第71回労働政策審議会雇用環境・均等分科会 [2024年11月06日(Wed)]
第71回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(令和6年9月13日)
<議題> (1)令和7年度予算概算要求(雇用環境・均等局関係)(2)2023 年度の年度評価及び 2024 年度の目標設定 (3)育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代 育成支援対策推進法の一部を改正する法律の施行について(次世代育成支援対策推進 法の一部改正関係)(4)女性活躍推進及びハラスメント対策 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43326.html ◎資料2−1 雇用環境・均等分科会における年度目標及び実績評価について ○ 2010 年より、労働政策の推進に当たって PDCA サイクル機能の充実・強化を図るため、労働政策審議会の各分科会で目標の設定及び施策の運用実績の点検・評価を行っている。 ○ 雇用環境・均等分科会においても、毎年度目標を設定し、実績を評価してそれを踏まえて次年度の目標を設定してきたところ。 ○ 2023 年度の目標は→・女性活躍推進法に基づく認定を受けた企業数 2,300 社 ・次世代育成支援対策推進法に基づく認定(くるみんマーク取得)企 業数 4,200 社 ・男性の育児休業取得率 28.0%。 ◎資料2−2 2023 年度評価シート(案) ↓ 項目 ↓ 2022年度目標 2022年度実績 2023年度目標 2023年度実績↓ @ 女性活躍推進法に基づく認定を受けた企業数※1↓ 1,950 社 2,176 社 2,300 社 2,716 社 A 次世代育成支援対策推進法に基づく認定(くるみんマーク取得)企業数※2 ↓ 3,950 社 4,131 社 4,200 社 4,481 社 B 男性の育児休業取得率※3↓ 18.0% 17.13% 28.0% 30.1% (備考) ↓ ※1 雇用環境・均等部(室)による法施行状況調べ→女性活躍推進法に基づく行動計画を策定し厚生労働大臣による認定を受けた全国の企業数(各年度の3月 31 日時点) ※2 雇用環境・均等部(室)による法施行状況調べ→次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定・実施し、厚生労働大臣による 認定を受けた企業数(それぞれ各年度の3月 31 日時点) ※3 厚生労働省「雇用均等基本調査」→5人以上規模事業所で各年度の前々年(2023 年度実績では 2021 年)の 10 月1日か ら各年度の前年(2023 年度実績では 2022 年)9月 30 日までの1年間に配偶者が出 産した者に占める育児休業取得者(各年度の 10 月1日までに育児休業を開始した者)の割合 ○2023 年度目標設定における考え方、施策実施状況、2023 年度施策実施状況に係る分析、 ・施策の達成状況を踏まえた評価及び今後の方針→@ 女性活躍推進法に基づく認定を受けた企業数⇒・女性活躍推進法に基づく認定企業は増加しており、2023 年度に認定企業を 2,300 社とする分科会の目標を達成した。また、2020 年 12 月に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画において、2025 年までに 2,500 社とする政府目標も達成しており、引き続き認定について周知し、企業に対する認定取 得の働きかけを行う。 ・あわせて、女性活躍を推進するために、女性活躍推進アドバイザーによる個 別支援やコンサルティングによる個別企業の課題解決に向けたきめ細かいアドバイス実施の支援を実施するとともに、「女性の活躍推進企業データベ ース」を通じた情報公表項目の公表促進、アンコンシャス・バイアス(無意 識の偏見)を解消するための研修動画の作成等の取組を行う。 A 次世代育成支援対策推進法に基づく認定(くるみんマーク取得)企業数→・次世代育成支援対策推進法に基づく認定企業は増加しており、4,200 社とす る 2023 年度の分科会の目標を達成した。 ・2020 年 12 月に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画において、2025 年までに 4,300 社とする政府目標も達成しており、引き続き、2022 年4月か ら施行されている新しい認定基準やトライくるみんを含め認定制度につい て周知を図るとともに、企業に対する認定取得の働きかけを行う。 B 男性の育児休業取得率→・2022 年度の実績 17.13%に対し、2023 年度は 30.1%と約 13%上昇し、28.0% とする分科会の目標を達成した。 ・こども未来戦略(令和5年 12 月 22 日閣議決定)により 2025 年までに 50% とする政府目標の達成に向けて、育児休業の取得状況の公表義務の対象を、 常時雇用する労働者数が 300 人超の事業主に拡大することなどを内容とする育児・介護休業法等の改正法の円滑な施行に努めるなど、引き続き育児休業 を希望どおり取得できる環境整備に取り組んでいく。 ・これに加えて、育児休業中の業務体制整備のため、業務を代替する周囲の労 働者への手当を支給した中小企業への助成や「男性の育児休業取得促進事業」を通じた意識啓発、中小企業育児・介護休業等推進支援等事業の実施等、 個々の中小企業・労働者の状況、課題に応じた支援を行っていく。 ◎資料2−3 雇用環境・均等分科会にて検討すべき 2024 年度の年度目標一覧(案) 2022年度実績値 2023年度実績値 2024年度目標値 @女性活躍推進法に基づく認定を受けた企業数 ↓ 2,176社 2,716社 3,200社 A次世代育成支援対策推進法に基づく認定(くるみんマーク取得)企業数↓ 4,131社 4,481社 4,800社 B男性の育児休業取得率↓ 17.13% 30.1% 40% ○<2024年度目標値の設定の考え方><直近の実績値データ出所> 参照のこと。 ◎資料3−1 次世代育成支援対策推進法の改正を踏まえた主な省令事項 1 一般事業主行動計画の策定・変更の仕組みの見直し ↓ 〇 一般事業主行動計画の策定・変更の仕組みについての見直し→@〜Bを行うこと。 【参考】↓ ●改正後(令和7年4月1日〜)の次世代育成支援対策推進法(平成 15 年法律第 120 号) (一般事業主行動計画の策定等) 第十二条 ●女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画等に関する省令(平成 27 年厚生労働省令第 162 号) (女性の職業生活における活躍に関する状況の把握等) 第二条 第二条の二 ●「仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について」(建議) U−3 (2) 次世代育成支援対策推進法の仕組みの見直し→ 企業の取組の促進のため、PDCA サイクルの確立や数値目標の設定を法律上の仕組みとすることが適当である。「女性が 働きやすい職場」だけでなく「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指す企業の取組をさらに促進するため、 ・ 一般事業主行動計画を策定・変更するときは、・・・・・。 2 認定制度について↓ 〇 認定制度における認定基準について、以下のとおりに見直しを行うこと。 @ 男性労働者の育児休業等取得率等について、次のとおりに引き上げるものとすること。 ア 男性労働者の育児休業等取得率→@ トライくるみん 7%以上から 10%以上に引上げ。 A くるみん 10%以上から 30%以上に引上げ。 B プラチナくるみん 30%以上から 50%以上に引上げ。 イ 男性労働者の育児休業等・育児目的休暇取得率→@ トライくるみん 15%以上から 20%以上に 引上げ。 A くるみん 20%以上から 50%以上に引上げ。 B プラチナくるみん 50%以上から 70%以上に引上げ。 【参考】 ●「仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について」(建議) U−3 (4) 認定制度につ いて→ 認定制度が広く活用されているという点も踏まえつつ、「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指すという観点や男性の育児休業取得率の政府目標値が引き上げられたことから、主に(男性労働者の育児休業等取得率等)の内容について、認定基準を見直すことが 適当である。 ●次世代育成支援対策推進法施行規則(平成 15 年厚生労働省令第 122 号) (法第十三条の厚生労働省令で定める基準等) 第四条 A 女性労働者の育児休業等取得率について、現行、女性労働者全体の取得率を 75%以上としているところ、育児休業制度の対象となる女性の有期雇用労働者の取得率についても 75%以上とすること。 B フルタイム労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の要件について、現行、「フルタイムの労働者等の法定時間外・ 法定休日労働時間の平均が各月 45 時間未満であること」としているところ、くるみん・プラチナくるみんの認定におい ては、次に掲げる要件のいずれかを満たさなければならないものとすること。 ア 法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月 30 時間未満であること イ 25〜39 歳の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月 45 時間未満であること C 成果に関する具体的な目標を定めて実施するにあたって、現行、 ア 所定外労働の削減のための措置 イ 年次有給休暇の取得促進のための措置 ウ 短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件整備のための措置。 上記アを削除した上で、「男性の育児休業取得期間の延伸のための措置」を加え、以下のとおりとすること。→ア 年次有給休暇の取得促進のための措置 イ 短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件整備のための措置 ウ 男性の育児休業取得期間の延伸のための措置。 その上で、プラチナくるみんの要件を、「ア〜ウの全ての措置を実施しており、かつ、ア又はウの少なくともいずれか 一方について定量的な目標を定めて実施し、その目標を達成したこと」とすること。 D プラチナくるみんにおける能力向上又はキャリア形成の支援のための取組に係る計画の要件について、現行「育児休 業等をし、又は育児を行う女性労働者が就業を継続し、活躍できるような能力の向上又はキャリア形成の支援のための 取組にかかる計画を策定し、実施していること」であるところ、「育児休業等をし、又は育児を行う男女労働者が仕事と 育児を両立させながら意欲・能力を発揮して活躍できるような能力の向上又はキャリア形成の支援のための取組にかかる計画を策定し実施していること」とすること。 E 3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者について、「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、 所定労働時間の短縮措置又は始業時刻変更等の措置」に準ずる制度を講じていることの要件については、育児・介護休業法の改正により所定外労働の制限の対象となる子の年齢が小学校就学まで延伸されることや当該労働者について柔軟な働き方を実現するための措置が講じられることから、削除すること。 3 その他→施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、法改正に伴う所要の規定の整備を行う。 以下、参照のこと。 ◎資料3−2 次世代育成支援対策推進法の改正を踏まえた主な指針事項 1 一般事業主行動計画の策定等に関する手順等 (1)女性活躍推進法に基づく行動計画との一体的策定・届出→○ 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画と女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成 27 年 法律第 64 号。以下「女性活躍推進法」)に基づく一般事業主行動計画は、これら二つの法律に定める要件を満たし、かつ、その計画期間を同一とする場合に次世代育成支援対策推進法施行規則(平成 15 年厚生労働省令第 122 号)第1条第2項により、一体的に届出ができることとなっている。この際、雇用環境・均等局長が定める共通の届出様式(女性活躍推進法及び次世代育成支援対策推進法に係る一般事業主行動計画策定届の一体的届出の様式)があるので、適宜活 用していくことが望ましいこと。 (2)労働者の意見の反映のための措置→○ 仕事と子育ての両立支援に対する労働者のニーズは様々であり、必要な雇用環境の整備を効果的に実施するためには、 労働者のニーズを踏まえることが重要。このため、次世代育成支援対策に関する労働者の意見の反映に当たっては、 労働者や労働組合等に対するアンケート調査や意見聴取等の方法によることとされている。これとあわせて、両立支援に対するニーズの把握に向けたトップダウン・ボトムアップでの取組、当事者間のつながりによるコミュニティとのコミュニケーションなど多様な手段の活用を行うことが望ましいこと。 (3)状況把握・課題分析 ↓ @ 少子化への対応として、男女がともに育児・家事を担いつつ、希望に応じて仕事やキャリア形成との両立が可能にして いくことが求められる。「女性が働きやすい職場」だけでなく、「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指すためには、育児休業の取得を始めとした両立支援制度の利用状況の男女間の格差や、子育て期でない労働者も含めた長時間労働の状況を改善していくことが重要。このため、一般事業主が、一般事業主行動計画を策定し、又は変更しようとするときは、直近の事業年度における職業生活と子育ての両立に関する状況に関し、以下のア及びイの事項を把握し、課題分析を行うことが求められる。⇒ ア 男性労働者の「育児休業等(※1)取得率」又は男性労働者の「育児休業等及び育児目的休暇(※2)の取得率」の状況。 イ フルタイム労働者一人当たりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数等の労働時間(高度プロフェッショナル制度の適用を受ける労働者にあっては、健康管理時間)の状況。 ※1 育児・介護休業法第2条第1号の育児休業(産後パパ育休を含む)、第 23 条第2項 の3歳未満の子を育てる労働 者を対象とした育児休業及び第 24 条第1項の小学校就 学前の子を育てる労働者を対象とした育児休業 ※2 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する男性労働者を雇用する事業主が講ずる育児を目的とした休暇制度 (育児休業等及び子の看護休暇を除く。) A なお、これらの事項の把握に際しては、それまでに一般事業主行動計画を策定していた一般事業主については、直近の 計画期間におけるこれらの事項や、各企業の実情に応じ、その他の労働者の職業生活と家庭生活との両立状況に関連する 事項や数値等についても把握しておくことが望ましいものとすること。 B また、これらの課題分析は、各事業主の実情に応じて行うべきものであるが、男女間で両立支援制度の利用状況に差があり、女性に育児負担が偏りがちである現状が見られることや、男女ともに働き方を見直していくことが必要であることを踏まえ、労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするため、次の方法も参考に、課題分析を行うことが 効果的である。⇒アに関する分析の観点例(男性労働者の「育児休業等取得率」又は男性労働者の「育児休業等及び育児目的休暇の取得率」の状況)、その取組例、 イに関する分析の観点例(フルタイム労働者一人当たりの各月ごとの時間外労働及び 休日労働の合計時間数等の労働時間(高度プロフェッショ ナル制度の適用を受ける労働者にあっては、健康管理時間)の状況)、その取組例 参照のこと。 (4)次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標の設定→○一般事業主行動計画においては、各企業の実情を踏まえつつ、より一層労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備その他の次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標を定める必要がある。 @ 育児休業等の取得や労働時間の状況に係る数値目標の設定→ 一般事業主行動計画においては、より一層労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするため、(3)の状況把握・課題分析の結果を踏まえつつ、その結果を勘案して、次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標として、(3)@ア及びイに係る数値目標を設定することが必要であること。また、育児休業等の取得の状況に係る数値目標 を設定する際には、男女間の著しい育児休業の取得状況の差を勘案し、企業内の労働者の取得実績や取得希望等を勘案して、男性の育児休業取得期間に関する適切な目標を設定されることが望ましいものであること。 数値目標については、実数、割合、倍数等数値を用いるものであればいずれでもよいが、数値目標の水準については、 計画期間内に達成を目指すものとして、各事業主の実情に見合った水準とすることが重要であること。 A 育児休業等の取得の状況や労働時間の状況以外に関する目標の設定→ 育児休業等の取得の状況や労働時間の状況((3)@ア及びイに係る数値目標)以外の労働者の職業生活と家庭生活の両立に関する目標を設定する際には、各企業の実情に応じ、可能な限り定量的な目標とする等、その達成状況を客観的に判断できるものとすることが望ましいものであること。 なお、目標の設定に当たっては、(資料1の主な省令事項(案)のとおり改正された場合)くるみん及びトライくるみん の認定において、以下のア〜ウのいずれかの措置について、成果に関する具体的な目標を定めて実施していることが認定 要件の一つであることや、プラチナくるみんの認定において、以下の全ての措置を実施しており、かつ、ア又はウの少な くともいずれか一方について定量的な目標を定めて実施し、その目標を達成していることが認定要件の一つであることを 参考にすることも考えられるものであること。 ア 年次有給休暇の取得促進のための措置 イ 短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件整備のための措置 ウ 男性の育児休業取得期間の延伸のための措置 (5)計画の実施状況の点検→〇 一般事業主行動計画の推進に当たっては、計画の実施状況に加えて、定期的に、数値目標の達成状況についても点検・ 評価を実施し、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクル(PDCA サイクル)を確立することが重要であること。 その際には、「女性が働きやすい職場」だけでなく「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指すため、一般事業主行動計画を策定し、又は変更しようとするときに実施する、(3)の状況把握・課題分析や、それを踏まえて設定される (4)@に係る数値の改善状況についても、併せて点検・評価を行うことが効果的であること。 2 妊娠中の労働者及び子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立等を支援するための雇用環境の整備(一般事業 主行動計画の内容に関する事項)→計画の策定に当たっては、次世代育成支援対策として重要なものと考えられる次のような事項を踏まえ、各企業の実情に応じて、必要な事項をその内容に盛り込むことが望ましいこととすること。 (1)妊娠中及び出産後における配慮→〇 現行の妊娠中及び出産後における配慮に関連し、配偶者が流産・死産(人工妊娠中絶を含む。)をした労働者に対して、 配偶者の支援のため、休暇を取得しやすい環境を整備するなどの取組を実施すること。 (2)子育てのための休暇制度→〇 男性の子育て目的の休暇の取得促進として、「小学校就学前の子どもがいない労働者においては、小学校就学後の子どもや孫の子育てのための休暇制度を創設する」としていたところ、男性に限らない子育てのための休暇制度とした上で、子の看護等休暇の対象年齢の拡大も踏まえ、「小学校第三学年修了前のこどもがいない労働者に対しては、小学校第四学年以降のこどもや孫の子育てのための休暇制度を創設する」とすること。 (3)育児休業や短時間勤務制度を利用しやすく、育児休業後に職場復帰しやすい環境の整備→〇 育児休業に加え、短時間勤務制度も利用しやすく、また、育児休業後の就業が円滑に行われるような環境を整備し、育児休業や短時間勤務制度の利用を希望する労働者について、その円滑な取得を促進するため、例えば、次に掲げる措置を 実施すること。⇒ ア 男性の育児休業の取得を促進するための措置 「産後パパ育休」の制度についての周知等、男性の育児休業の取得を促進するための措置を実施すること。 イ 育児休業期間中や短時間勤務制度利用中の代替要員の確保等 育児休業や短時間勤務制度を利用する期間について当該労働者の業務を円滑に処理することができるよう、当該期間 について当該業務を処理するための業務の代替要員確保や、業務内容や業務体制の見直し等に関する企業の方針を定め、 実施するとともに、当該労働者や周囲の労働者に対して周知すること。 また、当該育児休業取得者又は短時間勤務制度利用者の原職や原職相当のポジションへの円滑な復帰等を促す観点から、周囲の労働者に対する業務状況のマネジメントや評価に関することや、当該期間中の手当ての支給等に関する事項についても盛り込んでおくことが望ましいものとすること。 (4)男女がともに仕事と子育てを両立できる環境の整備→〇 育児休業等を取得し、又は子育てを行う労働者が就業を継続し、活躍できるようにするため、女性労働者に向けた取組に加えて、例えば、次のような能力の向上又はキャリア形成の支援のための取組を実施すること。 ア 子育て中の労働者に向けた取組⇒ @ 育児休業からの復職後又は子育て中の労働者を対象とした能力の向上のための取組又はキャリア形成を支援するためのカウンセリング等の取組。 A 今後のキャリア形成の希望に合わせた両立支援制度の利用や配偶者との家事分担等の検討を促すためのキャリア研修の実施。 イ 管理職に向けた取組等⇒@ 育児休業に加えて、短時間勤務制度等を利用しても中長期的に処遇上の差を取り戻すことが可能となるような昇進 基準及び人事評価制度の見直しに向けた取組。 A 育児休業や短時間勤務制度等の制度利用者のキャリア形成・能力開発を行っていく必要があることや、円滑な制度利用のために業務を代替する周囲の労働者の業務見直しや評価への配慮が求められることについての管理職向けの情 報提供や研修の実施。 ウ 組織のトップの関与等 各企業における次世代育成支援対策の推進体制の整備を図る方策として、企業トップによる仕事と子育ての両立支援 の推進が重要であるという考え方を明確にした強いメッセージを発信することが望ましいものであること。 (5)柔軟な働き方を実現するための取組→〇 働き続けながら子育てを行う労働者が子育てのための時間を確保できるようにするため、こどもを育てる労働者のうち 希望する者が利用できる制度について、所定外労働の制限および短時間勤務制度の対象範囲を小学校就学以上のこどもを 養育する労働者に拡大するとともに、次に掲げる措置を追加すること。 ア 在宅勤務等の導入(テレワークの活用)。 イ 子育てのために必要な時間帯や勤務地に関する配慮⇒育児・介護休業法に基づく深夜業の制限に加えて、こどもの規則的な生活習慣などのために労働者の勤務時間帯に配慮が必要な場合に、その事情に配慮した措置を実施すること。また、就業場所の変更を伴う配置の変更を行う場合には、 労働者の子育ての状況に配慮すること。 ウ 子や家庭の状況に応じた両立支援の実施⇒労働者の子に障害がある場合や医療的ケアを必要とする場合、ひとり親家庭など、子の心身の状況や労働者の家庭の 状況により職業生活と家庭生活の両立に支障となる事情がある場合に、その事情に配慮した措置を実施すること。 3 働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備等(一般事業主行動計画の内容に関する事項)→計画の策定に当たっては、次世代育成支援対策として重要なものと考えられる次のような事項を踏まえ、各企業の実情に 応じて、必要な事項をその内容に盛り込むことが望ましいこととすること。 (1)所定外労働の削減→〇 所定外労働を削減するための方策等を検討し、実施する際には、一般事業主行動計画の策定の際に定めた1(4)@の 労働時間の状況に係る数値目標の達成状況を勘案しながら実施すること。 (2)心身の健康への配慮→〇 子を養育する労働者や育休中の労働者の業務を代替する労働者に対し始業時刻変更等の措置や在宅勤務等の措置を講ずるに当たっては、夜間の勤務や長時間労働等により心身の健康の不調が生じることのないよう、当該労働者について事業主が配慮を行うことや、労働者自身による心身の健康保持を促すことを行うこと。例えば、在宅勤務等の措置において、 テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン等に沿って、適正な労務管理をすること、面談を実施し労働者の健康に関する状況を把握し配慮すること、勤務間インターバル(前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間 の休息を確保することをいう。)を導入すること等を行うこと。 4 その他 法改正に伴う所要の規定の整備を行う。 ◎資料4 雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書 概要 〜女性をはじめとする全ての労働者が安心して活躍できる就業環境の整備に向けて〜 ○ 令和元年に女性活躍推進法等改正法が成立し、一般事業主行動計画の策定義務拡大、情報公表の強化、パワーハラスメント防止のための事業主の雇用管理上の措置義務等の新設等を講じてきた。 ○ 改正法施行後において、 @ 常時雇用する労働者の数が301人以上の企業について、男女の賃金の差異の情報公表が義務化されるという新しい動きがあったが、男女の賃金の差異は依然として大きく、女性管理職の割合も国際的に見るとその水準は低い、 A ハラスメント関係の相談件数は高止まり傾向にあり、カスタマーハラスメントや就活等セクシュアルハラスメントなどが社会問題化している、 という課題がみられる。 ○ これらの課題に加え、平成28年度より施行してきた女性活躍推進法は、令和7年度末で失効するとされているところである。 ○ こうした状況を踏まえ、雇用の分野における女性活躍推進の方向性や、ハラスメントの現状と対応の方向性等について議論し、とりまとめた。↓ 1 女性活躍推進法等を通じた雇用の分野における女性活躍の更なる推進→ @ 女性活躍推進法については、10年間期限を延長することが適当。 A 事業主行動計画の策定が努力義務である 100人以下の企業については、努力義務を維持した上で、支援策の充実が必要。 B 現行のえるぼし認定では評価できない企業の積極的な取組・実績を評価できるような仕 組みも視野に、必要な見直しを検討すべき。 C 女性活躍に関する情報公表について、⇒・ 男女間賃金差異については、101人以上 300人以下の企業においても公表を義務とすることが適当。 ・ 女性管理職比率については、企業の実情を踏まえつつ、開示必須項目とすることが適当。 併せて、男女別管理職登用比率の付記を促すことも検討すべき。 ・ 情報公表義務がある企業に、女性活躍データベースにおける情報公表を促す方向で、 具体的な制度設計を検討すべき。 等 2 月経・不妊治療・更年期等の健康課 題への対応→@ 性差の特徴に応じて健康課題に取り組むことは社会的便益につながり、労働者個人の生活や仕事のパフォーマンスの向上につながるという視点が重要。プライバシー保護への留意も必要。 A 女性特有の健康課題については、ヘルスリテラシーの向上が重要であり、国がコンテンツの作成・周知に取り組むことが望ましい。 女性の健康ナショナルセンター(仮称)と 連携も重要。 B 女性特有の健康課題への取組の要素を 女性活躍推進法の事業主行動計画に盛 り込むことを検討すべき。行動計画策定指 針に、健康支援やヘルスリテラシー向上の意義、プライバシーへの配慮の必要性等を明記することが考えられる。 なお、企業が取り組む際には、産業保健スタッフの活用も検討されることが望ましい。 C 女性特有の健康課題に取り組む企業を評価するための、えるぼし認定制度の見直しをすることが適当。 等 3 職場におけるハラスメント対策の充実→ @ 一般に職場のハラスメントは許されるものではないという趣旨を法律で明確化することが考えられる。 A カスタマーハラスメントについては、 ・ 企業横断的に取組が進むよう、対策強化 が必要。労働者保護の観点から事業主の雇用管理上の措置義務とすることが適当。 ・ 定義については、社会全体で幅広く受け入れられるものの検討が適当であり、別紙 の3つの要素のいずれも満たすものとして検討すべき。 ・ 取組の強化に当たり、業界団体等や業所 管官庁との協力・連携が必要。 B 就活等セクシュアルハラスメントについても、 事業主の雇用管理上の措置が講じられる ようにしていくことが適当。 C ILO第190号条約に関しては、本検討会で調査・議論した海外法制の状況が参考となるほか、@の法整備も批准に向けた 環境整備に資するものと考えられ、引き続き、条約全般について更なる検討を進める ことが適切。 等 ○カスタマーハラスメントの3要素→@ 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと A 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること B 労働者の就業環境が害されること。 • 「社会通念上相当な範囲を超えた言動」か否かの判断については、「言動の内容」及び「手段・態様」に着目し、総合的に判断。「言動の内容」、「手段・態様」の片方のみで社会通念上相当な範囲を超える場合もあり得る。また、正当な指摘等を受けた事業者(労働者)の側の不適切な対応が端緒となっている場合があることにも留意する必要がある。 • なお、クレームの全てがカスタマーハラスメントに該当するわけではなく、客観的にみて、社会通念上相当な範囲で行われたものは、いわ ば「正当なクレーム」であり、カスタマーハラスメントに当たらないことに留意する必要がある。 ⇒社会通念上相当な範囲を超える「言動の内容(4つ)」、「手段・態様(5つ)」 参照のこと。 ○社会通念上相当な範囲を超える言動の内容及び手段・態様の例↓ ・「言動の内容」→• 契約内容を著しく超える要求 • 会社の事業とは関係のない要求(性的なもの、プライバシーに関わるもの等) • 商品やサービス等の内容と無関係である不当な損害賠償要求 等 ・「手段・態様」→• 殴る、蹴る、叩く • 物を投げつける • わざとぶつかる • つばを吐きかける 等。 • 「物を壊す」、「殺す」といった発言による脅し • SNSへの暴露をほのめかした脅し • インターネット上の投稿(従業員の氏名公開等) • 人格を否定するような発言 • 土下座の強要 • 盗撮 等。• 大声でオペレーターを責める • 店内で大きな声をあげて周囲を威圧する • 反社会的な言動 等。 • 頻繁なクレーム • 同じ質問を繰り返し、対応のミスが出たところを責める • 当初の話からのすり替え、揚げ足取り、執拗な責め立て 等。 • 長時間の拘束・居座り・電話 等。 ○雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会 ・参集者→6名。 ・開催実績→ 第1回(令和6年2月29日)〜第11回(令和6年8月1日)まで。 次回も続き「参考資料1 雇用環境・均等行政の主要指標の動向について」からです。 |