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労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会第6回資料 [2024年10月12日(Sat)]
労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会第6回資料(令和6年8月21日)
議事 (1)女性の健康に関する事項について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42704.html
◎資料1 一般定期健康診断における女性の健康に関する健診項目について
厚生労働省 労働基準局 安全衛生部 労働衛生課
○女性特有の健康課題に関する質問案に係る第5回検討会での主なご意見@➁
・第5回検討会にて提示した案 ↓
質問32:女性に関連する健康問題(※)で職場において困っていることがありますか。
@はい、Aいいえ、Bどちらとも言えない
質問33:(質問32に「はい」と回答された方)職場において相談したいこと(配慮してほしいこと)がありますか。   @はい、Aいいえ、Bどちらとも言えない
※「女性に関連する健康問題」とは、月経困難症、更年期障害などを指します。

・ 第5回検討会での主なご意見→5意見。大丸1 質問32・33を設定する目的が労働者の気づきを促すことであるならば、事業主に結果が渡るということが分かってしまう と、本人がこの問診を素直に回答するかどうか、非常にハードルが高いのではないか。
大丸1 質問32について→5意見。• 注釈ではなく、「月経困難症、PMS等などで職場において困っていることがありますか」とストレートに聞いてはどうか。
大丸1 質問33について→5意見。• 女性労働者本人が希望する場合には、問診に質問33を設定することにより、職場において配慮してほしいことを、会社の産業医、産 業保健スタッフなどに情報を伝達することで具体的な解消につなげるほうが良い。 • 「更年期症状で職場において困っていることはありますか」と質問することで、男女区別せずに回答する形が良いのではないか。

○「一般健康診断問診票」改訂案について@〜A
1 第5回検討会までの意見等を踏まえ、「一般健康診断問診票」における女性特有の健康課題に関する 質問の目的、具体的プロセスについて、どのように考えるか
(以下に事務局案を提示)。↓
(1) 目的(案)
→ア 労働者:月経困難症、月経前症候群、更年期障害等への気づきと、必要に応じての早期受診を促す。 イ 事業者:女性特有の健康課題を抱える職場環境整備への気づきを促す。
(2) 具体的プロセス(案)↓
@健診機関(健診担当医・健診を実施する産業医を含む。)は、委託契約等に基づき健診を実施。→事業者が健診の実施・委託の決定を行う際に、事業者は、どのような女性特有の健康課題に関する質問を入れるのか、どのような結果を健診機関から提供を受けることとするのかを含めて決定する。
A健診機関は、上記@に基づき、労働者に問診票を配布する。→厚生労働省は、健診担当医による円滑な問診の実施を促すため、法定外(任意)である「一般健康診断問診票」を改訂し、第5回検討会で提示した質問32のように、女性特有の健康課題に関する質問を示すこととする。 なお、上記(1)の目的(案)を満たし、労働者に理解しやすい質問とする。
B労働者は、配布された問診票に回答し、その回答結果を健診機関に提出する。
C健診担当医は、必要に応じて、労働者個人に女性特有の健康課題に関する情報提供、婦人科等の医師の受診勧奨等 を行う。→健診担当医は、問診票に沿って、労働者個人に女性特有の健康課題に関する確認を行うほか、必要に応じて、 適宜、追加質問を行い、労働者個人への情報提供、受診勧奨の要否等を判断する。 厚生労働省は、健診機関への情報提供、健診機関が活用できるツール(リーフレット等)を作成する。
D労働者は、健診担当医からの受診勧奨等を踏まえ、婦人科等の医師を受診する。
E婦人科等の医師は、上記Dにより受診した労働者に対して、診断の結果、就業上の助言等を行う。
F健診機関は、上記@に基づき、事業者に女性特有の健康課題に関する質問の結果を提供する。⇒ 以下の論点に ついて、議論が必要ではないか。
G事業者は、必要に応じて、産業医等(産業保健総合支援センターの活用を含む)に相談
する。→事業者は、女性特有の健康課題に関する質問の結果を踏まえ、女性特有の健康課題に対応するために、職場 環境整備に向けた取組みについて検討。事業者が女性特有の健康課題のために行うことが望ましい対応について、厚生労働省はガイドラインや指針 等を作成することとする。 ※事業者は、産業保健の枠組みを活用し、医師等による健康相談等を行うほか、労働者からの申出への対応等を行う。

<論点>(上記Fに係る論点)→上記(1)の目的(案)を達成するため、健診担当医(健診を実施する産業医を含む)から事業者に情報提供さ れる内容(集計結果、労働者個人の情報・要望、情報なし等)、方法(事業者が決定、労働者が決定、両者で協議 して事業者ごとの決定等)について、どのようにあるべきなのか。加えて、この情報提供が行われる場合には、労働者個人のプライバシーの保護や健診担当医の負担増の可能性について、どのように配慮すべきであるのか。
2.その他
<論点>男性更年期障害については、医学的知見や産業保健の課題等を踏まえ、どのように考えるのか。

○女性特有の健康課題に関する問診流れ図(案)→@〜Gまでの流れ図。 参照。


◎参考資料1労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会開催要綱
1 目的
→ 労働安全衛生法に基づく一般健康診断については、平成 28 年に、「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会」において各診断項目等の妥当性等について検討されたが、近年及び今後の労働者の健康を巡る情勢としては、急速に進む高齢化の中、職業生活が長期化してきているとともに、女性の就業率の増加に伴って、女性の健康課題への対応の重要性が一層高まっている。また、前回の検討以降、 健康診断についての医学的知見が集積されてきている。 こうした中、政府の規制改革実施計画(令和5年6月 16 日閣議決定)では、定期健康診断について、最新の医学的知見や社会情勢の変化等を踏まえ、医学的知見等に基づく検討の場を設け、検査項目(検査頻度を含む。)及び検査手法について所要の検討を行い、令和6年度に結論を得ることとされた。 また、「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2023(女性版骨太の方針 2023)」(令和5年6月 13 日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定)では、「事業主健診(労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断)に係る問診に、月経困難症、更年期症状等の女性の健康に関連する項目を追加する」とされ、「経済財政運営と改革の基本方針 2023(骨太の方針 2023)」(令和5年6月 16 日閣議決定)では、 「女性版骨太の方針 2023 に基づき、(中略)事業主健診の充実(中略)等により女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会を実現する」とされた。 こうした状況を踏まえて、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等につい て、検討することとする。

2 検討内容→(1)最新の医学的エビデンスに基づく現行の一般健康診断の検査項目等の妥当性について (2)労働者の健康課題の変化を踏まえた一般健康診断の検査項目等について (3)その他関連する事項について
3 構成 (1)本検討会は、厚生労働省労働基準局安全衛生部長が、別紙の構成員の参集を求めて開催。 (2)本検討会には座長を置き、議事を整理する。 (3)座長は、座長代理を指名することができる。 (4)本検討会には、必要に応じて別紙に掲げる構成員以外の関係者の出席を求めること ができる。
4 検討会の運営 (1)〜(3)この要綱に定めるもののほか、本検討会の運営に関し必要な事項は、会議において 定める。

○別紙 労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会
・構成員名簿→20名。


◎参考資料2 第5回労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会議事録 ↓
○大野中央労働衛生専門官:第 5 回「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の項目等に関する検討会」を開催。
○田座長:、本日の議題は「女性の健康に関する事項について」。お手元に資料1、2 があります が、事務局から資料 1、続けて資料 2 の説明をお願いいたします。
○大村産業保健支援室長:スライド説明。
・健診の機会を活用し、労働者本人への気付きを促し、必要な場合の早期受診のほか、女性の健康課題に対する配慮を申し出やすい職場づくりにもつながるよう、一般健康診断問診票に女性の健康に関する質問を追加してはいかがか。
・「女性版骨太の方針 2024」、働く女性の月経、妊娠・出産、更年期等、女性のライフステージごとの健康課題に起因する望まない離職等を防ぎ、女性が活躍し、また、健やかで充実した毎日を送ることができるよう、プライバシーに十分配慮。・健診の実施に関する課題。・・・・・・・以下資料1に関する構成員とのやり取り。・啓発や研修については事業場が行うこと。
・資料2の説明はこの資料1の通り。構成員との質問・意見等あり。特に以下の部分↓
○森構成員:私自身も全体像が逆に見えなくなって、今、混乱しています。恐らく 1 度、フロー図を作って、ここはつながらない、さすがにこれをやって健診機関は無理だなどわかるものを前提に、共通理解のもとに議論がと ても苦しいなという感じがしています。そのお願いだけです。
○田座長 恐らくそうしないと、話がまとまらないと思いますので、ここは事務局と検 討させていただいて、また改めて分かりやすい資料提示をさせていただきたいと思います。
(終了)


◎参考資料3 一般健康診断問診票(第1回検討会参考資料3抜粋)
○一般健康診断問診票→質問項目1〜31まで。回答項目もあり。
○健康診断等に関する法令等について
1. 労働安全衛生法(抄)
→(健康診断)(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)(健康診断実施後の措置)(健康診断の結果の通知)(保健指導等)(健康診査等指針との調和) 参照こと。
2. 労働安全衛生規則(抄) →(雇入時の健康診断)(定期健康診断)(特定業務従事者の健康診断)(海外派遣労働者の健康診断)(給食従業員の検便)(歯科医師による健康診断)(健康診断の結果の通知) 参照こと。
3. 厚生労働省告示
  労働安全衛生規則第四十四条第二項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準

4. 健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針
1 趣旨
→産業構造の変化、働き方の多様化を背景とした労働時間分布の長短二極化、高齢
化の進展等労働者を取り巻く環境は大きく変化してきている。その中で、脳・心臓疾患に
つながる所見を始めとして何らかの異常の所見があると認められる労働者が年々増加し、
5割を超えている。さらに、労働者が業務上の事由によって 脳・心臓疾患を発症し突然死
等の重大な事態に至る「過労死」等の事案が多発し、 社会的にも大きな問題となっている。
このような状況の中で、労働者が職業生活の全期間を通して健康で働くことができるよ
うにするためには、事業者が労働者の健康状態を的確に把握し、その結果に基づき、医
学的知見を踏まえて、労働者の健康管理を適切に講ずることが不可欠である。そのため
には、事業者は、健康診断(労働安全衛生法(昭和 47 年法 律第 57 号)第 66 条の2
の規定に基づく深夜業に従事する労働者が自ら受けた健康診断(以下「自発的健診」と
いう。)及び労働者災害補償保険法(昭和 22 年法 律第 50 号)第 26 条第2項第1号
の規定に基づく二次健康診断(以下「二次健康 診断」という。)を含む。)の結果、異常
の所見があると診断された労働者について、当該労働者の健康を保持するために必要な
措置について聴取した医師又は歯科医師の意見を十分勘案し、必要があると認めるとき
は、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深
夜業の回数の減少、昼間勤務への転換等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施
設又は設備の設置又は整備、当該医師等の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会
(以下「衛生委員会等」という。)又は労働時間等設定改善委員 会(労働時間等の設定
の改善に関する特別措置法(平成4年法律第 90 号)第7条 第1項に規定する労働時間
等設定改善委員会をいう。以下同じ。)への報告その他の適切な措置を講ずる必要があ
る(以下、事業者が講ずる必要があるこれらの措 置を「就業上の措置」という。)。 ま
た、個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号)の趣旨を踏まえ、 健康診
断の結果等の個々の労働者の健康に関する個人情報(以下「健康情報」と いう。)につ
いては、特にその適正な取扱いの確保を図る必要がある。
この指針は、健康診断の結果に基づく就業上の措置が、適切かつ有効に実施さ れるため就
業上の措置の決定・実施の手順に従って、健康診断の実施、健康診 断の結果についての医
師等からの意見の聴取、就業上の措置の決定、健康情報の 適正な取扱い等についての留意
事項を定めたもの
である。
2 就業上の措置の決定・実施の手順と留意事項  (1)健康診断の実施 (2)二次健康診断の受診勧奨等 (3)健康診断の結果についての医師等からの意見の聴取 (4)就業上の措置の決定等 (5)その他の留意事項
3 派遣労働者に対する健康診断に係る留意事項 (1)健康診断の実施 (2)医師に対する情報の提供 (3)就業上の措置の決定等 (4)不利益な取扱いの禁止 (5)特殊健康診断の結果の保存及び通知 (6)健康情報の保護

5. 労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき 措置に関する指針
改正 令和4年3月31日 労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い指針公示第2号
1 趣旨・総論
→事業者が、労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)に基づき実施する健康診断等の健康を確保するための措置(以下「健康確保措置」)や任意に行う労働者の健康管理活動を通じて得た労働者の心身の状態に関する情報(以下「心身の状態の情報」)については、そのほとんどが個人情報の保護に関する法律(平成 15 年法律第 57 号)第2条第3項に規定する「要配慮個人情報」に 該当する機微な情報である。そのため、事業場において、労働者が雇用管理において自身にとって不利益な取扱いを受けるという不安を抱くことなく、安心して 産業医等による健康相談等を受けられるようにするとともに、事業者が必要な心身の状態の情報を収集して、労働者の健康確保措置を十全に行えるようにするためには、関係法令に則った上で、心身の状態の情報が適切に取り扱われることが 必要であることから、事業者が、当該事業場における心身の状態の情報の適正な取扱いのための規程(以下「取扱規程」)を策定することによる当該取扱いの明確化が必要である。こうした背景の下、労働安全衛生法第 104 条第3項 及びじん肺法(昭和 35 年法律第 30 号)第 35 条の3第3項に基づき公表する本指針は、心身の状態の情報の取扱いに関する原則を明らかにしつつ、事業者が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用等について定めたもの。 その上で、取扱規程については、健康確保措置に必要な心身の状態の情報の範 囲が労働者の業務内容等によって異なり、また、事業場の状況に応じて適切に運用されることが重要であることから、本指針に示す原則を踏まえて、事業場ごとに衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「衛生委員会等」)を活用して 労使関与の下で、その内容を検討して定め、その運用を図る必要がある。 なお、本指針に示す内容は、事業場における心身の状態の情報の取扱いに関する原則である。このため、事業者は、当該事業場の状況に応じて、心身の状態の情報が適切に取り扱われるようその趣旨を踏まえつつ、本指針に示す内容とは異なる取扱いを行うことも可能である。しかしながら、その場合は、労働者に、当該事業場における心身の状態の情報を取り扱う方法及び当該取扱いを採用する理由を説明した上で行う必要がある。

2 心身の状態の情報の取扱いに関する原則
(1)心身の状態の情報を取り扱う目的→民事上の安全配慮義務の履行、そのために必要な心身の状態の情報を適正に収集し、活用する必要がある。 一方、労働者の個人情報を保護する観点から、現行制度においては、事業者が心身の状態の情報を取り扱えるのは、労働安全衛生法令及びその他の法令に基づく場合や本人が同意している場合のほか、労働者の生命、身体の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき等とされているので、上記の目的に即して、適正に取り扱われる必要がある
(2)取扱規程を定める目的
(3)取扱規程に定めるべき事項
(4)取扱規程の策定の方法
(5)心身の状態の情報の適正な取扱いのための体制の整備
(6)心身の状態の情報の収集に際しての本人同意の取得
(7)取扱規程の運用
(8)労働者に対する不利益な取扱いの防止
(9)心身の状態の情報の取扱いの原則(情報の性質による分類)
(10)小規模事業場における取扱い
3 心身の状態の情報の適正管理
(1)心身の状態の情報の適正管理のための規程
(2)心身の状態の情報の開示等
(3)小規模事業場における留意事項
4 定義(用語の意味)→@〜Fまで。

6. 健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針
平成 16 年6月 14 日 厚生労働省告示第 242 号
健康増進法(平成十四年法律第百三号)第九条第一項の規定に基づき、健康増進事 業実施者
に対する健康診査の実施等に関する指針を次のように定めたので、同法第 九条第三項の規
定に基づき公表する。
健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針
第一 基本的な考え方

健康診査は、疾病を早期に発見し、早期治療につなげること、健康診査の結果 を踏まえた
栄養指導その他の保健指導(運動指導等生活習慣の改善のための指導 を含む。以下同じ。)
等を行うことにより、疾病の発症及び重症化の予防並びに生 涯にわたる健康の増進に向け
た自主的な努力を促進する観点から実施するもので ある。 なお、健康診査は、大きく「健
診」と「検診」に分けられる。健診は、必ずし も特定の疾患自体を確認するものではない
が、健康づくりの観点から経時的に値を把握することが望ましい検査群であり、健診の結
果、異常がないとしても行動 変容につなげる狙いがある。検診は、主に特定の疾患自体を
確認するための検査群であり、検診の結果、異常がなければ次の検診まで経過観察を行う
ことが多い。 現在、健康診査、その結果を踏まえた栄養指導その他の保健指導等は、健康
増 進法第六条に掲げる各法律に基づいた制度において各健康増進事業実施者により 行わ
れているが、次のような現状にある。↓
1 制度間で健康診査における検査項目、検査方法等が異なる場合がある。 2 精度管理が
適切に行われていないため、検査結果の比較が困難である。 3 健康診査の結果が、受診
者に対する栄養指導その他の保健指導、必要な者 に対する再検査、精密検査及び治療のた
めの受診並びに健康の自己管理に必ずしもつながっていない。 4 健康診査の結果を踏ま
えた集団に対する健康課題の明確化及びそれに基づ く栄養指導その他の保健指導が十分
でない。 5 健康診査の結果等(栄養指導その他の保健指導の内容を含む。以下同じ。) が
各健康増進事業実施者間で継続されず、有効に活用されていない。 6 健康診査の結果等
に関する個人情報の保護について必ずしも十分でない。 また、このような状況の中、平成
十七年四月に、メタボリックシンドロームの 我が国における定義及び診断基準が日本動脈
硬化学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本肥満学会、日本循環器学会、日本腎臓
病学会、日本血栓止血学会 及び日本内科学会から構成されるメタボリックシンドローム診
断基準検討委員会において策定された。この定義及び診断基準においては、内臓脂肪の蓄
積に着目し、健康診査の結果を踏まえた効果的な栄養指導その他の保健指導を行うことに
より、過栄養により生じる複数の病態を効率良く予防し、心血管疾患等の発症予 防につな
げることが大きな目標とされた。
平成二十年四月からは、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)
により、保険者に対して内臓脂 肪の蓄積に起因した生活習慣病に関する特定健康診査及
び特定健康診査の結果による健康の保持に努める必要がある者に対する保健指導の実施
が義務付けられた ところである。 また、健康診査の項目や保指導対象者の基準等につ
いては、科学的根拠を踏 まえて、定期的な見直しが必要である。 その他、健康診査
の結果等を含む医療情報に関しては、医療分野の研究開発に 資するための匿名加工医療
情報に関する法律(平成二十九年法律第二十八号。以下 「次世代医療基盤法」という。)
が平成三十年五月から施行されている。
以上を踏まえ、この指針においては、各健康増進事業実施者により適切な健康 増進事
業が実施されるよう、健康診査の実施、健康診査の結果の通知、その結果を踏まえた栄養指導その他の保健指導の実施等、健康手帳等による健康診査の結果等に関する情報の継続の在り方及び個人情報の取扱いについて、各制度に共通する基本的な事項を定めること
とする。 各健康増進事業実施者は、健康診査の実施等に当たり、個人情報の保護等につ いて最大限に配慮するとともに、以下に定める事項を基本的な方向として、国民 の健康増進に向けた自主的な取組を進めるよう努めるものとする。 なお、この指針は、必要に応じ、適宜見直すものとする。

第二 健康診査の実施に関する事項  一 健康診査の在り方 二 健康診査の精度管理
第三 健康診査の結果の通知及び結果を踏まえた栄養指導その他の保健指導に関す る事項
第四 健康診査の結果等に関する情報の継続の在り方に関する事項
第五 健康診査の結果等に関する個人情報の取扱いに関する事項

1 健康増進事業実施者は、健康診査の結果等に関する個人情報について適正 な取扱いの厳格な実施を確保することが必要であることを認識し、個人情報 保護法令を遵守すること。
第六 施行期日 この指針は、健康増進法第九条の施行の日から施行するものとする。
(施行の日=平成一六年八月一日) 改正文 (平成一九年一〇月二九日厚生労働省告示第三四九号) 抄 平成二十年四月一日から適用する。 改正文 (令和四年三月二五日厚生労働省告示第九二号) 抄 令和四年四月一日から適用する。


7. 雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について (通知)   別添3
第1 趣旨

この留意事項は、雇用管理分野における労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号。以下
「安衛法」という。)等に基づき実施した健康診断の結果等の健康情報の 取扱いについて、
「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則 編)」(平成 28 年個人情報
保護委員会告示第6号。以下「ガイドライン」という。) に定める措置の実施に当たって、
事業者において適切に取り扱われるよう、特に 留意すべき事項を定めるものである。 な
お、事業者は、この留意事項に記載のない事項等については、ガイドライン、 「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外国にある第三者への 提供編)」(平成 28
年個人情報保護委員会告示第7号)、「個人情報の保護に関する 法律についてのガイドライ
ン(第三者提供時の確認・記録義務編)」(平成 28 年個 人情報保護委員会告示第8号)、「個
人情報の保護に関する法律についてのガイド ライン(仮名加工情報・匿名加工情報編)」(平
成 28 年個人情報保護委員会告示第 9号)及び「個人情報の保護に関する法律についての
ガイドライン(認定個人情報保護団体編)」(令和3年個人情報保護委員会告示第7号)を
それぞれ参照され たい。


第2 健康情報の定義(1)〜(18)まで。
例えば、次のような場合には、健康情報の取得及び第三者提供に際して、 本人の同意は必要ない。
(a)事業者が、法令に基づき、労働者の健康診断の結果を取得し、又は第三者に 提供する場合(法第 20 条第2項第1号、第 27 条第1項第1号)。(b)法第 27 条第5項第1号から第3号までに掲げる第三者に該当しない場合(例 :事業者が医療保険者と共同で健康診断を実施する場合において、健康情報が共 同して利用する者に提供される場合等)
第3 健康情報の取扱いについて事業者が留意すべき事項→1〜10項目あり。
1 事業者が健康情報を取り扱うに当たっての基本的な考え方
・要配慮個人情報に準じて取り扱うこと。本人の同意必要。


8. 「定期健康診断等及び特定健康診査等の実施に係る事業者と保険者の連携・協力事項について」の一部改正について(通知)
令和5年7月31日  (別記)事業者団体及び関係団体の長 殿
厚生労働省労働基準局長  厚生労働省保険局長
(別紙) 定期健康診断等及び特定健康診査等の実施に係る事業者と保険者の連携・協力事項に ついて
1.定期健康診断等の結果の情報提供等の事業者と保険者の連携の基本的な考え方

保険者は、糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症・重症化を予防し、医療費を 適正化するため、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和 57 年法律第 80 号。以下 「高確法」という。)に基づく法定義務の保健事業として、特定健康診査及び特定 保健指導を行っている。事業者は健康保険料の一部を負担し、保険者の運営に関わ っている。保険者が特定健康診査及び特定保健指導等の保健事業を的確に実施し、 医療費適正化に取り組むとともに、制度間の健診の重複を避けるためには、事業者 と保険者が緊密に連携し、定期健康診断等の結果を事業者から保険者に迅速かつ確 実に情報提供する必要がある。 このため、高確法では、労働者が労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号。以下 「安衛法」という。)その他の法令に基づき行われる特定健康診査に相当する健康 診断を受診した場合は、特定健康診査の全部又は一部を行ったものとし、保険者か ら特定健康診査及び特定保健指導の適切かつ有効な実施のために健康診断に関する 記録の写しの提供を求められた事業者は、その記録の写しを提供しなければならな いこととされている。
令和4年1月からは、健康保険法(大正 11 年法律第 70 号。以下「健保 法」という。)等において、保険者から保健事業の実施のために健康診断に関する 記録の写しの提供を求められた事業者は、その記録の写しを提供しなければならな いこととされている。これにより、保険者は、特定健康診査の対象年齢(40〜74歳)の労働者に加え、40 歳未満の労働者の定期健康診断等の結果についても情報を 取得することができ、それに基づく保健指導等を行うことが可能となっている。 これらを着実に進めていくためには、事業者において定期健康診断等を適切に実施するとともに、事業者から保険者に定期健康診断等の結果を迅速かつ確実に情報 提供することが必須であり、事業者と保険者が一体となって取組を進めていく必要 がある。

2.定期健康診断等及び特定健康診査の実施と保険者への情報提供の方法等
(1)定期健康診断等及び特定健康診査の一体的な実施
(2)定期健康診断等の結果の保険者への情報提供の方法等
@電子的な標準記録様式による提出について
A定期健康診断等の結果の情報提供に関する必要な取決め等
(3)個人情報保護についての配慮
3.特定保健指導等の円滑な実施の確保
(1)就業時間中における特定保健指導等の実施等
(2)事業者が実施する保健指導と併せて特定保健指導を実施する場合の費用負担
4.被保険者及び被扶養者の住所情報の保険者への情報提供

(別表) 労働安全衛生法に基づく定期健康診断の項目と高齢者の医療の確保に関する法律に基づき保険者が事業者等に対して提供を求めることができる項目との関係
(別添1) 一般健康診断問診票→1〜31の質問項目。労働安全衛生法に基づく定期健康診断等と高齢者の医療の確保に関する法律に基づく特定健康診査の項目を 同時に実施する場合の、標準的な問診票。
(別添1の2) 一般健康診断問診票→特に「27・28」飲酒に関する委細増加。
(別添2) 健康診断等委託契約書
(別紙) 本件業務の内容及び料金表
(別添3) 健康診断結果提供依頼書


9.「職域におけるがん検診に関するマニュアル」の策定について(通知)
平成30年3月29日  都道府県知事・各政令市市長・特別区区長 殿
厚生労働省 健 康 局 長
がんの死亡者を減少させていくためには、
科学的根拠に基づくがん検診を、適切な精度管理の下で実施することが重要・・・・・・・・・・(略)・・・・・・・・・・・・↓
今般、別添のとおり、職域におけるがん検診に関するワ ーキンググループにおいて、科学的見地より検討を進め、職域におけるがん検 診をより効果的に行うことのできるよう、その技術的な側面の参考として、「職 域におけるがん検診に関するマニュアル」を策定しました。この内容について ご理解をいただいた上で、貴管下の関係団体及び関係者に対する周知等を図っ ていただきますよう、よろしくお願いいたします
(別添) 職域におけるがん検診に関するマニュアル↓
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka /0000204422.pdf


次回は新たに「第18回アレルギー疾患対策推進協議会資料」からです。

第3回地域共生社会の在り方検討会議 [2024年10月11日(Fri)]
第3回地域共生社会の在り方検討会議 資料(令和6年8月21日)
議事(1)成年後見制度の見直しに向けた司法と福祉との連携強化等の総合的な権利擁護支援策 の充実について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42688.html
【構成員提出資料】 田中構成員提出資料
◎生駒市における権利擁護支援の 地域連携ネットワークの機能の検討(案) 〜意思決定支援を中心に〜 生駒市
○意思決定支援 生駒市認知症支え隊の活動からの発展(例)↓

・認知症支え隊養成講座を受講し、サロンや受診同行、買い物サポートなど、日々の暮らしを支えるボランティア活動を通して、認知症の方の想いを受け止め、対応できる人を増やしていく。
・少しずつ、活動になじめるように専門職が時折サポートし、認知症当事者ミーティング等にも参加してもらいながら、認知症の理解を深めていってもらう。
・支え隊の活動+αしていきたいと思える人に、次のステップとして次ページの活動を紹介する。
・障がい者の支援は、別途、親亡きあとではなく、親が健在の頃からサポートしてくれる人とつなぎ、サービス事業所以外の人に馴染む関係を構築しながら、自宅での様子や趣味・嗜好などを知っていくことで、対象の方の特性を理解でき、意思決定支援が第3者でも行いやすくなる。

○生駒市における権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能の検討 意思決定支援を中心に(案)↓
・生活に寄り添った権利擁護支援(意思決定支援等)の担い手として、「認知症支え隊」(※)や「あいサポーター」に着目 (※)養成講座の受講後、地域包括支援センターに登録し、軽度認知症の方の見守りや買い物・受診同行を行う市民(交通費等実費のみ補助)。
・これらの活動に慣れ、関心のある方に日常生活自立支援の研修(希望者には市民後見人養成研修)を案内し、受講促進
・研修受講者は、まずは日常生活自立支援事業に関する生活支援員として活動 この際、始めは社協が伴走する他、中核機関や法人後見実施機関が研修を行う等、支援員が不安を抱えないようサポート
・本人の判断能力の低下に応じて、権利擁護支援チームや中核機関等と連携・協議し、後見申立てを適切な時期に円滑に実施
・申立後も、市民後見人養成研修受講者であれば、法人後見支援員として引き続き関与しうる(実務研修等も実施)
・成年後見制度の利用を終了し、日常生活自立支援事業等に移行した方を引き継いで支援する担い手の役割もなしえる。


【構成員提出資料】中野構成員提出資料
≪成年後見制度の見直しに向けた司法と福祉の連携強化等の総合的な権利擁護支援策の充実について 〜成年後見の現場から〜≫
(公社)成年後見センター・リーガルサポート 常任理事 中野篤子
○お伝えしたいこと↓
1.専門職団体からみた現状と課題

第3 運用・法改正で改善するべきと考える事項
成年後見制度利用促進専門家会議→ 第2回運用改善等WG(令和3年9月15日)より

2.本人にとって必要な支援とは 〜事例から検討できること
・権利擁護支援チームの存在
・中核機関・権利擁護支援の地域連携ネットワークの存在
・成年後見制度の必要性の判断について
3.必要な人に必要な制度がつながる連続した権利擁護支援の充実に向けて
〜法制化に向けた検討


1.専門職団体からみた現状と課題 〜成年後見制度利用促進専門家会議 第2回運用改善等WG(令和3年9月15日)より
○第3 運用・法改正で改善するべきと考える事項
1本人にとっての必要性や支援の状況に合わせた補佐・補助の活用 
事例1→80代女性。現在の状況、支援の体制、ある日のこと・・・参照のこと。

2.本人にとって必要な支援とは 〜事例から検討できること ↓
○遺産分割協議の判断を自ら行うことが困難→「この部分は」後見人等の関与が必要。↓
・遺産分割協議終了後は 後見人等の存在は必須なのか? ※現行法では、継続せざるを得ない →必要である場合でも利用を躊躇する 一因となってしまっている。 ↓
・従前の家族による支援 ・意思決定支援や福祉サービス利用を援助する仕組み +
・今後想定される本人やその取り巻く状況の変化にどのように対応するか?
・必要な支援体制とは?
○権利擁護支援チームの存在↓
・家族等の支援があり権利擁護支援チームが機能している場合 法的課題が解決すれば成年後見制度利用の終了を検討できる。
・家族等による支援が期待できないなど後見人等の支援が必要な場合 成年後見制度の利用を継続するが、市民後見人等へのリレーも検討
・法的課題がなく十分な支援がある場合 日常生活自立支援事業、 意思決定支援をサポートする権利擁護支援策等が 充実していれば権利擁護支援チームに後見人等は必須ではない (法的課題が解決した後の後見人等の退任も検討できる) →権利擁護支援チームが十分な機能を果たすこと + その時の本人の状態・状況に合った支援に柔軟に変更できる体制 チームをバックアップする中核機関の存在 後見人の選任・交代・終了時の家庭裁判所との情報共有・連携
○中核機関・権利擁護支援の地域連携ネットワークの存在
・本人の状態、取り巻く状況の変化により必要な支援は変化する (合わせてチームの構成員も変化する)
・権利擁護支援チームの自立後もケースに応じて 中核機関との情報共有や連携が必要
○成年後見制度利用の必要性の判断について
・本人の状態・取り巻く状況の変化に伴いチームにおける本人支援の中で 後見人等の「必要性」「役割」も変化する
・成年後見制度が必要とされる状況を把握しスムーズにつなぐ仕組みが求められる。
(中核機関が状況把握、家庭裁判所との連携)必要なときにいつでも利用できる。(安心して終了できる)

2.必要な人に必要な制度がつながる連続した権利擁護支援の充実に向けて
・権利擁護支援チームの形成の中で本人に必要な権利擁護支援策を検討(成年後見制度利用が必要か?)
・成年後見申し立て時の受任者調整(選任後の後見人の役割や交代などの方向性も検討・ 家庭裁判所とのイメージの共有) ※選任時に役割や方向性が整理されていると後見人は的確に必要な本人支援が行える→本人にとってメリット大
・後見人等が「チーム」にいない権利擁護支援チーム→地域における継続した支援体制(必要とされる場合は、適切な時期に成年後見の申立て)
・成年後見制度利用後における必要性の見直し
・取消審判の後の家庭裁判所との情報共有
→法制化の必要性
・中核機関と家庭裁判所との円滑な情報の共有と連携のための法的裏付けが必要
・総合的な権利擁護支援策の事業の充実(社会福祉法第二種事業として位置づける等)


【構成員提出資料】永田構成員提出資料
≪第 3 回 地域共生社会の在り方検討会議 意見書≫   同志社大学 永田 祐
第1回の意見書でも述べた通り、成年後見制度は、「適切な時機に、必要な限り」で利用される制度へと改革の議論が進められている
。そうであるなら、地域で判断能力が不十分な人を支える福祉側の総合的な権利擁護支援策の充実が喫緊の課題となる。同時に、従来、福祉(例えば、日常生活自立支援事業)から、成年後見制度への適切な移行が利用促進として重視されてきたが、成年後見制度から福祉への移行も重要になってくる。こうした 双方向の司法と福祉の連携の中核となる機関(機能)を明確にすることが重要なこともすでに指摘した通り。 以下、この2点と権利擁護への市民の参加について意見を述べる。

1.総合的な権利擁護支援策の充実の方向性
日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分な人の法的能力を制限しない、意思決定支援の事業として高く評価されるべきものだが、現行の体制では、成年後見制度の改革の先に見える新しい地域における支援体制に、 質量ともに応えられない。
量的な観点では、実利用者は約 56,000 人でほぼ横ばいで推移しており、実施体制に限界があることを示唆している。質的な観点からみると、例えば、@法律上の「福祉サービス利用援助事業」に厳格になりすぎてしまうと、日常的な金銭管理といった現場で求められる本人の生活ニーズに十分に応えられないおそれがあること、A生活支援員は専門員の指揮下で業務をする立場であるため、意思決定支援が十分に確保されるか疑問が残ること、B後見終了時に本人が契約できない場合には本事業での対応が困難であること、といった課題が指摘できる。一方、第二期成年後見制度利用促進基本計画のもとでは、「総合的な権利擁護支援策の充実」の一つとして、「新たな連携・協力体制の構築による生活支援・意思決定支援の検討」が掲げられ、「簡易な金銭管理等を通じ、地域生活における意思決定を支援する取組」のモデル事業が各地で実施され、一定の成果や課題が報告されている。 モデル事業の成果や課題を踏まえた日常生活自立支援事業の拡充・見直し及び総合的な権利擁護支援策の具体化には、大きく分けて、@日常生活自立支援事業の拡充、Aモデル事業の事業化、B(事実上の@+Aとして)モデル事業の成果を取り入れつつ日常生活自立支援事業を大幅にリニューアルして拡充、Cモデル事業 における各機能(日常的な金銭管理(赤)、監督・支援(緑)、意思決定支援(青))をそれぞれ事業化、といった方向性(@〜Cの部分的な組み合わせを含む)が考えられる。 引き続き検討を要するものの、現時点では、「モデル事業で得られた成果や課題を踏まえつつ、日常生活自立 支援事業を大幅にリニューアルして事業規模の拡充を図るとともに、モデル事業において重視された各要素についてそれぞれ個別に事業化を目指す」ことが妥当かつ現実的な対応ではないか(B+C)と考える。即ち、現行の日常生活自立支援事業が、モデル事業でいう日常的な金銭管理(赤)と意思決定支援(青)の2要素を持つ事業(赤+青)であることに着目し、この事業について、十分な予算・人員の確保を図った上で、総合的な権利擁護事業として社会福祉法上の事業に位置付け、全国の各地域における権利擁護支援の基軸事業とすることが考えられる。なお、社会福祉事業であれば、都道府県による監督にも服することとなり一定の監督(緑)作用は期待できるものの、日常的な金銭管理(赤)と意思決定支援(青)について相互の牽制機能が働くよう、事業の実施主体 内における内部牽制体制の確立(部署を分けた上で監査機能を拡充する等)に留意すべきである(B)。 また、前述の総合的な権利擁護事業(日常生活自立支援事業のリニューアル版)を基軸としつつ、各地域にお ける本人に対する支援策の上乗せを図る観点から、モデル事業の各要素について個別に事業化を行い、各地域において選択的に実施できるような環境を整えることができれば、地域の実情に応じた権利擁護支援体制を展 開できるのではないか。例えば、意思決定支援サポーターの養成事業を立ち上げ、養成者が中核機関等に登録して、後見終了時に本人と意思決定支援サポーターをマッチングすることもできるようになると考えられる(C)。 なお、これらの提案は、成年後見制度の見直しに係る民法改正の施行が数年以内に迫っていることに鑑みたものであり、厚生労働省においては、これまで成年後見制度利用促進専門家会議において検討を重ねてきたモデル事業の各要素(赤・青・緑)を十分に踏まえた制度設計に努めるべきと考える。また、身寄りのない高齢者等を支援する枠組みとも大きく重なってくることから、今後の議論において、両者の検討が縦割りにならないよう包括的な検討を行っていくことが肝要である。

2.司法と福祉の連携の核となる機能の明確化
中核機関整備済み自治体は、令和5年4月1日時点で 1,070 市町村(61.5%)
となっており、量的にも十分にその整備が進んでいるとは言い難い。さらに、質的には「小さく生んで大きく育てる」をキーワードに、広報・啓発や 相談機能から体制整備が進められてきたため、その機能や取り組みには格差があるのが実態である。特に、家庭裁判所との連携が重要になる「受任者調整の仕組みづくり」は整備済み自治体の半数程度でしか取り組まれておらず、成年後見制度の見直しに向けて期待される「後見人等の選任後のチームの自立支援」については、1/4 の 中核機関では実施されていない。開始に当たっての適切な後見人の選任や終了に当たっての家庭裁判所との情報共有については、現状の実施状況のままでは、非常に不十分な状況であると言わざるを得ない。一足飛びにあらゆる機能を実現できないとしても、少なくとも司法(家庭裁判所)と開始及び終了に当たって情報を相互に 共有し、適切な支援が行えるような機能を何らかの形で法制化すべきであると考える。同時に、このような機関のあり方は、包括的な支援体制の構築と一体的に検討すべきであり、新たな機能の追加が屋上屋とならないように 留意すべきである。

3.市民の参加という観点
不足している機能が大きすぎるため、総合的な権利擁護支援策にしても、身寄り問題にしてもややもすると具体的な事業のあり方ばかりに目が行きがちである。しかしながら、専門的な支援(成年後見制度)や日常的な金銭管理を含む生活支援の基盤には、本人が地域社会に参加するための意思決定を後押ししたり、その人に人格的に関わる市民の存在が不可欠である。市民後見人は、後見人として法的な権限を持ちながらも、相対的にそのような役割を果たしてきたし、生活支援員、介護サービス相談員なども本来、市民によるインフォーマルなアドボケイトの役割が期待されてきたと考えられる。身寄りのない人への支援とも共通することだが、これまで各種制度で育んできた権利擁護人材を鳥瞰した整理を行い、新たな成年後見制度や総合的な権利擁護支援の中での市民の活 躍のあり方や位置づけを検討していくことも重要だと考える。

【参考資料】 構成員名簿→17名。

次回は新たに「労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会第6回資料」からです。

第3回地域共生社会の在り方検討会議 [2024年10月10日(Thu)]
第3回地域共生社会の在り方検討会議 資料(令和6年8月21日)
議事(1)成年後見制度の見直しに向けた司法と福祉との連携強化等の総合的な権利擁護支援策 の充実について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42688.html
◎資料3 石山参考人(福岡県大川市)提出資料
≪大川市における 持続可能な権利擁護支援モデル事業の取組≫
大川市福祉事務所 次長兼地域福祉係長 石山裕子
○大川市の概要(R6.4.1)→人口 31,450人、高齢化率 36.9%。その他あり。
○大川市の取組み〜持続可能な権利擁護支援モデル事業化のプロセス〜
・令和3年度 成年後見制度利用促進計画策定
・令和4年度 成年後見センター(中核機関)設置
大川市権利擁護ネットワーク会議設置(地域連携ネットワーク)
・令和5年度 組織改編 ※成年後見制度の事務を福祉事務所に新設の地域福祉係に統合
■ポイント→・既存事業を見直し、重複する組織や事務を統合 ・地域ケア会議の機能を活用し課題を明確化、関係機関と認識共有


○大川市の取組内容→【事業の目的】(参照)に沿って「市、社協、成年後見センターで作戦会議」⇒KAERUカードの仕組みを活用してDX、ICT活用取り組み。
○KAERUカードとは→特徴1〜3のプリペイドカード。「予算管理」「パートナー設定」あり。
○【大川市持続可能な権利擁護支援モデル事業イメージ】※事業開始当初→【協議の場】 医療機関や社会福祉法人も参加し、身寄りのない人等の入院や入所、金銭管理支援の円滑化を検討。 事業イメージ図 参照。
○大川市の取組み〜身寄りのない人の入院等〜→【規範的統合】私たちの取組内容⇒ @身寄りのない人の入院・入所対応マニュアルの作成。 R6.2月完成「大川市身寄りがない人の入院や入所に関する支援 マニュアル。 A身寄りのない人等の日常的金銭管理支援の仕組みづくり R6.2開始「大川市おひとりさま支援事業」
○大川市の取組み〜簡易な金銭管理・意思決定支援〜→大川市おひとりさま支援事業における各主体の役割等  参照。
○大川市おひとりさま支援事業の利用フロー1/2→啓発:終活セミナー エンディングノート→本人:利用の意思・相談⇒@〜➄を経て「活動・支援開始]
○大川市おひとりさま支援事業の利用フロー2/2↓
・活動・支援開始→本人:意思の表出・形成・実現→大川市実績確認→活動報告(年2回)→大川市権利擁護ネット ワーク会議へ。日常的金銭管理サービス、意思決定支援も参照。
大川市おひとりさま支援事業 入院時フロー↓
・本人:意思の表出・形成・実現→医療機関で利用者証を提示(・本人が希望する場合、治療に関する説明に意思決定サポーターが同席 ・事前に貸金庫に預かったエンディングノートを活用)→日常的金銭管理サービス 大川市社会福祉協議会(金融機関)→支払いは意思決定支援者に届く。
○意思決定サポーターの状況(令和6年6月末現在)→登録者数:4名。属性:社会福祉法人職員3名、元職員1名。
○おひとりさま支援事業利用状況(令和6年6月末現在)→利用者数:2名。属性:Aさん 30代 女性 知的障がい(グループホーム入所中)。Bさん 80代 男性 高齢者(脳梗塞 入院中)
○利用開始までの流れ(Aさんの場合)→「利用前の暮らし」から「おひとりさま支援事業を取り入れた暮らし」へ。サポーターと共にした暮らしへ。

○大川市の取組み〜効果と課題、今後の展開〜↓
【効果】:市、市社協、後見センターだけでなく、三士会、金融機関、医療機関、福祉施 設等と現状の認識及び連携した取り組みの必要性に関する規範的統合ができた。 2名の方へ支援開始し、意思決定支援と生活費の管理、入院費支払いができた。 事業の利用により、利用者のやってみたいことが広がった。
【課題】
・身寄りのない人の入院入所
→ @入所者の病院受診時の付添などの事実行為を誰が担うのか右矢印1国の制度的対応が必要 Aマニュアルの普及 右矢印1多職種連携研修でマニュアルを使用した事例検討など実施 B市民の終末期に関する事前自己決定 右矢印1終活セミナーや医療機関でのACP推進。
・簡易な金銭管理サービスと意思決定支援→ @費用負担 右矢印1継続実施のためには財源措置
が必要 A意思決定サポーターの人材確保 右矢印1市民への周知啓発、定期的な研修 B金融機関の参入拡大 右矢印1金融機関の理解促進。


◎資料4 住田参考人(特定非営利活動法人尾張東部権利擁護支援センター長)提出資料
≪成年後見制度の見直しに向けた司法と福祉の連携強化等の総合的な権利擁護支援策の充実について≫
特定非営利活動法人尾張東部権利擁護支援センター センター長 住田敦子
○特定非営利活動法人 尾張東部権利擁護支援センター
設置主体(5市1町)平成23年10月開設→中核機関受託(平成31年4月〜)(広報啓発・相談・市民後見推進(累計40件)。候補者調整・後見人支援・協議会の事務局)。    独自事業 法人後見 (累計135件)。

○愛知県の中核機関体制整備状況
・愛知県の特徴→広域行政によるセンター設置4か所 愛知県内の広域市町設置率(45%)。
※尾張東部権利擁護支援センターにおいては 2つの協議会を開催(年間8回以上、行政は
課長職)。その他、日常生活自立支援事業担当者ミーティング(5年目)、意思決定支援プ
ロジェクト・権利擁護支援プロジェクト 身寄りのない人の支援プロジェクトの取組を行っ
ている

○本日の報告↓
【T】中核機関における地域連携ネットワークのコーディネートの取組の現状や課題について
○第2期成年後見制度利用促進基本計画における 中核機関の役割
○センター運営の組織体制

○法人後見からコーディネート中心の事業展開の経過→※尾張東部圏域における成年後見制度利用促進計画(6市町の共通計画)参照。
○地域連携ネットワークのコーディネートの取組→中核機関としてのコーディネート@➁B参照。尾張東部圏域における成年後見制度利用促進計画進行管理推進委員会(協議会) 計画の進捗・評価・PTの発足(家庭裁判所・愛知県・県社協 オブザーバー参加)。
○センター機能と中核機関、法人後見の関連→権利擁護支援センターの中身、その他関係。
○中核機関の受託以降のセンター業務の変化(第2期計画策定での業務量分析結果)→中核機関におけるコーディネート業務割合の増加。
○広報・相談(相談支援機能)→中核機関が主催する 様々な研修・講演会など 参照。
○尾張東部圏域の首長申立ての推移→11年間で約90倍の増加
○6市町の日常生活自立支援事業担当者 生活困窮者自立支援事業担当者ミーティングの定例開催→ミーティングにおけるPT(プロジェクトチーム)による活動⇒そろそろPT:そろそろシート作成・試行的実施(連携ツールの開発)へ。
○法律専門職とのネットワーク構築の工夫→法律専門職との連携ツールの仕組み作り @利用支援事業整備A名簿の整備。「成年後見制度利用支援事業要綱」の5市1町共通整備→専門職後見人の報酬担保の独自の連携システムを構築⇒専門職協力者名簿登録制度(H26〜)となる。
○担い手の育成支援 市民後見推進事業10年間の取組み→●市民後見推進事業により市民の参加による 地域連携ネットワークの構築。 ●専門職、各市町社会福祉協議会、家庭裁判所との連携推進。
○相談・苦情の対応分類→(中核機関による支援 19人/支援回数142回 R4年度)

【U】福祉と司法の更なる連携強化に向けて中核機関が果たすべき役割や位置づけに対する見解について
○成年後見制度利用の入り口支援
→@〜➄⇒家庭裁判所との連携へ。
※家庭裁判所との更なる連携強化の視点→中核機関における支援方針、候補者調整の認識共有(見解が異なる場合の対応/連携) 申立時における支援の見立て方針の共有(後見人交代のタイミング) 市民後見人への理解と中核機関、市町村、都道府県との連携。

○成年後見制度利用中の支援→@〜Bまで。
※家庭裁判所との更なる連携強化の視点→・適切な後見人等への交代の妥当性とタイミングの認識共有 ・後見人等に対する苦情に関する報告・連携 ・身上保護、意思決定支援に関する裁判所の理解促進

○成年後見制度終了の支援(出口支援)→課題解決後の成年後見制度終了の検討@〜B
※家庭裁判所との更なる連携強化の視点→取消審判申立て時における家庭裁判所との情報共有(終了後の支援方針)⇒ 例 C日常生活自立支援事業への移行 ※日常生活自立支援事業の見直し・強化が重要。 例 D持続可能な権利擁護支援モデル事業等(より制限の少ない方法)への移行 ※モデル事業の普及には時間を要する。
課題:本人が支援を望まない、CDの解約の場合、課題再発の可能性あり。


◎資料5 向井参考人(最高裁判所事務総局家庭局第二課長)提出資料
≪福祉と司法の連携に関する取組の 現状と課題について≫
令和6年8月21日(水) 最高裁判所事務総局家庭局
1 福祉・行政等と家庭裁判所の機能・役割
→福祉・行政等と家庭裁判所は機関としての本
来的な機能や役割が 異なるため、「支援」機能と「運用・監督」機能という異なる機 能と
して整理された。 
地域連携ネットワークの充実を図るためには、 福祉・行政等と家庭裁判所とが、噛み合
たかたちで、それぞれの機能を担っていくことが必要。

2 家庭裁判所の機能・役割と相互理解→中立性・公平性の維持を求められる司法機関として、 できることと、できないことがある。
地域連携ネットワークの充実を図るためには、 福祉・行政等と家庭裁判所とが、噛み合った かたちで、それぞれの機能を担っていくこと が必要。

3 権利擁護支援を行う三つの場面における機能→三つの場面に「福祉・行政・法律専門職などの多様な主体による「支援」機能」「家庭裁判所による成年後見制度の「運用・監督」機能」についての説明あり。

4 福祉・行政等による申立前の調整→福祉・行政等による支援⇒ 受任者調整会議等あり。

5 成年後見制度の利用開始までの場面→福祉・行政等による支援⇒ 受任者調整会議等で十分に考慮後→家庭 裁判所による後見人等の選任へ。

6 福祉・行政等と家庭裁判所の連携と中核機関の法制化→中核機関の法制化により、 中核機関が主催する受任者調整会議に法的な根拠が与えられれば、福祉・行政等による支援・ 調整と家庭裁判所による判断とが適切に噛み合うこと が期待される。

7 個人情報の共有と中核機関の法制化→地域連携ネットワークにおける連携と取組を更に推し進めるためには、中核機関が 法制化され、関係機関間において円滑に情報共有できるようになることが重要。⇒受任者調整会議の充実、中核機関による取組の充実につながり、「切れ目のない本人支援」へ。

8 地域連携上の課題と中核機関の法制化→将来的に市民後見人への交代を行う想定をしていた事案について、交代を検討すべき時期が来た場合や、 地域連携ネットワークの関係者が後見人等の不正を把握した場合などにおいて、家庭裁判所と中核機関が 適時・適切に連絡できるしくみを整える。(第二期計画41頁)⇒「適時・適切な連絡」に当たっては、一方通行ではなく相互に情報が流通することが必要。
中核機関が法制化され、中核機関の役割が明確になることにより、改めて福祉・行政全体にお ける役割分担も整理され、相談窓口の明確化やその周知が図られ、家庭裁判所との連携もより 深まるのではないかと考えられる。

次回も続き「【構成員提出資料】(3人)」からです。

地域社会福祉と民事法制との一体的な改革という要請 [2024年10月09日(Wed)]
◎資料2−1、2−2 山野目参考人(早稲田大学大学院法務研究科教授)提出資料
地域社会福祉と民事法制との一体的な改革という要請≫ 早稲田大学教授 山野目 章夫
1 序――ふたつのキーワードをめぐる論点の整理 →権利を実現して、人々は、暮らしを立てる。 身分でなく権利の体系として成りたつ近代は、文明の発展の一つの到達点で あったにちがいない。到達点は同時に困難な道のりの始まりであった。市民革命 から今日までの時代は、産業革命が始まって高度工業社会を迎え、さらにその後 へという動きが併行し、効率を追い求める経済社会をもたらしたことが、忘れら れてはならない。情報や交渉力における現実の格差があり、それらにおいて優位 にある者らの権利が実現される半面において、格差の歪みが作り出す大きな社 会的な障壁が立ちはだかり、貧しさに苦しむ人々、ひとりで子を育てる親たち、 年少の者ら、加齢や心身の故障により難しい状況にある人々らがある。 近代という物語は、これらの人たちの権利実現の実質的な保障が図られなけ ればならないという必然の要請を伴う。
ここに、福祉における権利の実現(役所が用いてきた表現に近づけて述べるならば、権利擁護)という課題が立ち現れる。
効率が重んじられる大勢にある社会にあって、さまざまな困難に苦しむ人々 は、相対的に少数である。その人たちの権利の実現を素朴に代表民主制(議会と その信任に拠る行政府)に依存することは、相当でない。司法が成年後見や児童福祉に関わる仕組みは、運用において諸種の課題があるとしても、大宗において根拠がある。 このことを確かめたうえで、権利の実現の最終的な担い手となる司法が、裁判所(日本の実際の制度に即して述べるならば家庭裁判所)とその外郭をなす専門 職能(同じく弁護士や司法書士)からなる姿を想起しつつ、福祉と司法との間の 良い役割分担が考究されなければならない。 本人の日日 にちにち の暮らしを見守り、これに伴走する人々と共に権利を実現していく局面が当然のことながら存在する。何よりも、生計に要する標準的な費用に充 てられる金銭の管理およびそれに係る預貯金の取引などは、そうである(☞次述 2(2)・後述 4〈事業〉)。
半面において、日日というものを越える事項は、その権利の実現に携わる専門 職能を用いて本人の権利が実現されなければならない(☞次述(1) a))。 このような思考整理を経て、そこに大きな 2 つの課題が立ち現れる。第一に 福祉に求められる権利実現の役割とは何か、を明らかにすることであり、第二に、 福祉から司法への架橋の良い仕組みを見出すことである。

2 福祉に求められるもの
(1) 成年後見制度改革の動向→成年後見制度は、法律家による専門的な支 援が要ると認められる課題が現に存する場合において、これを本人が用い、また、 その課題が解決した場合において、これを本人が用いることを止める(後見を開 始する審判を取り消す)とする方向で見直される可能性がある。
a) 適切な時機に必要な限りで――という要請
→政府は、2022 年 3 月、成年後見制度利用促進基本計画(第二期)を決定した。そこにあっては、成年後見制度の見直しの問題提起をして、「成年後見制度については、他の支援による対応の可能性も踏まえて本人にとって適切な 時機に必要な範囲・期間で利用できるようにすべき(必要性・補充性の考慮)、三類型を一元化すべき、終身ではなく有期(更新)の制度として見直しの機会を付与すべき、本人が必 要とする身上保護や意思決定支援の内容やその変化に応じ後見人等を円滑に交代できるよ うにすべきといった制度改正の方向性に関する指摘、障害者の権利に関する条約に基づく 審査の状況を踏まえて見直すべきとの指摘、現状よりも公的な関与を強めて後見等を開始 できるようにすべきとの指摘などがされている」
と述べられる。これを受け、法制審議会民法(成年後見等関係)部会の部会資料 2 においては、つぎの問題提起がされた。
「法定後見制度(特に、後見の制度及び保佐の制度)については、制度利用の動機となった課題が解決したと考えられる場合でも、判断能力が回復しない限り制度の利用が継続することや、本人の判断能力の程度を基準として保護者に付与された法定の権限(代理権や取消権、同意権)が本人にとって実際に必要となる範囲を超えている場合があることが問題であるとの指摘がされており、これらを理由として、制度が硬直的で使いにくいといわれている。そして、このような問題意識を踏まえ、本人が適切な時機に必要な範囲及び期間で制度を利用することができるようにするために、法定後見の開始に当たり、法定後見による保護が必要であることを個別に考慮するものとすることを求める意見がある」。
ここに「制度利用の動機となった課題」とは、自宅やその他の不動産の売却、 親族について開始した相続に係る遺産の分割の協議などの手続への参画や、施設に入所する契約の締結およびそれに関連する金銭の給付の事務などが想定される。

b) とりわけ後見の終了に際し→とはいえ、毎日毎日、不動産を売却する必要に迫られる高齢者、障害者があるとは想像しにくい。たびたび親族の遺産の分割を話し合う席に臨まなければならない者も珍しい。 適切な時機に必要な限りにおいて、という要請が果たされず、いったん本人に対し始まった後見が(円滑な後見人の交代がないまま)続くという事態は、本人とその家族に対する負荷が大きく、そして、その負荷には意義が乏しい。家族の 声に耳を傾けよう。
「今までの現状から言いますと……一度使うとやめられないというのが一つあるのです ね、家族の誰かがお亡くなりになって、財産分与のときに後見人を使った、だけれどもその後、後見人が力量を発揮していただけるようなことは余りないのだけれども、ずっと後見人が傍らにおられて、何か私たち、こういう言い方をすると大変失礼ですけれども、親や本人からすると、毎月 2 万円取られるみたいな言い方をするわけですよね。何のお仕事をしていただく必要もないのに 2 万円取られてしまうという言い方を家族の中でする人はとても多いわけなのです。というのは、やはり、特に親が心配していますのは、親がいるうちはまだ金銭的にも応援ができる、だけれども、どっちみち親が先に逝きますから、第三者に託さなければならないときが来るわけですよね、そこを親は心配をしています。それで、本人が 親亡き後も暮らしていくには、障害のある人たちの収入というのは障害基礎年金が中心ですよね。多少福祉的就労とかをして、お仕事というか工賃があっても、1 万円前後ぐらいのことが多いわけです。それにも全然届かない方もたくさんおられます。その中で、大体基礎年金というのは 6 万円から 8 万円ちょっとぐらいの範囲で、1 級年金から 2 級年金までは 8 万円から 6 万円ですけれども、その中でお家賃 5 万円ぐらいが普通、全国平均 5 万円ぐらいです。東京だと 10 万円というところもありますけれども。それと食費を払い、光熱水費を払い、ということをするわけです。そうすると、御本人の手元にほぼ残らないような状態なのです。少し残ったものでお医者さんに掛かったり、散髪に行ったりというような感じですので、そこで後見人にお金が払えない。大事な制度だと分かっていても、払えないから使わないというのが一つあります」(久保厚子委員・発言・同部会第 1 回会議、2024 年 4 月 9 日)。
こうした問題提起を受け、後見を終了させる要件について論議の状況を整理 する同部会の部会資料 3 を踏まえて行なわれた同部会の調査審議は、もとより未だ成案に達していないものの、当面、つぎのような方向に集約される。
「本日段階で一つ確かめておきたいことは、必要性の検討は難しい問題で、引き続き検討しなければいけません、ということは、そうであるとして、少なくとも現行法の発想は改め るということについて、委員、幹事の間には、そこを踏まえて今後の議論を進めようというお考えでいらっしゃるであろうというふうに、これまでの議論は受け止めていますけれども、確かめさせていただいてよろしいですか。すなわち、どなたも専門家でいらっしゃいますから、よく御存じのことを申し上げることになりますが、現在の民法の規定では、後見を例にしますと、事理弁識能力が回復したときは後見開始審判を取り消すと定められています。限り、という言葉は用いられていませんが、伝えようとしている規律の内容は、事理弁識能力が回復したときに限り後見開始審判を取り消すというものが現行法の規律です。… …従来の、医学的な判断に専ら依拠して後見の終了を決める、その結果ほとんどの場合において終わらない後見になっているという実状を睨み、終わらない後見を終わらせるという課題のための検討にこれからチャレンジしていくという方向で、次回以降の部会資料を今日の御議論も踏まえて作成した上で議論の継続をお願いするという議事に恐らくなるであ ろうと受け止めますけれども、このように進めていくこと自体については御異論がありませんか。 それでは、必要性の中味が難しいということを確認し、しかしその議論に挑戦するというところまで今日御議論いただいたという取扱いにして、部会資料 3 の 1 のところについて の議論を中締めにいたします」(部会長・発言〔発言の要旨、追って議事録が確定され公表される予定〕・同部会第 3 回会議、2024 年 6 月 11 日)。

(2) 新しい社会福祉事業の構想→ 日常的な金銭管理や社会生活上の意思 決定支援における本人への意思決定支援の仕組みを充実していかなければならない。充実ということの意義内容として、公的な補助、支援、助成のような給付行政の展開にとどまることは、不十分である。後見が終了した後、本人が、制度上の根拠をもち、かつ運用上の実績を備える地域福祉の営みに委ねられる見通 しが得られなければならない。 精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある人々のために、無料または低額な料金で、生計に要する標準的な費用に充てられる金銭の管理およびそれに係る預貯金の取引、そのための印鑑や証書などの書類の保管などに加え、これに関連する諸事務、たとえば公共料金の支払の代行などの事務、また、介護保険サービスなどに係る各種の公的機関における手続の代行をすることが、明瞭に第二種社会福祉事業が提供する福祉サービスとして位置を与えられるべきである。日常生活自立支援事業の装いを新しくして、拡充するものとみてもよい(☞後述 4〈事業〉)。 この事業を営もうとする社会福祉法人などは、社会福祉法 68 条の 2・69 条の例に倣って都道府県知事への届出をしなければならないものとし、同法 70 条・ 71 条・72 条の例に倣い監督行政に服させるほか、都道府県社会福祉協議会に置かれる運営適正化委員会の助言や勧告を受けるものとすることが考えられる (同法 83 条参照)。

3 福祉から司法への架橋
(1) どのように伝えるか
→本人が現実に置かれた個別の状況を具体的に踏まえて後見を始めたり終わらせたりする仕組みへと民事法制の基本的な考え方が転換されようとしている情勢を睨みながら、裁判所が判断に際し用いる資料の充実が望まれる。医学的な知見の収集のみに言及する家事事件手続法 119 条・120 条の改正が課題とならざるをえない。 この見地から、本人の心身の状態や生活の状況など全般にわたる諸事情を伝える公的な資料を裁判所が活用することができる態勢が要請される。現在の運用において試みられている工夫を参考とし、裁判所が用いる公的な資料の法制上の位置づけが明瞭にされるとよい(☞次述 4〈情報〉)。その際は、資料を作成することができる機関や資格者の規律、また、虚偽の記載がされる場合の罰則の整備などが課題となる。かなりの部分は、家事事件手続法の上記各規定の改正問題であるが、機関や資格に関する法制上の細目や、関連する個人情報の扱いなどは、社会福祉法制と共管的に法制整備がされることが望ましい。

(2) だれが伝えるか→後見の開始およびその終了を判断する際、法定された機関を通じ、地域福祉の支援態勢を確認し、十分な支援が見込まれるかどうかを検討しなければならない。現行の家事事件手続法 119 条 1 項が後見の開始を決めるにあたり専ら医師の意見を聴くものとするところは、いわゆる医学モデルを象徴する。このような規律を改め、具体の本人の心身の状態および生活の状況、とりわけ、本人が後見を用いる現実の需要を明らかにしたうえで、後見の開 始を決めることができる態勢を調えるために要請される法制上の措置は、同項を改正して済むものではない。求意見の対象機関として地域の社会福祉の機関が想定され、それは、法制上の存在でなければならない(☞次述 4〈架橋〉)。 社会福祉法制の見直しにおいては、家事事件手続法の改正と併せて、いわゆる 中核機関の一部の機能が、社会福祉法の法文において読み取ることができる存在として法制化されることが不可欠である。中核機関は、地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核的な機関や体制をいう。中核機関が、本人や関係者から権利擁護支援や成年後見制度に関する相談を受け、必要に応じて専門的な助言などをし、権利の実現のため本人のためにする事務の内容を検討し、支援を適切に実施するため連絡調整をするものとされるべきである。

4 結――令和 2 年法律第 52 号の附則 2 条に基づく法制への期待→ 大切であることとして、これらの地域社会福祉と民事の法律制度の改革は、バラバラにされてはならない。地域社会福祉、そして民事の法律制度は、地域社会 福祉と民事の法律制度との一体的改革がされることが強く要請される。その要目は、つぎのとおりである。
〈事業〉 日常的な金銭管理や社会生活上の意思決定支援を主題として実践さ れてきた持続可能な権利擁護支援モデル事業を明瞭に制度上の事業とする(☞ 前述 2(2))。
〈情報〉 地域社会福祉と家庭裁判所との連携を強化し、後見の開始時、そして終了時における本人および地域における支援策の有無に関する情報提供の在り方を調える(☞前述 3(1))。
〈架橋〉 成年後見制度と地域社会福祉を架橋する役割を果たす中核機関の存在を法制上明確なものする(☞前述 3(2))。
ここまでに話題にした政策課題は、その汎用性において、必ずしも高齢者、あるいは障害者に限ったものでない。成年後見制度の改革と連動する地域社会福祉の大きな変革のうねりは、そこからひとまずの成果が試験的にせよ得られるならば、高齢者や障害者のほかにも、人生の辛苦と向き合っている様々な人々のために、容易に応用ができる。たとえば子どもたち。さまざまな事情から、母、 そして父の双方または一方と共にする暮らしがかなわない子どもらがある。東日本大震災は、父母を津波で流され、その時から親の財産を相続し、あるいは交付される災害弔慰金を管理しなければならない少年たちを生じさせた。 さしあたりは後見のなかでも成年後見が主題とされるが、あわせて未成年後見にも目配りし、民法の規定を読みやすいものにするなどの法制の整備も考えなければならない。
成年後見制度を含む地域社会福祉の包括的な改革は、ただ高齢者や障害者に 福利をもたらすところにとどまらず、ヤング・ケアラーやシングル・マザーのように、日日を懸命に生き続ける人たちのためにも応用可能なヒントを提供してくれるにちがいない。これらの人々も、ひとしく私たちと同じ空を仰ぐ同時代の仲間である。 だれでも人は脆い(vulnérable な)状況に陥る場面がありうる。その場面はさまざまであるが、そうであるからこそ、人の多様な脆弱な状況を支え、助ける気概こそ、社会に求められる博愛の精神に依拠して要請されなければならない。 それはけっして慈善でも救貧でもなく、近代が産み出した構造問題を解決しようとする福祉の現代的な展開である。 重層的支援体制整備事業に緒を与えて社会福祉法を改正した令和 2 年法律第 52 号が附則 2 条において要請する法制の措置が、豊かな内包を擁するものであって欲しいと願う。


◎≪地域社会福祉と民事法制との一体的な改革という要請 ≫
地域共生社会の在り方検討会議  2024年8月21日 早稲田大学教授 山野目 章夫
1 序/ふたつのキーワード
→ 福祉 そして司法⇒本人の権利の実現
2 福祉に求められるもの
(1) 成年後見制度改革の動向
・ 閣議で決めた文書→成年後見制度利用促進基本計画(第二期)
・改革のはじまり→法務大臣による法制審議会ヘの諮問 (2024年2月15日、諮問126号)
・審議会資料を読む→ 法制審議会 民法(成年後見等関係)部会 部会資料2 ⇒「制度利用の動機となった課題が解決したと考えられる場合でも、判断能力が回復しない限り制度の利用が継続することや、本人の判断能力の程度を基準として保護者に付与された法定の権 限・・・・・・が本人にとって実際に必要となる範囲を超えている場合があることが問題であるとの指摘がされており・・・・・・本人が適切 な時機に必要な範囲及び期間で制度を利用することができるよう にするために、法定後見の開始に当たり、法定後見による保護が 必要であることを個別に考慮するものとすることを求める意見が ある」。
・事実上の終身性→「仮に素晴らしい後見人と巡り会えたとしても、専門職による後見はどうしても報酬の問題が付いて回ります。障害基礎年金 2 級は 7 万円そこそこですが、 そこから最低でも 2 万円程度の報酬を支払わなければならない。そしてグループホームで暮らすとなると、 もう払えないよねというような状態になっています」。
 成年後見制度の在り方に関する研究会 第1回会議 2023年6月7日より
・審議会の現在の議論→ 部会第3回会議 2024年6月11日 部会長発言要旨⇒「現在の民法の規定では……事理弁識能力が回復したときは後見 開始審判を取り消すと定められています。限り、という言葉は用いられていませんが、伝えようとしている規律の内容は、事理弁 識能力が回復したときに限り後見開始審判を取り消すというもの が現行法の規律です。……医学的な判断に専ら依拠して後見の終了を決める、その結果ほとんどの場合において終わらない後見になっているという実状を睨み、終わらない後見を終わらせるとい う課題のための検討にこれからチャレンジしていくという方向で ……進めていくこと自体については御異論がありませんか」。

(2) 新しい社会福祉事業の構想 →“第3の社会福祉事業”⇒日常的な金銭管理など日日の暮らし における権利の実現。 社会生活上の意思決定支援。

3 福祉から司法への架橋
(1) どのように伝えるか→ 医学モデルの克服(社会的モデルへ)
(2) だれが伝えるか→ 中核機関の法制化という論点⇒中核機関とは地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核的な機関や体制。 本人や関係者から権利擁護支援や成年後 見制度に関する相談を受け、必要に応じて 専門的な助言などをし、権利の実現のため 本人のためにする事務の内容を検討し、支 援を適切に実施するため連絡調整をする。

○まとめ
地域社会福祉と民事法制との一体的な改革という要請→・〈事業〉権利擁護の事業 ・〈情報〉心身の状態 生活の状況 ・〈架橋〉中核機関の法制化

次回も続き「資料3 石山参考人(福岡県大川市)提出資料」からです。

第3回地域共生社会の在り方検討会議 [2024年10月08日(Tue)]
第3回地域共生社会の在り方検討会議 資料(令和6年8月21日)
議事(1)成年後見制度の見直しに向けた司法と福祉との連携強化等の総合的な権利擁護支援策 の充実について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42688.html
◎資料1 成年後見制度の見直しに向けた司法と福祉との連携強化等の総合的な権利擁護支援策の充実について ↓
○第二期成年後見制度利用促進基本計画の概要 〜 尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加を図る権利擁護支援の推進 〜(令和4年3月に「第二期成年後見制度利用促進基本計画」(計画期間は令和4〜8年度の5年間)を閣議決定)
T 成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方

◆ 地域共生社会の実現に向けた権利擁護支援の推進→地域連携ネットワークにおける権利擁護支援策の 一層の充実
◆ 尊厳のある本人らしい生活を継続できるようにするための成年後見制度の運用改善等→本人の自己決定権を尊重など@〜➄参照。
◆ 司法による権利擁護支援などを身近なものにするしくみづくり→地域連携ネットワークを通じた福祉と司法の連携強化により、必要な人が必要な時に司法による 権利擁護支援などを適切に受けられるようにしていく。
U 成年後見制度の利用促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策↓
1 成年後見制度等の見直しに向けた検討と総合的な権利擁護支援策の充実
(1)成年後見制度等の見直しに向けた検討
(2)総合的な権利擁護支援策の充実→新たな連携による生活支援・意思決定支援の検

3 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり

○第二期成年後見制度利用促進基本計画(抄)↓
(総合的な権利擁護支援策の充実、権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり)
1 成年後見制度の見直しに向けた検討と総合的な権利擁護支援策の充実
(2) 総合的な権利擁護支援策の充実
→A新たな連携・協力体制の構築による生活支援・意思決定支援の検討⇒国は、公的な機関、民間事業者や当事者団体等の多様な主体による生活支援等のサービス(簡易な金銭管理、入院・入所手続支援等 各種の生活支援サービス)が、本人の権利擁護支援として 展開されるよう、意思決定支援等を確保しながら取組を拡げるため の方策を検討する。
3 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり
(1) 権利擁護支援の地域連携ネットワークの基本的な考え方
@ 地域連携ネットワークの必要性と趣旨
→ ア 地域連携ネットワークの必要性⇒地域や福祉、行政などに司法を加えた多様な分野・主体が連携するしくみをつくっていく必要。
A 地域連携ネットワークのしくみ→ ウ 中核機関⇒ 中核機関とは、地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核的な機関や体制であり、以下のような役割を担う。
・ 本人や関係者等からの権利擁護支援や成年後見制度に関する相談を 受け、必要に応じて専門的助言等を確保しつつ、権利擁護支援の内容 の検討や支援を適切に実施するためのコーディネートを担う役割
・ 専門職団体・関係機関の協力・連携強化を図るために関係者のコー ディネートを行う役割(協議会の運営等) 中核機関の運営は、地域の実情に応じ、市町村により直営または市町村からの委託などにより行う。市町村が委託する場合等の運営主体については、業務の中立性・公正性の確保に留意しつつ、専門的業務に継続 的に対応する能力を有する法人(例えば、社会福祉協議会、NPO法人、 公益法人等)を適切に選定するものとする。 なお、国は1(1)に記載した成年後見制度等の見直しの検討と併せ て、中核機関の位置付け及びその役割にふさわしい適切な名称を検討する。

○持続可能な権利擁護支援モデル事業〜簡易な金銭管理等を通じ、地域生活における意思決定を支援する取組〜 →・ 市町村の関与の下で、市民後見人養成研修修了者等による意思決定支援によって、適切な生活支援等のサービス(簡易な金銭 管理、入院・入所手続支援等)が確保される方策等を検討する取組。 ・ 意思決定支援の場面において、権利侵害や法的課題を発見した場合、専門職が必要な支援を助言・実施する、市町村の関与を求め るなど、司法による権利擁護支援を身近なものとする方策についても検討する。 ・ このことにより、身寄りのない人も含め誰もが安心して生活支援等のサービスを利用することができるようにすることを目指す。↓
<モデル事業を実施する上で課題となった事項の例> 参照。

○(検討事項)成年後見制度の見直しに向けた司法と福祉との連携強化等の総合的な権利擁護支援策の充実の方向性について
<新たな連携・協力体制の構築による生活支援や意思決定支援の在り方について>→今後、成年後見制度が「他の支援による対応の可能性も踏まえて本人にとって適切な時期に必要な範囲・期間で利用できる」制度に見直されるとした場合、判断能力が不十分な人(本人)の地域生活を支えるためには、地域福祉において、どのような連携・協力体制を構築すべきか。 ↓

・ 少なくとも、本人に対する生活支援等のサービス(簡易な金銭管理、入院・入所手続支援等各種の生活支援サービス)を提 供する取組が必要と考えられ、その実施主体及び方法等について、どのように考えるか。【イメージ@】
・ 生活支援等のサービス提供に当たっては、本人の希望に応じ、本人の意思決定を支援することが重要と考えられ、 本人に対する意思決定支援の範囲及び実施主体等について、どのように考えるか。【イメージA】
※ これらの点を検討する際、支援の持続可能性、既存の取組・地域資源の活用等を考慮するほか、判断能力が不十分な人が「配慮を要する消費者」とされていることに留意する必要がある。
<「中核機関」(※)に求められる新たな役割及びその位置付けについて> ※権利擁護支援の地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核的な機関・体制 →成年後見制度の見直しに伴い、司法と福祉との連携強化等を図る観点から、中核機関は、今後、どのような役割を果たすことが必要になると考えられるか。【イメージ@】 ※ その際、新たな役割に応じた中核機関の位置付けやその名称等についても検討する必要がある。なお、検討に当たっては、中核機関の整備状況及び経緯等について考慮する必要がある。

○本人を地域で支えるための支援の実施体制及び方法、中核機関の役割・位置付けについて(イメージ@)→現在、地域には、本人を支える支援の輪(後見人を含む。)が多様に存在しているが、今後、成年後見制度が見直された場合、後見人以外の支援を得 て後見人が退任となる場合や、途中交代となる場合、重大な法律行為の発生により一時的に後見人を選任する場合等の発生が想定される。 ㋐今後、成年後見制度が見直された場合、地域福祉における本人に対する支援体制として、どのような主体が、どのような方法により実施することが適当かについて検討する必要がある。 ㋑また、成年後見制度の見直しも見据え、家庭裁判所との関係において、中核機関の果たすべき役割やその位置付けについて検討する必要がある。⇒ 権利擁護支援の地域連携ネットワーク 参照。

○地域福祉関係機関による意思決定支援の範囲及び実施主体について(イメージA)→今後、成年後見制度が見直されることによって、地域において、判断能力が不十分な人の意思決定を後見人以外の人が支援する場面が増えることも想定される。以下に例示した、本人に生じ得る意思決定のうち、地域福祉関係機関(組織・チームレベル)において、対応が必要、 かつ、支援が可能な意思決定支援の範囲及び実施主体について検討する必要がある。⇒必要となる判断能力の程度の高低によって、組織・チームレベル(日自事業、権利擁護支援チーム 等)による支援が必要な意思決定となる。

≪参考資料≫↓
@成年後見制度関係 (制度の見直しに向けた検討を含む。)↓

○成年後見制度とは?→民法の改正等により平成12年に誕生した制度。財産管理(不動産や預貯金などの管理、遺産分割などの相続手続など)や身上保護(介護・福祉サービスの利用契約や施設入所・入院の契約締結履行状況の確認など)などの法律行為を支える制度。「法定後見制度」は、判断能力が低下した際、裁判所により後見人等を選任する仕組み。「任意 後見制度」は、判断能力があるうちに、本人が任意後見人をあらかじめ選任しておく仕組み。
○成年後見制度の概要→ 精神上の障害により判断能力が不十分であるため法律行為における意思決定が困難な方々について、本人の 権利を守るために選任された援助者(成年後見人等)により、本人を法律的に支援する制度⇒法定後見制度・任意後見制度 参照。
○法定後見制度の概要→後 見・保 佐・補 助の説明。
○成年後見制度の利用状況等→利用者数はいずれも増加傾向。
○成年後見人等と本人との関係別件数(令和5年)→成年後見人等と本人の関係については、親族(配偶者、親、子、兄弟姉妹及びその他親族)が成年後見人等に選任されたものが 7,381件(全体の約18.1%)、親族以外の第三者が選任されたものが33,348件(全体の約81.9%)となっている。
○市民後見人について→市民後見人とは、弁護士や司法書士などの資格をもたない、親族以外の市民による成年後見人等であり、市町村等 の支援をうけて後見業務を適正に担う。 主な業務は、ひとりで決めることに不安のある方の金銭管理、介護・福祉サービスの利用援助の支援など。 市町村等の研修を修了し必要な知識・技術、社会規範、倫理性を身につけ、登録後、家庭裁判所からの選任を受けてから成年後見人等としての活動が開始される。
○法人後見について→法人後見とは、社会福祉法人や社団法人、NPO法人などの法人が成年後見人等になり、親族等が個人で成年後見人等に就任した場合と同様に、判断能力が不十分な人の保護・支援を行うもの。  法人後見では、法人の職員が成年後見制度に基づく後見事務を担当して行う。担当職員が何らかの理由でその事務 を行なえなくなっても、担当者を変更することにより、後見事務を継続して行うことができるという利点がある。

A権利擁護支援の地域連携ネットワーク関係(中核機関の整備状況・役割を含む。)↓
○「権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能」 〜福祉・行政等の多様な主体の連携による個別支援と、家庭裁判所による制度の運用・監督〜
→地域連携ネットワークが担う機能には、権利擁護支援を行う3つの場面に対応した形で、福祉・行政・法律専門職など多様な主体の連携による「支援」機能と、家庭裁判所による「制度の運用・監督」機能がある。⇒「権利擁護支援を行う3つの場面」対応の「「権利擁護支援の地域連携ネットワーク」の機能」 参照。

○「権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能」を強化するための取組 〜地域連携ネットワークの関係者における機能強化に向けた取組〜→権利擁護支援を行う3つの場面に応じ、福祉・行政・法律専門職など多様な主体の連携による「支援」機能と、家庭裁判所に よる「制度の運用・監督」の機能を適切に果たすため、地域・福祉・行政・法律専門職・家庭裁判所等の地域連携ネットワーク の関係者が、以下の3つの視点(ア〜ウ)を持って、自発的に協力して取り組むことが必要。(なお、市町村単位では取り組みにくい内容については、都道府県が市町村と連携しながら取り組んでいくことが重要。)↓
ア:異なる立場の関係者が、各々の役割を理解し、認識や方向性を共有するための「共通理解の促進」の視点。 イ:様々な立場の関係者が新たに権利擁護支援に参画し、取組を拡げていくための「多様な主体の参画・活躍」の視点。 ウ:多くの関係者が円滑かつ効果的に連携・協力して活動するための「機能強化のためのしくみづくり」の視点。⇒「権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能」を強化するための取組(全国各地で共通して実施することが望ましいもの)

○(参考)「権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能」を強化するための取組イメージ→権利擁護支援の地域連携ネットワークとは、「各地域において、現に権利擁護支援を必要としている人も含めた地域に暮らす全ての 人が、尊厳のある本人らしい生活を継続し、地域社会に参加できるようにするため、地域や福祉、行政などに司法を加えた多様な分野・主体が連携するしくみ」。
○「地域連携ネットワークの支援機能」と「地域の体制づくりに関する取組」の実施状況→地域連携ネットワークの支援機能と地域の体制づくりに関する取組の実施状況は以下のとおり。割合の分母は中核機関整備自治体の1,070。⇒「実施していない」:利用前1%。後見人の選任まで16.8%。選任後25%。

○「中核機関(※)」の整備状況(令和5年4月1日時点)※権利擁護支援の地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核的な機関・体制→【成年後見制度利用促進施策に係る取組状況調査結果】⇒中核機関の整備状況 <整備済(R5.4時点):1,070市町村(61.5%)⇒ 整備済+整備見込あり:1,293市町村(74.3%)>【令和6年度末KPI:1,741市町村】

○「中核機関」の役割 :権利擁護支援の検討に関する場面(成年後見制度の利用前)→本人を取り巻く関係者が、権利擁護支援に関するニーズに気づき、必要な支援につなぐ場面。 この場面では、成年後見制度につなぐ場合や、同制度以外の権利擁護支援(権利擁護支援チームによる見守りや意思決定の支援、 日常生活自立支援事業の利用、虐待やセルフネグレクトの対応、消費生活センターの相談対応など) につなぐ場合がある。
○「中核機関」の役割 :成年後見制度の利用の開始までの場面(申立ての準備から後見人等の選任まで)→成年後見制度の申立ての必要性、その方法、制度利用後に必要となる支援、適切な後見人等候補者などを検討・調整し、家 庭裁判所に申し立て、後見人等が選任されるまでの場面。 この場面では、制度利用後の支援方針を検討。その中で、適切な権利擁護支援チームの体制も検討する。
○「中核機関」の役割 :成年後見制度の利用開始後に関する場面(後見人等の選任後)→家庭裁判所の審判により、後見人等が選任され、後見活動が開始されてからの場面。 この場面では、権利擁護支援チームに後見人等が参加し、チームの関係者間で、あらかじめ想定していた支援方針等を共有し、本人に対して、チームによる適切な支援が開始される。


B日常生活自立支援事業関係↓
○日常生活自立支援事業の概要
→認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な者に対して、福祉サービスの利用に関する援助等を行うことによ り、地域において自立した生活が送れるよう支援する事業。 第二期計画では、「専門員が作成した支援計画の下で、地域住民が生活支援員として本人に寄り添い、見守り、意思決定支援を行いながら適切 な金銭管理等を支援することで、尊厳のある本人らしい生活の安定を図る互助のしくみであり、これにより地域福祉が推進されている」と評価。⇒1.実施主体 2.利用対象者 2.利用対象者 4.実利用者数の推移    各項目参照のこと。
○日常生活自立支援事業の仕組み→都道府県・指定都市社協  参照。

C意思決定支援関係
○意思決定支援とは?(出典:「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」から一部引用)
→「意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン」(令和2年10月30日意思決定支援ワーキング・グループ)では、「意思決定支援 とは、特定の行為に関し本人の判断能力に課題のある局面において、本人に必要な情報を提供し、本人の意思や考えを引き出すなど、 後見人等を含めた本人に関わる支援者らによって行われる、本人が自らの価値観や選好に基づく意思決定をするための活動をいう」と されている。⇒意思決定支援のプロセス  参照。

D総合的な権利擁護支援策に関する御指摘等
○第1回検討会議(6/29)における主な構成員意見(総合的な権利擁護支援策関係)
→・ 民法改正と歩調を合わせて網羅的な権利擁護の仕組を整備する必要がある。支援の穴を開けないがキーワード。日常的金銭管理等に民間事 業者の参入を認める場合には、利用者の経済的搾取を防ぐため、悪質な事業者を排除する体制を整えることが肝要。高齢者等終身サポート 事業を含めて単なるガイドライン規制にとどめず、より強力な規制行政の側面を充実させていくべき。 ・ 裁判所が法定後見の開始・終了を適切に判断するためには、地域における後見以外の支援策の実情について、法定された機関から裁判所が 情報を得ることができる体制を整備することが必要。民法改正後の法定後見制度の適正な運用を担保する司法と行政の連携強化の観点から、社会福祉法改正によって、中核機関を段階的に法制化していくことがよいのではないか。 ・ 第二期基本計画やモデル事業の成果を踏まえ、司法と福祉の連携による福祉側の司令塔の役割、即ち中核機関の位置付けの検討、モデル事 業の成果を踏まえた日常生活自立支援事業の拡充と、社会福祉法の規定の見直し、もしくは新たな総合的な権利擁護支援策の事業化を検討していくべき。 ・ 日常生活自立支援事業の導入後、体制強化がされてきていない。成年後見制度の見直しに伴う総合的な権利擁護支援策の充実に向けた議論 は、日常生活自立支援事業の見直しとも一体的に行い、権利擁護支援策としてどうあるべきかということをしっかり議論できればと思う。 ・ 成年後見制度の大幅な見直しが見込まれる中、福祉制度でどのようにカバーするかは重要な課題。これまで法整備が十分なされてこなかった分野であり、今回はその端緒として制度づくりを行う。段階的に法整備を進めていくことを視野に入れて良いと思う。 ・ 社会福祉法は、元々、社会福祉事業法としてスタートしており、基本的に特定の福祉事業を行うものに対する事業法の立て付けとなってい て、一定の活動を行う広く民間全体を含めた事業者に対する規制法の立て付けとはなっていない。このため、例えば、悪質な民間業者に対 する規制など、社会福祉法の中だけで行うのは困難を伴う面がある。日常的な金銭管理や本人の意思決定支援を通じて、どのように福祉の 分野で本人をサポートしていくかを検討していくことになる。

○第16回成年後見制度利用促進専門家会議(8/2)における主な委員意見要旨
(その1)〜(その4)まで↓
<総合的な権利擁護支援の充実関係>
→13意見あり。・ 持続可能な権利擁護支援モデル事業の簡易な金銭管理は、日常生活自立支援事業における日常的金銭管理サービスと共通する。金銭管理と いうサービス、または体制構築が必要。いずれにせよ、意思決定支援を中心に日常生活自立支援事業も組替えが必要。【当事者団体意見】
・ 意思決定支援は大変重要であるが、障害者の特性とか福祉の仕組みとか、本人の日々の暮らしも理解しなければ、本当の意味で本人の意思 を支援するということにはつながらない。福祉職の方や当事者団体とともに、きちんとした検証システムとその実施体制は必要だと思って おり、本人が安心して地域で暮らし続けられるような、そんな制度を整えていただきたい。【当事者団体意見】

<権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり関係>→4意見あり。・ 地域共生社会に通じるのかもしれないが、権利擁護支援の地域連携ネットワークを考える際には、地域包括支援センターとか基幹相談支 援センターとか、こどもの支援センターとかの既存の相談支援体制をどうするかというところも含めて考えないといけないのではないか。 全体を見渡した上で、相談支援体制そのもの、包括的な相談支援体制を見直す必要があるのではないか。【当事者団体意見】

次回も続き「資料2−1、2−2 山野目参考人(早稲田大学大学院法務研究科教授)提出資料」からです。

第3回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」資料 [2024年10月07日(Mon)]
第3回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」資料(令和6年8月21日)
(議 題) ヒアリング(2回目) 1. 妊産婦の当事者からのヒアリング 2. 妊産婦の声を伝える者からのヒアリング
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42171.html
◎資 料 1 李構成員・西峯参考人提出資料
赤ちゃん本舗 ユーザーの声を中心とした報告
2024年8月21日   株式会社 赤ちゃん本舗  報告者 李 輝淳  西峯 佳恵
○レジュメ ↓
1イントロダクション→ 赤ちゃん本舗から報告するにあたり、 赤ちゃん本舗について
2妊娠・出産に関する費用負担の実態把握→1アンケートの概要(妊娠・出産に関する費用負担の実態把握) 2回答者のプロフィール(お子さまの年齢分布・回答者の都道府県分布)
3妊産婦・子育て中の親の声 分析(各種支援の見える化・整理・情報発信と手続きの困難さの解決を産後の金銭的支援を強く希望する声が多数) 4 まとめ ↓


1 イントロダクション→赤ちゃん本舗から報告するにあたり 赤ちゃん本舗について
○イントロダクション:赤ちゃん本舗から報告するにあたり
第1回、2回検討会の内容を振り返りどういった話題があがったかを自社なりに整理
○イントロダクション:赤ちゃん本舗について
日本国内の初産の方をベースとした場合の当社の登録割合が80%前後あります。

2妊娠・出産に関する費用負担の実態把握
○エグゼクティブサマリ
赤ちゃん本舗は今回の検討会参加を受けまして、妊娠・出産を経験されてい る顧客にアンケートといった形で質問を投げてみました
○アンケートの概要
妊娠・出産に関する費用負担の実態把握。ユーザーの期待や懸念を明らかにする。
○回答者のプロフィール
アカチャンホンポの顧客にアンケートを実施。 お子様の年齢は、妊娠中も含め各年齢で1,000件以上。 一部店舗のない県の回答が少ないものの(岩手/山形等)全国区で回答あり。
○妊産婦・子育て中の親の声 分析(定量分析)
・妊娠中・産後にかかる費用が不明瞭。 支援策検討とともに、まずは見える化を。
・国や自治体、健康保険からの給付、その他控除についても 情報の見える化・整理・積極的な発信が必要。
○妊産婦・子育て中の親の声 分析(定性分析)フリーコメントから
・情報収集や手続きの困難さを感じる声が多数。 助成・補助金がありながらもタイムラグや不足があり、負担を訴える声も。
・妊娠〜出産までも負担は大きいが、産後の金銭的支援を強く希望する声が多数。
○まとめ〜今回の調査(アンケートから)
【定量的】な数値として、助成に関する情報がまだまだ届いていない、届出が手間でわかりにくい事 。【定性的】な内容として、金銭的な負担を軽減したい。出産時だけではなく、産後におけるものも含 めてといった内容でした。
1各種制度(助成)の整理/見える化と情報発信から 助成を受けやすい環境の構築
2各種手続きの工数の削減から 手間を省く仕組み作り
3出産時以外の(産後も含めた)支援策の要望→→を顧客(出産/子育て経験者)から承っております。審議/検討の際に参考にいただきたいと存じます
○さいごに→今回の調査により、7,500名以上の妊産婦を含む多くのユーザーの 声を聞くことができました。 社会や子育て環境が変化する中で多くの課題を抱えながらも、 その声は、妊娠・出産・子育てをより良いものにしたいと願う 子育てに向き合う人たちの 未来に向けた希望の声だと感じています。 私たち赤ちゃん本舗はこれからも、 子どもを産み育てやすい社会の実現を目指してまいります。 どうぞ、引き続きよろしくお願いいたします。

○Appendix (アンケート結果)→妊娠・出産に関する顧客調査 2024/8/9~11(3日間)n=7,500
・[F1]性別、[F1]出産年齢、 [F1] 都道府県 (n=7500)
・[Q3]〜[Q31]まで。
○Appendix (アンケート結果:自由回答で記入が多かったキーワード)
・Q9 経済的不安の内容(n=183)→育休、収入など。
・Q11 妊娠中に負担を感じた出費(n=214)→不妊、費用など。
・Q15 産後の費用について考え始めた時期(n=115)→妊娠・不妊等々。
・Q18 産後に負担を感じた出費(n=366)→生活費・費用など。
・Q21 受給できる期間中に知ることができなかった補助金(n=432)→情報不足、制度の理解不足など。
・Q29 通院で感じる不便さ(n=282)→駐車場等々。
・Q30 妊婦健診・分娩施設までの通院で 改善してほしいことはありますか?(n=7335)→交通費の助成、妊婦対応タクシーなど。
・Q32 妊娠中や産後のために知りたい情報・収集が 難しい情報はどんなものですか?(n=3987)→サンゴの費用など。
・Q33 妊娠・出産・産後において、国や自治体からどんな支援が欲しいですか?(n=4928)   →経済的支援など1〜5までの参照。


◎資 料 2 久保田参考人提出資料
「日本の出産・育児環境」に対する父親・母親の認識とその声
潟xネッセコーポレーション たまひよメディア事業部
たまひよブランド広報 久保田悠佑子

○「たまひよ」自己紹介→1993年雑誌『たまごクラブ』『ひよこクラブ』創刊。 2023年に30周年を迎えました。 雑誌・アプリを中心に妊娠・育児事業を各種展開。
○(参考) 「たまひよ」ブランドはメディア外にも多くの接点をもっています
・たまひよ会員・読者モデル・マイクロインフルエンサー組織、全国の分娩院をはじめとする医療現場、官公庁、クリニックとのつながり、 写真スタジオ、eコマース事業等を幅広く運営。メディア事業のみならず、様々なステークホルダー・社会との接点をもっています。
○「たまひよ妊娠・出産白書」とは?→ ✓ 2021年にスタートし、2024年で 4回目。2025年3月に最新版リリース予定。 ✓ 生後0カ月〜1才6カ月の子どもを持つ父親・母親2000人への調査 ※第2回(2022年)より父親も調査対象に追加。 ✓ スタート時はコロナ感染拡大により立ち会い出産や両親学級ができない状況をふまえ、妊産婦の実態を調査し世の中に発信する目的。 ✓ その後も、働き方・健康・ジェンダーの意識変化、男性育休など妊娠育児に関連 した法制度整備など、急速なスピードで変化する社会状況や深刻な少子化などを 受け、父親母親の“現在(いま)”を世の中に発信することが必要であるとし継続。
○「たまひよ妊娠・出産白書2024」より抜粋
・Q. 日本の社会は、子どもを産み育てやすい社会だと思いますか?
A. 「あまり+全くそう思わない」 母親75.0%(2023年は76.9%)
父親59.1%(2023年は50.6%)
・Q.日本社会において出産・育児がしやすいと思わない理由
A.母親・父親ともにトップは 「経済的・金銭的な負担が大きい」
・「日本の社会は、子どもを産み育てやすい社会だと思わない」→母親75.0% 、父親59.1%、2022年から増加傾向 理由は「経済的・金銭的な負担が大きい」が8-9割を占める
・(参考)2023年に妊娠・育児に関連して、印象に残ったニュース・キーワードを教えてください。(複数回答)→出産一時金引き上げ⇒1位男性169/n413 女性 1004/n1649。
・ほぼ全員の父親・母親が「子どもを産んでよかった」
・「子どもをあと1人以上欲しい」と思う父親・母親は約7割だが低下傾向
・法制度変更影響から、父親の育休利用は大幅増加傾向
・「2週間〜1カ月未満」「1カ月〜3カ月未満」が3年連続で増加しており、育休 休暇は徐々に浸透傾向
・より男性育休が普及するためには「休みやすい職場の体制・雰囲気づ くり」「育休中の収入補填」が必要
・もっと育児に関わりたい男性は9割以上

○子育てに関して「経済的・金銭的負担」 「将来への不安」を感じている父親・母親の声を 本日お伝えさせていただきました。 「日本は出産・育児をしにくい」と感じる父親・母親が 過半数を超える、という厳しい状況下ですが、 その一方で育休関連の法整備もあり父親の出産・子育て に関する変化が目覚ましいことや、 ほぼ全員の父親・母親が「子どもを産んでよかった」と 答えるなど、ポジティブなことも多いと考えます。 「生まれてくる人」と それを「育てる人」が祝福される社会へ。 「たまひよ」も貢献していきたく、 引き続きよろしくお願いいたします。


◎資 料 3 佐藤参考人提出資料
「妊娠・出産の無償化」と 国際水準の「継続ケア」の実現を
佐藤拓代 医師、一般社団法人全国妊娠SOSネットワーク代表理事 子どもと家族のための緊急提言プロジェクト共同代表
○「孤立妊娠・出産ゼロ」への思い 〜私自身の医師、保健所長、妊娠支援、提言活動の経験から  
医師  元保健所長として  元大阪母子医療センターの母子保健情報センター長として 全国妊娠SOSネットワーク代表理事として 子どもと家族のための緊急提言プロジェクト共同代表として (公益社団法人母子保健推進会議会長として)


○子どもと家族のための 緊急提言プロジェクトとは→■ 2021年 団体発足、政策提言の記者発表 ※有識者、保育関係者、ジャーナリストなどで構成。 ■ コロナ禍で深刻化した妊産婦・親子の孤立を問題視 ※オンライン研究会・勉強会、調査活動、与野党への ロビーイング、院内集会などを展開。 ■2022年4月に「出産費用に関するWEB調査」 →「#出産無償化」キャンペーンで3万8千人の賛同。
○調査概要: ■ 実施団体:子どもと家族のための緊急提言プロジェクト、協力団体: NPO法人せたがや子育てネット、一般社団法人 ドゥーラ協会、NPO法人ピッコラーレ、認定NPO 法人びーのびーのなど。 ■目的:「出産入院に伴う負担」の実態を把握し出産支援制度の課題を考える ■回答者:2018年1月1日以降に出産した人(47都道府県から回答1236件、有効1228件) ■方 法:オンラインアンケート調査 ■査期間:2022年4月1日〜15日。

○調査結果からわかったこと→【1】「出産育児一時金(42万円)」以下で 産めた人はわずか7%。【2】「61万円以上」の83.3%は首都圏。【3】妊産婦の多くが「高い負担」に驚き、 公的支援の拡充を求めていた。【4】「入院予約金」求められた人が半数超 エステ、特別な食事など加算で負担増。
○自由記述〜6割が不満を吐露→11記述あり。・「教育にも多額の負担があるのに、(子育ての)入り口の出産でなぜこんなにお金がか かるのか」(山梨県)

○わずか2週間の調査で 47都道府県1200人超が回答 この反響の大きさこそが 妊産婦からのメッセージ→●メディアでも「出産費用」めぐる報道が急増 ●他方、国の出産費用調査は医療側が対象 ●当事者(妊産婦・家庭)中心の政策へ、転換を!
○「日本は子育てしにくい国」と若年層の6割→2005年 50.3% ⇒ 2020年 61.1% スウェーデンは97%、仏では82%が「自国は生み育 てやすい国」と回答 (内閣府2020年度「少子化社会に関する国際意識調査」より)

○子ども・子育て政策の改革 5つの緊急提言 〜すべての妊産婦と親子を孤立させない政策へ〜 1. 安心して妊娠・出産、育児にのぞめる環境を確立→妊娠から産後ケアまで保険適用とし、自己負担ゼロに。 2.すべての人に「妊娠からの伴走型支援」を保障→妊娠期から「かかりつけ助産師」などの伴走者を全員へ。 3.すべての子に発達の環境を保障する「保育保障」を。 4.「子ども家庭省」を創設し、行政窓口も一元化へ。 5.「家族政策」と「子どもと未来保険(基金)」創設を。
○児童相談所での虐待対応件数は増加
○放置される「妊娠の不安や悩み」
→多発する新生児遺棄や 虐待、産後うつ・・・。予防 支援の不足が浮き彫り
○国の虐待死検証からわかる日本の課題
○妊娠・出産・産後に孤立のない社会へ
・提案1
→経済的支援〜基本的な負担は社会でカバー⇒・妊娠・出産・産後の問題多発は「自己責任の限界」を露呈 ・周産期の医療・保健・ケアを無償化し、専門的支援へ全員誘導  出産費用(通常分娩)の国際比較調査 参照。
・提案2→専門家による伴奏型支援  
【フィンランドの事例】→フィンランドのワンストップ支援拠点〈ネウボラ=妊娠育児相談所〉。フィンランド(1921〜2020年)の 15歳未満児の虐待死者数(10万人当たり)の推移。【ニュージーランドの事例】⇒妊娠から「専門家が“継続ケア”する伴走型支援」の実現を
・提案3→親支援〜「共働き・共育て」で父親にも広がる 育児の孤立・不安・うつの防止が急務⇒親となる学びを産前産後「ペアレンティング・プログラム10回」で無料提供。
・提案4→生活支援〜各種の育児生活サポートを誰もが 利用できるインフラとして整備⇒「家事育児ヘルパー」や「ショートステイ (親子宿泊、宿泊保育)」、「デイサービス(一時預かり、 保育)」「産後ケア」「育児用具レンタル」など生活支援の 各種サービスを全国で整備など、どの家庭も必要に応じて利用できる仕組みを構築する
○妊娠・出産・子育てについての佐藤の思い→どの地域 にも頼れる 専門家や 資源がある とわかる!
≪参考として≫↓
・出産費用に関する WEB 調査の結果 子どもと家族のための緊急提言プロジェクト
・出産費用に関するweb調査結果(単純集計)


◎資 料 4 青柳参考人提出資料
妊娠期〜産後に 妊産婦が置かれている現状と課題について
コネヒト株式会社:青柳有香

○コネヒト/「ママリ」について 会社概要:「ママリ」サービスについて→全国350万人のユーザーにご利用いただいている子育て支援サービスです。妊娠・出産・育児等において悩みや困りごとがあった際に、同じような経験を持つママや先輩ママからのアドバイスや共感を得ることが できます。⇒アプリを中心とした子育て支援サービス(約10年間䛾運営ノウハウ)

≪ママリユーザーに対する妊娠・出産・産後期におけるアンケート概要と結果について≫
○「ママリ」を活用したアンケート調査について ↓
・アンケート調査の概要→・産前産後のママ(末子年齢 -1歳(妊娠中)〜4歳程度)としたアンケート調査を実施。 ・人口分布に比例した割合での妊産婦からの回答を、全都道府県から 3,991件回収。⇒調査概要などの参照。
・参考:回答者の構成比と年齢分布→・全国3,991名の回答者の年齢及び都道府県分布は以下の通り ・都道府県別の回答者分布は人口構成比に近い回答が得られた⇒いずれも参照。
・課題・ニーズ調査→妊娠期から産後までのアンケート概要は妊娠期・出産時・産後の参照。
・アンケート調査から見えた現状と課題@(〜妊娠期〜)
サマリ1
→● 妊婦は、妊婦健診の公費補助だけでは足りず、約 9割に自己負担が発生している ● 自治体補助を超えて生じた自己負担額は、 ~1万円未満が43%、~5万円未満が36%で全体の8割程度 を占めている
サマリ2→ ● 64%の方が妊婦健診以外にも自己負担が発生したと回答 ● 健診以外に発生した自己負担の費目としては、受診施設までの交通費、出生前診断等の健診以外で必 要な検査や、薬の処方等が多く挙げられている
現状課題からの提言→ ● 妊婦健診では公費補助ではまかなえない部分に加えて、交通費や公費補助対象外の健診費等、想定外は自己負担が発生している。妊婦の経済的負担を軽減するために、可能な限り公費補助を充実させて欲しい。 ● 厚労省が実施している「妊婦健康診査の公費負担状況に関する調査」等で、各自治体䛾公費負担状況や、健診施設での費用負担は一定可視化されているものの、情報が集めづらい状況になっている。 「出産なび」等を活用し、妊婦が効率的に、かつ納得度の高い選択が出来るよう全国各自治体毎の公費補助額と、施設ごとの健診にかかる費用を一覧で可視化出来るようにしていただきたい。
・アンケート調査から見えた現状と課題A(〜出産〜)
サマリ
→● 出産時に、自己負担が発生しなかったと答えた回答者 22% ● 出産育児一時金を超えた自己負担額として 10万未満が最多38%。次いで、10〜20万円未満が 25%。● 施設へ支払い額が分かったのが産後だった回答者4割。特に、会計日(退院日)になって支払額が 判明した回答者が最多であった。 ● また32%が出産にかかる費用を分娩施設から十分に説明されなかったと回答。● 出産時無痛分娩希望者は全国平均で約 2割 ● 都道府県別に東京、神奈川、千葉など大都市圏が全国平均よりも無痛分娩希望割合が高い傾向 ● 無痛分娩希望者の少ない都道府県は、無痛分娩を受けられる対応施設がない、もしくは少ないことが想定される。
現状課題から䛾提言→● 出産にあたり、約8割に自己負担が発生していることが分
 かった。しかし、その具体的な支払い費用が分かったのは会計・退院䛾日であったと 答えた割合が最多であったことからも、出産にかかる費用を早期に 妊婦が把握できるよう、分娩施設も説明機会を早期に設けていただきたい。また、何にいくら掛かっているのかという費用内訳を透明化していただき、妊婦が自身の経済状況やニーズに応じてサービスを取捨選択できるようにして欲しい。 ● 分娩方法に関しても、無痛分娩は全国平均では 2割のみが希望している状況だが、居住地によっては、実施施設がそもそもない・少ないことから、妊婦が選択できない状況が発生していることが想定される。妊婦 がニーズに応じた分娩方法やサービス選択ができるよう、施設の充実と、夜間・休日等でも希望分娩方法が受けられるよう医療体制を整備していただきたい。
・アンケート調査から見えた現状と課題B(〜出産〜)
サマリ
→● 産後気分が落ち込んだことがあると答えた回答者が約 8割 ● 一方で自
治体が実施している産後ケア事業を受けた回答者は 26%に留まっている● 産後ケア事業を受けなかった回答者のうち 59%は本来受けたかったと回答 ● 産後ケア事業を受けたかったのに受けられなかった理由最多は「近くに利用できる施設がなかった」 が26%、次いで「費用が高すぎた」が 18%と続いている。自由回答では、「上の子の預け先がなかった・同伴が不可だった」「里帰りのため受けられなかった」という回答が多く集まった● 出産後、頼れる人、支援してくれる人がいたと答えた回答者が 93%一方、7%はいなかったと回答 ● 頼れる人の内訳として䛿、「夫・パートナー」、「実母」に多く回答が集まった。 ● 一方で行政サービス支援を受けたと答えた回答者は 3%に留まった。
現状課題からの提言→ ● 産後気分が落ち込んだことがあると答えた回答者が約 8割
いる中で、自治体が実施している産後ケアを 受けた回答者の26%に留まっていた。産後に必要なケアが受けられるよう、メンタルケアの受け皿整備など、居住地や出産場所近くで産後ケアが受けられるよう施設の充実、またサービス拡充を求める。 ● 同時に、費用適正化や、申請手続きの簡略化、また子連れでもサービスが受けられるような体制整備を求める。

≪妊婦当事者として、私自身のこれまでの妊娠生活における 体験と課題感について≫
● 妊婦健診の持ち出しについて
● 居住地による公的費用補助の違いに関して
● 無痛分娩に関しての意思と恐怖
● 産後について→私自身も、夫の実家・自身の実家が遠く離れており、頼れる人が近くにいない中で子育てをしていくことになる。今回のアンケートでも、夫や実母、その他䛾家族が産後サポートしてくれたという声 が多かったが、核家族・共働き家庭が増えている中で、必ずしもパートナーや実母・家族のサポー トが受けられる人ばかりではない。行政や民間の産後ケア事業サービスがより利用しやすくなり、産後のメンタルケアや育児相談を気軽に、かつ継続的に受けやすい環境を整えていただくことを望む。


◎参考資料 第2回検討会における主な意見
○第2回の議論のまとめ(1)〜(4)

◆正常分娩の保険適用の導入の是非について→13意見。➢ 26年度を目途に保険適用の導入を含め出産と産前・産後の支援策のさらなる強化について検討を行うものであり、26年度から適用すると いうことを決めているというわけではなく、その意味でも検討会で議論いただきたい。
◆周産期医療提供体制への保険適用を導入した場合の影響について→8意見。➢ お産が減っていく中で、今回は保険適用というエポックではあるが、そういうことがなかったとしても、追い込まれた状況が発生していると思うので、このままいくと存続できないところはたくさん出てくると思う。
◆周産期医療提供体制の充実について→11意見。➢ 助産師はお産を取る気があるが、それでも今の若い助産師の様子を見ていると、やはり世代は変わっている。昔のように献身的に奉仕する という助産師ばかりではないので、そういう世の中の変化もうまく活用していかないと、なかなかお産を守ることはできない。
◆分娩時や産後における診療やケアの提供について→11意見。➢ 妊娠、出産から産後のケアは、助産業務ガイドライン及び産婦人科診療ガイドラインを遵守している。この助産業務ガイドラインは、助産所で 出産できる低リスクの妊婦について決めた妊婦管理適応リストと、分娩急変したときの対応の決めごとが含まれている。

次回は新たに「第3回地域共生社会の在り方検討会議 資料」からです。

労働基準関係法制研究会 第11回資料 [2024年10月05日(Sat)]
労働基準関係法制研究会 第11回資料(令和6年8月20日)
議題  労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42461.html
◎資料1 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
○これまでの議論を踏まえた労働時間制度等に関する課題→【視点】【課題】あり。
1.最長労働時間規制について
2.労働からの解放の規制について
3.割増賃金規制について
これらの論点に関して、1 法制的・政策的な検討・対応の必要性が高い事項として何があるか。 2 そのうち、特に早期に取り組むべき事項として何があるか。 あるいは、検討課題が多岐にわたり、中長期的な議論を要するものとして何があるか。 中長期的な議論を要するとしても、現時点において、現状を一歩でもよくする観点から、 段階的に取り組むべき事項として何があるか。 具体的な制度改正のアイデアも含めて、御議論をいただきたい。

1. 最長労働時間規制↓
• @時間外・休日労働時間の上限規制等
• Aテレワーク等の柔軟な働き方

○1−@ 時間外・休日労働時間の上限規制等について
・働き方改革の主な進捗について(労働基準法関係)
・諸外国の状況(法定労働時間、時間外労働、割増賃金等)
・法定労働時間週4 4時間の特例措置について
・企業外部への情報開示について→労働時間関係の現行の開示の仕組み
・一般事業主行動計画の策定・届出・公表及び情報公表について(女性活躍推進法)
・育児休業の取得状況の公表義務拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
※令和7年4月1日施行

・裁量労働制・高度プロフェッショナル制度・管理監督者等の適用要件
・労働者の種別に応じた健康・福祉確保措置等

○1−A テレワーク等の柔軟な働き方について
・テレワークにおける労働時間制度(例)
・テレワーク日と通常勤務日が混在する場合の勤務イメージ
・労働時間を算定しがたい場合 【 労働時間制度等に関するアンケート調査/ 企業調査、裁判例より 】

2.労働からの解放の規制↓
• @法定休日制度 • A勤務間インターバル制度 • B年次有給休暇制度 • C休憩
○諸外国の状況(休憩・休息・休暇制度)
○2−@ 法定休日制度について↓

T変形週休制の見直し(労働基準法第35条関係) 
U 3 6協定を締結する場合の休日労働に係る上限規制の導入(労働基準法第36条関係)
・主な週休制の形態について
・4週4日の休日制度/連続勤務の心理的負荷について
・変形週休制における連続勤務の最長日数
・1 3日を超える連続勤務を規制した場合のイメージ
・法定休日の特定について
・休日の特定について(現行法令・解釈)
・休日の特定について(裁判例)
・休日の特定について(学説)

○2−A 勤務間インターバル制度について
・(参考)勤務間インターバルの導入状況等について
・勤務間インターバルの導入状況等について 【労働時間制度等に関するアンケート調査(労働者調査)@】
・(クロス集計) 勤務間インターバルの導入状況等について 【労働時間制度等に関するアンケート調査(労働者調査)A】
・勤務間インターバル制度に関する現行規定@
・勤務間インターバル制度に関する現行規定A→一般則、医師、自動車運転者に対する時間外労働規制の比較 参照。
・勤務間インターバル制度の導入事例 【令和5年就労条件総合調査/企業の取組事例より】→勤務間インターバル時間について、勤務間インターバル制度の設計について(対応の項参照。)
・諸外国におけるインターバル制度
・勤務間インターバル(フランス)
・勤務間インターバル(ドイツ)
・勤務間インターバル(イギリス@➁)→原 則、例 外、罰 則、適用除外 とあり。
・つながらない権利

○2−B 年次有給休暇制度について
・年次有給休暇制度の導入経緯等について→年次有給休暇制度について 出勤率について 参照。
・年次有給休暇中の賃金について→年次有給休暇中の賃金について 年次有給休暇の1日あたりの賃金イメージ  参照。

○2−C 休憩について
・8時間を大幅に超えて長時間労働する場合の追加的な休憩付与のイメージ

○3.割増賃金規制↓
・3 割増賃金規制について
・労働時間の通算に関する現行の規定・解釈
・時間外労働、休日労働、深夜労働の割増賃金について→休日労働の割増賃金率の引き上げについて  1か月60時間超の時間外労働の割増賃金率の引き上げについて  深夜労働の割増賃金について   参照のこと。
・割増賃金の種別ごとの割増率・強行法規としての法的位置づけについて
・所定労働時間・法定労働時間と時間外労働時間の整理について→モデル 所定労働時間 1日7時間 週5日勤務/月間労働日数20日間
・副業・兼業の場合の労働時間通算と割増賃金支払いについて→労働時間通算の原則的な方法、管理モデル 参照。

次回は新たに「第3回「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」資料」からです。

こども・若者参画及び意見反映専門委員会(第8回) [2024年10月04日(Fri)]
こども・若者参画及び意見反映専門委員会(第8回)(令和6年8月19日)
議事次第 ・審議会・懇談会等におけるこども・若者委員の登用について等
https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/iken_senmon/473dbbf4
◎資料1 岸田内閣総理大臣の町田市視察について
○令和6年7月26日(金)午後 →町田市で「子どもセンターまあち」の視察で、こども・若者との意見交換(高校生5名(男性3、女性2)、10代の若者1名(男性))
⇒午後の視察ですが、この子どもセンターまあちでは、 こども・ 若者の意見に真摯に耳を傾け、政策に反映させていく、こ ういったことの重要性、改めて感じました。 町田市では、市が行っているさまざまなプロジェクトにつ いてこども・若者の意見を取り入れていることに加えて、その 評価にもこども・若者が参画している、こういった点、大変 感心させていただきました。 政府においては、こども若者★いけんぷらすなどを活用して、 こども・若者の意見反映の取組、これは進めているところです が、町田市の取組も参考にさせていただき、まずはこの政府 のこども政策について、その検証、評価にもこども・若者に参 画してもらいたい、このようなことを考えています。 (岸田総理のぶらさがり会見発言)


◎資料2 菊地委員提出資料
事業の評価に子ども・若者が参画  市民参加型事業評価のポイント
2024年8月19日(月)   町田市子ども生活部児童青少年課 菊地 仁
○意見を反映させるための仕組みづくり
→<実践事例の紹介>2022年度町田市市民参加型事業評価。 <紹介内容>→ ・市民参加型事業評価の概要 ・事業選定 ・論点整理 ・改善プログラムの作成。
○市民参加型事業評価の概要(1)→<事業の概要>1〜3まで。  参照のこと。
・市民参加で評価人チームを結成。評価対象事業について現状を評価する取り組みで、評価後行政は課題解決に向けてその事業の改善につなげる。
○市民参加型事業評価の概要(2)→<全体スケジュール>第1回〜5回までの評価人チームミーティング。3回のミーティング後事業評価当日となり、4・5回で改善プログラム策定となります。
○市民参加型事業評価の概要(3)→<事業選定の経過>ステップ1から3まで 参照。
○市民参加型事業評価の概要(4)→<評価対象事業の一覧>6テーマあり。

○事業選定(1)→<仕組み@>高校生評価人が集まるミーティングの開催
・高校生評価人ミーティングでやること→ポイント!⇒・高校生が委縮しないよう、対象事業を選ぶ というミッションとともに、高校生だけで 事前に集まる機会を確保 ※募集の際には市内の高校を訪問 ※謝礼もお支払い。
ポイント!⇒・高校生にして ほしいことを 始めに伝える
・評価対象事業決定までの流れ→ポイント!⇒・何をいつやるのか、プロセスと その内容をあらかじめ伝える。
○事業選定(2)→<仕組みA>高校生評価人ミーティングに向けた準備
・ステップ1からステップ2まで→ポイント!⇒・他人が決めたテーマ(スライドP5 参照)ではあるものの、興味関心 や課題感をもとに自分で調べ、 まとめることで、「自分ゴト」と して認識してもらう。
・ステップ3→ポイント!⇒・実際にミーティングを行う前に、 自分以外の意見についても共有 ・高校生の不安解消のため、市の 職員が事前準備を支援することを 伝える。
○事業選定(3)→<仕組みB>事前ワークシートの作成
・ポイント!⇒・「興味関心、課題があると思うこと」から「その理由」、「改善案」、 そして「根拠データ」と深堀りし、イメージを具体的な意見として整理するワークシートを作成
○事業選定(4)→<仕組みC>高校生評価人ミーティングの進行
・ポイント!⇒・高校生だけで集まり、 アイスブレイク ・まずは、高校生同士が 仲良くなることが大事 ・事前準備の成果の確認は最後
・ポイント!⇒・意見が言いやすくなるよう、 ハードルを下げる文言を入れる。 ・まとまった意見でなくとも、 各自の事前準備の状況に合わせて 発表できるよう配慮
○事業選定(5)→<仕組みD>高校生評価人ミーティングの意見集約
・ポイント!⇒・各自の発表内容が確認できるよう、 高校生一人ひとりの意見を見える化
○事業選定(6)→<仕組みE>キーワードと事業の紐づけ
・ポイント!⇒・20の「キーワード」全てについて、 職員が市の事業と紐づけし、 以下の項目をまとめた資料を作成 ア 事業名 イ 所管部署 ウ 取り組みの概要 エ 取り組みの成果。・ ポイント!⇒・左記の資料を基に改めて高校生が話し合い、6事業を選定。


○論点整理(1)→<仕組みF>大人が加わるミーティングへの引継ぎ
・ポイント!⇒ ・高校生に加え、公募市民、有識者で 構成する「評価人チーム」に、 これまで話し合ってまとめた高校生 の意見と、選定した事業を説明する資料を作成
・ポイント!⇒・高校生の意見が事業の評価に つなげることができるよう、 市の職員が、 高校生の意見から想定される論点を 参考情報として提示。
○論点整理(2)→<仕組みG>評価人ミーティングにおける意見集約
・ポイント!⇒・各自の発言内容が確認できるよう、意見を見える化 ・評価人の意見をカテゴライズし、意見を踏まえたチームとして の論点に集約
○論点整理(2)→<仕組みH>事業説明資料の作成
・ポイント! ⇒・事業の説明を各所管課が実施することで、 各評価人は資料の不明点等をその場で 確認することができる。   ・資料の不明点があった場合や、 情報の追加要望があった場合には、 説明資料を修正追加していく。 ※児童青少年費について、 当初はA4用紙1枚程度の内容が、 本番はA4用紙15枚まで増加。

○改善プログラムの作成→<仕組みI>意見の反映結果がわかる資料の作成
・ポイント!⇒・改善プログラム の公表に際し、 事業の概要と 評価結果の 全体像がわかる 資料構成 ・文字量を少なく するなど、 読み手に配慮
・ポイント!⇒・評価人の意見受け、どのような改善を行うかを見える化 ・改善策をまとめるプロセスにも所管部署と評価人との対話を実施
○2024年度の開催予定→開催日時:2024年11月10日(日)13時〜17時25分。 開催場所:町田市市庁舎2階・3階。
・詳細とライブ配信の視聴は、以下のURLからご確認ください!
2024年度町田市市民参加型事業評価について(2024年11月10日開催予定)/町田市ホーム ページ (city.machida.tokyo.jp)



◎資料3 こども大綱等を踏まえた審議会・懇談会等におけるこども・若者委員の登用に関する調査結果   2024 年8月 19 日 こども家庭庁 長官官房参事官(総合政策担当)付
○調査の目的 ↓
・各府省庁の各種審議会、懇談会等の委員への、こどもや若者の一定割合以上登用に向けた取組→「こども大綱」(令和5年12月22日閣議決定)においては、「各府省庁の各種審議会、 懇談会等の委員に、こどもや若者を一定割合以上登用するよう取り組む。各種審議会、懇 談会等におけるこども・若者委員割合を「見える化」する」とされている。 「こどもまんなか実行計画2024」(令和6年5月31日こども政策推進会議決定)では、 「こども施策の決定過程において、こども・若者の意見が政策に反映されるよう、各府省 庁の各種審議会、懇談会等のこども・若者委員割合を見える化し、公表する。さらに、こ ども・若者を審議会・懇談会等にどのような方法で登用するか、また、こども・若者の委 員が意見を言いやすい環境づくり等について検討を行う。【こども家庭庁、関係省庁】」 とされている。

○調査対象→国の審議会等、懇談会等。
○調査時点  令和6年4月1日時点
○調査結果の概要
1.審議会等について→委員 1,883 人(注5)のうち10 代の委員は0人、20 代の委員は6人、全委員のうち 10 代、20 代の委員の占める割合は 0.32%。なお、30 代の委員は 15 人であり、これらの者を含めると、全体に占める割合は 1.12%であった。 また、専門委員等(注6)7,107 人のうち 10 代の専門委員等は 1 人、20 代の専門委員等は 11 人であり、全専門委員等のうち 10 代、20 代の専門委員等の占める割合は 0.17%であった。なお、30 代の専門委員等は 95 人であり、これらの者を含めると、全体に占める割合は 1.51%であった。
2.懇談会等について→有識者等(注7)3,848 人のうち 10 代の有識者等は0人、20 代の有識者等は6人であり、 全有識者等のうち 10 代、20 代の有識者等の占める割合は 0.16%であった。なお、30 代の 有識者等は 65 人であり、これらの者を含めると、全体に占める割合は 1.85%であった。

1.審議会等について
(1)委員について
・委員に占める 10 代、20 代委員の割合について→(表1)10 代〜30 代の者を委員として任命している審議会等1〜12あり。
(2)専門委員等について
・専門委員等に占める 10 代、20 代の専門委員等の割合について→・(表2−1)10 代、20 代の者を専門委員等として任命している審議会等1〜5あり。 ・(表2−2)10 代〜30 代の者を専門委員等として任命している審議会等1〜33あり。
(3)審議会等における 10 代、20 代のこども・若者からの意見聴取・ヒアリング実績→
(表3)審議会等における 10 代、20 代のこども・若者からの意見聴取・ヒアリング実
  績1〜14あり。
(4)審議会等での 10 代、20 代のこども・若者が意見を言いやすい環境をつくるための 工夫→(表4)1〜5あり。

2.懇談会等について
(1)有識者等について
・ 有識者等に占める 10 代、20 代の有識者等の割合について→(表5−1)10 代、20 代の者が有識者等となっている懇談会等1〜4あり。 (表5−2)10 代〜30 代の者が有識者等となっている懇談会等1〜46あり。
(2)懇談会等における 10 代、20 代のこども・若者からの意見聴取・ヒアリング実績→(表6)1〜3あり。
(3)懇談会等での 10 代、20 代のこども・若者が意見を言いやすい環境をつくるための 工夫→(表7)1〜3あり。

(参考資料1)調査対象の審議会等一覧↓
・内閣府18の審議会(金融庁)(消費者庁)(こども家庭庁)、総務省21の審議会、法務省外務省、財務省(国税庁)、文部科学省(スポーツ庁)(文化庁)、厚生労働省21の審議会、農林水産省(林野庁)(水産庁)、経済産業省(資源エネルギー庁)(特許庁)(中小企業庁)、国土交通省12の審議会、環境省(原子力規制委員会)、防衛省(防衛装備庁)。

(参考資料2)調査対象の懇談会等一覧↓
・内閣官房12の会議、内閣府25の会議(公正取引委員会)(警察庁)(金融庁)(消費者庁)(こども家庭庁)、総務省33の会議(消防庁)、法務省13の会議、外務省、財務省(国税庁)、文部科学省53の会議(スポーツ庁)(文化庁)、厚生労働省83の会議、農林水産省、経済産業省(特許庁)、国土交通省30の会議、環境省(原子力規制委員会)、防衛省(防衛装備庁)。


◎資料4 本調査を踏まえたこども・若者委員の登用に向けた今後の取組について
○本調査を踏まえたこども・若者委員の登用に向けた 今後の取組について ↓
【調査から判明したこと】
→・ 10 代については、こども家庭審議会の専門委員等を除いて、任命等は確認できなかった。 ・ 20 代・30 代については、一部の審議会等・懇談会等において、 任命等が確認できた。 (※)委員(11/130 審議会等)、専門委員等(33/130 審議会等)、有識者等(46/329 懇談会等) ・ 全ての委員、専門委員等、有識者等それぞれのうち、10 代〜30 代の者が占める割合は多くても1%台である。 (※)委員(1.12%)、専門委員等(1.51%)、有識者等(1.85%)。  ・ 委員等への任命だけではなく、施策の当事者へのヒアリングと して、こども・若者から意見を聴取している事例が確認できた。

【今後について】→・ 本調査結果については、各府省庁に通知し、現状を共有すると ともに、ヒアリング実績や工夫の方法を参考にしながら、こども・ 若者委員の登用や意見聴取の取組について検討を進めていただくこととする。 ・ 調査結果を踏まえると、審議会・懇談会等への参画は、委員等 への任命のみならず、ヒアリングなど様々な手法が想定されるが、 いずれの手法でも、意見を言いやすいように、「環境整備」が必要であるため、環境整備に必要な事項についての検討を専門委員会 で行っていただきたい。 ・ 環境整備に関して、今年度議論いただいた結果については、こども家庭庁から各府省庁に改めて周知することとしたい。

次回は新たに「労働基準関係法制研究会 第11回資料」からです。

第7回こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議 [2024年10月03日(Thu)]
第7回こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議(令和6年8月8日)
(議事次第) 1.加藤大臣挨拶 2.「こどもの自殺対策緊急強化プラン」に基づく取組の進捗状況について 3.その他
https://www.cfa.go.jp/councils/kodomonojisatsutaisaku-kaigi/19f3feb3
◎参考資料1 こどもの自殺対策緊急強化プラン
令和5年6月2日 こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議
1.はじめに
→社会全体のつながりが希薄化している中で、新型コロナウイルス感染症拡大 により人との接触機会が減り、それが長期化することで、人との関わり合いや雇 用形態を始めとした様々な変化が生じている。その中で、我が国の自殺者数は、近年、全体としては低下傾向にあるものの、小中高生の自殺者数は増えており、令和4年の小中高生の自殺者数が514人と、過去最多となった。 このような中、本年4月、こどもまんなか社会の実現を目指すこども家庭庁が発足した。こどもの自殺者数が増加していることを大変重く受け止め、こどもが自ら命を絶つようなことのない社会を作らなければならない。 こどもの自殺対策については、自殺総合対策大綱(令和4年 10 月 14 日閣議決定)に基づき着実に進めていくことは当然であるが、こども家庭庁の大きな役割は、省庁の縦割りの打破と、こどもや若者の視点に立った政策づくりである。 こども家庭庁において、こどもの自殺対策の司令塔として、「自殺対策室」を設置するとともに、こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議(以下「連絡会議」)を開催し、関係省庁の知見を結集し、総合的な施策を推進するため、 関係省庁一丸となって対策の検討を行ってきた。連絡会議では、有識者・当事者 の方々からのヒアリングを行い、この内容も踏まえ、ここに、こどもの自殺対策の強化に関する施策のとりまとめを行うもの。 本とりまとめについては、できるものから直ちに実行していく決意の下、今年度の「経済財政運営と改革の基本方針」に盛り込んでいくとともに、来年度の予 算要求に反映していく。また、今秋に策定されることとされている、こども大綱 に向けて、それぞれの事項についてより具体化を図った上で、こども大綱にこど もの自殺対策について盛り込めるよう検討を行っていく。

2.議論の経緯→連絡会議は、令和5年4月 27 日、小倉内閣府特命担当大臣(こども政策 少子 化対策 若者活躍 男女共同参画)を議長とし、議論をスタートした。 第1回会議においては、関係省庁からこれまでの取組状況を共有し、こどもの自殺の原因分析、各省庁の連携、情報発信と相談体制の強化の必要性などの方向性が確認された。 第2回・第3回会議では、これまで自殺対策に取り組んできた有識者、学者、 団体、自治体、教育委員会、当事者の方々からご意見を伺った。加えて、連絡会 議の議長である小倉内閣府特命大臣が、生きづらさに直面し、傷ついたことのある若者からご意見を伺ったほか、長野県の「子どもの自殺危機対応チーム」の視察及び意見交換を行った。 これらのご意見等を踏まえ、関係省庁においてこどもの自殺対策の強化につ いて検討を進め、第4回会議において、とりまとめに至ったものである。

3.取り組むべき施策→以下、こどもの自殺対策の強化策について、要因分析、教育や普及啓発、早期発見、相談体制の整備、自殺予防のための対応などの区分を行った上で、関係省庁が取り組んでいく施策を整理した。個別の取組について、複数の区分に該当するものもあるが最もなじみが深いと思われる区分に記載されていることにご留意いただきたい。
(1) こどもの自殺の要因分析
(2) 自殺予防に資する教育や普及啓発等
(3) 自殺リスクの早期発見
(4) 電話・SNS等を活用した相談体制の整備
(5) 自殺予防のための対応
(6) 遺されたこどもへの支援


4.こどもの自殺対策に関する関係省庁の連携及び体制強化↓
(1) こどもの自殺対策に関する関係省庁の連携→・ セルフネグレクトのように、人とのつながりを持てない様々な背景を抱え ている方々が支援から取り残されることがないよう、孤独・孤立対策のキャ ンペーン(令和5年夏)及び、令和6年より取組を本格化する孤独・孤立対 策強化月間(5月)において、関係省庁が連携して、集中的な広報・啓発活動・関連イベントを実施する【内閣官房、こども家庭庁ほか関係省庁】。
・ 官・民・NPO 等の関係者の連携・協働の下で一体となって取組を進める地方における孤独・孤立対策の官民連携プラットフォームのモデル構築事業 について、自殺対策やこどもに関連する事業の取組事例の成果を全国で共 有する【内閣官房】。 ・ こどもの自殺は長期休暇明け前後に増加する傾向があることから、夏休み の集中的な啓発活動・自殺予防週間(9月 10〜16 日)・自殺対策強化月間(3 月)において、関係省庁が連携して、こどもの自殺対策に向け、こどもに届 くような広報に取り組む【こども家庭庁、厚生労働省ほか関係省庁】。 ・ 関係閣僚によるゲートキーパー研修の受講及び全国の首長に向けた受講 呼びかけメッセージの作成【こども家庭庁、文部科学省、厚生労働省ほか関 係省庁】
(2) こどもの自殺対策に関する関係省庁の体制強化→ ・こども政策の司令塔であるこども家庭庁で、こどもの自殺対策に関して総合的な施策に係る企画立案及び関係各省庁・省内関係部局との調整を行うため、自殺対策室の体制強化を図る【こども家庭庁】。 ・ こどもの自殺対策に関しては、「こども若者★いけんぷらす」(こども・若 者意見反映推進事業)を活用するなどし、こどもや若者の意見を聴き、その結果を制度や政策に反映していく。その際、こどもや若者が必要な支援にア クセスしやすくなるような周知の方法等についても検討する【こども家庭庁 ほか関係省庁】。 ・ 自殺対策の総合的かつ効果的な実施に資するための調査研究及びその成 果の活用等の推進に関する法律(令和元年法律第 32 号)に基づき厚生労働 大臣より指定される指定調査研究等法人において、必要な情報収集・調査分 析を実施する体制強化を図る【厚生労働省】。・ 本とりまとめの進捗状況について今後も確認していく【関係全省庁】

○(参考1)こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議の開催について
令和5年4月27日 関係省庁申し合わせ
→1〜4まで。
○(参考2)こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議の開催経緯→第1〜第4回まで。


◎参考資料2 こどもまんなか実行計画 2024(令和6年5月 31 日こども政策推進会議決定)(抄)
U こども施策に関する重要事項 1 ライフステージを通した重要事項 (7)こども・若者の自殺対策、犯罪などからこども・若者を守る取組
(こども・若者の自殺対策) ↓

・自殺総合対策大綱→第4次自殺総合対策大綱(令和4年10月14日閣議決定) において、「子ども・若者の自殺対策の更なる推進・強化」等に重点 的に取り組むとされたことを踏まえ、こども家庭庁、文部科学省、厚生労働省、警察庁など関係省庁が連携し、こども・若者の利用が多いSNSを活用した相談事業の拡充、SOSの出し方教育を含む自殺予防教育の推進、タブレット等を活用した自殺リスクの早期把握、こどもの自殺危機に対応していくチームの構築など、こどもの 自殺対策を更に強化する。【厚生労働省】
・「こどもの自殺対策緊急強化プラン」の推進→こどもの自殺対策の司令塔として関係省庁等と連携し、「こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議」の開催や、2023年6月 に同会議で取りまとめられた「こどもの自殺対策緊急強化プラン」の進捗状況の把握等を通じて、同プランに基づく自殺対策を強力に推進する。【こども家庭庁】
・自殺統計原票の確実な作成・集計等こどもの自殺対策の推進→「こどもの自殺対策緊急強化プラン」に基づき、自殺統計原票の 確実な作成・集計、自殺するおそれのある行方不明者に関する行 方不明者発見活動、インターネット上における自殺予告事案や自 殺誘引等情報に係るプロバイダ等と連携した対応、いじめや性被害 等からこどもを守るための対応等の取組を推進する。【警察庁】
・こどもの自殺の要因分析等 「こどもの自殺対策緊急強化プラン」に基づき、こどもの自殺の要 因分析のため、警察や消防、学校や教育委員会、地方公共団体 等が保有する自殺に関する情報の集約・分析に関する調査研究に 取り組む。【こども家庭庁、警察庁、消防庁、文部科学省、厚生労 働省】
・こどもの自殺予防・自殺対策に関する広報啓発 夏休みの集中的な啓発活動・自殺予防週間(9月10〜16 日)・自殺対策強化月間(3月)において、関係省庁が連携し て、こどもの自殺対策に向け、こどもに届くような広報に取り組む。 【内閣官房、こども家庭庁、警察庁、法務省、文部科学省、厚生 労働省】
・「SOSの出し方に関する教育」を含めた自殺予防教育の推進 こどもが自身の心の危機に気付き、身近な信頼できる大人に相談 できる力を培うために、「SOSの出し方に関する教育」を少なくとも 年に1回実施することを周知徹底する等、自殺予防教育の確実な 実施を進める。【文部科学省】
・1人1台端末を活用した取組の促進→1人1台端末等を活用し、こどもの心身の状況把握や教育相談 を実施することは、いじめの早期発見・早期対応を可能とし、問題が 表面化する前から積極的に支援に繋げていく上で重要であることから、教育委員会等に対して周知を行うとともに、積極的な導入を促 進する。【文部科学省】
・教育相談体制の充実→様々な課題を抱えるこどもに対し、心理・福祉の専門家であるス クールカウンセラー・スクールソーシャルワーカー等の配置を促進し、学校におけるチームでの教育相談体制の充実を促進する。また、こどもが全国どこからでも、夜間・休日を含めて、いつでも悩みを気軽に相談することができるよう、電話・SNS等を活用した教育相談体制の強化を進める。【文部科学省】
・電話・SNS等を活用した相談体制の整備 法務省の人権擁護機関においては、「こどもの人権110番」、「イ ンターネット人権相談受付窓口(こどもの人権SOS-eメール)」、 「こどもの人権SOSミニレター」及び「LINEじんけん相談」など の各種取組を通じ、こどもの人権問題を始めとした様々な悩みに関 する相談に応じるほか、1人1台端末等から人権相談が可能とな る仕組みを構築する。また、これらの人権相談窓口の更なる周知広 報を図る。【法務省】 自殺対策に係る電話、メール、SNS等による相談窓口の設 置・運営の取組を行う地方公共団体・民間団体への支援を実施する。【厚生労働省】。 「こども・若者の自殺危機対応チーム」の立ち上げ・運用支援 都道府県・指定都市が、多職種の専門家で構成されるチームを 設置し、市町村等では自殺未遂歴や自傷行為の経験等があるこど も・若者への対応が困難な場合に、助言等を行う事業の実施を支 援する。【厚生労働省】
・一元的な相談支援体制の構築等に向けた環境整備→孤独・孤立を抱えた人が支援につながり続ける社会の実現を目指し、統一的な相談窓口から支援までつながる仕組みの構築等に向 けて取り組む。令和4年度より#9999を用いた相談ダイヤルの試行を行ってきたところであり、それらの試行の結果を踏まえ、SNSと 電話相談の併用・連携、地域の公的支援機関へのつなぎ、ITを 活用した相談対応の実施など新たな課題にも取り組みつつ、持続 可能な仕組みの開発を目指す。【内閣府】
・遺児への支援
→国又は地方公共団体を介した遺児を含む自死遺族関係団体等 に対する活動等の支援(分かち合いの会、法律面・生活面の相談 支援)を実施する。【厚生労働省】


◎参考資料3 経済財政運営と改革の基本方針 2024〜賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現〜(骨太方針 2024)(令和6年6月 21 日閣議決定) (抄)↓
○第3章 3.主要分野ごとの基本方針と重要課題 (2)少子化対策・こども政策
(こども大綱の推進)
→全てのこども・若者の健やかな成長を社会全体で支えていく。このため、こども・若者を権利の主体としてその意見表明と参画を促進 しながら、若者が主体となって活動する団体等の継続的な活動を促進する環境整備に向けて取り組むとともに、「はじめの100か月の育ちビジョン」に基づく幼児期までの育ちの質の向上、「こどもの居場所づくりに関する指針」に基づく地方自治体や民間団体への支援とともに、保育現場の負担軽減を図りつつ、人口減少地域における 施設の多機能化等を通じた保育機能の維持も含め「新子育て安心プラン」後の保育提供体制の在り方を早急に示す。相談支援等 を受けられるケア体制の構築等プレコンセプションケアについて5か年戦略を策定した上で着実に推進する。こども性暴力防止法や 「生命(いのち)の安全教育」、加害者更生に向けた取組、性嗜 好障害に対する治療を含めたこども性暴力防止に向けた総合的な対策を始め、こどもの安全対策や、産後ケア事業、新生児マススクリーニング・新生児聴覚検査・乳幼児健診を推進する。入院中の こどもの家族の環境整備の取組等の充実、不妊症、不育症に関する相談支援、流産、死産を経験された方への相談支援を進める。 地域少子化対策重点推進交付金による結婚支援等について、効果を検証しつつ、若い世代のニーズも踏まえた更なる方策を検討する。あわせて、官民が連携してライフデザイン支援を推進する。また、 当事者目線でこどものための近隣地域の生活空間を形成するこどもまんなかまちづくりを推進する。
貧困と格差の解消を図り、困難な状況にあるこども・若者や家庭 に対するきめ細かい支援を行う。このため、こども食堂・こども宅食・ アウトリーチ支援等への支援や学習支援や体験機会の提供など こどもの貧困解消や見守り強化を図る。こども家庭センターの体制強化、家庭支援事業の充実や利用促進、里親やファミリーホームによる支援の充実等家庭養育優先原則の徹底、社会的養護経験者等に対する自立支援の充実、若年妊婦の支援、一時保護所の環境改善、認定資格の取得促進など改正児童福祉法に基づく施策 を推進する。こども・若者シェルターや虐待等により困難に直面する 若者支援の充実、児童福祉司等の児童相談所の質・量の体制 強化、児童養護施設等における養育機能の向上及び環境改善を進めるとともに、ヤングケアラー支援を進める。発達障害児・医療 的ケア児を含む全ての障害のあるこどもと家族への支援体制の整備やインクルージョンの推進等を図るとともに、こどもホスピスの全国普及に向けた取組を進める。就業支援や児童扶養手当、離婚前 後親支援事業などによる養育費の支払確保や安全・安心な親子 の交流の推進等、ひとり親支援を進めるとともに、改正民法の周知 や、司法府と連携して環境整備に取り組む。こどもの自殺対策の強化を図るとともに、予防のためのこどもの死亡検証(CDR)を推進する。いじめ防止・不登校対策を強化する。質の高い公教育の再生の強力な推進を図る。教育振興基本計画に基づき、青少年の健全育成に取り組む。学校給食無償化の課題整理等を行う。

次回は新たに「こども・若者参画及び意見反映専門委員会(第8回)」からです。

第7回こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議 [2024年10月02日(Wed)]
第7回こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議(令和6年8月8日)
(議事次第) 1.加藤大臣挨拶 2.「こどもの自殺対策緊急強化プラン」に基づく取組の進捗状況について 3.その他
https://www.cfa.go.jp/councils/kodomonojisatsutaisaku-kaigi/19f3feb3
◎資料1−1 こどもの自殺対策緊急強化プランの取組状況及びロードマップのポイント
○ 令和5年6月に取りまとめた 「こどもの自殺対策緊急強化プラン」に基づく各施策の目標や進捗を見える化したロードマップを作成。
○ 各省庁が取り組んでいる施策の全体像を把握した上で、いつまでに何をする必要があるのかを明確にし、今後の道筋等を見える化する ことで、引き続きこどもの自殺対策を政府一丸となって推進していく。
≪取り組むべき施策(R5〜R9まで)≫↓

・要因分析→警察や消防、学校や教育委員会、地方自治体等が 保有する自殺に関する統計及びその関連資料を集約し、多角的な分析を行うための調査研究を立ち上げ、EBPMの視点も踏まえ、こどもの自殺の 実態解明に取り組むとともに、分析に当たっての 課題把握に取り組む(こども家庭庁等)
・リスクの早期発見→1人1台端末の活用等により、自殺リスクの把握や適切な支援につなげるため、有償・無償で利用できるシステムやその活用方法、マニュアル等を整理・作成し、全国の教育委員会等に周知し、全国の学校での実施を目指すとともに、科学的根拠に基づいた対応や支援を可能とするための調査研究を実施し成果を普及する(文部科学省)
・的確な対応→多職種の専門家で構成される「若者の自殺危機対 応チーム」を都道府県等に設置し、自殺未遂歴や自傷行為の経験等がある若者など市町村等では対応が困難な場合に、助言等を行うモデル事業の拡 充を図るとともに、より効果的な取組となるよう、 運営に関するガイドラインの策定も含め、実施自治体に対し、指定調査研究等法人が必要な支援を行う。その上で、「若者の自殺危機対応チーム」 の全国への設置を目指す(厚生労働省、こども家 庭庁)

◎資料1−2 こどもの自殺対策緊急強化プランの取組状況及びロードマップ
○項目、令和5年度の主な取組状況【予算額】、 実績値(年度)、令和6年度の実施予定【予算額】、実施目標(達成時期)→ロードマップ(R5〜R9)あり。
○項目のみ↓
3.取り組むべき施策
→(1)こどもの自殺の要因分析(6プラン)、(2)自殺予防に資する教育や普及啓発(7プラン)、(3)自殺リスクの早期発見(9プラン)、(4)電話・SNS等を活用した相談体制の整備(6プラン)、(5)自殺予防のための対応 (10プラン)、(6)遺されたこどもへの支援(2プラン)
4.こどもの自殺対策に関する関係省庁の連携及び体制強化→(1)こどもの自殺対策に関する関係省庁の連携(4つの体制)、 (2)こどもの自殺対策に関する関係省庁の体制強化(4つの体制)

◎資料1−3 令和5年度こどもの自殺の多角的な要因分析に関する調査研究について
こども家庭庁支援局総務課自殺対策室
≪令和5年度「こどもの自殺の多角的な要因分析に関する調査研究」概要 @方法≫

○ 警察や消防、学校や教育委員会、地方自治体等が保有する自殺に関する統計及びその関連資料を集約し、多角的な分析を行い、EBPM の視点も踏まえ、@こどもの自殺の実態解明に取り組むとともに、A分析に当たっての課題把握に取り組むことを目的として、一般社団法 人いのち支える自殺対策推進センターが、こども家庭庁の委託により、令和5年12月〜令和6年3月に実施。
○ 学識経験者や実務者等の助言を得て、調査を取りまとめ。⇒<助言者>3名。


1.資料・データの収集及び分析↓
○272件の報告書等を収集。今回収集した報告書等の多くには個々のケースの自殺の要因を特定するまでの情報が含まれていないことから自殺の要因・動機に関す る考察を行うことは適切ではないと判断し、報告書等に記載された情報を客観的に整理するにとどめている。
○ 警察庁からは自殺統計原票を、消防庁からは救急搬送人員データの提供を受けた。CDR(予防のためのこどもの死亡検証:Child Death Review)モデル事業実施自治体が保有するCDR関連資料についても、実施自治体全てに提供を依頼したが、収集には至らなかった

≪令和5年度「こどもの自殺の多角的な要因分析に関する調査研究」概要 A結果≫
〇教育委員会の事件等報告書等の集計・整理結果→ 272名、363通の報告書等(事件等報告書241通、基本調査結果121通、詳細調査報告書1通)を対象に分析(本調査研究では下記の項目が自殺と関連があったか否かの判定は行っておらず、下記の例に該当することが自殺の要因となることを示唆しているものではない。)
■生前に置かれていた状況→家庭・健康・学校関連情報
■学校の出席状況→依然と変わりなく出席44%。その他あり。
■周囲の気付き→自殺の危機を気づかれていた13%。その他参照。

≪令和5年度「こどもの自殺の多角的な要因分析に関する調査研究」概要 B考察
〇本調査の限界・課題等→情報量の不足、収集資料に記載されている情報の正確性、記載内容と 自殺の直接 の要因との 関連。  それぞれ項目の参照。
〇得られた示唆・方向性等→把握できた情報、現在行われている取組への示唆、今後の検証・。分析の方向性。  それぞれ項目の参照。

≪令和5年度「こどもの自殺の多角的な要因分析に関する調査研究」概要 C資料収集の課題≫
2.資料収集の課題に対する調査↓

1 調査方法→○資料提供を依頼した、都道府県教育委員会等及びCDRモデル事業実施自治体に対し、資料提供に当たって調整 を要したことや、資料提供できなかった理由等をアンケート及び個別のヒアリングで調査。
2 調査結果→○資料提供に当たっては、個人情報の黒塗り等の加工作業を要していた自治体が一定数あり、また、資料提供を 行わなかった自治体からは「個人情報保護法上の整理により提供できない」「調査研究のために作成したもの ではなく、資料が提供可能なものか判断できなかった」等の意見があった。
3 考察↓
○保有主体である教育委員会や自治体等の提供者が、提供の可否を判断する際の負担を最小限にすること、 判断に必要な時間を担保し依頼をする必要性、収集における法的課題や倫理的課題等を明らかにしていくこと など。
○事業の位置づけや法的根拠の整理、自治体で判断すべきポイントの明確化、提供可能な自治体事例の共有と情報 提供などができれば、提供者の負担を最小限にすることができたかもしれない。

◎資料1−4 こどもの自殺対策に関するこども・若者、支援団体からの意見に関連した各省庁の取組及び今後の活用方法について
○目 的→令和5年6月にとりまとめた「こどもの自殺対策緊急強化プラン」に基づき、こども・若者が支援にアクセスしやすくなるための方法や、実際に利用、または利用しなかった施策についてその背景等を把握し、今後の支援策の検討に活用することを目的として実施。
○対象・内容・実施時期等→1.「こども若者★いけんぷらす」におけるヒアリング(令和5年9月23日)及びアンケート調査(令和5年11月27日〜12月11日)掲載リンク:https://www.cfa.go.jp/policies/iken-plus/hiroba/hitsuyounashien/ 2.こどもの自殺対策支援を行う団体へのヒアリング(令和5年9月下旬) 3.自身が死にたい気持ち(自殺念慮・希死念慮)を抱いた経験のある方などへのヒアリング(令和5年9月中〜下旬)。↓
T 相談窓口→「いただいた意見(5つの意見)」と「いただいた意見の活用(全般とその他2意見)」あり。
U 学校における取組→「いただいた意見(3意見)」と「いただいた意見の活用(6意見)」あり。
V その他→「いただいた意見(6意見)」と「いただいた意見の活用(対応する6意見)」あり。


◎資料2 文部科学省提出資料
◎1人1台端末等を活用した「心の健康観察」について
文部科学省 初等中等教育局児童生徒課
○こどもの自殺対策緊急強化プラン
→自殺リスクの早期発見のため1人1台端末の活用など。
○1人1台端末を活用した心や体調の変化の早期発見の推進→こどもの自殺対策緊急強化プラン(令和5年6月2日)を踏まえ、1人1台端末等を活用して児童生徒の心や体調の変化 を把握し、自殺リスク等の早期発見につなげる取組を推進するため、「児童生徒の自殺予防に係る取組について(通知)」 (令和5年7月10日付け)において、以下を教育委員会等に周知。→・無償・有償で利用できる健康観察・教育相談システムの一覧。・ Googleフォーム又はMicrosoft Formsを活用した無償のアンケートフォーム作成マニュアル。

○不登校児童生徒等の早期発見・早期支援事業
・現状・課題
→○不登校児童生徒数が、小・中学校で約30万人、そのうち学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けていない小・中学生が約11万4千人と、いずれ も過去最多となり、また、いじめ重大事態の発生件数も923件と過去最多となる中、安心して学ぶことができる、「誰一人取り残されない学びの保障」に 向けた取組の緊急強化が必要であることから、「不登校・いじめ 緊急対策パッケージ」を令和5年10月に策定。 ○「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」(令和5年3月)、「こどもの自殺対策緊急強化プラン」(令和5年6月) 及び「経済財政運営と改革の基本方針2023」(令和5年6月閣議決定)等を踏まえた不登校・いじめ対策を前倒しで緊急実施。
・事業内容【委託】
→@いじめ・不登校・自殺リスク等の早期把握に向けた教育支援センターの総合的拠点機能形成 3億円 A1人1台端末等を活用した「心の健康 観察」の導入推進 10億円 B不登校・いじめ対策等の効果的な 活用の推進 1億円

○文部科学省委託事業 「1人1台端末等を活用した自殺等対策の調査研究」における取組例→1人1台端末を活用したデジタル健康観察により、児童生徒の日々のストレスや心身の変化を把握。悩みや不安を抱える児童生徒の早期 発見とともに、SOSを発信しやすい仕組みを構築し、自殺リスクが高まる前に支援に繋ぐ仕組みを構築。⇒大阪府吹田市教育委員会×(公社)子どもの発達科学研究所 参照。↓
・日々の児童生徒の心身の状況を 把握するとともに、児童生徒が発するSOSを察知⇒⇒ 児童生徒のメンタルヘルスの悪化を早期発見し、問題行動が起こる前から積極的に支援⇒⇒日々のデータを分析することで、科学的根拠に基づく不登校や自殺などの予防的指標や問題行動が起こりやすい学校風土の検討に。

○「心の健康観察」の導入を進めている教育委員会等の声→令和5年2月文部科学省実施の「不登校対策に係る取組状況調査」において、「アプリ等を活用して児童生徒の心や体調の変化を把 握し、いじめや不登校等の未然防止・早期把握の取組」を既に行っていると回答している411市区町村に対して個別にアンケート調査を実 施。取組の効果について各自治体の担当者から寄せられた声は以下のとおり。→「A教育委員会」「B教育委員会」「<その他教育委員会等から寄せられた声>」 参照のこと。

○【参考資料】児童生徒の自殺対策の推進について→「現状・課題」「これまでの主な取組」「今後の取組の方向性」 参照のこと。


◎資料3 厚生労働省提出資料
令和6年8月8日    第7回こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議
○【令和5年(確定値)】自殺者数の推移→・自殺者総数・男女別の推移⇒(H18: 32,155人 → R1:20,169人)。男性の自殺者数が2年連続で増加し、女性の自殺者数が4年ぶりに減少。 ・小・中・高生の自殺者数の推移⇒増加傾向。令和5年(確定値)→513人となり、過去最多で あった前年と同水準で推移している。

○自殺者数の最近の動向(月別総数) 令和6年7月16日現在
○小中高生の自殺者数の最近の動向(@月別総数) 令和6年7月16日現在
○小中高生の自殺者数の最近の動向(@月別総数)令和6年7月16日現在
○小中高生の自殺者数の最近の動向(A月別累計)令和6年7月16日現在
○小中高生の自殺者数の最近の動向(A月別累計)令和6年7月16日現在
○小中高生の自殺者数の最近の動向(B小学生・月別/月別累計)(1)小学生(月別)令和6年7月16日現在
○小中高生の自殺者数の最近の動向(B小学生・月別/月別累計)(2)小学生(月別累計)令和6年7月16日現在
○小中高生の自殺者数の最近の動向(C中学生・月別/月別累計)(1)中学生(月別)令和6年7月16日現在
○小中高生の自殺者数の最近の動向(C中学生・月別/月別累計)(2)中学生(月別累計) 令和6年7月16日現在
○小中高生の自殺者数の最近の動向(D高校生・月別/月別累計)(1)高校生(月別)令和6年7月16日現在
○小中高生の自殺者数の最近の動向(D高校生・月別/月別累計)(2)高校生(月別累計)令和6年7月16日現在
○【令和5年(確定値)】小中高生の自殺者数年次推移(男女別) 令和6年3月29日現在
○小中高生の自殺者数月次推移(男女別)令和6年7月16日現在

○こどもの自殺対策緊急強化プラン(概要) 令和5年6月2日 こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議→「こどもの自殺の要因分析」「自殺予防に資する教育や普及啓発等」「自殺リスクの早期発見」「電話・SNS等を活用した相談体制の整備」「自殺予防のための対応⇒多職種の専門家で構成される「若者の自殺危機対応チーム」を 都道府県等に設置し、自殺未遂歴や自傷行為の経験等がある若者など市町村等では対応が困難な場合に、助言等を行うモデル事業の拡充。その上で、危機対応チームの全国展開を目指す」「遺されたこどもへの支援」「こどもの自殺対策に関する関係省庁の連携及び体制強化等」参照のこと。
○こどもの自殺対策緊急強化プランのポイント→「リスクの早期発見」「的確な対応」「要因分析」⇒こどもが自ら命を絶つようなことのない社会の実現へ。


○「こども・若者の自殺危機対応チーム事業」の状況→・厚生労働省、文部科学省、こども家庭庁の3大臣連名で、こども・若者の自 殺危機対応チームの設置を呼びかけるメッセージを発出(2023年9月8日)。・ 全国会議で都道府県・指定都市等に対して、こども・若者の自殺危機対応 チーム事業を説明(2023年9月22日、2024年7月22日)。⇒<地域自殺対策強化交付金による実施状況> 参照。
○こども・若者の自殺危機対応チーム事業の更なる推進→1 事業の目的 2 事業の概要・スキーム 3 実施主体等  参照のこと。
【自治体・NPO等による自殺対策の取組支援、こども・若者の自殺危機対応チームの立ち上げ支援】 施策名:地域における自殺防止対策の強化→B 施策の概要⇒3 「こども・若者の自殺危機対応チーム」の立ち上げ支援(→・都道府県・指定都市が、精神科医、弁護士、心理士等の 多職種の専門家で構成されるチームを設置し、自殺未遂 歴や自傷行為の経験があるこども・若者等、市町村段階 では、対応が困難な事案に対し、助言等を行う事業の 実施を支援)。
○ごもの自殺対策の推進のために(都道府県への通知)→令和年9月8日 厚労大臣、文科大臣、こども政策担当大臣より。  (市町村通知も同じ)。
○自殺総合対策の推進→<自殺総合対策大綱に掲げた数値目標> 自殺死亡率を令和8年までに 平成27年比で30%以上減少。
○地域自殺対策強化交付金 令和6年度当初予算 30.5億円→「事業概要・目的」「事業イメージ・具体例」「資金の流れ」「期待される効果」あり。 参照のこと。

次回も続き「参考資料1 こどもの自殺対策緊急強化プラン」からです。

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