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「平成29年度使用者による障害者虐待の状況等」 [2018年09月21日(Fri)]
「平成29年度使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表します(平成30年8月22日) 〜 通報・届出件数、虐待が認められた件数ともに増加 〜
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000345955.pdf
(厚生労働省では、今回の取りまとめ結果を受けて、引き続き、地方公共団体との緊密な連携を図りながら、使用者による障害者虐待の防止のために取り組んでいきます。)

【ポイント】
1 通報・届出のあった事業所数、通報・届出の対象となった障害者数はいずれも前年度と比べ増加。[P.31-(1)、(2)]

  ・通報・届出のあった事業所数        1,483事業所 (前年度比 12.7%増)
  ・通報・届出の対象となった障害者数    2,454人    (  同   44.6%増)

2 虐待が認められた事業所数※2 、虐待が認められた障害者数はいずれも前年度と比べ増加。[P.62-(1)、(2)]
・虐待が認められた事業所数  597事業所 (前年度比 2.8%増)
・虐待が認められた障害者数 1,308人 ( 同 34.6%増)

3 受けた虐待の種別※3※4では、経済的虐待が1,162人(83.5%)と最も多く、次いで心理的虐待が116人(8.3%)、身体的虐待が80人(5.7%)となっている。[P.72-(3)]


【取りまとめの概要】
1 取りまとめ期間→平成29年4月1日〜平成30年3月31日の間に通報・届出のあったもの、対応が完了したもの
2 取りまとめ方法→都道府県からの報告、労働局等への相談、その他労働局などの発見。
3 その他(人数・事業所数・件数などの数え方について)
・ ひとりの被虐待者に複数の障害(身体障害、知的障害、精神障害、発達障害)がある場合や、 複数の虐待(身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、放置等による虐待、経済的虐待)を受け ている場合は、重複計上しています。
・ 投書による通報や匿名での通報など、通報対象となった障害者の障害種別を特定することが 困難な場合は、障害者の人数のみを計上しています。
・ 虐待を受けていた障害者1名に対して複数の措置を労働局が実施した場合には、労働局が虐 待に対してとった措置の件数を重複計上しています。
・ 平成26年度までは、賃金不払事案の労働者の中に、障害者と障害者以外の労働者が含まれて いる場合は、障害者に対する賃金不払いを経済的虐待として計上していませんでしたが、平 成27年度からは、このような事案についても、障害者に対する賃金不払いを経済的虐待とし て計上するようにしました。このため、平成26年に比べ、平成27年度以降、経済的虐待の件 数が増加しています。

【虐待の定義】→身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、放置等による虐待、経済的虐待。

○平成29年度における使用者による障害者虐待の状況
1 通報・届出
(1)通報・届出の寄せられた事業所数(把握の端緒別)→労働局等 への相談(70.3%)
(2)通報・届出の寄せられた障害者数→2,454人(前年度比44,6%増)
(3)通報・届出の対象となった障害者数(障害種別・虐待種別)→@障害種別(精神障害、知的障害、身体障害、発達障害の順)、A虐待種別(経済的虐待(59.2%)、心理的虐待(25.5%))
【参考】第1表 虐待種別・障害種別障害者数(通報・届出の対象となった障害者)→知的障害、精神障害の順。
【参考】第2表 年度別・障害種別障害者数(通報・届出の対象となった障害者)→精神障害34.2%、知的障害33.3%の順。
【参考】第3表 年度別・虐待種別障害者数(通報・届出の対象となった障害者)→経済的虐待59.2%、一番多い。

2 都道府県労働局の対応結果
(1)虐待が認められた事業所数(把握の端緒別)→労働局等 への相談(52.8%) が多い。
(2)虐待が認められた障害者数→(前年度比34.6 %増)
(3)虐待が認められた障害者数(障害種別・虐待種別)→@障害種別(知的障害37.0%→精神障害 34.2%)→身体障害20.6%)の順で。)、A虐待種別(経済的虐待83.5%にも及ぶ)
【参考】第4表 虐待種別・障害種別障害者数(虐待が認められた障害者)→心理的虐待多い。
【参考】第5表 年度別・障害種別障害者数(虐待が認められた障害者)→精神障害多し。
【参考】第6表 年度別・虐待種別障害者数(虐待が認められた障害者)→経済的虐待多い。

(4)被虐待者の就労形態別内訳→正社員 562 (43.0%)、パート等 514 (39.3%)、その他。
【参考】 第7表 平成29年度 虐待種別・就労形態別障害者数(虐待が認められた障害者)→経済的虐待は正社員(43%)、 パート等((39.3%)
(5)虐待を行った使用者の内訳→事業主 519 (86.1%)、所属の上司 71 (11.8%)
(6)虐待が認められた場合に労働局がとった措置→労働基準関係法令に基づく指導等 1,204 (90.0%)、障害者雇用促進法に 基づく助言・指導等 98 (7.3%)、その他
(7)虐待が認められた事業所の業種・規模
@業種別→製造業 192 (32.2%)、医療、福祉 123 (20.6%)、卸売業、小売業 70 (11.7%)
A規模別→5〜29人 312 (52.3%)、5人未満 96 (16.1%)、30〜49人 82 (13.7%)

○平成29年度における使用者による障害者虐待の事例
・事例1
身体的虐待が認められた事例→障害者本人からの届出。 上司によって職場内の倉庫に閉じ込められることが複数回あった。使用者による身体的虐待であることが認められ、事業主が調査を行 い、再発防止策を講じていることから、公共職業安定所は引き続き適 切な対応を行うよう指導を行った。 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。

・事例2 性的虐待が認められた事例→障害者本人からの届出。 障害者は、上司から抱きつかれるなど体を触られることや、お尻を 叩かれるなどの性的虐待を受けた。使用者による性的虐待であることが認められたことから、雇用環 境・均等部(室)は、事業主に対し、男女雇用機会均等法に基づき、 セクシュアルハラスメントの被害者や行為者に対する措置を適正に行 うこと、再発防止対策について指導を行った。 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。

・事例3 心理的虐待が認められた事例→市役所から県庁を経由して労働局に報告された事案。 事業主が障害者に対し、仕事を適切に行っているにもかかわらず、 「何をやってるんだ!」「早くしろ!」と怒鳴るなど、度々威圧的な 態度をとる。使用者による心理的虐待であることが認められたことから、公共職 業安定所は、業務指導の一環との認識で行った行為であっても、著し い暴言等は心理的虐待に当たることを助言し、障害特性等を踏まえて 対応するよう指導した。 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。

・事例4 心理的・身体的虐待が認められた事例→障害者本人からの届出。 上司は、作業に時間がかかったり、一度教えてもらったことを覚え きれずに作業が遅れると、暴言や殴る、蹴るなどの暴力をふるうこと があり、恐怖を感じている。使用者による心理的・身体的虐待が認められたことから、公共職業 安定所は、当該上司への指導の徹底や再発防止、障害者に対しての言 動や雇用管理について、障害特性を踏まえ配慮するよう指導した。 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。

・事例5 身体的・心理的虐待と経済的虐待が認められた事例→市役所から県庁を経由して労働局に報告された事案。 事業主から作業が遅いことを叱責され、反論すると脇腹を殴られるこ とや、腰を蹴られ、襟をつかまれる等の暴行を受けた。さらに、「帰れ、 二度と来るな」と言われた。使用者による身体的虐待及び心理的虐待であることが認められたこ とから、公共職業安定所は、虐待の再発防止について指導を行った。 さらに、調査時に時間外労働に対する割増賃金の不払いに係る経済 的虐待の疑いも認められたため、労働基準監督署が監督を実施したと ころ、経済的虐待が認められたため、是正勧告を行った。 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。

・事例6 経済的・心理的虐待が認められた事例→障害者本人からの届出。 採用の際、「健常者なら時間給900円だが、障害者だから800円だ」と 言われ同意してしまった。しかし、納得できないと考え、使用者に賃金 額の見直しを申し出たが、改善してもらえなかった。事業主に対し て改善を指導したところ、採用時に遡って時間給を900円とし、支払い を行った。 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供した。

・事例7 経済的虐待が認められた事例→労働基準監督署による発見。 障害者の約定賃金(時間額)が地域別最低賃金額(時間額)を約100 円下回っていた。最低賃金法違反の理由は、最低賃金の減額特例許可をこれまで受けて いたが、許可更新を失念していたとのことである。 使用者による経済的虐待であることが認められたことから労働基準監 督署は最低賃金額との差額の支払いを指導した。 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。

・事例8 経済的虐待が認められた事例→労働基準監督署による発見。 障害者の約定賃金が月額11万円で、時間額にすると地域別最低賃金額 (時間額)を約200円下回っていた。最低賃金法違反の理由は、地域別最低賃金額の確認を怠り、障害者の 入社時の最低賃金額から変更していなかったことである。使用者による 経済的虐待が認められることから、労働基準監督署は最低賃金額との差 額を支払いを指導した。 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。


○参考1 障害者虐待防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律の概要
・目的、定義、虐待防止策(養護者、福祉施設、企業などの使用者)、その他(市町村障害者虐待防止センター、都道府県障害者権利擁護センターの機能を果たす。)

○参考2 使用者による障害者虐待が行われた場合などの対応
1)都道府県に通報・届出が寄せられた場合→都道府県は労働局へ報告を行う。 市町村に通報・届出が寄せられた場合、市町村は都道府県に通知を行い、都道府県から労働局に報告がなされる。 報告を受けた労働局は、労働基準法、障害者雇用促進法、男女雇用機会均等法など所管する法令に基づき、所轄の労働局、労働基準監督署ま たは公共職業安定所の職員が事業所に出向くなどして、調査や必要な指 導を行う。

2)労働局に直接、通報・届出が寄せられた場合→ 労働局(労働基準監督署、公共職業安定所含む)に直接、使用者による障害者虐待の通報・届出が寄せられた場合、労働局は都道府県に情報提供する一方、都道府県からの報告があった場合と同様に調査や必要な 指導を行う。

次回は、「平成29年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数<速報値>」からです。
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