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福祉サービス第三者評価事業の改善に向けて 〜福祉サービス第三者評価事業のあり方に関する検討会報告書〜 [2022年04月26日(Tue)]
福祉サービス第三者評価事業の改善に向けて 〜福祉サービス第三者評価事業のあり方に関する検討会報告書〜( 2022(令和4)年3月4日) 社会福祉法人 全国社会福祉協議会 福祉サービス第三者評価事業のあり方に関する検討会
20220304第三者評価検討会報告書.pdf
4. 今後に向けて 〜負のスパイラルから正のスパイラルへ
〇ここまで記載したとおり、制度創設から 20 年が経過し、福祉サービス第三者評価事業は 課題が山積している状況。早期に検討し、改善・見直しを図っていかなければ、 評価機関の撤退が続き、福祉施設・事業者が受審したいと思っても受審できない状況に陥っていくことになる。 まさに福祉サービス第三者評価事業の存続を考えるラストチャンスである。国として 早急に検討し、制度改善・予算措置を図ることが必要である。

(1)検討すべき事項
@福祉サービス第三者評価事業の意義・目的の再整理
〇国として、あらためて福祉サービス第三者評価事業をどう位置づけるのか、
本検討会に おいて整理した課題や方向性をふまえ、社会福祉施設・事業所・利用者それぞれの利便性を考慮しつつ、福祉サービス第三者評価事業の事業継続が可能になるよう、制度の抜的見直しを検討するべき。 その際には原理と現実が交差しているなかで、今日的に措置施設とそれ以外の施設・事業所の福祉サービス第三者評価の意義・目的をどう位置づけるのか、あらためて明確にすることが必要である。
〇検討会→設立当初の目的である @ 利用者の適切なサービス選択に資するための情報となること A 福祉サービス事業者が事業運営における具体的な問題点を把握し、福祉サービスの 質の向上に結び付けることを目的とすること に加えて、制度創設から 20 年が経過するなかで、「利用者の選択」と「福祉サービスの質の向上」をつなぐものとして B 利用者の「権利実現」を図るものであること という意味合いが強くなっていることから、福祉サービス第三者評価事業の意義・目的 を 3 つに整理し直してはどうかという整理が行われた。 国として、福祉サービス第三者評価事業の意義・目的を再整理する際には、この 3 つの目的についても検討することが必要である。
〇その際には、民間あっせん機関や児童相談所、一時保護所等の類似の制度まで「第三者 評価」とされている現状をふまえ、民間あっせん機関や児童相談所、一時保護所等の「第三者評価」と、福祉サービス第三者評価事業との関係性を整理することも必要である。
〇そして福祉サービス第三者評価事業の意義・目的を達成するためには、現在、福祉サービス第三者評価事業が抱えている課題をどう改善していくべきなのか、国として責任をもって検討し、具体的な制度改善を図ることが必要である。

A「ナショナルセンター(仮称)」の設置に向けた検討
〇福祉サービス第三者評価事業の課題を解決するためには、推進組織のあり方を見直すと ともに、「ナショナルセンター(仮称)」を設置し、都道府県で担うことが難しくなって いると考えているところは全国に機能を移管して事業展開できるよう、早急に検討する必要がある。
〇その際に、現実としては「ナショナルセンター(仮称)」に機能を移管するところと、都 道府県で推進組織を担っていくところが生じることが想定される。都道府県推進組織の意見をていねいに聴取するとともに、きちんと事業展開できるようにするために、「ナショナルセンター(仮称)」が担う役割・機能と、各都道府県推進組織が担う役割・機能に ついて、具体的に整理する必要がある。

B評価機関を存続させるためのビジネスモデルの検討
〇また、国として評価機関が安定的に評価を実施できる仕組みに関して検討を行う必要が ある。標準的な受審料はいくらなのか、評価調査者が継続して評価を行うことを可能に するためにはどうあるべきなのかを検討することが必要である。

C社会福祉施設・事業者の選択による評価の仕組みの導入に関する検討
〇検討会では、社会福祉施設・事業者のニーズに応えるためにも、共通評価基準の「V」 と内容評価基準等の内容評価に関する項目だけの受審など、メニューを選べるようにするべきだとの意見が出された。bを標準とする現在の評価のあり方も含め、メニューを選択できるようにしていくのか等、福祉サービス第三者評価事業の今後のあり方として検討する必要がある。 その際、このようにメニューを選択しての受審に対しては、都道府県推進組織や評 価機関等への影響も大きいことから、十分に意見徴収をして検討することが必要。

D 利⽤者の選択に資するための公表への改善
〇公表においては、利用者に対して、社会福祉施設・事業所の現状や特性、サービス等の 改善の取り組み等の評価内容をわかりやすく説明する工夫が必要。そのためには、 評価結果の「読み解き」等、利用者が理解しやすいような公表情報のあり方はどのよう なものなのか、検討する必要がある。
〇また、利用者の相談に対応する社会福祉士、介護支援専門員など専門職や、福祉事務所、ハローワーク、障害者相談事業者など相談支援機関で利用したい情報とはどのようなものか、新たな人材確保の観点からも、その公表の方法も含め、検討が必要。 その際に、利用者調査の実施や公表のあり方に関しても、あわせて検討する必要がある。

(2)「ナショナルセンター(仮称)」の担う機能・役割(試案)
〇検討会では、福祉サービス第三者評価事業の課題を解決するためには、「ナショナルセン ター(仮称)」を設置すべきであるという意見が多く出された。「ナショナルセンター(仮 称)」を設置することで、都道府県推進組織がこれまで担ってきた評価機関の認証や評価 機関・評価調査者の質の向上、評価基準や公表の統一性を図っていくことができ、福祉サービス第三者評価事業の負のスパイラルから脱することができると考えているからである。 〇具体的には、「ナショナルセンター(仮称)」が担う機能・役割については、以下のとお り考えられる。これまで、全国推進組織として全社協が行ってきた機能・役割に加え、 評価結果の質の標準化や「認定証」の発行、全国で評価を実施できる評価機関・評価調 査者の認証・取り消し、登録等の機能が考えられる。⇒図 8 「ナショナルセンター(仮称)」の担う機能・役割  P23参照。
〇「ナショナルセンター(仮称)」の具体像を検討するにあたって、病院機能評価や ISO の 仕組みを参照することができる。検討会では、公益財団法人日本医療機能評価機構およ び ISO については日本検査キューエイ株式会社にヒアリングにご協力いただき、現状に 至る経緯や実情に関し話を伺った。 病院機能評価⇒病院の組織横断的な質の改善活動を図るため、日本医療機能評価機構が一元的に評価調査者(サーベイヤー)の選考、研修を行い、評価結果の公表、認定証の発行等を行っている。評価料も主たる機能の審査で 495 万円という設定になっている。 ISO⇒国際規格に基づく適合性評価を行い、日本でいえば公益財団法人日本適合性 認定協会が認証機関や審査員評価登録機関を認定する仕組み。
〇福祉サービス第三者評価事業を本当に機能的に動かす仕組みにするためには、「ナショナ ルセンター(仮称)」を病院機能評価に近いかたちにしていくことが理想だが、そのためには権限・予算等が担保されないと実現は難しい。 また、前述したように東京都等、都道府県推進組織として事業展開をしているところも ある。このように都道府県推進組織として事業を引き続き行っていきたいと考えるところは、「ナショナルセンター(仮称)」とは並ぶかたちで独自性を発揮していただくこと が大切であると考えられることから、「ナショナルセンター(仮称)」を設置する仕組み を導入し、「ナショナルセンター(仮称)」と都道府県推進組織との機能的な重層体制を 構築するよう仕組みを検討する必要がある。
〇「ナショナルセンター(仮称)」の具体化にあたっては、「ナショナルセンター(仮称)」 と都道府県推進組織が担う役割・機能や生じる課題等について、十分に都道府県推進組織の意見を聞き、検討していくことが必要である。

(3)おわりに
〇福祉サービス第三者評価事業の今後に向けては、そもそも福祉サービス第三者評価事業 は何をするものなのかという原理論と、実際に 20 年の経過のなかで福祉サービスの質の 向上を図る役割を果たしてきたという現実論をふまえ、検討を行いながら、原理原則を再整理していくことが必要
である。なお、その際に福祉サービス第三者評価事業が、事業所および利用者、家族、社会にとって価値ある仕組みとして承認されるよう、周知を図り、普及させていくことが必要である。 国としてこれからの社会福祉施策や実施主体等の変化、複合化している利用者のニーズの変化等を見すえ、近未来に向けて福祉サービス第三者評価事業をどう再生させるのか、早急に検討し、制度改善を図っていくべきである。
今が、そのためのラストチャンス
である。

5. 委員名簿、検討経過
(1)委員名簿→9名。 オブサーバー:厚生労働省社会・援護局福祉基盤課
(2)検討経過→第1〜7回。第7回目は報告書(案)について(この報告書となる)

◆第三者評価活動の実践している者にとっては、まったくの同感。特に「B利用者の「権利実現」を図るもの」は、社会的養護はもちろん、すべての業種に当てはまるもの。「ナショナルセンター(仮称)」構想は今後の課題と思われるが、各都道府県との丁寧な「やり取り」が大切。ビジネスモデルの考えは今後の方向で非常に重要だと思われる。「公表について」は、誰をイメージしながらはたしていくのか、など全国の基準を社会的養護・それ以外の評価活動についても検討願いたい。⇒この報告書を次世代へ「つないでいく」のは? 期限はいつまで?、など、コロナ禍に負けないでバトンを渡していけるよう願いたいものです。

次回は新たに内閣府から「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」からです。

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