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2021年06月17日

とある自治会の暗黒奇譚 #03 「フリーライダー」

家庭ごみは通常、家の近くのごみ収集所とかごみステーションと呼ばれる場所に出し、収集車が回収してくれる。地域によっては、戸別回収しているところもあるらしい。あんたもいずれかの方法で家庭ごみを出しているはずだ。

このまちでは、あちこちに鉄製のごみ収集箱が設置されている。

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これを各自治会で管理することになっていて、役員(組長)が管理にあたっている。

管理といっても、強風や経年劣化で収集箱の蓋が壊れたときに業者に修理を依頼して、会計担当に支払いを指示する、といった感じだ。

あとは任意で収集箱近くの草抜きや周辺のごみ拾い。

"みんな"で使うものだから、このように自治会が管理しているというわけだ。





自治会に入っていなくても、ごみ収集所は使えるか?

さて、資源ごみ回収の当番の日、ペアで作業するベテラン組長と、自治会への加入状況の話になった。

盆「実は4月に組長になってすぐ、うちの組で2世帯が退会したんですよ」

ベ「そが〜かな。やれんなぁ。ごみ収集箱が壊れた時は自治会費で修理するのに。自治会に入っとると入っとらんとで不公平よなぁ」

当然だが、日本国民すべてが自治会・町内会に入っているわけではない。このまちは田舎だが、そんな田舎でも住民全員が加入しているわけではないし、加入率は年々下がっている。

ごみ収集所の諸々の管理コストは自治会(費)で負担しているから、自治会に入ってない人がごみ収集所を使うのは「タダ乗り」みたいなもので不公平だ、という訳だ。

一理あると思う。

聞くところによると、「自治会に入ってなければ、ごみ収集箱は使わせない」というルールを運用している自治会もらしい。

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気になったので「それは行政がルールとして設定しているのか」ということを後日行政の担当課に聞いてみた。回答としては、

「自治会に入ってる・入ってないにかかわらず、回収日にごみは出してよい」

ということだった。

これには反論したい人もいるだろう。

少なくとも、うちのまちでは、

 ・自治会の加入未加入に関わらず、ごみ収集箱の
  利用について行政は制限していない

 ・自治会によっては未加入者にごみ収集箱を
  使わせない対応をとっているところもある

ということだ。

ちなみにうちの自治会は未加入者に制限をしていない。おれの知る範囲では。

後日、このことを役員会で共有したところ「未加入者は使っちゃダメなんじゃないの?」という反応が数名見られたので、認識を訂正してもらった。

少なくとも自治会規約で「未加入者に使わせない」ということを明文化はしていないから、「使わせない!」というアクション自体がおかしいし、トラブルの元になるのでやめてもらいたい。





担えないから辞める!?

ベテラン組長との会話に時を戻そう(ぺ)

「なんでかの〜」と話していると、同じ組のおばあさんが通りかかって話に加わった。おばあさん曰く、

 ・退会した2世帯が住む集合住宅は、企業の社宅。

 ・その社宅が新築されたときに、おばあさんが組長で
  社宅に住む人には自治会に入るように会社にお願いした。

 ・社宅に住む人は夜勤があったり朝が早く(6時出勤)、
  資源ごみ当番とか、交通安全週間の立哨に参加できない。

とのこと。

つまり「朝の時間帯の役員(組長)の仕事に参加しづらい」ということらしい。

おばあさんの話もふまえ、退会した理由を想像すると、

 ・組長をやりたくない(朝早くて、できないものがあるから)
 ・自治会費を払いたくない

このあたりかなと。

「朝6時に誰かが資源ごみ回収スペースを開設している事象」(#02参照)でも記述したとおり、組長の仕事は時間帯が平日の朝のものがあり、仕事によっては参加できないものが確かにある。

役員をやりたくない、という理由もあるし「仕事が朝早いので役員を引き受けても担えないから無理、それならいっそ自治会辞める」みたいな理由も、ないとは言い切れない。

脱退した2世帯はレアケースかもしれないが、自治会を担う大切な2世帯でもあり、こういった理由で抜けられる前に、自治会全体の仕事を見直すべきだったかもしれない。





自治会が訴えられて、裁判で負ける時代

最後に、ちょっとした時事ネタを紹介したい。

自治会入らないとゴミ捨てられない?(NHK長野WEB特集)

まさにこれは、自治会長になって最初に直面した疑問だった。

この疑問に対する答えは上述したとおりだ。少なくとも、このまちではね。

これに関しては裁判になっている事例もあり、全国各地で問題になっている。

自分なりにいろいろ調べた結果、「自治会とごみ処理問題」については、こんな感じでまとめられると思う。


@大前提として、市町村には、家庭ごみ(一般廃棄物)を処理することが法律で義務付けられている。法律というのは廃棄物処理法で、第六条の二に示されている。

A廃棄物処理法も含め、日本の法律の中に「ごみ収集所」に関する規定はない。

B市町村は@の義務があるが、戸別回収は非効率だから、自治会と協力してごみ収集所を設置している。

Cごみ収集所の管理は自治会が担っている。うちのように鉄製の収集箱を設置する際にかかる費用は自治会が負担している。 


@〜Bは間違いないと思う。Cは市町村や自治会によっていろんな実態があるだろう。

この中で問題があるとするならBかな。

このまちでは、ほぼすべてのごみ収集所に収集箱が設置されていて、その設置費用は自治会が負担している。これを市町村が負担すればお金の面で不公平ということはなくなるはずだ。自治会に入ってないから使わせない、みたいなことはなくなると思う。

@とBをあわせて考えれば、そもそも収集箱の設置費用を自治会に負担させている時点でちょっと違うんじゃない?と思わなくもない(思う)。

収集箱の新設や更新にはお金がかかり、それを行政が負担すれば財政を圧迫しかねない……みたいなことをいう市町村がいるかもしれないが、住民にとってごみ出しは水道や道路と同じような、生活に不可欠なインフラと同じものだから、金が足りないというなら徴税すればいい。市町村民税なら市町村で税率を決められるし。知らんけど。

実際、うちの自治会の過去の決算資料をみると、収集箱1つ更新するのにかかる費用はせいぜい10万円ちょっと。毎年壊れるわけでもなく、経年劣化による更新でも10年に一度だろう。

全体の設置数と更新頻度を予測して、それにかかる費用を納税者数で割れば負担額はたいした金額にはならない。

お金のかからない、ごみ収集所周辺の日常的な管理は、自治会による共助活動として、できる人で分担してやれば済む話。これはすでにBで実現している。

AやBを法律で対応するとなると国会レベルになるので、市町村レベルの条例で対応すればいい。

こんなことで住民同士が裁判で争うなんて、あまりにも不毛すぎる。

あんたもそう思うだろ?
posted by 島根 at 19:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 盆子原