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平成30年版 子供・若者白書(概要版)(PDF版) [2018年08月29日(Wed)]
平成30年版 子供・若者白書(概要版)(PDF版)
http://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h30gaiyou/pdf_indexg.html
第3章 困難を有する子供・若者やその家族の支援
第1節子供・若者の抱える課題の複合性・複雑性を踏まえた重層的な支援の充実

3 非行・犯罪に陥った子供・若者の支援等
⑴ 総合的取組
(家庭、学校、地域の連携)
→多様化、深刻化している少年の問題行動の個々の状況に着目し、的確な支援を行うため、学校、警察、児童相談所、保護観察所といった関係機関が「サポートチーム」を構成し、適切な役割分担の下に連携して対処。 ○警察署の管轄区域、市町村の区域等を単位に、全ての都道府県で学校警察連絡協議会が設置されている。また、非行少年、不良行為少年その他の健全育成上問題を有する子供に関する情報を警察・ 学校間で通知する「学校・警察連絡制度」が各地で構築されている。警察は、退職した警察官などをスクールサポーターとして警察署などに配置するとともに、学校からの要請に応じて派遣するなどしている。
・「更生保護サポートセンター」では、保護司が駐在し、様々な関係機関・団体と協力し、保護観察を受けている人の立ち直り支援や、非行防止セミナー、住民からの非行相談等を行っている。
・少年鑑別所は、「法務少年支援センター」として、少年や保護者などの個人からの相談に応じて情報の提供・助言等を行っている。

⑵ 非行防止、相談活動等
(非行少年を生まない社会づくり)
→警察は、少年の規範意識の向上及び社会との絆の強化を図るため、「非行少年を生まない社会づくり」の取組を全国的に推進している。
(非行防止教室)→警察は、職員の学校への派遣や少年警察ボランティアなどの協力により、非行防止教室を開催。法務省は、非行問題に関する豊富な知識や保護観察対象者に対する処遇経験を有する保護司が、直接小・中学校へ赴き、非行問題や薬物問題をテーマにした非行防止教室を開催したり、問題を抱えた子供への指導方法などについて教師と協議することを通じて、小・中学生の犯罪・非行の未然防止と健全育成を図っている。
(相談活動)→青少年センターでは、相談活動や街頭補導、有害環境の適正化に関する活動が行われている。警察では、相談窓口を設け、少年補導職員や警察官などが、必要な指導や助言を行っている。また、電話相談窓口「ヤングテレホンコーナー」を設置、FAXや電子メールによる相談も受け付けるなど、相談者が利用しやすい環境の整備を行っている。 法務省は、人権擁護委員や法務局・地方法務局の職員による相談対応を行っている。また、少年鑑別所でも、「法務少年支援センター」として保護者や学校関係者などからの相談に応じている。「更生保護サポートセンター」でも、保護司が親などからの相談に応じている。 (補導活動)→警察は、全国に設置された少年サポートセンターを中心として、少年警察ボランティアなどと連携し、繁華街や公園といった非行が行われやすい場所に重点を置いて、家出少年などの発見・保護活動及び深夜はいかいなど不良行為少年に対する補導活動を推進し、問題行動を早期に発見して、少年及びその保護者に対する的確な助言・指導を行っている。
(事件の捜査・調査)→警察は、非行少年を発見した場合は、必要な捜査や調査を行い、検察官や家庭裁判所、児童相談所といった関係機関へ送致または通告するほか、その少年の保護者に助言を与えるなど、非行少年に対して適切な指導がなされるよう措置。
・検察官→警察からの送致などを受けて必要な捜査を行い、犯罪の嫌疑があると認めたときは、事件を家庭裁判所に送致する。その際、処遇に関する意見を付している。
(非行集団対策)→警察は、非行集団の実態把握を徹底し、取り締まりによる、非行集団の弱体化と解体、少年の非行 集団及び暴力団への加入阻止や離脱支援、暴走族対策などの取組を推進している。

⑶ 薬物乱用防止 (図表 13 薬物事犯で検挙された 30 歳未満の者)
政府→「第四次薬物乱用防止五か年戦略」(平成25年8月)及び「危険ドラッグの乱用の根絶のための緊急対策」(平成26年7月)に基づき、薬物乱用の根絶に向けた総合的な対策を推進している。
・内閣府→薬物乱用の危険性や正しい知識を 青少年に分かりやすく伝えるため、薬物乱用 対策マンガを作成して内閣府ホームページに掲載したり、相談窓口の周知を図るなどの啓 発活動を推進している。
・警察→薬物密輸・密売組織の実態解明及び その壊滅に向けた取締り、関係機関との連携 による水際対策の強化などにより、薬物供給を遮断するとともに、規制薬物や指定薬物の乱用者の徹底検挙、子供に対する薬物乱用防止教室、 大学生や新社会人に対する薬物乱用防止講習会などを行い、薬物需要の根絶を図っている。
・法務省→少年院において、薬物に対する依存のある者を対象に、薬物非行防止指導を実施。刑事施設では、麻薬や覚醒剤などの薬物に対する依存がある受刑者を対象に、薬物依存離脱指導を実施している。保護観察所では、保護観察に付されている者に対し、自発的意思に基づく簡易薬物検出検査を実施するとともに、一定の条件を満たした者に対して認知行動療法などに基づく薬物再乱用防止プログラムを実施している。
・文部科学省→小学校、中学校、高校において薬物乱用防止教室を開催。また、薬物乱用防止に係る啓発資料を作成し、広く配布している。
・厚生労働省→インターネットを利用した密売事犯や外国人による密売事犯などに対する取締りの強化、危険ドラッグの指定薬物への迅速な指定、検査命令及び販売等停止命令の実施、危険ドラッグのインターネット販売店についてプロバイダなどに対して削除要請、地域における薬物乱用防止・薬物依存症に関する相談体制の充実、医療提供体制の充実等を実施している。

⑷ 少年審判
(受理の状況)→平成29(2017)年における少年保護事件の全国の家庭裁判所での新規受理人員は、73,353人であった。
(処理の状況)→平成29(2017)年における少年保護事件の既済人員は74,441人、終局決定別にみると、審判不開始が38.4%と最も多く、次いで保護処分が22.7%
となっている。

⑸ 加害者に対するしょく罪指導と被害者への配慮
(被害者への情報提供などの様々な制度や取組)
・警察は、捜査状況などに関する情報を可能な限り被害者などに提供するように努めている。
・法務省は、検察庁において、被害者に、事件の処理結果などの情報を提供している。少年院、地方 更生保護委員会、保護観察所において、少年院での処遇状況に関する事項や仮退院審理に関する事 項、保護観察の開始・終了や保護観察中の処遇状況に関する事項を通知している。
(被害者の心情を踏まえた適切な加害者処遇)
・少年院や少年刑務所等では、「被害者の視点を取り入れた教育」が意図的・計画的に実施されるよ う、矯正教育や改善指導の充実に努めている。
・保護観察でも、少年が自らの犯罪と向き合い、犯した罪の大きさや被害者の心情などを認識し、被 害者に対して誠意をもって対応していくことができるようになるための助言指導を行っている。

⑹ 施設内処遇を通じた取組等
(少年鑑別所)
・法務省は、再非行の可能性及び教育上の必要性を定量的に把握する「法務省式ケースアセスメント ツール(MJCA)」を効果的に活用し、再非行防止に資する鑑別の充実に取り組んでいる。 (少年院・少年刑務所等)
・少年院では、少年の特性に応じた矯正教育の目標、内容、期間や実施方法を具体的に定めた個人別 矯正教育計画を作成し、きめ細かく処遇を実施している。
(児童自立支援施設)
・厚生労働省は、児童自立支援施設運営指針などにより、児童自立支援施設の質の確保と向上を図っ ている。

⑺ 社会内処遇を通じた取組等
(少年院からの仮退院、少年刑務所等からの仮釈放)

・保護観察所は、引受人などとの人間関係や出院・出所後の職業などについて調整を行い、受入体制 の整備を図っている。
(保護観察)
・複雑かつ困難な問題を抱えた少年に対しては、保護観察官による直接的関与の程度を強めるなどに より、重点的な働き掛けを行っている。
(処遇全般の充実・多様化)
・法務省は、少年院において処遇ケース検討会を実施することなどにより、保護処分の適正かつ円滑 な執行を図っている。
・「刑法等の一部を改正する法律」(平25法49)により、「更生保護法」に基づく保護観察の特別遵 守事項の類型の一つに、社会貢献活動に関する規定が加えられ、平成27(2015)年6月に施行された。 ⑻ 非行少年に対する就労支援等
・少年院や少年刑務所等は、処遇の一環として、就労に対する心構えを身に付けさせ、就労意欲を喚 起し、各種の資格取得を奨励している。また、ハローワークなどとの連携による就労支援を実施し ている。
・保護観察所は、矯正施設や家族、学校と協力し、出院・出所後の少年の就労先の調整・確保に努め ている。協力雇用主に対する支援の強化として、平成27(2015)年度から「就労・職場定着奨励 金」及び「就労継続奨励金」の支給を実施している。
・ハローワークは、少年院や少年刑務所等、保護観察所と連携して、出院・出所予定者や保護観察に 付された少年を対象とした就労支援を推進している。
・厚生労働省は、施設などを退所した若者に対し、日常生活上の援助や就業支援を行う「自立援助 ホーム」(児童自立生活援助事業)の充実に努めている。

4 子供の貧困問題への対応(図表15 児童のいる世帯の状況、図表16 ひとり親家庭の現状)
・「子どもの貧困対策の推進に関する法律」(平25法64)を踏まえ、政府は、平成26(2014)年8 月に子供の貧困対策に関する基本的な方針をはじめ、子供の貧困に関する指標、指標の改善に向けた当面の重点施策、子供の貧困に関する調査研究等及び施策の推進体制等を定めた「子供の貧困対策に関する大綱」を策定、子供の貧困対策を総合的に推進する。
(教育の支援)→文部科学省では、幼児期から高等教育段階まで切れ目のない形での教育費負担の軽減に取り組んでいる。厚生労働省は、「生活困窮者自立支援法」(平25法105)に基づき、生活保護受給世帯の子供を含 む生活困窮家庭の子供に対する学習支援事業を制度化し、貧困の連鎖の防止のための取組を強化している。また、平成30(2018)年度より、高校を中退した人、中学卒業後進学していない人などを含む「高校生世代」や小学生等に対する支援の拡充に取り組んでいる。

(生活の支援)→厚生労働省では、平成28(2016)年度は、相談窓口に関する分かりやすい情報提供やスマートフォンで検索できる支援情報ポータルサイトの活用等による相談窓口への誘導の強化を行いつつ、ひとり親家庭の相談窓口において、子育て・生活に関する内容から就業に関する内容まで、 ワンストップで寄り添い型支援を行うことができる体制を整備し、総合的・包括的な支援を行う体 制整備を行った。放課後児童クラブ等終了後にひとり親家庭の子供の生活習慣の習得・学習支援や食事の提供等を行うことが可能な居場所づくり、母子父子寡婦福祉資金貸付金による経済的支援、保証人なしの場合に有利子となる資金の利率の引下げを行った。
(保護者に対する就労の支援)→厚生労働省では、平成29(2017)年度、自立支援教育訓練給付金について、雇用保険の受給資格があり、一般教育訓練給付(費用の2割:上限10万円)の支給を受けることができるひとり親に対しても、費用の6割(上限20万円)との差額を上乗せして支給することとした。平成 30(2018)年度においては、高等職業訓練促進給付金の支給を受け、准看護師養成機関を卒業した者が、引き続き、看護師の資格を取得するために、養成機関で修学する場合には、通算3年分の給付金を支給する。
(住宅の支援)→国土交通省は、低廉な家賃での公的賃貸住宅の供給の促進、子育て支援施設等の併設による公的賃 貸住宅団地の福祉拠点化への支援などを推進している。
(経済的支援)→厚生労働省は、児童扶養手当について、平成30(2018)年8月支給分から全部支給に係る所得制限限度額を30万円引き上げるとともに、手当額の算定基礎となる所得額から、公共用地の取得に伴う土地代金等を控除する見直しを行う予定としている。また、支払回数について、現行の年3回 から年6回に増やすための関連法案を提出した。

(官公民の連携した取組)→内閣府、文部科学省、厚生労働省及び独立行政法人福祉医療機構は、官公民の連携・協働プロジェ クトとして「子供の未来応援国民運動」を推進、各種支援情報の発信や支援活動を行う団体とその活動をサポートする企業等とのマッチングの推進、民間資金を活用した「子供の未来応援基金」による草の根で支援を行うNPO等に対する支援等を行っている。本基金については、平成 29(2017)年度末時点で約9億7,300万円の寄付が寄せられ、平成28(2016)年秋の第1回支援に続き、平成30(2018)年1月に第2回支援として、公募に申請のあった352団体から、基金事業審査委員会による審査等を経て、79団体を選定し、同年4月からの活動に支援金を交付することが決定された。
・また、内閣府では、「地域子供の未来応援交付金」により、地方自治体が地域の実情に応じて子供の貧困対策を進めていくため、関係行政機関、企業、NPO等との地域ネットワークを形成するための取組を支援。平成29(2017)年度においては、居場所づくりや相談窓口の設置等子供たちと「支援」を実際に結び付ける事業を実施する過程を通じて、関係行政機関等による連携体 制を深化させる事業の実施を可能とするなど、より効果的な事業となるよう見直しを行った。

5 特に配慮が必要な子供・若者の支援
⑴ 自殺対策
→政府では、「自殺対策基本法」(平18法85)に基づく「自殺総合対策大綱」(平成24年8月閣議決定)について、平成28(2016)年から見直しに向けた検討に着手し、「新たな自殺総合対策大綱の在り方に関する検討会」が開催され、平成29(2017)年5月に報告書が取りまとめられ、ICT も活用した若者へのアウトリーチ策の強化を含め「若者の自殺対策の更なる推進」等が提言された。報告書等を踏まえて、新たな大綱の素案がまとめられ、パブリックコメントを経て、同年7月 25日、自殺総合対策会議において大綱の案が策定され、同日、閣議決定された。新たな大綱では、重点施策の一つとして、「子ども・若者の自殺対策を更に推進する」ことが掲げられた。特に若者は、自発的には相談や支援につながりにくい傾向がある一方で、インターネット やSNS上で自殺をほのめかしたり、自殺の手段等を検索したりする傾向もあると言われ、そのため、ICTを活用した若者へのアウトリーチ策の強化を始め、インターネット(スマートフォン、携帯電話等を含む。)を活用した支援策に係る情報提供の強化などにも取り組んでいくこととなっている。

⑵ 外国人の子供や帰国児童生徒の教育の充実等→文部科学省は、外国人の子供の公立学校への受入れや帰国児童生徒を含む日本語指導が必要な児童生徒の教育の充実に当たって、対象児童生徒の数に応じて教員数を算定できるよう、基礎定数化の実施等を行っている。

⑶ 定住外国人の若者の就職の促進等→ハローワークでは、日系人を中心とした定住外国人の若者の就職を促進するため、就業支援ガイダンスを実施している。

⑷ 性同一性障害者等に対する理解促進→法務省の人権擁護機関では、「性的指向を理由とする偏見や差別をなくそう」などを啓発活動の強調事項として掲げ、各種啓発活動を実施。 文部科学省は、性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒への対応について、子供の心情に十分配慮した教育相談の徹底を関係者に対して依頼している。平成28(2016)年4月に、性同 一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施についての教職員向け資料を公表し、全国の教育委員会等に周知した。

次回は、第2章「第3節 子供・若者の被害防止・保護」からです。
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