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第15回 成年後見制度利用促進専門家会議資料 [2024年05月22日(Wed)]
第15回 成年後見制度利用促進専門家会議資料(令和6年3月22日)
議事 @ 第二期計画中間検証の準備に関するワーキング・グループにおける検討について(報告) A 成年後見制度の利用の促進に関する取組状況等について(報告) B 令和6年度における中間検証の進め方について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38137.html
◎参考資料9 各委員提出資料
○第15 回 成年後見制度利用促進専門家会議  委員意見   弁護士 水島俊彦
第1 意見要旨 ↓
1 社会福祉法制のあり方並びにこれに付随する意思及び選好を尊重する支援を受けて意思決定をする 仕組み(以下「支援付き意思決定制度」又は「意思決定支援制度」という。)づくりに向けて、所管部局である社会・援護局のみならず、認知症の人の支援を担う老健局、障害者の支援を担う障害部を含め、厚生労働省を挙げて一体的に、かつ、専門家会議委員の希望者も参画する形で集中的に議論できる 場を早急に形成すべきこと
2 身寄りのない人等の支援にあたって、実質的に意思決定支援が確保される体制の構築を進めるとと もに、全国の自治体において実行可能とするための法制化及び仕組みを整備すること
3 成年後見制度の改正を見据えて、新たな権利擁護支援施策を充実させるとともに、「意思決定サポ ーター(フォロワー)」をはじめとした地域で意思決定支援に積極的に関与する担い手の育成と活動の 場を早急に整えるべきこと


第2 意思決定支援制度づくりに向けた横断型の議論の場の形成をすべきこと
1 第二期成年後見制度利用促進基本計画(以下「第二期計画」という。)の重要業績評価指標(KPI) には、以下の記述がある。

制度等の見直しに向けた検討等: 総合的な権利擁護支援策の充実:日常生活自立支援事業の実施体制の強化、新たな支援策の検討等を踏 まえ、福祉の制度・事業の必要な見直しの検討(令和4年度から令和8年度)
2 成年後見制度(民法)の見直しの検討に関しては、成年後見制度の在り方に関する研究会により、 今後の基本民事法制としての法定後見制度の位置づけも含め、障害者権利条約や同委員会による勧告 も踏まえた現在の検討状況が整理された。そして、同研究会報告を受けて、先般、法務大臣から法制 審議会に対して成年後見制度の見直しについて諮問がなされたところである。また、同研究会の報告 書中においては、「第二期基本計画における基本的な考え方を踏まえると、法定後見制度の見直しを検 討するに当たっては、本人の権利擁護支援として検討される法定後見制度以外の方策も見据えなが ら、両者が一体となって総合的な支援としての権利擁護支援を実現していくという観点が必要である と考えられる。」(報告書13 頁)との指摘がなされている。
このような点から、上記KPI(新たな支援策の検討等を踏まえ、福祉の制度・事業の必要な見直し の検討)の達成に向けた取組みを早急に進めていく必要がある。そこで、厚生労働省にあっては、社 会福祉法制のあり方及びこれに付随した意思決定支援の確保、浸透のための仕組みづくりに向けて、 成年後見制度利用促進に関する所管部局である社会・援護局のみならず、認知症の人の支援を担う老 健局、障害者の支援を担う障害部を含め、厚生労働省を挙げて一体的に、かつ、専門家会議委員の希 望者も参画する形で集中的に議論できる場を早期に形成すべきである。 なお、その議論に当たっては、基本計画上の「意思決定支援の確保(同17 頁)」及び「意思決定支 援の浸透(基本計画18 頁)」を全うするためにも、意思決定支援の普及啓発のみならず、障害者権利 委員会による総括所見第28 項(b)「必要としうる支援の段階や様式にかかわらず、全ての障害者の 自律、意思及び選好を尊重する支援を受けて意思決定をする仕組みを設置すること」も意識した施策 の検討がなされなければならない。

第3 身寄りのない人の支援に当たって、意思決定支援が適切に確保される体制を構築し、それが実行可 能となるような社会福祉法制及び仕組みを整備すること
1 第二期成年後見制度利用促進基本計画(以下「第二期計画」という。)第二期計画17頁(6)に は、以下の記述
がある。 ・国は、身寄りのない人等への生活支援等のサービスを誰もが安心して利用することができるよう、運営の透明性や信頼性の確保の方策、地域連携ネットワーク等との連携方策、意思決定支援を確保する方 策、市民後見人養成研修の修了者等地域住民を含めた様々な主体が参画する方策等を検討する必要がある。
2 第14 回専門家会議(2023 年3 月29 日)でも発言したとおり、現在、障害者権利委員会からの勧告 に対する対応の視点からも、成年後見制度を含む代行決定制度中心の社会から、支援付き意思決定を 中心とした制度への具体的な転換が求められているところである。そのための一つの取組として、持 続可能な権利擁護支援モデル事業(テーマ2:簡易な金銭管理等を通じ、地域生活における意思決定を支援する取組)がなされているものと認識しているところ、第15 回専門家会議における厚生労働省 の提出資料(27、28 頁)において「支援の狭間に落ちることのないよう」「意思決定支援を確保しながら」「本人に寄り添った意思決定の支援」との記述があるので、今一度、意思決定支援が確保されてい る状態とはどのようなことを指すのか、私見を述べたい。
3 まず、障害のある人の法的能力の行使は、本人の自律に関わる重要な人権であり、権利条約第 12 条において保障されている。そして、同第 19 条では、チョイス&コントロール(自己選択と管理 (主導権の確保))を基盤とした、障害のある人の自立した生活及び地域社会への包容が保障されている。これらの点を総合的に捉えたとき、意思決定支援は、本人の意思決定に関わる社会的障壁としての障害を除去し、支援付きの意思決定の権利を実質的に保障するために不可欠な手段であると考えられる。 わが国においても、権利条約の批准国として、意思決定支援の仕組みを確保しなければならない法 的義務があるから、意思決定支援の確保を前提とする本事業の設計においては、障害者権利条約、国連の勧告などを意識した制度設計が必然的に求められるところである。とりわけ権利条約第12 条第4 項の観点からすれば、このような支援付き意思決定の仕組みを構築するに当たっては、その濫用を防 止するための適当かつ効果的な保障、すなわちセーフガードを確保することが必須であるともされて おり、セーフガードが適切に設けられていない仕組みのままでは、意思決定支援を十分に確保したと はいえない。
4 意思決定支援に関わる者の基本的な姿勢は、国の各種意思決定支援ガイドラインの研修等でも触れられているように、客観的な最善の利益ではなく、本人の心からの希望を探求する姿勢が重要である とされている。しかしながら、実務では、中立的な立場を維持する必要があるファシリテーターや、 一定の利害関係を有する家族、介護・福祉サービス提供事業所職員、本人の法的保護の観点から代行 決定を行う権限を有する成年後見人等や自治体職員が、本人の側に立ち続けることは、立場上、困難であることが多い。特に、一定のリスクが見込まれる場合には、本人以外の全ての「支援者」が反対の立場に回った結果、本人が孤立する状態に置かれることもある。そのような場合においても本人の 側に立ち続け、たとえ代行決定が必要と考えられる局面においても、本当にそのような決定で良いの か疑問を投げかけ、本人の心からの希望や選好、価値観が決定に最大限反映されるよう訴え続ける存 在、すなわちアドボケイトの機能を備えた人材の育成とそれらを持続可能な形で支える仕組みと実践 が、意思決定支援の充実及び確保のためには必要不可欠である。また、専門職のみがアドボケイトを 担うという仕組みのままでは持続可能なものとは言い難く、このようなサービスを必要としている 人々のニーズに十分に応えることは難しい。このような観点から、権限・権力を持たない「弱い(緩やかな)立場」であることの利点を活かし、本人の側に100 %立って、本人の意思決定を支持・応援する「支持者」としての市民、すなわち「意思決定フォロワー(以下「青のフォロワー」という。)」 の存在が重要であり、これからの地域共生社会の実現及び権利条約に基づく国連勧告を履践するうえ でも不可欠な人材であると考えられる。
5 さらに、本人及び青のフォロワーを支える仕組みとして、権利擁護支援委員会(以下「緑の委員会」)及び権利擁護支援専門員(意思決定支援担当)の重要性についても、再度強調しておきたい。
豊田市モデルの実践を踏まえると、青のフォロワーが本人と共に活動するにつれて、本人自身が自らの 声を積極的に上げていくような変化もみられるところであるが、ときには本人の意思と生活基盤サー ビス事業者(以下「赤の事業者」という。)やその他の支援者の見解とが対立するような場面が生じうることも予測される(これまで抑制されてきた本人の心からの希望が現れた結果であり、このような 現象は、むしろ「健全な対立」として評価されるべきものである。)。このような場面では、青のフォ ロワーは本人の声を更に大きくすることを通じて、支援者による対応や改善を促すことができるかも しれない。しかし、支援者が本人の声を無視したり、対応を拒絶したり、赤の事業者による関係性の 濫用が現に生じているような場面では、本人と同じ「権限のない立場」のフォロワーのみでは対応に 限界もあると言わざるを得ない。そこで、本人やフォロワーにとって武器や防具となりうる存在、すなわち、緑の委員会体及び権利擁護支援専門員が必要となる。 豊田市の実践を例に挙げると、緑の委員会から派遣された権利擁護支援専門員(意思決定支援担当) が、アドボケイトの立場として、青のフォロワーとの定期面談を実施している。定期面談では、青のフォロワーから提出された実施報告書を基に活動を振り返り、青のフォロワーの悩みを共有しながら 今後の方策についてともに考えるなど、対話を通じて、青のフォロワーとして本人の側に立つ姿勢が維持されるよう促している。そして、青のフォロワーとの対話を通じて発見された本人の社会的障壁 や赤の事業者による対応上の課題について、緑の委員会(合議体)にフィードバックし、今後の対応 を検討することとしている。 また、先ほど挙げたような赤の事業者による関係性濫用の疑いや本人との意見対立が生じた場合に は、緑の委員会(合議体)として、@権利擁護支援専門員(金銭管理担当/意思決定支援担当)による調査報告を依頼する、A両者の建設的な対話を促すため協議の場を設ける、B合意に至らない場面では、委員会としての勧奨(本モデルにおける各主体の役割や意思決定支援ガイドライン等に照らし て相当とされる行動の促し)を行う、C勧奨行為に沿わない行動を赤の事業者が取り続ける場合や別 の権利擁護支援策による対応が必要とみられる場合には、豊田市に適切に権限(赤の事業所に対する 本モデルからの排除通告、虐待防止法に基づく介入、成年後見制度に係る首長申立等)を行使するように促す、といった行動を取ることも検討されている。 このようなけん制の仕組みがあるからこそ、青のフォロワーとともに行動する本人の声が事業者に受 け入れられやすくなるのであり、一見すると権限のない「弱い立場」であるはずの青のフォロワー が、本人にとっては力強い存在となり、また、赤の事業者にとっても本人への対応のあり方を見直す 強い動機付けになるものと考えられる。現在は、緑の委員会自体に独自の法的権限が与えられている わけではないため対応には限界があるものの、今後の社会福祉法制の改正に当たっては、赤の事業者 を含めた支援者による関係性の濫用に対する対抗措置も含めた法的権限等、準公共性のあるアドボカシー組織として必要な権限、機能を持ち合わせた組織として位置づけられるべきであろう。特に、将 来的に身元保証サービスを提供する団体やこれらの団体の持つ機能を代替するような支援を行う団体 が赤の事業者として参入することも想定した場合には、本人の意思決定に対する影響力は極めて大きくなるため、より強いけん制の仕組みが意思決定支援の確保の観点から求められる。

第4 「意思決定サポーター(フォロワー)」をはじめとした地域で意思決定支援に積極的に関与する担い手の育成と活動の場を早急に整えるべきこと
1 第二期成年後見制度利用促進基本計画(以下「第二期計画」という。)には、以下の記述がある。
⇒・ 国は、全国各地で市民後見人が育成され、育成された市民後見人が本人の意思決定支援などの幅広 い場面で活躍できることを促進するため、各地における市民後見人の育成・活躍状況やその課題も踏ま え、養成研修カリキュラムの見直しの検討(意思決定支援や身上保護等の内容を含めることの検討) や、その他の推進策を進める必要がある。 ・ 各地域においては、上記の国の対応状況も踏まえつつ、養成研修カリキュラムの見直しや、養成研 修修了者の活動の受入れ先の拡大等権利擁護支援の取組に参画できる体制づくりを進めることが重要である【基本計画9頁イ(A市民後見人の育成・活躍支援:具体的な取組)】。 ・ 地域住民への意思決定支援の浸透は、市民後見人の果たす役割も大きい。このため、国は、市民後 見人養成研修修了者が、地域で行われている身寄りのない人等への生活支援等のサービス提供の際に行 われる意思決定支援に参画できる方策を検討する必要がある【基本計画12頁A3ポツ目】。

2 上記に関する厚生労働省の取組みとしては、令和4年度老人保健事業推進費等補助金 (老人保健 健康増進等事業分)市民後見人養成研修カリキュラム及び市民後見人の活躍促進に関する調査研究事 業(受託:特定非営利活動法人地域共生政策自治体連携機構)が挙げられるところ、同事業報告書 (令和5年3月)で実施したアンケート概要(同報告書11 頁から14 頁)においては、市民後見人の 活躍の場として、いわゆる家庭裁判所から選任を受けた市民後見人、法人後見支援員、日常生活自立 支援事業の生活支援員以外にも、認知症サポーターや傾聴ボランティア等を含めて様々な地域活動に 参加している人がいることが判明している。また、現在地域活動を行っていない人においても、市民 後見人等以外の活動として、認知症の人に関わる活動や、病院の付き添いや買い物支援などの生活支 援、障害者や外国籍の人のサポートをしたいなど、様々な意欲があることがうかがわれる。 また、先に触れた豊田市のように、持続可能な権利擁護支援モデル事業(テーマ2:簡易な金銭管理等を通じ、地域生活における意思決定を支援する取組)と市民後見人の活躍支援を連動させ、従来の カリキュラムを意思決定支援をメインに据えた研修に再構成し、意思決定サポーター(豊田市では「意思決定フォロワー」と呼ぶ。)やその他の地域活動参画する市民も巻き込んで研修受講につなげて いけるような工夫をしている地域もある(同報告書6頁から7頁)。

市民後見人養成研修修了者等が、法人後見支援員、日常生活自立緯線事業の生活支援員に加え、先 に触れた「意思決定サポーター(フォロワー)」をはじめとして、地域で意思決定支援に積極的に関与 することを希望する人の活動の場を早急に整えていくためには、例えば、社会・援護局、老健局、障害部、医政局で所管する権利擁護支援に係る人材育成にかかわる施策のうち、地域の中で本人の意思 決定支援に関与することが期待される人材を整理し、これを市民後見人の活躍支援の場の例示として 都道府県、市町村に情報提供するなど、厚生労働省内でも積極的に連携を図って対応することが望まれる。特に、第3で述べた通り、意思決定フォロワーについては、意思決定支援の充実、確保を図る 上で必要不可欠な人材であり、本人及びフォロワーを力強く支える緑の委員会及び権利擁護支援専門 員(意思決定支援担当)の仕組みと併せて、そのような活動に参加を望む市民が活躍できる場をつくり、かつ、あまねく全国で実施できるような環境整備のあり方についても検討すべきである。 また、このような市民後見人等の活躍の場の多様化に併せて、厚生労働省の「令和5 年度成年後見制 度利用促進施策に係ると取組状況調査」の質問事項(市民後見人の養成及び活動状況)における選択肢についても、法人後見支援員、日常生活自立緯線事業の生活支援員に限定するのではなく、「意思決 定サポーター(フォロワー)」をはじめ、関連する地域活動も選択肢に挙げて、アンケートを実施すべ きである。 以上

次回は新たに「第6回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 資料」からです。

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