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第8回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2023年04月09日(Sun)]
第8回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和5年3月22日)
≪議事≫強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会報告書(案)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32026.html
◎資料2 溶け込み版 報告書(案)
3. 強度行動障害を有する者の地域における支援体制の在り方
(4)状態が悪化した者に対する「集中的支援」の在り方
【基本的な考え方】
→状態が悪化することでサービスにつながらない、在 宅で家族と一緒に暮らさざるを得ない事例があり、グループホームなど障害 福祉サービスを利用していても非常に行動が激しくなり、生活が難しくなった者もいる。 支援現場でも強度行動障害を有する者の状態が悪化し課題となる行動 が頻発するような状態になった場合に、目の前の対応に追われて支援を振り返る 余裕がなくなり、職員が疲弊し支援力が落ちていくという状況も。 強度行動障害を有する者の支援にあたって、状態が悪化する前から中核的な人 材を中心とするチームによる支援が適切に行われることが重要であるが、状態が 悪化した場合には、担当するチームのみに任せるのではなく、市町村が(自立支 援)協議会も活用する等、主体的に取り組み、地域全体で本人や家族、事業所を 支え、状態の安定につなげていくことが重要。 状態の悪化により在宅やグループホームで生活が難しくなった場合、障害特性や行動の要因分析等の適切なアセスメントを 行い有効な支援方法を整理した上で環境調整を集中的に実施し、状態の安定を図 ることが有効であり、障害者虐待の予防や権利擁護の観点からも、こうした集中的支援の取組を進める必要がある。 強度行動障害支援者養成研修で示された標準的な支援の手法に基づくアセスメントや環境調整を実施することが重要であり、アセスメント によって整理した関わり方を基に今後の支援や障害福祉サービスの利用調整を行うことが重要。 集中的支援の実施⇒本人、家族に対し十分に説明を行い、同意を得ることや、一定の期間を設定して関係機関と連携して実施することが重要。
【広域的支援人材(仮称)のコンサルテーションによる集中的支援】→集中的支援の具体的な方策として、まず、広域的支援人材が事業所等を集中的 に訪問等してコンサルテーションを実施し、適切なアセスメントと有効な支援方法の 整理を共に行い環境調整を進めていく方策が考えられる。 広域的支援人材のコンサルテーションによる集中的支援→広域的支援人材の派遣に対してインセンティブ等を設定し人材を派遣することに積極的に協 力してもらうための工夫が必要になる。
【居住支援等を活用した集中的支援】→在宅の場合や、グループホーム等に入居したまま対応することが困難な場合、グループホーム、施設入所や短期入所を活用して、一時的に環境を変えた上で、適切なアセスメントを行い、有効な支援方法を整理した上で元の住まいや新たな住ま いに移行する方策も考えられる。 集中的支援を行う居住支援や短期入所においては、中核的人材が中心となりチ ームで支援を行うとともに、アセスメントと支援方法の整理を進めることが求められる。また、地域の広域的支援人材が、集中的支援を行う事業所を支援するととも に、送り出した事業所に対して人材育成や環境調整を行うなど、集中的支援後の 受入体制を整備することが求められる。その際、集中的支援における標準的な支 援に基づく支援方法を受入先でも着実に引継ぎ、一貫した支援を継続することが 重要。 相談支援事業所等が、集中的支援のニーズ把握や、集中的支援後に利用 する障害福祉サービスの調整や関係機関との連携の調整を行うなど、集中的支援の前後をフォローできる体制を構築すること。 居住支援等を活用した集中的支援⇒集中的支援後の移行先の確保が課題であり、地域の中で受入先を確保する仕組みを構築しておくこと。例えば、送り出した事業所が地域の広域的支援人材による集中的支援後の受入体制整備のためのコンサルテーションを受けることを、集中的支援を受けるため の条件として設定するなどの工夫も考えられる。
【集中的支援の推進に向けて】→集中的支援の実施⇒適切なアセスメントを行い有効な支援方法を整 理した上で、環境調整を集中的に実施できる広域的支援人材や、現場の中核的人 材を確保する必要があり、国はその育成を進めることが重要。 集中的支援⇒支援ニーズや専門性のある人材の実情を踏まえれば、 各都道府県・指定都市や圏域単位といった広域で実施体制を整備していくことを基本とすることが考えられる。この場合であっても、各市町村における地域の強度行 動障害を有する者への支援体制と連動させて、全ての地域を漏れなく支援できる よう、体制を構築することが必要。 一旦状態が改善しても、本人の状況や家族など周囲の環境の変化の中で再度 状態が悪化することもあり、地域の中で市町村が中心となって継続的に フォローする体制を整備することが必要。 集中的支援の実施について、(自立支援)協議会等において実践報告を行うな ど、取組の共有や PDCA サイクルを回しながら改善を図っていくことが重要。   地域に強度行動障害に対応できる事業所数が十分ではなく、かつ、対応できる 事業所においても、人員など支援体制に余裕がない中で、職員、事業所共に疲弊 してしまうという現状がある。状態が悪化した場合の集中的支援と合わせて平時から、強度行動障害者を有する者への支援に係る知識や技術を地域の事業所に 広げ、そのスキルを向上するための取組を進めることが必要である。

(5)こども期からの予防的支援・教育との連携→幼児期からの個々のこどもの特性と家族の状況に応じた適切な関わりが、将来の強度行動障害の状態の予防につながると考えられる。幼児期からこどもの強度行動障害のリスクを把握し、家族を含めてライフステージを通して地域生活を支えていく体制づくりが必要。 3歳までに強度行動障害の状態となる高リスクのこどもを把握し対応していくこと。強度行動障害を有する児者の保護者へのインタビュー調査の結果⇒3歳児健診までに睡眠の問題、多動性、こだわりが非常に強かった児が一定数おり、小学校時代(10 歳以降)に強度行動障害の諸症状が悪化し、思春期でかなり顕著になっていくというパターンがみられ、状態を予防するためには、3歳児健診等で、重度の知的障害を 伴う自閉症のあるこどもの中で特に睡眠の問題があり、こだわりが強く衝動性があるこどもを把握して、早期にこどもと家族への支援を開始すること。 幼児期・学童期・思春期の支援にあたっては、福祉と教育が、知的障害、自閉ス ペクトラム症等の発達障害の特性に応じて、共通の理解に基づき一貫した支援を 連携して行うこと、また、障害特性のアセスメントや環境の調整に取り組むなどの 行動上の課題を誘発させない支援を提供していくことが必要。 強度行動障害が重篤化する前にアプローチすることが重要であり、特別支援学校 と児童発達支援センターや放課後等デイサービス等が連携して支援にあたる体制 づくりを進めることが必要。 強度行動障害の状態を予防する観点から、児童発達支援や放課後デイサービス の支援の専門性を上げることが重要であり、地域の児童発達支援の中核となる児 童発達支援センターの機能強化を進め、強度行動障害の状態を予防する観点も 含めて、児童発達支援事業所や放課後等デイサービス等に対してスーパーバイ ズ・コンサルテーションを行う取組を進めることが必要である。
中学生・高校生年代の強度行動障害を有する児の実態把握を進めるとともに、 学校を卒業した後の成人期における地域での生活も見据えて、強度行動障害の状 態を予防するという観点から支援を進めることが重要。 在宅の強度行動障害を有する児を支援するため、専門性を有する人材が、家庭 や事業所、学校、医療機関等を訪問して調整を行ったり、複数の事業者の定期的 な連携会議に参加して情報共有する等、ライフステージや関係機関の支援を隙間 のないような形でつないでいく取組を進めることも重要である。
強度行動障害の状態となるリスクの高いこどもへの対応を行う上では、母子保健 施策や子育て支援施策等と連携しながら、家族を孤立させずに支えるための方策を講じていくことも必要で、例えば、家族がこどもの障害特性を理解して障害特 性に応じて子育てができるようにする支援や、育児の困り感に対する心理的な支援、他の家族とのつながりをつくる支援、必要に応じて障害児通所を含む障害福祉サービスの利用等を個々の家族の状況に応じて組みたてることなどが考えられる。 市町村⇒基幹相談支援センターや障害児相談支援事業所、児童発達支援センター、学校等と連携し、地域の(自立支援)協議会(こども部会)や、 要保護児童対策地域協議会等も活用しながら地域の強度行動障害を有する児 を把握し、その支援ニーズを踏まえた地域の支援体制づくりを進めていくこと。関係機関が連携して支援にあたることが重要であり、行政、福祉、教育、医療等 の関係機関によるネットワークづくりを進めていくことも重要。 こども期にどういう支援が行われ、どのような環境において本人が落ち着けるの かといった情報も含め、こどもと家族の情報を整理・蓄積し、18 歳前後の移行期に おいて、大人の支援体制に引き継いでいくことが重要。

(6)医療との連携体制の構築
【地域の支援ネットワークの中での精神科医療】
→強度行動障害の状態の背景にある疾患や障害を、医療により完全に治すことは難しく、対応の仕方や環境によって強度行動障害の状態が良くなったり悪化したり することを前提に、環境との相互作用であることを認識して、医療の充実と併せて、 福祉や教育と連携した支援を進めていくことが必要。状態が悪化している等により、グループホーム等の障害福祉サ ービスで支えきれない場合には、福祉分野が行う集中的支援と合わせて、必要な精神科医療を受けられるよう連携を推進していくことも必要。 精神科医療⇒(2)〜(5)に示す強度行動障害を有する状態への支援を行った上で、必要に応じて薬物療法を行うなど、 医療・福祉で相互に乗り入れて支援を行っていくこと、障害福祉サービスと連携して、地域の中で必要な支援の一部を担っていくことが重要。 また、強度行動障害状態が悪化したことにより、医療も含む支援を一時的に密に 行うために入院する場合、移行先を見据えた介入を行い、退院後に自宅 やグループホーム等で生活できるように、入院中から相談支援事業所との連携や 行動援護等を活用した外出支援など、福祉との連携を行うことが重要。さらに、入院の長期化を防止する観点からも、標準的支援の実践を進めていくこと。 医療機関が、強度行動障害を有する者に対して支援を行うにあたって、強 度行動障害の状態に対する精神科医療の知識・技術を高めるとともに、福祉等と の連携を推進すること、精神科の救急病棟、一般病棟、国立病院機 構の専門病棟、公立病院の専門病棟等、それぞれの状況を踏まえた福祉等との 連携のあり方を整理していく必要。 多くの一般的な精神科医療機関では、患者数や専門性の高さ等により、知的障 害・発達障害の入院患者に対して、標準的支援を導入することが困難な状況。 強度行動障害を有する者を地域で支える中で、各精神科医療機関がその機能を 果たしていくためには、一般精神科での知的障害・発達障害者への支援の専門性 を担保していくことが重要であり、一般精神科の医療従事者が強度行動障害を有 する者の障害特性や支援手法の理解を深める取組を進めていくことが重要。医療面での支援⇒日常生活の場で必要 な支援が提供され、家族支援にもつながることから、主治医と相談しながら、訪問 看護を活用していくことも考えられる。 より重度な対象者に個別的な質の高い支援を提供するためには、訪問看護事業 所の看護師等へ強度行動障害を有する者の障害特性や支援手法の理解を深める 取組を進めていくことが重要である。
【身体疾患の治療】→身体疾患の治療は「急性期治療」「治療後の管理」「検診」「予防接種」等多岐にわたっているが、強度行動障害を有する者に対応できる体制を有する地域は限ら れている。身体疾患の治療を受けられる体制づくりを進めていくことが必要であり、治療に係る負担も踏まえた報酬上の評価について検 討を進めることが必要。 また、福祉側から日頃の標準的支援の情報を医療側に提供したり、医療側からも福祉側の情報を求めていくなど相互の連携を強化していくこと。強度行動障害を有する者を含む重度訪問介護利用者のうち、最重度の障害者は、医療機関に入院している間も、引き続き重度訪問介護を利用し、本人の状態を 熟知した支援者から、医療機関の職員と意思疎通を図る上で必要な支援を受ける ことができ、必要な場合にサービスを利用できるよう、重度訪問介護の事業所の 拡大等を進めていくことが重要。 強度行動障害を有する者は、過去の嫌悪体験、未経験のことへの抵抗、新規場 面への負荷等から、身体疾患への治療等の際に病院を受診・通院することが難しい 場合があり、こうした場合に診療が可能となるように対応できる訪問診療の体制を強化していくことが必要。 医療的なケアが必要な強度行動障害を有する児者⇒医療型短期入所 を利用することが可能であるが、その受入れを一層進める観点からも、同サービス の従事者等が標準的支援を行うための知識や技術を習得するための取組を進め ることが重要である。

(7)まとめ〜強度行動障害を有する者の地域における支援体制の構築に向けて〜
【基本的な方向性】→強度行動障害を有する者に対しては、障害特性を踏まえて機能的なアセスメントを行い、強度行動障害を引き起こしている環境要因を調整することを標準に、行動上の課題を引き起こさないための予防的な観点も含めて標準的な支援を行うこと。
また、家庭の状況等を含めてアセスメントを行い、家族も含めて支 援を進めていくことが必要。支援⇒特定の事業所、特定の支援者だけ で支えるには限界があり、地域の中で複数の事業所、関係機関が連携して支援を 行う体制を構築していくこと。 現場の事業所では、チーム支援の要となり、適切な支援の実施をマネジメ ントする中核的人材を中心に、強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)の修了者を含めたチームによる支援を進めていくこと。 また、各地域において、高い専門性を有する広域的支援人材等が事業所へのコ ンサルテーション等による指導・助言等を行い、事業所の支援力の向上や集中的 支援による困難事案への対応が行われる体制を整備していくことが必要。 地域の中では、相談支援事業所や基幹相談支援センターのコーディネート・マネ ジメントの下、強度行動障害を有する者の暮らしに応じて、各障害福祉サービス事 業所がそれぞれの役割を果たしながら連携して支援にあたる体制を整備していくこと。また、地域生活支援拠点等による緊急時の対応や、体験利用の 体制についても整備を進めていくこと。 さらに、障害福祉分野のみならず、教育、母子保健・子育て支援、医療等の分野 の関係機関が連携した支援体制を整備していくことが必要。 強度行動障害の状態は一時的なものでなく、こども期から高齢期に至るまで、不適切な関わりによって、どの時期にでも引き起こされる。関係機関が連携し、本人 や家族の情報を適切に引き継ぎながら、ライフステージごとに切れ目なく支援が提 供される体制を整備していくことが必要。 全国どの地域でも、強度行動障害を有する者とその家族が適切な支援を受けて 安心して暮らすことができるよう、市町村・都道府県・国は、それぞれの役割を果たしながら、地域の支援体制づくりや人材育成を進めていくことが必要である。
【市町村・都道府県・国の役割】→市町村には、地域の実情に応じて近隣市町村と連携・協働して(この場合は圏域 で)、地域の強度行動障害を有する者とその支援ニーズを把握し、それを踏まえて 地域における支援体制の整備を計画的に進めていくことが求められる。 基幹相談支援センターや地域生活支援拠点等の整備、相談支援事業所や障害 福祉サービス事業所の確保を進め、それぞれが連携して支援にあたる体制の整 備を進めていくこと。また、教育や母子保健・子育て支援分野の関係 機関との連携体制を構築していくこと。 (自立支援)協議会や要保護児童対策地域協議会等を活用しつつ、また、障害 福祉計画や事業者指定(指定更新)に関する意見・条件の仕組みを活用した地域 の事業者の参画に向けた取組等により、地域の支援体制の整備を進めるとともに、その改善や充実を図っていくことも重要。 都道府県⇒専門的・広域的な見地からの支援体制の整備や市町村支援を計 画的に進めることが求められる。 特に、都道府県が設置する発達障害者支援センター等も活用しながら、高い専門 性を有する広域的支援人材等を配置し、事業所の支援力の向上や集中的支援に よる困難事案への対応が行われる体制の整備を進めていくことが必要。
医療分野の関係機関との連携体制を構築していくこと。 強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)を実施し、人材育成を進めるととも に、管内市町村の支援体制整備を財政面・ノウハウ面から支援していくことも求められ、(自立支援)協議会や発達障害者支援地域協議会を活用して、支援体制の整備 を進めるとともに、その改善や充実を図っていくことも重要。 国には、中核的人材・広域的支援人材の育成を進めるとともに、市町村や都道府 県による地域の支援体制整備を財政面・ノウハウ面から支援していくことが求めら れる。また、強度行動障害を有する者の支援の充実に向けて関連情報の収集や 調査研究を進めるとともに、これらの情報や成果を広く関係者と共有することが求 められる。
【支援体制の構築を進めるために】→人材や地域資源の不足等により、市町村で支援のために必要な機能の全部又は一部が確保できない場合には、近隣の市町村、もしくは都道府県と連携・協働し、その機能を確保して必要な支援が提供されるようにすること、 広域で階層的な調整機能が働くように、地域の支援体制の整備を進めていくことが重要。自治体⇒強度行動障害を有する者の地域の支援体制の整備が着実に 進められるよう、支援ニーズを適切に把握し、障害福祉計画や障害児福祉計画で 道筋を定めて取組を進めていくようにすること。 強度行動障害の状態を起こさなくても良い支援を日常的に行うことが重要であり、支援者や家族、教育等の生活に関わる関係者が、標準的な支援の知識を共有し、そうした共通した支援の考え方を地域の中に拡げていくこと。 強度行動障害を有する者とその家族の支援にあたる関係者が、地域単位、さら には全国単位のネットワークを構築し、連携・協働して支援にあたるとともに、知見 や好事例の共有等により支援力の向上や支援体制の充実を図っていくこと。 強度行動障害を有する者への支援に関して、支援者がどの程度アセスメントを行 い、それに基づいて標準的な支援を行っているか、また支援の専門性向上のため の研修を受講している等の観点を含め、支援実施に関する評価を行い、取組を改 善していく仕組みについて、検討することも考えられる。

4. おわりに→本報告書では、強度行動障害を有する者と支援の現状を整理するとともに、支援人材、支援ニーズの把握と相談・調整機能、日常的な支援体制、状態が悪化した 場合の集中的支援、こども期からの予防的支援、医療との連携体制といった各論についての整理を前提に、地域における支援体制の在り方の全体像を示し、その 構築に向けた今後の道筋を示した。 強度行動障害を有する者とその家族への支援の体制づくり⇒支援人材の育成や報酬上の評価などは講じられてきたものの、各地域、各支援者の個別の取組に委ねられていた部分が大きかったともいえる。本報告書を踏まえて、全国 の自治体において、地域の実情に応じて、行政、様々な事業者、関係機関、支援 者が同じ方向感をもって個別の支援や地域の支援体制の構築を進め、困難を抱え る当事者やその家族に適切な支援が確実に届くようになることを期待する。 強度行動障害を有する者の地域支援に関しては、各地域における支援体制の構 築の状況や現場における支援の状況等を注視し、支援体制や支援の取組の更な る充実に向けて、今後も引き続き検討を行っていくことが重要である。なお、今回の検討会では、これまで行政や現場で用いられてきた「強度行動障害」という用語を使用して議論を行い、本報告書においても使用しているが、複数の委員から、障害ではなく状態を表すものであり不正確な理解につながること、悪い印象を与えるおそれがあることなどから、用語の変更を検討すべきとの意見があ った。教育や医療など関係分野において共通の概念となるように留意しつ つ、検討していくことが求められる。
令和6年4月からは新たな障害福祉計画・障害児福祉計画期間がスタート。 それに向けて、各自治体において計画の策定が進められるとともに、国においては、障害福祉サービス等報酬改定の検討が進められることとなる。国及び自治体 においては、本報告書を踏まえて、これらの対応を進めることを期待する。 強度行動障害を有する者への支援は高い支援スキルが求められるが、状態の 改善が順調に進むとは限らないという意味でも難しい支援である。 一方、全国には、支援者、法人、地域の関係者の適切な支援により、不安定な 状態から改善し、穏やかな表情を取り戻して暮らしている当事者もいる。 全国各地域で支援体制の構築が進み、強度行動障害を有する者とその家族が、安心して暮らすことができる社会が実現することを強く望む。


◎参考資料1 強度行動障害を有する者の地域支援体制イメージ(案)
○強度行動障害を有する者の地域支援体制(イメージ)
→国、都道府県、市町村などの役割等、「支援者間でネットワークを構築し、地域の支援力向上を図る」の俯瞰図になります。

〔状態が悪化したケースについての集中的支援〕→在宅やグループホーム等で行動上の課題が頻発するなど状態が悪化したケースについて、広域的支援人材(仮称)や、中核的人材(仮称)による集中的なアセスメントと環境調整により状態の改善を図る。広域的支援人材(仮称)が事業所を訪問して実施する方法と居住系支援等を活用し実施する方法を想定。
〔広域的支援人材(仮称)〕→強度行動障害に関する専門的知見を持ち中核的人材(仮称)に助言指導を行う人材。発達障害者地域支援マネジャーが担うことも想定。
〔中核的人材(仮称)〕 現場において適切な支援を実施し、組織の中で適切な指導助言を行う人材。強度行動障 害を有する者を支援する事業所に1名以上の配置を想定。

次回は新たに「こども政策の強化に関する関係府省会議(第4回)資料」からです。

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