
6/16、刑法性犯罪改正案が可決成立しました。

しあわせなみだは、2018年以降、125名の国会議員との面談、5回の院内集会の開催、12,553筆の賛同を集めたオンライン署名の、齋藤法務大臣への提出等を通じて、刑法に「障がいのある性犯罪被害者」の概念が盛り込まれるよう、働きかけてきました。
そこで本日のブログでは、改正刑法を解説します。

☆1)改正刑法における「障がいのある人」
以下の項目に反映されました。
【刑法】
☆第百七十六条(不同意わいせつ)の構成要件の1つに「心身の障害があること」が盛り込まれました。
☆第百七十七条(不同意性交)の構成要件の1つに「心身の障害があること」が盛り込まれました。
【刑事訴訟法】
☆第三百二十一条の三では、心身の状態その他の特性に応じ、不当な影響を与えることなく、十分な供述ができるよう、必要な措置を講じ、その記録媒体を証拠とできるようになりました。

☆2)改正の意義
これまでの刑法には「障がい」という文言は存在しませんでした。
被害者に障がいがある場合、障がいの状態が第百七十八条の「心神喪失」に該当すると判断された場合、「準強制わいせつ」や「準強制性交等」で対応していました。
改正により「心身の障害があること」という文言が入ったことは、“障がいのある性犯罪被害者が存在する"ことを認めたものであり、極めて画期的です。統計や、被害実態が明らかになることも
期待されます。

☆3)残された課題
まず、改正にあたり、障がいのある人々に対するヒアリングや、定量的・継続的調査が実施されませんでした。
当事者の声を聴くことなく法整備が進められたプロセスは、非常に問題です。
次に、施設職員や病院の職員、特別支援学校の教員といった、障がいを支援する立場に乗じた性犯罪については、「不利益を憂慮」し、かつ「不同意の状態にあること」という条件がつきました。
「障がい」といった脆弱性に対し、本来、職業的に支援する立場にある者が、その地位に乗じて性的接触を求める行為については、より厳正な処罰が検討されるべきです。

刑法性犯罪改正案の可決成立に合わせ、しあわせなみだも参加する「刑法改正市民プロジェクト」が、記者会見を開催しました。
会見の様子は、複数のメディアで取り上げられました。
全文が閲覧できる記事(会員限定ではない記事)を、紹介します。

【NHK】
『「同意のない性行為」とは 性犯罪の刑法改正 ポイントを解説』
【TBS NEWS DIG】
『法案成立評価も「課題が残る」性犯罪の刑法改正受け被害者支援団体らが会見 今後は性犯罪の時効撤廃など求める』
【共同通信】
『「声届いた」改正刑法に感慨 性被害の当事者ら、啓発も要望』
【時事通信】
『「求めてきた改正、感無量」性被害当事者ら歓迎―改正刑法成立』
【日本経済新聞】
性犯罪規定見直しの改正刑法成立 処罰要件明確化
【弁護士ドットコム】
『「感無量」「声が届いた」性犯罪規定を見直す改正刑法が成立、当事者らから喜びの声』
障がいのある人を取り残さない社会を実現するために、引き続き声を届けていきましょう。
==============
本ブログは毎週火・金更新!
【ウェブサイト】
【facebook】
【Instagram】
【twitter】
【メールニュース「Tear's Letter」】
【リボンドネーションによるご寄付はこちら】
【クレジットによるご寄付はこちら】
【書籍・DVD・ゲームによるご支援はこちら】