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第15回 成年後見制度利用促進専門家会議資料 [2024年05月21日(Tue)]
第15回 成年後見制度利用促進専門家会議資料(令和6年3月22日)
議事 @ 第二期計画中間検証の準備に関するワーキング・グループにおける検討について(報告) A 成年後見制度の利用の促進に関する取組状況等について(報告) B 令和6年度における中間検証の進め方について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38137.html
◎参考資料9 各委員提出資料
○令和 6 年 3 月 22 日 第 15 回成年後見制度利用促進専門家会議 意見書
特定非営利活動法人尾張東部権利擁護支援センター センター長 住田 敦子
1.総合的な権利擁護支援策の検討ワーキンググループ「総合的な権利擁護支援の検討に関 すること」について
テーマ1 「地域連携ネットワークにおいて、民間企業等が権利擁護支援の一部に参画する 取組」のモデル事業に参画する静岡県、京都府での共通の目的として過疎地における担い手 不足の解消が挙げられます。
テーマ2 「簡易な金銭管理を通じ地域生活における意思決定を支援する取組について」→ 民法改正の議論と併せて、後見制度の利用を終了した方の必要性に応じて、簡易な金銭管 理や意思決定支援が地域の中で提供されるような仕組みは重要であると考えます。


2 運用改善等に関するワーキンググループ 「適切な報酬算定に向けた検討と報酬助成 の推進等に関すること」について
1)成年後見制度利用支援事業の運用について 資料2−2 16頁(参考)「成年後見制度に係る申立費用や報酬助成の状況」では、申立て 費用及び報酬助成を整備している自治体は、高齢者関係1628自治体(93.5%)、障害者関係 1636自治体(94.0%) となっています。 しかし、第4回の本ワーキンググループ(令和5年7月27日)での専門職団体からのご報告 のとおり、成年後見制度利用支援事業要綱の見直しがされていても、実際の運用では、収入、 資産等の助成要件が自治体によって異なっているため結局、助成対象とならない場合も多 くあることが明らかになりました。市町村の考え方や財政力の差異によって助成対象者が 異なることのないよう、助成の在り方や国による予算措置の検討が必要と考えます
2)成年後見制度利用支援事業における報酬助成の対象者について
報酬助成対象者に、成年後見人等監督人や、任意後見監督人への助成の対象を広げること も必要と思われます。   資力が乏しい方が安心して信頼す る親族に頼むことのできる任意後見制度となるよう報酬助成の拡大が望まれます。                                                                                                                                               

3.地域連携ネットワーキング「対応困難事案に関すること後見人等に関する苦情への適切な対応について」→ 後見人等への相談、苦情が中核機関に持ち込まれた場合には、双方からの聞き取り、ケー ス会議等で解決することは多くありますが、それらの対応について専門職団体、家庭裁判所、 行政、地域の複数の中核機関等と共にそれらを振返り、評価、検証することが必要と考えま す。多職種による振返りによって、中核機関では気づかなかった点の指摘や助言を頂くこと や、専門職団体では相談や苦情の内容を共通課題として会員の質の向上につなげるなど、ネガティブな捉え方ではなく、改善すべき点も含めよりよい後見事務に繋げるための取組と して重要と考えます。


○第二期成年後見制度利用促進基本計画中間検証年に向けての意見
公益社団法人 日本社会福祉士会 理事 星野 美子
意見の趣旨

第二期成年後見制度利用促進基本計画(以下、「基本計画」)は、来年度の中間検証を経て計画期間後半に入る。「基本計画」には柱の一つとして、「成年後見制度等の見直しに向けた検討と総合的な権利擁護支援策の充実」が掲げられている。 前段の「成年後見制度等の見直しに向けた検討」は、「本人にとって適切な時機に必要な範囲・期間で利用できるようにすべき」との「基本計画」の方針をふまえ、「成年後見制度の在り方に関する研究会」(公益社団法人商事法務研究会)で約 2 年にわたる論点整理が行われ、報告書がまとめられた。これを受けて、来年度から法務省法制審議会部会において民 法改正に向けた議論が開始され、「基本計画」期間内での民法改正を目指すことになると承知している。民法改正に向けての具体的なスケジュールが示されつつある現状において、後段の「総合的な権利擁護支援策の充実」は、厚生労働省の「持続可能な権利擁護支援モデル事業」等が実施されているものの、一部取組みに積極的な自治体を除き多くの自治体では認識も乏しい状況であり、「基本計画」期間内におけるゴールが現時点では不明確といわざるを得ない。 民法改正で包括的な代理権の付与等が見直されることや、必要性・補充性といった観点から成年後見制度の利用期間が設定されることを想定すれば、成年後見制度を利用しなければ権利が擁護できないと判断される事案はこれまで以上に厳密な精査・検討が見込まれることが予想される。成年後見制度の改革と成年後見制度以外の権利擁護支援策の充実は相互補完的な関係であり一体的に改革しなければ「基本計画」の目標が達成できない。「総合的な権利擁護支援策の充実」について、「基本計画」期間内に検討すべき課題を改めて確認したうえで、工程を明確にして計画的に取り組む必要がある。このような問題意識のもと、 検討を要する課題について本会としての整理を試みたので、意見として提出するものである。

1.民法改正と連動した権利擁護支援体制の構築に向けた福祉分野における支援策の課題 (1) 厚生労働省「持続可能な権利擁護支援モデル事業」の検証をふまえた事業化の検討
令和 4 年度・5年度に実施された「持続可能な権利擁護支援モデル事業」について、将来 的に「総合的な権利擁護支援策」の新規メニューに組み込むのであれば、2 か年のモデル事業の検証をふまえ「基本計画」期間内で検討すべき事項を整理する必要がある。全国どの地域でも実施可能な事業とするためには、法的根拠を明確にした事業化の検討が必要である(2(4)B参照)。
モデル事業のうち「簡易な金銭管理等を通じ、地域生活における意思決定を支援する取組」については、対象者や支援内容等が日常生活自立支援事業と重複する面もあるため、両事業 の目的と役割分担を明確にする必要がある。同取組では、「日常的金銭管理サービス」を行う事業者等(赤)と「意思決定サポーターによる社会生活上の意思決定支援」(青)、両者を監督、後方支援する「監督・支援団体」(緑)の三者による役割分担が想定されている。三 者の役割が発揮され取組全体が機能するためには、「監督・支援団体」による支援機能が重 要になるものと想定され、専門職団体としても関与できるものと考える。
(2) 日常生活自立支援事業の課題解決に向けた事業の再編強化の検討
「基本計画」では「総合的な権利擁護支援策の充実」の第一番目に「成年後見制度と日常 生活自立支援事業等との連携の推進及び同事業の実施体制の強化」があげられており、地域 により待機者が生じていること、利用者数にばらつきがあること、成年後見制度への移行に課題があることが指摘されている。 日常生活自立支援事業は、地域によって対象者を在宅居住者に限定していたり、本人の資産状況によって対象外とするところもある。居住実態によって対象とならないような地域 の場合、入所や入院となると、他の支援策がないため必要性を十分検討されないままに安易に法定後見制度につながったり、あるいは本人の理解力や契約能力を十分検討しないままに施設や病院での金銭管理となっている実態もまだ多い。また、日常的金銭管理の方法とし て、モデル事業実施地域等一部の地域ではキャッシュレス対応の取組みが進んでいるが、多 くの地域では日常生活自立支援事業においてこのような新たな仕組みを取り入れることが できていないばかりではなく、キャッシュカードの使用もできないことが多く、本人にとっ ても大変使いづらい状況になっていると言わざるを得ない。 日常生活自立支援事業の利用者が統計からも増えているとはいえず、それはこの事業の 人員体制や予算の在り方だけではなく、上記のような実態もあると考える。キャッシュレス の仕組みを一つの例として、本人に丁寧な説明を行うことで本人自身が希望する支援の選 択肢が広がれば、対象者にとって有益であるとともに、この事業が必要な人に届くことにも つながるのではないか。 「基本計画」では、国は「地域を問わず一定の水準で同事業を利用できる体制を目指す」 とある。日常生活自立支援事業は成年後見制度と利用者が重なることもあり、利用者のニーズを丁寧に確認することなく、どちらの方策を利用するかという検討になったり、法定後見 はハードルが高いのでまずは日常生活自立支援事業から、という間違った理解も定着している。もちろん、両者が有機的に連携して展開してきた経緯も多くあるので、今後益々その 重要性は高まるものと考えられる。現在事業の実施主体は都道府県社会福祉協議会及び指定都市社会福祉協議会で、委託を受けた市区町村社会福祉協議会等(基幹的社協)が実施しているが、事業の実施体制の在り方や、ニーズに対応するための事業の拡大及び継続性を担保するための財源の確保など、事業の在り方を抜本的に見直す必要がある。 また、日常生活自立支援事業は社会福祉法の第二種社会福祉事業である「福祉サービス利 用援助事業」の一形態であり、多様な主体が「福祉サービス利用援助事業」に参画できるよう、見直しに際し考慮する必要がある。 これら見直しの如何により、根拠法である社会福祉法第二条 3 項十二号「福祉サービス 利用援助事業」、及び同法第八十一条「都道府県社会福祉協議会の行う福祉サービス利用援 助事業等」の改正が必要となると考える。(2(4)@A参照)
(3) 権利擁護支援のニーズアセスメントと適切な支援策へのつなぎ、モニタリング体制の構 築に向けた中核機関の機能強化
権利擁護支援は誰もが必要になる可能性があるものであり、判断能力の程度や財産の多 寡、身寄りの有無、住む地域に関わらず、必要なときに適切な支援が受けられる体制整備が 求められる。意思決定支援を基本に据えて、権利擁護支援のニーズをアセスメントし、成年後見制度を含む権利擁護支援策の選択肢から適切な支援につなぐとともに、適宜モニタリングを行い不足している社会資源の開発につながるよう、相談支援体制と調整機能が欠かせない。 地域において多様な社会資源とのネットワークを構築し、ニーズに応じた調整機能を果 たす要となるのは中核機関であり、「基本計画」の目標にもある通り全国の市町村への設置 と機能強化が欠かせない。そのためには、中核機関の機能と設置(設置主体、人員配置、予算措置等)に関する法的根拠を明確にする法制化が必須である(2(3)(5)参照)。中核機関 に求められる4つの機能について、公的責任として担うべき部分(例えば個人情報の取扱い 等)と民間事業所に委託できる機能とに類別化することが必要である。これまで議論されて きた中核機関に求められる機能はソーシャルワーク機能に他ならず、こういった機能を果たすためには、成年後見制度を含めた権利擁護支援に精通した社会福祉士の配置が望ましい。 また、都道府県には市町村の中核機関をバックアップするとともに、広域的な調整機能が求められる。都道府県及び都道府県社会福祉協議会に求められるこのような機能が法的根 拠に基づくものとなるよう法制化が必要である。
(4)苦情等への対応の機関
対応困難事案への対応について、試行事業が実施されたが、そこで明らかになったの は、後見人等に対するさまざまな意見は苦情だけではなく、改善要望であったり、意見であったりするものも多く、早い段階からキャッチした機関が関係機関と情報を共有し、後見人等だけではなく、支援チームとして対応を検討できる仕組みづくりであった。対応方 法としては、後見人等の交代だけではなく、後見人等が支援チームの一員として自身の事 務の在り方を見直すことにもつながると考える。さらに、民法改正の議論を見据えれば、 今後は、成年後見制度の利用を終了するということも十分に考えられる。 家庭裁判所は解任や辞任事由に該当する状況になっていないので手が出せないとするのではなく、中核機関で把握した状況をタイムリーに情報として受け取っておく必要がある。第二期計画においては、後見人等が選任された後の「支援チームの自立支援」として、後見実務の見直しをチームで行えるよう支援することが中核機関の機能として求められている。ここには当然ながら、候補者を推薦する職能団体も一緒になって対応を検討することが大事であり、さらに地域連携ネットワーク協議会を活用して、地域全体の課題としても捉え直す必要がある。 このような機関間の連携を推進していくためには、関係者の運用に関わる努力だけに委 ねるのではなく、法的根拠に基づいて実施できるシステムを構築する必要がある。 例えば介護保険制度における国保連や、福祉サービスに関わる運営適正化委員会のような、権利擁護支援(後見制度を含む)に関わる第三者的苦情等受付機関を都道府県に設置(既存の機関に機能を追加)する方法も考えられる。これまで社会福祉士会ではぱあとなあという後見人等を担う会員を構成メンバーとする部署で、共通の認識をベースとして会員支援と会員に対する市民からの意見要望苦情に対応する仕組みをつくりあげている。地域によって具体的な動き方には差異があるが、これまでの経験則を活かして、中核機関や 第三者的機関にしっかりと関わっていくことが可能と考える。 権利擁護支援の大事なひとつの方策である成年後見制度(とりわけ、本人に代わって代 行決定ができる制度であるがゆえに)が本人にとってどのような影響を及ぼすのかを真摯 に考えれば、早急に仕組みを作り上げるべきである。

2.権利擁護支援体制の基盤を整備するための法整備等の検討
(1)社会福祉法による権利擁護支援策の限界

社会福祉における権利擁護支援策を全国どの地域でも実施するためには、社会福祉法の 社会福祉事業として位置づけ、実施責任を明確にする基盤整備が重要である。基盤を盤石なものにし、ニーズに対応できるよう事業を充実、拡大することは、国の責務である。 社会福祉事業に位置づけることは、事業の対象者と支援内容を明確にすることであるが、 公的財源を充当する事業を無制限に拡大することは難しい。事業による支援の優先性の判 断が求められ、ニーズはあるが事業の対象にはならないという事態が起こり得ることも想 定しなければならない。事業の枠組みを明確にする基盤整備は、同時に対象者を選別し、一 定の線引きを余儀なくされるというジレンマと直面することでもある。 また、多様な権利擁護支援ニーズ(保健医療、住まい、就労、教育、司法、金融等)の全てに社会福祉事業で応えることは不可能であり、社会福祉法の守備範囲を超えたニーズへ の対応は各法制度との連携が求められる。 このように社会福祉法における基盤整備は喫緊の課題であると同時に、限界があること を視野に入れ、多様な権利擁護支援ニーズに対応するための支援策は関係機関が横断的に、 かつ総合的に検討する必要がある。
(2)福祉事業者の意思決定支援義務、資質向上義務の明文化
「基本計画」では、権利擁護支援の共通基盤となる考え方として「意思決定支援」が位 置付けられ、各種ガイドラインの整備や研修が行われている。 社会福祉法は「社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項」(同法第 一条目的)を定める基本法であり、当然のことながら「意思決定支援」は福祉サービス提 供における共通的基本事項となるものと考える。同法第五条「福祉サービスの提供の原則」 には「利用者の意向を十分に尊重し」という文言があるが、これを更に具現化する基本的支援姿勢として「意思決定支援義務」と支援力の「資質向上義務」を明示することを提案したい。 「基本計画」に基づき、意思決定支援にかかる各種ガイドラインに共通する基本的な意 思決定支援の考え方について整理がなされ、保健、医療、福祉、介護、金融等の幅広い関 係者や地域住民に浸透するよう研修等で活用することが推奨されている。 しかし、そもそもの「意思決定支援の共通理解」がなされているとは言い難い状況であ る。そのために「意思決定支援」を法律に基づいたものとして整理することが必要である。 国が示している5つのガイドラインについて、必ずしも共有とはされていない根源的な考え方について、法律におとしこむべきことが求められるのではないだろうか。例えば、「ベストインタレストは代行決定であること」や、「結果よりもプロセス重視であること」、「意思決定支援を尽くした上での代行決定であること」などである。 こういった「意思決定支援義務」、「資質向上義務」をどの法律に明文化するのかは難しい議論と感じる。まずは、(3)で述べる成年後見制度利用促進法の改正でそれを盛り込む ことが可能かどうかの検討を求めたい。合わせて社会福祉法の条文にも明文化の検討を求めたい。既存の法律で整理が難しいのであれば、(5)で述べる共管法の検討も求められる。 福祉関係者は率先して研修等に取り組むべき関係者であり、社会福祉法に「意思決定支援義務」等が明示されることで、取り組みが進むことが期待できる。また「意思決定支援」 が法的に明文化され、この考え方が浸透することで、福祉サービス事業者による虐待等の 不適切な関わりの抑止につながることも期待したい。
(3) 「成年後見制度の利用の促進に関する法律」(成年後見制度利用促進法)の改正
成年後見制度利用促進法が施行されたことから国の取組みがここまで進んできた。この 法律の果たしてきた役割は大きいと実感するとともに、法律の名称が、法律の内容に合致 しているか、改めて問いたい。この法律の名称を聞いた市民あるいは専門職であっても、 「成年後見制度の利用者を増やすこと」や「首長申立をどんどん進めること」と勘違いすることが多いと感じる。この法律は大事な法律なので、第1条の目的を丁寧に説明し、法律の名称を説明しなければならないのが現状である。この法律の中身が一目瞭然、理解で きる名称「権利擁護総合支援法(仮称)」への変更を提言したい。 予定されている民法改正による成年後見制度の改革と連動して、成年後見制度利用促進 法も改正が必要となると考える。同法第三条基本理念の第1項では「意思決定の支援が適切 に行われる」ことを、同条第 3 項では「家庭裁判所、関係行政機関(法務省、厚生労働省、 総務省その他の関係行政機関をいう。以下同じ。)、地方公共団体、民間の団体等の相互の協力及び適切な役割分担の下に」必要な体制整備を行うことが規定されている。同法の骨格に は(5)で述べる共管法の要素が既に含まれていることから、共管法として整備しなおすことも視野に入れて、改正の検討をすることも可能ではないかと考える。「意思決定支援」や中 核機関設置の法的根拠となる条文を新設するなど、権利擁護の総合支援法として機能する よう、再編強化を検討することを提案したい。
(4) 「社会福祉法」の 2025 年改正で検討すべき事項
@ 第二条 3 項十二号「福祉サービス利用援助事業」の対象者 現行法では、「精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある者」を対象としてい る。「精神上の理由」という規定は、福祉関係者のみならず社会一般的に医学モデルを前 提としていると捉えがちであるため、障害者権利条約をふまえた社会モデルを基調とした捉え方にわれわれが認識を改めることが求められる。 2(1)で述べたように社会福祉の対象者をどのように考えるかは、かなり大きなパラダイ ムシフトとなるため、慎重な検討が求められると考える。 また「無料又は低額な料金で」とあり、低所得者を対象とした福祉事業とも読める。財産の多寡に関わらず、誰もが利用を必要とする可能性があり、事業の継続性を担保するう えでも費用負担の在り方の検討とともに条文を見直すべきである。 A第八十一条「都道府県社会福祉協議会の行う福祉サービス利用援助事業等」の実施主体 1(2)で述べた日常生活自立支援事業の根拠条文で、実施主体は都道府県社会福祉協議会 (指定都市社会福祉協議会)である。「都道府県の区域内においてあまねく福祉サービス 利用援助事業が実施されるため」という目的があるものの、都道府県社会福祉協議会が市 町村社会福祉協議会に委託をして実施する事業形態は、地域のニーズに対応することが 難しい面もある。地域の実状に応じて、市町村社会福祉協議会が実施できることの検討と ともに条文を見直すべきである。また、実施主体の見直しと合わせて、事業実施に伴う財 源を明確化することも検討が必要である。 B「持続可能な権利擁護支援モデル事業」の根拠条文の新設 1(1)で述べた「持続可能な権利擁護支援モデル事業」を「新規福祉事業」として位置付 けるのであれば、社会福祉法に条文を新設することが妥当と考える。2025 年の改正で組 み込むことを視野にいれて、早急に検討を進める必要がある。 「福祉サービス利用援助事業」「日常生活自立支援事業」の見直しと連動して、「権利擁 護総合支援事業」としてモデル事業で示されたメニュー以外の支援メニューも明示する ことが必要である。
(5) 司法と福祉の連携を図るための法務省と厚生労働省の共管法の整備
成年後見制度(民法他関連法制)の管轄は法務省、成年後見制度以外の福祉分野の権利擁 護支援策の管轄は厚生労働省である。権利擁護支援体制を構築するためには、両者が連携す る必要があり、円滑な連携に必要となる事項の法的根拠を明確にするために、既存の法律の改正では対応できない部分があるとしたら、共管法を整備することを提案したい(下図参照)。 法的根拠を明確にすることが必要な事項としては、@適切な制度の利用につなぐための アセスメントとモニタリングの実施、Aそのために必要な情報を共有する仕組み、B中核機 関の機能、設置運営等、C意思決定支援の在り方、D後見報酬の在り方(3参照)、E苦情 等への対応などが想定される。 また、司法分野においてもソーシャルワーク機能が求められることから、社会福祉専門職 の配置、例えば家庭裁判所におけるソーシャルワーク機能の充実に向けての社会福祉士の 配置や活用なども併せて検討することを提案したい。

3.後見報酬の負担と助成の在り方
後見報酬の改訂については、意思決定支援や身上保護を重視したものとして最高裁判所 より新たな定期報告の書式が提示されるなど、財産管理に偏らない評価として見直しが進 むことが期待されている。その動向と連動しながら、後見報酬の負担の在り方、助成の在り 方を検討する必要がある。 「基本計画」では、成年後見制度利用支援事業が市町村により実施状況が異なるため、全国どの地域でも必要な人が成年後見制度を利用できるよう同事業の実施内容を早期に検討し、助成について必要な見直しを含めた対応を早期に検討することとしている。成年後見制度利用支援事業の現状を把握し、必要な見直しを進めることはもちろんであるが、同事業で 後見報酬を助成する仕組みには限界がある。市町村の取組みに委ねるような対応は見直すべきであり、国が成年後見制度利用支援事業のあるべき水準を示し、市町村が実施できるような財源の確保をすべきである。しかしそのためには現状の後見報酬の負担の在り方では 限界が容易に予想されるため、利用する人の報酬の負担の在り方について、抜本的な見直し が求められる時期にきていると考える。 後見報酬の負担の在り方については、後見報酬のどの程度までを本人負担とすることが 妥当かを検討する必要がある。後見制度を必要とする人の多くは、介護保険や福祉サービスを利用する人と重なっており、後見報酬だけが全額自己負担であることから、制度の利用を躊躇したり、使いたくないという感覚になっていることが少なくない。全国どこに居住していても同じ権利擁護の支援が受けられるセーフティネットが機能するためには、社会全体 でどのように権利擁護支援を必要とする人を支え合うのか、真の地域共生社会の実現のた めに、私たち一人一人が他人事ではなく我が事として考え、社会保障の一環として後見報酬 を社会的に負担する仕組みを導入することの検討を提案したい。 成年後見制度が大きく変わろうとしている時代のなかで、民法改正の前に、社会福祉関係 者が取り組むべき課題は大きいが、本会も都道府県社会福祉士会とともにそれぞれの地域 にしっかりと関与する職能団体であり続けるとともに、一人ひとりの社会福祉士がそれぞ れの立場・役割を果たすことを改めて認識したい。             以上

次回も続き「参考資料9 各委員提出資料・委員意見」からです。

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