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2008年05月15日

“四季おりおり”第十回 緑の季節


        みどりのそよ風 いい日だね
        ちょうちょもひらひら 豆の花
        七色畑(なないろばたけ)に 妹の
        つまみ菜摘む手が かわいいな


                  童謡『緑のそよ風』より 
                  作詞:清水かつら


花いっぱい

庭の土に芽吹いた小さな野草が、可憐な薄紫の花を咲かせています。
その間を小走りに動きまわる蟻たち。

可愛い花をつけたブルーデイジー、清楚なスズラン、枝を広げた赤いチェリーセイジ、紫色の鉄線、白い小手鞠、シャクナゲもその美しい姿をあらわしています。
窓際の薔薇も次々とピンクや黄色の花びらを開いています。
五月は多くの植物が命を謳歌する季節です。


花は香りで伝えます、
みごとに花が開いたことを。

やさしい緑のそよ風が、
花の香りを運びます。

香りの道に導かれ、
ひらひらひらと舞いながら、
やってきますよ、蝶々が。

見上げる木々も爽やかに、
木の葉ゆらしてご挨拶。

飛び交う小鳥もさえずって、
梢でちょっとひとやすみ。

花を見ていると楽しくなって、なんだか詩のようになってしまいました。





こんな時、口ずさみたくなるのが、クリスティナ・ジョージナ・ロセティの『風』です。

      誰が風を見たでせう?
      僕もあなたも見やしない、
      けれど木の葉を顫(ふる)はせて、
      風は通りぬけてゆく。

      誰が風を見たでせう?
      僕もあなたも見やしない、
      けれど樹立(こだち)が頭をさげて
      風は通りすぎてゆく。

                     西条八十訳


見えない風に出逢うのは心の目でしょうか。


風が大好きという人は多いですね。
“あなたは風だよ”と言った人がいます。

アラン・タネール監督・脚本の映画『光年のかなた』の科白(せりふ)です。

     木の中に入れ。
     肉体の世界を広げよ。
     自分の名の響きに溶けこめ。
     眼と眼の間の感覚を感じとれ。
     心を通して体を宇宙へ昇らせよ。
     光を呑みこめ。
     お前は風だ。
     果てしない広がりの中に住め。
     震えと震えとの間に不動の光を見よ。
     森の中にお前の樹がある。
     発見せよ。
     本当は、一人一人が宇宙そのものなのだ。


      「風(しなど)はどこへふいているか」五木寛之より

風は空気の流れ、大気そのもの。
自転しながら太陽をめぐる地球。その地球上に生きる生物たち。植物の呼吸。人間たちの呼吸。さまざまな活動が風と関係しています。

まさに、風は地球の呼吸。
優しく呼吸することもあれば、激しく呼吸することもあるのです。



緑の光


五月に欠かせないもの、それは爽やかな陽光です。
光の滴(しずく)をまきちらすさざ波のような木の葉。

その緑色の光は私たち人間を元気にします。

生命のあるところには緑があるからでしょうか。

植物の緑は光合成と関係します。

太陽のエネルギーは光合成によって植物に取り入れられます。

光合成を行うのは、主に葉の葉緑体にあるクロロフィルaという有機分子。

この分子は、太陽光の波長の中で、短い青色と波長の長い赤色の電磁波を吸収し、これをエネルギーとして蓄えます。

太陽光の中央あたりの波長は吸収されず、葉の外に飛び出してきます。これが緑色



さあ、緑の風に誘われて森に出かけてみましょう。

森林浴は身体にいいです。

もう少し森の中へ分け入って散歩しましょう。

美しい木漏れ日が降りそそいでいますね。

木漏れ日は森にとって、とても大切なものなのです。

樹木は、太陽の光をなるべく多く浴びようとして、地上高く育っていきます。

空に伸びた枝には葉が繁りますが、すき間なく空をおおい尽くすことはないようです。

光が地上に届かなくなると、低い木や下草にいる昆虫や小動物は育つことができません。
そうなると樹木は大変困ってしまうのです。

昆虫などによる樹木の受粉が出来ないからです。

やがて、果実が実ると、小鳥たちがやってきて楽しい食事が始まります。

小鳥たちはご馳走のお返しに、果実の種を樹の周辺に蒔くのです。

樹木は光を葉の間から地上に通さなければ、蒔かれた自分の子どもたちを育てることはできません。

葉と葉の間にすき間があってよかったですね。

光は全てのものにとってかけがえのないもの。

葉の間をぬって射す陽光によって、多くの生命が育つのです。

この大切な光は、木漏れ日


公園にこだまする子どもたちの遊び声。
木陰のベンチで見守るお母さんの肩には、
木漏れ日が降りそそいでいます。




資料:
『漂泊者のノート』五木寛之、斎藤愼爾著 
                株式会社法研

『森羅万象の旅』実重重実著 地湧社

posted by 事務局 at 00:00| Comment(0) |
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