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しあわせなみだは2017年の刑法性犯罪改正時、他3団体とともに
「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」を立ち上げ、改正を後押しするための、議員訪問やキャンペーン等を展開しました。
このプロジェクトの活動が、書籍でご紹介いただけることになりました。
そこで今回のメールニュースでは、著者の小川たまかさんに、ご寄稿いただきました。
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こんにちは。ライターの小川たまかと申します。
今回は中野さんにご紹介いただき、こちらに寄稿させていただきます。
私は2015年から性暴力について取材を始め、かれこれ7年になります。
とはいえ最初は、この問題について自分が深く取材・執筆するようになるとはまったく考えていませんでした。
書かなければいけないことだけれど、取り組み始めたら戻れなくなる、そんなふうに心のどこかで思っていた気がします。
きっかけは、あるネットニュースを見たことでした。
その記事では女性専用車両が必要だと思っている60代女性がアンケートで7割を超えていることを挙げ、記者が「痴漢も人を選ぶと思いますけどね」と、からかうような言葉を書いていました。
痴漢って多くの人が悩まされてきた性暴力なのに、どうしてこんな書かれ方をしなければいけないんだろう。
そう思ったことから、自分が10代の頃に通学電車の中で経験した痴漢被害について具体的にブログに書きました。
そのブログを読んでくれた人たちが記事を拡散してくれて、「自分もこうだった」「小学生の頃から被害にあっていた」など、それぞれの被害経験を書いてくれる人もいました。
一方で「こんなに被害に遭うなんてこの人がおかしい」といった二次加害も、少なからずありました。
「痴漢被害について書くなら痴漢冤罪も同じように調べろ」としつこく絡まれたこともありました。
その後、2016年以降は、性犯罪刑法について取材することが増えました。
これも、自分がまさか司法なんて難しいことを取材するようになるとは思っていませんでした。
この大変な問題に飛び込むことができたのは、当時2017年の改正に向けて活動されていた、しあわせなみださんなど「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」の皆さんの熱意を間近で見たからだと思います。
それまでの私は、法律というのはすごく頭の良い人たちがさまざまなことを考えてまとめて、良きようにしてくれているものなんじゃないかという漠然としたイメージを持っていました。
自分の生活から司法というものまでは、それなりに遠い距離があると思っていました。
社会に問題を伝えるためのイベントや署名、ロビイング活動を通して、私は自分が抱え込むことになった被害を知恵に変えている人の存在を知りました。彼女ら彼らが、心ない人たちからの攻撃を受けながらも前へ進もうとする姿を見て、自分もこちら側にいたいと思いました。
※「あなたの傷を知恵に変えなさい」は性虐待の当事者であるオプラ・ウィンフリーの言葉。
2022年2月末に、新刊『告発と呼ばれるものの周辺で』が発売となります。
この本の中で、2017年の性犯罪刑法の改正と、その後の当事者・支援者たちの活動について触れています。
性暴力の問題はときにとても複雑で、理解してもらうのが難しいと感じることも多々あります。苦しくなることもツラくなることもしょっちゅうあります。
けれど、ときどき休んで、休んでいる間は誰か他の人が動いてくれていると信じて、適度に体の力を抜いて、粛々と歩いていくこと。そのやり方を学んだのがここ数年の自分であるようにも思います。
誰かの行動が、誰かが投げた言葉が、今ではなくても、たとえ10年後でも、誰かまだ見ぬ人につながること。それを信じて、これからも取材と執筆を続けていければと思っています。
☆プロフィール
小川たまか(おがわ・たまか)
ライターでフェミニストです。
主に性暴力、働き方、教育などの取材・執筆をしています。
2022年2月新刊
『告発と呼ばれるものの周辺で』(亜紀書房)、その他
『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を』(タバブックス)、共著
『私は黙らない性暴力をなくす30の視点』(合同出版)。
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