“東京在住者の 4 割が地方への移住を検討してる”
こんな類いのアンケート結果や地方暮らしを特集するような本・TV番組などが巷に溢れるようになってきて、いわゆる“田舎暮らし”への憧れが強まっていることを感じてます。
そして、その憧れの矛先は島根にも向いていることを仕事柄(定住財団でUターンIターンのお手伝いをしています)とても感じています。公私ともに相談をされる機会がかなり増えています。
田舎暮らしへ憧れる方に島根を注目してもらってることは嬉しい。だけど、同時にちょっとモヤモヤしている自分の気持ちに気づいてしまっています。
今回のお話は、人によっては全く共感できないことかもしれないけれど、「田舎暮らし=島根の暮らし」という方程式に違和感を感じる僕の気持ちを少し掘り下げてみたいと思います。
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僕は、32年生きてきた中で、そのほとんどを島根で過ごしてきました。
だけど、田舎暮らし歴は、約2年。
島根に住みながらも、“田舎暮らし”といわれる暮らしをしてこなかったってわけです。
そのことに、懺悔の気持ちをものすごくもっているのです。
世間では、田舎暮らしの価値として、
・安心安全
・人の繋がりが強い
・お裾分けの文化
・自然豊かな環境に囲まれている
・四季の移ろいを感じやすい
・生産者との距離が近い
なんて言われます。
こういう価値を感じながら島根で暮らしをしてる人はたくさんいると思うけど、僕はそうではなかった。
田舎であるはずの島根にいながら、都市的な暮らしをしてたんです。
食事や食材に関心を持ってなくて、産地はもちろん、生産する人のことを意識することは皆無。
近所に住んでいる方との関係も濃いとは言えない。一時期は、希薄さを求めてマンションに住んでた時期も。おすそ分けもありません。
自然が周りにあっても、そこに意識を向けることがありません。周りに田畑がたくさんあるにも関わらず、何が・いつできているのかわからない。家と学校・家と職場を往復する毎日でした。
この、島根に住みながら“田舎暮らし”をしていない理由の一つは、僕が住むのが県庁所在地の松江だから、というのもあるかもしれない。
だけど、そんなことより圧倒的に大きな理由がもう一つ。
(自分の懺悔の気持ちを込めて、これをとても伝えたいんです)
僕には「気づく力」が無かった!
日常に無関心すぎました。仕事(当時は小売業)でモノを仕入れたり売ったりすることには一生懸命なんだけど、地域のことや自然のこと、社会のことに無関心すぎた。経済のことばかり見ていたんです。
例えば、数年前まで田んぼに足を踏み入れたこともなく、食や農や地域に無関心だった僕は、お米ができる過程やスケジュールを知らなかった。普段毎日のように食べてるのに。
お米ひとつをとっても、意識をして「気付く」ようになると感じ方が一変する。
日常の周りの『変化』を敏感に感じることができています。
『田んぼに水がはったー!』
『稲穂が垂れてきたー!』
『収穫のあとにも、まだ残った稲が成長してる!』
家に田んぼを持っている友人達にこんな話をすると、あまりに日常なので全く共感されないけれど、田舎暮らし初心者の僕にしてみたら、気づけるようになったことは嬉しいし楽しい。
気づいて口にしていると、息子が同じように気づくようになってくれて、それを見るともっと嬉しい。
近いところにある当たり前の変化に気づけるように、もっとなりたい。
そして、田舎暮らしの価値に少しは気づけるようになった僕は、もう一つの違和感にぶちあたりました。
それは、田舎暮らしを美化しすぎている風潮があること。
環境、人、安全、食、歴史、誇れるものが確かにたくさんあるんだけれど、全てのことは表裏一体で、人があたたかく絆が強い分、手間のかかる面倒なことも当然ある。
自然がいっぱいといっても、自然の力は本当に驚異的。例えば、庭をちゃんと管理しようと思ったら、雑草の半端無い伸び加減にキレイな状態で保つことを諦めようと思ってしまう自分もいる。
定期的に地域の清掃活動だって、楽しいとはいえないけれど参加しなきゃ。
僕はまだまだ田舎暮らしを語るには未熟すぎるけど、甘くない世界っていうのは間違いない。
「島根で田舎暮らしをしませんか?」
実際あちこちで使われがちな、こういうメッセージでは、本当の田舎暮らしを伝えられないって感じてしまうんです。田舎暮らしに関心のある方には、もっともっとリアルを発信していきたい。しかも、僕のような中途半端ではなく、実際にリアルな田舎暮らしをしている方の声を公私ともにしっかり届けていきたいです。届けていきます。
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ついつい長文になってしまいました。今回の記事を端的にまとめると、
・住んでる自分たちにとっては当たり前の島根・地方・田舎がイマ注目されているぜ!
・どれだけ島根に住んでても“気づく意識”持ってないと田舎の価値に気づけないぜ!
・せっかくだから気づいて田舎で暮らす幸せを感じようぜ!
という自分への激励メッセージでした。
Iターンした方がヨソ者視点で島根の魅力を発見してくれるのと同じように、島根に住んでいる僕自身も、近くの当たり前に「気づく」意識をもって幸せを感じていきたいと思います。田舎暮らしを楽しみます。
最近見かけた、咲き始めた梅の花。自分よりも息子が先に気づきました。息子よ、ナイス感性だ。
こういう季節の変わり目に気づいて「ワオ」って感じて喜べるのって、とっても小さいことだけど豊かですよね。
息子には、田舎暮らしの価値をしっかり感じながら人生を過ごしてほしいです。