同時開催  コンベンション2Fチャペル前にて 大西暢夫写真展「星の里 十六人の肖像」 〜カメラマン大西暢夫が、八ヶ岳名水会・星の里で暮らす人たちにレンズを向けた。そこには職員たちや家族でさえ見たことがない表情があった。〜 彼らの姿をじっと見つめる。廊下を進み、くるっと回っては、また戻ってくる。 テレビの音が聞こえる方へ向かうが、それを見るわけでもなく、視線は違う方を向き、ただ座って体を揺らす。 しばらくして部屋に帰っていった。 彼らはここに30年もこうして暮らし続けている。途方もない時間は、僕には想像もつかないことだが、身体に刻み込まれているように見えた。それでも僕を見ると、ニコッと笑ってくれ、声をかけ、手を繋いでくる人もいる。 「ここは大丈夫だから」と言わんばかりに、この場所を熟知している安心感を僕に与えてくれた。よくわからないけど、世間の慌ただしさから解放された安堵感は確かにあった。 知的障害者の入所施設。福祉制度の議論が何十年に渡り繰り返されたことで、いまは暮らしの選択肢が増えたが、それに乗り切れなかった障害者が日本各地にいるということを、僕は頭の片隅に置いていたつもりだったが、そのまま時間がすぎるだけだった。 会長の坂本ちづ子さんの言葉が強烈に残った。 「ここを卒業するチャンスを逃してしまったの! 地域で暮らすという福祉の根源を念頭に置いて仕事をしていたはずなのに、タイミングを逃してしまった。すごく責任を感じているんです。いまとは違った人生を歩んでいけた可能性があったからです」 彼らは、自身で暮らしの選択をすることができない。家族や関わる人たちに、すべてを委ねられている。 日本各地の精神科病棟で長期入院の患者さんたちを撮り続けてきた僕は、病院が持つ隔離という問題と重なった。それは病院が悪いのか、地域が悪いのか、制度が悪いのか。20年という長期取材に応えが見出せないままでいた。 「16人を写真で残しておきたいの!」という坂本会長の愛情の勢いはすごいもので、一人一人の昔を昨日のことのように話し始めた。それだけいつも彼らのことを思い描いているということだろう。 スタジオを組み、スタッフが一人一人、この場所に連れてくる。 テレビの音を目がけ歩いている彼らに、「写真を撮りに行きましょう!」と、こっちの都合を押し付ける。 さて、葛藤が始まった。 そりゃそうだろう。彼らはテレビの音を聞きたいという都合があったのだから。 【本展の概要】 社会福祉法人八ヶ岳名水会入所施設「星の里」には、開設当初から30年施設で暮らす16人の利用者がいます。「彼らの人生の一旦を形に残したい」八ヶ岳名水会会長 坂本ちづ子氏の思いに共感した写真家 大西暢夫氏の協力により、「16人の肖像」のプロジェクトが始まりました。「星の里」のディルームでスタジオを組み、写真家が葛藤しながらも16名の利用者に語りかけ、八ヶ岳名水会の現在(いま)を撮影した写真展です。 トーク 写真展会場にて 大西暢夫(カメラマン) 長田和也(八ヶ岳名水会理事長) ゲスト:小泉晃彦(AK企画代表) ワークショップ 写真展会場 大西暢夫が撮るアメニティーフォーラム参加者でつなぐ展覧会 アメニティーフォーラムの参加者で大西暢夫さんに写真を撮ってもらいたいと思われる方、大西さんが写真を撮って差し上げます!そして、その写真を会場に展示させてください。フォーラム終了後には、その写真と同じものを土産でお渡しします。ただし、有料となります。お一人1000円。(当日、会場でお支払いください) 以下の時間帯が撮影時間となりますので、ご注意ください。いずれの時間も先着20名までとさせていただきます。 1回目 2月10日(金)11:30〜12:30 2回目 2月11日(土)7:30〜8:30 3回目 2月11日(土)11:45〜12:30 4回目 2月11日(土)17:00〜18:30 大西暢夫 写真家、映画監督。 1968年東京生まれ。岐阜県揖斐郡池田町で育つ。 東京綜合写真専門学校卒業後、写真家の本橋成一さんに師事。アシスタントをするあいまに、ダムに沈む岐阜県徳山村の取材を独自に開始する。 独立後も今に至るまで全国を巡りダムに沈む村を追い続けている。そのほか精神病院閉鎖病棟、東日本大震災被災地、糸を紡ぐ長野のおばあちゃん。いずれも終わりのない長期取材を続けている。 著書に「ひとりひとりの人」「糸に染まる季節」「津波の夜に 3.11の記憶」など。