幼児期までのこどもの育ち部会(第10回)(令和6年2月26日)
議事:(1)「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン(はじめの 100 か月の育ちビジョン)」閣議決定について(報告) (2)「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン(はじめの 100 か月の育ちビジョン)」に関連する施策について (3)「こどもまんなか実行計画」の策定について
幼児期までのこどもの育ち部会(第10回)|こども家庭庁 (cfa.go.jp)
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/kodomo_dachi/1b4F7eh4/◎参考資料4 こども・子育て支援加速化プラン↓
◎こども未来戦略(令和5年12月22日閣議決定) 〜「こども・子育て支援加速化プラン」関係記載の抜粋〜↓
V . 「加速化プラン」〜今後3年間の集中的な取組〜
V−1.「加速化プラン」において実施する具体的な施策
1.ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組
(1)児童手当の抜本的拡充 〜全てのこどもの育ちを支える制度へ〜↓
・ 児童手当→所得制限を撤廃し、全員を本則給付、支給期間について高校生年代まで延⾧。 児童手当の多子加算は、第3子以降3万円。 これら、児童手当の抜本的拡充のための所要の法案を次期通常国会に提出し、2024年10月から実施する。その際、児童手当の支払月を年3回から、隔月(偶数月)の 年6回とする児童手当法(昭和 46 年法律第 73 号)の改正を併せて行い、拡充後の初回の支給を2024年12月とする。
(2)出産等の経済的負担の軽減 〜妊娠期からの切れ目ない支援、出産費用の見える化と保険適用〜↓・これまで実施してきた幼児教育・保育の無償化に加え、支援が手薄になっている妊 娠・出産期から2歳までの支援を強化。令和4年度第二次補正予算で創設された「出産・子育て応援交付金」(10 万円)について、2024 年度も継続して実施、2025年度から子ども・子育て支援法(平成24年法律第 65号)の新たな給付 として制度化することとし、所要の法案を次期通常国会に提出する。くわえて、この新たな給付に伴走型相談支援と組み合わせて実施することを推進し、妊娠期からの切 れ目ない支援を着実に実施する。
・本年4月からの出産育児一時金の大幅な引上げ(42万円→50万円)及び低所得の妊婦に対する初回の産科受診料の費用助成を着実に実施するなど、妊婦の経済的負担の 軽減を推進するとともに、出産費用の見える化について来年度からの実施に向けた具体化を進める。出産費用の見える化は、本年夏にかけて有識者による検討に おいて公表項目等の整理を行った、今後、医療機関等の協力を得て、必要な情報の収集やウェブサイトの立ち上げを行う。その上でこれらの効果等の検証を行い、2026年度を目途に、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進める。あわせて、無痛分娩について、麻酔 を実施する医師の確保を進めるなど、妊婦が安全・安心に出産できる環境整備に向けた支援の在り方を検討する。
(3)医療費等の負担軽減 〜地方方自治体の取組への支援〜→こども医療費助成について、国民健康保険の国庫負担の減額調整措置を廃止する。あわせて、適正な抗菌薬使用など を含め、こどもにとってより良い医療の在り方について、社会保障審議会医療保険部会などにおける意見も踏まえつつ検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる。
(4)高等教育費の負担軽減 〜奨学金制度の充実と「授業料後払い制度(いわゆる日本版 HECS)」の創設〜↓・ 教育費の負担が理想のこども数を持てない大きな理由の一つとなっているとの声があることから、特にその負担軽減が喫緊の課題とされる高等教育については、教育の 機会均等を図る観点からも、着実に取組を進めていく必要。
・まず、貸与型奨学金について、奨学金の返済が負担となって、結婚・出産・子育てをためらわないよう、減額返還制度を利用可能な年収上限について、325万円から 400万円に引き上げる、子育て時期の経済的負担に配慮する観点から、こども2人世帯は 500万円以下まで、こども3人以上世帯について600万円以下 まで更に引き上げる。また、所得連動方式を利用している者について、返還額の算定のための所得計算においてこども1人につき33万円の所得控除を上乗せする。
・ 授業料等減免及び給付型奨学金について、低所得世帯の高校生の大学進学率の向上を図るとともに、2024年度から多子世帯や理工農系の学生等の中間層(世帯年収 約600万円)に拡大。さらに、高等教育費により理想のこども数を持てない状況を払拭するため、2025年度から、多子世帯の学生等については授業料等を無償と する措置等を講ずることとし、対象学生に係る学業の要件について必要な見直しを図ることを含め、早急に具体化する。
・ 授業料後払い制度について、まずは、2024年度から修士段階の学生を対象として導入した上で、2025年度からの多子世帯の授業料等の無償化と並行して、学部段階へ の本格導入に向けた更なる検討を進め、今後の各般の議論を踏まえ、速やかに結論を得る。その財源基盤を強化するため、V−2.で後述するHECS債(仮称)による資 金調達手法を導入。
・ 地方創生を推進するデジタル田園都市国家構想交付金により、地方自治体による高等教育費の負担軽減に向けた支援を促しつつ大学卒業後に地方に移住する学生への支援を強化。
(5)個人の主体的なリ・スキリングへの直接支援 ・ 企業経由が中心となっている国の在職者への学び直し支援策について、働く個人が主体的に選択可能となるよう、5年以内を目途に、効果を検証しつつ、過半が個人経 由での給付が可能となるようにしていく。
・ その際、教育訓練給付→訓練効果をより高める観点から、2024年度中に給付率等を含めた拡充を行うとともに、個々の労働者が教育訓練中に生ずる生活費等 への不安なく、主体的にリ・スキリングに取り組むことができるよう2025年度中に訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度を創設のため所要の法 案を次期通常国会に提出する。
(6)いわゆる「年収の壁(106万円/130万円)」への対応 ↓・ いわゆる106万円・130万円の壁を意識せずに働くことが可能となるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げに引き続き取り組む。
・ こうした取組と併せて、人手不足への対応が急務となる中で、壁を意識せずに働く時間を延ばすことのできる環境づくりを後押しするため、当面の対応策として、2023 年 10 月より実施している「年収の壁・支援強化パッケージ」((1)106万円の壁への対応(@キャリアアップ助成金のコースの新設、A社会保険適用促進手当の標準 報酬算定除外)、(2)130万円の壁への対応(B事業主の証明による被扶養者認定の円滑化)、(3)配偶者手当への対応(C企業の配偶者手当の見直し促進))を着実に実行。また、「年収の壁」を意識せずに働くことが可能になるよう、制度の見直しに取り組む。
(7)子育て世帯に対する住宅支援の強化 〜子育てにやさしい住まいの拡充〜↓・ こどもや子育て世帯の目線に立った「こどもまんなかまちづくり」を加速化させ、その中で、理想のこども数を持てない理由の一つとして若い世代を中心に「家が狭いから」が挙げられており、また、子育て支援の現場からも子育て世代の居住環境の改善を求める声があることから、子育てにやさしい住まいの拡充を目指し、住宅支援 を強化。
・ 具体的には、まず、立地や間取りなどの面で子育て環境に優れた公営住宅等の公的賃貸住宅を対象に、必要に応じて住戸の改修支援等を行い、全ての事業主体で子育て 世帯等が優先的に入居できる仕組みの導入を働きかける。これにより、今後 10年間で子育て世帯等の居住に供する住宅約20万戸を確保する。
・ さらに、ひとり親世帯など支援が必要な世帯を含め、子育て世帯が住宅に入居しやすい環境を整備する観点から、改正空家等対策特別措置法に基づく空家等活用促進区 域の設定や空家等管理活用支援法人の指定等により、空き家の所有者へ活用を働きかけ、空き家の改修・サブリースを促進するとともに、戸建てを含めた空き家の子育て 世帯向けのセーフティネット住宅への登録を促進、既存の民間住宅ストックの活用を進める。これらにより、今後 10 年間で子育て世帯等の居住に供 する住宅約 10 万戸を確保。 あわせて、子育て世帯等が良質な住宅を取得する際に、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」について、こどもの人数に応じて金 利を引き下げる制度を 2023年度中に開始する。
・ これらの取組に加えて、こどもの声や音などの面で近隣住民に気兼ねせず入居できる住まいの環境づくりとして、集合住宅の入居者等への子育て世帯に対する理解醸成を図る。また、子育て世帯向け住宅の周知の強化や、子育て世帯に対して入居や生活に関する相談等の対応を行う居住支援法人に重点的な支援を講じることにより、住まいに関する支援を必要としながらも支援が行き届いていない子育て世帯への取組を強化する。
2.全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充
(1)妊娠期からの切れ目ない支援の拡充 〜伴走型支援と産前・産後ケアの拡充〜 ↓・ 妊娠から産後2週間未満までの妊産婦の多くが不安や負担感を抱いていることや、児童虐待による死亡事例(心中以外)の約半数が0歳児(うち 25%は0か月児)であることなどを踏まえると妊娠期からの切れ目ない支援と産前・産後ケアの拡充は急務となっている。
・このため、妊娠期から出産・子育てまで、身近な場所で相談に応じ、多様なニーズに応じた支援につなぐ「伴走型相談支援」について、地方自治体の取組と課題を踏まえつつ、継続的な実施に向け、児童福祉法(昭和 22 年法律第 164 号)の新たな相談支援事業として制度化する。その際、アプリや SNS を活用した情報発信など、デ ジタル技術を積極的に活用する。
・ 退院直後の母子に対して心身のケアや育児のサポートなどを行い、産後も安心して子育てができる支援体制の確保を図る産後ケア事業は、利用者負担の軽減 措置を本年度から全ての世帯に対象を拡大して実施している。更なる利用拡大に向け、本事業を子ども・子育て支援法の地域子ども・子育て支援事業として位置付け、 支援を必要とする全ての方が利用できるようにするための提供体制の確保に向けた取組を進める、支援の必要性の高い産婦などを受け入れる施設に対する支援 の拡充を行い、子育て家庭の産前・産後の心身の負担軽減を図る観点から、実施体制の強化等を行う。
・ 「1か月児」及び「5歳児」への健康診査並びに「新生児マススクリーニング検査」の対象疾患拡充について、早期の全国展開に向けた支援を行うとともに、「新生 児聴覚検査」について、全国での公費負担の実施に向けた取組を進める。
・ 女性が、妊娠前から妊娠・出産後まで、健康で活躍できるよう、国立成育医療研究センターに、「女性の健康」に関するナショナルセンター機能を持たせ、女性の健 康や疾患に特化した研究や、プレコンセプションケア17や産後ケア事業を含む成育医療等の提供に関する研究等を進めるとともに、基礎疾患のある妊産婦や妊娠を希望 する女性等に対する妊娠と薬に関する相談支援を進める。また、2022 年度から保険適用された不妊治療について、推進に向けた課題を整理、検討する。
(2)幼児教育・保育の質の向上 〜75 年ぶりの配置基準改善と更なる処遇改善〜 ↓ ・ 待機児童対策の推進により量の拡大は進んだものの、一方で、昨今、幼児教育・保育の現場でのこどもをめぐる事故や不適切な対応事案などにより子育て世帯が不安 を抱えており、安心してこどもを預けられる体制整備を急ぐ必要がある。 このため、保育所・幼稚園・認定こども園の運営費の基準となる公定価格の改善について、公的価格評価検討委員会中間整理(2021年12月)を踏まえた費用の使途 の見える化を進め、保育人材確保、待機児童解消その他関連する施策との関係を整理しつつ、取組を進める。
・具体的には、「社会保障と税の一体改革」以降積み残された1歳児及び4・5歳児の職員配置基準→@ 2024年度から、制度発足以来75年間一度も改善され てこなかった4・5歳児について、30対1から25対1への改善を図り、それに対応する加算措置を設ける。また、これと併せて最低基準の改正を行う(経過措置として当 分の間は従前の基準により運営することも妨げない。)。A 2025年度以降、1歳児について保育人材の確保等の関連する施策との関係も踏まえつつ、加速化プラン期間 中の早期に6対1から5対1への改善を進める。
・ また、保育士等の処遇改善については、令和5年人事院勧告を踏まえた対応を実施するとともに、民間給与動向等を踏まえた更なる処遇改善を進める。 くわえて、費用の使途の見える化に向けて、事業者が施設ごとの経営情報等を都道府県知事に報告することを求めるとともに、報告された経営情報等の分析結果等の 公表を都道府県知事に求めること等を法定化する。
(3)全ての子育て家庭を対象とした保育の拡充〜「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設〜 ↓・ 0〜2歳児の約6割を占める未就園児を含め、子育て家庭の多くが「孤立した育児」 の中で不安や悩みを抱えており、支援の強化を求める意見がある。全てのこども の育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、 現行の幼児教育・保育給付に加え、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わ ず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付(「こども誰でも通園制度 (仮称)」)を創設。 ○ 具体的には、2025 年度に子ども・子育て支援法に基づく地域子ども・子育て支援事 業として制度化し、実施自治体の増加を図った上で、2026 年度から子ども・子育 て支援法に基づく新たな給付として全国の自治体において「こども誰でも通園制度(仮称)」を実施できるよう、所要の法案を次期通常国会に提出する。
・ 2025 年度からの制度化に向けて、2023 年度から本格実施を見据えた試行的事業の開始を可能とすることとし、2024年度も含めた試行的事業の実施状況を踏まえつつ、 制度実施の在り方について検討を深める。
・ 病児保育の安定的な運営を図る観点から、病児保育に係る保育士等の職務の特殊性等を踏まえた基本分単価の引上げ等を、2024年度から行う。
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4)新・放課後子ども総合プランの着実な実施〜「小1の壁」打破に向けた量・質の拡充〜 ↓ ・ 保育の待機児童が減少する一方で、放課後児童クラブの待機児童は依然として 1.5 万人程度存在し、安全対策についての強化が求められるなど、学齢期の児童が安全・ 安心に過ごせる場所の拡充は急務。 このため、全てのこどもが放課後を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、新・放課後子ども総合プラン(2019 年度〜2023 年度)による 受け皿の拡大(約 122 万人から約 152 万人への拡大)を目指してきたところであるが、本年度末までにその達成が困難な状況であることを踏まえ、この目標を加速化プ ランの期間中の早期に達成できるよう取り組むとともに、放課後児童クラブの安定的な運営を図る観点から、2024年度から常勤職員配置の改善などを図る。
(5)多様な支援ニーズへの対応 〜こどもの貧困対策・ひとり親家庭の自立支援と社会的養護、障害児・医療的ケア児等の支援基盤の充実〜 ↓・ 経済的に困難な家庭のこども、障害のあるこどもや医療的ケア児、異なる文化的背景を持つこどもなど、多様な支援ニーズを有するこどもの健やかな育ちを支え、 「誰一人取り残さない」社会を実現する観点から、それぞれの地域において包括的な支援を提供する体制の整備が求められる。 2022 年に成立した児童福祉法等の一部改正(以下「改正児童福祉法」)では、児童虐待の相談対応件数が増加を続けるなど、子育てに困難を抱える世帯が顕 在化してきている状況を踏まえ、子育て世帯に対する包括的な支援体制の中核を担うこども家庭セン ターの設置や地域における障害児支援の中核的役割を担う児童発達 支援センターの位置付けの明確化などが行われた。 また、こどもの貧困対策は、我が国に生まれた全てのこどもの可能性が十全に発揮される環境を整備し、全てのこどもの健やかな育ちを保障するという視点のみなら ず、公平・公正な社会経済を実現する観点からも極めて重要である。
こどものいる世帯の約1割はひとり親世帯であり、その約45%が相対的貧困の状況にあることを踏 まえれば、特にひとり親家庭の自立と子育て支援は、こどもの貧困対策としても喫緊の課題であると認識する必要がある。 さらに、こども・若者が安心して過ごせる居場所づくりが重要となっている。「こどもの居場所づくりに関する指針」に基づき、地方公共団体や民間団体における安 定的で質の高い居場所の運営など、現場のニーズに応じた多様な居場所づくりを支援していく。
・ こうした多様なニーズを有する子育て世帯への支援については、支援基盤や自立支援の拡充に重点を置き、以下の対応を中心に進めるとともに、今後のニーズの増大 等にも対応し、必要な支援を確実に提供していく。
こどもの貧困対策・ひとり親家庭の自立促進↓ ・ こどもの貧困を解消し、貧困の連鎖を断ち切るため、こどもの生活支援、学習支援を更に強化するとともに、ひとり親家庭に対し、児童扶養手当の拡充のほか、就業 支援、養育費確保支援などを多面的に強化する。
(貧困を解消し、貧困の連鎖を断ち切るためのこどもへの支援) ↓・ ひとり親家庭や低所得子育て世帯のこどもに対する伴走的な学習支援を拡充し、新たに受験料等を支援することで進学に向けたチャレンジを後押しする。 また、 こどもたちが、貧困によって食事が十分にとれなかったり、様々な体験に制約を受けることがなくなるよう、貧困家庭への宅食を行うとともに、 地域にある 様々な場所を活用して、安全・安心で気軽に立ち寄ることができる食事や体験・遊びの機会の提供場所を設ける。こうした取組を通じて、支援が必要なこどもを早期に 発見し、適切な支援につなげる仕組みをつくることにより、 こどもに対する地域の支援体制を強化する。
(ひとり親の就労支援等を通じた自立促進や経済的支援等) ↓ ・ 看護師・介護福祉士等の資格取得を目指すひとり親家庭の父母に対する給付金制度(高等職業訓練促進給付金制度)について、短期間で取得可能な民間資格を含む対 象資格に拡大し、より幅広いニーズに対応できる制度とする。また、幅広い教育訓練講座の受講費用の助成を行う給付金( 自立支援教育訓練給付金について、助成割合 の引上げ等を行うとともに、ひとり親に対する就労支援事業等について、所得等が増加しても自立のタイミングまで支援を継続できるよう、対象者要件を拡大する。
・ ひとり親家庭の自立を促進する環境整備を進めるため、ひとり親を雇い入れ、人材育成・賃上げに向けた取組を行う企業に対する支援を強化。
・ 養育費の履行確保のため、養育費の取決め等に関する相談支援や養育費の受取に係る弁護士報酬の支援を行い、ひとり親家庭の生活の安定を図る。
・ 児童扶養手当の所得限度額について、ひとり親の就労収入の上昇等を踏まえ、自立の促進を図る観点から見直す とともに、3人以上の多子世帯についての加算額を拡 充することとし、このための所要の法案を次期通常国会に提出する 。
児童虐待防止・社会的養護・ヤングケアラー等支援 ↓・ 改正児童福祉法による包括的な相談支援体制の構築などの体制整備を着実に実施、こども・若者視点での新たなニーズに応じた支援やアウトリーチ型支 援などを強化する。
(虐待の未然防止) ↓ ・ 子育てに困難を抱える世帯やヤングケアラー等に対するプッシュ型・アウトリーチ型支援を強化するため、こども家庭センター の全国展開を図るとともに、学校や地 域とのつなぎ役の配置などにより、子育てに困難を抱える家庭やこどものSOSをできる限り早期に把握し、必要な支援を届けるための体制整備を推進する。また、子育 て世帯への訪問支援などの家庭支援事業を拡充するとともに、宅食などのアウトリーチ支援を充実する。
・ 妊婦健診未受診の妊婦などを必要な支援につなげるため、継続的に訪問支援を行う事業を実施するとともに、生活に困難を抱える特定妊婦等に対する一時的な住まい の提供や、こどもの養育等に関する相談・助言等を行う事業に取り組む。
(こども・若者視点からの新たなニーズへの対応)↓・ こども・若者視点からの新たなニーズへの対応として、虐待等で家庭等に居場所が無いこども・若者がそのニーズに合わせて必要な支援を受けられ、宿泊もできる安 全な居場所等を確保。 また、親からの虐待や貧困等に起因して様々な困難に直面する学生等に対し、食事提供・ 相談支援等のアウトリーチ型支援を行う。
(児童虐待への支援現場の体制強化)↓ ・児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童相談所の職員の採用・人材育成・定着支援や業務軽減に向けたICT化等を行う、こども家庭ソーシャルワーカーの資格取得を促進。
(虐待等を受けたこどもの生活環境等の整備)↓ ・ こどもの状況等に応じた個別ケアを推進するため、 一時保護施設における小規模ユニットケアを推進するとともに、一時保護施設や児童養護施設等に入所しているこ どもの学習環境整備等の支援強化を図る。 こどもの権利擁護の環境整備や親子関係の再構築支援を推進。 家庭養育環境を確保するための里親委託等を推進し、里親等委託率の向上を目指す。あわせて、里親支援センター等における特別養子縁組家庭等に対する情報提供、 養育に関する助言等の支援を推進する。
・ 社会的養護を経験した若者が自立した社会生活を送ることができるよう、住居の提供や生活相談等を行う事業について、年齢にかかわらず必要な支援を継続するとともに、課題に応じた個別対応の強化や生活の質の向上を図る。また、虐待経験がありながら公的支援につながることなく成人した者等に対する相談・助言、一時的な居 住支援等を行う。
障害児支援、医療的ケア児支援等 ↓ ・こどもと家族に寄り添いながら個々の特性や状況に応じた質の高い支援の提供を進めるとともに、地域社会への参加・包摂(インクルージョン)を推進し、障害の有無にかかわらず、 全てのこどもが安心して共に育ち暮らすことができる地域社会を実現する。
(早期発見・早期支援等の強化) ↓・ 保健、医療、福祉、教育等の関係者が連携し、地域において様々な機会を通じた発達相談、発達支援、家族支援の取組を進め、 早期から切れ目なくこどもの育ちと家 族を支える体制の構築を進める。
(地域における支援体制強化とインクルージョンの推進) ↓・ 障害の有無にかかわらず、安心して暮らすことができる地域づくりを進めるため、地域における障害児の支援体制の強化や保育所等におけるインクルージョンを推進 する。具体的には、地域における障害児支援の中核的役割を担う児童発達支援センターについて、専門的な支援の提供と併せて、地域の障害児支援事業所や保育所等への支援を行うなどの機能強化を行うとともに、保育所等への巡回支援の充実を図る。 こうした支援体制の強化が全国各地域で進むよう、国や都道府県等による状況把握や助言等の広域的支援を進め、地域の支援体制の整備を促進する。
(専門的な支援の強化等) ↓・ 医療的ケア児、聴覚障害児など、専門的支援が必要なこどもたちへの対応のため 地域における連携体制を強化するとともに、医療的ケア児について一時的に預かる環 境の整備や保育所等における受入れ体制の整備を進める。 また、補装具については、障害のあるこどもにとって日常生活に欠かせないものであり、成⾧に応じて交換が必要なものであることを踏まえ、保護者の所得にかかわらずこどもの育ちを支える観点から、障害児に関する補装具費支給制度の所得制限を撤廃する。全国どの地域でも、質の高い障害児支援の提供が図られるよう、研修体系の構築など支援人材の育成を進めるとともに、ICTを活用した支援の実証・環境整備を進める。
3.共働き・共育ての推進
(1)男性育休の取得促進 〜「男性育休は当たり前」になる社会へ
制度面の対応 ↓
・ まず、制度面では、男性の育児休業取得率について、現行の政府目標( 2025 年までに30 %%)を大幅に引き上げる。具体的には、国・地方の公務員(一般職・一般 行政部門常勤)について育児休業の内容にも留意しつつ、先行的に目標の前倒しを進め、公務員、民間の双方について、以下のように男性の育児休業 取得率の目標を引 き上げる。
(男性の育児休業 取得率の目標) 2025 年 公務員 85 %(1週間以上の取得率)、民間 50%
2030 年 公務員 85 %(2週間以上の取得率)、民間 85%
(参考)民間の直近の取得率:女性 80.2 %、男性 17.13
・ また、 2025年3月末で失効する次世代育成支援対策推進法(平成 15 年法律第 120号)を改正し、その期限を延⾧した上で、 一般事業主行動計画について、数値目 標の設定や、PDCAサイクルの確立を法律上の仕組みとして位置付けるとともに、今後の次世代育成支援において重要なのは「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」 であるという観点を明確化した上で、男性の育児休業取得を含めた育児参 加や育児休業からの円滑な職場復帰支援、育児 に必要な 時間帯や勤務地への配慮等に関する 行動が盛り込まれるよう促す。あわせて、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第 76 号。以下「育児・介護休業法 」)における育児休業取得率の開示制度について、常時雇用する労働者数が300人超の事業主に拡充するため、所要の法案を次期通常国会に提出することと し、これを踏まえて有価証券報告書 における開示を進める。
給付面の対応↓
・さらに給付面の対応として、いわゆる「産後パパ育休」(最大 28 日間)を念頭に、出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するため、給 付率を現行の67 %(手取りで8割相当)から、80 %(手取りで 10 割相当)へと引き上げる。
・ 具体的には、子の出生直後の一定期間内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、両親が共に14日以上の育児休業を取得した場合に は、その期間の給付率を 28 日間を限度に引き上げることとし、 2025 年度から実施するため、所要の法案を次期通常国会に提出する。
・ 男女ともに、職場への気兼ねなく育児休業を取得できるようにするため、現行の育児休業期間中の社会保険料の免除措置及び育児休業給付の非課税措置に加えて、 育児休業を支える体制整備を行う中小企業に対する助成措置を大幅に強化する取組を推進する。具体的には、業務を代替する周囲の社員への応援手当の支給に関する助成の拡充や代替期間の⾧さに応じた支給額の増額を行う。あわせて、「くるみん認定」の取得など、各企業の育児休業の取得状況等に応じた加算等による実施 インセンティブの強化を図る。
・ あわせて、男性育休の大幅な取得増等に対応できるよう、育児休業給付を支える財政 基盤を強化するため、2022年雇用保険法改正法の附則の規定を踏まえ、⇒・ 2024年度から、国庫負担割合を現行の 1/80 から本則の 1/8 に引き上げるとともに、 ・ 当面の保険料率は現行の 0.4 %に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、本則料率を 2025 年度から 0.5 %に引き上げる改正を行うとともに、実際の料 率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整する仕組みを導入する こととし、所要の法案を次期通常国会に提出する。
(2)育児期を通じた柔軟な働き方の推進 〜利用しやすい柔軟な制度へ〜
・ 育児期を通じて多様な働き方を組み合わせることで、男女で育児・家事を分担しつつ、育児期の男女が共に希望に応じてキャリア形成との両立を可能とする仕組 みを構築するとともに、好事例の紹介等の取組を進める。
・ こどもが3歳になるまでの場合においては、現行の育児・介護休業法上、短時間勤務を措置することが事業主に義務付けられており、フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の調整等が努力義務となっている。これらに加え、新たに子育て期の有効な働き方の一つとして、テレワークも事業主の努力義務の対象に追加するため、所要の法案を次期通常国会に提出する。
・
また、こどもが3歳以降小学校就学前までの場合においては、育児・介護休業法で、柔軟な働き方を実現するため、@フレックスタイム制を含む出社・退社時刻 の調整、Aテレワーク、 B短時間勤務制度 、 C保育施設の設置運営等、 D休暇から、事業主が職場の労働者のニーズを把握しつつ複数の制度を選択して措置し、その中から労働者が選択できる制度(「親と子のための選べる働き方制度 (仮称)」を創設。さらに、現在はこどもが3歳になるまで請求することがで きる残業免除(所定外労働の制限)について、対象となるこどもの年齢を小学校就学前まで 引き上げるため、所要の法案を次期通常国会に提出する。
・さらに、子や家庭の状況(例えば、障害児・医療的ケア児を育てる親やひとり親家庭等)から、両立が困難となる場合もある。労働者の離職を防ぐ観点から、事業主 に対して、妊娠・出産等の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向を聴取し、その意向に対する自社の状況に応じた配慮を求め ることとするため、所要の法案を次期通常国会に提出。 あわせて、育児中の柔軟な働き方として、男女ともに 時短勤務を選択しやすくなるよう、「育児時短就業給付(仮称)」を創設し、こどもが2歳未満の期間に、時 短勤務を選択した場合に、時短勤務時の賃金の 10 %を支給することとし 、 2025 年度から実施するため、所要の法案を次期通常国会に提出する。
・ 上記の短時間勤務についても、男性育休促進と同様に、周囲の社員への応援手当支給等の体制整備を行う中小企業に対する助成措置の大幅な強化と併せて推進。また、こどもが病気の際などに休みにくい等の問題を踏まえ、病児保育の拡充と併せて、こうした場合に休みやすい環境整備を行う。具体的には、こどもが就学前 の場合に年5日間取得が認められる「子の看護休暇」について、対象となるこどもの年齢を小学校3年生修了時まで 引き上げるほか、こどもの行事(入園式等)参加 や、感染症に伴う学級閉鎖等にも活用できるように休暇取得事由の範囲を見直すため、所要の法案を次期通常国会に提出するとともに、取得促進に向けた支援を行う 。また、仕事と育児の両立に取り組む労働者の心身の健康を守るため、企業における勤務間インターバル制度の導入やストレスチェック制度の活用など、労働者の健 康確保のために事業主の配慮を促す仕組みを導入するとともに、選択的週休3日制度の普及にも取り組む 。
・ こうした個々の制度の前提として、⾧時間労働の是正を始め、企業全体の働き方改革をより一層推進し、育児期の男女が共に職場からの帰宅後に育児や家事を行う ことができるようにすることが重要である。このため、まずは、2024 年度からの時間外労働の上限規制の全面施行に向け、法制度の周知を徹底し、必要な支援を実施 するとともに、更なる⾧時間労働の是正に向けて、実効性を高めるための一層の取組を推進していく。 このことは、家族介護や不妊治療など、様々な事情を抱える 方々が、仕事との両立を可能とし、各自の能力を発揮することにもつながるものである。
(3)多様な働き方と子育ての両立支援 〜多様な選択肢の確保〜
・ 子育て期における仕事と育児の両立支援を進め、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットを構築する観点から、現在、雇用保険が適用されていない週 所定労働時間 10 時間以上20時間未満の労働者についても失業給付や育児休業給付等を受給できるよう、新たに適用対象とし、適用対象者数や事業主の準備期間等を 勘案して2028年度に施行するため、所要の法案を次期通常国会に提出する。
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自営業・フリーランス等の育児期間中の経済的な給付に相当する支援措置として、国民年金の第1号被保険者について育児期間に係る保険料免除措置を創設することとする。その際、現行の産前・産後期間の保険料免除制度や被用者保険の育児休業期間の保険料免除措置を参考としつつ、2026年度に施行するため、所要の法案を次 期通常国会に提出する。
4.こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革
・ こども・子育て政策を実効あるものとするためには、行政が責任をもって取り組むことはもとより、こどもや子育て中の方々が気兼ねなく様々な制度や支援メニューを利用できるよう、地域社会、企業など様々な場で、年齢、性別を問わず、全ての人がこどもや子育て中の方々を応援するといった社会全体の意識改革を進める必要がある。 こどもや子育て世帯を社会全体で支える気運を醸成するため、 優先案内や専門レーンを設置するなどの取組が国立博物館など国の施設において今春にスタートしており、 利用者のニーズを踏まえつつ、こうした取組を他の公共施設や民間施設にも広げていくとともに、公共インフラのこども向け現場見学機会の増加など、有意義な体験の場 を提供する。
・ また、鉄道やバスなどにおけるベビーカー使用者のためのフリースペース等の設置や分かりやすい案内の促進とともに、公共交通機関等において、妊産婦や乳幼児連れ の方を含め、配慮が必要な方に対する利用者の理解・協力を啓発する取組を推進。さらに、「こどもまんなか宣言」の趣旨に賛同する企業・個人・地方自治体などに「こどもまんなか応援サポーター」となっていただき、「今日からできること」を実 践し、取り組んだ内容を自ら SNS などで発表する「こどもまんなか応援プロジェクト」の取組を始め、こども・子育てを応援する地域や企業の好事例の共有・横展開 や 各地域でリレーシンポジウムを開催するなど、こどもや子育てにやさしい社会の輪が、全国に広がっていくよう取り組んでいく 。
・ もとよりこうした意識改革は、少子化の危機的な状況、そして今のこどもを取り巻く状況や、子育て世帯の負担がいかに大きなものかということをより多くの方に理解 していただくことによって、自然と周囲の協力が行われることが望ましい。社会の意識を変えていくことは簡単ではないが、大きな挑戦と捉え、様々な手法で国民的な議 論を起こし、より多くの方の理解と行動を促していく。次回も続き
「参考資料5 保育士資格等にかかる制度改正の方針について」からです。