
はじめに
児童相談所によれば、
児童虐待の認定は毎年4万件を越えるようになってしまいました。
そして、昨年の相談対応件数は55,152件。
この20年間にその数は50倍となっているのです。
このように毎年4万人以上の子どもたちが、
愛情につつまれることなく、
辛く悲しい目にあっているという日本という国。
とても哀しいことです。
この子どもたちは、お父さんやお母さんと一緒に
“わらべうた”を歌ったことがあるのでしょうか。
友だちと一緒に
“わたべうた”を歌ったことがあるのでしょうか。
児童虐待は親から子へと繰り返します。
虐待されて育ってしまった人は
また、自分の子どもを虐待してしまうということで、
どんどん増えてしまう傾向にあるとのです。
また、こどもの育つ環境は良くなっていかねばならないのに、
私たちの周辺からは、
豊かな人間関係を経験する場も次第になくなりつつあります。
人生の幸せは人と人との関係にあるというのに辛いことです。
世の中がどのように変わっていこうとも、
子どもは「人とのかかわり」によって成長するものです。
幼い頃から、さまざまな人と出会う、
その体験から学び成長していく子どもたち。
周りの人々の深い愛情が必要です。

昭和の中頃までは、子どものとき学校から帰ると、
家の近くに小さな空き地があり、
近所の子どもたちは、
年齢も関係なく寄り集まっていろんな遊びをしました。
大きな子も小さな子も、男の子も女の子も
入り混じって遊び、
誰に教わるということもなく、
喜怒哀楽の様々な感情や価値観を
学び育っていったものです。
良いこと良くないことを見よう見まねで覚え、
自分が仲間に受け入れられているという感覚は
本当に楽しいものでした。
また時々は喧嘩などをしてわんわん泣いたものです。
そして最後はいつでもきまって“わらべ歌”での遊び。
うたは遊びからはじまったようなもの。
よく歌ったのは「通りゃんせ」。
みんなと手をつなぎながらこの「うた」を歌う時、
どこか胸がしめつけられるような懐かしさと同時に、
いいしれない不安にかられました。
あれはいったい何だったのでしょう!
このうたには、今でもなぜか、なんとなく不安を感じ、
怖さも覚えます。
「わらべうた」の不思議さでしょうか。
このうたの特徴でしょうか。
今の子どもたちはどうなのでしょう。

☆
9月から新たにはじまる「四季おりおり」は、
「わらべうた」を主題に、子どもたちのうたと遊びの世界を旅します。
伝承されてきた「わらべうた」は、「日本の心」そのもの。
大人が子どものために歌う「こもりうた」や、「あそばせうた」。
子どもたちが遊びの中で歌う「遊ぶうた」。
行事の中で歌う「うた」。
それらの懐かしい「わらべうた」の数々は、
昔からの大切な神事の名残であったり、
生活のあり方や慣習、風俗、歴史や人間観、自然観など
様々なことを今に伝えてくれます。
「わらべうた」が私たちに見せてくれる日本文化の
さまざまな面を楽しみながら「わらべうたの旅」を
たどってみたいと思います。
どうぞご一緒にお楽しみてください。
(毎月1日、15日に更新いたします。)
よろしくお願い申し上げます。
資料:『わらべうた』木村はるみ・蔵田友子著

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