第9回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2023年02月19日(Sun)]
第9回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和5年2月6日)
≪議事≫(1)報告書(素案)について (2)その他 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30871.html ◎資料1 報告書(素案)令和5年●月●日 5.インクルージョンの推進について (1) 基本的な考え方 ↓ ○ 共生社会の実現に向けては、社会の様々な場面で、障害児の状態や特性に応じた合理的 配慮の提供を進めるとともに、子育て支援施策全体の中で障害児への支援を進め、インク ルージョン(地域社会への参加・包摂)を推進していくことが重要。 インクルージョンを推進していく上では、こどもや保護者の希望を踏まえながら、保育所や放課 後児童クラブ等との併行通園や移行を推進していくこと。 障害児支援を、専門的な知識・経験に基づき、子育て支援施策側をバックアップする後方支援 として位置づけ、巡回支援専門員整備事業や保育所等訪問支援等を積極的に活用しながら、こ どもや保護者、保育所等の個々のニーズに応じた丁寧な支援を行うことで、保育所等における障 害児の育ちの支援に協力等するとともに、保育所等の障害児への支援力の向上を図り、子育て支援と障害児支援が緊密に連携した支援の取組が行われる体制づくりを進めていくことが重要。 (2) 地域のインクルージョン推進の体制と取組について 〇 児童発達支援センター→地域のインクルージョン推進の中核としての機能を果たすことが期待。専門的な知識・経験に基づき、保育所等訪問支援やスーパーバイズ・コンサルテーションにより、保育所や放課後児童クラブ等における障害児の育ち の支援に協力等するとともに、保育所等の障害児への支援力の向上を図り、併行通園や保育 所等への移行を推進していくこと。 地域のインクルージョン推進の中核としての機能を果たす観点からも、児童発達支援センターは、保育所等訪問支援事業の指定を併せて有することを基本とするべきである。 各市町村→巡回支援専門員整備事業、都道府県等が実施する障害児等療育支 援事業等を活用し、児童発達支援センターが、保育所や放課後児童クラブ等へスーパーバイズ・コンサルテーションを行うための体制整備を進めることが必要。国や都道府県 は、各地域の体制整備が進むよう、財政面・ノウハウ面での支援を行うことが必要である。 ○ 児童発達支援センターにおいて、 地域全体の子ども・子育て支援施策等を適時に効果的に 後方支援できるよう、十分かつ柔軟な人員の配置について検討すべき。 地域のインクルージョンの推進に向けては、児童発達支援センター等による支援のもとで、 保育所や放課後児童クラブ等における障害児保育等の取組を充実していく必要がある。また、 保育所等の職員研修等においてインクルージョンの推進や障害児支援に関する事項の充実 や、環境面でのユニバーサルデザインを進めることも重要。 ○ 学校や社会的養護における障害児支援に関する後方支援を進めることも重要。こうし た場に対する保育所等訪問支援、スーパーバイズ・コンサルテーション、研修等の取組を進め ることが必要である。 インクルージョンの推進にあたっては、幅広い地域の関係機関それぞれが理解を深め、連携・協働し、障害児支援の対応力を強化して取り組んでいく。市町村→障害児支援担当部門と子育て支援担当部門が連携し、地域に設置されている児童発達支援センターの機能や地域資源の状況等を踏まえながら、必要な連携体制を構築し、取組を進め ていくこと。 地域におけるインクルージョン推進の基本的な考え方や重要性を、地域の住民や関係機関 等に共有していくことが重要であり、市町村は、児童発達支援センター等と連携・協働し、広報 や会議、研修等の機会を活用しながら、インクルージョン推進の重要性や取組について発信・ 周知啓発を進めていく。 改正障害者差別解消法により、事業者による社会的障壁の除去の実施に係る必要かつ合理 的な配慮の提供が義務化されており、地域の習い事等の様々なサービスにおいても合理的配 慮の提供の下で障害児を受け入れていく環境を整備していくことが重要である。こうした事業者 も含めて、障害児支援の後方支援を進め、インクルージョンを推進していくことが重要である。 (3) 保育所等訪問支援について ○ 保育所等訪問支援⇒インクルージョンを推進していく上で重要なサービスであるこ とも踏まえ、より効果的に活用されるよう、人員配置や報酬上の評価、運用について必要な見 直しを行う方向で検討すべき。 訪問支援員⇒保育所や放課後児童クラブ等が大事にしている理念や手法を尊重しながら、こどもや保育士等の困り感に寄り添いアセスメントを行い必要な手立てを考える力や、様々 なこどもに対応できる力等の専門性が求められる。一定程度の障害児支援の経験年数(例えば5年)を訪問支援員の専門性を評価する目安とすることも含めて、人員配置や報酬上の評価 について検討を進める。 ○ 保育所や放課後児童クラブ等に訪問して集団生活の中での配慮された支援を行う上では、 障害特性を踏まえることはもとより、訪問先での子どもの状態や保育所等の環境等も踏まえて アセスメントを行い、必要な手立て等の専門的助言をする技術が必要、通所で発達支援 を行うこととは異なる専門性が求められる。障害特性や子どもの状態等に応じた適切な支援を 行う観点や、人材育成の観点からも、チーム(複数名)でアセスメントや一定の支援を行うこと も考慮して、報酬上の評価を検討。 訪問による支援とあわせて、保育所や放課後児童クラブ等の支援者のサポートにあたっての 情報共有・伝達の手段の一つとして ICT を活用するなど、効果的な支援としつつ現場の負担 軽減につなげる方策についても、検討を進める。 ○ 保育所等訪問支援は、保育所や放課後児童クラブ等に訪問して直接支援(行動観察や環境 把握・環境調整を含む)や間接支援(カンファレンスを含む)を行う等、様々な支援が含まれて おり、時間の長短も含め、支援内容を踏まえた評価を行うことを検討する必要がある。その際には、調整業務や報告書の作成、保護者への報告等、訪問先での支援時間以外の業務の実 態も踏まえながら、検討を進める。 ○ 支援が必要な期間⇒子どもの状態等によって様々であり、一律に標準的な期間 を設けることは困難であるが、一定期間支援を行った以降は、アセスメントやモニタリングを行 い、改めて支援の必要性を判断することが重要。その際、支援対象となるこどもの関係 者等が、支援の必要性等について地域の中で話し合う場を設定することが必要である。 児童発達支援センター等が保育所等訪問支援等を活用して地域を支えていくため、保育 所等訪問支援と児童発達支援センター等における職員配置について、支援の質の確保に必 要な体制は担保しつつ、柔軟に対応できるよう配置の仕方(兼務等)について検討を進める必要がある。 (4) 児童発達支援や放課後等デイサービスにおけるインクルージョンの推進について ○ インクルージョンを推進する上では、障害特性やこどもや家族の状態を踏まえつつ、通所する個々のこどもや保護者等の意向を尊重しながら取り組んでいくこと。 児童発達支援事業所や放課後等デイサービスにおける、併行通園や保育所等への移行の 取組を進めるため、児童発達支援センターがスーパーバイズ・コンサルテーションの機会も活 用しながら、インクルージョン推進の重要性やノウハウについて伝えていく取組を進めることが 重要。 ○ 国は、併行通園を基本とする場合(保育所等が生活の主軸となる場合、あるいは障害児通所 支援が生活の主軸となる場合)、子ども子育て一般施策への完全な移行を目指す場合等の、 具体的な支援のプロセスや考え方を整理したガイドラインを作成し、取組の推進を図ることが 必要。その際、アセスメントや障害児支援利用計画、個別支援計画の作成、事業所での 支援において、インクルージョンの推進が考慮されるとともに、PDCA の仕組みを盛り込むこと。 現在、障害児通所支援事業所を退所して、保育所等へ完全に移行した際には、保育・教育 等移行支援加算の算定を可能としているが、一定期間にわたり継続的に行われる移行支援の プロセスについては評価の対象としていない。インクルージョン推進における移行支援のプロ セスについても報酬上適切に評価していく方向で検討を進めることが必要である。 6.障害児通所支援の給付決定等について (1)基本的な考え方→ 障害児通所支援の給付決定は、5領域 11 項目による調査を含め、9つの勘案事項及 び障害児支援利用計画案を勘案して行うこととされており、市町村がこどもや保護者の 状態等を踏まえながら、発達支援の必要性や支給量等を適切に判断していくこと。また、給付決定後は、こども本人やその家族のニーズ等に応じた適切な支援が提供さ れていくことが重要、給付決定の際に把握した情報を関係機関に共有し、その後 の支援に活用していくことが効果的と考えられる。こうした観点からも、市町村が給付決定において、こども本人や家族の状況等をより丁寧に把握することを推進していくことが必要である。 (2)調査指標の見直しについて ○ 令和3年度障害者総合福祉推進事業「児童発達支援・放課後等デイサービスの指標の 在り方に関する研究」において整理された、6領域 20 項目(思春期は7領域 23 項目) の調査項目については、こどもの発達状況や困り感も含めて把握できる内容となってお り、これを参考にしながら、現行の5領域 11 項目に代わる、新たな調査指標について 検討を進めていくべき。その際には、こどもの発達状況に加え、例えば思春期以 降についてメンタルヘルスの課題等、それぞれの年代特有の課題に係る視点等を加えて いくことも検討。 ○ 新たな調査指標の調査内容や調査項目数等によっては、市町村の職員の負担が大きく なることが想定される。例えば各種加算の判定との連動など、調査で得た情報の活用や ICT の活用などにより、業務負担の軽減を図ることも検討するべきである。 同研究において、こどもの全体像を把握する内容として整理された 10 領域 90 項目に ついても、その後の支援に活用する方策を検討していくことが考えられる。 (3)給付決定プロセスについて ○ こどもの状態は、保護者の状態や養育環境を含めた環境による影響も大きく、支援の 必要性について判断をする上で、保護者の心身の状態、子育てで抱えている精神的な負 担、それらに対する支援の状況、家庭と地域のコミュニティや社会資源とのつながり 等、家庭の状況も丁寧に把握すること。現行の給付決定においても、保護 者の状況等を勘案事項として把握することとされているが、より丁寧に把握することを推進していくことが必要。 ○ 気付きの段階からサポートに入ることが重要であり、母子保健施策や子育て支援施策 との連携は重要である。また、令和6年4月に創設され、支援を必要とするこども等に サポートプランを作成する、こども家庭センターとの連携も重要。発達支援につ ながる入口ともなる、これら関係機関が有するこどもや家族の情報を、給付決定におい ても活用していくことについて検討を進めていく必要がある。 ○ 成長・発達が著しく、ニーズの変化が大きいこどもの時期においては、こども等の状 況を適時にきめ細かく把握し、それに応じた適切な支援が提供されるよう調整していく ことが重要。そのためには、市町村の給付決定において、相談支援事業所による モニタリング期間を一律の標準期間に沿って設定するのではなく、個々の状況等に応じて丁寧に設定する等の運用の徹底を進める。国においては、モニタリング頻 度を高める必要があると考えられる状態像等をより丁寧に示していくことが必要である。 ○ インクルージョンを推進していく上で、発達支援の入口ともなる給付決定において、 子育て支援担当部門とも連携の上、地域における保育所や放課後児童クラブ等の一般施 策の受け入れ体制等についても、保護者に対して適切に情報提供を行ない、一般施策で の対応も考慮して給付決定していくことを推進すべきである。 ○ 給付決定を更新する際には、それまでの支援内容とその成果や、こどもと家族の状況 を把握し、その時点における支援の必要性や支援ニーズを踏まえて決定することが必要。 ○ 給付決定⇒新たな調査指標の運用、見直すべき勘案事項や留意事項等も踏 まえながら、市町村によって判断のバラツキが生じにくくなるよう、給付決定事務等に 関する事務要領を見直す。国においては、個々の自治体の給付決定の状況 や、地域の障害児相談支援の実施状況や体制、各地域の資源の状況や取組等について把 握し、好事例を示していくことや必要に応じた助言等を行なうことで、地域の実情に応 じつつ、適切な給付決定に基づく質の高い支援の提供を進めること、自治体の負担軽減や判断のバラツキが生じにくくなるよう、共通ツールの開発や ICT の活用の検討を進めていく必要がある。 (4)支援全体のコーディネートについて→ 給付決定後は、こども本人やその家族のニーズ等に応じた支援を適切に提供するた め、支援全体のコーディネートが行われていくことが重要、支援にあたって相談 支援事業所による障害児支援利用計画の策定及びモニタリングが行われるよう取組を進める。特に、一月あたりの利用必要日数が多い場合や複数の事業所を併用する場合等には、こどもの状況等に応じたコーディネートが行われる必要があり、相談支 援事業所による対応を進めること。 その上では、障害児相談支援について、支援の質と量を確保する観点から、計画的な 整備と人材育成を進めていくことが必要で、これらの資源が不足している地 域においても、適切にコーディネートが行われる方策を検討し、対応を進めていく必要 がある。 7.障害児通所支援の質の向上について ○ 地域の障害児通所支援事業所全体の質の底上げが図られていくよう、都道府県、市町村 や児童発達支援センター、事業者、障害児関係団体等が地域で連携して研修や支援困難 事例の共有・検討を進めていくことが必要である。 地域の障害児支援の質の向上を図るための研修等の取組は、市町村が企画し児童発達支 援センターや基幹相談支援センター等の地域の中核機関と連携して進めていくこと。郡部や町村部においては広域での連携が必要、都道府県が広域調整 や全域での企画を行うなどその役割を果たすことが重要である。 ○ 市町村⇒(自立支援)協議会の下に子ども部会を設置し、個別事案の検討等を 通じて地域の課題を把握・分析しながら、支援体制の充実と地域の障害児支援の質の向 上に取り組んでいくこと。児童発達支援センターは、子ども部会等に参画 して支援困難事例や地域課題の共有等を行うとともに、そうした場での関係機関による 議論や検討を踏まえながら、地域の障害児支援の質の向上を図るための取組を進める。 児童発達支援センターは、地域の障害児支援の中核的役割を担う機関として、地域の事 業所へのスーパーバイズ・コンサルテーションを積極的に進めていくことが必要、事業所側を動かすことも重要であり、児童発達支援及び放課後等デイサービスの各 ガイドラインで定めた自己評価票の項目に、コンサルテーション実績等を確認する項目を設ける 等、児童発達支援センターとの連携状況を公表する仕組みを設けることを検討すべきである。(再掲) ○ 障害児支援の質の底上げに向けて、児童発達支援センターが中心となり、地域の事業所 の自己評価・保護者評価の結果を集約し、各事業所とともに、それぞれの事業所の強み・ 弱みを分析し、地域の事業所がお互いの効果的な取り組みを学び合う取組を推進することが必要。国においては、効果的な実施方法等を含めた自己評価・保護者評価の活用 に関する手引きを作成し、全国各地域での取組を進めることが必要である。 ○ 児童発達支援及び放課後等デイサービスの各ガイドラインで定めた自己評価票・保護者 評価票⇒第三者による外部評価に関する研究の報告等も参考にしつつ、各ガイドラインの見直しとあわせて改善を図るとともに、運営基準等において実施方法を明確 化し、運用の標準化と徹底を図ることが必要である。 ○ 障害児通所支援の質の確保・向上につなげる観点から、自己評価票・保護者評価票につ いて、集約・分析し、その結果を公表するなど、効果的な活用方策や公表の仕方について 検討を進める必要がある。 第三者による外部評価については、評価とあわせて改善のためのコンサルテーションが行わ れることが、質の確保・向上につなげていく上で有効とも考えられる。各自治体における社会福 祉法に基づく福祉サービス第三者評価等の取組を進めるとともに、児童発達支援センター等に よるスーパーバイズ・コンサルテーションの取組を推進していくことが重要。 児童福祉法に基づく障害福祉サービス等情報公表制度等も活用しながら、事業所の支援の方 針やサービスの内容・特色、支援体制等の情報の把握と公表を進め、各事業所の支援の見える 化を進めることが重要である。 ○ 障害児支援にあたる人材の育成を充実させることが急務である。障害児支援と子育て支援の 双方のスキルを身につけるための基礎から専門までの研修体系の構築や、人材確保の観点か らも、キャリアアップの仕組みの構築を進めることが必要である。研修の具体化にあたっては、 ICT や動画コンテンツの活用を進めることも重要である。 ○ 上記研修との関連も含め、児童発達支援管理責任者、相談支援専門員の研修体系についても障害児支援を行うために必要な専門性をより向上させるよう、研修内容の充実に向けて検討 を進めること。 障害児通所支援の質の確保・向上に向けては、アセスメントの手法や個別支援計画等の標準 化を進めていくこと、手引きやガイドラインの充実やフォーマットの統一化について 対応を進めていくことが必要。 障害児通所支援の質の確保・向上に向けては、現場の業務負担を軽減していくことも重要であり、ICT の活用や文書量削減、会議の合理化等の取組を進めることも検討していく必要がある。 8.おわりに 次回は新たに「第8回目安制度の在り方に関する全員協議会 資料」からです。 |