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令和4年第8回経済財政諮問会議 [2022年07月04日(Mon)]
令和4年第8回経済財政諮問会議(令和4年6月7日)
《議事》(1) 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(案)(2) 経済財政運営と改革の基本方針 2022(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0607/agenda.html
W.社会的課題を解決する経済社会システムの構築→個社の短期的収益を重視する視点から、社会的価値を重視する視点への転換を図る。 短期的に企業収益が上がりさえすれば良いという考え方は成り立たない。社会面、環境面での責任(人的資本・人権、気候変動、ダイバーシティ等)を企業が果たすことが、 事業をサステナブルに維持していくためには不可欠。金銭的リスク・リターンに加え社会面・環境面のインパクトを考えるマルチステークホルダー型企業社会を推進。課題先進国といわれる我が国⇒世界に先んじて社会的課題を成長エネルギーとして捉え解決していく仕組みを経済社会の中にビルトインしていく。

1.民間で公的役割を担う新たな法人形態・既存の法人形態の改革の検討→社会がより複雑化している中で、孤独・孤立対策や環境保護等に加え、医療、介護、教育等、これまで官が担ってきたサービスにおいても、多様なニーズにきめ細 かく対応するため、民間の主体的な関与が期待されている。こうした中、我が国⇒社会的課題と経済的成長の二兎を追いたい起業家が増えている。 従来の株式会社では、株主利益の追求が大前提である一方、非営利組織は、事業実施主体として限界があり、資金調達の柔軟性が低いことから、大規模な 課題解決が難しいとの指摘もある。 欧米では、ベネフィットコーポレーション等の新たな法制度が整備されつつある。 米国では、2010年から2017年までの間に7,704社のベネフィットコーポレーション が設立されており、全米に広く拡大した。ベネフィットコーポレーションへの投 資額も、5年間で6倍に、1件当たりの投資額も4倍に増加している。投資家も、インパクト投資家だけでなく、通常の利益追求型の投資家も投資を行っている。 新たな官民連携の形として、このような新たな法制度の必要性の有無について検 討することとし、新しい資本主義実現会議に検討の場を設ける。あわせて、民間にとっての利便性向上の観点から、財団・社団等の既存の法人形態の改革も検討する。

2.競争当局のアドボカシー(唱導)機能の強化→競争当局は独占禁止法の施行事務以外に、取引慣行や規制により競争が働いていない分野について調査をし、取引慣行の改善や規制の見直しを提言(アドボカシー)する機能を有している。我が国の公正取引委員会についても、DX等の社会の変革の 中でアドボカシー機能に対する期待が強い。 ここ数年では、携帯電話料金や銀行間送金手数料、スタートアップの新規株式公開等について競争関係の実態調査を行い、アドボカシー(唱導)を実施してきたが、体制を整備し、アドボカシー機能を抜本的に強化する。
3.寄付文化やベンチャー・フィランソロフィーの促進など社会的起業家への支援強化→ 米国では、成功した起業家をはじめ、幅広い者がビジネスで得た果実等を社会に還元し、社会的課題の解決に貢献する、いわゆるフィランソロフィーの概念が確立している。 SDGs実現を含む社会的課題に取り組む民間の活動に対し、休眠預金の活用を検討する。その際、投融資の在り方等について検討を進め、本年度中に結論を得る。 また、民間の寄付やクラウドファンディング等の資金・人材を呼び込む社会的ファイナンスの活用を促進するとともに、上述の新たな法人形態の創設、財団・社団等 の既存の法人形態の改革を検討。 また、起業家教育に当たっては、社会的起業家を育成するシステムの強化を検討する。

4.インパクト投資の推進→社会的起業家への投資、官民ファンド等によるインパクト投資(経済的利益の獲得 のみでなく社会的課題の解決を目指した投資)を推進。ソーシャルボンド(調達した資金が社会的課題の解決に貢献するプロジェクトのみに充当 される債券)について、プロジェクトの実施による社会的な効果を適切に開示できる ようにする。ガイドラインの整備を図り、社会的課題ごとに、発行主体の参考とな る指標の例を示す。
5.孤独・孤立など社会的課題を解決するNPO等への支援→ 長引くコロナ禍により、貧困を抱える世帯の生活が厳しくなるとともに、孤独・ 孤立の問題が深刻な社会問題となっている。困難を抱える方々と行政の橋渡しをす るNPOは重要であり、孤独・孤立対策に取り組むNPO等の活動をきめ細かく支援。 地域の課題解決に向けた自治体と企業・NPO等とのマッチングを促進するため、官民連携プラットフォームの機能強化を図る。 また、企業の人材を自治体に派遣する取組を進めるため、企業版ふるさと納税のPRを進める。

6.コンセッション(PPP/PFIを含む)の強化→公共施設の民間事業者による運営を行うコンセッション(公共施設等運営事業)等を加速する。 空港分野⇒運営権対価の最大化を図りつつ、地方管理空港を含め、原則として全ての空港へのコンセッション(公共施設等運営事業)の導入を促進する。 空港容量の拡大等の機能強化が引き続き必要であるため、例えば羽田空港⇒ 2020年3月に導入した都心上空新経路により拡大した空港容量を確保すべく、経路下の地域との調整を着実に進める必要がある。また、成田空港⇒まずは 第三滑走路の建設を含む機能強化事業を着実に実施する必要がある。 今後、コロナ禍の経験等を踏まえたリスク分担の在り方に加え、空港における機能強化の進捗や地域との関係等を踏まえつつ、コンセッション(公共施設等運営事業) の実施について検討する。 鉄道、バス、タクシー等を接続する公共交通ターミナルである「バスタ」⇒コンセッション(公共施設等運営事業)の導入を推進する。スタジアム、アリー ナ等についても導入を推進。 林業分野⇒樹木採取権制度に基づき、パイロット的に選定された10か所について、樹木採取権の設定を進める。より大規模・長期間のものも含めた今後の樹木 採取権設定に関する具体的方針を本年末までに策定する。 また、新たに策定したアクションプランに基づき、PPP/PFIを拡大するため、その導入を自治体が優先的に検討する取組の改善を促す等、取組を強化する。

X.経済社会の多極集中化→デジタル田園都市国家構想の推進により、一極集中から、多極集中への転換を図 る。
新しい資本主義の象徴は地方・地域である。これまで、我が国の経済社会は、人々の暮らし、企業活動、国土形成等において一極集中を進めてきた。日本では、 総人口のうち、50万人以上の大都市に住んでいる割合が73%にのぼり、65%の米国、 56%の英国など欧米各国を上回り、大都市に人口が集中している。 しかしながら、コロナの拡大は経済社会の分極化の重要性を再認識させた。コロ ナ禍以降、大都市において、都心部から周辺部へ人口が移動し、地方移住への関心が高まっている。特に、20代や30代の若者層の関心が高い。理由としては、自然豊 かな環境に魅力を感じたこと(31.5%)に加え、テレワークによって地方でも働ける ようになったこと(24.3%)を挙げている。 デジタル技術の発達(DX)は、一極から多極への転換を可能とする力をもたらした。デジタルサービスは、新しい付加価値を生み出す源泉であり、日本の地方が 直面する少子高齢化や、過疎化といった課題を解決するための鍵である。デジタルの力で、物理的距離がマイナス要素ではなくなる中、我が国を支える農山漁村の存 在やゆとりある生活など地方・地域の豊かな魅力を核に、新しいライフスタイルの支援を幅広く展開する。小さくともキラリと光る地域でのデジタル実装を数多く生 み出し、また発見し、横展開していく。東京・首都圏と地方がウィンウィンとなる 関係性を構築する。 多様な地域、企業、人材等が広がりつつネットワーク内でつながり、付加価値を 生み出す多極型の経済社会を作っていく。
1.デジタル田園都市国家構想の推進
(1)デジタル田園都市国家の実現に向けた基盤整備→ @光ファイバ・5G・データセンター等の全国津々浦々への整備
→「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」に基づき、都市と地方を一体的に、 デジタル基盤を整備していく。 光ファイバについて、2027年度末までに世帯カバー率99.9%を必達目標とし、さらに必要とする全地域の整備を行う。 5Gの整備⇒2030年度末に人口カバー率で99%の整備を必達目標とする。あわせて、ローカル5G等の地域のデジタル基盤の構築を推進。 データセンター⇒急増するデータ需要や東京圏一極集中是正のため、 十数か所の地方拠点を5年程度で整備。 通信回線の中継拠点(インターネット接続点)の地方分散や、海底ケーブルと陸上 ネットワークの中継拠点(陸揚局)の地方分散を促進するとともに、日本を周回する 国内海底ケーブル(「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」)を2025年度までに完成させる。 高齢者などデジタル技術に不慣れな方が身近な場所でデジタル機器の使用方法を 学べるようにするため、デジタル推進委員を配置し、誰一人取り残されないデジタ ル化の実現を目指す。 A地域協議会の設置→地域におけるデジタル基盤のインフラ整備とデジタル実装のマッチングのため、自治体、通信事業者、社会実装関係者が参加する地域協議会を県単位等で設置する。 Bデジタル田園都市国家構想実現ファンドの創設→計画的な地方のデジタル技術の実装のため、意欲のある基礎自治体(市町村 ) が 民間事業者と連携して行うハード・ソフト事業を支援する措置を検討する。 Cデジタル田園都市国家構想・甲子園の開催→地域における未来サービスの先駆事例やアイディアを発掘・横展開するため、地 方自治体・企業・国民の参加の下、優れた取組を表彰するデジタル田園都市国家構 想・甲子園(Digi田甲子園)を開催する。本年夏に地方自治体向けの夏のDigi田甲子 園を開催するとともに、本年末にかけて、幅広く国民や企業の方にも参加いただく Digi田甲子園を開催する。 Dデジタルによる中山間地の生活環境改善→中山間地域では、人口減少や高齢化が急速に進行しており、集落単体では農用地 等の維持・管理と農業生産活動の継続のみならず、集落機能の維持も困難になる集 落が増加している。 こうした中、高齢農家の農産物集荷と買物困難者のための移動販売を行う等、単 一では成立しにくい事業について、デジタルを活用してサービスを複合化すること で効率的に実施する事例が現れてきている。 このような取組を横展開していくため、広域的な範囲で支え合う組織づくりを推進する。 E規制・制度の一括改革と実証事業の実施→デジタル臨時行政調査会において、@)目視規制、A)定期検査・点検規制、B) 実地監査規制、C)常駐・専任規制、D)書面掲示規制、E)対面講習規制、F) 往訪閲覧・縦覧規制、の7項目のアナログ規制について、集中的に改革を実施する。 この際、既存の規制・制度をデジタル技術で代替することが可能か確認するため、 実証事業を実施する。 また、デジタル田園都市国家構想を先導することが期待されるスーパーシティ及 びデジタル田園健康特区の取組を推進する。
(2)デジタル田園都市国家を支える農林水産業、観光産業、教育の推進→ @食料安全保障の確立に向けた、みどりの食料システム戦略など農林水産業の振興→我が国の食料安全保障の確立に向けて、足腰の強い農林水産業を構築することで、 食料自給率の向上を図る。 化学肥料原料や飼料の国際価格が高い水準で推移しているため、これらの安定的 な調達を含め、対策の構築等の検討を進める。→ @)みどりの食料システム戦略の実施⇒ 化学農薬・肥料の利用の低減や有機農業を推進し、生産段階における環境負荷低 減の効果が消費者に的確に評価されるよう見える化を進める等、生産から消費に至 る各段階の取組を推進。A)農林水産物・食品の輸出拡大⇒2030年5兆円の目標達成に向け、2025年2兆 円の達成を目指す。品目別の輸出促進団体を認定して需要開拓等を支援するととも に、輸出向けの施設整備等を支援し、輸出にチャレンジする事業者の投資を促進する。 B)スマート農林水産業⇒ デジタルを活用した農林水産業の成長産業化を通じて、若者に魅力のある産業に していく。このため、スマート農業機械のシェアリングを行う農業支援サービスの 育成・支援や人材育成を進め、デジタル技術を実装するスマート農林水産業を推進する。関係者が参加する地域コンソーシアムを形成し、デジタル実装の局面を点から面へと広げる。 Aインバウンドの復活など地域の実情に応じた産業支援⇒観光産業について、安全・安心を確保しながら、国内需要を喚起するとともに、 観光地の再生及び高付加価値化を推進する。 このため、個人旅行に対応した宿泊施設の改修や顧客管理システムの導入を進め る。また、国内外の感染状況を見極めながら、インバウンドの回復に向けた外国人 旅行客の受け入れ環境の整備を進める。 B教育のICT環境の整備⇒ 一人一台の端末や高速通信ネットワークを整備し、デジタル技術の活用により、 空間的、時間的制約にとらわれず、子供達の最適な学びを実現するGIGAスクー ル構想を推進する。 このため、端末のトラブル対応や学校のICT対応を支援する体制を整備すると ともに、教員のICT研修の充実を図る。2024年度のデジタル教科書の本格的な導 入開始に向けて、利点や課題を整理するための実証を実施する。
(3)デジタル田園都市国家構想の前提となる安心の確保↓
@国土強靱化、防災・減災投資の加速
→「国土強靱化基本計画」に基づき、必要・十分な予算を確保し、自助・共助・公 助を適切に組み合わせ、ハード・ソフト一体となった取組を強力に推進する。 中長期的な目標の下、取組の更なる加速化・深化のため、追加的に必要となる事 業規模等を定めた「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を推進し、 引き続き、災害に屈しない国土づくりを進める。また、AIやドローン等のデジタ ル技術を活用した防災・減災対策の高度化を進める。 国土強靱化基本法の施行から10年目を迎える中、これまでの成果や経験を生かし、「5か年加速化対策」後も、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安定的に国 土強靱化の取組を進めていくことの重要性等も勘案して、次期「国土強靱化基本計画」に反映する。
A豊かな田園都市国家を支える交通・物流インフラの整備⇒ 地方の暮らしや経済成長を支えるため、高速道路、整備新幹線、リニア中央新幹 線等の高速交通ネットワーク、国際拠点空港、港湾等の整備・活用を進める。特にリニア中央新幹線⇒水資源・環境保全等の課題解決に向けた取組を進め つつ、三大都市圏やその周辺地域をつなぐ高速かつ安定的な交通インフラとして、 早期の整備を促進する。 MaaS(Mobility as a Service)や自動運転等の新技術の実装を進めつつ、バス や鉄道等の地域交通ネットワークの再構築を図る。地域交通と医療・介護等の他分 野を組み合わせた共創型の事業モデルの実証を行うなど地域交通サービスの利便性 の向上を図る。 全国版空き家・空き地バンクの活用や、空き家等を活用したサテライトオフィス 等の環境整備を促進する。

2.一極集中管理の仮想空間から多極化された仮想空間へ →様々な社会活動のデジタル化が進む一方、特定のプラットフォームによるデータ の囲い込みや勝者総取りによる富の偏在、データの取扱いに対する不安など、結果 としてデジタル空間が中央集権型となっていることに伴う問題が顕在化してきている。 こうした中、より分散化され、信頼性を確保したインターネットの推進や、ブロックチェーン上でのデジタル資産の普及・拡大等、ユーザーが自らデータの管理や 活用を行うことで、新しい価値を創出する動きが広がっており、こうした分散型の デジタル社会の実現に向けて、必要な環境整備を図る。
(1)インターネットにおける新たな信頼の枠組みの構築→特定のサービスに依存せずに、個人・法人によるデータのコントロールを強化する仕組み、やり取りするデータや相手方を検証できる仕組み等の新たな信頼の枠組みをインターネットの上に付加するトラステッド・ウェブ(Trusted Web)の実現に 向けて、機能の詳細化を進める。様々な産業分野におけるユースケースの支援・検証を行い、国際標準化に向けた取組を進める。
(2)ブロックチェーン技術を基盤とするNFT(非代替性トークン)の利用等の Web3.0の推進に向けた環境整備→ブロックチェーン技術を基盤とするNFT(非代替性トークン)やDAO(分散型自律組織)等のイノベーションが到来している。ブロックチェーン技術は、自立した ユーザーが直接相互につながるなど仮想空間上の多極化を通じ、従来のインターネットの在り方を変え、さらに社会変革につながる可能性を秘めている。Web3.0の推 進に向けた環境整備について、検討を進める。
(3)メタバース(仮想空間)も含めたコンテンツの利用拡大→ デジタル化、ネットワーク化を成長の機会とすべく、メタバースも含めたコンテ ンツの利用に関して、膨大で多種多様な著作物の利用許諾について、簡素で一元的 な権利処理を可能とする措置を検討し、来年の通常国会に関連法案の提出を図る。 コンテンツ産業等の高度化を図る。
(4)Fintechの推進→事業者のセキュリティトークン(トークンという形でデジタル化された証券:デジタル 証券)での資金調達機会を拡大させ、個人投資家を含めた幅広い投資家層に投資機会を提供し資産形成を促す。現在、セキュリティトークンのセカンダリー取引は、 証券会社との店頭取引に限られているが、私設取引システムにおいてもセキュリティトークンを取り扱うことができるよう、速やかに制度整備を行う。 暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産を新たに追加する際、認定自主規制団体の 事前審査に長期間を要している。利用者保護に配慮しつつ、審査基準の緩和を行う。 ブロックチェーン上で発行されるデジタルなアイテムやコンテンツ等のうち、同種のものが複数存在する場合、それが暗号資産に該当するかが不明確である。決済 手段としての経済機能を有するか否か等を念頭に、解釈指針を示す。

3.企業の海外ビジネス投資の促進→コロナ後の世界経済において、日本の成長力強化及び経済安全保障の観点から、 日本が技術的優位性を持つ分野での世界展開が重要。事業運営・サービス等 ソフト面を含め、日本企業は多くの分野で高い技術を有しているが、海外ビジネス 特有のリスクやハードルを前に判断が保守的になる傾向があることから、政府として、中小企業による製品開発や販路開拓を含め、技術と意欲ある企業の海外ビジネス投資をサポートしていく。こうした取組は、国内親会社への配当を通じ資金の国内還流を増加させ、裾野の広い賃金引上げや研究開発投資増にもつながりうる。 具体的には、国内外において、関係省庁、政府機関、在外公館等を含め政府ワンチームで投資案件組成を初期段階からサポートする体制を整備。情報提供や資 金ファイナンス等を通じ、上流から下流までを支援するとともに、政府機関の共同出資機能の活用を促進する。また、脱炭素、デジタル等の分野で、より多くのビジネス機会につなげるため、日本がリードして国際機関、友好国政府、グローバル投資家等に働きかけ、協調案件の組成を目指す。 こうした施策の企画立案を行い関係省庁との調整を進めるため、内閣官房に海外 ビジネス投資支援室(仮称)を設置する。

Y.個別分野の取組
1.国際環境の変化への対応
(1)経済安全保障の強化→
経済安全保障推進法に基づき、サプライチェーン強靱化及び官民技術協力を速やかに実施。 具体的には、デジタル化やカーボンニュートラルの基盤ともなる半導体、レアアースを含む重要鉱物、電池のほか、医薬品等も含め、重要な物資の安定供給を早急に確保するため、サプライチェーン上の供給途絶リスクを将来も見据えて分析した上で、中長期的な支援措置を整備する。また、AI・量子・宇宙・海洋等の先端的な重要技術の実用化に向けたプロジェクトを強化し、速やかに5,000億円規模とすることを目指す。 さらに、重要情報を取り扱う者への資格付与のための所要の措置について、国際 共同研究等における具体的事例の検証を踏まえ、検討を進める。 先端技術・機微技術を保有する等、次世代に不可欠な技術の開発・実装の担い手となる民間企業の資本強化を含めた支援の在り方について検討を行う。官民で協力しつつサイバー攻撃への対策の強化を図ることが重要であることを踏 まえ、我が国においても、サイバーに係る教育・研究基盤の更なる拡充といった人 材育成策の強化に加えて、サイバーセキュリティの確保に向けた官民連携の強化に ついて制度整備を含めた所要の措置を講ずるべく検討を進める。
(2)対外経済連携の促進→日本は、これまでも、これからも、貿易・投資立国であり続ける。世界とつながり、世界と人、モノ、カネ、デジタルが自由に往来することで、日本は成長していく。これからも、世界に開かれた国造りを進める。 我が国が提唱し、推進する「自由で開かれたインド太平洋」の考え方は、多くの 国から支持を得ている。米国、豪州、インド、ASEAN、欧州等の国・地域とも連携し、日米豪印の取組等も活用しながら、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組を戦略的に推進する。 インド太平洋経済枠組み(IPEF:Indo-Pacific Economic Framework)⇒サプライチェーン強靱化、脱炭素・クリーンエネルギー、デジタル経済等について、今後、参加国間で議論を進める。我が国としては、インド太平洋地域の持続可能で包摂的な経済成長を実現するため、米国及びASEAN諸国を含むパートナー国と連携して、できるものから早期に具体的な成果を出すことを目指す。 本年1月に発効したRCEP協定について、締約国による履行確保を進める。ま た、TPP11協定について、高いレベルを維持しつつ、英国の加入手続の議論を主 導する。 我が国の先進技術を活用した質の高いインフラ整備を通じて、アジア太平洋地域 の社会的課題の解決と持続的な経済成長への貢献を同時に達成する。 信頼性ある自由なデータ流通、DFFT(Data Free Flow with Trust)の実現に向け、国際的なルール作りにおいて、中心的な役割を果たす。

2.宇宙→大規模災害等があった際に、夜でも、雨や雪が降っていても、宇宙から被災状況 を迅速に把握できるよう、多数の小型衛星が連携するコンステレーションを官民連携の下、2025年までに構築する。また、通信速度の高速化・大容量化を図るととも に、通信の傍受や干渉の懸念を解消するため、宇宙光通信ネットワーク等の次世代 技術の開発・実証を推進する。 さらに、今後拡大する民間衛星等の打上げを国内で実施できるよう、H3ロケッ ト等の基幹ロケットの国際競争力強化に向けた取組を進めるとともに、民間の小型 ロケットの事業化、宇宙港の整備及びこれらを支える人材育成を促進する。 また、いわゆるG空間社会を実現するため、他国のGPSに頼らずより精緻な測 位を可能とする準天頂衛星システムの体制を強化。あわせて、集中豪雨・台風 予測の精度向上に向けて、観測能力を大幅に強化した静止気象衛星ひまわりの後継機を整備する。 加えて、火星衛星探査計画及び月での有人活動等を行うアルテミス計画を推進し、 世界初の火星圏からのサンプル採取や2020年代後半の日本人宇宙飛行士の月面着陸 の実現を図る。

3.海洋→海のデータの官民での共有・活用を図るとともに、2026年度の就航に向けて北極 域研究船の建造を着実に進める。 排他的経済水域での海洋観測の高度化や、沖縄周辺海域等での海底における熱水 鉱床、メタンハイドレート、レアアース泥等の国産海洋資源の開発のため、大深度 海域で利用できる自律型無人探査機の技術開発等を行う。また、無人海洋観測システムの開発を進める。 海の次世代モビリティである小型無人ボート、遠隔操作型無人潜水機の実証等を行う。 洋上風力による適切な海域利用、国内サプライチェーンの構築や海洋産業の重要な技術の国産化を進め、海運・造船業の競争力強化を図る。

4.金融市場の整備
(1)四半期決算短信 →金融商品取引法上の四半期報告書を廃止して、取引所の四半期決算短信に「一本化」することとし、具体策を本年内に検討した上で、関連法案を提出する。 (2)国際金融センターの実現とアセットマネージャーの育成→国際金融センターの実現を目指し、今後、より多くの海外の金融事業者を日本の 金融資本市場に呼び込むため、プロモーションや登録審査等を全て英語で行う「拠点開設サポートオフィス」を通じたビザ取得・AI多言語翻訳技術の活用等による 外国語対応・住宅や医療等の生活面を含む官民一体の金融創業支援を進める。 これにより、運用能力の高い海外金融事業者や高度金融人材の誘致を図り、雇用創出や経済活性化を実現するほか、国内事業者や国内人材との交流を進め、アセットマネージャー(資産の運用者となる機関)を含む高度な金融人材の育成・拡大を進める。また、新たに資産運用業を行う事業者の資金繰り支援のため、信用保証制度の対象に資産運用業者を追 加する。
(3)銀行の業務範囲及び銀証ファイアウォール(防火壁)規制の見直し→ 昨年の銀行法等の改正により、業務範囲が限定的だった銀行グループは、デジタ ル化や地方創生等に資する業務を行うことができるようになった。これを踏まえ、 銀行の新事業の実施状況をフォローアップしつつ、銀行がデジタル化や地方創生等 に資する事業に積極的に取り組むよう促す。 また、金融機関によるワンストップの融資・資金調達を図る観点から、銀証ファ イアウォール規制(金融グループの銀行・証券間で、顧客の非公開情報を同意なく共有する ことを禁止する規制)について、顧客が外国法人や上場企業等である場合にはその同 意を不要とする等の見直しを行った。今後、中堅・中小企業等の情報に関する銀証 ファイアウォール規制について、利益相反や優越的地位の濫用等の弊害の防止に留 意しつつ、その取扱いについて検討する。
(4)金融機関の取組を通じた貯蓄から投資の促進→家計による資産形成を進める上で、より適切な助言や勧誘を金融機関から受けら れるようにすることが重要。 金融商品取引法上、助言の対価の有無により適用されるルールが異なり、同様の助言であっても、収受する手数料等の整理によって制度上の取扱いが異なること等から、証券会社等によるコンサルティング・アドバイスに係る柔軟なビジネスや手 数料の設計を妨げている可能性が指摘されている。このようなコンサルティング・ アドバイスに係るビジネスを進展させつつ、顧客本位の業務運営の観点から国民の 安定的な資産形成に資する適切な助言や勧誘が行われるよう、制度等の見直しを図る。 顧客の利益につながる金融商品の供給を資産運用会社等に促すため、プロダクト ガバナンス(顧客ニーズに沿った金融商品組成や手数料設定、適切な商品選択に資する情報提供、これらの評価及び検証等を行うこと)の推進やその確保のための資産運用会社等の ガバナンス強化に向けた措置を講ずる。
(5)事業性融資への本格的かつ大胆な転換→DXやGX等に伴う産業構造の変化が生じている中、工場等の有形資産を持たないスタートアップ等にとっては、不動産担保や個人保証なしに融資を受けることは 難しく、また、出資による資金調達だけでは経営者の持分が希薄化するため、成長資金を経営者の意向に応じて最適な方法で調達できるよう環境整備することが必要。 こうした観点から、金融機関⇒不動産担保等によらず、事業価値やその将来 性といった事業そのものを評価し、融資することが求められる。スタートアップ等 が事業全体を担保に金融機関から成長資金を調達できる制度を創設するため、関連 法案を早期に国会に提出することを目指す。

5.グローバルヘルス(国際保健)→グローバルヘルス(国際保健、ユニバーサルヘルスカバレッジ)分野への民間資金の呼び込みに向けて、健康投資・栄養対策等の取組事例の普及や投資インパクトの可視化を行う。国際機関等における日本企業からの医薬品・医療機器等の調達を増やすため、国際機関等の調達情報の収集・提供や調達部門との関係構築等の伴走支援を 行う。
6.文化芸術・スポーツの振興→ 文化財の保存・活用、文化芸術教育を進めるとともに、子供の鑑賞・体験機会の 確保を図る。文化芸術活動への支援、アート市場活性化等により、産業の振興を図る。 映像作品のロケ誘致活動やeスポーツ等、文化関連産業の振興を図る。 スポーツDX、国際展開の促進等により、スポーツの成長産業化を図る。

7.福島をはじめ東北における新たな産業の創出→福島イノベーション・コースト構想を推進し、浜通り地域等において新たな産業 基盤の構築を目指す。福島国際研究教育機構の長期・安定的な運営に政府を挙げて 取り組むとともに、研究開発や産業化、人材育成の取組を加速させる。 また、モニタリング等を通じた安全性への理解の醸成、漁業者等の事業の継続・ 拡大への支援をはじめ、東京電力福島第一原子力発電所の処理水放出による風評影 響等への対応を含め、東日本大震災からの復旧・復興に全力を尽くす。

Z.新しい資本主義実現に向けた枠組み
1.工程表の策定とフォローアップ
→本実行計画を具体的に推進するため、5年間を目途とする工程表を作成し、毎年度、実行状況についてフォローアップを行い、PDCAサイクルを進める。
2.官と民の連携 →新しい資本主義は、官と民がそれぞれ自らの役割を果たすことによって、初めて 実現する。個々の項目について、官と民の役割分担を明確にして、進めていく。 官はこれまで以上に、民の力を最大限引き出すべく行動し、これまで官の領域と されてきた社会的課題の解決に、民の力を大いに発揮してもらう。
3.経済財政運営の枠組み→大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして 民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢の枠組みを堅持する。 厳しい財政状況の中で、財政の中長期的な持続可能性に留意しつつ、二つの意味で、改革を行う。 第一は予算の単年度主義。単年度主義の予算だけでは、国の長期的方向性が見え にくく、また予見可能性も少なく、国が将来の期待成長率を導き出すことも困難。事業の性質に応じて基金等を活用して、予算単年度主義の弊害を是正する。 第二に、税制改正において、その将来にわたる効果を見据えた動的思考を活用する

次回も続き「資料2 渋澤委員提出資料」からです。

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