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第57回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会 [2024年05月31日(Fri)]
第57回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会(令和6年3月25日)5/31
議事 (1) 疾病ごとの個別検討(新規の疾病追加)について (2) 疾病ごとの個別検討(診断基準等のアップデート)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39139.html
◎資料1-1指定難病検討委員会における新規の疾病追加(令和5年度実施分)に関する検討について
〇 新規の疾病追加(令和5年度実施分)に関して、難治性疾患政策研究事業の研究班から 情報提供のあった疾病について、第54回・第55回・第56回指定難病検討委員会で検討した結果、以下の4疾病については、指定難病へ追加することが妥当であるとされた。
・LMNB1 関連大脳白質脳症 ・原発性肝外門脈閉塞症
・出血性線溶異常症
・ロウ症候群
また、以下の3疾病については、研究班から追加情報を求めた上で、改めて検討することが妥当であるとされた。
・PURA関連神経発達異常症
・極長鎖アシル-CoA 脱水素酵素欠損症
・乳児発症 STING 関連血管炎

〇 上記7疾病に関して、第 54 回・第 55 回・第 56 回指定難病委員会において指摘された 事項等を受けて、研究班が修正した診断基準等について、第 57 回指定難病検討委員会に おいて、新規に追加する指定難病の診断基準等として妥当であるか検討する


◎資料1−2指定難病に係る新規の疾病追加について情報提供のあった疾病(第 54 回〜第 56 回の議論を受けて修正した個票)
○LMNB1 関連大脳白質脳症
→1.概要⇒ LMNB1 関連大脳白質脳症は、中枢神経系の大脳白質を病変の主座とする神経変性疾患である。本症は Autosomal Dominant Adult-Onset Demyelinating Leukodystrophy (ADLD)とも呼ばれることがある。常染色体 顕性(優性)遺伝形式をとるが、孤発例も存在する。1984 年にアイルランド系アメリカ人の家系が最初に報告 されたが、世界各地において発症を認める。LMNB1 関連大脳白質脳症は、遺伝学的検査による診断が可能 となる以前は本症の確定診断が困難であったが、原因遺伝子が同定されて以降、確定診断例が蓄積してい る。 2.原因⇒LMNB1 重複変異あるいは LMNB1 のエンハンサー領域の欠失が 同定されている。いずれの場合も中枢神経系の LMNB1 発現量は増加しており、LMNB1 タンパクの産生増加が 疾患の原因と考えられている。3.症状⇒ 常染色体顕性(優性)遺伝性疾患である。発症年齢は平均 47.5 歳(35〜61 歳に分布)、40 歳・50 歳代に発 症が多い。発達に異常はなく、発症前の社会生活は通常正常である。死亡時年齢は 58.7 歳(45〜75 歳に分 布)である。初発症状は自律神経障害や錐体路徴候が多いが、認知機能障害で発症する例もある。主症状 は自律神経障害、錐体路徴候、失調、認知機能障害である。発熱や感染症の合併などにより一過性に症状 増悪を来すことがある。 4.治療法⇒原因が不明であるため根本的な治療法はない。症状に応じた対症療法が行われる。 5.予後⇒ 緩徐進行性の経過である。発症から死亡までの年数は平均 12 年(1〜20 年に分布)である。

○PURA関連神経発達異常症→1.概要⇒5q.31.3 領域にある PURA 遺伝子のヘテロ接合性の病原性変異を原因とする重度の知的および及び運 動発 達の遅れを特徴とする先天異常症候群である。他に筋緊張低下、低体温、傾眠、摂食障害、吃逆 過多、無呼吸やてんかん、非てんかん性の異常運動(ジストニアなど)、視覚障害を認める。PURA 遺伝子 は全身の細胞で DNA の複製の調節に関与しており、特に中枢神経の正常発達に不可欠と考えられている。ほかに、先天性心疾患、尿路奇形、骨格異常、内分泌異常などを合併することもある。多臓器にわたる 症状は小児期以降も軽快せず、成人期以降も持続する。 2.原因⇒ 5q.31.3 領域にある PURA 遺伝子のヘテロ接合性の病的バリアントないしは同領域の染色体微細欠失を 原因とする。 3.症状⇒ 重度の精神発達遅滞、筋緊張低下、てんかんを認める。眼振や斜視、無呼吸発作・低換気、先天性心 疾患、哺乳不良・摂食障害、嚥下障害、胃食道逆流、便秘など。骨格では、側弯や股関節脱臼などを認め る。 4.治療法⇒対症療法が中心となる。早期からのリハビリテーションや療育の参加は重要。摂食障害や哺乳障害など には経管栄養も考慮する。また、逆流や誤嚥性肺炎などを繰り返す場合には胃ろう造設も考慮する。てんかんに対しては抗てんかん薬を用いる。無呼吸や換気障害では、呼吸モニターを行う。 5.予後⇒合併するてんかんなどの神経症状及びおよび無呼吸発作や低換気などの呼吸障害、気道感染などが 予後を左右する。成人期以降は、栄養管理や関節拘縮、側弯の進行、てんかん発作の変化、気道感染に 注意する。

○極長鎖アシル-CoA 脱水素酵素欠損症→1.概要⇒ 極長鎖アシル-CoA 脱水素酵素 (very long-chain acyl-CoA dehydrogenase; VLCAD) 欠損症は脂肪酸 代謝異常症の代表的な疾患の一1つ。本疾患ではミトコンドリアでの脂肪酸 β 酸化が障害されるためエネルギー需要の多い脳や、脂肪酸β酸化が盛んな心臓、骨格筋、肝臓などが障害されやすい。発熱 や運動などのエネルギー需要が増大した時や、下痢・嘔吐・飢餓などのエネルギー摂取が低下した際に重篤な低血糖や横紋筋融解症などを来すきたすことが多い。脂肪酸代謝異常症の一群の中でも、成人患者が多く報告されている。 VLCAD 欠損症は常染色体潜性(劣性)遺伝疾患で、その臨床像は幅広い。発症時期によって症候が異 なる傾向がある。新生児期もしくは乳児期早期から重度の心筋症や低血糖をきたし、生命予後の改善が困難である症例から、乳幼児期に重度の低血糖や Reye 様症候群、乳幼児突然死症候群(SIDS)様症状で発症する症例、幼児期以降から成人期に発症し、横紋筋融解症や筋痛、筋力低下が中心となる症例もある。 本疾患は新生児マススクリーニング(NBS)の対象疾患であるが、NBS では発見されない症例もある。 NBS 発見例のなか中には、これまでの発症例では見られない病的バリアントを持つ患者が発見されるようになった。このような患者がいつ頃、どのような症状で発症するのかは明らかでない。いずれの病型においても、現時点では根本的な治療はなく、飢餓を避けながら特殊治療ミルクである必須脂肪酸強化 MCT フォーミュラーや、自費で購入している MCT(中鎖脂肪酸)オイルやパウダーの摂取といった食事・生活指導 や、運動制限による代謝不全発作の予防が試みられているが症候のコントロールは困難である。 我が国における NBS からの結果では、9.3 万人に 1 人の発見頻度と報告されている。 2.原因⇒ VLCAD をコードする遺伝子である ACADVL 遺伝子の異常による。遺伝子型と表現型のある程度の相関 が指摘されている。新生児期発症型ではナンセンス変異やフレームシフトなど残存酵素活性をもたない変異が多く、残存酵素活性をもつミスセンス変異は乳幼児期以降に発症する場合が多いが、特に筋症状を中心として、その発症や進行の機序は十分に解明されていない。また、p.C607S に代表される NBS 開始後に 高頻度に発見されるバリアントについても病態における意義が十分に解明されていない。 3.症状⇒本疾患の臨床像は幅広い。新生児期もしくは乳児期早期から発症する場合は、重度の心筋症や低血糖がみられる見られる。乳幼児期は重度の低血糖や Reye 様症候群、SIDS 様症状で発症する事が多い。幼 児期以降から成人期には横紋筋融解症や筋痛、筋力低下などの骨格筋症状を中心に発症する事が多いが、心筋症やそれにともなう伴う不整脈がみられる見られる症例もある。筋症状や心筋症状のコントロールは、各種の治療を行っていてもしばしば困難である。 4.治療法⇒ 根治的な治療法は確立しておらず、食事指導・生活指導により異化亢進のエピソードを回避すること、骨格筋、心筋への過度の負荷を避けることを原則とする。食事療法では、必須脂肪酸強化 MCT フォーミュラーや MCT オイルの使用、長鎖脂肪酸の制限が推奨されている。薬物治療としては L-カルニチン投与、ベザフィブラート投与などが行われることがあるが、それらの効果は限定的である。その他は対症的な治療に とどまり根本的な治療はない。特に筋症状や心筋症状については治療にも関わらずコントロールが困難であることも多い。 5.予後⇒新生児期発症型はしばしば救命が困難である。乳幼児期に低血糖や Reye 様症候群として発症する場合、 迅速かつ適切な治療が行われない場合は生命予後・神経学的予後ともに不良である。乳幼児発症型の症 例が次第に筋型の表現型を呈することはしばしば経験される。近年、成人診断例の報告が散見され、成人期においても運動や飢餓を契機に横紋筋融解症やミオパチー、筋痛発作、心筋症などを来すことが報告されている。治療中であっても骨格筋や心筋への負荷を避けるために、立ち仕事や肉体労働が出来ず、就労が困難な症例もしばしば経験される。治療を継続しない場合、成人期においても心筋症などの心筋障害を来すことも報告されている。飲酒、妊娠、外科手術なども代謝不全の誘因となりえる事が知られており、 生涯にわたる経過観察および及び治療が必要である。

○乳児発症 STING 関連血管炎→1.概要⇒自己炎症疾患は、自然免疫の制御異常による過剰な炎症性サイトカインの産生を特徴とする疾患で、様々な組織や臓器病変を呈する。2011 年に遺伝性自己炎症疾患として、T型インターフェロノパチーの概念が提唱された(1)。乳児発症 STING 関連血管炎(Stimulator of interferon genes(STING)-associated vasculopathy with onset in infancy: SAVI)はT型インターフェロノパチーに分類され、発症年齢は新生児期から成人期まで様々だが、通常乳児期早期から発症する。乳児期早期から全身性の炎症、皮膚血管炎、間質性肺疾患を特徴とする。2014 年に STING をコードする STING1 遺伝子の機能獲得変異が原因であることが明らかになった (2)。本疾患は、乳児期早期からの症状に対して治療介入が求められるが、従来の免疫抑制薬や副腎皮質ス テロイドによる治療効果は限定的であり、呼吸器合併症に関連して致命的な経過をとることが多い。現在、新たな治療法が開発されている。 2.原因⇒インターフェロン(IFN)遺伝子刺激因子(Stimulator of interferon genes:STING)は、STING1 遺伝子によって コードされるタンパクで、T型 IFN シグナルの活性化に介在する。STING は通常、ウイルスや細菌由来の二本 鎖 DNA を細胞質内で感知するセンサーの補助因子として作用する。細胞がウイルスの侵入やサイトカインの刺激を受けると、STING を介してT型 IFN が産生され、周辺の細胞では IFN 誘導性遺伝子(IFN-stimulated genes:ISGs)の転写が促進され、抗ウイルス活性が誘導される。乳児発症 STING関連血管炎では、STINGの 機能獲得変異によって I 型インターフェロン産生が亢進する。STING の恒常的な活性化によって血清インターフェロンαが上昇すると、T細胞では STAT1 のリン酸化が亢進し ISGs の転写が誘導される。乳児発症STING 関連血管炎の大半は STING1 のヘテロ接合性機能獲得変異が原因となるが(2)、ホモ接合性変異によって、 慢性的に STING が活性化する症例も存在するため(7)、遺伝子型と表現型についてさらなる検討を要する。 3.症状⇒ 乳児発症 STING 関連血管炎では、一般的に乳児期早期から全身性の炎症が遷延し、様々な臓器が障害される。乳児期から間質性肺疾患を発症し、肺線維症や肺気腫を合併することがある。間質性肺疾患は本疾患の約 85%にみられ、生命予後に影響する重篤な合併症である。皮疹は、約 80%に合併し、手指や足指など指 趾先端に紅斑や紫斑がみられ、潰瘍や指趾壊疽、爪欠損を伴うことがある。また、耳や鼻、頬部など顔面に 紅斑や紫斑が現れ、中央部が潰瘍化することもある。T型 IFN の持続的な過剰産生のため微熱を繰り返し、 高熱を伴うこともある。約半数の症例でみられるが、症状は多様であり、発熱のトリガーや熱型などの詳細はわかっていない。関節炎は、約 35%の症例でみられ、5 歳あるいはそれ以前の早い時期に発症する。また、そ の他の症状として、肺炎や皮膚感染症などの感染症は約 26%の頻度で報告されており、臓器障害あるいは全 身性の免疫異常、副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬による医原性など複数の原因が疑われるが、詳細な機 序は不明である。自己免疫との関連が示唆される症状として、それぞれ 10%未満の頻度で自己免疫性甲状腺 炎、腎炎、筋炎がみられる。肝炎や胆管炎などの肝胆管異常が約 4%で報告されている。
4.治療法⇒現時点で、SAVI に対する治療法は確立されていない。副腎皮質ステロイドや免疫調節薬、免疫グロブリン療法、アスピリンなどによる治療は、無効あるいは部分的な改善にとどまる。JAK 阻害薬(Baricitinib)は、細胞 内で STAT1 のリン酸化を抑制し、ISGs の転写を低下させる分子標的薬である。本剤によって、発熱発作の軽 減、皮膚所見の著明な改善、間質性肺疾患の疾患活動性の低下が報告されている。 5.予後⇒発症月齢の中央値は約 8.5 ヶ月であり、生涯にわたり治療を要する。間質性肺疾患により、在宅酸素療法や 呼吸器管理が必要になることもある。


○原発性肝外門脈閉塞症→1.概要⇒ 肝外門脈閉塞症とは、肝門部を含めた肝外門脈の閉塞により門脈圧亢進症に至る症候群をいう(分類として、原発性肝外門脈閉塞症と続発性肝外門脈閉塞症とがあるが、続発性は除外する)。小児の 門脈圧亢進症のうち肝硬変によらない門脈圧亢進症として最も頻度が高い。 2.原因⇒原発性肝外門脈閉塞症の病因は未だ不明であるが、血管形成異常、血液凝固異常、骨髄増殖性疾 患の関与が推定されている。 3.症状⇒重症度に応じ易出血性食道・胃静脈瘤、異所性静脈瘤、門脈圧亢進症性胃腸症、腹水、肝性脳症、 出血傾向、脾腫、貧血、肝機能障害などの症候を示す。小児においては成長障害をきたしている例が 多く、鼻出血を契機に診断されることがある。 4.治療法⇒閉塞した門脈を根本的に開通させる方法はない。予後を最も左右するものは、消化管静脈瘤出血である。出血例に対しては内視鏡的止血術(硬化療法、結紮術)を行い、止血困難な場合には緊急手術も考慮する。未出血の予防例でも易出血性の食道胃静脈瘤に対しては、内視鏡的治療、または予防手術を考慮する。しかし、手術を行う場合は、血行動態を検討して術式を選択することが重要。 側副血行路によって肝内門脈血流が保たれていることも多く、安易に手術を施行すると肝への門脈 血流が無くなることがあるため注意を要する。 5.予後⇒3〜7 年生存率は 90〜98%、10 年生存率は 69〜86%と報告されており、比較的生命予後は良い。消 化管静脈瘤出血のコントロールが肝要である。

○出血性線溶異常症→1.概要⇒遺伝性素因による出血性線溶異常症では、線維素溶解(線溶)制御因子であるプラスミノゲンアクチベータイ ヒビター-1(PAI-1)、α2-プラスミンインヒビター(α2-PI、α2-アンチプラスミン:α2-AP と同一)および及びトロンボモジュリン(TM)/トロンビン活性化線溶阻害因子(TAFI)のいずれかの先天的機能不全、あるいはプラスミノ ゲンアクチベータ(PA)の先天的活性増強により出血傾向あるいは止血不全をきたす。侵襲あるいは月経時の少量の失血後の予期せぬ大出血が特徴であり、欠損因子によっては遷延する出血とともに筋肉・関節内出血や臓器出血なども認める。 なお、原因不明の出血症状を呈する線溶活性促進病態において、PAI-1 低値とともにその活性不全が疑われるにもかかわらず遺伝子異常が指摘されない病態もある。 2.原因⇒PAI-1、α2-PI、TM/TAFI のいずれかの単一遺伝子変異により線溶抑制活性不全が生じ、重篤な出血をきたす。いずれも常染色体潜性遺伝形式をとり、ホモ接合体では過度の線溶促進により止血血栓が早期に溶解されて出血をきたす。ヘテロ接合体では各因子の血中濃度は低下するが重篤な出血症状は認めない。 3.症状⇒ PAI-1 欠損症では、月経時に超大量出血を認める。その他、流産、外科治療後の後出血や創傷治癒遅延などを認める。α2-PI 欠損症では、後出血のほか、歯肉出血から関節内出血、骨髄内出血と幅広い重症度を示す。 TM 異常症では、繰り返す皮下・筋肉内血腫、卵巣出血や外科侵襲後の出血を認める。 いずれの病態でも線溶活性の促進による出血傾向を疑う一般凝血学検査所見として、理論上は血小板数・プロトロンビン時間(PT)・活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)・フィブリノゲンは基準値内であると考えられるが、出血病態の程度によりこれらの凝血学検査所見に異常を認めることもある。 4.治療法⇒ 治療法は確立されていない。出血時あるいは出血予防としてトラネキサム酸・新鮮凍結血漿を用い、TM 異常症ではトロンボモジュリンアルファ(保険適用外)が投与される。 5.予後⇒出血時にはトラネキサム酸による線溶抑制と新鮮凍結血漿投与、TM 異常症ではトロンボモジュリンアルファ(保健保険適用外)の投与などによる、出血のコントロール状況が予後を左右する。患者数が限られており長期予後は明らかとなっていない。

○ロウ(Lowe)症候群→1. 概要⇒先天性白内障、中枢神経症状(精神運動発達遅滞)、Fanconi 症候群(低分子蛋白尿、近位尿細管性アシドーシス、低リン血症など)を 3 主徴とする X 染色体連鎖型遺伝疾患であり、oculocerebrorenal syndrome of Lowe (OCRL)<眼脳腎症候群>とも呼ばれる。腎障害は進行性であり、末期腎不全に至る。 2.原因⇒X 染色体に存在する OCRL 遺伝子異常を原因とする X 染色体連鎖型遺伝疾患である。OCRL 遺伝子がコードする蛋白は phosphatidylinositol (4,5) bisphosphate 5 phosphatase であり、この酵素蛋白の活性低下により、基質である phosphatidylinositol (4,5) bisphosphate が蓄積すると、細胞骨格のリモデリングや膜輸 送に異常を来すと考えられている。その結果、近位尿細管における再吸収機構が障害され、Fanconi 症候 群を呈すると考えられるが、眼症状や中枢神経症状等を起こす機序については不明である。 3.症状⇒ 先天性白内障、精神運動発達遅滞、Fanconi 症候群を呈する。50%の症例に緑内障を認める。低分子蛋 白尿は必発である。Fanconi 症候群によって低リン血症が続くと、くる病になる。その他、多尿、近位尿細管 性アシドーシス、汎アミノ酸尿、腎性糖尿、高カルシウム尿症、腎石灰化などを呈する。強迫的な行動異常を呈することが多く、痙攣の合併も多い。また歯列の異常、歯肉増殖、下顎の発育不全、咬合異常を認め る。血清 CK 値が高値となることが多い。腎障害は進行性であり、30〜40 代で末期腎不全に至ることが多 い。女性保因者の診断に水晶体の白濁の有無が有用である。 4.治療法⇒ Fanconi 症候群に対する対症療法が中心となる。すなわち、代謝性アシドーシスや低リン血症、低カリウ ム血症の補正を行う。末期腎不全に至った場合は、透析または腎移植が必要となる。低カルニチン血症に対して、カルニチンの補充を行う。白内障に対しては生後早期の手術が必要である。精神発達遅滞や成長 障害に対しては、積極的な経管栄養や言語療法、作業療法が勧められる。歯列の異常に対しては日常的な口腔ケアが必須であり、咬合を含めた積極的な歯列矯正が考慮される。 5.予後⇒ 腎機能による。末期腎不全に至った場合は、透析または腎移植が必要となる。

次回も続き「資料2−1指定難病の診断基準等のアップデート案について情報提供のあった疾病(一覧表)」からです。

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