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第10回 成年後見制度利用促進専門家会議(web会議) [2021年09月13日(Mon)]
第10回 成年後見制度利用促進専門家会議(web会議)(令和3年8月23日)
≪議事≫@成年後見制度の利用の促進に関する施策の進捗状況(報告) A権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能に関する意見交換 B次期基本計画に係る中長期的な課題等に関する意見交換
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20446.html
◎資料3−6 青木委員提出資料
「現場からみた中・長期的な課題」↓
第1 今後の権利擁護支援全体の中における法定後見制度の位置づけ(グランドデザイン)
1 必要性・補充性の原則
判断能力が不十分な方への支援について、法定後見制度に関する欧州諸国の制度改正の方向は、代理権・取消権等による権利制約を前提とする法定後見制
度→本人の権利 や尊厳確保のための「必要性」や他に取るべき手段がないかの「補充性」の要件を原則とし、 本人の能力の最大限の発揮に向けた意思決定支援を優先させるようになっている(障害者権 利条約12条はさらに「最終的な資源」として限定する)。
日本の法定後見制度が、日常生活上の行為について取消権行使を認めず、また、後見人等の権限行使全般につき、本人の意思尊重と身上配慮義務を求めているのも、極めて限定的ではあるが、その発想の1つであった。また、利用促進基本計画において、本人の身上保護や 意思決定支援の充実を1つの柱にしてこれまで取組を進めてきたのは、そうした要請を運用 面において具体化しようとする要請であった。つまり、法定後見制度は、制度的には、代理権等の行使によって本人の権利・利益の保護を継続的にはかろうとするものであるが、そこ に身上保護への配慮や意思決定支援の実践を取り入れることで、本人の意思を中心にした 様々な支援者との連携の中で本人の支援をはかることを優先し、後見人等の判断に基づく代 理権等の行使をできるだけ抑制し、あるいは代理権等の行使の判断に本人意思を適切に反映 させようとする模索である。

2 現行制度の限界
しかしながら、日本の法定後見制度は、開始の要件として、必要性や補充性を原則としておらず、判断能力の程度だけに基づき、後見・保佐・補助の類型別の制度開始を行うことと なっており、特に、後見類型→利用の目的・必要性は、一時的な法的課題の対処 (たとえば遺産分割や虐待対応)であったり、身上保護上の重要な変動(たとえば施設入所) であったとしても、その課題が解決した後も、終身にわたり、広範で包括的な代理権が付与されつづける。保佐類型→代理権付与には本人同意や付与の必要性の検討がなされ、補助類型については開始自体に本人同意が求められ、同意権・取消権、代理権付与のい ずれについても本人同意や必要性の検討がなされるものの、一旦、開始審判と権限付与がなされると、容易にこれを変更することはできないため、開始時に設定された権限が、その必 要性がなくなった後も継続するという状況にある。 そして、意思決定支援が支援の現場で十分実践されないまま、法定後見制度が、判断能力 が不十分な方の福祉的なニーズに応える形で制度利用をされることで、ニーズへのミスマッ チや財産管理を中心とした包括的な代理権行使による弊害が指摘されるようにもなった。こうした事情が、法定後見制度という社会資源自体の評価に反映してしまい、利用を躊躇する要因にもなっていると思われる。
また、そうした福祉的ニーズに応えるために、専門職後見人や法人後見等に身上保護や意 思決定支援を充実させた職務が求められる一方、年金や生活保護等だけで生活する身寄りが なく本人支援に課題の多い事案や、虐待やセルフネグレクト事案が、市長申立や本人申立により急増する中で、これまで専門職団体や法人後見団体が自己犠牲的な対応を行ってきたも のが、地方だけでなく都市部においても限界を迎えつつある。

3 権利擁護支援における成年後見制度の位置づけ
権利擁護支援の中核が、地域社会における本人の「自律」した生活(自分の意思に基づき 必要な支援を受けながら生活を送ること)を実現するため
、本人の自己決定を中心とした日 常生活・社会生活の総合的な支援にあるとすれば、今後のあるべきグランドデザインは、福 祉サービスだけでなく、医療や金銭管理を含めた様々な日常生活上の支援を、支援つき意思 決定に基づき展開できる社会資源を各地域に充実させつつ、法定後見制度は、本人のために 代理権行使等が必要な場合に、必要な事柄につき、必要な時期に限って、適時・適切に利用 する(カジュアルな)制度と位置づけられるべき。必要性や補充性の原則により、利 用期間や権限行為の範囲を限定して利用する社会資源とすべき、それに向けた制度見直し・ 整備がなされることが求められる。 中・長期的課題の検討にあたっては、そして、次期の利用促進計画の策定にあたっては、 こうしたグランドデザインをしっかりと議論することが肝要である。 この観点から、まずは、医療・福祉サービスにおける意思決定支援に基づく支援の充実をはかり、金銭管理における日常生活自立支援事業等の広範な活用を展開し、地域における見 守りネットワークや死後の事務処理の支援も含めた新たな地域福祉の充実によって、高齢や 障害があっても、誰もが自律した生活を送ることができるような地域作りが各地で展開されることが期待される。
一方で、法定後見制度は、高齢者・障害者虐待対応やセルフネグレクト対応、消費者被害、 8050・ひきこもりを含む孤立・孤独支援等の本人の権利回復や尊厳確保のための重要な手段として、意思決定支援が充実した場合にも、その制度活用の必要性が高く求められる場面において引き続き重要。それに加え、法定後見制度は、本人をめぐる遺産分割の前 哨戦のような親族間紛争、遺産分割、離婚、交通事故、債務整理その他の法的紛争、自営業 や会社の事業承継や複雑に形成された資産の管理等といった、権利擁護支援とは別の要請に 基づく制度利用もしばしば必要とされる多面的な性格をもつ司法制度であるという側面も 看過できない。 こうした特性もふまえつつ、必要性と補充性の原則に基づき、法定後見制度が、本人ニー ズの必要・即応にかなう有期・限定的な制度として、すなわち、適時・適切に利用し・終了 することのできる(カジュアルな)制度への見直しが求められる。 そして、全国どの地域においても、適時・適切に法定後見制度のニーズに対応できる多様 な担い手を持続的に供給できる体制とそれを維持できるだけの安定した報酬体系の整備が 極めて重要であるとともに、本人が資力に欠ける場合でも普遍的に利用できるための適切な 報酬の国庫負担制度の確立が必要である。

4 適時・適切(カジュアル)な法定後見制度に向けた制度見直しの課題↓
 以上の観点から、今後、法定後見制度の制度見直しに向けて検討すべき課題として、次の 点が考えられる。

@ 開始審判における「必要性・補充性の原則」の導入→判断能力の程度だけで判断するのではなく、意思決定支援ではまかなえない本人の必要 性・補充性を制度利用の要件とし、開始審判や代理権付与を行うこと。
A 法定後見制度の3類型から類型の一元化へ→ 本人の判断能力の程度だけでなく、制度利用の必要性・補充性に基づき、個別に代理権付与等を設定することから、類型ごとの開始審判は適当ではなく、現在の補助の類型のように、同意権・代理権付与を個別に判断していく類型の一元化をはかること。
B 裁判所の職権による開始審判及び代理権付与審判の変更・取消→ 開始・代理権付与後、必要性や補充性がなくなった場合に、申立だけでなく、裁判所の 判断でも、柔軟に審判の取消を行うことができること。
C 各審判の有期化(もしくは更新制度)→開始、代理権・同意権付与、後見人等選任のいずれの審判についても、必要性・補充性、 担い手の適性等を定期的に審査し、制度利用継続の必要性を検討するため、審判期間を有 期化し、もしくは、更新期間を定め、定期的な評価の機会を制度的に保証すること。
D 帰責性のない解任事由への緩和と欠格事由の制限 ニーズに応じた適切な担い手への柔軟な交代を制度的に保障するため、裁判所による解 任事由を後見人等に不行跡がない場合にも拡大し、一方で、解任が一律に欠格事由となら ないように不利益を制限すること。 E 必要性・補充性と担い手を的確に評価しうる家裁の専門性の質・量の体制整備→こうした必要性・補充性を原則とした適時・適切な制度への見直しをはかった場合、そ の運用のためには、各家庭裁判所が、市町村や中核機関と緊密に連携しつつ、本人のニー ズを的確に評価し、それに応じた適切な担い手をマッチングし、本人の状況に応じた定期・ 随時の評価を行い、必要な監督機能も担える専門性と機動力をもった体制を整備すること が、今後の運用改善段階にも増して重要となる。これは行政において代替できる機能ではなく、家裁自身の機能強化の課題。そのため、各市町村・地域に身近な支部・出張 所の増設、社会福祉や権利擁護の専門性を有する職員やきめ細やかな事務処理を担えるだけの職員の増員など、質・量ともに抜本的整備をすること。
F ニーズに即応できる多様な担い手の持続可能な体制整備→専門職後見人、親族後見人、市民後見人、法人後見人等の担い手のそれぞれの特性、機 能、役割等を明らかにした上で、どの地域においても多様性をもって持続的に供給できる ための育成カリキュラムや人材確保のための基盤財源確保等の体制整備を行い、さらにセーフティネットとしての公的後見制度を全ての都道府県に整備すること。
G 適切な報酬確保と利用者負担の軽減→ 報酬基準と利用者負担を切り離し、車の両輪として整備を行うこと。すなわち、求められる担い手の質に応じた持続可能な供給体制の維持を可能とする適切な報酬基準の設定とともに、報酬の利用者負担については、民法862条の「被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。」との規定を見直し、本人の資力からの負担が 困難な場合に国庫負担を原則とする制度を確立すること。

5 4の前提となる意思決定支援に基づく社会資源の拡充→意思決定支援に基づく支援を優先させ、法定後見制度を必要性・補充性の原則に基づく適 時・適切(カジュアル)な制度とすることを実現するには、様々な場面及びステージにおいて意思決定支援に基づく支援制度が具体化され、定着することが不可欠である。 @ 福祉、居住、医療サービスだけでなく、金融・消費生活を含め、本人の意思決定支援と 合理的配慮による制度利用の最大限の確保。 A 日常的な金銭管理を支えるための日常生活自立支援事業の担い手の拡大を含めた拡充。 B 日常生活上の様々なサポートのための地域福祉による見守り支援。 C 任意後見制度を中核とした本人の意思に基づく後見制度の活用。 D 入院、入所、賃借や死後の事務処理を含めた家族代替機能のサポートの各地域実情に応じた整備。 E 濫用防止に配慮した本人意思に基づく任意代理の活用 (※本人の権利、尊厳確保のための厳格な要件における緊急事務管理)。

6 グランドデザイン下における意思決定支援と適時・適切な法定後見制度活用の典型事例ごとの展開イメージの検討→このような制度見直しの検討にあたっては、理念的・制度的な検討とともに、これまで権 利擁護支援や成年後見制度活用の事案とされてきた典型的な類型ごとに、どのような支援の 流れれにおいて、適時・適切な法定後見の利用と継続的・包括的な意思決定支援がなされて いくのかの展開イメージを具体的に共有することが肝要。 たとえば、以下のような典型活用事例について検討されることで、制度見直しのポイント と整備すべき資源などを具体的に検討することが進むと思われる。↓
独居高齢者支援/親なき後事案/金銭管理困難事案/本人対応困難事案(セルフネグレク ト含む)/虐待事案/消費者被害事案/多問題世帯事案/触法高齢者・障害者支援/長期入 院者退院支援/親族間紛争事案/法的紛争課題事案/

第2 適時・適切(カジュアル)な法定後見制度に向けた運用改善の取組み →第1で述べたように、次期の基本計画では、成年後見制度について法改正も含めた制度の 見直しを中・長期的課題と位置づけて検討を進めていく必要があるが、制度が改正されるま での間においても、制度の運用によって改善できる点は改善を進めていくべき。そう した運用改善の実践は、今後の制度改正のあり方を検討する上でも重要。 ここでは未整理ながら、いくつかの運用改善の取組みについて提案する。 ↓

1 本人ニーズに応じた選任・柔軟な交代の実現 ↓
○ 本人のニーズ、事案の特性に応じ、法定後見制度によってどのようなニーズを支援し、 また、そのためにはどのような担い手が適切かについての事案のアセスメントやマッチン グの目安・視点を、家裁、中核機関、担い手となる供給団体等において、具体的事案を通じて共有できるよう、家裁・支部ごとの取組みを進める

○ 個別事案において、申立時点における本人の課題の解消後の将来の担い手の交代を、予 め、裁判所、本人、支援チーム、担い手等で想定しておくような運用を行う
○ 後見人等のミスマッチ事案において、解任事由がない場合においても、裁判所が審問や 調査官調査などを通じ、本人のニーズと担い手の適格性を評価し、必要に応じ、現後見人 への「指示」等によって、後見人等の交代(辞任・選任手続き)を実現できる運用を行う

2 「必要性・補充性の原則」「類型の一元化」に向けて
○ まず、中核機関のもとでの個別事案のチーム支援において、その他の制度での支援では 難しく(補充性)、法定後見制度の利用を必要とするニーズがあるのか(必要性)のアセス メントを、根拠に基づき行う実践を展開する。
○ 日常生活自立支援事業から法定後見制度への移行の検討についても、単に判断能力の減 退だけではなく、移行することの必要性・補充性の検討を行う
○ 裁判所において、保佐の代理権付与における必要性を厳格に審査する
○ 裁判所において、補助の開始、代理権・同意権付与における必要性を厳格に審査する
○ 裁判所において、後見事案についても、代理権行使の必要性が余りなくなった事案にお いて、市民後見人・親族後見人へのリレーや日常生活自立支援事業の併用により、事実上、 意思決定支援による支援が優先される運用を行う
○ 裁判所において、判断能力の評価について、社会的能力(支援による意思決定の可能性) を重視することにより、後見から保佐・補助類型への柔軟な類型変更を行い、保佐や補助 については、必要のなくなった代理権・同意権の取消等を積極的に検討する

3 審判期間の有期化(もしくは更新期間の設定)に向けて
○ 開始審判時に
、付帯的な「指示」事項として、評価時期と評価すべき課題を定めておき、 その時期にケースカンファレンスを行って、制度利用の必要性や後見人等の適性を評価す る機会を設ける(たとえば、「1年後に遺産分割が終了することが見込めるので、その時点 における後見制度を必要とするニーズの有無とそれに相応しい担い手の見直しを行うこと」など)。 これにより、2の各運用を促す定期的な機会を確保することにもつなげる。

4 家庭裁判所の質・量両面での体制整備→ 法定後見制度のこうした柔軟な運用改善をはかっていくには、家庭裁判所には、都道府県 のみならず市町村(中核機関)との緊密な連携が求められ、家裁が各地域に出向いて共通認 識を醸成することや家裁自体が身近でアクセスしやすい存在になることが求められる。また、 意思決定支援や身上保護も含めた法定後見事務のきめ細やかな評価を行い、柔軟な運用へのイニシアティブを的確にとりえる専門性も求められる。こうした役割は市町村や中核機関だけに委ねられるものではなく、双方が共通認識のもと、それぞれの役割を担い合っていくも のであり、家裁においてそうした対応が可能となるよう、質・量の両面における人材確保・ 育成策が求められる。 以上

次回も続き「資料3−7 新井委員提出資料」からです。

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