• もっと見る

2023年07月18日

齋藤法相に「障がいのある人を取り残さない刑法性犯罪を求める要望書」を提出しました


IMG_8671.jpg
しあわせなみだが参加する刑法改正市民プロジェクトが、齋藤健法務大臣と意見交換会を行いました。
しあわせなみだからは、副理事の南が参加し、「障がいのある人を取り残さない刑法性犯罪を求める要望書」を手渡しました。


IMG_8667.jpg
障がいのある人を取り残さない刑法性犯罪を求める要望書
【PDFファイルはこちら】

私たちは性暴力撲滅に向けた啓発活動を手掛けるNPO法人です。
6月14日「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案」 が可決成立したことを踏まえ、この法律が、障がいのある人を取り残さないものとなるよう、以下を要望いたします。

■1.実態調査ならびに支援体制拡充
・「刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(以下「附帯決議」)」 五では「支援の充実等の多面的な支援を行うよう努めること。その際、心身に障害がある性犯罪被害者について、その特性を踏まえて適切な対応をすること」が盛り込まれました。
・性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターを対象にした調査では、障がいのある被害者数は、不明です。また47か所のセンターのうち、音声によるコミュニケ―ションが困難な人に欠かせない、メール相談を実施しているのは25か所、SNS相談を実施しているのは5か所にとどまります 。また、本改正の過程においては、障がい児者団体や、障がいのある被害当事者へのヒアリングは、実施されていません。
・この法律が、障がいのある人々の被害実態を踏まえたものとなるよう、調査ならびに支援体制拡充に向けた予算を確保してください。

■2.代表者聴取の適切な実施
・「附帯決議」八では「障害者からの聴取を適切に行うことができるよう、障害者の特性に十分配慮すること」、九では「障害者の特性を踏まえ、適切な証人尋問となるよう配慮すべきことを周知すること」が盛り込まれました。
・障害の内容・程度や特性等を踏まえた事情聴取の手法である、いわゆる「代表者聴取」の取組については、全国での試行実施から、ようやく1年を経過した状態です。
・「障害者の権利に関する条約」 が定める「司法手続の利用の機会」の実現に向け、障がいのある人の認知発達能力・心理・法律の知識に関する知見や技術の向上、及び環境整備に必要な予算を確保し、実施状況について、定期的に情報を公開してください。

■3.障がいのある人の意思形成を踏まえた検討
・「附帯決議」十三では、「障害者が被害者である性犯罪に関し、被害者の意思形成を考慮した要件」の検討が盛り込まれました。
・法律では、「心身に障害があること」を、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」に含めています。しかし障がいのある人は、それぞれの方法で、自らの意志を示します。障がいがあることをもって、意思を「形成」「表明」「全う」できないとするのは、極めて侮蔑的です。
・諸外国では、「不同意性交等罪」とは別に、「障害に乗じた性犯罪」を設けています 。障がいのある人の意思形成を考慮した検討を求めます。

■4.障がいを知りうる地位・関係性に乗じた行為に対する検討
・「附帯決議」十三では、「障害者と保護・監督者等との間の地位に基づく影響力に関する要件」「障害者と対人援助職の者等との間の地位に基づく影響力に関する要件」の検討が盛り込まれました。
・障がいのある人にとって、福祉職・医療職・教育職といった「対人援助職」の者は、生活を共にし、身の回りの世話をする「監護者」同等の立場にあります。障害の程度によっては、他者に対し、「不利益」を「憂慮」することが、困難であったり、対人援助職の指示には「従うのが当然」と考えていることもあります。
・諸外国では、「不同意性交等罪」とは別に、「障害を知りうる立場に乗じた性犯罪」を設けています。対人援助職を含めた「地位・関係性」を考慮した検討を求めます。

■5.被害者に障がいのある性犯罪事件に関する公訴時効の廃止・延長の検討
・「附帯決議」十三では、「障害者が被害者である性犯罪に関し」「公訴時効期間等の在り方についても検討を行うこと」が盛り込まれました。
・若年者を公訴時効の延長の対象とした理由について、2023年5月17日の衆議院法務委員会では、「性的な行為や事後の対応などを含めた、社会生活上の知識や経験が十分に備わっているとは言い難く、性犯罪の被害に遭ったとしても、それが性犯罪の被害であると認識したり、適切に事後の処理をすることが困難である」との説明がありました。知的障害がある方の発達は、軽度と呼ばれる人々でも、小学校5年生から6年生程度の学力にとどまり 、被害認識や事後の処理が困難な状態にあります。
・諸外国では、被害者に障害がある場合、公訴時効の廃止や延長を定めています。被害者に障がいのある性犯罪事件について、公訴時効の廃止・延長の検討を求めます。


IMG_8646.jpg
今後もこうした機会を増やせるよう、努力してまいります。
応援よろしくお願いいたします。


==============

本ブログは毎週火・金更新!

【ウェブサイト】 
【facebook】
【Instagram】
【twitter】
【メールニュース「Tear's Letter」】

【リボンドネーションによるご寄付はこちら】
【クレジットによるご寄付はこちら】
【書籍・DVD・ゲームによるご支援はこちら】
この記事へのコメント
コメントを書く
トラックバックの受付は終了しました

この記事へのトラックバック