第9回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2023年02月18日(Sat)]
第9回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和5年2月6日)
≪議事≫(1)報告書(素案)について (2)その他 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30871.html ◎資料1 報告書(素案)令和5年●月●日 1 はじめに 2 基本的な考え方 ○ 障害児支援→平成 26 年の「障害児支援の在り方に関する検討会」や令和3年の「障害児通所支援の在り方に関する検討会」の報告書等に示されている、障害 児本人の最善の利益の保障、家族支援の重視、インクルージョンの推進等の観点を引き続き 重視すべき。 ○ 行政と障害福祉サービス等事業所、母子保健や子育て支援を含む関係機関が連携・協働⇒地域の支援体制を整備、家族が地域で安心して暮らすことができ、こどもの最善の利益を社会全体で守っていく環境づくりを進める必要。 障害児通所支援⇒こども施策全体の連続性の中で、こどもと家族のウェルビーイングの向上につながるよう、 取り組んでいくこと。 支援にあたっては、こどもが保護者や社会の支えを受けながら自立した個人として自己を確立 していく「主体」として尊重されることが求められ、こども自身や保護者自身が内在的に持つ力を発揮できるよう、エンパワメントの視点を 持ち支援をすることが重要。 ○ 全ての国民が障害の有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重しあい、理解しあいながら 共に生きていく共生社会の実現に向けて、年少期より、障害の有無に関わらず、こども達が 様々な遊びなどの機会を通じて共に過ごし、学び合い、成長していくことが重要で、子育て支援施策全体の連続性の中で、インクルージョン(地域社会への参加・包摂)を推進することが必 要である。 3.児童発達支援センターを中心とした地域の障害児通所支援の体制整備について (1) 基本的な考え方 →地域の中核機能を担う上では、こどもの権利を 保障していくこと、家族の不安をきちんと支えていくこと、どこの地域に生まれてもその子らしく育 つことを保障していくという視点を基本におくべきである。 (2) 児童発達支援センターの中核機能について ↓ @ 幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能 ○ 児童発達支援センター→幅広くどのような障害児についても受け入れることは前提、高度な専門性に基づく発達支援・家族支援が必要な障害児(例えば重度の障害や重複する障害、強度行動障害を有する児等)にも対応できるようにすること。ガイドラインに定める4つの役割(本人支援・移行 支援・家族支援・地域支援(地域連携))と、本人への5領域(「健康・生活」、「運動・ 感覚」、「認知・行動」、「言語・コミュニケーション」、「人間関係・社会性」)を全て含めた総合的な支援を提供し、あわせて、こどもの状態に合わせた特定の領域 に対する重点的な支援も提供することを基本とすべき。(4(1)参照) ○ 幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能を発揮するためには、アセスメントにより障害の特性や発達段階を捉えアプローチするという発達支援における基本的な支援を確実に行うとともに、こどもの今の育ちを充実させていくこととあわせて、成人期を見据えた上で乳幼児 期から段階的に必要なアプローチを行う視点、障害の有無に関わらずこどもの育ちに大切な「遊び」を通じて支援する視点、子育て支援という観点を持って対応することも必要。障害の特性を踏まえて、発達障害者支援センター、医療的ケア児支援センター、医療機関等の専門性を有する関係機関と連携して支援を進めることも重要。 ○ 乳幼児期は親が障害のある子を育てる初期の不安な時期、孤独になりやすい時期でもあるため、こどもと家族を早期に漏れなくトータルに支援していくことが重要。このため、家族の環境も含めた、総合的なアセスメントの実施を推進する必要があ る。親をエンパワメントする観点から心理面への支援についても進める必要がある。 A 地域の障害児通所支援事業所に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能(児童発達 支援センターが障害児通所支援事業所への支援内容等への助言・援助等を行う機能) ○ 障害児とその家族が全国どこでも一定水準以上の支援が受けられるよう、各地域において、児童発達支援センターがスーパーバイズ・コンサルテーションにより、個別ケースへの支援も含め た障害児通所支援事業所全体への支援を行う取組を進めることが必要。 ○ 各市町村⇒巡回支援専門員整備事業、都道府県等が実施する障害児等療育支援 事業等を活用し、児童発達支援センターがスーパーバイズ・コンサルテーションを行うための体 制整備を進めること。国や都道府県は、各地域の体制整備が進むよう、財政 面・ノウハウ面での支援を行うこと。 スーパーバイズ・コンサルテーションの取組は、地域全体の児童発達支援の質の向上につな げるために、地域の状況を把握し、地域でどのような支援が望まれているのか、実践知として集積し、それを地域の事業所の支援等に還元していくという視点を基本において進めていくこと。 スーパーバイズ・コンサルテーションを行う上では、障害特性を踏まえることはもとより、子育て 支援の観点を持ちスーパーバイズ・コンサルテーションが有効に機能する、提供する児童発達支援センターとこれを受ける事業所の相互理解や関係構築が重要であり、相互が理念や支援の手法を明確にして取り組んでいくこと。 スーパーバイズ・コンサルテーションを行う人材⇒専門性やアセスメントの技術はもとより、相手方に訪問して助言・援助等を行うというスーパーバイズ・コンサルテーションそのもの の技術を持つこと、これらを含めた研修や実施体制を整備する必要がある。スーパーバイズ・コンサルテーションを行う人材⇒一定の児童発達支援の業務等の経験 年数(例えば5年)を設定することも考えられる。 ○ 児童発達支援センター⇒スーパーバイズ・コンサルテーションを全てのサービス種別の障害 児支援事業を対象として行うことを基本としつつ、その運営状況に応じて児童発達支援センター だけでは十分な支援ができない場合には、市町村は、スーパーバイズ等できる人材をコーディネートする等、児童発達支援センターが外部と連携しながら取り組む体制を整備することが重要。 スーパーバイズ・コンサルテーションの手法⇒事業所を訪問して行うほか、事業所に対 する研修の実施や事例検討会の開催なども考えられる。児童発達支援センターが、まずは地域 の事業所との関係を構築し、地域の障害児支援のプラットフォームとして機能することが重要であり、児童発達支援センターの現状に応じて研修等から始めるなど段階的に取組を進めていくこ と。 例えば、放課後等デイサービスを運営していない児童発達支援センターでは、乳幼児期における支援の専門性と二次障害的なも のが入る学童期・思春期における支援の専門性は異なるため、放課後等デイサービスへの助言・援助等が十分に行えないことが考 えられる。 事業所側を動かすことも重要であり、児童発達支援及び放課後等デイサービスの各ガイドライ ンの自己評価票の項目に、コンサルテーションの実績等を確認する項目を設ける等、児童発達 支援センターとの連携状況を公表する仕組みを設けることを検討すべきである。 B 地域のインクルージョン推進の中核機能 (※インクルージョンの推進全体について記載した「5.インクルージョンの推進について」の内容を 踏まえて記載予定) C 地域の発達支援に関する入口としての相談機能 ○ 児童発達支援センター→保護者がこどもの発達に不安を感じたり、育児不安を抱えているような「気付き」の段階にあるこどもや家族に対し、丁寧に発達支援の入口としての相談に 対応すること。その際に、家族支援の観点から、親同士のつながりをつくる取 組を進めることも重要である。 発達支援の入口としての相談対応から、適切な支援につなげていく観点からも、児童発達支援 センターは、障害児相談支援事業の指定を併せて有することを基本とするべき。障 害特性や発達の段階に応じて適時に丁寧にモニタリングを行うこと。 発達支援⇒親子教室や、1歳6ヶ月、3歳児健診など母子保健施策や子育て支援施 策からつながることが多い中で、母子保健施策や子育て支援施策との、アセスメントや支援等に 関する相互の情報連携や支援の連携を進める仕組みを構築することが必要。 特に令和6年4月に創設されるこども家庭センターとの連携は重要であり、こども家庭センター で策定されるサポートプランと障害児支援利用計画との連携も含め、具体的な方策について検 討を進める必要がある。 ○ 各市町村は、児童発達支援センターの相談支援について、地域における、基幹相談支援センター、委託相談支援事業、障害児相談支援事業、発達障害者支援センターや医療的ケア児支援センター等の障害児の相談支援に係る関係機関、母子保健施策や子育て支援施策の相談支援 に係る関係機関の整備状況や機能を踏まえつつ、その機能と役割を整理するとともに、障害児と その家族に対して、関係機関が連携・協働しながら相談支援が提供される体制を整備することが 重要である。 (3) 児童発達支援センターを中核とした地域の体制整備について ○ 現状、児童発達支援センターの体制や地域における機能・役割は各センターで様々であるが、 地域の障害児支援体制の充実に向けて、4つの中核機能全てを十分に備える(4つの機能それ ぞれを満たしていること、障害児相談支援事業及び保育所等訪問支援事業の指定を有すること、幅広い発達段階に対応可能であること等)児童発達支援センターを基幹型の児童発達支援 センターとし、その整備を推進していく方向で検討していく。 国は、基幹型の児童発達支援センターがその機能を十分に発揮できるよう、人員基準や報酬 について検討するとともに、児童発達支援センター向けのスタートアップマニュアルを策定し、そ の整備と取組を後押しすべきである。 ○ 人員に関して、中核機能を果たす上では、専門職の役割が重要であり、保育士、児童指導員 のほかに、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、心理士、ソーシャルワーカー、看護師、栄養 士等を配置することを基本とする方向で検討していくべき。 一方で、質の担保を前提としつつ、持続可能な事業所運営も考慮しながら、柔軟な対応が可 能となるよう、配置の仕方(基準・加算、常勤・非常勤、外部との連携、兼務等)について検討。 ○ 改正児童福祉法が施行される令和6年4月から、直ちに4つの中核機能を十分に備えることが できない児童発達支援センターにおいては、その機能を十分に備えることができるよう、段階的 に取組を進めて行く。地域の児童発達支援センターが基幹型でない場合や、児童発 達支援センターが未整備の場合は、関係機関が連携して機能を満たす体制を整備することが必要。 ○ 地域の支援体制の整備は行政が主導して行うべきものであり、市町村は、地域の課題や支援 ニーズ、資源を把握・分析し、体制の整備・充実に取り組むことが必要。そのためには、 (自立支援)協議会の下に、子育て支援、母子保健、学校、当事者を含めた関係機関等が参画 するこどもの専門部会を設置すること。体制の整備状況を見える化する仕組 みを検討していくべき。 また、地域資源全体のコーディネートや、支援困難事例の確実な受け入れといった観点などに も留意して、地域の支援体制の整備を進めること。 国と都道府県は、市町村の体制整備をしっかりと支援していくことが必要であり、国は地域分 析や広域設置も含めた体制整備に資する具体的な手引きを作成するとともに、各地域の体制整 備の状況を把握・分析し、好事例も踏まえた助言等を行い、都道府県は広域調整の観点 から管内市町村の連携調整や地域の実情を踏まえた体制整備の助言等を行うなど、全国すべ ての地域での支援体制の確保・充実に向けて取組を進めることが必要。 ○ 障害児とその家族を支援していく上では、障害福祉の関係機関はもちろんのこと、母子保健、 子ども・子育て支援、教育、医療等の関係機関、また、虐待予防の視点からも社会的養護等の 関係機関と緊密に連携・協働していくこと、(自立支援)協議会(こども部会) や要保護児童対策地域協議会等も活用しながら、地域の状況に応じたネットワークを構築し、早期の段階から切れ目なく、こどもとその家族を中心にニーズに対して漏れなく支援する体制整備を進めていく。アセスメントや支援に関する情報を関係機関で共有し、こどもが成長する中でつ ないでいく取組を進めることも重要。 医療的ケア児→医療的ケア児支援センターや地域のコーディネーターを中心とした支 援体制の整備が進められており、また、聴覚障害や視覚障害があるこどもについては、特別支 援学校が地域の支援の中核的な役割を担っている場合もあるなど、障害特性等を踏まえた特別 な支援体制にも留意して、効果的な支援体制の整備を進める必要がある。 (4) 福祉型、医療型の一元化後の方向性について→一元化後も、併設される診療所において 医師の指示の下、肢体不自由児に対してリハビリが提供できる仕組みを残しつつ、更に「遊び」 を通した様々な領域の発達支援を行いやすい環境整備を進めるという観点から、人員基準や設備基準は、現在の福祉型を踏まえ保育士・児童指導員を手厚く配置する等の方向で検討すべき。一元化の施行⇒医療と福祉の関係を改めて整理し、併設される診療所においてリ ハビリが提供できる仕組み等について、具体的なQ&A等で改めて示し周知を図ることが重要。福祉型の3類型(障害児、主に難聴児、主に重症心身障害児)⇒基本となる人員基 準や設備基準、報酬等は一元化し、そのうえで、難聴児や重症心身障害児の障害特性に応じた 支援を行った場合に、必要な評価を行う方向で検討。市町村が難聴児や重症心身障害児、肢体不自由児等を含めて地域の児童発達支援センター が得意とする分野を把握して、地域の体制整備に活かす仕組みを検討。 一元化の施行にあたっては、新たな基準等に関して、一定期間の経過措置を設けることが必 要である。 4.児童発達支援・放課後等デイサービスについて (1) 児童発達支援について【総合的な支援と特定の領域に対する重点的な支援(特定プログラム)等】→ガイドラインに定める4つの役割(本人支援・移行支援・家族支援・地域支援(地域連携))と、本人への5領域(「健康・生活」、「運動・感覚」、 「認知・行動」、「言語・コミュニケーション」、「人間関係・社会性」)を全て含めた、総合的な支援を行うことにより、網羅的かつ丁寧に発達段階を見ていくことが重要。 児童発達支援の主な対象が、乳幼児期という生涯にわたる人間形成にとって極めて重要 な時期であることからも、全ての児童に総合的な支援が提供されること、 全ての児童発達支援においてこれを提供することを基本とすべき。事業所のアセ スメントや支援が総合的な支援を基本とした内容となるよう、5領域とのつながりを明 確化できる個別支援計画のフォーマットをガイドラインにおいて示すことなどを検討する。乳幼児期⇒網羅的にこどもの発達をみていく観点が重要でこどもの状態に合わせて柔軟に必要な支援を提供すること、総合的な支 援の提供を行いつつ、その上でこどもの状態に合わせた特定の領域に対する支援(理学 療法、作業療法、言語療法等)を重点的に行う支援の在り方が考えられる。 保育士、児童指導員と特定の領域に関わる作業療法士等が、多職種でチーム アプローチできる体制をとることが重要。多職種でのチームアプローチ⇒作業療法士等から保育士、児童指導員が助言等を受けながら支援を行うことも想定、そうした形も含めてチームアプローチを推奨していくこと。 ○ 特定の領域に対する重点的な支援⇒こどものアセスメントを踏まえて、相談支援事 業所による障害児支援利用計画や児童発達支援事業所の個別支援計画に位置付けて実施す るなど、その必要性を丁寧に判断し計画的に実施されるようにすることが必要。医 療機関あるいは主治医と連携して取り組むことも重要。 児童発達支援は、将来の行動障害を予防する観点からも、現在の行動上の課題 をできるだけ解消するための適切なスキルを身に着けるという支援も重要、この ことについてガイドラインに記載して支援の充実を図る必要。 ○ インクルージョンを推進する中で、こどもが併行通園で児童発達支援と保育所等の双方 を利用していても、総合的な支援の提供が可能となるよう、児童発達支援ガイドライン に基づく支援と保育指針等に基づく保育が、どのように関連するかをガイドラインにお いて示していくことが必要。 児童発達支援事業所においても、こどもと保護者の困りごとをトータルに把握し、児童発達支 援センターや相談支援事業者と連携しながら、家族支援を進めることが必要。 ガイドラインで示す児童発達支援の役割・支援内容等が適切に果たされるために、重要 な事項については運営基準等に位置付けることが必要である。 【見守り、ピアノや絵画のみの指導】↓ ○ 見守り⇒児童の安心・安全を保障するという観点から、質の高い発達支援を 提供する土台ともなり、ピアノや絵画の支援は、将来の生活を豊かにすることに もつながり、こどものウェルビーイングを高めるという点において意味があるとも考えられるが、これらのみを提供する支援は、公費により負担する児童発達支援として相応 しくないと考えられる。 ○ 児童発達支援→総合的な支援を提供することを前提としていることから、ピアノや絵画等の支援の提供⇒事業所の活動プログラムや個人に対するアセス メント、個別支援計画において、5領域とのつながりを明確化した支援内容とした上で提 供することが必要。 ○ 適切な児童発達支援が提供されるためには、相談支援事業所が保護者と対話して協働で 課題等を整理し、こどもと家族の環境をトータルに評価した上でサービス利用内容が判断 されることが重要、障害児相談支援の充実を図っていくことが必要。 習い事⇒インクルージョンの推進や共生社会の実現等の観点からは、受け入 れ先で合理的配慮がなされ地域の子と一緒に通うことが望ましい。事業者の合理的配慮 の提供やインクルージョンの取組を推進することが重要である。 【支援時間の長短等の考慮、保護者の就労等への対応】 ↓ ○ 児童発達支援には、児童発達支援が生活の主軸である場合と、保育所や幼稚園等が生活 の主軸である場合(併行通園で児童発達支援をスポット的に利用等)があるなど、支援時 間に差異があることから、支援に対する人員の配置の状況や支援の内容等にも留意しつつ、支援時間の長短を考慮したよりきめ細かい評価を行うこと。 乳幼児期における保護者の就労等による預かりニーズ⇒一義的には保育所等 が対応すべきとも考えられるが、家族全体を支援する観点から、児童発達支援においても対応すること。 児童発達支援がこどもに対する発達支援を前提としていることを踏まえれば、発達支援(総合的な支援)を行うことを前提に、それとあわせて預かり的な支援を行うことが考えられる。こどもと家族のアセスメントを踏まえて、相談支援事業所による障害児支援利用計 画や児童発達支援事業所の個別支援計画に位置付けて実施するなど、その必要性を丁寧に判 断し実施されるようにすること。 預かり的な支援⇒発達支援の時間帯とは別に、見守りの要素が強い時間帯となることにも留意して、評価について検討する必要がある。 また、重症心身障害児、医療的ケア児等の受け入れ⇒身体的ケアの必要性が あることから、そうした観点も踏まえて評価について検討。 乳幼児期における保護者の就労等による預かりニーズに対応するためには、保育所等に おける障害児の受け入れを充実していくことが重要であり、インクルージョン推進の取 組をより一層推進する必要がある。 (2) 放課後等デイサービスについて 【総合的な支援と特定の領域に対する重点的な支援(特定プログラム)等】 ○ 放課後等デイサービス→ガイドラインにおいて基本的役割(@子どもの最善 の利益の保障、A共生社会の実現に向けた後方支援、B保護者支援)を定めた上で、4 つの基本活動(@自立支援と日常生活の充実のための活動、A創作活動、B地域交流の 機会の提供、C余暇の提供)を組み合わせて支援を行うことを基本、児童 発達支援の5領域と同様の視点による総合的な支援を行うことが重要であり、これを示 したガイドラインに改訂する必要がある。 また、学童期・思春期の幅広い年齢層や発達の状態、障害の多様性や関心の多様性につ いても対応できるよう発達段階に合わせたよりきめ細かな内容のガイドラインに改訂する。 さらに、事業所のアセスメントや支援が総合的な支援を基本とした内容となるよう、ガイドラインに示される支援の視点等とのつながりを明確化できる個別支援計画のフォー マットをガイドラインにおいて示すことなどを検討。 総合的な支援の提供を行いつつ、その上でこどもの状態に合わせた特定の領域に対する 支援(理学療法、作業療法、言語療法等)を重点的に行う場合については、こどものアセス メントを踏まえて、相談支援事業所による障害児支援利用計画や放課後等デイサービス事業所 による個別支援計画に位置付けて実施するなど、その必要性を丁寧に判断し計画的に実施されるようにする。また、医療機関あるいは主治医と連携して取り組むことも重要。 学校や家庭とは異なる場である放課後等デイサービスについては、安心・安全でその子 らしく過ごせる場としての機能も重視すべき。 学校では学年や障害種別等ごとで学んでいるこども達が、放課後に集まり共に活動する ことで、お互いが緩やかにお互いの存在を認め合いながら様々な配慮ができるようにな ることや、仲間形成につながるという観点も踏まえることが重要である。 ○ 放課後等デイサービスは、学校での生活を前提とした支援であることから、個別支援計 画と個別の教育支援計画等を連携させる等、学校側の生活を把握しながら個々に合わせ た一貫した支援を提供していくことが必要。 学童期・思春期のこどもは、自分で何をするかアイデアを出しながら、自分の 生活をマネジメントできるようにしていくことが重要であり、家庭において自分 で組み立てて出来る活動を増やしていく視点が重要である。支援にあたっては、障害の ことを理解しながら、こどもの意思を受け止めつつ、一人一人の個別性に寄り添って進 めていくこと。 思春期は、メンタル面の課題や不登校など様々な課題が増えてきやすい年代であり、ま た、高校年代になると就労への移行や進学に向けた準備もある。それぞれの年代に必要 な支援内容をガイドライン等で提示し、その年代に応じた支援を推進することが必要。 放課後等デイサービスにおいても、こどもと保護者の困りごとをトータルに把握し、児童発達支 援センターや相談支援事業者と連携しながら、家族支援を進めることが必要。 思春期になると、こども本人が意見を表明し、親子の葛藤が顕著になることも多い。年 代に応じた親子の関係性を踏まえた家族支援が重要でガイドラインで示す放課後等デイサービスの役割・支援内容等が適切に果たされるため に、重要な事項については運営基準等に位置付けることが必要である。 【見守り、学習支援、ピアノや絵画のみの指導】↓ ○ 見守り→児童発達支援と同じ(再掲)。学習支援、ピアノや絵画等の支援の提供にあたっては、事業所の活動プログラ 11 ムや個人に対するアセスメント、個別支援計画において、ガイドラインに示される支援 の視点等とのつながりを明確化した支援内容とした上で提供すること。 適切な放課後等デイサービスが提供されるためには、相談支援事業所が保護者と対話して協働で課題等を整理し、こどもと家族の環境をトータルに評価した上でサービス利用内 容が判断されることが重要、障害児相談支援の充実を図っていくことが必要。 ○ 学習塾や習い事→インクルージョンの推進や共生社会の実現等の観点から は、受け入れ先で合理的配慮がなされ地域の子と一緒に通うことが望ましい。事業者の 合理的配慮の提供やインクルージョンの取組を推進することが重要である。 【支援時間の長短等の考慮、保護者の就労等への対応】↓ ○ 放課後等デイサービス→支援の内容や年代、利用の仕方により、支援時間に差異が あることから、支援に対する人員の配置の状況や支援の内容などにも留意しつつ、支援 時間の長短を考慮したよりきめ細かい評価を行うことが必要。 学童期・思春期における保護者の就労等による預かりニーズ→家族全体を支 援する観点から、放課後等デイサービスにおいても対応することが重要。 放課後等デイサービスがこどもに対する支援を前提としていることを踏まえれば、総合 的な支援を行うことを前提に、それとあわせて預かり的な支援を行うことが考えられ る。こどもと家族のアセスメントを踏まえて、相談支援事業所による障害児支援利用計画や放 課後等デイサービス事業所の個別支援計画に位置付けて実施するなど、その必要性を丁寧に 判断し実施されるようにすること。 預かり的な支援→発達支援の時間帯とは別に、見守りの要素が強い時間帯と なることにも留意して評価について検討する必要がある。また、重症心身障害児、医 療的ケア児等の受け入れに関しては、身体的ケアの必要性があることから、そうした観 点も踏まえて評価について検討。 インクルージョン推進の取組をより一層推進し、放課後児童クラブ、その他、民間の学 習塾や習い事等における障害児の受け入れの充実を図るとともに、障害児の日中一時支 援の推進等により、各自治体において、学童期・思春期における保護者の就労等による 預かりニーズに対応できる体制の整備を進める必要がある。 【学童期・思春期において日中の通いの場がない障害児への対応等】↓ ○ 学校には在籍しているものの、精神的な理由等で継続的に学校に通学できない「困り 感」の強い障害児の登校→学校を中心に対応されるべきものと考えられるが、 放課後等デイサービスについても休息ができ安心・安全でその子らしく過ごせる場としての役割は大きい。不安解消、社会的コミュニケーションを図れる場所として、将来のひ きこもり等を予防するという観点からも、放課後等デイサービスにおいても教育や医療等 関係機関と連携しながら支援していくことが必要。 ○ そうしたこどもへの支援の提供や、学校との連携を効果的に進めていく上では、ICT の 活用も重要であり、取組を進めていく必要がある。 居宅訪問型児童発達支援→現在の主な対象が重症心身障害児等に限定されてい るが、不登校等で通所が難しい児童の場合に活用することが考えられ、支援の対象の範囲につ いて検討を進めること。 学校等に進学せず(できず)、日中の通いの場がなくなっている発達支援を必要とする 障害児→児童発達支援や「者みなし」の活用ができることについて周知し、 対応を進める必要がある。 学童期・思春期のこどもへの支援↓家庭と教育と福祉の連携が不可欠。その上では、文部科学省と厚生労働省・こども家庭庁、自治体の教育行政と福祉行政 が緊密に連携する体制を構築し、取組を推進していくことが重要である。 次回も続き「5.インクルージョンの推進について」からです。 |