オンラインを活用して学ぶ[2022年11月08日(Tue)]
三島拠点 白砂幸子
念願の幼稚園に勤務し、意気揚々としていた矢先、私が28歳の時次男は知的障害としてこの世に誕生しました。それからは自分の人生設計の舵取りを余儀なくされ退職し、我が子の療育に専念しました。教育の場として特別支援学校を選び12年間お世話になり、社会デビューをした息子も障害者雇用枠で採用され18年が経過し、35歳になりました。
振り返ると、彼と出会い障害児を育てることに困難を抱え、どうしたらいいのかと苦しむ日々が何年も続きました。これでは子育てが楽しくなくなると感じていた頃、わからない事困った事は一人で悩まず助けを求める事を同じ障害児を育てている先輩から教わりました。その母親からは、「情報は自分の目と耳と足で得るもの」、人の噂話で決めてはいけない事も添えてアドバイスをいただきました それからは全ての事に対して、能動的に動く母親に大変身です。彼と出会ったおかげで情報を得るために色々な方と出会い仲間が増え、一人で悩まず助けてもらう事の大切さを学び、学校生活も皆で助け合い気持ちを楽にして卒業し社会に出ることができました。
彼は学生時代から自分のやりたい仕事を見つけ順調に仕事をしていたのですが、やはり、特性である職場での人間関係や能力の力量に合わない仕事の負荷が加わり、想定内の大きな壁にぶち当たりました。母親として心の後押しと体調管理は支援してきましたが、母親では職場に介入できず、ジョブコーチに助けを求めました。以前からジョブコーチという存在は知っていましたが、難しい手続きは無く、簡単に依頼ができるなど予想外でした。三島拠点の皆様方にお世話になり、今でも働き続けることができています
ジョブコーチ支援を受け企業側も向き合い意識してくださるようになり、「失敗ばかりで、何回言ってもできません」から支援策を考えてくださるようになりました。我が子の支援を依頼したことをきっかけに、今度は私もジョブコーチとして他の方の支援に入り恩返しをしたいと思うようになり、昨年度、研修に参加し現在に至ります。まだまだ一人前に頼ってもらえるような支援ができていませんが、私の生活信条である、「自分の目と耳と足で情報を得る」を基本に、不謹慎ではございますが、コロナ禍だからこそ参加できるオンラインで様々な障害に関する研修を時間のある限り受講しています。個性のある障害特性に関して学ばないと企業側に支援策をお伝えすることもできないので、私には必要であると痛切に思います。
コロナ前は研修会というと現地に足を運ばないと受講できませんでしたが、今はパソコンの前にいるだけで、全国各地の著名な先生方の貴重なお話を聴くことができ最新の情報も得られます。施設の方の事例やブレイクアウトルームで意見交換は、生の声を伺うことができるのでとても勉強になっています。画面越しでも知り合いになり心強いです。現在、ある大学の先生の就労に関してのお考えに興味があります。「障害のある方を変えるのでなく、企業側の受け入れ態勢が大切である」という視点は私も賛同します。実際色々な企業や施設等に行かせていただき現場を拝見すると、共通して耳にする言葉は、即「忙しい」という返答です。
そこで、企業側に負担なく早く解決できる伝え方、支援方法が解るように障害特性、配慮の仕方を具体的に可視化して説明できるよう今も学び続けています。もちろんジョブコーチはお互いの中間的な立ち位置にあるので、意識、理解、配慮した上で、障害者を雇用している企業側の仕事への期待と当事者の力量のバランスを考慮し、お互いが折り合えるように、手立て、合理的配慮義務の範囲の中、今後もジョブコーチとして活動したいと思います。企業はボランティアではないので利益がないと給料は発生しません。上手く折り合いをつける位置配分が難しいと、ここ数カ月で私の課題として感じています。
そして、月に一度の拠点ミーティングは私にとっては一つ一つが支援の参考になります。顔を合わせながらの意見交換はとてもよい時間となっています。スキルアップ研修も拠点のカラーがあり毎回楽しみになっています。オールしずおか企画のセミナーや学校関係の学習会も、拠点からの知らせがあるとなるべく都合をつけて参加させていただいています。時間は作らないと生まれず、学習の機会は自分の都合に合わせてもらえないので、私も時間と折り合いをつけて今後も積極的に学んで企業側から信頼していただき、この人なら任せられると言われるようなジョブコーチになりたいと思います。企業・施設側と当事者の笑顔がたくさん見ることができる様な一助になりたいです。目指します