低い。省力化投資等に よる生産性向上が重要。・人員に余裕がある事務・軽作業等の求職者(※)・従業員に対し、リスキリング等の支援を行うなど、労働需給のミスマッチ解消 に向けた取組が期待される。(※)事務の求職者の約7割が女性、軽作業の求職者の約8割が40歳以上、といった特徴がある。 ・地域ごとに労働需給の状況は異なるため、地域の実情に応じた取組も期待される。

○看護・介護・保育士・幼稚園教員の賃金→・看護師の賃金は、水準は相対的に高い一方で、伸びは限定的。 介護職員、保育士及び幼稚園教員は、伸びは相対的に高い一方で、水準は総じて低い。

○政府による賃上げ・処遇改善の取組状況
<看護職員等>
→・2024年度診療報酬改定において看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種のベースアップを実施して いくための特例的な対応として+0.61%の改定。 また、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する の賃上げに資する対応(改定率+0.28%程度を活用した初再診料、入院基本料等の引上げ)。
<介護職員>→・2024年度介護報酬改定において介護現場で働く方々の処遇改善を着実に行うものとして、+1.59%の改定。さらに、既存の3種類の加算を「介護職員等処遇改善加算」に一本化するとともに加算率を引き上 げ。 ⇒ 足元の人材確保の課題に対応する観点から、2024年度報酬改定において講じた医療・介護分野の職員 の処遇を改善するための措置(2024年度+2.5%、2025年度+2.0%のベア)を確実に届け、賃上げを 実現するとともに、生産性向上・職場環境改善等による更なる賃上げ等を支援する。
<保育【こども家庭庁】>→・2024年度の保育士等の人件費(公定価格)について、2024年人事院勧告に準拠し、+10.7%引き上げ。 ・ 事業者や地方公共団体の手続・事務負担の軽減を図るため、処遇改善等加算T〜Vの一本化等を検討。
<建設業【国土交通省】>→ ・ 2024年3月から適用の公共工事設計労務単価を+5.9%引き上げ。 ・2024年6月に建設業法等を改正・公布。国に労務費の基準の作成・勧告権限を付与(2024年9月施行)。 労働者の処遇確保を建設業者に努力義務化予定。 ・ 建設キャリアアップシステム(技能者の資格や就業履歴等を業界横断的に登録・蓄積し、技能・経験に 応じた適切な処遇につなげる仕組み)の利用拡大。 ・ 今般の経済対策を踏まえ、重層下請構造の適正化に向けた実態調査、適正な見積りの普及、建設Gメン を活用した事業者間の取引に係る調査・改善指導を強化する予定。

次回も続き「資料5 労働供給制約経済と賃金 〜賃金上昇圧力を持続的賃金上昇に結実させるために〜 (冨山和彦氏提出資料)」からです。

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