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これからの労働時間制度に関する検討会 第16回資料 [2022年07月30日(Sat)]
これからの労働時間制度に関する検討会 第16回資料(令和4年7月15日)
《議題》 労働時間制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26794.html
◎資料1 これからの労働時間制度に関する検討会 報告書(案)
第1 労働時間制度に関するこれまでの経緯と経済社会の変化
1 労働時間制度に関するこれまでの経緯
→労働時間は、最も代表的な労働条件であり、労働保護立法の歴史のうえでも最も古い沿革をもっている。昭和 22(1947)年に制定された労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)⇒工場法(明治44 年法律第 46 号)や商店法(昭和 13 年法律第 28 号)等により規定されていた労働時間制度を統一したもの。労働時間法制⇒これまでも、時代の状況に合わせて累次の改正がなされており、昭和 62(1987)年改正⇒変形労働時間制を拡充、フレックスタイム制、事業場外みなし労働時間制、専門業務型裁量労働制(「専門型」)が創設。平成10(1998) 年改正では企画業務型裁量労働制(「企画型」)が創設された。 平成 30(2018)年には、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成 30 年法律第 71 号。「働き方改革関連法」)により、罰則付き の時間外労働の上限規制が設けられるとともに、高度プロフェッショナル制度が創設。労働者がその健康を確保しつつ、ワーク・ライフ・バランスを図り、能 力を有効に発揮することができる労働環境の整備が進められている。 仕事の進め方や時間配分を労働者の裁量に委ね、自律的で創造的に働くことを可能とする制度である裁量労働制⇒制度の趣旨に沿った対象業務の範囲や、労働者の裁量と健康を確保する方策等についての課題が以前より指摘、働き方 改革関連法の検討に併せ、見直しに向けた検討が進められていた。 そうした中で、平成 25 年度労働時間等総合実態調査の公的統計としての有意性・ 信頼性に係る問題が発生し、働き方改革関連法の国会審議を踏まえ、裁量労働制⇒現行の専門型及び企画型それぞれの適用・運用実態を再調査した上で、 制度の適正化を図るための制度改革案を検討することとされた。 このため、統計学、経済学の学識者や労使関係者からなる検討会における検討を経て、総務大臣承認の下、統計調査(「裁量労働制実態調査」)が改めて実施、令和3(2021)年6月 25 日に同調査結果の取りまとめ・公表がなされた。 同調査結果の労働政策審議会への報告を経て、裁量労働制を含めた労働時間法制 の在り方を検討することを目的として、本検討会が開催されるに至った。

2 経済社会の変化→少子高齢化や産業構造の変化が進む中で、近年ではデジタル化の更なる加速や、新型コロナウイルス感染症の影響による生活・行動様式の変容が、労働者の意識や働き方、企業が求める人材像にも影響を及ぼし、労働時間法制を、経済社会の変化に対応して見直すに当たっては、次のような変 化やその影響を考慮する必要がある。
(少子高齢化・生産年齢人口の減少)→我が国においては急速な少子高齢化が進んでおり、既に人口減少局面にある。特 に令和7(2025)年から令和22(2040)年⇒15〜64 歳の現役世代(生産 年齢人口)の減少が更に進むと見込まれ、人口構成に加えて産業構造の変化も加速しており、製造業で働く労働者は減り代わって第三次産業での就業者が増加。これらの人口構成や産業構造の変化の中でも、就業者の大部分が雇用者である状況は継続。長期的には非正規雇用労働者の割合が増加傾向にあり、近年は正規雇用労働者数も増加傾向。これから更に現役世代の減少が進む中で、産業や就業形態を問わず人材が必要とされると考えられることを踏まえれば、企業間の人材の獲得競争が激化することが 予想される。
(多様な人材の労働参加)→個々の労働者は、出産、育児や介護、病気治療との両立や、本業以外での活動を通じたキャリア形成等、ライフステージに応じて様々な事情を抱えている場合があり、それぞれの事情に応じて多様な働き方を志向する。このような様々な事情を抱 えている労働者が労働市場に参加し、働き続けられるよう、多様なニーズに対応できる環境を整備することが求められる。 このような環境の整備は、少子高齢化が進む中でも我が国の活力を維持・ 向上させていくことにも資するものと考えられ、これまで、女性や高齢者の労働 市場への参入と就業継続を希望する者の退出防止、外国人労働力の活用など が政策課題となり、実際、これらの労働力活用に向けた諸施策が展開されてきている。女性・高齢者・外国人をはじめとした多様な労働者の労働市場への参入が進むことにより、パートタイム、嘱託、長期に日本の労働市場に留まることを予定しない就労など、伝統的な長期雇用システムにおける正社員とは異なる雇用形態を選択する労働者が増加する可能性も高く、労働者像の多様化をさらに促進することが見込まれる。引き続き、多様な働き方を求める、多様な人材の労働市場への参画を可能とすることが要請されると考えられる。
(デジタル化、コロナ禍の影響等による労働者の意識や企業が求める人材像等の変化)→ 多様な働き方を求める、多様な人材の労働市場への参画が進むことに加え、こうした労働者の意識や働き方⇒デジタル化やコロナ禍の影響等により、今後更に多 様化していくことと考えられる。 ICTの進展や、令和2(2020)年初頭以降の新型コロナウイルス感染症拡大、 同年4月の緊急事態宣言等により、テレワークを実施する企業は急増した。企業の 導入意欲には一服感がある一方、テレワークを経験した労働者の大半が継続してテ レワークを行うことを希望している。今後、テレワークと職場に出勤しての就労の 双方を組み合わせた、ハイブリッド型の働き方が進行していくと見込まれ、このことを含め、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を求める労働者側のニーズが 強まっていくと考えられる。 労働者に対する「コロナ禍収束後、変化は起こり得るか」という設問に対し、「時間管理の柔軟化」が「起こり得る」「どちらかと言えば起こり得る」と回答した割合 が半数以上であった調査結果もあり、こうした働く側の意識やその変化にも対応し ていくことが求められる。 また副業・兼業を希望する労働者が増加傾向にあるなど、多様な働き方を希望する労働者も増加。こうした労働者や、自律的・主体的に働き、キャリア 形成を図ることを希望する労働者が自らの望む働き方ができるような企業の選択が進むものと考えられる。企業を取り巻く環境の変化⇒少子高齢化や経済のグローバル化が 進む中で、先進国との付加価値競争や新興国との価格競争に直面。今後の経済を維持・向上させていくためには、人材がその意欲を向上させ、能力を発揮することで、イノベーションを後押しするような労働環境整備が求められている。 こうした中、企業が求める人材像等⇒変化が見込まれる。まず、現状の 人手不足の状況⇒高度・専門人材の不足感が高くなっている。また、企業 は、「自ら考え、行動することの出来る能力」や「柔軟な発想で新しい考えを生み出 すことのできる能力」を今後の人生 100 年時代に求められる能力と認識。 企業の賃金制度⇒役割・職務給の導入率の増加や年齢・勤続給の割合の 低下がみられ、将来の人材戦略として、年齢に関わりなく能力・成果に応じた登用を進めることを考える企業が多くなっている。AI等の技術の進展・普及は、一部の業務の代替を進める反面、業務を増加させるものも存在。AIを使いこなし、人間はヒトならではの業務にシフトしていくといった働き方の変化が進んでいくことも予想される。こうした変化の中では、 デジタル化の進展に対応できる、創造的思考等の能力を有する人材や、AI等の技術と補完的なタスクを担う人材が求められていくこととなるが、前者の人材が担う業務の多くは、企業が具体的な指示を行うことが難しいものになっていくことも想定される。 企業には、企業の求める能力を持った多様な人材が活躍できるような魅力ある人 事労務制度を整備していくことが求められる。 本検討会⇒以上のような経緯や経済社会の変化を踏まえ、裁量労働制については裁量労働制実態調査の結果等を踏まえ、可能なものは速やかに対応していく観点から、その方向性について検討を加えるとともに、今後の労働時間制度の在り方全般について検討を加えた。

第2 これからの労働時間制度に関する基本的な考え方
(労働時間法制の意義と課題)
→労働者の健康確保のための最長労働時間規制から出発したが、労働から解放された時間の確保のための休憩や休日の規制、そして法定時間外労働や休 日労働に経済的負荷を課して抑制するとともに、負担の重い労働に対する金銭的補償 を行う割増賃金規制などが一般化した。これらは、使用者が、劣悪な労働条件を利用 して市場での競争で優位な立場に立つことを防ぐ、公正競争を保つためのルールともなっている。 労働者の多様化、企業を取り巻く情勢変化に伴って、働き方に対するニーズも多様化し、労働時間規制に対する社会的要請や担うべき政策目的も多様化してきた。これらに対応するために、労働時間規制は法改正を重ねて多様化し、新たな規制も導入されてきた。例えば、労働者の健康の確保を図ることを前提に、それに加え、ワーク・ライフ・バランスを改善すること等を目指して、働き方改革関連法では罰則付きの時 間外労働の上限規制が導入。また、ワーク・ライフ・バランスの実現などの新 たな社会的要請のために労働から解放された時間の確保も労働時間規制の新たな役割として注目されてきており、同法においては勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務とされた。現在の労働時間法制が、新たに生じている労使のニーズや社会的要請に適切に対応し得ているのかは、労働者の健康確保という原初的 使命を念頭に置きながら、常に検証を行っていく必要がある。 (経済社会の変化に応じた労働時間制度の検討の必要性)→企業は、労働時間法制の枠内で労働時間制度を設計するが、その法制度は 労使の多様なニーズ、すなわち、@生活面も含めて様々な事情を有する労働者が、自らに適した働き方を選択したいという労働者側のニーズや、A経営戦略を踏まえた労 務管理上の必要という企業側のニーズに対応したものであることが要請される。実際、 労働時間法制は、こうした労使の多様なニーズに対応すべく、法改正を重ねてきた。 したがって、労使のニーズに沿った働き方は、これまでに整備されてきた様々な制度 の趣旨を正しく理解した上で制度を選択し、運用することで相当程度実現可能になる と考えられ、まずは各種労働時間制度の趣旨の理解を労使に浸透させる必要がある。 他方、少子高齢化や産業構造の変化、デジタル化による働き方の変化やコロナ禍等による労働者の意識変化が進む中で、働き方に対する労使のニーズもより一層多様化し、新たな働き方に対するニーズが生まれてきていると考えられる。労働時間法制が、 そのような変化に対応できていない場合には、必要な検討が行われていくべき。今後、労働力人口の減少が更に進み、企業間の人材獲得競争の激化が見込まれることを踏まえれば、我が国の活力を維持・向上させていくためには、これからの労働時間制度は、労働者にとっては、希望に応じて自律的・主体的に働けるようにすることで、より意欲の向上と能力の発揮ができるような制度とすることが、また、企業にと っては、働く側のニーズに寄り添うものとすることで、優れた人材を自社に惹きつけるためのツールの1つとして活用できる制度であることが求められる。こうした制度とすることで、多様な労働者の労働市場への参画と、就業継続を希望する者の退出防 止が可能となると考えられる。 これらを踏まえると、これからの労働時間制度は、次の視点に立って考えることを 基本としていくことが求められる。第一に、どのような労働時間制度を採用するにしても、労働者の健康確保が確実に 行われることを土台としていく必要がある。労働者が健康で充実して働き続けること は、労働者本人の意欲の向上と能力の発揮につながるのみならず、企業の活力や競争 力を高めることにも有効である。その際、健康確保を図るための手法は実労働時間の 把握・管理のみならず、例えば、労働から解放された時間の確保や、医師による面接 指導等、多様なアプローチがあり得ることに留意が必要。また、労働者の健康 確保と主体的な働き方の実現はトレードオフの関係にあるものではなく、両者を両立させていくことが求められる。 第二に、労使双方の多様なニーズに応じた働き方を実現できるようにすることが求 められる。特に、時代の変化の中で、自律的・主体的に働く労働者や、創造性を発揮 して働く労働者の存在が今後より一層重要になると見込まれることから、そのような 労働者が望む働き方を実現することや、そのことを通じて労働者が自らのキャリアを 形成していくことを、労働時間制度の面からも支えていく必要がある。現行の労働時間法制には、1日8時間・1週 40 時間を法定労働時間の原則とし、この法定労働時間 を柔軟化する制度として、一定の変形期間内であらかじめ定めた所定労働時間を平均 して法定労働時間内(1週 40 時間)に収まればよい(総枠管理)とする変形労働時間制、総枠管理を必要としながら時間配分について労働者に自律的・主体的判断を委ね るフレックスタイム制、これらの実労働時間を把握して法定労働時間を遵守させる一 般の労働時間制度とは異なる特別の労働時間制度(特別規制)として、事業場外労働で労働時間が算定し難い場合の労働時間みなし制度、業務遂行の手段と時間配分に関する裁量が労働者に委ねられ、一定の業務に従事する場合に一定の時間働いたものと みなす裁量労働制、一定の年収要件等を満たす労働者が高度の専門業務に従事する場合に健康確保措置等の実施を要件として労働時間等の規制を適用除外する高度プロフ ェッショナル制度等、様々な制度が用意されている。働き方に対する労使のニーズの多様化が今後も見込まれる中で、こうしたニーズに対応できる選択が可能となるよう、 労働時間制度の整備を進めることが求められる。そのことが、多様な働き方を求める、多様な人材の労働市場への参画と就業継続を希望する者の退出防止へとつながっていくものと考えられる。その際、労働時間法制がこれまで以上に多様化・複雑化し、分かりにくいものとなってしまっては、その履行確保が期待できなくなるおそれがある。 このため、労働時間法制は、多様化する労使のニーズに応えられるようにしつつ、可 能な限りシンプルで分かりやすいものにしていくことが求められる。 第三に、どのような労働時間制度を採用するかについては、労使当事者が、現場のニーズを踏まえ十分に協議した上で、その企業や職場、職務内容にふさわしいものを選択、運用できるようにする必要がある。労働時間制度の在り方⇒法定労働時間を原則とした上で、企業に対して交渉力の弱い労働者の立場や意見が損なわれる ことのないよう、法が枠組みを設定し、その枠内では、どのような労働時間制度を採用し、その場合の処遇をどのようにするかについては、労使自治に委ねられていくべ きものである。また、労使協議に際しては、労働時間制度だけでなく、企業の経営方針、目標管理等を含む組織のマネジメントの在り方等も考慮することが、労使双方に とってメリットある働き方の実現につながると考えられる。労使が十分に協議して設 計した労働時間制度であれば、その制度内容についても当該労使が熟知しており、制度趣旨に従った運用となっているかも当該労使が最も適切にチェックし得ることとなる。こうした労使による履行確保に加えて労働時間制度等に関し、企業による情報 の発信を促進することにより、労働者による選択や顧客等による評価など、市場の調 整機能を通じた労働環境の整備を図っていくことも重要になっていくと考えられる。

第3 各労働時間制度の現状と課題
1 法定労働時間、時間外・休日労働等
→労働基準法⇒1日8時間・1週 40 時間を超えて労働させてはならない ことを原則とする法定労働時間と、毎週少なくとも1回与えることを原則とする法定休日が定められている。法定労働時間を超えて時間外労働をさせる場合や、法定 休日に労働させる場合には、使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合等との 間で協定(36(サブロク)協定)を締結し、行政官庁に届け出る必要があり、時間外労働や休日労働をさせた場合には、一定率以上の率で計算した割増賃金を支 払わなければならないこととされている。 これまで、36 協定で定める時間外労働⇒大臣告示によって上限の基準 が定められていたが、罰則による強制力がなく、臨時的な特別の事情がある場合に は 36 協定に特別条項を設けることで、上限なく時間外労働を行わせることが可能と なっていた。働き方改革関連法により、36 協定で定める時間外労働の上限は原則として月 45 時間・年 360 時間、臨時的な特別の事情があり労使が合意する場合(特別 条項)でも時間外労働は年 720 時間以内、また、36 協定の範囲内であっても個々の 労働者の時間外・休日労働は月 100 時間未満・複数月平均 80 時間以内とする上限規 制が設けられ、一部の適用猶予事業・業務を除き、平成 31(2019)年4月(中小企業は令和2(2020)年4月)から施行。 この上限規制は、前述した基本的考え方のうち主に健康確保の観点からの改正と 考えられる。働き方改革関連法で政府は、上限規制の施行後5年を経過し た際に検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を 講ずることから、施行の状況や労働時間の動向等を十分に把握し、上限規制の効果を見極めた上で検討を進めていくとともに、適用猶予事業・業務⇒着実な施行を図っていくことが求められる。

2 変形労働時間制→変形労働時間制は、季節等により業務に繁閑がある場合に、一定の期間を平均して法定労働時間を超えない範囲で、特定の日又は週で法定労働時間を超えて労働さ せることができる制度。 適用労働者の割合(令和3(2021)年1月1日現在)は、1か月単位では 21.5%、1年単位では 17.8%。後述するフレックスタイム制や事業場外みな し労働時間制の今後の実態把握に併せて、変形労働時間制についても実態把握を行 い、必要に応じ検討を進めていくことが求められる。
3 フレックスタイム制→フレックスタイム制⇒労働者が始業・終業時刻を自ら決めることによって、生 活と業務の調和を図りながら効率的に働くことができる制度。適用労働者の 割合は9.5%(令和3(2021)年1月1日現在)であり、近年増加している。コアタイ ム(勤務しなければならない時間帯)を設けるか否かは当事者に委ねられており、 コアタイムのないフレックスタイム制を導入する企業もみられるなど、生活と業務 の調和を図りながら柔軟に働くことを後押しする観点から、今後も制度の普及が期待される。 また、働き方改革関連法により、清算期間の上限を1か月から3か月とする改正 が行われ、平成 31(2019)年4月から施行されている。 この改正は、前述した基本的考え方のうち主に、労使双方の多様なニーズに応じた働き方の実現に資すると考えられ、働き方改革関連法において、政府は、改正 の施行後5年を目途として検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基 づいて所要の措置を講ずることとされていることから、施行の状況を十分に把握し た上で検討を進めていくことが求められる。

4 事業場外みなし労働時間制
→事業場外みなし労働時間制は、労働者が事業場外で業務に従事した場合で、労働 時間を算定し難いときに、原則として所定労働時間労働したものとみなし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす制度。適用労働者の割合(令和3(2021)年1月1日現在)は、6.7%。 この制度の適用が認められるのは「労働時間を算定し難いとき」であり、この制度を適用してテレワークを行う場合には、一定の要件を満たす必要があるとされている。労使双方の多様なニーズに応じた働き方の実現や情報通信技術の進展、コロ ナ禍によるテレワークの普及といった状況変化等も踏まえ、この制度の対象とすべ き状況等について改めて検討が求められる。

5 裁量労働制→裁量労働制については、第4のとおり。
6 高度プロフェッショナル制度
→職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者が高度の専門的知識等を必要とする業務に従事する場合に、労使委員会決議や 本人同意、休日の確保、健康・福祉確保措置等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外にできる制度。働き方改革関連法により設けられ、平成 31(2019)年4月から施行。 同制度では、働く時間帯の選択や時間配分の広範な裁量が対象労働者に 認められている必要があり、対象労働者の健康確保を図りながら、自律的に働くことを可能としている。同制度の創設⇒こうした働き方に対するニーズの実現に資するものと考えられるが、フレックスタイム制と同様、働き方改革関連法で施行後5年を目途とした検討が求められていることから、施行の状況等を十分に把 握した上で検討を進めていくことが求められる。

7 適用除外(管理監督者等)→労働基準法第 41 条は、農業、畜産・水産業従事者、管理監督者又は機密の事務を取り扱う者、監視又は断続的労働に従事する者で使用者が行政官庁の許可を受けたものは、労働時間、休憩、休日の規定を適用除外としている。 〇 このうち管理監督者は、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、適用労働者の割合(令和3(2021)年1月1日現在)は、 3.7%となっている。管理監督者は、その判断に当たっては、@労働時間等の規制の枠を超え て活動せざるを得ない重要な職務内容・責任・権限を有している、A現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものである、B賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされている、といったことを踏まえて実態により判断す ることが通達により示されているものの、各企業においてどのような者がこれに該当するか、適切な判断が難しいのではないかといった指摘がある。 こうした判断を行うために参考となる裁判例が集積していることや、裁量労働制 や高度プロフェッショナル制度といった各種法規制が整備されてきたこと、産業実態の変化等を踏まえ、適用除外の在り方については改めて検討が求められる。

8 年次有給休暇→労働者が心身の疲労を回復させ、健康で充実した生活を送 ることができるよう、法定休日のほかに毎年一定日数の有給休暇を与える制度。 直近の年次有給休暇の取得率は 56.6%(令和3(2021)年1月1日現在)と、昭和 59(1984)年以降過去最高。働き方改革関連法により、年5日の確実な取得義務(使用者の時季指定義務)が 設けられ、平成 31(2019)年4月から施行されたが、このことも、年次有給休暇の取得率の上昇に影響していると考えられる。政府は、令和7(2025)年までに「年次有 給休暇の取得率を 70%以上とする」ことを目標として掲げていることから、更なる 取得率向上のため、例えば、年次有給休暇の完全消化を前提に年度当初に取得計画 を作成することや、そのために必要な要員配置を行うことを企業に推奨するなど、 より一層の取得率向上の取組が求められる。 年次有給休暇の時間単位取得⇒現行制度の下では年5日を限度。この限度を拡大・撤廃することは、まとまった休暇を取得するという本来の 制度趣旨に沿うものではないとの指摘や、育児・介護をしながら働いている労働者 がいるなどの各事業場の様々な事情に応じて限度日数を労使協議に委ねることも考 えられるとの指摘があった。年5日を超えて時間単位年休を取得したいという労働 者のニーズは、まずはこうしたニーズに応えるような各企業独自の取組を 促すことが必要。また、リフレッシュのための休暇とそれ以外の休暇を分けて考えるべきであり、 例えば病気休暇などについて検討すべき課題であるとの指摘等があった。 同制度についても、働き方改革関連法において、改正の施行後5年を目途とした 検討が求められていることから、使用者の時季指定義務の施行の状況等を十分に把 握した上で、本検討会で指摘があった点を含め、検討を進めていくことが求められ る。

9 その他 →勤務間インターバル制度⇒労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、健康確保と 仕事と生活の調和を図るため、終業時刻から始業時刻までの間に一定時間の休息を 確保するものであり、働き方改革関連法により、その導入が努力義務とされ、平成 31(2019)年4月から施行されている。導入している企業の割合は 4.6%、導入を予定又は検討している企業の割合は 13.8%(いずれも令和3(2021)年1 月1日現在)。十分なインターバルの確保は労働者の健康確保等に資すると考えられ、時間外・休日労働の上限規制と併せ、その施行の状況等を十分に把握した上で 検討を進めていくことが求められる。当面は、引き続き、企業の実情に応じて導入 を促進していくことが必要。 テレワークが普及し場所にとらわれない働き方が実現しつつあり、またICTの 発達に伴い働き方が変化してきている中で、心身の休息の確保の観点、また、業務 時間外や休暇中でも仕事と離れられず、仕事と私生活の区分があいまいになること を防ぐ観点から、海外で導入されているいわゆる「つながらない権利」を参考にし て検討を深めていくことが考えられる。

次回も続き資料1の「第4 裁量労働制について」からです。

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