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第6回 障害児入所施設の在り方に関する検討会 [2019年12月29日(Sun)]
第6回 障害児入所施設の在り方に関する検討会(令和元年12月18日)
《議事》(1)障害児入所施設の在り方に関する検討会 報告書(案)について (2)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08451.html
◎資料1 障害児入所施設の在り方に関する検討会 報告書案(見え消し版)
今までの論議での「修正点」「付け加え」は、前回同様赤字で書かれています。
◎資料2 障害児入所施設の在り方に関する検討会 報告書案(とけこみ版)
1.はじめに
障害児入所施設→
平成 24 年に「福祉型」と「医療型」の2つに分類。平成 26 年7月「今後の障害児支援の在り方について」で、1)発達支援機能、2)自立支援機能、3)社会的養護機 能、4)地域支援機能、の4つが整理された。
障害児入所施設に入所する児童の状況→被虐待児(疑いを含む)の割合が3割を超えるなど、社会的養護を必要とする児童が多く含まれている。平成29年8月 「新しい社会的養育ビジョン」→障害児入所施設も社会的養護の役割を担っているという認識を深める必要もある、とされている。 これに加え、喫緊の課題→18歳以上の障害児入所施設入所者への対応(いわゆる 「過齢児問題」)。→福祉型については、現に18歳以上の入所者が1,500人 、障害児入所施設の指定を受けていることをもって障害者支援施設の指定基準 を満たすものとみなす措置が令和3年3月31日まで、この措置の在り方について検討する必要。
 本検討会では、以上のような経緯や状況等を踏まえつつ、現在の障害福祉施策や社会的 養護施策等の動向、さらには障害児入所施設の実態等を考慮して、上述の「今後の障害児 支援の在り方について」で整理された4つの観点を中心に、障害児入所施設の在り方に関する検討を行ったもの。これまで、関係団体からのヒアリングを含め、検討会を7 回、福祉型・医療型のワーキンググループを各4回にわたり開催し、議論を重ねてきた。 その結果としてここに報告書をとりまとめる。
2.障害児入所施設の現状
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室調べ→平成31年3月時点、施設数は福祉型が260施設、医療型が268施設、入所児童(18歳以上で引き続き入所している者を含む。)数は福祉型が6,944人 (うち18歳未満5,444人、うち18歳以上1,500人)、医療型が21,424人(うち18歳未満 3,283人、うち18歳以上18,141人)。 このうち、福祉型の多くを占める旧知的障害児入所施設について、18歳以上の入所児童数の推移→日本知的障害者福祉協会の調査によれば、平成24年時点1,809人であったものが、平成29年度には1,204人で減少傾向にある。 入所経路→福祉型、医療型ともに家庭からが最も多く、ともに過半数を超えている。続いて、福祉型は、児童相談所一時保護所、児童養護施設、乳 児院からの順となっており、医療型は、GCU(新生児治療回復室)、医療機関、他の医療 型障害児入所施設からの順となっている。
入所児童に占める被虐待児の割合→平成28・29年度厚生労働科学研究事業「障害児入所支援の質の向上を検証するための研究」報告書によれば、福祉型で3割から5割程度、医療型で1.5割から4割程度となっており、全体では3割強、 入所児童の措置と契約の割合を見ると、福祉型では、措置 66%、契約 34%。医療型では、 措置 29%、契約 71%。 家庭環境などを主に調査した入所理由→福祉型、医療型ともに、措置では虐待(疑いあり)が最も多くなっており、福祉型で43%、医療型で48%を占めている。 ついで、保護者の養育力不足→福祉型36%、医療型で35%。また、契約では、その他を除くと保護者の養育力不足が福祉型、医療型ともに最も多い。
入所児童の在籍年数→18 歳でみた場合、福祉型では、1年未満6%、1年以上 2年未満 11%、2年以上3年未満 24%、3年以上4年未満 11%、4年未満で約半数となっている。他方で、在籍年数が 20 年以上となっている 30 代、40 代、50 代の 入所者も一定数存在。また、医療型では、18 歳以上の入所者が多くなっている。
障害児入所施設における職員の配置→平成 28・29 年度厚生労働科学研究事業 「障害児入所支援の質の向上を検証するための研究」報告書によると、福祉型障害児入所施設の保育士・児童指導員の職員配置では「主として知的障害児」施設では、1.6:1〜2: 1 の配置が、「主として盲児又はろう児」では、2.6:1〜2:8:1 の配置が、「主として肢体不自由児」では、1.8:1〜2:1 の配置が一番多いという実態となっている。

3.障害児入所施設改革に関する基本的視点と方向性
「今後の障害児支援の在り方について」→「基本理念」として、「地域社会への参加・ 包容(インクルージョン)の推進と合理的配慮」「障害児の地域社会への参加・包容を子育て支援において推進するための後方支援としての専門的役割の発揮」「障害児本人の最善の 利益の保障」「家族支援の重視」の4つを基本的な視点。
(1)基本的視点

平成 28 年改正児童福祉法第1条で児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)の精神にのっとり、適切に養育されるべきことが規定され、第2条では子どもの最善の利益が優先して考慮されるべきことが規定。さらに、第3条の2において、子どもが家庭において健やかに養育されるよう、保護者を支援すること。ただし、子ども及び保護者の心身の状況、環境その他の状況を勘案し、家庭において養育することが困難又は適当でない場合は、家庭における養育環境と同様の養育環境で、それが適当でない場合には子どもはできる限り良好な家庭的環境で暮らすべきことが規定された。それは、子どもと特定の大人との愛着関係の形成こそが子どものその後の発達にとって最も重要であること、そして、何より、子どものウェルビーイングにそうした環境が不可 欠であることを示すもの。このことは、障害児童であっても例外ではない。 また、子どもの権利条約第6条第2項は、子どもの最大限の発達保障を規定し、第 20 条 では家庭環境を奪われた児童等の保護及び援助のあり方が、第 23 条では、障害を有する児 童に対する特別の養護及び援助のあり方がそれぞれ規定。さらに、障害者の権利に関する条約第7条では、障害のある児童の福祉に関する基本的視点が提示されている。障害児入所施設のあり方を検討する際には、まず、これらの視点を最優先すべき。 障害児入所施設に入所している児童のなかには、障害があるということに加え、何らかの理由により自宅で暮らすことができないほど極めて困難な状況下の家庭もある。こうした困難な状況にある障害児本人の最善の利益を保障する観点から、障害児入所施設の機能を考えることが必要である。
障害児入所施設→これまで、主に障害の重い児童を受け入れる役割を担ってきた。社会・経済環境の変化等を背景に、被虐待児も多くなっており、このような変化にも対応した機能を発揮していくことが求められている。 この間、社会的養護の分野→平成 29 年8月に「新しい社会的養育ビジョン」がとりまとめられるなど、社会環境の変化等に対応するための議論が積み重ねられてきた。他方で、障害児入所施設→障害児支援全般に着目した検討の中で言及されることはあったものの、障害児入所支援の在り方について必ずしも十分な議論やそれを踏まえた支援 の充実がなされてきたとは言い難い。 このため、先に述べた「今後の障害児支援の在り方について」で整理された4つの機能 (@発達支援機能、A自立支援機能、B社会的養護機能、C地域支援機能)が、実際に支 援の現場で発揮されるよう、取組を強化することが必要。これらの機能については 相互に関連するものであり、総合的に取り組むことにより、障害児入所支援の質の向上に つながるものである。
(2)基本的な方向性
@ ウェルビーイングの保障:家庭的養護

障害児支援においては障害の有無に関わらず児童福祉法第 1 条「児童の福祉を保障す るための原理」から子どもの生活が保障され、個々に応じた成長・発達・自立が図られる ことで、子どものウェルビーイングを向上させることが必要。子ども個々に応じたニーズを満たすためには、障害児入所施設においても、できる限り良好な家庭的環境の中で、特定の大人を中心とした継続的で安定した愛着関係の中での育ちを保障することでウェルビーイングの向上を目指す必要がある。
A 最大限の発達の保障: 育ちの支援と合理的配慮
子どもの最善の利益の保障という観点から、障害児入所施設→「子どもが育つ環境を整える子どもの施設」「子ども本人が望む暮らしを保障する施設」といった 幼児期からライフステージを通じて、子どもの育ちを支援すること、加えて発達段階、 障害特性に応じて個々に配慮した環境設定、支援を行う必要がある。
B 専門性の保障: 専門的ケアの強化と専門性の向上
障害児を取り巻く状況は家族背景まで含めると多様化してきており、障害児本人の状 態像も個人差がある。障害児支援→家族や周囲との関係性の観点で本人をとら えながら成長発達を中心においた関わりが重要な視点であるが、強度行動障害、医療的ケア、虐待等による愛着形成の課題など、ケアニーズの高い入所児童が多くなっており、 こうした複合的な課題を抱える障害児への更なる支援を図る必要がある。こうした課題に対応するために、医療機関との連携や医師・心理師等の専門職の配置の推進や専門性 を向上させる研修として強度行動障害支援者養成研修などが例として考えられるため、 更なる体制の整備や研修等により、専門性の向上を図っていく必要がある。
C 質の保障: 運営指針の策定、自己評価・第三者評価等の整備 支援の質を保障するという観点から
、障害児入所施設でも、児童発達支援及び放課後 等デイサービスガイドラインのように運営指針を作成しそれにそった運営、支援が行わ れる必要がある。それに合わせて、質の確保・向上を図るうえで外部からの視点を取り入 れることで運営、支援の透明性が担保され、施設が課題に気づき、質の改善を図っていく 上で重要であるため、自己評価、第三者評価の仕組みを導入する必要がある。
D 包括的支援の保障: 家族支援、地域支援の強化、切れ目のない支援体制の整備、他施 策との連携
・ 障害児の支援→当該障害児のみならず、家族への支援も重要。障害児本人の状態像や取り巻く環境等の影響から、子育てに不安や孤立感 を感じる家庭もあると考えられるため、地域全体で支える仕組みが重要である。障害児入所施設→短期入所や有期有目的の入所の利用も視野に入れ、施設入所中であっても、家族の実情を考慮しながら可能な限り、親子関係が維持できる支援を行う必要がある。このように、家族を孤立させないように、家族を含めたトータルな支援を行っていくという視点が大切である。
・ 不適切な養育や虐待の疑い等で保護された児童にあっては、施設での養育の後、 その後の家庭環境を児童相談所や関係機関とアセスメントを見直し、親子関係の再 構築等の家庭環境の調整や、家庭復帰後の虐待再発防止のための更なる親支援も必要である。
・ 障害児入所施設が地域の医療的ケア児や里親等を支える地域支援や、短期入所の 活用などによる地域の子育て支援の機能も重要。障害児入所施設においても 地域の児童発達支援センター等と連携し、地域の障害児と家族を支える中核的機能の役割を担う必要がある。これらの更なる家族支援、地域支援を図っていくことが必要である。
・ 子どもと家族が、入所前に地域で支援を受けていた段階から、入所時、入所中、 退所後と子どもと家族が、今まで暮らしていた地域から離れ、支援の内容が継続されなかったり、家族が孤立するなど不利益が起こらないよう、切れ目なく支援が継 続されることが必要である。 その支援体制としては、障害児入所施設だけではなく、市町村域、児童相談所を 含む都道府県等、また地域の障害福祉サービス事業所、学校等、関係機関が積極的 に関与し連携を図る必要がある。 これらの実現のためには、市町村域を基盤とした制度間の切れ目のない多機関・ 多職種連携による相補的なシステムづくり並びにそのシステムに基づく包括的で 継続的な支援を行える体制整備が必要である。
・ 地域を取り巻く課題が複雑化している昨今、また地域共生社会の実現を目指すと いう観点からも、障害児施策だけで完結するのではなく、母子保健施策、子ども子 育て支援施策、社会的養護施策等と連携をし、包括的に課題に対応していく必要がある。

4.施設種別ごとの課題と今後の方向性
(1)福祉型障害児入所施設の課題と今後の方向性
1)発達支援機能
@ 家庭的な養育環境の推進
障害児入所施設における支援
は、障害に対する正確な理解と、障害特性に応じた環境の提供に加え、できる限り良好な家庭的環境の中で、特定の大人を中心とした継続的で安定した愛着関係の下で行われる必要がある。より家庭的な環境として、里親やファミリーホームがある。これらに委託される児童の中には、障害児も多く含まれているため、ファミリーホームの活用を一層推進す るための検討をすべき。その際、障害に関する研修の実施など支援を強化することが重要。こ うした支援について、障害に関する専門性を有する障害児入所施設も一定の役割を担うことが期待される。
A 専門性の高い支援
愛着形成の課題や、強度行動障害など、ケアニーズの高い入所児童が多くなってお り、こうした複合的な課題を抱える障害児に対して特にきめ細かい支援が必要になる ことから更なる支援を図ることが必要。強度行動障害に関する研修の推進や、 強度行動障害児を受け入れた場合の更なる支援等により、職員の専門性を高めるための支援を強化すべき。 また、視覚障害、聴覚障害のある子どもには、環境整備や支援機器の適切な活用も大切。あわせて、医療機関や医師・看護師等の専門職との連携を強化すべきである。
B 教育との連携
教育の機会の保障は重要な観点である。一方福祉側から見た時には、日中活動の 一つである学校生活において学んだ対人関係のスキルや生活のスキル等が、施設の生活と方針の整合性がとれていなければ、子どもは混乱をしてしまう。このような観点 からも学校と施設の連携が重要。
3)社会的養護機能
@ 被虐待児等の増加を踏まえた支援力の強化
虐待を受けた子どもたちは
、愛着形成の課題や心の傷 を抱えていることが多い。適切な愛着関係に基づき他者に対する基本的信頼を獲得し、 安定した人格を形成していけるよう、また、子どもが心の傷を癒して回復していけるよう、専門的な知識や技術を有する者によるケアや養育が必要。 このため、支援力を強化する観点から、心理的ケアを行う専門職の配置の推進や、職 員に対する更なる研修等を行うべき。 また、被虐待児の支援を考えるに当たっては、児童相談所との連携が不可欠。 入所児童の親が、子どもの成長を共有できるような支援など、家族再構築に向けた支 援も含め、入所施設と児童相談所が、定期的に入所児童の状況や支援方針について情 報共有するなど、両者の連携を強化することが必要。 A 児童養護施設等との連携強化
障害児入所施設に被虐待児が多くなっている一方で、児童養護施設、乳児院や里親、 ファミリーホームでも多くの障害児を受け入れている現状があり、児童養護施設から 障害児入所施設への措置変更が一定数見られている。それぞれの施設等がこれまで積 み上げてきたノウハウや専門性をさらに高めていくとともに、お互いのノウハウや専 門性を学びあうことにより、新たな課題への対応力を高めていくことが求められている。
4)地域支援機能
・ 家庭支援専門相談員の配置の必要性→
現在は、入退所や外泊の調整等を職員が子どもに直接支援の業務を行いながら兼務 で行っているという現状があり、地域のニーズに十分に応えるだけのマンパワーが不 足しているため、家庭支援専門相談員の配置が必要である。 また、障害児の代替養育として里親、ファミリーホームに委託されていることも多 いことから、障害児入所施設が里親フォスタリング機関としての委託を受けるなど、障害児を委託されている里親やファミリーホームを支援する必要もある。
5)その他
・ 職員の配置基準
→職員の配置基準を引き上げる取組が順次進められている。専門職員の配置な どが異なるため単純な比較はできないものの、例えば、児童養護施設では就学期の基 本配置を6:1から4:1に引き上げることを目標とするなど、障害児入所施設の基 本配置を上回る目標水準となっている。他方で、障害児入所施設については、例えば、 旧知的障害児入所施設の基本配置は、昭和 51 年に 4.3:1となって以来、引き上げら れていない。 このため、福祉型障害児入所施設の基本配置について、子どもとして適切な愛着形 成を図る観点、また、ケアニーズの高い子ども達をより専門的できめ細かく支援する 観点からも質、量共に強化が必要である。少なくとも、児童養護施設の目標水準並み に引き上げを図るべきである。

(2)医療型障害児入所施設の課題と今後の方向性
1)発達支援機能
@ 福祉的支援の強化

医療型の入所児童は、一般的に、状態安定のための医療的な支援が日常的に必要不 可欠であるが、それとともに成長・発達のための福祉的支援を強化させていくことが 必要。一見反応が非常に乏しい児童であっても、適切な支援により周囲からの 働きかけを受け止め、意識し、感じ、表出につながっていく可能性があり、障害の軽重にかかわらず発達支援は重要である。 こうした福祉的支援を強化するためには、重度の障害児にとっての発達とは何かと いうことや、発達支援が重要であることの認識を職員間で共有することが重要であ る。あわせて、支援の主な担い手となる保育士等について、その配置を促進すべきで ある。 A 強度行動障害児等への対応
医療型→著しい睡眠障害(昼夜逆転)、自傷・他傷、著しい多動、異食 行動など、常に見守りが必要な入所児童が一定数存在。他方で、強度行動障害児特別支援加算は福祉型に限られているなど、医療型における対応困難事例に対す る更なる支援を図る必要がある。
B 医療的ケア児への対応
医療技術の進歩等を背景に医療的ケア児が増加している。医療的ケア児の中に は、歩ける児童や知的障害を伴わない児童もあり、この場合には重症心身障害児とな らないことが一般的である。現行制度では、重症心身障害児の判定を踏まえた報酬設 定となっている。このため、現在、障害福祉サービスにおける医療的ケア児の判定基 準について、厚生労働科学研究による研究が行われており、その研究成果も踏まえ、 こうした重症心身障害児以外の医療的ケア児に対する更なる支援を図る必要がある。
C 教育の強化
学齢期においては、訪問教育や院内学級等により教育が行われているが、子どもの 一生涯を見据え、子どもの状態に応じて、教育の強化を図ることが重要である。
D 家庭的な養育環境の推進
ユニット化等によりケア単位の小規模化を推進すべき。小規模化 を進めるにあたり、専門性の向上を目的とした研修を通して職員の質の向上への取り 組みや孤立化・密室化を防ぐための体制強化が必要になることから、小規模化に取り 組む施設に対する更なる支援を図るべきである。 また、入所中であっても家族との関係性が途切れないことが重要であるため、外泊 や面会を通した家族とのふれ合いの機会を確保するための支援が必要である。
2)自立支援機能
@ 児者一貫のもとでの発達・自立支援

医療型は、施設を移動することなく障害児入所支援と療養介護を一貫して サービス提供する仕組みが恒久化されており、入所児童が 18 歳になると療養介護に移 行するケースが多い。 一人一人により適切な支援を行う観点から、こうした移行が自動的に行われることなく、移行に当たっては改めて必要なアセスメ ントが行われることが必要。 このため、療養介護への移行に当たり、家族や地域、自治体、教育機関、相談支援 事業所、障害福祉サービス事業所、医療機関など関係者・関係機関が連携して、対象となる児童のアセスメントやその後の適切な支援の在り方について協議が行われるようにしなければならない。
A 地域生活への移行に向けた支援
医療型においても、在宅への移行に向け、週末や長期休暇などに外泊する取組が行 われており、保育士や児童指導員が支援に当たっている。他方で、外泊時の加算は福 祉型に限られているため、医療型における地域生活への移行に向けた更なる支援を図 る必要がある。 B 有期有目的支援の強化
期限を限って集中的なリハビリテーションを行う等の有期有目的の入所支援は、主 に肢体不自由児に対して活用がなされており、運動機能予後に違いを生ずるなど効果 を上げていることから、その一層の活用を促進すべきである。また、重症児に対し も、在宅移行に必要となる医療的ケアや遊び方、リハビリテーションを親等が体験す る機会となりうることから、自立に向けた支援としてその活用促進について検討すべ きである。また、その際には切れ目のない支援を継続するために地域生活への移行を 見据えた視点で支援することが重要である。
【11 月 22 日の福祉型ワーキンググループでの意見】→現在入所している既に 18 歳以上となっている入所者については、成人期にふさわしい 暮らしの保障と適切な支援を行うために、みなし規程の期限(令和3年3月 31 日まで) をこれ以上延長すべきではない。
3) 社会的養護機能
・ 被虐待児等の増加を踏まえた支援力の強化→愛着形成の課題と知的障害や発達障害との重複など、支援に当たり高い専門性が求められるケースも少なくない。このため、支援力を強化する観点から、心理的ケア を行う専門職の配置の推進や、職員に対する更なる研修等を行うべき。 被虐待児の支援を考えるに当たっては、児童相談所との連携が不可欠である。入所 児童の親が、子どもの成長を共有できるような支援など、家族再構築に向けた支援も 含め、入所施設と児童相談所が、定期的に入所児童の状況や支援方針について情報共 有するなど、両者の連携を強化することが必要である。
4) 地域支援機能
@ 短期入所を活用した支援について
→特に医療を必要とする障害児は利用できる事業所が地域によっては 限られていることから、医療型障害児入所施設が実施する短期入所の役割は大きいと考えられる。一方で、障害児の状態像・支援ニーズによっては福祉型での受け入れが 適切な場合もある。また、短期入所のニーズを踏まえると障害児入所施設以外の医療 機関が行う短期入所の取組の拡充も期待されるが、医療機関においては日中活動等の 療育や発達支援の提供に課題がある。 短期入所は単に家族のレスパイト利用だけに止まらず、障害児の育ちの保障とその家族が安心して豊かな生活が送れるよう、家族全般のニーズを把握し、サービスをマネ ジメントする必要がある。そのためには、施設単位で補うのではなく、障害児の状態像に応じて対応できる福祉型・医療型短期入所が地域の中で計画・運営されるよう、次期障害児福祉計画の中で明示すべきである。また、医療型短期入所を必要とする障害児→ニーズが多様化しており、適切な対応が望まれるため、体制を整備するうえでも、報酬の見直しも必要である。
A 通所支援の活用について→在宅障害児の日常生活を支援する上で、通所支援の役割は重要。特に乳幼児期 は早期療育の場でもあり家族にとっては障害受容や子育てを行う上での他家族との交流の場としても意義がある。医療型障害児入所施設は医療・看護・福祉等の機能を有しており、多角的なアプローチが可能。その有するノウハウを障害児とその家族へ の支援の場として通所支援の機能を保有し、支援の強化につながることを今後、更に期 待する。
B ソーシャルワーカーの配置について→ 個別の課題(生活上の課題)の解決に向けて、障害児とその家族が望む生活の実現 など個々の場面に応じて、様々な社会資源の間に立って、必要な支援を適切に結びつける役割を担うソーシャルワーカーの支援への介入は重要。 特に社会的養護においては被虐待児の家族をサポートする役割を医療型障害児施設は担っている現状もあり、被虐待児を地域に帰す時に、現存する社会資源の活用や改善までも含めた働きかけや、各専門職による多角的アプローチの総合調整など、中心 的役割を担っているのがソーシャルワーカー。配置等の促進について検討す べき。
(3)福祉型・医療型に共通する課題と今後の方向性
@ 契約入所と措置入所の整理
→制度上、契約によるものと措置によるものがあり、その考え方については、「障害児施設給付費等への支給決定について」(平成 19 年3月 22 日付け障発第 0322005 号)及び「障害児施設の入所に係る契約及び措置 の適用について」(平成 21 年 11 月 17 日付け障障発 1117 第1号)において整理されているが、入所児童に係る契約入所と措置入所の割合をみると、全国でばらつきが生 じている実態にある。 このため、上記通知を再度周知するとともに、全国の状況についてフォローアップ を行い、その状況について継続的に把握・共有すべきである。
A 質の確保・向上→入所支援は、繰り返す毎日の生活を支える営みであるがゆえに、ともすれば密室化 により支援の質が低下するおそれもある。このため、地域との交流機会の確保など、 施設を地域に開かれたものとする必要がある。 社会的養護の分野→支援の質の向上を図るため、施設種類別の運営指針や手引書が作成されるとともに、自己評価や第三者評価が義務づけられている。このほか、 施設長の研修が義務化されており、2年に1回以上の受講が義務づけられている。また、障害児福祉の分野→児童発達支援及び放課後等デイサービスについて ガイドラインが策定されている。 こうしたことを踏まえ、障害児入所施設についても、運営指針の策定や第三者評価 など、質の確保・向上を図る仕組みを導入することについて検討すべき。 その際には、現在、各施設で障害児一人一人に作成されている入所支援計画の内容と運営指針の内容とが整合性がとれるようにする必要がある。
B 権利擁護について→ 子どもの権利条約、障害者権利条約の批准、また児童福祉法の改正から子どもが権利 の主体であり、最善の利益が保障されることが記載されている。これらを受けて、障害のある子ども達の意見表明→支援を行う上で、より具体的な検討が求められている。そこで、「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」や、 社会的養護分野で導入の検討が進められているアドボケイト制度を参考に進めていく 必要がある。検討するうえでは、子ども自身が自分の成長を知るための権利を保障する ために、社会的養護分野で取り組まれている権利ノートなど好事例を収集するなどを 行うべき。 また、就学前については、入所児童と地域の児童がふれあう機会が少ないため、子ども同士の育ちあいを促進する等の観点から、入所児童と地域の児童との交流の機会を増やしていくべきある。
C 入所施設間の連携強化について→ 人口減少社会の進展により、地域に障害児福祉施設が少なくなり、遠方に入所され、 子どもの精神的安定や家族再統合等に支障が出る例も出てきている。これらの解消の ためには、医療の必要がなくなった児童について医療型障害児入所施設を経営する法 人が福祉型の地域小規模障害児入所施設(障害児グループホーム)(仮)を設置すること、 児童養護施設を経営する法人が地域小規模障害児入所施設(障害児グループホーム)を 併設できるようにするなど、施策間の連携を強化していくことが必要。さらに、 障害児入所施設がフォスタリング機関となって、障害児を受け入れる専門里親やファ ミリーホームなどを支援できるようにしていくことも必要とされる。 上記のような措置がとれるようになることで、例えば兄弟に障害がある場合に兄は 児童養護施設、弟は障害児入所施設へと地域を離れて別々に入所するようなことが起こらないようにすることが可能になる。地域の限りある資源を活用し、入所児童であ っても出来るだけ地域で育つことが出来る環境を整えられるよう検討すべきである。
D 他の障害福祉サービスや他分野の施策の柔軟な利用 入所児童については、原則として、児童発達支援や放課後等デイサービス、生活介 護といった他の障害福祉サービスを利用することができないが、発達の観点や生活の 広がり、また、退所後の生活を見据えると、こうした地域の障害福祉サービスを、入 所中から柔軟に利用できるようにすることについて検討すべきである。なお、その際 には、障害児入所施設と二重給付とならないように配慮する必要がある。
E 障害児入所施設の名称の変更→ 現在は、児童発達支援と変更。入所支援→障害児入所施設から児童発達支援入所施設(仮)等への変更が求められているため、名称の検討も必要。ただし、検討過程においては、外面的にどのよう な支援を行っている施設なのか、医療型と福祉型の区別も含めて考慮する必要がある。
F 都道府県・市町村の連携強化→入所児童の退所後の地域生活を支える役割は主として市町村が担うことになるが、 入所の措置権限は都道府県等が有しているため、両者の連携を図る必要がある。上に述べた関係者・関係機関による協議に、 児童相談所を含めた都道府県等や市町村も積極的に参画するとともに、入所施設とこれら自治体職員とが日頃から顔の見える関係を築くことが重要である。地域で子ども の支援を構築していくが、入所と同時に関わりがなくなり、また退所の時に新たに支 援を構築するという現状があり、子どもと家族が地域から孤立せず、安心して暮らせ るよう切れ目のない支援を行う必要がある。 また、社会的養護における議論とあわせ、入所の決定権限を市町村に付与すること により、入所前から退所後まで市町村が一貫して支援を行う体制とすることについても検討すべき。その際、市町村規模によっては単独での体制整備が困難なことも考えられるため、総合的な支援体制整備の観点から都道府県が市町村をバックアッ プできる体制を検討すべき。

5 まとめ →本報告書では、今後の障害児入所施設が進むべき方向性について全体的な議論を行った。これらの議論を踏まえ、厚生労働省では、第2期障害児福祉計画への反映や令和3年度障害福祉サービス等報酬改定において、必要な財源を考慮しつつ実現が図られるよう、速やかに検討すべきである。さらに、運営指針の策定など、研究が必要なものについては、 来年度の調査研究において着手できるよう検討すべきである。また、制度改正が必要とな る事項については、児童福祉法改正などの取り組みを強化する必要がある。
・ また、本検討会では、障害児入所施設も児童養護施設等と同様、社会的養護機能とし て地域のセーフティーネットの機能を発揮するべきという意見も出された。社会的養護施策と障害児入所施設の担当部局が異なるために、様々な関連施策の進展に差異が生じているという意見があった。厚生労働省においては、提言を受けて関係部局で施策をさらに一 層推進することが極めて重要である。これに関して障害児支援を担当する障害保健福祉部は、社会的養護施策を担当する子ども家庭局と共に施策を進めるべきである。 更に厚生労働省として、都道府県・市町村に対しても担当部局間の緊密な連携及び都道 府県・市町村間の連携を定期的に要請すべきである。さらに、教育等その他の分野との連 携の観点から、文部科学省等他省庁との連携も併せて進めるべきである。
・ これまで、障害児本人の最善の利益を保障することの重要性については「今後の障害児支援の在り方について(報告書)」に明記はされているが、障害児入所施設との関連性のなかで、これまで十分な検討がなされてこなかった。 この検討会が、障害児入所施設の果たすべき役割と機能を考えるとともに、日々障害児 支援に取り組んでいる方々の課題の改善につながり、そのことで、障害児と家族が安心し て子育てが出来る環境づくりが進むことが期待される。そして、障害児本人の発達を最大 限に保障すべきことに光が当てられることにより、子ども達自身が輝く存在になる後押し となることを願うものである。


次回は、「参考資料1 参考資料2 」からです。
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