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成年後見制度利用促進専門家会議第1回総合的な権利擁護支援策の検討ワーキング・グループ [2023年01月25日(Wed)]
成年後見制度利用促進専門家会議第1回総合的な権利擁護支援策の検討ワーキング・グループ(令和5年1月16日)
≪議事≫(1)厚生労働省による報告 (2)モデル事業参加自治体による報告
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30095.html
◎参考資料4 成年後見制度利用促進現状調査等事業報告書
第1部 事業実施概要
T 本事業の背景と目的
→平成 29 年度から平 成 33 年度(令和 3 年度)にかけて、利用者がメリットを実感できる成年後見制度の運用改善、 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり、安心して成年後見制度を利用できる環境の整備等 を進めてきた。これにより、本人の意思決定支援 1 や身上保護 2 を重視した成年後見制度の運用 が進みつつあり、各地域で相談窓口の整備や判断能力が不十分な人を適切に必要な支援に つなげる地域連携のしくみが整備されつつある。一方、成年後見制度の利用ニーズの増加、成年後見制度の利用困難性 、国内外の動向、社会福祉理念の変化(ノーマライゼーション、自己決定権の尊重、身上保護の重視等)等を踏まえると、今後 、成年後見制度の利用を含む権利擁護支援のニーズが更に多様化、増大する見込みを踏まえた対応の一層の強化が求められている。
 本事業⇒こうした問題意識を背景に、権利擁護支援の地域連携ネットワークの一層の充実や 機能強化等に向けて、令和4年度から取組開始予定の「(仮)持続可能な権利擁護支援モデル事業」(以下「モデル事業」)に取り組む自治体(市町村、都道府県)にとって事業の実効性を高めることに資する検討事項、留意点の整理等を目的に、以下の内容に取り組んだ。↓
1 成年後見制度利用促進施策に係る取組状況調査  
2 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりとその持続的な機能強化に向けた検討  (1)権利擁護支援に係るネットワーク機能強化促進に向けた検討事項や留意点等の整理  (2)都道府県の機能強化(権利擁護支援に関する意識の醸成、利益相反の防止策、対応
 策の検討) に関する検討事項や留意点等の整理

U 本事業実施体制、スキーム
1 委員、オブザーバー→「検討委員会12名」「作業部会1(権利擁護支援の地域連携ネットワーク機能強化 WG)「5名」「作業部会2(都道府県の機能強化 WG (権利擁護支援に関する意識の醸成 、利益相反防止策の検討))6名」「事業実施主体→厚生労働省、社会・援護局地域福祉課 成年後見制度利用促進室」「オブザーバー→法務省民事局、最高裁判所事務総局 家庭局、厚生労働省、老健局認知症施策・地域介護推進課、厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 地域生活支援推進室 」「事務局→一般財団法人 日本総合研究所」
2 検討会及び作業部会の開催日、議題→検討委員会、作業部会1、作業部会2。

V 本事業取組成果→本報告書第2部に記載

第2部 取組概要
(権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりとその持続的な機能強化に向けた検討)
T 作業部会1(権利擁護支援の地域連携ネットワーク機能強化 WG)
1 設置目的
→【新たな連携・協力体制の構築による生活支援・意思決定支援の検討】⇒多様な地域課題に対応するため、公的な機関や民間事業者において、身寄りのない 人等への生活支援等のサービス(簡易な金銭管理、入院・入所手続支援等各種の生 活支援サービス。)が、本人の権利擁護支援として展開されるよう、意 思決定支援等を確保しながら取組を拡げるための方策を検討。その際、身寄りのない人も含め、誰もが安心して生活支援等のサービスを利用する ことができるよう、運営の透明性や信頼性の確保の方策、地域連携ネットワーク等 との連携の方策についても検討。 ・生活支援等のサービスの提供における意思決定支援等の確保の検討の際には、「市 民後見人養成研修の修了者や障害のある当事者等の参画方策」や「司法による権利 擁護支援を身近なものとする方策」についても検討を進める。
2 取組概要

3 「持続可能な権利擁護支援モデル事業」に取り組む自治体(市町村)が事業を推進するうえでの検討事項や留意点等の整理

(1)「簡易な金銭管理等を通じ、地域生活における意思決定を支援する取組」に参画 する市町村への期待、検討事項や留意点等(案)
@事業計画作成にあたっての検討
ア.  事業目的の設定、スケジュールの確認等→事業の広報など6項目あり。
イ.各主体間の役割、体制、活動内容等の整理(利用者像、事業者の有無、事業内容、
実績等)→主体が4項目
A対象者の設定及び本人の希望の把握・整理
ア.現在のサービス利用者像  イ.現在のサービス利用者のニーズ
B利用者の自己負担及び財源確保策の検討→ア.本人が負担できない場合の補填方法(公費等)、イ.料金設定の考え方(本人の支払い可能額か、事業者の事業継続可能性か)
C A、Bをふまえた主体間の役割の整理、仕組みの検討、事業計画の作成、更新
D「関係性注意事案」の提案(新規提案事項)→多様な主体の参画による生活支援等のサービスが、本人の権利擁護支援の方策として展開されることが期待。その際、民法上の規制を遵守することに加え、本人の真意性を確実に担保するために、サー ビス提供事業者が本人との関係性を濫用して契約や寄付等 10 を誘導や強要したりしていないか、 利用の制限、購入等がなされていないか等、「司法による権利擁護支援を身近なものとする方策」を組み込み、現行法上の規制よりも幅広の倫理的規制又はセーフガードの導入が必要と考える。  よって、本事業において新しく用語、考え方を提案。なお、この用語や適用される場面、 対応等は、作業部会1、2において熟慮を重ねたものである。
ア.モデル事業Aに関わる全関係者が前提として抑えるべきこと
イ.「関係性注意事案」とは(モデル事業A、B−1共通)
ウ.「関係性注意事案」として注意を要する相手方と必要な対応、第三者による確認事項(案) (本項では青枠内(モデル事業A)の内容を取り上げる)
(2)モデル事業に参画する主体に期待する役割及び検討事項(案)
@「日常的金銭管理サービスを担う事業者」に関する検討事項 (案)
ア.法人としての財務基盤や損害賠償能力、事業遂行能力や事業実施体制、人材育成の仕組みをすること
イ.利用料金設定の考え
ウ.利用者との契約方法、サービス提供にあたっての工夫やルールの設定
A「意思決定サポーター(=本人の金銭管理は行わない)」に関する検討事項(案)→「意思決定サポーター」の不安や迷いを支える「監督・支援団体」による相談・助言等が重要。 ・同時に、利用者及び「意思決定サポーター」から寄せられた不安や迷いの内容を把握し、対 応方法等を記録することで、「意思決定サポーター」の確保、育成に役立てることも不可欠。
B「監督・支援団体」に関する検討事項(案)→「監督・支援団体」⇒本人への支援者(「日常的金銭管理サービスを担う事業者」「意思 決定サポーター」)から相談を受けたり、定期的な報告を受けて、助言・指導等を行う役割 を担うことが求められる。

4 中長期的に取り組む必要のある課題
(モデル事業の制度化に向けて、今後検討が必要と考えられる課題)

(1)「日常的金銭管理サービスを担う事業者」の確保・参画要請に向けて:参画主体 の業務遂行に関連する法改正等の動向把握
(2)「監督・支援団体」の法制化に向けた検討
(3)「身元保証」という用語、意味を変えていくことの提案→今後、「本人の権利・利益の保護」及び「事業者の育成」を両立させるための、社会全体での機能、 負担をどのように分配するかという観点で、より踏み込んだ議論を行う必要があることが確認さ れた。

≪委員コラム≫ 作業部会 1 部会長 山野目 章夫(早稲田大学大学院 法務研究科 教授)
「地域における権利擁護の仕組みを考える――新しいアイデアの芽生え」

1 長寿社会日本の現在風景→おとしよりを地域で支援する産業を育成しなければならないし、それとセットにして本人を守 る消費者保護の仕組みも要る。民事の法律制度も改革していかなければならない。
2 社会福祉と民事法制の一体的改革という要請→<対象者(本人)を中心とした、本人を支援する関係者の関係性の整理図(再掲)>参照。民事法制と社会福祉の一体的改革であることが強く要請される。
3 事業者という発想の要請→事務を委託され本人のためにする事業は、それを事業として育てていかなければなら ない(日常的金銭管理サービスを担う事業者として)。
4 権利擁護の伴走者というアイデア→(日常的金銭管理サー ビスを担う事業者)この役割を引き受ける団体の構想(監督・支援団体)あり。
5 事業者のコントロールという課題→支援を担う事業者(日常的金銭管理サービスを担う事業者)は、本人のために最適な事務をす る誠意と技能を備えなければならない。不正行為があっていけないことは、いうまでもない。
6 三色の図が提案する仕組みの全体像―小括→第一に、事業者(日常的金銭管理サービスを担う事業者)が的確な資質・ 態勢・人員・規模を擁するどうかは、政府が点検。第二に、まずは日々の暮ら しにおける本人の悩みを聴き、意思決定を支援し、助言をする役割の人が欲しい(意思決定サポー ター)。第三に、これら本人の権利擁護の仕組みが当該事案について適切に営まれているか、定 期に報告を受け、預貯金の管理状況を点検するなどをする機関も要る(監督・支援団体)。「意思決定支援」は、精神疾患あるいは認知 症の罹患に伴う意思能力の欠如や事理弁識能力の低下がみられるかどうかにかかわらず、広く地 域で問題を抱え支援を必要、気力体力の衰えで金銭の出入れに困難、身体疾患で動きづらい状態にある、疾患ではなくとも身体機能が衰えているなどの方々の需要にも応えて いくことが望まれる。成年後見制度は、意思決定支援が働く事案のすべてではなく、その一部の、 ある局面において機動的に関与するものに装いを新しくしていく絵がここに描かれる。
7 適切な本人負担の仕組みを用意する→完全公費とする仕組みが親しみづらい面がある半面、公費を一切投 入しない仕組みで実施することも難しい。モデル事業を開始し現実と向き合い、課題整理が必要。先々、既存の隣接分野における施策展開も参考としつつ、応益負担と応能負担を組み合 わせた本人負担の仕組みを構築することは、けっして夢ではない。提供されるサービスの利用者 負担額を客観的に市場に尋ねて定める半面において、所得が小さく、あるいは資産が乏しい人た ちのために利用者負担額の軽減の要件を制度上明確に定めるというアイデアが、一つの候補とな る。
8 若年層という課題の顕在化→気づかれるべき観点として、これらの問題のある部分が未成年後見や親権といった民事法制に 改良を迫る論点を含むとしても、法律家の出番ばかりで結着がつくとも限らない。親権者がいて もヤング・ケアラーはやはりヤング・ケアラーである。あるいは未成年後見人は、18 歳になっ た青年に対し、親が多額の資産を遺していた事実を告げ、そこで事務を終了する。これらの間隙 を埋め、途方に暮れる青少年と共に悩み、アドバイスをする仕組みは、法律制度とは別に、地域 に用意されなければならない。
9 要支援者輻輳事案という現代的課題→「低年金高齢者、軽度知的障害、引きこもりの人々」などの「新しい生活困難層」があり、「同 居家族の障害や困窮問題が関連して浮上する」事案がみられ、「実際には、同じ当事者、世帯をケー スとするなど、相互に重なっている場合も多い。にもかかわらず別々の会議を並行して行ってい ることは、事務局を含めた業務をいたずらに拡大し、さらには当事者の生活環境を把握するうえ でも妨げになっている」(宮本太郎「地域共生社会はどうあるべきか/ポストコロナの福祉ビジョ ン」市民と法 130 号〔2021 年〕14 頁・16 頁・17 頁)。「世帯の中に複数の要支援者がおり、事 情が絡み合って必要な支援が出来なくなってしまうことは、しばしば遭遇する典型的な困難事例」 という課題がここに現われる(梅垣晃一「複数の要支援者を抱える世帯における成年後見開始申 立」月報司法書士 2012 年 11 月号〔通巻 489 号〕74 頁)
10 脆弱な状況への公共の支援→だれでも人は脆い状況に陥る場面がありうる。その場面はさまざまであるが、そうであるから こそ、人の多様な脆弱な状況を支え、助ける気概こそ、社会に求められる博愛の精神に依拠して 要請されなければならない。おとしよりを家族のみが支えることに既に多大な限界があり、さら に、身寄りのない人たちが、若者たちが、幼な子たちが、子らを手許に置く母が、あるいは、と きに父が陥っている窮境を地域が受け止めるための智慧を発揮するのに一刻の猶予もない。気づ かれなければならないこととして、これらは相互に関連し合い、一体として対処されることが望 まれる。どこかの一つの役所の施策が調えばそれでよいといった矮小化が許されない課題である ことも念押ししておかなければならない。

次回も続き「U 作業部会2」からです。

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