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2012年09月14日

第二十四回 うさぎうさぎ(月)

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うさぎ うさぎ 何見てはねる
十五夜お月さま 見てはねる


皆様よくご存じの「うさぎ うさぎ」の唄。
江戸時代から歌われてきたそうです。
子どものときに、聞かされませんでしたか。
月には兎が住んでいて餅をつくと・・・・・。
そして「ぴょんぴょんはねる」と。
そのたびに、月を眺めて確かめたりして。
その表面の模様が兎の餅つきに見えたりして!
子どものときは素直な心、すっかり信じ込んで、
想像力はどんどん膨れ、
月の兎と夢の中で戯れたりして・・・・・。 
今の子どもたちはどうでしょうか。

月にまつわる歌は、“わらべうた”だけではありません。
子どもを愛した良寛さまが素晴らしい長歌を詠われています。

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  月の兎
いそのかみ ふりにし御代に ありといふ 
猿(まし)と兎(おさぎ)と狐(きつに)とが 
友を結びて あしたには 野山にあそび 
ゆふべには 林にかへり かくしつつ 
年のへぬれば ひさがたの 天(あめ)の帝(みかど)の
ききまして
それがまことを しらんとて
翁となりて そがもとに よろぼひ行きて 申すらく
いましたぐひを ことにして 
同じ心に 遊ぶてふ まこと聞きしが ごとならば
翁が飢を救へと 杖を投げて いこひしに 
やすきこととてややありて
猿はうしろの 林より 木のみひろひて 来たりけり 
狐は前の 川原より 魚をくはへて あたへたり 
兎はあたりに 跳びとべど 何もものせで ありければ 
兎は心 異なりと ののしりければ はかなしや 
兎はかりて 申すらく 猿は柴を 刈りて来よ 
狐はこれを 焚きてたべ 
いふが如くに なしければ 烟の中に 身を投げて 
知らぬ翁に あたへけり 
翁はこれを 見るよりも 心もしぬに 久方の 
天をあふぎて うち泣きて 土にたふれて ややありて 
胸うちたたき 申すらく 
いまし三人の 友だちは いづれ劣ると なけれども 
兎はことに やさしとて 
からを抱へて ひさがたの 月の宮にぞ はふりける 
今の世までも 語りつぎ 月の兎と いうことは 
これがもとにて ありけると 聞く吾さへも
白袴(しろたえ)の 
衣の袖(そで)は とほりて濡れぬ


この歌は、「今昔物語」に“月の兎”というお話しがあり、
そこから発想されたそうです。
お腹のすいたお爺さんに(実は神様なのですが)食べ物を与えるために
自分の身をささげた健気な兎。
神様は兎たちの仲の良さを試したばかりに、
こんなことになってしまった、と嘆くばかり。
自らの命を捧げた兎の優しい心をはっきりとみたのです。
そして、月の宮に手厚く葬ってあげようと、
兎を腕に抱え天へお帰りになった、というお話です。

やさしい兎のことを思い、涙している良寛さんが浮かんできます。

月を眺めながら歌ってみましょう。

うさぎ うさぎ 何見てはねる
十五夜お月さま 見てはねる


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資料: 『わらべうた 日本の伝承童謡』
      町田嘉章・浅野健二編  岩波文庫
    『手毬』瀬戸内寂聴著 新潮文庫

posted by 事務局 at 16:38| Comment(0) | わらべうた
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