第4回こども未来戦略会議 [2023年06月04日(Sun)]
第4回こども未来戦略会議 (令和5年5月22日)
≪議事次第≫ こども・子育て政策の強化について https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai4/gijisidai.html ◎資料1 事務局提出資料 1.主な論点 ・「総合的な制度体系」を支える給付と負担の「見える化」について→@〜Aの論点。 ・「加速化プラン」を支える安定的な財源について→@〜Bの論点。 2.こども・子育て政策の強化のための財源の在り方に関する政府方針等について→今までの経過から歳出削減が前提で広く国民の負担が必要か。 3.こども未来戦略会議での主な意見→【第1回会議】〜【第3回会議】意見あり。 ・財源→こども子育てを社会全体で支えるための政策を実行するため、その費用を国民が広く負担して いくとの考え方が重要。その際は、幅広く財源や歳出の見直しを検討すべき。 ≪参考資料≫ ○こども・子育て関連予算について→特別会計において経理されている。 ○社会保障分野(医療・介護)における歳出改革等に関する取組について 【「全世代型社会保障構築会議 報告書」(令和4年12月16日)で示された「今後の改革の工程」(抄)】→3. 医療・介護制度の改革 (1)基本的方向 ・超高齢社会への備えを確かなものとするとともに、人口減少に対応していく観点から、医療・介護制度の改革を前に進めることが喫緊の 課題。特に、2025年までに75歳以上の後期高齢者の割合が急激に高まることを踏まえ、負担能力に応じて、全ての世代で、増加する医療 費を公平に支え合う仕組みを早急に構築する必要がある。 ・ 限りある資源を有効に活用しながら、地域における医療・介護ニーズの増大に的確に対応する。全ての国民が、それぞれの地域において、 質の高い医療・介護サービスを必要に応じて受けることのできる体制を確保していく観点から、医療の機能分化と連携の更なる推進、医 療・介護人材の確保等に力を注ぐ。 ○こども・子育て政策の強化のための財源の在り方について→企業も含め、社会・経済の参加者全員が公平な立場で広く支えあっていく「新たな枠組み」の検討必要。 ○加速化プランの実施のタイミング→R5からR10までのタイミングあり。 ◎資料2 松本 総務大臣提出資料 ○こども・子育て政策の強化に係る地方財源について→国と地方が車の両輪、地方財源についても十分な確保が必要。 ○こども・子育て政策の強化について(試案)→経済的支援強化⇒国(2/3)・地方(1/3)。サービスの充実もあり。保育所・幼稚園⇒私立⇒1/2づつなど。 ◎資料3 平井 構成員・立谷 構成員・荒木 構成員提出資料 こども・子育て政策の強化に向けて(第4回こども未来戦略会議意見) 令和5年5月22日 全国知事会会長 全国市長会会長 全国町村会会長 こども・子育て政策の強化は国と地方が車の両輪となって取り組んでいく必要があり、適切な役割分担のもと、地方としても着実に役割を果たす決意である。 今後のこども・子育て政策の財源のあり方について検討を進めるに当たり、是非と もご考慮いただきたい点を以下のとおり申し上げる。 ○ 企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく 新たな枠組みを含め、財源の安定確保に向けて、国の責任において幅広く検討する こと。 ○ 児童手当の拡充をはじめとした国が一律で行うべき仕組みは、地方自治体の財政力に応じて、こども・子育て支援施策に地域間格差が生じることのないよう、国の責任と財源において必要な措置を講じた上で実施すること。 ○ こども・子育て支援施策は、国が全国一律で行う施策と、地方がその実情に応じ てきめ細かに行う地方単独事業が組み合わさることで効果的なものとなる。 国が全国一律で行う施策については、その充実に伴い生じる地方負担の財源につ いて、国において確実に確保すること。 また、地方がその実情に応じてきめ細かに行うサービス提供や施設整備などにつ いては、地方自治体の創意工夫が生かせるよう、自由度の高い交付金や、複数年度 にわたる柔軟かつ大胆な施策の実施と効果検証が可能となる基金制度を創設する など、地方が独自に活用できる長期的・安定的な財源の確保・充実を図ること。 ○ 政府における徹底した歳出の見直しや、企業を含め社会・経済の参加者全員が広 く負担していく新たな枠組みについては、地方の意見を十分に聞きながら検討すること。 ◎資料4 奥山 構成員提出資料 1.「総合的な制度体系」を支える給付と負担の「見える化」について ○若者たちの所得があがらず、子ども・若者・子育て家庭支援が先送りされた結果として、急激 な少子化を招いた現実を直視し、社会保障制度の継続性の観点からは高齢者にも応能負担をお願 いし、雇用を維持する観点からは企業負担もお願いしつつ、社会全体が連帯して財源を確保しな ければ、若者たちは将来に夢が描けないと思います。 ○医療・保健・福祉・教育の縦割りに伴い、財源構成及び給付と負担が複雑すぎ。わかりや すい総合的な制度体系を指向し、負担に関して国民の理解を得ていく必要があります。 2.「加速化プラン」を支える安定的な財源の在り方について 「加速化プラン」がすべての子どもの育ちを支え、将来の労働力の維持・確保につながるといった観点から普遍的な支援を目指していることを踏まえ、将来的には各種保険制度や事業主拠出金、公費等の多様な財源については特定の財源を特定の事業に充当する等限定することなく、公平な立場で負担割合を定めていく必要があるのではないかと考えます。 例えば、地域こども・子育て支援事業に関して、現状では放課後児童クラブ、延長保育、病児 保育の 3 事業だけが子ども・子育て拠出金の対象となっていますが、参考資料に示す通り、第 1 子が 3 歳になるまでに利用した制度・施設では、妻が正規雇用継続者である場合に、育児休業制度、認可保育所に続いて、地域子育て支援拠点事業等が対象となる「地域の親子交流や相談の 場」を約半数の方が利用しています。同様に一時預かり事業も一定数利用されています。 また、新たに制度化を検討している「出産・子育て応援交付金」や「こども誰でも通園制度 (仮称)」は、すべて普遍的な支援サービスであります。事業が増えるごとにその財源構成及び給 付と負担割合を協議するのではなく、総合的な制度体系を指向し、国民に分かりやすい説明が必 要だと考えます。 普遍的サービスの必要性に関して、さらに述べるとすれば、特定の家庭への重点的支援は、か えってスティグマを生じさせる可能性を指摘したいと思います。誰でも使えるサービスとして、 気兼ねなく利用できるような制度設計をお願いいたします ◎資料5 小林 構成員提出資料 日本商工会議所 会頭 小林 健 1.施策効果の検証や事業(予算)規模を示すことなく議論を進めることに違和感→これまで実施されてきた公的給付策が、少子化対策としてどの程度効果が あったのかが明らかでないまま、児童手当など現金給付の拡大等が提案 されている。そうした拡大の規模と想定効果を基に議論することにより、各施策の妥当性 の評価・判断が適切に行われることになるものと思う。 重要なことは、対策の「量」ではなく、効果を生む「質」なのではないか。 「量」を追求するあまり、単純に予算拡大とそれに伴う負担増が生じる ならば、経済界が取り組む投資・賃上げ努力を減殺しかねない。 2.一律・大幅な現金給付よりも、現物・サービス給付の拡充による負担軽減を→中小企業においても見え始めた投資・賃上げのモメンタムを加速・継続させ、 経済成長、所得の向上に取り組むとともに働き方改革の推進などを進め、 若い世代の人たちが、安心して子どもを産み育てられる環境を作り上げる ことが何より重要。そうした前提の上に立ってもなお金銭による経済的支援が必要なので あれば、より効果が期待できる世帯に重点的に行うこととすべき。児童手当 にかかる所得制限の撤廃などについては、現段階で多くの国民の理解と納得 が得られているとは思われない。むしろ、子どもを産み育てている人々や、それを希望する人々が、必要な 時に必要とする現物・サービスが受けられる体制を整えることが重要。特に、就業者へのサポートという点を重視するならば、雇用の 7 割を占める 中小企業の視点は不可欠である。職場や周囲の人たちの共感を得られやすく、 メリットも見えやすい支援サービスの拡充を積極的に進めるべきであり、 中小企業が独自に福利厚生として進めることが難しい就業者支援が 望まれる。そうした観点から、「こども誰でも通園制度(仮称)」などの導入 と併せて、育児・見守り・家事など子育て世帯の負担軽減につながる様々な サービス産業・事業の創出・育成・担い手の確保と、その利用・アクセスに 対する支援も必要である。 3.負担と給付の関係を明確にし、国民の理解を得られる財源を→財源を考える際は、給付と負担の関係を踏まえた納得性のある議論は もとより、透明性の確保も極めて重要。一部で報道された特別会計方式は、 過去の事例から見ても、行政改革の理念に合わず、無駄の温床になりかね ないといった懸念もある。一般会計において、優先度高く必要予算を確保 するべきではないか。社会保障給付を含む徹底的な歳出改革、地方や中小企業の活力向上による 経済成長の果実としての歳入増を基本とし、どうしても不足する財源に ついては、タイミングも含めてあらゆる選択肢を検討することとすべき である。 以上 ◎資料6 冨山 構成員提出資料 ・財源に関する基本理念として、歳出改革による最大限の努力を行うことを前提に、企業と個人、全世代にわたって広く負担を分かち合うべき。本政策はすべての国民、全ての将来世代が裨益するものであり、かつすべての国民が応援し支えていくべきものだから。 ・そのために負担と給付の関係が透明化され、常に国民の目にさらされていることは重要で あり、今回の「見える化」の考え方には賛同する。 また、税財源にせよ、社会保険財源にせよ、企業と個人、全世代が幅広く負担する仕組み とすべき。 現行、子育て施策が色々な制度で展開されているために、「子育て支援」という同一の目 的を持つ政策パッケージが、多数のかつ必ずしも相互に整合しない手当やサービスで構成され、ユーザーアンフレンドリーな状況が生まれている。特に社会保険料を財源とする場合、保険制度ごとに保険料負担と給付が対応することで、かかる状況がより深刻化することが 懸念される。かかる問題を回避するためには制度横断的でシームレスな給付の仕組みを構築する必要 がある。 ・負担増の悪影響→現在、想定されている規模感の企業負担増(主に社会保険料負 担)が賃上げの障害になるのではないか、という懸念の声が上がっている。確かに短期的な 計算上、そういう議論はありうるが、現在、我が国の企業経営は、構造的・慢性的な人手不足による賃金上昇圧力と金融情勢の変化による中長期的には金利上昇圧力にさらされてい る。これは 30 年来のマクロ経済基調の劇的な転換であり、かつこの傾向は構造的かつ長期的なものになる。そこで予想される人件費上昇、金利・資本コスト上昇のマグニチュードと 比べると、想定されている負担増は桁違いに小さい。 全国各地域に 7500 人の雇用を抱える企業グループの経営者として、この程度の負担増で 私たちの賃上げ方針は影響を受けないし、逆に影響を受けるような企業は、より大きなイン パクトのある人件費上昇に耐えられず、人材流出によって規模の大中小を問わず存続でき ないと考えている。すなわち今のレベルの企業負担増が、今後の賃金と経済の上昇サイクル に水を差すリスクは小さい。 次回も続き「資料7 新居構成員提出資料」からです。 |