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2013年10月01日

第3回 上古時代:『古事記』より その2

国思歌(くにしのひのうた)
『古事記』が編纂されていた時代には、その前からすでに歌われていた歌謡がたくさんあったようです。『古事記』にはそういった歌が多く採用されて、そのなかで国を褒める歌があります。その歌が『古事記』(中巻・景行記)では、倭建命(やまとたける)の故郷を思う歌として出てきます。
歌謡樹木 (1).JPG

♪倭は 国のまほろば 
たたなづく 青垣 山隠れる 
倭しうるはし 

(大和は、国土のうちでも最もすぐれたところだ。重なり合っている青垣よ。その青垣山に囲まれている大和は、ああ、なんとすばらしいのだ。)

「国のまほろば」の「ま」は完全さをしめす接頭語で、「ほ」はすぐれているという意味。
歌のなかには、五文字七文字の長歌の形が組み入れられてきています。

この歌は、倭建命が父親の景行天皇から東国平定を命じられ、見事その役目を果たした帰りのこと。倭建命が伊吹山の神に暴言をはいたため、そのたたりのせいで重い病気にかかりました。
その時、死を覚悟し、倭の国を偲んで歌った歌です。

古来、人々の心を打ってきたこの歌には、倭建命の激しくも人を愛する清らかな心情が表現されています。
その心は、続きの歌にも表されています。
命を大切にし、生きる歓びをたたえる歌です。

♪命の 全(また)けむ人は
たたみこも 平群(へぐり)の山の
熊白檮(くまかし)が葉を
髻華(うず)に挿せ その子
(これから先のある人は、平群の山のくま樫の葉を髪に挿して、生きることを楽しみ、その命を輝かせるがよい、若者よ。)

次には、帰りつくことのない故郷を思う切なさにあふれる未完の歌が・・・・・。

♪愛(は)しけやし 我家の方よ 
雲居立ち来も
(目に浮かぶのは、なつかしい我が家。
その方向に白い雲が湧いてくるよ。)

様々な苦難に出合い、辛い試練をのりこえてきた英雄・倭建命。
彼は死に直面して未来を担う若者たちに、命を輝かせよと歌いました。そして、亡くなった後、白鳥となって天を目指して飛んで行きました。
それは東国平定の過程で親しくなった東国の人々の魂のもとに飛んでいったのかもしれませんね。
歌謡雲.JPG

資料: 
『日本歌謡史』高野辰之著
『現代語訳・古事記』全訳注・次田真幸
『和歌の解釈と鑑賞事典』
井上宗雄・武川忠一編 笠間書院
『ものがたり日本の神話』
島崎晋+日本神話倶楽部 編著
『日本美 縄文の系譜』宋左近著 新潮選書


posted by 事務局 at 00:00| Comment(0) | 日本歌謡物語
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