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2014年06月15日

第20回 室町時代『閑吟集』その2

中世の流行歌謡を集めた『閑吟集』。その中から、男女の恋歌をご紹介しましょう。

♪さて何せうぞ 一目見し面影が 身を離れぬ

「さあなんとしようか。一目見たあの人の面影がこの身を離れない」
一目ぼれの心、恋の始まり。

♪な見さいそ な見さいそ
人の推する な見さいそ

「見ないで、見ないで、人が私たちの仲を察してしまうわ、そんなに見つめないで」
互いに見つめあう二人の姿が見えてきそうです。

♪思へど思わぬ振りをしてなう 
思ひ痩(や)せに痩せ候(そろ)

「恋しくてたまらないのにそんな素振りも見せないようにしていたら、思い詰めたあまりにこんなに痩せてしまったよ」
告白できない気弱な人の恋の病なのでしょうか。

♪君を千里に置いて 今日も酒を飲みて ひとり心を慰めん

「恋しい君を千里のかなたに置いて、今日もまた酒を飲み、一人、心の寂しさを紛らわせよう」
遠距離恋愛なのでしょうか。それとも会いたいと言っても会ってくれない心の隔たりなのでしょうか。

♪霜の白菊 移ろひやすやなう しや頼むまじの一花心や

「あの人の心は、まるで霜の置いた白菊のように移ろいやすいものだねえ。えい、頼りにはするまいよ、あんな浮気心の人など」
浮気な人は相手を悩ませ、つまるところは見限られてしまうのでしょう。しかし恋しい人なのです。

現代語訳:『五感で読む閑吟集・風雅と官能の室町歌謡』植木朝子著 

閑吟集しゃしん2.JPG

いつの時代も、人は恋のよろこび、恋の悲しみ、恋の苦しみ、辛さを歌うもの。
『閑吟集』を読んでいると、当時の人々の恋心が聞こえてきそうです。


資料:
新訂増補『日本歌謡史』高野辰之著(五月書房)
『五感で読む閑吟集・風雅と官能の室町歌謡』植木朝子著(角川選書)

posted by 事務局 at 10:41| Comment(0) | 日本歌謡物語
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