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令和4年第8回経済財政諮問会議 [2022年07月03日(Sun)]
令和4年第8回経済財政諮問会議(令和4年6月7日)
《議事》(1) 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(案)(2) 経済財政運営と改革の基本方針 2022(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0607/agenda.html
V.新しい資本主義に向けた計画的な重点投資
2.科学技術・イノベーションへの重点的投資
→コロナ禍でワクチンが切り札になったように、科学技術・イノベーションには、 感染症・地球温暖化・少子高齢化等、世界が直面する様々な社会的課題を解決する力がある。 同時に、権威主義的国家による挑戦も顕在化する中で、最終的な勝者を決めるのは、科学技術の力である。例えば、先端半導体を開発・生産できる力を持っている ことが、国際競争力、更には国家安全保障を左右する。 研究開発による社会的収益率は、他社への外部効果により、研究開発を行った企 業自身の私的収益率よりも大きいことが知られている。すなわち、個々の企業の研究開発費の増加によるその企業の売上高の増加(私的な限界収益率)と他社の会社全 体への正・負の外部効果(社会全体の限界収益率)を比較すると、外部効果は正であ り、かつ、社会全体の収益率は私的な収益率の2.5倍以上と推計されるとの研究がある。このため、研究開発は私企業のみに任せると過少投資となりやすく、官民で取り組むことが重要である。 しかしながら、我が国においては、研究開発投資額の伸び率が他の先進国に比して低い。官が明確な国家戦略を示すことで、将来の成長期待を民間が共有できる等、新たな官民連携により、研究開発投資を活発化させ、社会的な投資効果を最大化する必要がある。 このため、民間の現預金を活用した研究開発投資に対するインセンティブを強化する。具体的には、オープンイノベーションを更に加速し、研究開発投資全体を押し上げられるよう、民間企業の研究開発投資を促進するための税制の在り方について検討を進める。 特に、量子、AI、バイオテクノロジー・医療分野は、我が国の国益に直結する 科学技術分野である。このため、国が国家戦略・国家目標を提示するため、国家戦略を策定し、官民が連携して科学技術投資の抜本拡充を図り、科学技術立国を再興する。 その上で、研究開発投資を増加する企業に対しては、インセンティブを付与して いく。あわせて、総理に対する情報提供・助言のため、総理官邸に科学技術顧問を 設置する。
(1)量子技術→「新たな量子技術に関する戦略」に基づいて、計画的に取組を進める。 量子技術は、演算分野(コンピュータ・シミュレーション)や通信・暗号分野に強み がある。量子コンピュータを活用することで、医薬品候補探索の高速化や、化学材料の改良、渋滞解消等、様々な分野への応用が期待されている。 量子コンピュータの大規模化・高機能化の研究開発については、半導体やBeyond 5G等の他の技術分野との融合やこれを応用する分野の研究も視野に入れた上で、日本単独で考えるのではなく、先行する有志国の企業との連携を実施するなどグロ ーバルな対応を進める。このため、量子コンピュータ等の次世代計算基盤に不可欠 な次世代半導体の設計・製造能力の確保に向けて、日米の官民が連携し、2020年代 に設計・製造基盤を構築するためのプロジェクトを進める。 また、量子技術の実証環境を整備し、量子コンピュータや量子暗号通信⇒エネルギー、金融、創薬・医療、材料化学、航空、モビリティ等、幅広い分野で、 実証を進める。加えて、産業化に向けた拠点整備を進める。さらに、現状の量子暗号通信は、遠距離(数十km以上)では中継器が必要であり、セキュリティの低下が懸念される。量子状態を保ったまま通信できる量子ネットワ ーク技術の開発を進める。
(2)AI実装→AI技術は、社会実装段階へ入り、産業化に向けた開発が活発化しているが、日本企業における導入割合は米国企業に比して低い。 AI技術を基にした実践・試行錯誤の蓄積が重要であり、ディープラーニングを 重要分野として位置付け、企業による具体的ニーズを念頭に置き、その実装・開発を推進。この際、気候変動や防災関連等に加えて、物理・化学や機械等、日本が強みを有する分野とAIの融合を図り、競争力の高い製品やサービスを生み出していく。 また、大学等や国の機関が保有するデータは、それぞれの機関に分散し、データ 形式もバラバラとなっているが、他のデータ基盤との接続を可能とし、民間企業等 の利活用を進める。 データをできるだけ多く利用できる環境を整えるべく、プライバシー等の理由に より秘匿化された情報について、秘匿化したままで機械学習の処理を行うことがで きるよう、技術開発を推進。 グローバルに多額の投資がされており、継続して発展しつつあるAIの技術につ いて、民間企業による実践を通じたAIの実装を促すため、国立研究所等は積極的 に技術情報の提供を行う。また、国立研究所等におけるAIの研究開発について、 体制の見直しを行いながら、充実を図る。
(3)バイオものづくり →バイオものづくりは、遺伝子技術により、微生物が生成する目的物質の生産量を 増加させたり、新しい物質を生産するテクノロジーであり、海洋汚染、食糧・資源 不足など地球規模での社会的課題の解決と、経済成長との両立を可能とする、二兎を追える研究分野である。 米国や中国では兆円単位の投資が行われ、国際的な投資競争が激化している。大規模生産・社会実装まで視野に入れた、微生物設計プラットフォーム事業者と異分野事業者との共同研究開発の推進、味噌・醤油・酒類など全国の事業者が強みを有 する微生物の発酵生産技術やゲノム合成・編集技術等の基盤技術の開発支援・拠点 形成や人材育成等、この分野に大胆かつ重点的な投資を行う。
(4)再生・細胞医療・遺伝子治療等 →@再生・細胞医療・遺伝子治療
→再生・細胞医療・遺伝子治療⇒新たな医療技術の臨床研究・治験の推進、これらの医療技術の製品化に向けた研究開発、治療に用いる細胞・ベクター(ウイルスなど細胞へ遺伝子を導入するための媒介)の製造基盤強化、人材育成等を進め、 有効な技術を実用化につなげる。再生・細胞医療と遺伝子治療の垣根を取り払い、遺伝子治療におけるゲノム編集技術を再生・細胞医療に応用するなど一体的な研究 開発や臨床研究拠点の整備を進める。 ゲノム編集技術に加え、分化効率が高い又は拒絶反応が低い次世代のiPS細胞、 それぞれの人の特性に合った薬効等を試験できるオルガノイド(試験管内で人工的に作られるミニ臓器)、細胞から分泌されるエクソソームの病気の診断や治療への活用 に向けた研究開発等、革新的な研究開発を進める。 Aゲノム医療の推進→ がん・難病に係る創薬推進等のため、臨床情報と全ゲノム解析の結果等の情報を 連携させ搭載する情報基盤を構築し、その利活用に係る環境を早急に整備。 なお、当該結果等には、10万ゲノム規模を目指した解析結果のほか、マルチ・オ ミックス(網羅的な生体分子についての情報)解析の結果等を含む。 B治療薬・ワクチンの開発 世界的に医薬品市場が成長を続ける中、我が国においても、創薬を成長産業とす べく取組を進める。特に、今後の感染症危機に備えるため、治療薬やワクチンの開 発に取り組む。
(5)大学教育改革→ 世界と伍する研究大学を作るため、研究力に加え、研究と経営の分離、若手研究 者の登用等、優良なガバナンスを導入する大学に対し、10兆円規模の大学ファンドで支援。この際、大学改革の中心となる高い経営能力を持った人材の下で、研 究力強化につながる取組に対して重点的に資金が配分される制度とする。 また、官民のイノベーション人材育成を強化するため、大学の学部再編や文系理 系の枠を超えた人材育成の取組を加速。このため、産業界からの人材需要等も考慮して、進学者のニーズに対応できるよう、大学に対する規制を大胆に見直すと ともに、学部再編に要する初期投資や再編後の当面の運営経費に対する継続的な支 援を行うことで、大学の学部再編を促進する。 さらに、理系女子の活躍促進に向けて、女子学生枠の確保に積極的に取り組む大 学等への支援を強化するとともに、女性の在籍・登用状況等の情報開示を促進。 また、高校段階でも、文理横断教育を推進する。
(6)2025年大阪・関西万博→ 2025年開催の大阪・関西万博は、「未来社会の実験場」であり、新技術による未 来への希望を喚起する起爆剤である。新しい技術のショーウインドウとして、日本 の最新技術による社会への貢献を提示する。 アクションプランを順次改訂しつつ、規制改革面、経費面を含め円滑に準備を進 める。

3.スタートアップの起業加速及びオープンイノベーションの推進↓
(1)スタートアップ育成5か年計画の策定
→規模拡大を重視する視点から、新規創業を重視する視点への転換を図り、新たな 付加価値の創造を行う。 経済学者のジョセフ・シュンペーターは、イノベーションの源泉について著書で 2つの矛盾するように見える見解を示している。第一の見解は、イノベーション の源泉は新規参入するスタートアップにあるとする見解である(「シュンペーターMarkT」)。第二の見解は、イノベーションの源泉は内部に豊富な資金を抱え、価値 を獲得できるプラットフォームを持つ、大企業にあるとする見解である(「シュンペ ーター MarkU」)。 新規企業だけの競争市場でもイノベーションは生まれにくいし、大企業だけによ って寡占化した市場でもイノベーションは生まれにくい。ちょうどその両方が成立 する市場環境において、イノベーションが促進される。現実は、MarkTとMarkU が混合された状況である。すなわち、イノベーションを促進するには、@スタート アップの創業促進と、A既存大企業がオープンイノベーションを行う環境整備、の 双方が不可欠。 また、企業の参入率・退出率の合計(創造的破壊の指標)が高い国ほど、一人当た り経済成長率が高い。さらに、若い企業(スタートアップ)の方が付加価値創造の 貢献率が高い。他方、我が国の開廃業率は、米国や欧州主要国と比べ、低い水準で推移。 スタートアップの育成は、日本経済のダイナミズムと成長を促し、社会的課題を 解決する鍵である。
このため、以下の項目等について、実行のための司令塔機能を明確化し、新しい資本主義実現会議に検討の場を設け、5年10倍増を視野に5か年 計画を本年末に策定。→ @公共調達の活用とSBIR制度のスタートアップへの支援の抜本拡充⇒スタートアップを育成する際、公共調達の活用が重要である。SBIR制度 (Small Business Innovation Research)について、創業間もない企業(スタートアップ) への支援の抜本拡充を図る。このため、SBIR制度に基づく指定補助金等につい て、拡大を行うとともに、スタートアップ又はスタートアップが加わった一定の要 件を満たすコンソーシアムに限って支出できる特別枠を設定する。 あわせて、民間事業者による調達においても、スタートアップを積極的に活用していくことが望まれる。民間事業者は、「スタートアップとの事業連携及びスター トアップへの出資に関する指針」を遵守し、スタートアップとの建設的な関係を築 いていく。 A海外のベンチャーキャピタルも含めたベンチャーキャピタルへの公的資本の投資⇒拡大 ベンチャーキャピタルの投資を受けた企業はそうでない企業と比較して、雇用の 拡大やイノベーションに積極的であることが実証されている。 米国では、開業率は減少しているが、ベンチャーキャピタルの投資額は増加しており、有望な起業家へのベンチャーキャピタルの投資は増加している。 他方で、ベンチャーキャピタルによる投資額は、米国は36兆円に対し、日本は 0.23兆円に過ぎない(2021年)。このため、国内外のベンチャーキャピタルに対する有限責任投資による資金供給 等を抜本的に拡大するとともに、長期的視野を持って、ベンチャーキャピタルと協 調した助成の拡大を行う。これにより、国内のベンチャーキャピタルの育成に加えて、海外の投資家・ベンチャーキャピタルからの投資を呼び込む。 これらの実施体制を確保するため、産業革新投資機構の運用期限を2050年まで延長する。これにより、ファンドの投資期限に制約があることによって、成長に時間 を要するスタートアップへの投資が制限されている課題を解決する。 B個人金融資産及びGPIF等の長期運用資金のベンチャー投資への循環⇒ 2,000兆円に及ぶ日本の個人金融資産がスタートアップの育成に循環するととも に、GPIF等の長期運用資金が、ベンチャー投資やインフラ整備等に循環する流 れを構築する。 C優れたアイディア、技術を持つ若い人材への支援制度の拡大 ⇒優れたアイディア、技術を持つ若い人材を選抜して支援することは、スタートア ップ育成として有意義。日本では、IT分野において、このような人材を発掘・育成するプロジェクトである情報処理推進機構(IPA)の「未踏事業」が存在 している。「未踏事業」からは、これまで300人が起業又は事業化を達成しており、 評価する声が高いが、規模が限定的である。このため、ビジネスアドバイスを与える仕組み作りをした上で、国家レベルの支援に拡大する。 さらに、IT分野以外においても、優れたアイディア、技術を持つ若い人材を選 抜して支援する取組を開始する(産業技術総合研究所、新エネルギー・産業技術総合開発 機構等)。 これらにより、その選抜規模を年間70人程度から500人程度に5年間で拡大する。 Dスタートアップが集積するグローバル・スタートアップ・キャンパス⇒内外の大学の誘致を含め、スタートアップが集積するキャンパス作りを推進。 E創業時に信用保証を受ける場合に経営者の個人保証を不要にする等の制度の見直し⇒起業に関心がある層が考える失敗時のリスクとして、8割の方が個人保証を挙げている。創業時に信用保証を受ける場合には、経営者による個人保証を不要にする等、個人保証の在り方について見直す。 すなわち、経営者による個人保証を徴求しない創業時の新しい信用保証制度を創 設する等、金融機関が個人保証を徴求しない創業融資の促進措置を講ずる。 さらに、今後の中小企業金融の方向性の検討を行い、経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた施策を本年度内に取りまとめる。 FIPO(「Initial Public Offering」)プロセスの改革実行とSPAC(特別買収目的会社)の検討⇒日本におけるIPO1件当たりの調達額は、米国の3億ドル、欧州の2億ドルと比べて、0.6億ドルと小さい。また、日本のIPOでは、初値(上場初日に市場で成立する株価)が公開価格(上場時に起業家が株を売り出す価格)を大幅に上回っている (+9%)。このため、IPOによる起業家の資金調達額が相対的に小さい。 今回、スタートアップ企業の成長を積極的に支援していく観点から、本年4月に IPOプロセスの見直しを図ったところであり、これに基づき、証券業界や競争当 局による改革を実行する。 SPAC(特別買収目的会社)に関しては、導入した場合に必要な制度整備につい て、グローバル・スタンダードを踏まえて、投資家保護に十分に配慮しつつ検討を進める。 G事業化まで時間を要するスタートアップの成長を図るためのストックオプション等の環境整備⇒ディープテック(科学的な発見や革新的な技術に基づいて、世界に大きな影響を与える問題を解決する取り組み、13分野)など事業化まで時間を要するスタートアップや、グローバル展開 を含め長期間をかけて大きな成長を目指すスタートアップを後押しするため、スト ックオプション等の環境整備について検討。 H社会的課題を解決するスタートアップの環境整備として法人形態の在り方の検討⇒若い世代は、スタートアップの創業を検討する際、環境問題や子育て問題等の社会的課題の解決を目的にすることが多くなってきている。いわゆる社会的起業家の起業をサポートする観点から、民間で公的役割を担う新たな法人形態の創設を検討。 I従業員を雇わない創業形態であるフリーランスの取引適正化法制の整備⇒創業の一形態として、従業員を雇わない、フリーランスの形態で仕事をされる方が我が国でも462万人と増加している。他方で、フリーランスは、報酬の支払遅延 や一方的な仕事内容の変更といったトラブルを経験する方が増えており、かつ、 特定の発注者(依頼者)への依存度が高い傾向にある。 フリーランスは、下請代金支払遅延等防止法といった旧来の中小企業法制では対象とならない方が多く、相談体制の充実を図るとともに、取引適正化のための法制度について検討し、早期に国会に提出。 J未上場株のセカンダリーマーケットの整備⇒スタートアップが拙速に上場(IPO)することを強いられないよう、非上場のまま、時間をかけて成長することもできる環境を整備する。このため、既存株主が容 易に発行済み株式を取引(セカンダリー取引)できるようにすることが重要である。米国では、プロ投資家を対象に、民間事業者による発行済み非上場株式の売買を マッチングするオンラインプラットフォームが複数存在。このため、プロ投資家の対象範囲を拡大するとともに、証券取引所を通さず、証券会社が運営するシステムを使用して取引所のように取引できる私設取引システム(PTS)において、プロ投資家向けに非上場株式を取り扱うことを可能とする等の 制度整備を行う。 K海外における起業家育成の拠点の創設⇒ スタートアップが集積するシリコンバレー等に拠点を設け、起業を志す若手人材 を受け入れ、現地の投資家や起業家等から指導を受ける起業家育成プログラムを提供する。 L起業家教育⇒産業界の協力を得て、起業家を教育現場に派遣いただき、初等中等教育等におけ る起業家教育を推進する。また、高等専門学校・大学においては、AIやディープ テックの活用を含めた起業家教育を横展開する。 Mスタートアップ・大学における知的財産権の戦略の強化⇒スタートアップが大学の知的財産権を事業化する環境整備に向け、大学の国際特 許出願に対する支援強化、共有特許ルールの見直し、大学による株や新株予約権の取得に際しての制限の撤廃等を進める。
(2)付加価値創造とオープンイノベーション→既存企業について、売上重視から、新たな付加価値を創造する視点への転換を図る。 優良企業が成長率を維持することは簡単ではないが、最近の実証分析によると、 旧来技術を用いてきた既存企業でもスタートアップが持ち込む新技術を導入した場合、持続的に存続可能であることが分かってきた。 既存企業がスタートアップ等と連携するオープンイノベーションを後押しするた めに、経営不振の事業から撤退し、経営資源を成長性、収益性の見込める事業に投 入して、新陳代謝を進めていくことが重要。→ @事業再構築のための私的整理法制の整備⇒日本企業の債務残高は、コロナ禍前に比べ、70兆円以上増加。加えて、 債務の過剰感があると回答した企業のうち、債務が事業再構築の足かせになっていると回答した企業の割合は、大企業で32.3%、中小企業で34.5%にのぼる。 コロナ禍の収束が長引いた場合に事業再生を検討する可能性があると答えた企業 に対し、事業再生を検討する上で最も重視する点を聞いたところ、手続が現在の事 業・取引に影響を与えないこと(45.2%)、手続が簡潔で長期間を要しないこと (30.9%)、が重視されている。 欧州各国⇒我が国と異なり、倒産処理手続に加え、全ての貸し手の同意は必要とせず、裁判所の認可の下で事業再構築等に向けて多数決により権利変更 (金融債務の減額等)を行う制度も存在する。 コロナ後に向けた我が国企業の事業再構築を容易にするため、新たな事業再構築 のための法制度について検討し、早期に国会に提出する。 また、特に中小企業⇒中小企業活性化パッケージに基づき、全国3万 以上の認定支援機関による伴走支援を行うとともに、中小企業の事業再生等に関するガイドラインに基づき、経営者の退任を原則としない形での事業再生を推進する。 A既存企業のオープンイノベーションの推進のための税制等の在り方やルールの見直し⇒日本における事業会社によるスタートアップ企業に対する投資額は、欧米と比べ て極めて低い水準にある。スタートアップに対するM&Aの件数についても、日本は欧米に比べて極めて少ない。 スタートアップに投資し、さらに買収することが、スタートアップの出口戦略と しても、既存の大企業のオープンイノベーションの推進策としても重要である。このため、オープンイノベーションを促進するため、税制等の在り方をこれまでの効果も勘案し再検証。また、投資家保護に配意しつつ、M&Aを目的とする公募増資の円滑化に向け、来年の夏までに公募増資ルールの見直しを図る。すなわち、上場企業がM&Aを目 的として公募増資を行う場合、原則1年以内にM&Aを実行することや、実行され なかった場合の代替使途を公表することが日本証券業協会の自主規制において求められている。こうした自主規制がM&Aを実行するための公募増資を制限している との指摘がある。 B企業経営改革(マークアップ率向上、国際競争力向上) ⇒労働生産性は、売値マイナスコストを基礎とするため、コストが高い場合だけで なく、売値が低くても、生産性は低くなる。製造コストの何倍の価格で販売できているかを示すマークアップ率をみると、日本はG7諸国の中で最も低い。コストカットにより、いかに安く売るかではなく、新製品や新サービスを投入し、付加価値 をつけて適正な価格で売る、という価値観を国内に広める。 日本企業のマークアップ率と国際競争力の向上に向けて、経営改革を加速するた め、新興国企業との連携を通じた新製品・新サービスの創出による現地の社会的課 題解決と日本への逆輸入(リバースイノベーション)を進める。 C長期的視点で投資ができる企業環境の整備⇒新しい資本主義への変革の中で、価格競争による過当競争で短期的な収益を得よ うとする企業行動から脱却する。このため、320兆円ある企業の現預金を活用して、 重要分野への集中的な投資や研究開発を進めることで長期的な企業価値の向上を達成できる日本企業を目指す。引き続き企業統治改革を進めるとともに、投資家との コミュニケーションの円滑化を図るため、開示制度の充実を進める。 Dディープテック系スタートアップとのオープンイノベーションの促進⇒技術力はあるが実績がないスタートアップにとって、国による支援は実績作りのみならず、大企業とのオープンイノベーションの促進にも有効である(NEDO等)。 このような取組をディープテック系スタートアップ等で進めていく。

4.GX(グリーン・トランスフォーメーション)及びDX(デジタル・トランス フォーメーション)への投資
(1)GXへの投資
→ 気候変動問題は、新しい資本主義の実現によって克服すべき最大の課題。 2030年度46%削減、2050年カーボンニュートラルに向け、経済社会全体の大変革に取り組む。ウクライナ情勢によって、日本は、資源・エネルギーの安定的な確保に向けてこ れまで以上に供給源の多様化・調達の高度化等を進めロシアへの資源・エネルギー 依存度を低減させる必要がある。 エネルギーの安定的かつ安価な供給の確保を大前提に、脱炭素の取組を加速させ、エネルギー自給率を向上させる。そのため、徹底した省エネルギーを進めるととも に、再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の 高い電源を最大限活用する。再生可能エネルギー→S+3E(エネルギーの安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment)、安全性(Safety))を大前提に、 主力電源として最優先の原則の下で、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら 最大限の導入に取り組む。また、電力需給ひっ迫を踏まえ、同様の事態が今後も起 こり得ることを想定し、供給力の確保、電力ネットワークやシステムの整備をはじ め、取り得る方策を早急に講ずるとともに、脱炭素のエネルギー源を安定的に活用 するためのサプライチェーン維持・強化に取り組む。 脱炭素化による経済社会構造の大変革を早期に実現できれば、我が国の国際競争力の強化にも資する。
エネルギー安全保障を確保し、官民連携の下、脱炭素に向けた経済・社会、産業 構造変革への道筋の大枠を示したクリーンエネルギー戦略中間整理に基づき、本年内に、今後10年のロードマップを取りまとめる。→ @新たな政策イニシアティブ 国際公約達成と、我が国の産業競争力強化・経済成長の同時実現に向けて、今後 10年間に官民協調で150兆円規模のグリーン・トランスフォーメーション(GX) 投資を実現する(現状比で3倍増以上が必要との国際機関の試算もある)。 その実現のためには、民間企業が今後10年超を見通して、脱炭素に向けて野心的 な投資を前倒しで大胆に行うことが必須。このため、政府は、規制・市場設計・政府支援・金融枠組み・インフラ整備等を包括的に「GX投資のための10年ロードマップ」として示す。そのロードマップには、企業投資のための予見可能性を 大きく高め、多くのプレーヤー間の市場取引を最大限活用することを可能とする、 新たな5つの政策イニシアティブを盛り込む。 @)GX経済移行債(仮称)の創設⇒企業の予見可能性を高めるため、民間投資に対する「呼び水」として、長期民間 投資を強く促すとの国家意思を形あるものとして示し、それを活用しながらあらゆ る方策を駆使してGXを実現する必要がある。このため、政府は今後10年間のGX 促進のための支援資金を可及的速やかに先行して調達し、民間セクターや市場に政 府のコミットメントを明確にする。 今後10年間に150兆円超の投資を実現するため、成長促進と排出抑制・吸収を共 に最大化する効果を持った、「成長志向型カーボンプライシング構想」を具体化し、 最大限活用する。 同構想においては、150兆円超の官民の投資を先導するために十分な規模の政府 資金を、将来の財源の裏付けをもった「GX経済移行債(仮称)」により先行して 調達し、新たな規制・制度と併せ、複数年度にわたり予見可能な形で、脱炭素実現 に向けた民間長期投資を支援していくことと一体で検討する。 A)規制・支援一体型投資促進策⇒国による大規模かつ中期・戦略的な財政出動に当たっては、規制・制度的措置を 組み合わせて効果を最大化する。省エネ基準の強化等の規制的手法の活用や、水 素・アンモニア等の新たなエネルギーや脱炭素電源の導入拡大に際し、事業の収益 性や投資の予見可能性を高める新たな制度的枠組みを創設する。 B)GXリーグの段階的発展・活用⇒GXリーグについては、約440社(我が国のCO2排出量の4割以上)の賛同を得て、本 年度中に試行を開始し、来年度から自主的な排出量取引の推進やカーボンクレジッ ト市場の整備を含め本格的に取組を実施する等、将来的に大きく発展させる。 C)新たな金融手法の活用⇒国による大規模かつ中期・戦略的な財政出動等を呼び水として、世界のESG資 金を呼び込む。グリーン・ファイナンスの拡大に加え、トランジション・ファイナ ンスや、イノベーション・ファイナンス等の新たな金融手法を組み合わせる。 企業の情報開示の充実に加え、ESG評価機関の信頼性向上やデータ流通のため の基盤整備等を行う。 D)アジア・ゼロエミッション共同体構想など国際展開戦略⇒アジア・ゼロエミッション共同体構想の実現等により、アジア諸国の脱炭素化を 進めるための協力体制を強化するとともに、米国等の先進国ともクリーンエネルギー分野のイノベーション協力を進める。 以上の@)〜D)について、その具体化に向けて、本年夏以降に官邸に新設する 「GX実行会議」において議論・検討した上で、速やかに結論を得る。
A具体的な取組例 ↓
(水素・アンモニア
)→国産水素・アンモニアの大量導入も見据えつつ、国内・国外のサプライチェーン構築に向けて、他燃料との燃料価格差を早期に縮小さ せるための支援や、拠点整備の支援を行う。 (洋上風力等の再生可能エネルギー)→再生可能エネルギーについては、S+3Eを大前提に、主力電源として最優先の 原則の下で、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入に取り組む。 特に、洋上風力について、案件形成と浮体等のコスト削減、適正な環境影響評価を進めるとともに、国内サプライチェーン構築に向け新たなプレーヤーの参入加速、 国際標準化等を進める。 (CCS) →2030年までの事業開始に向けて、CCSを運営する事業者が負う法的責任の明確 化や事業実施に必要な支援措置を含めたロードマップを本年内に取りまとめ、法整 備を含め事業化の検討を加速させる。 (カーボンリサイクル)→合成燃料、SAF(持続可能な航空機燃料)、合成メタン、コンクリート、バイオ ものづくり等のCO2の有効利用を可能とする技術について、コストの削減に向けた 研究開発や製造設備の大規模化、利用時のCO2排出に係るルール整備等を進める。 (自動車)→将来の合成燃料の内燃機関への利用も見据え、2035年までに乗用車の新車販売を いわゆる電動車(電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車及びハイブ リッド自動車)100%とする等の目標に向け、購入・インフラ整備、蓄電池の国内製 造立地推進、中小サプライヤーの前向きな業態転換等に対する支援を行う。2050年 に生産・利用・廃棄を通じたカーボンニュートラルの実現に向けて、技術開発等を 通じて多様な選択肢を追求し、我が国の基幹産業である自動車産業が、引き続き国 際競争力を維持・強化し世界をリードしていけるよう、あらゆる施策を講じていく。 (住宅・建築物)→2025年度までに住宅・建築物の省エネ基準への適合を義務化するとともに、先進 的な省エネ投資を支援することで、2030年度以降新築される住宅・建築物→ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル) の水準の省エネ性能が確保されることを目指す。 (省電力性能に優れた半導体)→大量のデータを処理する計算基盤や増大するエネルギー量に対応するため、日米 連携を基軸とした先端半導体の研究開発と人材育成、電動化対応に不可欠な半導体 及び製造装置・素材の生産能力の増強を支援する。 (蓄電池)→蓄電池・材料の製造基盤を拡大するため、国内の設備投資強化や上流資源の確保、 戦略的な海外展開、次世代電池開発、人材育成等を支援。 (その他産業部門の脱炭素化)→産業部門の熱需要や製造プロセスの脱炭素化のため、産業用ヒートポンプなど既 に利用可能な技術・設備の導入拡大に向け、中小企業を中心に詳細なエネルギー診 断や設備投資を支援。鉄鋼産業や化学産業の電化やガス転換等のエネルギー転 換を進めるため、大規模な設備投資を引き出す支援を行う。 水素還元製鉄やCO2の分離・回収・利用をはじめとする産業構造の転換に資する 革新的な技術に加えて、次世代太陽電池、革新的地熱発電、革新原子炉(革新軽水炉、小型炉、高温ガス炉、高速炉等)といったエネルギー需給構造の転換に資する革新的な 技術開発・人材育成や産業基盤の維持・強化に向けた支援策を切れ目無く継続する ため、グリーンイノベーション基金の拡充等、支援策の強化を検討する。ITER 計画等の国際連携や民間企業の技術開発を通じ、核融合研究開発を着実に推進。 (地域・くらしの脱炭素化)→人材育成、財政支援等による地域の脱炭素トランジションへの投資を含む地域脱炭素加速化、ポイント制度等による消費者意識・行動変容、中小企業対策、森林吸収源対策、資源自律、循環経済移行、熱中症対策等を進める。
(2)DXへの投資→DXは新しい付加価値を生み出す源泉であり社会的課題を解決する鍵であるため、 X.1で記載のとおり、デジタル田園都市国家構想を推進する。また、分権型のデジタル社会の実現に向けて、X.2に記載のとおり、一極集中管理の仮想空間から多極化された仮想空間へ必要な環境整備を図る。これらに加え、DXへの投資について、下記の個々の政策を推進。→ @ポスト5G、6Gの実現に向けた研究開発→ ポスト5Gの情報通信システムの開発を進めるとともに、次世代の通信インフラ であるいわゆる6Gについては、2030年頃の導入を見据えて、ネットワークから端 末まで全てに光通信技術を活用することで、現在の100倍の通信速度と100分の1の 超低消費電力を実現する技術を5年程度で確立。 Aデジタル市場の環境整備→デジタルプラットフォーム取引透明化法に基づき、本年度に、規制対象事業者の デジタルプラットフォーム運営に係る評価を行い、その結果を公表する。また、同 法の対象にデジタル広告市場を追加する。 スマートフォンのオペレーティングシステムを供給するプラットフォーム事業者 等がデジタル市場における競争環境に与える影響について、最終報告の取りまとめ に向けて引き続き競争評価を行う。 Bクレジットカードのインターチェンジフィーを透明化→ クレジットカード加盟店の手数料の7割を占めるとされるインターチェンジフィ ー(クレジットカードでの決済があった際に、お店と契約する決済会社が、利用者と契約する 決済会社に支払う手数料)について、公正取引委員会が競争政策上望ましい行為と独 占禁止法上問題となる行為について明確化した。これを踏まえ、クレジットカード 会社に対し、インターチェンジフィーの標準料率の公開を求め、競争を促進する。 Cデジタルヘルスの普及 デジタルヘルスを普及するため、承認アプリを活用した際の診療報酬上の加算を 行う。また、ヘルスケア製品・サービスについて、自主的な認証制度の実施を支援 する。 Dマイナンバーカードの普及→デジタル社会のパスポートであるマイナンバーカードについて、健康保険証とし ての利用や運転免許証との一体化、スマートフォンへの機能搭載等により、国民の 利便性の向上を図るとともに、国際標準のセキュリティ認証を取得したシステム面 でのセキュリティ対策の安全性やメリットの周知を通じて、その普及を加速する。 E中小企業等のDX→ 中小下請企業については、取引適正化とともに、生産性の向上を通じた競争力の 強化が重要である。中小企業のDXを促進するため、経営課題を診断するツールの 普及、専門家による伴走支援、IT導入に対する支援を行う。 大企業についても、ルールの整備など基盤的な仕組みを整備する。 F医療のDX→ 全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化等及び診療報酬 改定に関するDXの取組を行政と関係業界が一丸となって進めるとともに、医療情 報の利活用について法制上の措置等を講ずる。そのため、政府に総理を本部長とし 関係閣僚により構成される「医療DX推進本部(仮称)」を設置する。 G建築・都市のDX→建築物の形状、材質、施工方法に関する3次元データ(BIM:Building Information Modeling)、都市空間における建築物や道路の配置に関する3次元モ デル(PLATEAU)、土地や建物に関する固有の識別番号(不動産ID)の活用を促 進する。 Hサイバーセキュリティ→ 大企業から中小企業までが含まれたサプライチェーン上の弱点を狙って攻撃対象 への侵入を図るサイバー攻撃が生じている。企業、行政機関等におけるセキュリティ人材の育成を進めるとともに、中小企業のセキュリティシステムの導入を助成し、 サプライチェーン全体でサイバーセキュリティを強化。中小企業が製造するIoT機器のサイバーセキュリティ対策を支援する。 また、サイバー攻撃が高度化・複雑化する中、サイバー攻撃対策やシステムの脆 弱性の分析能力を国が主導して強化する。

次回も続き「W.社会的課題を解決する経済社会システムの構築」からです。

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