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2012年08月31日

第二十三回 蝙蝠(こうもり)こっこ

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蝙蝠 こっこ えんしょうこ
おらがの屋敷へ 巣つくれ
晩方寒いぞ 風邪ひくぞ
坊やに絆纏(はんてん) ひっかけろ

蝙蝠 こっこ えんしょうこ
おらがの屋敷へ 巣つくれ
三日月さまは 細(ほーそ)いな
野良(のら)からおかァん まだかいな

蝙蝠 こっこ えんしょうこ
おらがの屋敷へ 巣つくれ


山梨で唄われた“わらべうた”です。
「蝙蝠 こっこ」の「こっこ」は「子ッこ」の意味とも、
また「来い」から転じたものでしょうか。
「おかァん」は「お母さん」です。

夏の夕ぐれに、「蝙蝠 こっこ」のような“うた”を
歌ったことはありますか。

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この“うた”は農村などで、
長い竹竿の先に手拭をつけ、それを振りまわし、
飛んでいる蝙蝠を追いかけながら歌う「蝙蝠とりの唄」だそうです。

蝙蝠を捕るなんて、可哀そうですね。
映画などの「吸血鬼」のイメージがあるので、
すこし怖がられることもありますが、
血を吸う蝙蝠は種類も少なく、
ほとんどは「蚊」などを取って食べてくれるよき友らしいのです。
昔は、蚊食鳥(カクイドリ)とも呼ばれていました。

尾張には次のような唄もありました。

 蝙蝠こういお茶持てこい
 堀切回ッてお茶持て来い


関東地方では、

 蝙蝠、蝙蝠、
 草履やっから
 早く来い


福島では

 蝙蝠こっこ すっこっこ
 向こうの水は苦いぞ
 こっちの水は甘いぞ


なにか蛍の唄に似ていますね。

兵庫、和歌山、徳島、愛媛では、

 蝙蝠来い、草履やろど、
 雨降ったら下駄やろど


蝙蝠は夏の季語でもあります。
以前、「ゆうさりの茶会」に誘われたことがあります。
「ゆうさり」とは夕方頃のことですが、
蝙蝠も夕方から飛びはじめるのです。
その茶会にお伺いした時、
玄関の小間にある床の間の掛軸には、
これから灯を点そうとする行灯が描かれていました。
そして、帰るころには、
蝙蝠が飛んでいる絵に掛けかえられていました。
それは、これから帰るお客様の道案内を
蝙蝠がいたしますよとの、ご亭主の心遣いでした。

さて、歌いましょうか。
楽しく蝙蝠の歌を!

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資料: 『わらべうた 日本の伝承童謡』
      町田嘉章・浅野健二編  岩波文庫


posted by 事務局 at 14:33| Comment(0) | わらべうた
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