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釜石の風を染める [2011年06月21日(Tue)]
6月14日 東和から遠野を抜け釜石へ。

岩手県立釜石祥雲支援学校での野染めに向かう

天候が晴れたり曇ったりで少し心配になる。山寄りの小川沿い、こじんまりとした学校の中庭が今回の染場。幸い、津波や揺れによる大きな被害はなくこどもたちや職員の方々も無事であったとのことですが、保護者の方や親せき友人などが深刻な被害を受けられたり、家を流された方たちも多いということでした。今回訪ねた場所はみな同じように、すべての人たちが大きなダメージを受けているといってよいと思います。
それは400Kmに及ぶ東日本太平洋沿岸に住む人たちに共通することなのではないでしょうか。(福島は論外!)
野染めの前に、控室で美術担当の千葉久美子先生に、エイズ・メモリアル・キルトと作りかけの蝶のキルトを見てもらいました。何かを伝えるための道具ではなく、作業をする時間や場所自体が優れたアートであることを感じて下さったみたいです。
中庭のほうがざわざわし始める。小学部のこどもたち18人がすでに集まっている。染めのおっちゃんや、国籍不明っぽいひげさん、太陽に光る頭を持っているぽこちゃんなどけったいなおおとなたちにも何やら興味津津。
いわゆる健常者のこどもたちなど比較にならないくらいの個性を持っている、いわゆる障がい者(この呼び方はなんとかならないものか)といわれるこどもたちとの野染めは特別に楽しく、そして心してせねばならない。
こちらのちっぽけな常識など、時としてものの見事に突破してしまうからだ。それに乗り遅れたら損だと思っている。それにはこちらが出来るだけ体と心をたっぷりと広げ解けておかないといけない。(これはダジャレを連発することの言い訳)
今回染める布は、幅85センチ長さ15メートルぐらいの木綿布2本。被災地支援にと蒲郡の方から送られて来た布をつなげて使わせてもらう。それをガリという道具で両端を挟み、地面と平行に宙に浮かせる格好で張り、竹の先に針がついた伸子という道具で布をぴんと伸ばす。バケツに水を張り、染料の原液を溶かし、それぞれ好きな色をワイワイと言い合い、作っていく。その前にやることがある。雲行きがにわかにおかしくなってきたので、そんなとき用のおまじない。みんなで太陽に向かって雨が降らないようにこぶしを突き上げ「おねがいしますだーっ!」と三回叫ぶ。20のバケツに20の鹿刷毛、それぞれ一つずつを持ち一斉に染めがスタート。



         染め祭りがどんどこどんどこ始まる。


体と体、色と色が重なり15分もしないうちに、見事な染めが出来上がった。そして皆が布を離れた後、たっぷりと色を吸った布の上で「染まるとき」が始まる。刷毛目が溶け合い、点が線となって流れてゆく。


そのあたりになると、例のおまじないのせいで、空はすっかり晴れ上がり、光に透けた色が鮮やかさを増してくる。そして最後の儀式。太陽に向かって「ありがとうございましただーっ」と三回こぶしを突き上げ、小学部の野染めは終了。
その後、もう一本を中学部のお兄さんやお姉さん9人がさすがの落ち着きで染め繋ぎ、釜石祥雲学校での野染めは終了となった。
まずは一時(いっとき)こどもたちも職員の方たちも、そして私たちも我を忘れて楽しめた・・かな。この布はいったん京都に持ち帰り、色止めをした後送り返すことになる。その布をではどうすうるかはこれからのお楽しみ。出来れば畳一枚分ぐらいは保護者の方たちや、地域の人たちも加わり一針縫ってもらい、大切な人や、動物や風景を想いながらキルトを作っていくような時間が出来ていければと願います。

次は大槻町でのお話です。


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