組織のなかで、望まれる人とはどんな人でしょうか。
以前中小企業家の方々の勉強会に参加させていただきました。そのときのテーマが
「育成」でした。小規模事業が多かったのですが、経営者の多くが望む「人」とは
自分で考えて行動できる社員
でした。そのとき、ある方がおっしゃっていた言葉が印象に残っています。
それって自分が楽(らく)したいだけなんじゃない?
なるほど、社員がみんな「自ら考え自ら行動」できたら、たぶん経営者は楽でしょうね。
バラバラに進んでいったら大変だけど。でも、もっと日常的に考えればいいのだと思います。
たとえば「これ、コピー取っておいて」と先輩社員に頼まれたとします。
「えっ、コピー? コピー取るなんて自分の仕事じゃない」
と思う人はもしかしたら伸びないかもしれません。書類を渡される、ということは、その
中身を見ていいよ、という暗黙のサインです。
どんな資料か。製品開発の会議なら、いつ発売予定か、誰が出席するのか(誰に声を
かけるのか)、まず何を議題にするのか、他にどんな資料を用意するのか(事前にどこまで
調査すべきか)・・・
いつか、「今度の会議の資料、用意しておいて」と突然言われたとき、「そんなの聞いて
ないし、教えてもらってない」ではお粗末です。知る機会はいくらでもあったはずですから。
でも、こうした「育成方法」は、世の中にいくらでも出回っていますね。
・目からウロコ! これであなたも○○間違いなし!!
・※※社員になる10の方法
などなど。
2:6:2の法則というのを誰かから聞きました。組織には、仕事がよくできる人間が2割、
可もなく不可もない人間が6割、組織にとってあまり役に立たない人間が2割いるのだ
そうです。
企業というのは、下位2割を切って、新しい人材を入れようとします。プロスポーツ
の世界がわかりやすい例です。日本プロ野球界は、MLBへの人材供給場のようです。
でもそこには、高校や大学の優秀な選手が毎年入ってきますから、上位2割が出て行っても
次のスターが生まれる下地はしっかりしています。
NPOという組織が目指すのは、上位2割が次なる新天地に飛び立つための準備となる
場であると同時に、残りの6割、さらには2割の人たちの居場所となることだと思って
います。
昨日より今日、今日より明日
立ち止まるな、次へ、次へ、次へ
某「プロフェッショナル」云々という番組で流れていました。これを実践できる人間は
素晴らしいと思います。だから番組で取り上げられたのです。すべての人間にできる
ことではありません。
終身雇用という制度は、2:6:2を維持することで、居場所を提供してきました。
それが、危うくなった今、伸びる人だけを重視する社会から取り残された人はどこに
いけばいいのでしょうか。
上を目指すための本はたくさん出ています。でも、成長や発展を必ずしも目的としない
組織、上を目指さない人でも生きていける組織を作るハウツー本をどなたか出版して
くれないかなぁ・・・。