障害者差別解消法の改正とジョブコーチ支援[2021年10月12日(Tue)]
改正障害者差別解消法(合理的配慮の義務化決定)
2021年5月の参議院本会議で、障害者差別解消法(2016年4月1日施行)改正法が可決成立しました。改正で特に注目する点は、「合理的配慮の提供」を企業にも義務付けることになったことです。これまでは、「合理的配慮の義務付け」は行政機関等のみで、企業には努力義務(合理的な配慮をするように努めなければならない。)となっていましたが、今回の改正によって、行政機関及び企業ともに「合理的配慮の提供」を義務(合理的な配慮をしなければならない。)として、求められることとなります。改正法は公布日(2021年6月4日)から起算して、3年以内に施行されることになります。
改正法において企業に求められること、及びジョブコーチ支援について
障害者差別解消法は、「障害による差別を解消し、共生する社会の実現」を目的として制定された法律です。この法律の肝心なところは、「不当な差別的取扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」になり、企業に求められる「合理的配慮」とは、障害のある者が「障害のない者との比較において実質的に同等の機会の提供を受けられるよう」な配慮ができているのか?について検討しておく必要があります。
「合理的配慮」のポイントとは、@本来の業務(作業)に必要とされる範囲に限定され、事業の目的等の本質的な変更には及ばないこと、A障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思表明があった場合、B配慮の実施に伴う負担が過重でないこと、の3つがあげられます。上記3つのポイントからジョブコーチ支援との関係(役割)を考えてみたいと思います。
先ず@について、ジョブコーチ支援は業務(作業)分析を実施しますので、業務(作業)に必要な範囲を充分把握することができています。その為、ジョブコーチとして企業への的確な助言を求められる可能性は高いです。次にAの「意思表明」に関しては、「知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む」とされておりますので、ジョブコーチの立場から企業側及び障害者側の双方向への的確な助言が活きてくると思います。しかしBについては、「費用負担の程度、企業財務状況等」にも関わってくるため慎重なスタンスをもって対応していくことが必要と考えます。
まとめ
改正法では、企業に対し「合理的配慮の提供」について、障害者(障害者を支援する人を含む。)と企業との間での実情に即した対話が求められることが多くなると思います。現状のジョブコーチ支援以上に、支援する立場から対象者(障害者)と企業の対話の中にジョブコーチとして入ることが求められる可能性も充分あると思います。
その際、対象者(障害者)と企業に対して「障害特性に則した必要な配慮と、その配慮が過度な負担がなく実現可能であるか?」を念頭に置きながら、企業側及び対象者側双方の立場から障害者雇用を考えられる、丁寧なジョブコーチ支援が必要となると推測されます。
2021年5月の参議院本会議で、障害者差別解消法(2016年4月1日施行)改正法が可決成立しました。改正で特に注目する点は、「合理的配慮の提供」を企業にも義務付けることになったことです。これまでは、「合理的配慮の義務付け」は行政機関等のみで、企業には努力義務(合理的な配慮をするように努めなければならない。)となっていましたが、今回の改正によって、行政機関及び企業ともに「合理的配慮の提供」を義務(合理的な配慮をしなければならない。)として、求められることとなります。改正法は公布日(2021年6月4日)から起算して、3年以内に施行されることになります。
改正法において企業に求められること、及びジョブコーチ支援について
障害者差別解消法は、「障害による差別を解消し、共生する社会の実現」を目的として制定された法律です。この法律の肝心なところは、「不当な差別的取扱いの禁止」と「合理的配慮の提供」になり、企業に求められる「合理的配慮」とは、障害のある者が「障害のない者との比較において実質的に同等の機会の提供を受けられるよう」な配慮ができているのか?について検討しておく必要があります。
「合理的配慮」のポイントとは、@本来の業務(作業)に必要とされる範囲に限定され、事業の目的等の本質的な変更には及ばないこと、A障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思表明があった場合、B配慮の実施に伴う負担が過重でないこと、の3つがあげられます。上記3つのポイントからジョブコーチ支援との関係(役割)を考えてみたいと思います。
先ず@について、ジョブコーチ支援は業務(作業)分析を実施しますので、業務(作業)に必要な範囲を充分把握することができています。その為、ジョブコーチとして企業への的確な助言を求められる可能性は高いです。次にAの「意思表明」に関しては、「知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む」とされておりますので、ジョブコーチの立場から企業側及び障害者側の双方向への的確な助言が活きてくると思います。しかしBについては、「費用負担の程度、企業財務状況等」にも関わってくるため慎重なスタンスをもって対応していくことが必要と考えます。
まとめ
改正法では、企業に対し「合理的配慮の提供」について、障害者(障害者を支援する人を含む。)と企業との間での実情に即した対話が求められることが多くなると思います。現状のジョブコーチ支援以上に、支援する立場から対象者(障害者)と企業の対話の中にジョブコーチとして入ることが求められる可能性も充分あると思います。
その際、対象者(障害者)と企業に対して「障害特性に則した必要な配慮と、その配慮が過度な負担がなく実現可能であるか?」を念頭に置きながら、企業側及び対象者側双方の立場から障害者雇用を考えられる、丁寧なジョブコーチ支援が必要となると推測されます。
浜松拠点 永田 誉人
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