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さいとうひろし
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 岩手に行って、岩手が好きになった。  [2011年07月10日(Sun)]
今回の旅のメンバーの中で一番若い、佐田芽衣さんから文章が届きました。京都造形芸術大学・染織テキスタイルコース3回生。
瑞々しくも、客観性のあるレポート、少し長いですが全文掲載させてもらいます。


おっちゃんへ


岩手県の東和、遠野を拠点に釜石市、大船渡、陸前高田、大槌町をまわる。

染めもの屋、斉藤洋さん(おっちゃん)の今回の活動は主に2つ。「お針箱と布を被災地に届ける」、「支援学校を中心に『野染め』をする」。滞在期間は6月11日から18日の8日間。

 3ヶ月が経ち、被災地では仮設住宅へ移る時期だった。体育館などで避難生活を送っていた方々がそれぞれ個々の空間で生活をしていく。今後、孤独死を防ぐため、「みんなで集まる場、機会」、「仕事」というものが必要。遠野まごころネットの増島智子さんから、話をきいた。

遠野市は、陸前高田、大槌町、釜石市、大船渡への支援、ボランティアの拠点になっている。朝、ボランティアを希望する人が集まる。どのボランティアを希望するか選択し、それぞれのバスに乗りこむ。また終わったら戻ってくる。宿泊施設もある。銭湯や、温泉、コンビニ、スーパー、食べ物屋もある。
沿岸部を離れ、内陸の地域では「普通」の生活がされている。外食も、買い物もできる。水も電気も使える。一方、津波被害地域にあるのは、取り壊しがまだされていない廃墟やガレキ。生活感を感じるものは何もない。
撤去作業を行う人や重機は、見渡しても数えられるほど。ボランティアの数も少ないという。それだけ被害が酷く、広範囲に及んでいるのだ。2つの違う世界が同じ場所に存在している。そんな感じがした。





小原尚子さん宅。そこが、おっちゃん、ポコちゃん、ヒゲさん、明見さん、私の5人の帰る場所だった。小原さんはおっちゃんの友人。岩手滞在期間中、衣、食、住が完備された状況で過ごすことができた。小原さんのおかげ。
「私は支援の支援です。」小原さんはそう言った。被災地の近くに住んでいても、体力、健康、環境などで、直に被災地にいって、支援をすることが困難な人もいる。
近くにいるからこそ、何かしたいという想いは強いのではないか。「岩手のために何かしたい。」そんな強い想いが、小原さんにあることが伝わってきた。自身の体調が思わしくないのにも関わらず、私たち一行を常に優先しくれた。
心落ち着く帰宅場所があるとないとでは、精神的にも体力的にも全然違う。車での長時間移動。被災地を目の当たりにすることも、やはりしんどく、体力のいることなのだ。
小原さんの家の明かりをみるとほっとした。あぁ、家に帰ってきた。家を流され、「ない」ということが、どれほど厳しい状況か。少し分かった。幸いにも、小原さんのおかげで帰る「家」があった。それは、とても幸せなこと。有り難いことだった。


  明見さん ひげさん ぽこちゃん おばらさん メイちゃん おっちゃん


<お針箱と布を>

何もすることがないのは、つらい。ただ、避難所で座り、寝るだけの生活は大変だ。仕事を失った人。体力仕事ができないおじいちゃん、おばあちゃんは、三ヶ月経ち、そのような状況だった。「何かをつくる」そのための、道具と素材がなければ。
おっちゃんは、「逃げる時にお裁縫箱はもってないから。何かチクチクしてつくりたい時に、道具も素材もないだろうから。」そう考えてお針箱と布を集めて東北に持っていくことにした。
自分は、そんなに、お針箱が必要とされているのか。すこし疑問に想っていた部分もあった。甘かった。「何もかも流された」中で、何かつくりたくてもつくれない。そんな状況を想像もできないくらい満たされたところに私はいる。そのことを、自覚する。



                 釜石・平田の避難所で


「支援物資で頂いた服もサイズがあわなくて、テープで止めていたわ。」「味っけない仮設住宅に手作りののれんなんかどうですか」「いいわね。この布なんかぴったり。」「家族みんなに、冬用の上着をつくるの。」そういって、おばあちゃん達は、嬉しそうに、段ボールの中から、大小様々で色も中身も違うお針箱を選んだり、布を選んだりする。
創作意欲がムクムク、大きくなっていく。何をつくろう。そう考えるだけでも楽しい。しかし、実際に形にできないともどかしい、哀しい。おっちゃんはそういうこと、分かっていたのかな。
もう一つ。避難所や仮設住宅に移っても、みんなが集まって、話をする、一緒にものをつくる。チクチクお裁縫をすることで、そういう「きっかけ」ができるのではないか。
おっちゃんはAIDSメモリアルキルトを長年してきた。だからこそ、みんなで集まって、チクチクすることの力を実感しているのだと想う。誰かと一緒につくること、誰かのためにつくることの大切さを知っているのだと想う。
大小の箱、色も中身もバラバラのお針箱。柄も素材も、大きさも様々な布。お針箱や、布を送ってくれた、それぞれの人の顔がみえるよう。また、これらの中から好きなものを「選べる」ということも嬉しいことだったのではないだろうか。

<野染め>

支援学校は、沿岸から離れた山側にある学校が多く、校舎や生徒に被害がでた学校は少なかった。しかし、身内の方。家が流された方。やはり、誰しもが何かしらの「被災者」だった。誰もが「被災者」の中で、心に抱えているものを、解放できない人は多くいるのだろう。抱えながら「普通」の学校生活をするよう努める。そんな気持ちを少し、解放できる力が野染めにはあるのではないだろうか。
釜石祥雲支援学校の野染めで教員の方や子どもたちが、はしゃいで、楽しそうにしている姿をみて、そう想った。子どもたちは、みんな素直。おっちゃんのギャグにもついてく、ついてく。みんなパワフル!自分も職員の方と一緒になって、ベストポジションで写真を撮るべく階段上がったり、下がったり、しゃがんだり。みんな、
本当にいい顔。職員の人が、アイドルを発見した女子高生のように、俊敏にポジション取りして、カメラを構えるべく、一斉に動き始めるはずだ。



         釜石祥雲支援学校 先生たちだって弾けたい!


撮りたいのは、染め終わった布ではない。染めていく過程の、嬉しそうにしたり、とまどったり、迷ったり、そんな色々な感情、表情を写し撮りたいのだ。完成した布ではなく、「染める」行為が、大切なのだ。白い布をみんなで、染めていく。その過程に心を解放する力がある。私はそう想う。
3.11が起きて、芸術はこのような時に何ができるのか。そう考える時が多くなった。何をもって芸術とするのかも曖昧で、難しい。分からないことばかりだが、<野染め>は「芸術はこのような時に何ができるのか」に対するヒントを与えてくれた。

 ニュースや新聞、ネットで被災地の状況を見て、知ることはできた。映像や文字だけ。本当に現実に起っていることだと自分が想えているとは想えなかった。現地に行った人の話を聞いていても、蚊屋の外。自分の中に吸収できない。そのことに危機感を感じた。このまま、復興を遠くからみているだけになるのが嫌だった。
「誰かのため」より「このまま蚊帳の外で、みて、聴いて、発言できない」そう想った。親に行くとメールした。「被災地のお役に立ってきてください」と返ってきた。今回、被災地の役に立てたのかは、分からない。
ただ、岩手に行って、岩手が好きになった。こんなに美しい自然があるのだと、知った。被災した人と話した。触れ合った。この「人」たちのために何かしたい。そう想った。「被災地」のために。「被災者」のために。「あなた」のために。
岩手や岩手で出会った人たちを好きになった。これが、今回の旅の一番の得たものかもしれない。



               たいまぐらでいい気持ちのメイ



<おっちゃん、ポコちゃん、ヒゲさん、明見さん>
おまけ。
おっちゃんのおかげで、出会うことのできた人がたくさん。
ちぃちゃんもそう。陸前高田の孤島のように高台にあった、幼稚園。そこで、ちぃちゃんの人形劇に感動。子ども達を笑顔にできる力に圧倒された。
そしてどこかで、同じ人形劇を見た事あるような感覚。
それもそのはず。ちぃちゃんは多分、自分が小学校6年生の時に人形劇をしに来てくれていたのだ。まさか。こんな状況で再び会うなんて、想像もしない。
ちぃちゃんは人を惹きつける魅力ある人だった。こんな人がいるのか。
大人はすごいな。

21歳になって、大人はすごいって。おいおい。でも、今回の旅、たくさんの「大人」達に囲まれていた。おっちゃん、ポコちゃん、ヒゲさん、明見さんと旅ができて、良かったです。


佐田 芽衣



阿部智穂さんのブログ たいまぐら便り に てびらこつぎっこ のことを書いてくれています。
最近の阿部さんの「作業」の様子も、本当に丁寧に綴られていますので、ぜひ見てください。斎藤
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