令和元年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果 [2021年01月16日(Sat)]
令和元年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果(令和2年12月22日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000196989_00003.html ◎令和元年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に 基づく対応状況等に関する調査結果 ◯【調査目的】【調査対象】【令和元年度調査方法】参照のこと。 ◯【調査結果概要】 1.高齢者虐待判断件数等→養介護施設従事者等によるものが令和元年度で 644 件、前年度より 23 件(3.7%)増加したのに対し、養護者によるものは 16,928 件、前年度より 321 件(1.9%)減少した。また、市町村への相談・通報件数は、養介護施設従事者によるものが 2,267 件であり、前年度より 80 件(3.7%) 増加したのに対し、養護者によるものは 34,057 件であり、前年度より 1,826 件(5.7%) 増加した。表1、図1〜2【2〜6P、12〜14P】↓ 表1 高齢者虐待の虐待判断件数、相談・通報件数(平成 30 年度対比) 図1 養介護施設従事者等による高齢者虐待の 相談・通報件数と虐待判断件数の推移 図2 養護者による高齢者虐待の 相談・通報件数と虐待判断件数の推移 2.養介護施設従事者等による高齢者虐待→(1)〜(4)の参照。 (5)虐待の事実が認められた施設・事業所の種別→「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」が 190 件(29.5%)で最も多く、次いで「有料老人ホーム」が 178 件(27.6%)、「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」が 95 件(14.8%)、「介護老人保健施設」が 72 件(11.2%)であった。【6P】 (6)虐待の内容 ・ 養介護施設従事者等による虐待において特定された被虐待高齢者 1,060 人のうち、 虐待の種別では「身体的虐待」が 637 人(60.1%)、次いで「心理的虐待」 309 人(29.2%)、「介護等放棄」212 人(20.0%)であった。(複数回答)図3虐待の種別の割合参照【7P】 (7)被虐待高齢者の状況→1,060 人のうち、「女性」 741 人(69.9%)を占め、年齢は「85〜89 歳」が 249 人(23.5%)、「90〜94 歳」が 206 人(19.4%)であった。また、要介護度 3 以上の者が 803 人(75.8%)、被虐待高齢者の認知症日常生活自立度U以上の者が 804 人(75.8%)、要介護認定者のうち障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)A 以上の者が 610 人(57.5%)であった。【8〜9P】 (認知症との関係)→身体的虐待を受ける割合が 特に高い。 (要介護度との関係)→要介護度が重度になるほど「身体的虐待」の割合が高まる傾向 (日常生活自立度(寝たきり度)との関係)→身体機能が低下するほど「身体的虐待」の割合が高い傾向 (施設種別との関係)→「介護保険施設」や「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)・小規模多機能 型居宅介護」、「その他入所系」→居宅系と比べて「身体的虐待」や「介護等放棄」 が含まれる割合が高い。 「居宅系」→他の施設種別に比べて「心理的虐待」や「経済的虐待」が含まれる 割合が高い。図9【29P】 (8)虐待を行った養介護施設従事者等(虐待者)の状況→職種は「介護職」が 664 人(79.5%)。虐待者の性別は、「男性」が 437 人(52.3%)、「女性」が 361 人(43.2%)。男性・女性ともに「30 歳未満」の 虐待者の割合が介護従事者全体よりも高い傾向。 (9)虐待の事実が認められた事例への対応状況→市町村等の施設等への指導、改善計画の提出のほか、法の規定に基づく改善勧告、指定効力の停止等の対応が取られていた。 3.養護者による高齢者虐待 (1)相談・通報者→相談・通報者 36,730 人のうち「介護支援専門員」が 10,119 人(27.5%)で最も多く、 次いで「警察」が 10,007 人(27.2%)、「家族・親族」が 2,895 人(7.9%)。 (2)事実確認の状況 (3)虐待の発生要因 (4)虐待の内容→図13 虐待の種別の割合【15P】 (5)被虐待高齢者の状況→要介護認定者のうち障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)A 以上は 8,303 人(70.1%)↓ (認知症との関係)→図15 被虐待高齢者の認知症の程度と虐待種別の関係 (要介護度との関係)→図17 被虐待高齢者の要介護度と虐待種別の関係。図18 (日常生活自立度(寝たきり度)との関係) (介護保険サービス利用状況との関係) (6)虐待を行った養護者(虐待者)の状況→86.4%の被虐待高齢者が虐待者と同居。【18P】 (7)虐待の事実が認められた事例への対応状況→「虐待者から分離を行った事例」 (8)虐待等による死亡事例 4.自治体における高齢者虐待防止対応のための体制整備等について (1)市町村における高齢者虐待防止対応のための体制整備等について→令和元年度で「高齢者虐待の対応の窓口となる部局の住民への周知」が 1,492 市町村 (85.7%)で実施。一方、高齢者虐待防止ネットワークの構築のうち、介護保 険サービス事業者等からなる「保健医療福祉サービス介入支援ネットワーク」の構築への 取組が 888 市町村(51.0%)、行政機関、法律関係者、医療機関等からなる「関係専門機関介入支援ネットワーク」の構築への取組が 871 市町村(50.0%)と半数程度にとどまって いる。【24P】 市町村での 17 項目の取組状況と養護者による虐待における相談・通報件数及び虐待判断 件数との関係をみると、取組項目が多い市町村ほど高齢者人口比当たりの件数が多く、取 組項目が少ない市町村では高齢者人口比当たりの件数が少ない傾向であった。図 24【37P】 なお、市町村での 17 項目の取り組み状況と養介護施設従事者等による虐待の相談・通報 件数及び虐待判断件数の関係については、明確な関連性は見出せなかった。 (2)都道府県における高齢者虐待防止対応のための体制整備等について→市町村への支援(市町村職員等 の対応力強化研修)」は 43 都道府県(91.5%)で、「市町村への支援(権利擁護相談窓口の 設置)」は 35 都道府県(74.5%)で実施されていた。一方、「地域住民への普及啓発・養護 者への支援(養護者による虐待につながる可能性のある困難事例での専門職の派遣)」(実 施済み 7 都道府県)、「介護施設・サービス事業所への支援(身体拘束ゼロ作戦推進会議の 開催)」(実施済み 13 都道府県)などを実施している都道府県は限られていた。【26P】 次回は、「平成30年高齢期における社会保障に関する意識調査結果について」からです。 |