若者の起業を扱ったある番組での一こまです。チャンネルを回していて(この言葉、
化石化してますかね)偶然見たので意図は正確にはわかりませんが、「若いんだから
もっと挑戦しなきゃ」的な雰囲気を感じて、ちょっと違和感を覚えました。
起業家が、幸いにして新しい事業モデルを成功させ組織を拡大する、つまり雇用主に
なって従業員を雇い入れるとき、この従業員たちを「保守的」な存在として認識するの
でしょうか。自分が立ち上げた組織をこれから一緒になって育てていこうとする、その
パートナーである従業員をそんな目で見ていたとしたら、組織の行く末には暗雲が漂って
いると思えてなりません。
少し話が飛躍しますが、現代社会は、目の前に見えているのにその実際の仕組みに
まで意識がいかないことがとても多いと思います。
たとえば、公共交通。毎日決まった時間に来るバスや電車、私たちはこれが当たり前
だと思って生活してますが、本当でしょうか。公共交通機関を支障なく運行するために、
日夜保守点検管理、運行チェック、そして実際の運転をしている多くの人がいるから
初めて成り立つシステムであって、決して当たり前ではありません。でも私たちの目
にはこれらの人々はあまり映っていません。
普段何気なく使ってる建物のトイレ。いつもきれいな状態を保っていますが、これって
当たり前でしょうか。毎日掃除をしてくれる人がいるからきれいなのであって、小人が夜
勝手に掃除をしてくれてるわけではありません。
正規・非正規雇用者、パート、アルバイト、労働者などなどさまざまな呼称で呼ばれる
無数の「保守的」な人たちがいるから、今の社会は「正常」に動いています。それが
当たり前のように生活していますが、実はとても脆いものなのです。
何千人という雇用者を抱える組織のトップが、その一人ひとりを個人として認識して
気配りするのは現実的ではありません。でも、たとえ2:6:2の法則が成り立っていたと
しても、組織を経営するうえで欠かすことのできない存在であることを認識することは
必要だと思います。
同じことが雇用者の側にも言えます。組織に入ると、あたかもその組織のブランド力を
自分個人のブランドと勘違いする人がときどきいます。組織のブランドを今の地位まで高め
確立するまでに、どれだけ多くの先人が努力してきたのか。その積み重ねで得られた
名声を使えることの幸せと重大さに気付くことが大切です。
起業する人間が優秀で、就職する人間が臆病なんてことはありえません。お互いがあって
初めて組織は動きます。
自分が社会や組織の中で生かされていることを実感できる、そんな生活ができたらいいな
と思います。
Posted by ANDO at 08:25 | 日々のあれこれ | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)